JP5575213B2 - ギヤスピンドルおよびそれを備えた圧延機 - Google Patents

ギヤスピンドルおよびそれを備えた圧延機 Download PDF

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    • B21B35/14Couplings, driving spindles, or spindle carriers specially adapted for, or specially arranged in, metal-rolling mills

Description

本発明は、ギヤスピンドルおよびそれを備えた圧延機に関する。
圧延機のワークロールは電動機により回転駆動される。電動機による回転駆動力は、分配機能を有する変速機、一対のスピンドルを介して上下の一対のワークロールに伝えられる。
スピンドルは、圧延条件等の使用環境によって使い分けされている。例えば、一般的な硬度の材料を圧延する圧延機においてはUJスピンドル(Universal Joint、別称:プロペラシャフト)が使用され、比較的高硬度な材料(例えば、40%圧下変形抵抗値が約70[kg/mm2]の材料)を圧延する高硬度材圧延用圧延機においてはギヤスピンドルが使用される。
自動車等の構造体における高強度化や軽量化を目的として、更なる高硬度材である高抗張力鋼(別称ハイテン材、例えば、40%圧下変形抵抗値が約130[kg/mm2]の材料)が開発されている。よって、高抗張力鋼を圧延する高抗張力鋼圧延用圧延機が求められ、それに伴い、高抗張力鋼圧延用圧延機に供する高性能なギヤスピンドルが求められている。この高抗張力鋼圧延用圧延機に供することのできる高性能のギヤスピンドルには、以下に記載の(1)、(2)、(3)の条件が必要とされる。
(1)小径であること。
高抗張力鋼圧延用圧延機においては、圧延力の増大を抑えるために通常より小径のワークロールを使用する。ワークロールは上下一対で成り、それぞれ独立してギヤスピンドルと連結され、ギヤスピンドルを介して圧延動力(回転動力)が伝達されることにより回転駆動される。よって、ギヤスピンドルはワークロールと同様に上下一対で成り、ギヤスピンドルにおけるワークロールとの連結部を、上下一対に設置されるギヤスピンドル同士が干渉しないようにワークロール径より小さい径とする必要がある。
例えば、高硬度材圧延用圧延機においては、ワークロール径DW=330[mm]、ギヤスピンドル外径D=325[mm]であるのに対し、高抗張力鋼圧延用圧延機においては、圧延力を制限するためにワークロール径DW=250[mm]となり、ギヤスピンドルは上下で干渉しないようにギヤスピンドル外径D=245[mm]が求められる。
ここで、ワークロール径DWは、使用可能最小径である。ワークロールは、圧延に供するにつれて、表面が被圧延材との接触で摩耗すると共に、度々表面を研磨機で研磨するために、ワークロール径DWは使用に伴い徐々に細くなる。このワークロールの最大径と最小径との差は一般的には約10%前後である。
(2)大きいトルクを伝達できること。
圧延機における圧延トルクTは、被圧延材の変形抵抗値Fとワークロール径DWに左右されるので、T∝f(F)+f(DW)となる。前述したように、高抗張力鋼圧延用圧延機におけるワークロール径DWは、高硬度材圧延用圧延機におけるワークロール径DWに比べ小さく、高抗張力鋼の変形抵抗値は、従来の高硬度材の変形抵抗値に比べ格段に大きいので、高抗張力鋼の圧延に必要となる圧延トルクは、従来の高硬度材の圧延に必要となる圧延トルクに比べて大きくなる。
