JP5576628B2 - 貼付剤用支持体および貼付剤 - Google Patents
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Description
また、ポリオレフィンエラストマーからなる被膜を有する不織布からなるものが知られている(特許文献1)。特定のスチレンブロック重合体を含有する接着剤が部分的に塗布された不織布からなるものも知られている(特許文献2)。
貼付剤用支持体として、ポリオレフィンまたはポリウレタンからなるフィルムが使用されると、水性粘着成分などの薬剤を含有する成分との密着性が十分ではなかった。発泡フィルムが使用されると透明性が悪かった。
貼付剤用支持体として不織布が使用されると、薬剤成分が染み出したり揮発により消失しやすいという問題があった。
ポリオレフィンエラストマーからなる被膜を有する不織布からなる貼付剤用支持体は、上記問題点が改善されたものであるが、使用条件によっては伸縮性の改善の程度が十分でない場合もあった。また、透明性はあまり良いものではなく、不織布との接着性も十分でない場合もあった。
本発明は、伸縮性、ガスバリア性、および不織布との接着性が良好な貼付剤用支持体、好ましくはさらに透明性も良好な貼付剤用支持体を提供することを目的とする。また本発明は、薬効成分や水分などの染み出し、揮発が防止され、貼付剤としての効果が長時間持続するとともに、薄膜化も可能となり、美観も維持される、伸縮性が良好な貼付剤を提供することを目的とする。
請求項2に記載の貼付剤用支持体は、請求項1に記載の貼付剤用支持体において、ブロック重合体Aは、ブロック重合体Aの全構成単量体単位を基準とするスチレン単位の割合が15〜50重量%であることを特徴とする。
請求項3に記載の貼付剤用支持体は、請求項1または2に記載の貼付剤用支持体において、軟化剤Bは、40℃における動粘度が50〜500cStのオイルであることを特徴とする。
請求項4に記載の貼付剤用支持体は、請求項1〜3のいずれかに記載の貼付剤用支持体において、エラストマー組成物Dは、伸び率が200%〜1500%であることを特徴とする。
請求項5に記載の貼付剤用支持体は、請求項1〜4のいずれかに記載の貼付剤用支持体において、エラストマー組成物Dは、厚さ2mmにおけるヘーズ値が50%以下であることを特徴とする。
請求項6に記載の貼付剤用支持体の製造方法は、重量平均分子量が5万〜20万である、SEBSおよび/またはSEEPSからなるブロック重合体Aを100重量部、軟化剤Bを5〜150重量部、ポリオレフィンCを10〜400重量部含有するエラストマー組成物Dを製造する工程1、
エラストマー組成物Dを原料としてシートEを製造する工程2、および
シートEを不織布Gに付着させる工程3を備えることを特徴とする。
請求項7に記載の貼付剤は、重量平均分子量が5万〜20万である、SEBSおよび/またはSEEPSからなるブロック重合体Aを100重量部、軟化剤Bを5〜150重量部、ポリオレフィンCを10〜400重量部含有するエラストマー組成物Dの被膜Fで、片面が均一に被覆された被膜付き不織布および粘着成分からなることを特徴とする。
伸縮性とは、貼付剤が貼付された人体の部位の動きに合わせて伸びたり縮んだりする性質であり、支持体のゴム弾性および伸び率に大きく依存する。
透明性は、目視で貼付剤の使用を感じさせないという、貼付剤使用者の心理的なプラス効果を有する。
分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、GPCともいう。)により測定された。重量平均分子量のことをMwともいう。
まず、本発明の貼付剤支持体を構成する材料であるエラストマー組成物Dについて、ブロック重合体A、軟化剤B、およびポリオレフィンC、ならびに任意成分の順に説明する。
ブロック重合体Aは、芳香族ビニル単量体単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックXを2個以上、および共役ジエン単量体単位を主要構成単位として含有する重合体ブロックYを1個以上有するブロック共重合体またはその水素添加物であり、重量平均分子量が5万〜20万の範囲のものである。
共役ジエン単量体としては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルー1,3−ブタジエン等が挙げられる。これらの2種類以上が併用されてもよい。ブタジエンおよびイソプレンは、得られる重合体が伸びの良好なものとなりやすく、その結果得られる組成物は伸縮性の優れたものになりやすいために好ましい。
ブロック重合体Aは、全構成単量体単位を基準としてスチレン単位を15〜50重量%有するものが好ましい。スチレン単位の割合が少なすぎると組成物のゴム弾性が不十分となり、伸縮性が損なわれる場合がある。スチレン単位の割合が多すぎると組成物の伸びが不十分なものとなり、伸縮性が損なわれる場合がある。
