JP5576123B2 - 細孔分子篩の調製 - Google Patents

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Description

本出願は、2006年12月27日出願の仮出願第60/882,056号の米国特許法第119条に基づく利益を主張するものである。
本発明は、(SSZ−13及びSSZ−39と呼ばれる分子篩を含む)CHA又はAEIトポロジーを有する分子篩などの細孔を有する結晶性分子篩を反応混合物から製造するための方法に関する。
分子篩は、商業的に重要な結晶材料類である。それらは、明確なX線回折パターンによって証明される規則的な孔構造を有する明確な結晶構造を有する。結晶構造は、異なる種に特徴的である穴及び孔を規定する。
構造コードCHAを有するものとして国際ゼオライト協会(IZA)によって特定された分子篩が知られている。例えば、SSZ−13として知られる分子篩は、既知の結晶CHA材料である。それは、その全体が参照により本明細書中に組み込まれている、1985年10月1日にZonesに対して発行された米国特許第4,544,538号に開示されている。米国特許第4,544,538号では、SSZ−13分子篩が、有機鋳型としても知られる構造誘導剤(「SDA」)として機能するN,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムカチオンの存在下で調製される。
IZA構造コードAEIを有する分子篩も知られており、SSZ−39として知られるゼオライトが一例である。ゼオライトSSZ−39は、その全体が参照により本明細書中に組み込まれている、1999年9月28日にZonesらに対して発行された米国特許第5,958,370号に開示されている。
1996年9月24日にMillerに対して発行された米国特許第5,558,851号には、結晶アルミノ珪酸ゼオライトを、要望に応じて反応混合物を成形できるように十分な水のみを含有する反応混合物から調製するための方法が開示されている。該方法において、反応混合物は、結晶化条件で、且つ外部液体相の不存在下で加熱されるため、結晶を乾燥させる前に余剰の液体を結晶化材料から除去する必要がない。米国特許第5,558,851号は、その全体が参照により本明細書中に組み込まれている。
結晶性細孔分子篩を調製するための方法であって、
a.(1)四価元素又は四価元素の混合物の酸化物の少なくとも1つの活性供給源、(2)任意に三価元素又は三価元素の混合物の酸化物の少なくとも1つの活性供給源、(3)アルカリ金属の少なくとも1つの活性供給源、(4)細孔分子篩を形成することが可能な種結晶、(5)細孔分子篩を形成することが可能な構造誘導剤、及び(6)細孔分子篩の結晶化をもたらし、維持するのに必要な量を実質的に超えない量の水を含む反応混合物を調製する工程と、
b.前記反応混合物を結晶化条件で、細孔分子篩の結晶を含む結晶化材料を形成するのに十分な時間にわたって加熱する工程であって、結晶化中の前記反応混合物は、(1)に対して約1から約5のモル比までの水を有する工程とを含む、上記方法が提供される。
また、成形結晶性細孔分子篩を調製するための方法であって、
a.(1)四価元素又は四価元素の混合物の酸化物の少なくとも1つの活性供給源、(2)任意に三価元素又は三価元素の混合物の酸化物の少なくとも1つの活性供給源、(3)アルカリ金属の少なくとも1つの活性供給源、(4)細孔分子篩を形成することが可能な種結晶、(5)細孔分子篩を形成することが可能な構造誘導剤、及び(6)細孔分子篩の結晶化をもたらし、維持するのに必要な量を実質的に超えない量の水を含む反応混合物を調製する工程と、
b.前記反応混合物を成形粒子に成形する工程と、
c.前記反応混合物を結晶化条件で、細孔分子篩の結晶を含む結晶化材料を形成するのに十分な時間にわたって加熱する工程であって、結晶化中の前記反応混合物は、(1)に対して約1から約5のモル比までの水を有する工程とを含む、上記方法が提供される。
また、
a.(1)四価元素又は四価元素の混合物の酸化物の少なくとも1つの活性供給源、(2)任意に三価元素又は三価元素の混合物の酸化物の少なくとも1つの活性供給源、(3)アルカリ金属の少なくとも1つの活性供給源、(4)細孔分子篩を形成することが可能な種結晶、(5)細孔分子篩を形成することが可能な構造誘導剤、及び(6)細孔分子篩の結晶化をもたらし、維持するのに必要な量を実質的に超えない量の水を含む反応混合物を調製する工程と、