例えば、従来の高硬度材圧延用圧延機のギヤスピンドルにおける許容伝達トルクTaの強度指数T/D3(T:ギヤスピンドル一本当たりの必要伝達トルク[ton・m]、D:ギヤスピンドル外径[mm])は、T/D3≦0.4[ton/m2]であるのに対し、高抗張力鋼圧延用圧延機のギヤスピンドルにおける許容伝達トルクTaの強度指数T/D3は、T/D3≒0.6〜0.8[ton/m2]である。このように、被圧延材の変形抵抗値が増大すると、許容伝達トルクTaの強度指数T/D3も増大する。(伝達トルクTの強度指数T/D3[ton/m2]は、「×109」を省略した記載である。本来の記載は、ギヤスピンドル外径D[mm]をギヤスピンドル外径D×10-3[m]に単位換算して代入するので、(T/D3)×109[ton/m2]となる。以下、本明細書においては、ギヤスピンドル外径D[mm]に対する伝達トルクTの強度指数を上記と同様の省略記載のT/D3[ton/m2]とする。)
(3)高速回転できること。
圧延機の生産能力は、板厚と板幅と圧延速度の乗数で表される。一般に、被圧延材の板厚および板幅を一定として生産を行い、圧延機の生産能力は圧延速度に依存する。圧延機の圧延速度Vは、ワークロール径DWとワークロール回転数Nに左右されるので、V∝DW×Nとなる。前述したように、高抗張力鋼圧延用圧延機におけるワークロール径DWは、高硬度材圧延用圧延機におけるワークロール径DWに比べて小さいため、同じ回転数Nでは必然的に圧延速度Vが低下し、圧延機の生産能力も低下する。よって、高抗張力鋼圧延用圧延機においては、高硬度材圧延用圧延機と同等の生産能力を確保するために、高硬度材圧延用圧延機よりも高速でワークロールを回転させる必要がある。つまり、高抗張力鋼圧延用圧延機においては、高速回転が可能なギヤスピンドルが求められる。
例えば、ワークロール径DW330[mm]のワークロールを有する従来の高硬度材圧延用圧延機においては、圧延速度2000[mpm]の生産能力を得るために、ギヤスピンドルとしては1930[rpm]の回転数に対応できる仕様が求められた。しかし、小径化されたワークロール径DW250[mm]の高抗張力鋼圧延用圧延機においては、前記と同等の圧延速度2000[mpm]の生産能力を得るために、ギヤスピンドルとしては従来の約1.3倍である2546[rpm]の回転数に対応できる高回転仕様が求められる。
一般的に、回転体が高速回転になると、回転体には撓み振動・ガタ振動・捩り振動などが発生し、共振などによって回転体に大きな影響を与えることが知られている。圧延機においては、共振すれば回転体であるギヤスピンドルが破損し易くなるのみならず、共振に至らずとも振動が被圧延材に伝わるので、板厚の不均一や板の形状悪化や表面性状悪化となって現れ、被圧延材の品質を著しく損なう原因となる。そこで、高速回転に対応できるギヤスピンドルとして、振動を起き難くする必要がある。具体的には、軽量で、長さが短く、バックラッシ等のギャップが小さいギヤスピンドルが求められる。
例えば、ギヤスピンドルなど回転体の振動し易さを示す共振回転数Ncは、回転体の外径Dと回転体の長さLに左右されるので、Nc∝f(D)/f(L)となる。つまり、回転体の外径が小さいほど共振し易く、回転体の長さが長いほど共振し易くなる。
上述した高抗張力鋼圧延用ギヤスピンドルに求められる機能は、他の機能を阻害する問題を抱えている。
ギヤスピンドルの許容伝達トルクTaは、ギヤスピンドルを使用する際の傾斜角θとギヤスピンドル外径Dに依存する。傾斜角θが小さくギヤスピンドル外径Dが大きいほど、ギヤスピンドルの許容伝達トルクTaは大きくなるので、Ta∝f(D)/f(θ)となる。ギヤスピンドルは一方を変速機に連結され、他方をワークロールに連結されて回転するので、ワークロールの軸の高さと変速機の軸の高さが同一であれば、ギヤスピンドルの傾斜角θ=0°となり、強度上最適な条件となる。
しかし、高抗張力鋼圧延用圧延機の場合、ワークロール径は圧延荷重の制限で通常より細くせざるを得ず、一方、変速機は高トルク伝達用に大型化せざるを得ない。よって、変速機の軸心高さとワークロール軸心高さの偏差が従来に比べ大きくなるので、高抗張力鋼圧延用ギヤスピンドルの傾斜角θは通常のギヤスピンドルに比べ大きくならざるを得ない。このことは、ギヤスピンドルの許容伝達トルクが通常より小さくなることを示す。
