以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1〜図3等に示すように、容器としての収納ケース1は、第1構成部としての第1ケース体2と、第2構成部としての第2ケース体3とを備えている。また、図3、図6に示すように、第1ケース体2と第2ケース体3とは、可撓性を有する薄膜状のヒンジ部4を介して開閉可能に連結されており、これらがポリプロピレンによって一体的に形成されている。本実施形態では、第1ケース体2及び第2ケース体3は、ともに底の浅い箱状をなしており、収納ケース1を閉状態とすると、第1ケース体2と第2ケース体3との間に物品を収容可能な閉塞された収容空間が形成されることとなる。尚、詳しくは後述するが、収納ケース1は、その閉状態を維持するためのロック構造を備えている。
図3、図4等に示すように、第1ケース体2は、略矩形板状の第1ベース部11と、第1ベース部11の周縁部から第1ベース部11と直交する方向に延出する第1周壁部12とを備えている。また、第1ケース体2には、収納ケース1の閉状態において第2ケース体3側に凸となる係合部13が形成されている。係合部13は、第1ベース部11の内面から突出する土台部14と、土台部14の先端部からヒンジ部4側に突出する引っ掛け部15と、引っ掛け部15の両側縁部と第1ベース部11及び土台部14との間を連結する縁壁部16とを備えている。
第2ケース体3は、略矩形板状の第2ベース部21と、第2ベース部21の周縁部から第2ベース部21と直交する方向に延出する第2周壁部22とを備えている。本実施形態では、第1ケース体2及び第2ケース体3の一辺部において周壁部12、22の先端縁同士がヒンジ部4で連結され、収納ケース1の閉状態においては、両ケース体2、3の周壁部12、22の先端縁同士が当接するように構成されている。以下、第2ケース体3のうち、ヒンジ部4によって第1ケース体2と連結されている側の辺部を「連結辺部23」と称し、連結辺部23とは反対側の辺部であって、収納ケース1を開状態とするときに開放される側の辺部を「開放辺部24」と称し、連結辺部23及び開放辺部24の一端部同士又は他端部同士を連結する辺部を「側辺部25」と称する。
第2ベース部21には、収納ケース1の閉状態において第1ケース体2側(収納ケース1の内側)に凹となる収容凹部26が形成されている。また、詳しくは後述するが、収容凹部26の内側には、収納ケース1のロック状態を解徐する際に操作される第3構成部としてのハンドル7が回動変位可能に設けられている。尚、収容凹部26は第2ケース体3の外面側に開放されているため、収納ケース1が閉状態にあっても、第2ケース体3の外面側からハンドル7を操作可能である。
収容凹部26の開口部は、連結辺部23及び開放辺部24の長手方向と平行して延びる2辺と、側辺部25の長手方向と平行して延びる2辺とによって画定された略長方形状をなしている。また、図4、図6等に示すように、収容凹部26には、収容凹部26の底壁部27のうち開放辺部24側の半分が切り欠かれるようにして底孔28が形成されている。換言すれば、収容凹部26のうち連結辺部23側の半分の領域にのみ底壁部27が設けられている。
さらに、図7等に示すように、収容凹部26の内側には、底壁部27の底孔28側の端縁から収容凹部26の開口部側(図7では上方)に向けて延出する立壁29と、立壁29の先端縁から底孔28の内周側かつ収容凹部26の開口部側に向けて斜めに延出する弾性変形可能な弾性片31とが設けられている。
弾性片31は、開放辺部24の長手方向において互いに距離を隔てて立壁29の先端縁から延出する一対の可撓部32と、当該一対の可撓部32の先端部間を連結する連結部33とを備え、平面視略コ字状に構成されている。また、立壁29は、一対の可撓部32の間に対応する部位(幅方向中央部)には形成されていない。このため、弾性片31の内周側には、底壁部27との間に開口部(以下、挿通開口部34と称する)が形成されている。さらに、底壁部27には、底孔28側の端縁のうち、一対の可撓部32間の立壁29が設けられていない部位を連結辺部23側に所定長切り欠くようにして許容凹部35が形成されている。これにより、許容凹部35が形成されない場合に比べ、第2ケース体3の側辺部25の長手方向における挿通開口部34の形成幅が大きくなっている。