b.前記反応混合物を結晶化条件で、細孔分子篩の結晶を含む結晶化材料を形成するのに十分な時間にわたって加熱する工程であって、結晶化中の前記反応混合物は、(1)に対して約1から約5のモル比までの水を有する工程とを含む方法によって作製された細孔分子篩が提供される。
本発明は、細孔分子篩を調製する方法に関する。本明細書に用いられているように、「細孔分子篩」という用語は、孔径が5オングストローム未満の分子篩を指す。当該細孔分子篩の例としては、IZA構造コードCHA及びAEIを有するものなどの、孔が8員環(「8MR」)を有するものが挙げられる。当該分子篩の具体例としては、SSZ−13及びSSZ−39として知られるものが挙げられる。細孔分子篩は、分子篩骨格において、200以上のモル比を包含する、(2)三価酸化物又は三価酸化物の混合物(例えば、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ガリウム、酸化鉄又はそれらの混合物)に対する(1)四価酸化物又は四価酸化物の混合物(例えば、酸化珪素、酸化ゲルマニウム又はそれらの混合物)の12を超えるモル比有することができる。簡略にするために、200以上のモル比を包含する、酸化物(2)に対する酸化物(1)の12を超えるモル比を有するこれらの分子篩は、本明細書において、「高シリカ」分子篩と称する。
細孔分子篩がそこから及びそこで結晶化する反応混合物は、(1)四価酸化物又は四価酸化物の混合物(例えば、酸化珪素、酸化ゲルマニウム又はそれらの混合物)及び(2)少なくとも1つの三価酸化物又は三価酸化物の混合物(例えば、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ガリウム、酸化鉄又はそれらの混合物)の少なくとも1つの活性供給源、(3)アルカリ金属の少なくとも1つの活性供給源、(4)細孔分子篩を形成することが可能な構造誘導剤(「SDA」)、(5)細孔分子篩を形成することが可能な種結晶、及び(6)細孔分子篩の結晶化をもたらし、維持するのに必要な量を実質的に超えない量の水を含む。本明細書に用いられているように、「結晶化をもたらし、維持するのに必要な量を実質的に超えない」という用語は、必要な最小限の水の量が、分子篩の結晶化をもたらし、維持する量であることを意味する。この水の量は、分子篩を調製するための従来の方法に必要とされる量よりはるかに少ない。(特に、反応混合物を十分に混合及び/又は混練させることが必要な場合に)この最小限の量をわずかに超える量を採用することができるが、反応混合物に採用される水の量は、反応混合物が溶液又は流動ゲルになるほど多くすべきではない。
細孔分子篩を形成することが可能な構造誘導剤(「SDA」)としては、例えば、3−エチル−1,3,8,8−テトラメチル−3−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンカチオン、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、N,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムカチオン、ヘキサメチレン−1,6−ビス−(N−メチル−’N−ピロリジニウム)ジカチオン、N,N,N−トリメチル−2−アダマンタンアンモニウムカチオン、4−メチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−、5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリニウムカチオン及びN,N−ジエチルデカヒドロキノリニウムカチオンが挙げられる。
本発明の反応混合物に必要とされる量の液体は、該液体が水性液体及び有機液体(例えばSDA)を含むことができる場合には、混合物を十分に混合するのに必要な量である。したがって、例えば、重ペースト状軟質物の形、又は粉末若しくは顆粒の形であり得る均一の塊を形成するように、水と高シリカ細孔分子篩の活性供給源とを混合することによって反応混合物を調製する。活性供給源は、均一の塊に容易に混入させることができ、例えば、粉末、水和粒子、又は高濃度水溶液であってもよい形になる。反応混合物の混合及び/又は混練時にすべての出発材料粉末を湿潤させるために十分な水を添加する。或いは、出発材料粉末を均一且つ全体的に均質な自己支持混合物に混練できる十分な水を添加する。活性供給源に添加された水は、流体状混合物を構成するのに不十分であるため、活性供給源のすべてが混練時に水に容易に溶解可能である必要はない。水の添加量は、混合装置及び採用される活性供給源に依存する。当業者は、不必要な実験を行わなくても、分子篩の活性供給源を適正に混合するのに必要とされる液体の量を容易に決定することができる。例えば、分子篩の水和供給源は、比較的少量の水を必要とし、乾燥供給源は、比較的多くの水を必要とし得る。混合物が均一、均質の外観を有するまで、混合物を混合及び/又は混練することが好ましいが、本発明では、混合物を混練するのに費やされる時間の長さは重要でない。