これを回避する、つまり、両軸心高さ偏差ΔHが大きくても、ギヤスピンドル傾斜角θを通常かそれ以下にするためには、tanθ=ΔH/Lから解るとおり、ギヤスピンドル長さLを長くして、両軸心高さ偏差ΔHの増大によるギヤスピンドル傾斜角θの増大を抑える必要がある。しかし、高抗張力鋼圧延用ギヤスピンドルは外径が細いことにより振動し易い上に、ギヤスピンドル長さLを長くすると、更に振動が発生し易くなるという問題に直面する。よって、現状の技術では実現困難といえる。
なお、今後は高抗張力鋼よりも更に高硬度な超高抗張力鋼が開発され、超高抗張力鋼を圧延するための圧延機およびそれに対応できる更に高性能なギヤスピンドルが要求されると考えられる。つまり、上記(1)、(2)、(3)の条件において、従来に比して更なる小径化、許容伝達トルクの増大および高速回転への対応が必要となる。
特開平8−21453号公報
比較的高硬度な材料を圧延する圧延機におけるギヤスピンドルとしては、例えば特許文献1がある。これは、油室に潤滑油給油穴および給油量検出穴を設けることで、潤滑油がシール部材を圧迫することによってシール部材を破損しないようにすると共に、シール部材の破損箇所から潤滑油が漏洩する虞をなくし、潤滑油の補給およびシール部材の交換による作業時間を短縮することができる技術である。
また、内筒に設けられている外歯が損傷することを想定し、内筒を、外歯を有するハブとギヤスピンドルとに分割し、その間をスプラインにて着脱自在な構造としている。この分割構造により、ギヤスピンドル強度が若干低下する可能性があるが、そのデメリットよりも内筒外歯の破損時に早急に交換することを優先したものである。
しかし、前述したように、超高抗張力鋼の圧延には、従来に比べ更なる高強度かつ小径のギヤスピンドルが求められるため、従来のギヤスピンドルでは対応できない。
ギヤスピンドルの目的の一つは両側(ワークロール側と変速機側)の高さ方向における軸心偏差(ΔH)を許容して回転することにある。そのため、外筒の内歯は平歯であるが、内筒の外歯には歯の中央が両端に比べ厚いクラウニングが施されている。このクラウニングは、軸心偏差(ΔH)によりカップリングの内筒と外筒の歯が干渉して、カップリングがロックすることを防止している。そのため、従来では、ロックの余裕度を大きく確保することを優先し、クラウニング半径はあまり大きくない方が良いとされてきた。
ギヤスピンドルの許容伝達トルクを決定付ける要因として、歯面面圧、歯元曲げ応力、PV値が挙げられるが、近年における歯面熱処理の進歩、具体的には調質処理から窒化処理や高周波処理や浸炭処理への進歩により歯面面圧強度は大きく改善された。よって、現在の許容伝達トルクを決定付ける要因は、歯元曲げ応力とPV値であり、この面での進歩が求められている。
従来から、歯元曲げ応力σを決める主要パラメータは、トルクT、傾斜角θ、ギヤスピンドル外径D、歯幅Bであり、σ∝T×f(θ)/(D2×B)と考えられている。つまり、クラウニング半径は歯元強度パラメータとしてみなされてこなかった。
しかし、ギヤカップリングの外筒の内歯は平歯であるのに対し、内筒の外歯には歯幅方向にクラウニングが施されているので、ギヤスピンドルにおける歯車は、歯幅方向に平板と円柱を合わせたような接触モデルとなっている。つまり、外筒と内筒における歯は、ヘルツ扁平の領域でしか接しておらず、歯幅全体で負荷を負担しているわけではない。よって、歯元曲げ応力σは、σ∝T×f(θ)/(D2×Bh)となる。ここで、Bhは有効歯幅Bh=f(Cr、T)であり、クラウニング半径Crと負荷トルクTに依存する。また、一般には、0<Bh/B≪1.0である。
つまり、クラウニング半径Crは歯元強度の重要なパラメータであり、クラウニング半径Crを大きくすると歯が扁平し易くなり、歯のピッチ円直径上での歯幅方向の負荷範囲が広くなり、しいては歯元の負荷分担範囲が広くなるので、歯元強度は格段に向上する。