また、収容凹部26は、第2ケース体3の中央部よりも開放辺部24側に寄った位置に形成されているが、第2周壁部22(開放辺部24)との間には、第2ベース部21が存在するようになっている。さらに、収容凹部26の側壁部(第2ベース部21の収容凹部26の開口部周縁から底壁部27側に延出する壁部)は、連結辺部23側及び側辺部25側には形成されているものの、開放辺部24側、すなわち、弾性片31の延出方向側には形成されていない。このため、ハンドル7を装着していない状態で、収容凹部26の内側から開放辺部24側を覗けば、第2周壁部22の内面や第2ベース部21の内面を視認可能となっている。また、少なくともハンドル7の装着前の状態においては、弾性片31の先端部と、収容凹部26の開口部周縁との間に隙間が形成されるようになっており(弾性片31が収容凹部26の開口部の内周側に位置しており)、第2ケース体3の厚み方向において弾性片31と第2ベース部21とが重ならないように構成されている。
図7に示すように、弾性片31の両側方においては、ハンドル7を軸支するための軸受部36が設けられている。各軸受部36は、収容凹部26の側壁部から収容凹部26の内周側に突設された外支持部37と、外支持部37から収容凹部26の内周側に突設された内支持部38とを備えている。外支持部37は、収納ケース1の閉状態時において第1ケース体2側(図7では下方)に臨む軸受面を有している。一方、内支持部38は、外支持部37の軸受面とは反対に、収容凹部26の開口部側(図7では上方)に臨む軸受面を有している。本実施形態では、外支持部37の軸受面は、断面略U字状をなし、内支持部38の軸受面は、その断面が例えば120度程度開いた略V字状をなすとともに、屈曲部が湾曲形成されている。そして、軸受部36を側方から(ハンドル7の軸線方向から)見ると、外支持部37の軸受面と内支持部38の軸受面とによって略環状の軸受面が形成されているように視認される。尚、軸受部36は、立壁29と連結されて、強度の向上が図られている。
図4、図7、図8等に示すように、ハンドル7は、略矩形板状の本体部41と、第2ケース体3の軸受部36に軸支される軸部42と、収納ケース1の閉状態において第1ケース体2の係合部13と係合可能な被係合部としてのフック部43とを備えており、これらがポリプロピレンによって一体的に形成されている。
本体部41は、軸部42が軸受部36に軸支される(ハンドル7が第2ケース体3に装着される)ことで、収容凹部26の開口部の底孔28側の半分を閉塞するようにして収容凹部26の内側に配置される。尚、ハンドル7と収容凹部26の連結辺部23側の側壁部との間には、作業者が収容凹部26の内側に手を挿入して本体部41の裏面側に手を掛けることのできる操作スペース44が形成されている。また、本体部41には、開放辺部24側の端縁から延出する位置決め部46が設けられている。図4等に示すように、位置決め部46は、ハンドル7が第2ケース体3に装着されることで、収容凹部26のうち側壁部が形成されていない部位を介して第2ベース部21の内面と対向するように配置される。さらに、位置決め部46は本体部41の表面よりも一段低く形成されており、位置決め部46と第2ベース部21の内面とが当接した状態において、本体部41の表面と第2ベース部21の外面とが略面一となるように構成されている。
図8等に示すように、軸部42は、第2ケース体3の側辺部25に沿って延びる本体部41の各短辺部に沿って本体部41の裏面から本体部41と直交する方向に延出し、互いに対向するようにして配置された一対の台板部51と、各台板部51の本体部41外周側の面からそれぞれ突出する略円柱状の突部52とを備えている。