ブロック重合体AのMwは5万〜20万であり、7万〜15万であることが好ましい。Mwが5万未満であると組成物が伸縮性の不十分なものとなりやすい。また、Mwが20万を超えると組成物が成形性の不十分なものとなり、ピンホールや厚さむらのないシート(フィルム)を得られにくいほか、透明性が悪くなる場合がある。
ブロック重合体Aは2種類以上が併用されてもよい。
ポリオレフィンCとしては、エチレンやプロピレンの重合体(共重合体を含む)が挙げられる。
ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、エチレン/α−オレフィン共重合体は、得られる組成物の伸縮性が良好となりやすいため、ポリオレフィンCとして好ましいものである。
ポリオレフィンCは2種類以上が併用されてもよい。
軟化剤Bの割合が少なすぎると組成物が伸びおよび成形性の不十分なものとなり、多すぎるとオイルがブリード(成形体の表面に移行)しやすい。
ポリオレフィンCが少なすぎると組成物が成形性および強度の不十分なものとなり、多すぎると組成物が伸縮性および透明性の不十分なものとなる。透明性を優れた組成物を得るためには、ブロック重合体Aを基準(100重量部)とするポリオレフィンCの割合を200重量部以下とすることが好ましい。
添加剤が配合される場合の配合割合は、組成物および成形体の性能を損なわない範囲で適宜決められる。
エラストマー組成物Dは、所定割合の上記成分を公知の手段により混合および/または混練させて得られる。
混合には、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等を使用することができる。
混練には、押出機、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダー、プラストグラフ等を使用することができる。
例えば、粉末状又はペレット状の固体主原料(成分A、C)を混合機で攪拌、混合(ドライブレンド)し、次いで液状主原料(成分B)を添加して攪拌、混合し(成分A、Cに成分Bを含浸させ)、必要に応じてその他の原料を添加して攪拌、混合することによって配合粉を得る。得られた配合粉を押出機で混練してペレット化するという方法は好ましい組成物の調製方法である。
上記手順において、「その他の原料」も固体主原料(成分A、C)と合わせて最初から添加する方法が採用されてもよい。
(1)固体状のシートEを接着剤により不織布Gに付着させる方法。
(2)固体状のシートEを加熱軟化してまたは加熱溶融状態にして不織布Gに付着させる方法。
(3)工程2における製造直後のシートEが冷えて固体状となる前に不織布Gに付着させる方法。
貼付剤の構成は、薬剤などの有効成分を含有する粘着成分などを、上記支持体の不織布側(被膜Fの反対側)に塗布または含浸させたものとすることができる。粘着成分は水を含有するものであってもよいし水を含有しないものであってもよい。
使用された原料は以下のとおりである。
1.ブロック重合体Aおよび比較用重合体A’
・ブロック重合体A1:セプトン4033(株式会社クラレ製水添ブロック共重合体SEEPS、スチレン単位含有割合:30%、Mw:10万)
・ブロック重合体A2:MD6932(クレイトン製水添ブロック共重合体SEBS、スチレン単位含有割合:20%、Mw:8.6万)
・比較用重合体A’1:セプトン4055(株式会社クラレ製水添ブロック共重合体SEEPS、スチレン単位含有割合:30%、Mw:24万)
・カラム種類:Shodex KF-806M × 2本
・カラム温度:40℃
・溶離液種類:THF
・溶離液流量:1.0mL/min
・検出器:RI(示差屈折計)
・試料濃度:0.2%
・軟化剤B1:NTK400(日本サン石油株式会社製パラフィンオイル、40℃における動粘度:84cSt)
・ポリオレフィンC1:PWH00N(サンアロマー株式会社製ポリプロピレン)
・ポリオレフィンC2:PH943B(サンアロマー株式会社製ポリプロピレン)
・ポリオレフィンC3:ウィンテックWFX4T(日本ポリプロ株式会社製ポリプロピレン)
・ポリオレフィンC4:LJ808(日本ポリエチレン株式会社製低密度ポリエチレン)
・ポリオレフィンC5:エンゲージ8200(デュポンエラストマー(旧デュポンダウエラストマーズ)製エチレン・α−オレフィン共重合体)
・不織布G1:ストラテックPP RN2020(出光ユニテック株式会社製ポリプロピレン不織布、厚さ:0.18mm)
上記原料を使用して、本発明の支持体を製造するためのエラストマー組成物D’および比較用組成物D’を製造した。配合割合(重量部)は表1のとおりである。
固体状原料(軟化剤B以外の成分)を混合(ドライブレンド)して固体原料混合物を調製し、該混合物に液状原料(軟化剤B)を添加して混合、含浸させて原料混合物を調製した。該原料混合物を下記の条件で押出機で溶融混練して、組成物のペレットを調製した。
・押出機:株式会社テクノベル製 KZW32TW−60MG−NH