混合及び/又は混練後の反応混合物の水分含有量を、例えば、反応混合物が所望の粘稠度を有するように乾燥するか、又は水を添加することによってさらに調整することができる。
いくつかの実施形態において、細孔分子篩を調製するのに使用される反応混合物を調製する上で、結晶化工程のために調製される反応混合物中に存在する水の量が、分子篩の結晶化をもたらし、維持するのに十分であるが、水が、反応混合物の外部に液体相を形成する、又は反応混合物を溶液若しくは流動ゲルに変化させるほど多くないことが重要である。従来、反応混合物は、顆粒、粉末又は自己支持塊の形をとることになる。反応混合物を結晶化条件に曝す前に成形粒子に成形することは、必要条件でないが、多くの場合にそれが所望され得る。この場合、本発明の反応混合物に使用される水の量は、分子篩を調製するための従来の方法に必要とされる水の量より少ない。したがって、本発明による結晶化工程を通じて、例えば、結晶を乾燥させる前に濾過又はデカントすることによって、結晶化工程の終了時に結晶化材料から除去しなければならない個別の液体相が存在しない。また、反応混合物中に存在する水の量は、反応混合物を崩壊又は「溶融」させるのに不十分である。即ち、反応混合物が形成されると(必要とされ得る液体含有量の任意の調整を含む)、得られた塊は、自己支持塊になる。本明細書に用いられているように、「自己支持」という用語(又はその任意の同等物)は、自重で崩壊又は「溶融」しない反応混合物を指すことに留意することが重要である。この用語は、反応混合物が、各顆粒が自己支持顆粒である個々の顆粒、又は粉末における各粒子が自己支持粒子である粉末を含む場合を含む。
反応混合物の固体含有量は、所望の細孔分子篩の特定の組成物に依存することになる。200以上の(1)四価酸化物(例えば、酸化珪素、酸化ゲルマニウム又はそれらの混合物)と(2)三価酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ガリウム、酸化鉄又はそれらの混合物)のモル比を有する分子篩を含む12を超える当該モル比を有する分子篩を含めて、四価酸化物と三価酸化物のモル比が非常に高い分子篩が該方法の範囲内に含まれる。基本的に三価酸化物を含まない細孔分子篩(アルミニウムを含まない分子篩など)も含まれる。この場合、分子篩における酸化物は、基本的にすべて四価酸化物(例えば、すべて酸化珪素)である。特に商業的なシリカ供給源が使用されるときは、ほぼ常にアルミニウムが多少存在する。したがって、「アルミニウムを含まない」とは、アルミニウムを、例えば、アルミナ又はアルミン酸塩試薬として意図的に反応混合物に添加しないこと、及びアルミニウムが試薬における汚染物質にすぎない程度に存在することを意味する。
典型的な酸化珪素(SiO)の供給源としては、珪酸塩、シリカヒドロゲル、珪酸、コロイダルシリカ、溶融シリカ、オルト珪酸テトラアルキルシリカ水酸化物、沈降シリカ及び粘土が挙げられる。反応混合物に使用されるときの典型的な酸化アルミニウム(Al)供給源としては、アルミン酸塩、アルミナ、並びにAlCl、Al(SO、水酸化アルミニウム(Al(OH))、カオリン粘土及びゼオライトなどのアルミニウム化合物が挙げられる。ゲルマニウム、ホウ素、ガリウム及び鉄を、それらのアルミニウム及び珪素対応物に対応する形で添加することができる。塩、特に、塩化ナトリウムなどのハロゲン化アルカリ金属を反応混合物中に添加するか、又は形成することができる。それらは、格子におけるシリカ閉塞を防止しながら分子篩の結晶化を助けるものとして文献に開示されている。
反応混合物は、酸化アルカリ金属の1つ又は複数の活性供給源をも含む。リチウム、ナトリウム及びカリウムの供給源が従来採用され、ナトリウムが典型的なアルカリ金属である。結晶化プロセスに有害でない任意のアルカリ金属化合物が好適である。非限定的な例としては、酸化、水酸化、硝酸、硫酸、ハロゲン化、シュウ酸、クエン酸及び酢酸アルカリ金属が挙げられる。