台板部51は、略三角板状をなしており、その頂部は軸部42の外周形状に合わせて湾曲形成されているとともに、当該頂部の湾曲形状に外周面を沿わせるようにして、軸部42が台板部51から突出形成されている。また、一対の台板部51間の距離は、軸受部36を構成する一対の内支持部38間の距離とほぼ同じであり、一対の突部52間の距離は、軸受部36を構成する一対の外支持部37間の距離とほぼ同じである。さらに、図9等に示すように、台板部51の外周面の屈曲角度は、軸受部36の内支持部38の軸受面の屈曲角度よりも小さく構成されている。また、図8等に示すように、台板部51は本体部41の外周縁(短辺部)よりも内周側に位置しており、本体部41の表面を正面視した場合に、突部52が本体部41からはみ出ないようになっている。そして、各台板部51の外周面の頂部を含む部位が各内支持部38の軸受面に支持されるとともに、各軸部42の外周面が各外支持部37の軸受面に支持されることで、軸部42が軸受部36に軸支され、ハンドル7が第2ケース体3に対して回動変位可能に装着されている。
図4、図7等に示すように、フック部43は、本体部41の裏面から直交する方向に延出する支柱部53と、支柱部53の先端部から開放辺部24側(位置決め部46側)に突出する係止爪54とを備えている。本実施形態では、フック部43は、本体部41の長手方向中央部であって、かつ、軸部42よりも連結辺部23側の位置に設けられている。さらに、フック部43は、本体部41の連結辺部23側の辺部よりも開放辺部24側の位置に設けられており、これにより、本体部41には、フック部43よりも連結辺部23側において、操作スペース44を介して裏面側に指を掛けることのできる操作部47が形成されている。
また、軸部42を軸受部36に軸支させることで、フック部43が弾性片31の内周側に形成された挿通開口部34に挿通され、フック部43(支柱部53)が弾性片31に貫通状態とされる。さらに、フック部43は、収納ケース1を閉状態とした場合に、第1ケース体2の係合部13と係合できるように相対配置されている。本実施形態では、フック部43と係合部13とを係合させたり係合状態を解除させたりする際に、フック部43又は係合部13を無理やりに弾性変形させるのではなく、フック部43が設けられたハンドル7全体を回動させ、当該ハンドル7を、係合部13とフック部43とを係合させることのできる係合位置(図4参照)と、係合部13とフック部43との係合状態を解除することのできる解徐位置(図5参照)とに変位させることで、係合及び係合状態の解徐を行う構成となっている。
尚、フック部43の係止爪54は支柱部53から開放辺部24側に突出し、係合部13の引っ掛け部15は土台部14から連結辺部23側に突出している。このため、係合部13とフック部43との係合状態を解除する場合、本体部41のうち軸部42よりも連結辺部23側の操作部47を第2ケース体3の外面から突出させるようにして、操作部47を収容凹部26の外側に向けて引っ張る。そうすることで、係止爪54が引っ掛け部15から外れる解徐位置までハンドル7を回動変位させることができ、係合部13とフック部43との係合状態を解除することができる。尚、本実施形態では、本体部41の表面中央部において操作凹部48が形成されており、当該操作凹部48は軸部42よりも開放辺部24側に位置している。このため、操作凹部48を収容凹部26の内側に押し込むことでも、ハンドル7を解徐位置へと変位させることができるようになっている。
図8等に示すように、本体部41の裏面には、フック部43から開放辺部24側に向けて延在する2条の摺動リブ56が形成されている。そして、軸部42を軸受部36に軸支させると、弾性片31の連結部33が摺動リブ56に接触することとなる。これにより、ハンドル7が係合位置側に付勢されるようになっている。また、上記のように本実施形態では、本体部41に形成された位置決め部46が第2ベース部21の内面と当接可能に構成されているため、ハンドル7の開放辺部24側の部位が第2ケース体3の外方に突出するようなハンドル7の変位が規制されることとなる。
