JP5576151B2 - 脱硫方法および脱硫装置および燃料電池発電システム - Google Patents
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Description
常温脱硫剤を充填してある脱硫部を備えるとともに、前記脱硫部に硫黄成分を含有する燃料ガスを導入する導入部を設けた脱硫装置、および、
硫黄化合物を含有する燃料ガスから硫黄化合物を除去するための脱硫装置と、前記脱硫装置によって脱硫処理された燃料ガスを改質して、水素を主成分とする改質ガスを生成させる改質装置と、前記改質装置から供給される改質ガスを燃料として用いて発電する燃料電池と、を備えた燃料電池発電システムに関する。
本発明の脱硫方法の特徴構成は、硫黄成分を含有する燃料ガスを、酸化銅−酸化マンガン系の常温脱硫剤を用いて脱硫する脱硫方法であって、前記脱硫剤に供給される燃料ガスの露点が0℃以上のとき、前記脱硫剤を50℃以上80℃以下に加熱する点にある。
また、硫黄成分を含有する燃料ガスを、銅−ゼオライト系の常温脱硫剤を用いて脱硫する脱硫方法であって、前記脱硫剤に供給される燃料ガスの露点が−20℃以上のとき、前記脱硫剤を70℃以上150℃以下に加熱するものとしてもよい。
燃料電池発電システムに備えられる脱硫装置に用いられる脱硫剤として、比較的低温で用いることができる常温脱硫剤が知られている。常温脱硫剤は、燃料電池発電システム全体の構成を単純化すると共に低コスト化を図るため、好適に用いられる。ところで、現状では常温脱硫剤は燃料電池発電システムと同じケーシング内に備えられる場合が多く、常温脱硫剤の使用温度は、燃料電池発電システムの動作温度に従って加熱される状態としてある。
従って、所定の寿命期間に亘って高い脱硫性能を発揮でき、脱硫剤を交換する必要がない脱硫方法となる。
また、本発明の燃料電池発電システムの特徴構成は、
硫黄化合物を含有する燃料ガスから硫黄化合物を除去するための脱硫装置と、
前記脱硫装置によって脱硫処理された燃料ガスを改質して、水素を主成分とする改質ガスを生成させる改質装置と、
前記改質装置から供給される改質ガスを燃料として用いて発電する燃料電池とを備え、
前記脱硫装置は、前記燃料ガスが通過可能に設けられた容器の内部に、酸化銅−酸化マンガン系の脱硫剤を充填してあると共に、
前記燃料ガスの露点が0℃以上のとき、前記容器内の前記脱硫剤を50℃〜80℃の加温状態とするように加熱する加熱手段を備えた点にある。
本発明者らの検討によれば、燃料ガスの露点が比較的低い(例えば0℃)状態では、酸化銅−酸化マンガン系の脱硫剤を常温で使用し続けたとしても、十分に長期に亘って優れた脱硫性能を発揮し得る。よって、脱硫剤を加熱して加温状態とする必要性は低い。一方、燃料ガスの露点が比較的高い状態では、上記したように酸化銅−酸化マンガン系の脱硫剤を常温で使用し続けると、長期に亘って優れた脱硫性能を発揮し得ない場合がある。よって、脱硫剤を加熱して加温状態とする必要性が高いと言える。
ここで、前記容器の上流側に設けられ、前記容器に流入する燃料ガスの露点を検出する露点センサと、前記露点センサにより検出される露点に応じて前記加熱手段の動作を制御する加熱制御手段と、を更に備えた構成とすると好適である。
この構成によれば、加熱制御手段が、露点センサにより検出される露点に基づいて脱硫剤を加熱して加温状態とする必要性の有無を判断し、当該必要性の有無に応じて加熱手段の動作(加熱の有無等)を適切に制御することができる。
ここで、前記加熱手段が、前記燃料電池から排出される排熱を熱源として前記脱硫剤を加熱可能に構成された構成とすると好適である。
この構成によれば、燃料電池から排出される排熱を利用して、脱硫剤を迅速かつ適切に加熱することができる。また、燃料電池から排出される排熱を、加熱手段が脱硫剤を加熱するための熱源として有効利用することができる。よって、脱硫剤を加熱するための熱源を別途設置する必要がなくなるので、燃料電池発電システム全体のエネルギ効率を向上させることができる。
この構成によれば、脱硫剤を加熱する必要性の有無に応じて、燃料電池から排出される排熱の蓄熱と、蓄熱された熱を利用した脱硫剤の加熱と、を適切に切り替えることができる。すなわち、燃料電池からの排熱を蓄熱装置に蓄熱しておくことで、必要に応じて、当該蓄熱された熱を利用して脱硫剤を迅速かつ適切に加熱することができる。
この構成によれば、非発電時加熱制御手段からの指令により、燃料電池が発電を開始する前に加熱手段により脱硫剤を加熱して、脱硫剤の温度を上昇させることができる。よって、改質装置が燃料ガスを改質して改質ガスを生成させるよりも前に、脱硫剤が高い脱硫性能を発揮し得る状態を早期に作り出すことができる。また、燃料電池が発電を停止して脱硫剤の温度が低下していた間に硫黄化合物が脱着していた場合であっても、加温状態の脱硫剤により、これを再吸着して除去することが容易となる。従って、燃料電池発電システムの運転開始時に、燃料ガス中の硫黄化合物が改質装置及び燃料電池に到達するのを極力抑制することができる。