・シリンダー温度:160〜220℃(この範囲で組成物毎に適切な温度を採用)
・スクリュー回転数:300rpm
工程1で得られた組成物のペレットを下記の条件で押出成形して、幅100mm、厚さ50μmの長尺シート(シートEおよび比較用シートE’)を製造した。
・押出成形機:パーカーコーポレーション製単軸押出機
・スクリュー:25mm、フルフライトタイプ、圧縮比:4
・Tダイ
フィッシュテイル型フィルム用ダイ
ダイ幅:100mm
ダイ厚さ:50μm
吐出方向:斜め下向き
・成形温度:200℃
・スクリュー回転数:250rpm
工程2で得られたシートを100mm×200mmに切断し、プレス機により不織布G1に圧着して支持体(被膜付き不織布)を製造した。
・プレス機:東邦マシナリー株式会社製プレス機
・プレス条件
温度:200℃
プレス圧:1MPa
プレス時間:1分間
工程2で得られたシートの外観を目視で評価した。
○:シートに破れやピンホールなどがなく、ほぼ均一な外観であった。透明性も良好であった。
△:シートに破れやピンホールなどがなく、ほぼ均一な外観であった。透明性はやや悪かった。
×:シートに破れやピンホールなどがあった。透明性はやや悪かった。
(評価2)
工程3で得られた支持体の外観を目視で評価した。
○:ほぼ均一な外観であった。
×:シートの破れやピンホールに由来する外観の不均一さがあった。
(評価3)
工程3で得られた支持体の伸縮性を評価した。支持体を長手方向に引張応力をかけて50%伸張させた後、応力を取り去って長さの変化を測定した。
○:伸張させた長さの50%以上が回復した(100%回復の場合が伸張前の長さに戻ったことを意味する。)。
×:伸張させた長さの回復は50%未満であった。
(評価4)
工程3で得られた支持体の不織布側に、ポリアクリル酸ナトリウム、グリセリンおよび水を主成分としメントールが添加された粘着成分を約0.5mmの厚さとなるように塗布して貼付剤を製造した。得られた貼付剤の外観を目視で評価した。
○:ほぼ均一な外観であった。透明性も良好であった。
△:ほぼ均一な外観であった。透明性はやや悪かった。
×:シートの破れやピンホールに由来する外観の不均一さがあった。透明性はやや悪かった。
上記工程2および工程3とは別に、工程1で得られたエラストマー組成物D’および比較用組成物D’を使用して、射出成形により成形体(試験片)を製造し、A硬さ、伸び率およびヘーズ値の評価を行った。
(A硬さ)
JIS K6253に準拠した測定時間1秒のA硬さ(試験開始から1秒後の値)を測定した。測定は温度23℃、湿度50%の室内で1日状態調節の後実施した。好ましいA硬さは50〜90である。
(伸び率)
JIS K6251に準拠した切断時伸び(%)を測定した。測定は温度23℃、湿度50%の室内で1日状態調節の後実施した。
(ヘーズ値)
JIS K7136に準拠した厚さ2mmの成形体におけるヘーズ値を測定した。
Claims (7)
- 重量平均分子量が5万〜20万である、SEBSおよび/またはSEEPSからなるブロック重合体Aを100重量部、軟化剤Bを5〜150重量部、ポリオレフィンCを10〜400重量部含有するエラストマー組成物Dの被膜F、および不織布Gからなり、不織布Gは、片面が被膜Fで均一に被覆されたものである貼付剤用支持体。
- ブロック重合体Aは、ブロック重合体Aの全構成単量体単位を基準とするスチレン単位の割合が15〜50重量%である、請求項1に記載の貼付剤用支持体。
- 軟化剤Bは、40℃における動粘度が50〜500cStのオイルである請求項1または2に記載の貼付剤用支持体。
- エラストマー組成物Dは、伸び率が200%〜1500%である請求項1〜3のいずれかに記載の貼付剤用支持体。
- エラストマー組成物Dは、厚さ2mmにおけるヘーズ値が50%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の貼付剤用支持体。
- 重量平均分子量が5万〜20万である、SEBSおよび/またはSEEPSからなるブロック重合体Aを100重量部、軟化剤Bを5〜150重量部、ポリオレフィンCを10〜400重量部含有するエラストマー組成物Dを製造する工程1、
エラストマー組成物Dを原料としてシートEを製造する工程2、および
シートEを不織布Gに付着させる工程3を備える、貼付剤用支持体の製造方法。 - 重量平均分子量が5万〜20万である、SEBSおよび/またはSEEPSからなるブロック重合体Aを100重量部、軟化剤Bを5〜150重量部、ポリオレフィンCを10〜400重量部含有するエラストマー組成物Dの被膜Fで、片面が均一に被覆された被膜付き不織布および粘着成分からなる貼付剤。
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2009
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