さらに、本実施形態では、ハンドル7の非装着状態において、第2ケース体3の厚み方向(収容凹部26の深さ方向)における弾性片31の先端部と第2ベース部21の内面との間の距離が、位置決め部46の厚みよりも若干短くなっている。このため、ハンドル7の操作が行われない状態においては、弾性片31の付勢力によって本体部41の位置決め部46と第2ベース部21の内面とが圧接した状態、すなわち、本体部41が弾性片31と第2ベース部21とによって挟持され、ハンドル7が係合位置にて保持された(位置決めされた)状態となっている。勿論、収納ケース1が開状態にあっても、ハンドル7への操作がなされていない状態においては、弾性片31の付勢力によってハンドル7がかかる係合位置にて保持されている(図6参照)。
また、本実施形態では、図9に示すように、位置決め部46が第2ベース部21の内面に当接するのとほぼ同時に、軸部42の台板部51の連結辺部23側(操作スペース44側)の辺部と、内支持部38の軸受面の連結辺部23側の部位とが当接するようになっている。これにより、本体部41の開放辺部24側の部位が第2ケース体3の外方に突出してしまうようなハンドル7の変位を規制する際の負担を分散させることができ、局所的に大きな負荷が掛けられることで損傷等が生じ易くなるといった事態を抑制することができる。本実施形態では、これらのハンドル7の係合位置側への変位を規制する構成がロック側位置規制手段を構成する。
尚、フック部43の係止爪54は、支柱部53からの突出方向先端部側に向けて次第に先細るテーパ状に構成されており、引っ掛け部15に係止される係止面については、支柱部53と直交するようにして延在しているが、係止面とは反対側の面については、係止面に対して斜めに延在する傾斜面となっている。また、係合部13の引っ掛け部15は、係止爪54を係止する係止面については、収納ケース1の閉状態において係止爪54の係止面と略平行するようにして延在しているが、開状態にある収納ケース1を閉状態とする際に、フック部43の係止爪54の傾斜面と当接し得る部位においては、面取り加工されて、引っ掛け部15の係止面に対して斜めに延在する傾斜面が形成されている。このため、開状態にある収納ケース1をハンドル7の操作を行うことなく閉じていくと、フック部43の係止爪54と係合部13の引っ掛け部15とが接触することとなるが、この状態からさらに収納ケース1を閉じていくことで、フック部43が引っ掛け部15に案内されるようにして、ハンドル7が弾性片31の付勢力に抗して図5に示すような解徐位置へと変位する。その後、係止爪54が引っ掛け部15よりも第1ベース部11側まで変位すると、弾性片31の付勢力によってハンドル7が係合位置へ戻り、係合部13とフック部43とが係合する。すなわち、開状態にある収納ケース1を閉状態とする場合、ヒンジ部4を軸心として第1ケース体2と第2ケース体3とを近付けるようにして収納ケース1を閉じるだけで、ハンドル7の操作を行うことなく、係合部13とフック部43とを係合状態(ロック状態)とすることができる。
また、収納ケース1が閉状態にある場合には、フック部43と係合部13とが係合状態とされているため、収納ケース1を開状態とする場合には、本体部41の操作部47を引っ張る等して、ハンドル7を解徐位置へと変位させてから、第2ケース体3に対して第1ケース体2から離間させる方向に力を加えることなる。本実施形態では、図10に示すように、ハンドル7を解徐位置まで変位させると、軸部42の台板部51の開放辺部24側(位置決め部46側)の辺部と、内支持部38の軸受面の開放辺部24側の部位とが当接するようになっている。さらに、本実施形態では、図11に示すように、台板部51の開放辺部24側の辺部と、内支持部38の軸受面の開放辺部24側の部位とが当接するのとほぼ同時に、外支持部37と本体部41裏面とが当接するようになっている。これらの働きにより、ハンドル7の解徐位置側へのそれ以上の変位が規制されることとなる。本実施形態では、これらのハンドル7の解徐位置側への変位を規制する構成が解徐側位置規制手段を構成する。