この構成によれば、加熱制御手段と発電前加熱制御手段と起動制御手段とが協働することにより、燃料電池が発電を開始するよりも前に、脱硫剤を確実に加温状態とすることができる。よって、脱硫剤が常に高い脱硫性能を維持した状態で、燃料電池発電システムを作動させることができる。従って、改質装置及び燃料電池の状態を、長期に亘って確実に良好な状態に維持して、安定的に発電を行うことができる。
本実施形態に係る燃料電池発電システムSは、硫黄化合物を含有する燃料ガスPから硫黄化合物を除去するための脱硫装置Dと、脱硫装置Dによって脱硫処理された燃料ガスPを改質して、水素を主成分とする改質ガスRを生成させる改質器3と、改質器3から供給される改質ガスRを燃料として用いて発電する燃料電池6と、を備えている。このような構成において、本実施形態に係る燃料電池発電システムSは、脱硫装置Dが、燃料ガスPが通過可能に設けられた容器C内に、硫黄化合物を吸着する常温脱硫剤1a(以下単に脱硫剤という)を収容して備えると共に、前記燃料ガスPの露点が0℃以上のとき、容器C内の脱硫剤1aを50℃〜80℃の加温状態とするように加熱する加熱手段21を備えた点に特徴を有する。これにより、所定の寿命期間に亘って脱硫剤1aの交換を不要、もしくは限られた回数とすることが可能となっている。以下、本実施形態に係る燃料電池発電システムSの各部の構成について、詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る燃料電池発電システムSの全体構成について説明する。燃料電池発電システムSは、図1に示すように、脱硫装置Dと、水蒸気生成器2と、改質器3と、一酸化炭素変成器4と、一酸化炭素除去器5と、燃料電池6と、を主要な構成要素として備えている。
CH4+2H2O→CO2+4H2
次に、脱硫装置Dの構成について説明する。本実施形態に係る脱硫装置Dは、脱硫器1と加熱手段21とを備えている。脱硫器1は、硫黄化合物を含有する燃料ガスPから硫黄化合物を除去するための中心的な機能を果たしている。脱硫器1は容器C(図2を参照)を備えており、当該容器C内に、硫黄化合物を吸着する脱硫剤1aが収容されている。容器Cは、その内部に燃料ガスPが通過可能に設けられている。
脱硫剤1aとして、酸化銅−酸化マンガン系脱硫剤を用いた実施例を以下に示す。前記酸化銅−酸化マンガン系脱硫剤は、常温において硫黄化合物に対して優れた吸着性能を発揮する脱硫剤1aの一種である。
基材:
酸化銅(CuO) :20質量%
酸化マンガン(MnO):50質量%
嵩密度 :0.9kg/L
破壊強度 :60N以上
耐熱温度 :350℃
メタン :88.9%
エタン :6.8%
プロパン :3.1%
ブタン :1.2%
DMS :2.6%
t-ブチルメルカプタン:1.7%
脱硫剤1aとして、銅−ゼオライト系脱硫剤を用いた実施例を以下に示す。前記酸化銅−ゼオライト系脱硫剤は、常温において硫黄化合物に対して優れた吸着性能を発揮する脱硫剤1aの一種である。
東ソー製ゼオライトHSZ−320−NAA粉末にアルミナ粉末を加えて1.6mmΦに押出し成型してゼオライト基材を成型した。このゼオライト基材を硝酸銅水溶液に浸漬後、洗浄、乾燥しさらに、400℃で3時間焼成することにより、銅−ゼオライト系脱硫剤が得られた。
Cu: 5.5質量%
Ai:16.6質量%
Si:21.7質量%
次に、制御装置30の構成について説明する。燃料電池発電システムSが備える制御装置30は、図1に示すように、燃料電池発電システムSの各部の動作制御を行う中核部材としての機能を果たしており、脱硫制御部31とシステム制御部36との各機能部を備えて構成されている。本実施形態においては、脱硫制御部31は加熱制御部32を備え、システム制御部36は、発電前加熱制御部37と起動制御部38と停止後加熱制御部39とを備えている。また、制御装置30は、CPU等の演算処理装置を中核部材として備えるとともに、当該演算処理装置からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(ランダム・アクセス・メモリ)や、演算処理装置からデータを読み出し可能に構成されたROM(リード・オンリ・メモリ)等の記憶装置等を有して構成されている(不図示)。そして、ROM等に記憶されたソフトウェア(プログラム)又は別途設けられた演算回路等のハードウェア、或いはそれらの両方により、制御装置30の各機能部が構成される。各機能部は、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。
次に、本実施形態に係る制御装置30による燃料電池発電システムSの制御処理の内容について説明する。以下では、燃料電池発電システムSに備えられた燃料電池6が発電を開始する前の制御処理である起動制御処理と、燃料電池発電システムSに備えられた脱硫装置Dに対する制御処理である加熱制御処理と、に分けて説明する。以下に説明する起動制御処理及び加熱制御処理の手順は、制御装置30の各機能部により実行される。