本発明の一実施形態において、反応混合物の粘稠度に応じて、反応混合物を結晶化工程(本明細書において以降「予備成形工程」と称する)の前に所望の自己支持形状に成形することによって、調製された分子篩を混合物に含む触媒材料を調製するのに必要な処理工程の数を減少させることが可能であり得る。反応混合物を形成する前にその形状を保持する形成可能な塊を提供するために、乾燥させるか、又はさらなる液体を添加することによって、反応混合物の液体含有量を変化させることが必要であり得る。概して、たいていの成形法では、水は、一般には、反応混合物の約20重量パーセントから約60重量パーセント、好ましくは約30重量パーセントから約50重量パーセントを含む。
予備成形工程において、反応混合物を成形粒子に成形することができる。粒子を調製するための方法は、当該技術分野で良く知られており、例えば、押出、噴霧乾燥、造粒及び凝集化などを含む。粒子は、好ましくは、究極的な触媒にとって所望の粒径及び形状であり、例えば、押出物、球体、顆粒、凝集物及びプリルの形であってもよい。粒子は、一般には、約0.396875ミリメートル(1/64インチから約12.7ミリメートル(1/2インチ、好ましくは約0.79375ミリメートル(1/32インチから約6.35ミリメートル(1/4インチの断面直径を有することになる。即ち、粒子は、0.396875ミリメートル(1/64インチ、好ましくは0.79375ミリメートル(1/32インチのスクリーン上に保持される粒径を有することになり、12.7ミリメートル(1/2インチ、好ましくは6.35ミリメートル(1/4インチのスクリーンを通過することになる。
一実施形態において、反応混合物から調製される成形粒子は、所望の形状を保持する十分な水を含有することになる。成形粒子内で結晶化を開始又は維持するために、さらなる水は混合物に必要とされない。実際、結晶化前に成形粒子から余剰の水の一部を除去することが好ましいこともある。湿った固体を乾燥させるための慣例の方法を用いて、成形粒子を乾燥させることができ、該方法は、例えば、約200℃未満の温度及び大気圧未満の圧力から5気圧の圧力にて、空気又は窒素若しくはヘリウムなどの不活性ガス中で乾燥させることを含むことができる。
天然の粘土、例えば、ベントナイト、カオリン、モンモリロナイト、セピオライト及びアタパルジャイトを必要としないが、良好な粉砕強度を有する粒子を提供するために、結晶化の前に成形粒子に含めてもよい。当該粘土を採掘されたままの生の状態で使用することができ、又は最初に焼成、酸処理又は化学的改質を施すことができる。微結晶セルロースは、また、粒子の物理特性を向上させることが見いだされている。
この方法によれば、細孔分子篩は、反応混合物内、又は反応混合物から作製された成形粒子内で結晶化される。いずれの場合も、分子篩が結晶化される混合物の組成は、以下のモル組成範囲を有する。
Figure 0005576123

式中、Yは、珪素、ゲルマニウム又はその両方であり、Wは、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、鉄又はそれらの混合物であり、M+は、アルカリ金属イオン、好ましくはナトリウムであり、Rは、細孔分子篩を形成することが可能なSDAである。
上述のように、(成形粒子の形で存在することができる)反応混合物に存在する液体は、存在する水の量が細孔分子篩の結晶化をもたらし、維持するのに十分であり、同時に反応混合物の自己支持を任意に維持する限り、水性液体と有機液体の組合せであってもよい。全液体含有量は、例えば、反応混合物から作製されたあらゆる成形粒子の物理的強度に影響を与え得るため、結晶化中の反応混合物の全揮発物含有量は、約20%から約60%(w/w)の範囲内、好ましくは約30%から約60%(w/w)であり、全揮発物含有量は、反応混合物における水を含む全揮発性液体の測度であることが好ましい。細孔分子篩の結晶化をもたらし、維持するのに必要なものを超えたさらなる液体を、反応混合物内での細孔分子篩の結晶化に必要としないことがこの方法の特徴である。