また、ハンドル7の第2ケース体3への組付けは、ハンドル7の軸部42の突部52を軸受部36の外支持部37の軸受面の内周側に嵌め込むことで行われる。特に、本実施形態では、ハンドル7の本体部41の位置決め部46を第2ベース部21の内面側に位置させる必要があるため、本体部41を第2ベース部21(底壁部27)に対して斜めとなる姿勢で、ハンドル7を収容凹部26の内側へと押し込んでいくこととなる。また、図7に示すように、本実施形態では、かかる嵌め込み作業を行い易いように、軸部42及び外支持部37のうち嵌め込みに際して互いに圧接される部位が傾斜面として構成されている。つまり、突部52は、嵌め込み方向に向けて台板部51からの突出長が次第に短くなるよう構成されており、嵌め込み方向先端側の部位はほとんど突出していない。一方の外支持部37についても軸受面よりも収容凹部26の開口側の部位が、収容凹部26の開口側に向けて収容凹部26の側壁部からの突出長が次第に短くなるように構成されている。
また、上記のように、位置決め部46等によってハンドル7の回動範囲が制限されていることから、突部52の外支持部37の内周側への嵌め込み後は、ハンドル7がどの回動位置にあったとしても、軸部42の外周面のうち台板部51から比較的大きく突出している部位が外支持部37の軸受面に対向するようになっている。これにより、軸部42の傾斜面が収容凹部26の開口側に向いてしまい、軸部42が外支持部37から比較的抜け易くなってしまう(ハンドル7が第2ケース体3から外れ易くなってしまう)といった事態を防止することができる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、第1ケース体2の係合部13と係合可能なフック部43を備えるハンドル7を第2ケース体3に対して回動可能に装着すると、第2ケース体3と一体形成された弾性片31によってハンドル7が係合位置側に付勢されるとともに、弾性片31の内周側に形成された挿通開口部34にフック部43が挿通された状態とされる。換言すれば、フック部43を囲むようにして弾性片31が設けられている。このため、例えば、板状の弾性片の片側方にだけフック部を設ける場合に比べ、弾性片31からハンドル7に対してバランス良く付勢力を付加してハンドル7を正確に動作させつつ、フック部43と係合部13との係合状態の安定化を図ることができる。また、例えば、板状の弾性片の両側方にフック部を設ける場合のように、フック部と係合部とを係合させたり係合状態を解除させたりする際に、一方のフック部の動作と他方のフック部の動作とに比較的大きなずれが生じ易くなってしまうといった事態を回避することができる。従って、フック部43と係合部13との係合状態が不安定になってしまったり、ハンドル7がスムースに動作しなくなってしまったりするといった事態を防止することができる。結果として、係合状態(ロック状態)の安定化を図ることができる上、ハンドル7の動作、ひいては収納ケース1の開閉動作をスムースに行うことができる。
また、弾性片31は、第2ケース体3と一体形成され、さらに、弾性片31には、フック部43を挿通可能な挿通開口部34が形成されている。このため、例えば、弾性片31を第1ケース体2、第2ケース体3、及びハンドル7とは別体で構成する場合に比べ、フック部43及び係合部13を具備するロック構造のコンパクト化を図ることができ、ロック構造によって収納ケース1の収容空間が狭められるといった事態を極力抑制しつつ、組付け作業性の向上、コストの削減等を図ることができる。さらに、弾性片31をハンドル7或いは第1ケース体2を一体形成する場合に比べ、形状の簡素化を図ることができ、生産性の向上、不良品の発生リスクの抑制等を図ることができる。