まず、起動制御処理の処理手順について説明する。図4は、本実施形態に係る燃料電池発電システムSにおける起動制御処理の処理手順を示すフローチャートである。起動制御処理においては、燃料電池6に対する発電要求があった場合には(ステップ#01:Yes)、まず発電前加熱制御部37は、加熱手段21に脱硫剤1aを加熱させる(ステップ#02)。本実施形態では、発電前加熱制御部37は、排熱回収機構22の排熱回収回路27に備えられたポンプ25を作動させて貯湯タンク24に貯えられた高温の湯水を容器Cに供給し、湯水と脱硫剤1aとを熱交換させることにより脱硫剤1aを加熱する。次に、起動制御部38は、温度センサSe2により検出される脱硫剤1aの温度を取得する(ステップ#03)。起動制御部38は、取得された脱硫剤1aの温度に基づいて、脱硫剤1aが加温状態にあるか否かを判定する(ステップ#04)。
次に、加熱制御処理の処理手順について説明する。図5は、本実施形態に係る燃料電池発電システムSにおける加熱制御処理の処理手順を示すフローチャートである。加熱制御処理においては、まず加熱制御部32は、露点センサSe1により検出される燃料ガスPの露点を取得する(ステップ#20)。次に、加熱制御部32は、取得した露点に対応する目標脱硫温度を求めて設定する(ステップ#21)。そして温度センサSe2により検出される脱硫剤1aの温度に基づいて、燃料ガスPの加熱要否を判定する(ステップ#22)。脱硫剤1aの温度が前記目標脱硫温度より低い場合には、(ステップ#22:Yes)、加熱制御部32は、加熱手段21に脱硫剤1aを加熱させる(ステップ#23)。本実施形態では、加熱制御部32は、発電前加熱制御部37と同様、排熱回収機構22の排熱回収回路27に備えられたポンプ25を作動させることにより脱硫剤1aを加熱させる。一方、燃料ガスPが前記目標脱硫温度よりも高いと判定された場合には(ステップ#22:No)、加熱制御部32は、加熱手段21による脱硫剤1aの加熱を停止する(ステップ#24)。本実施形態では、加熱制御部32は、ポンプ25を停止させることにより脱硫剤1aの加熱を停止する。以上のステップ#21〜#24の処理は、燃料電池6による発電が行われている間(ステップ#25:No)、逐次繰り返して実行される。
(1)上記第一の実施形態においては、制御装置30が加熱制御部32を備え、当該加熱制御部32が、燃料ガスPの露点に応じて加熱手段21の動作を制御するように構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、上記第一の実施形態において、上記第二の実施形態と同様に、加熱手段21が燃料ガスPの露点とは無関係に常に脱硫剤1aを加温状態とするように加熱する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
3 改質器
6 燃料電池
21 加熱手段
22 排熱回収機構
32 加熱制御部
37 発電前加熱制御部
38 起動制御部
39 停止後加熱制御部
S 燃料電池発電システム
D 脱硫装置
C 容器
P 燃料ガス
R 改質ガス
Se1 露点センサ
Se2 温度センサ
Claims (5)
- 硫黄成分を含有する燃料ガスを、酸化銅−酸化マンガン系の常温脱硫剤を用いて脱硫する脱硫方法であって、前記脱硫剤に供給される燃料ガスの露点が0℃以上のとき、前記脱硫剤を50℃以上80℃以下に加熱する脱硫方法。
- 硫黄成分を含有する燃料ガスを、銅−ゼオライト系の常温脱硫剤を用いて脱硫する脱硫方法であって、前記脱硫剤に供給される燃料ガスの露点が−20℃以上のとき、前記脱硫剤を70℃以上150℃以下に加熱する脱硫方法。
- 硫黄化合物を含有する燃料ガスから硫黄化合物を除去するための脱硫装置と、
前記脱硫装置によって脱硫処理された燃料ガスを改質して、水素を主成分とする改質ガスを生成させる改質装置と、
前記改質装置から供給される改質ガスを燃料として用いて発電する燃料電池と、を備えた燃料電池発電システムであって、
前記脱硫装置は、前記燃料ガスが通過可能に設けられた容器の内部に、酸化銅−酸化マンガン系の脱硫剤を充填してあると共に、
前記燃料ガスの露点が0℃以上のとき、前記容器内の前記脱硫剤を50℃〜80℃の加温状態に加熱する加熱手段を備えた燃料電池発電システム。 - 前記容器の上流側に設けられ、前記容器に流入する燃料ガスの露点を検出する露点センサと、
前記露点センサにより検出される露点に応じて前記加熱手段の動作を制御する加熱制御部と、
を更に備えた請求項3に記載の燃料電池発電システム。 - 前記加熱手段が、前記燃料電池から排出される排熱を熱源として前記脱硫剤を加熱可能に構成された請求項3または4に記載の燃料電池発電システム。
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