一実施形態において、分子篩の結晶化は、外部液体相の不存在下、即ち反応混合物とは別の液体相の不存在下で生じる。概して、いくらかの液体の水が、結晶化中に反応混合物又は成形粒子と接触して存在していても、この方法にとって有害でなく、いくらかの水が、結晶化中に、ビーズの形などで、反応混合物の表面上に現われ得ることが予測できる。しかし、本発明の目的は、結晶化後に処理及び/又は廃棄しなければならない水の量を最小限にするようにして高シリカ細孔分子篩を結晶化する方法を提供することである。そのために、この方法は、細孔分子篩の結晶化をもたらし、維持すると同時に、任意に反応混合物の自己支持を維持するのに必要とされる十分な水の量を超えるさらなる水を結晶化に必要としない細孔分子篩の合成方法を提供する。実際、特定の条件下で、結晶化中に存在する液体の水は、反応混合物又は成形粒子の形を変えることができ、極端な場合には、反応混合物又は成形粒子にそれらの保全性を失わせるか、又は溶解させることができる。
結晶化は高温で実施され、通常は、細孔分子篩結晶が形成されるまで反応混合物が自己圧力に曝されるようにオートクレーブ中で実施される。熱水結晶化工程中の温度は、典型的には、約140℃から約200℃に維持される。
細孔分子篩の結晶化は、従来の結晶化方法に比べてしばしば加速されることがこの方法の重要な特徴である。したがって、結晶を形成するのに必要な結晶化時間は、典型的には、約1時間から約10日、より頻繁には約3時間から約4日の範囲である。
細孔分子篩は、非晶質の非結晶性試薬を含む反応混合物内で結晶化される。細孔分子篩を形成することが可能な分子篩の結晶(即ち「種」結晶)は、結晶化工程前に混合物に添加され、「種」結晶を添加することによって分子篩の結晶化を強化するための方法は、良く知られている。従来、種結晶は、所望の細孔分子篩の結晶(それが所望の分子篩であるときはSSZ−13の結晶など)である。種結晶は、反応混合物における(活性シリカ供給源の量から計算された)酸化珪素の重量の約1から約10重量%の量で採用される。
分子篩結晶が形成されると、結晶を水洗し、次いで、例えば90℃から150℃で約8から24時間乾燥させることができる。乾燥工程を大気圧力又は大気圧未満の圧力で実施することができる。
細孔分子篩を触媒(メタノールをエチレン及びプロピレンなどの軽質オレフィンに変換するための触媒など)、離隔(COをメタンから分離するための混合マトリックス膜などにおける離隔)及び環境用途(CO及び軽質炭化水素の吸収など)に使用できる。成形粒子が、先述の反応混合物から形成されるときは、細孔分子篩が使用される用途に望ましい粒径及び形状であってもよい。或いは、噴霧乾燥及び押出などの技術を用いて、温度及び他の条件に抵抗性を有する他の材料で細孔分子篩を構成することができる。
以下の実施例は、SSZ−13として知られる分子篩に関して本発明を例示する。しかし、CHA又はAEIトポロジーを有するものを含む他の細孔分子篩を同様にして作製することができる。以下の実施例は、本発明を実証するが、限定しない。
(実施例1)
20グラムのHi−Sil233(酸化珪素の供給源)を好適な容器に入れた。Reheis F−2000アルミナ(1.7グラム)を5グラムの50%NaOH水溶液に溶解させ、次いで容器内のHi−Sil233に添加した。得られた混合物を十分に混合する。得られた混合物に対して、1グラムのSSZ−13種結晶を添加し、混合物を5分間にわたって再び十分に混合した。23.3グラムの水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムの2.36ミリモル/グラム溶液を混合物に混合しながら徐々に添加した。8グラムのD.I.水を徐々に添加し、得られた混合物を1時間にわたって十分に混合した。得られた混合物は、揮発物含有量が59.6%のわずかに湿った顆粒の形であった。
合成混合物のモル組成は、以下の通りであった。
SiO/AL 35
Na/SiO 0.21
R/SiO 0.18
OH/SiO 0.39
O/SiO 4.8
得られた反応混合物を2つの部分(A部及びB部)に分割し、各部分を個別の88.9ミリメートル(3.5インチのパイプオートクレーブに入れ、160℃で2日間(A部)及び4日間(B部)にわたって結晶化させた。
生成物をpH12.5の水で2回洗浄し、次いで純粋なD.I.水で1回洗浄した。生成物を濾過し、120℃の真空炉で終夜乾燥させ、次いで1100°Fで6時間焼成した。
得られた生成物は、SSZ−13であった。
(実施例2)