さらに、フック部43及び係合部13はそれぞれ1つずつ設けられている。このため、フック部43や係合部13を複数設ける場合に比べ、フック部43や係合部13に製造誤差が生じてしまうといったおそれを低減させることができる。また、フック部を複数設ける場合のように、複数のフック部のうち1つにでも製造誤差が生じた場合には、複数のフック部の形状が異なってしまい、これに起因して、係合部と係合したり係合状態を解除したりする際の各フック部の動作が異なって、係合状態が不安定になったり、係合したり係合状態を解除したりする際の動作が好適に行われなくなってしまったりする等のおそれがある。これに対し、フック部43を1つにすることによってかかる不具合を防止することができる。特に、本実施形態では、ハンドル7や第1ケース体2等が樹脂で構成されており、フック部43等に僅かな製造誤差(成形歪み等)が比較的生じ易いため、これらの作用効果が一層確実に奏される。さらに、上記のように、弾性片31に挿通開口部34を設け、弾性片31にフック部43を貫通状態とできることによって、フック部43を1つにしても、バランスよく係合部13との係合状態を維持することができる(ロック状態を安定させることができる)。
また、本実施形態では、ハンドル7が係合位置となり、かつ、ハンドル7の本体部41の表面が第2ベース部21の外面と略面一となった際に、本体部41から延出する位置決め部46が第2ベース部21の内面に当接するとともに、ハンドル7に形成された軸部42の略三角形状の台板部51の連結辺部23側の辺部が、第2ケース体3に形成された軸受部36の内支持部38の略V字状に形成された軸受面の連結辺部23側の部位に当接し、それ以上のハンドル7の変位を規制するように構成されている。これにより、弾性片31によって付勢されるハンドル7が回動変位させられ過ぎてしまうことを防止でき、ハンドル7を所望の係合位置で保持しておくことができる。このため、ハンドル7が第2ケース体3(収容凹部26)から大きく突出してしまったり、収納ケース1の持ち運びに際してハンドル7がばたついてしまったりするといった事態を防止することができる。また、収納ケース1の開状態にあっても、ハンドル7、ひいては、フック部43の位置決めが行われているため、例えば、ハンドル7の位置が定まっていない場合のように、収納ケース1を閉鎖する際に、ハンドル7のフック部43と第1ケース体2の係合部13との位置合わせを別途行わなくても済む。従って、開状態にある収納ケース1を閉状態とする際に、ハンドル7を操作しなくても、収納ケース1を閉じていくだけで、フック部43と係合部13とが係合するように構成することができ、収納ケース1を閉状態とする際の操作性の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態では、収納ケース1を開状態とするべく、弾性片31の付勢力に抗してハンドル7を解除位置にまで変位させた場合に、軸部42の台板部51の開放辺部24側の辺部が、軸受部36の内支持部38の軸受面の開放辺部24側の部位に当接するとともに、軸受部36の外支持部37が、ハンドル7の本体部41の裏面に当接し、それ以上のハンドル7の変位を規制するように構成されている。このため、フック部43と係合部13との係合状態(ロック状態)を解除する際に、弾性片31が過度に変形させられて破損してしまうといった事態を抑止することができる。
また、第2ケース体3には、ハンドル7を収容可能な収容凹部26が形成されており、収容凹部26の内側において弾性片31が設けられている。これにより、ハンドル7や弾性片31等の保護を図ることができる。さらに、収容凹部26の内側に形成された軸受部36が、第2ケース体3の外面側に開口する内支持部38と、第2ケース体3の内面側に開口する外支持部37とにより形成されるとともに、弾性片31と第2ベース部21とが第2ケース体3の厚み方向に重ならないように構成されている。このため、収容凹部26の内側の構成を成形する際に、第2ベース部21の表裏面と平行に型抜きするような金型を用意する必要がなく、製造作業性の向上、金型装置の簡素化等を図ることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、収納ケース1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。さらに、上記実施形態では、第1ケース体2及び第2ケース体3と、ハンドル7とがどちらもポリプロピレンにより構成されているが、異なる材料で構成されてもよい。例えば、ハンドル7に関しては、ケース体2、3の構成材料よりも摺動性の良い材料で構成することとしてもよい。