20グラムのHi−Sil233(酸化珪素の供給源)を好適な容器に入れた。Reheis F−2000アルミナ(1.7グラム)を7.9グラムの50%NaOH水溶液に溶解させ、次いで容器内のHi−Sil233に添加した。得られた混合物を十分に混合する。得られた混合物に対して、1グラムのSSZ−13種結晶を添加し、混合物を5分間にわたって再び十分に混合した。23.3グラムの水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムの2.36ミリモル/グラム溶液を混合物に混合しながら徐々に添加した。8グラムのD.I.水を徐々に添加し、得られた混合物を1時間にわたって十分に混合した。得られた混合物は、揮発物含有量が61%のわずかに湿った顆粒の形であった。
合成混合物のモル組成は、以下の通りであった。
SiO/Al 35
Na/SiO 0.33
R/SiO 0.18
OH/SiO 0.51
O/SiO 5.2
得られた反応混合物を88.9ミリメートル(3.5インチのパイプオートクレーブに入れ、170℃で2日間にわたって結晶化させた。
生成物をpH11の水で2回洗浄し、次いで純粋なD.I.水で1回洗浄した。生成物を濾過し、120℃の真空炉で終夜乾燥させ、次いで1100°Fで6時間焼成した。
得られた生成物は、SSZ−13であった。
(実施例3)
20グラムのHi−Sil233(酸化珪素の供給源)を好適な容器に入れた。1.2グラムのBarcroft250アルミナ(52%Al2O3)を7.9グラムの50%NaOH水溶液に溶解させ、次いで容器内のHi−Sil233に添加した。得られた混合物を十分に混合する。得られた混合物に対して、1グラムのSSZ−13種結晶を添加し、混合物を5分間にわたって再び十分に混合した。23.3グラムの水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムの2.36ミリモル/グラム溶液を混合物に混合しながら徐々に添加した。6グラムのD.I.水を徐々に添加し、得られた混合物を1時間にわたって十分に混合した。得られた混合物は、揮発物含有量が60%のわずかに湿った顆粒の形であった。
合成混合物のモル組成は、以下の通りであった。
SiO/Al 50
Na/SiO 0.33
R/SiO 0.18
OH/SiO 0.51
O/SiO 5.0
得られた反応混合物を88.9ミリメートル(3.5インチのパイプオートクレーブに入れ、170℃で2日間にわたって結晶化させた。
生成物をpH11の水で2回洗浄し、次いで純粋なD.I.水で1回洗浄した。生成物を濾過し、120℃の真空炉で終夜乾燥させ、次いで1100°Fで6時間焼成した。
得られた生成物は、SSZ−13であった。
本明細書及び添付の請求項の目的に応じて、他に指定する場合を除いて、量、百分率又は割合を表すすべての数字、及び本明細書及び請求項に用いられている他の数値は、「約」という用語によっていずれの場合も変更されるものと理解されるべきである。また、本明細書に開示されているすべての範囲は、終点を包括し、独立に組合せ可能である。
本出願に引用されている文献、特許及び特許出願は、いずれも、各々の個々の文献、特許出願又は特許の開示内容が、その全体が参照により組み込まれていることが具体的且つ個々に示されているかの如く同程度にそれらの全体が参照により本明細書中に組み込まれている。
本書には、最良の形態を含む本発明を開示するとともに、当業者が本発明を実施・利用することを可能にするための実施例が用いられている。以上に開示された本発明の代表的な実施形態の多くの修正を、当業者は容易に思いつくであろう。よって、本発明は、添付の請求項の範囲内にあるすべての構造及び方法を含むものと見なされるべきである。

Claims (17)

  1. 結晶性細孔分子篩を調製するための方法であって、
    a.アルミナを活性アルカリ金属供給源を含む水溶液に溶解する工程、及び前記溶液を(1)四価元素又は四価元素の混合物の酸化物の少なくとも1つの活性供給源、(2)細孔分子篩を形成することが可能な種結晶、(3)細孔分子篩を形成することが可能な構造誘導剤、及び(4)前記(1)少なくとも1つの活性供給源に対して1から5までのモル比の水と組み合わせる工程を含む、反応混合物を調製する工程と、
    b.前記反応混合物を結晶化条件で、細孔分子篩の結晶を含む結晶化材料を形成するのに十分な時間にわたって加熱する工程であって、結晶化中の前記反応混合物は、前記(1)少なくとも1つの活性供給源に対して1から5までのモル比の水を有する工程とを含む、上記方法。