また、上記実施形態では、容器としての収納ケース1のロック構造として具現化しているが、容器としては、物品を収容する収容空間を開閉可能に構成されたものであればよく、その他の形態をなす容器のロック構造として適用することも可能である。例えば、物品を収容可能な容器本体と、容器本体の開口部を開閉可能な開閉部材と、開閉部材に形成されたポケット部の開口部を開閉可能な蓋部材とを備える構成において、開閉部材に対して係合部13を設け、蓋部材に対して係合部13と係合可能なフック部43を具備するハンドル7を回動変位可能に装着するとともに、蓋部材に対してハンドル7を係合位置側に付勢する弾性片31を一体形成することとしてもよい。
さらに、ヒンジ部4の構成は特に限定されるものではなく、例えば、第1ケース体2と第2ケース体3とを別体として構成するとともに、一方に設けられた回転軸と、他方に設けられ、回転軸を軸支する軸支部とによってヒンジ部を構成することとしてもよい。
(b)上記実施形態では、フック部43が常時挿通開口部34を介して弾性片31を貫通した状態となっているが、少なくとも収納ケース1の閉状態において、係合状態とされたフック部43と係合部13とからなる係合体が挿通開口部34を介して弾性片31を貫通した状態となるよう構成されていればよい。例えば、収納ケース1が開状態にある場合には、フック部43は弾性片31を貫通した状態となっていないが、収納ケース1が閉状態とされて弾性片31が弾性変形した場合にフック部43が弾性片31を貫通した状態となるように構成してもよいし、収納ケース1が閉状態とされてもフック部43は弾性片31を貫通することはなく、収納ケース1が閉状体とされた場合において、フック部43と係合する係合部13が挿通開口部34を介して弾性片31を貫通するように構成してもよい。
(c)上記実施形態では、収容凹部26の底壁部27から延出する立壁29が設けられ、立壁29の先端から弾性片31が延出するよう構成されているが、立壁29を省略し、底壁部27から弾性片31が直接斜めに延出するように構成されてもよい。尚、立壁29を設けることによって、弾性片31の延出角度、ひいては弾性片31の厚みの調整を行い易く、弾性片31自身の強度を確保しつつ、ハンドル7への付勢力が強すぎたり弱すぎたりしないようにハンドル7を好適に支持することができる。
また、上記実施形態では、弾性片31の一対の可撓部32間に対応する部位においては、立壁29が形成されていない上、底壁部27の端縁に許容凹部35が形成されているが、許容凹部35の側壁部間を連結するようにして立壁29を形成することとしてもよい。この場合、立壁29の強度は向上するが、許容凹部35が形成されていないため、許容されるハンドル7の回動量が小さくなってしまい、ハンドル7を解徐操作する際に、フック部43が底壁部27や立壁29に当たってハンドル7の動作が阻害されるおそれがある。従って、収容凹部26をコンパクトにしつつ、ハンドル7をスムースに動作させるため、上記実施形態のように、可撓部32間の部位において底壁部27に許容凹部35を形成することが望ましい。
(d)上記実施形態において、フック部43を複数設けることも可能である。但し、全てのフック部43は挿通開口部34に挿通されるように配置されることとする。この場合、フック部43を複数設けるにしても、複数のフック部43を互いに近接配置することができ、ハンドル7の軸線方向が正規の方向からずれたとしても、複数のフック部43の動作にずれが生じることを抑制することができる。尚、全てのフック部43が挿通開口部34に挿通されるように近接配置されるのであれば、フック部43の数が1つであっても複数であってもロック状態の安定性等にそれ程の差異は生じないため、複数のフック部43を設ける場合の各フック部43の製造誤差の発生リスク等を鑑みると、フック部43は1つであることが望ましい。換言すれば、弾性片31に挿通開口部34を設け、弾性片31にフック部43を貫通状態とできることによって、フック部43を1つにしても、バランスよく係合部13との係合状態を維持することができる。