  2. 結晶化中の前記反応混合物が、前記(1)少なくとも1つの活性供給源に対して5のモル比の水を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 結晶化条件における前記反応混合物の加熱が、外部液体相の不存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
  4. 細孔分子篩における酸化アルミニウムに対する四価酸化物のモル比が、12を超える、請求項1に記載の方法。
  5. 細孔分子篩における酸化アルミニウムに対する四価酸化物のモル比が、200以上である、請求項3に記載の方法。
  6. 細孔分子篩の孔径が、5オングストローム未満である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記反応混合物が、以下のモル組成範囲を有する、請求項1に記載の方法
    YO/W 20〜∞
    /YO 0.1〜0.4
    R/YO 0.001〜0.4
    OH/YO 0.2〜0.6
    O/YO 1〜5
    (式中、Yは、珪素、ゲルマニウム又はそれらの混合物であり、Wは、アルミニウムであり、Mは、アルカリ金属イオンであり、Rは、細孔分子篩を形成することが可能な構造誘導剤である)。
  8. 成形結晶性細孔分子篩を調製するための方法であって、
    a.アルミナを活性アルカリ金属供給源を含む水溶液に溶解する工程、及び前記溶液を(1)四価元素又は四価元素の混合物の酸化物の少なくとも1つの活性供給源、(2)細孔分子篩を形成することが可能な種結晶、(3)細孔分子篩を形成することが可能な構造誘導剤、及び(4)前記(1)少なくとも1つの活性供給源に対して1から5までのモル比の水と組み合わせる工程を含む、反応混合物を調製する工程と、
    b.前記反応混合物を成形粒子に成形する工程と、
    c.前記反応混合物を結晶化条件及び外部液体相の不存在下で、細孔分子篩の結晶を含む結晶化材料を形成するのに十分な時間にわたって加熱する工程であって、結晶化中の成形粒子は、前記(1)少なくとも1つの活性供給源に対して1から5までのモル比の水を有する工程とを含む、上記方法。
  9. 結晶化中の前記成形粒子が、前記(1)少なくとも1つの活性供給源に対して5のモル比の水を有する、請求項8に記載の方法。
  10. 結晶化条件における前記反応混合物の加熱が、外部液体相の不存在下で行われる、請求項8に記載の方法。
  11. 細孔分子篩における酸化アルミニウムに対する四価酸化物のモル比が、12を超える、請求項8に記載の方法。
  12. 細孔分子篩における酸化アルミニウムに対する四価酸化物のモル比が、200以上である、請求項11に記載の方法。
  13. 細孔分子篩の孔径が、5オングストローム未満である、請求項8に記載の方法。
  14. 前記反応混合物が、以下のモル組成範囲を有する、請求項8に記載の方法
    YO/W 20〜∞
    /YO 0.1〜0.4
    R/YO 0.001〜0.4
    OH/YO 0.2〜0.6
    O/YO 1〜5
    (式中、Yは、珪素、ゲルマニウム又はそれらの混合物であり、Wは、アルミニウムであり、Mは、アルカリ金属イオンであり、Rは、細孔分子篩を形成することが可能な構造誘導剤である)。
  15. 細孔分子篩が、8員環を有する孔を有する、請求項に記載の方法
  16. 細孔分子篩が、IZA構造コードCHA又はAEIを有する、請求項15に記載の方法
  17. 前記構造誘導剤が、3−エチル−1,3,8,8−テトラメチル−3−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンカチオン、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、N,N,N−トリメチル−1−アダマントアンモニウムカチオン、ヘキサメチレン−1,6−ビス−(N−メチル−’N−ピロリジニウム)ジカチオン、N,N,N−トリメチル−2−アダマンタンアンモニウムカチオン、4−メチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリニウムカチオン、N,N−ジエチルデカヒドロキノリニウムカチオン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項に記載の方法
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