一方、クラウニング半径Crを不必要なまでに大きくすると、必要歯幅や必要バックラッシが大きくなり、高速回転に支障が生じると共に、ギヤスピンドルの歯以外の部位の強度低下を招き、ギヤスピンドル全体としての能力低下をきたすので、前述したような高抗張力鋼圧延用ギヤスピンドルに求められる条件を満たすことができない。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたもので、クラウニング半径と歯幅の最適な組み合わせを選定することで、高速圧延が可能、かつ歯面面圧強度、歯元曲げ強度およびPV値を改善することを目的とする。
ギヤスピンドルは、ギヤのピッチ円直径により強度を決めていたが、本発明は、ギヤのクラウニング半径を大きくすることでギヤの強度が上がるという知見を得て、従来考慮されていなかったバックラッシ量と歯元曲げ応力とを同時に考慮した高速・高強度の小径スピンドルを達成した。
上記課題を解決する第一の発明に係るギヤスピンドルは、一端側に外歯車の内筒ギヤ部を設けたスピンドル内筒と、前記内筒ギヤ部と嵌合する内歯車の外筒ギヤ部を設けたスピンドル外筒とが、その軸を0.6度乃至1.6度傾斜して成るギヤスピンドルにおいて、前記内筒ギヤ部における歯幅Bの歯に、歯幅方向に沿って中央が膨らんで両歯端が肉薄となるような半径Crのクラウニングを設け、前記歯幅Bと前記クラウニング半径Crとを、Cr=1200[mm]と、Cr=4000[mm]と、B=0.0272×Cr+28[mm]と、B=59.04×exp(0.0005×Cr)[mm]と、B=32×Cr0.247[mm]とをグラフ化して囲んでなる範囲で設定することを特徴とする。
上記課題を解決する第二の発明に係るギヤスピンドルは、第一の発明において、B=0.0272×Cr+28[mm]は、0.6度の傾斜角での、任意のクラウニング半径Crと、当該クラウニング半径Crで前記内筒スピンドルの歯が歯端当たりを生じない最小歯幅でなる無数の交点を結んでなる直線であり、B=59.04×exp(0.0005×Cr)[mm]は、0.6度乃至1.6度の範囲における任意の傾斜角での、前記内筒ギヤ部に掛かる歯元曲げ応力が許容最大値となるクラウニング半径Crと、当該クラウニング半径Crで前記スピンドル内筒の歯が歯端当たりを生じない最小歯幅に40[mm]を加えてなる無数の交点を結んでなる曲線であり、B=32×Cr0.247[mm]は、0.6度乃至1.6度の範囲における任意の傾斜角での、任意のクラウニング半径Crと、当該クラウニング半径Crで前記内筒スピンドルの歯が歯端当たりを生じない最小歯幅に40[mm]を加えてなる歯幅Bとの組み合わせで必要となるバックラッシが、前記内筒ギヤ部と前記外筒ギヤ部における許容最大バックラッシとなる無数の交点を結んでなる曲線であることを特徴とする。
上記課題を解決する第三の発明に係るギヤスピンドルは、一端側に外歯車の内筒ギヤ部を設けたスピンドル内筒と、前記内筒ギヤ部と嵌合する内歯車の外筒ギヤ部を設けたスピンドル外筒とが、その軸を0.6度乃至1.6度傾斜して成るギヤスピンドルにおいて、前記内筒ギヤ部における歯に、歯幅方向に沿って中央が膨らんで両歯端が肉薄となるような半径Crのクラウニングを設け、前記歯幅Bと前記クラウニング半径Crとを、Cr=1200[mm]と、Cr=4000[mm]と、B=0.0272×Cr+28[mm]と、B=18×exp(0.001×Cr)[mm]と、B=19×Cr0.292[mm]とをグラフ化して囲んでなる範囲で設定する。
上記課題を解決する第四の発明に係るギヤスピンドルは、第三の発明において、B=0.0272×Cr+28[mm]は、0.6度の傾斜角での、任意のクラウニング半径Crと、当該クラウニング半径Crで前記内筒スピンドルの歯が歯端当たりを生じない最小歯幅でなる無数の交点を結んでなる直線であり、B=18×exp(0.001×Cr)[mm]は、0.6度乃至1.6度の範囲における任意の傾斜角での、前記内筒ギヤ部に掛かる歯元曲げ応力が許容最大値となるクラウニング半径Crと、当該クラウニング半径Crで前記スピンドル内筒の歯が歯端当たりを生じない最小歯幅でなる無数の交点を結んでなる曲線であり、B=19×Cr0.292[mm]は、0.6度乃至1.6度の範囲における任意の傾斜角での、任意のクラウニング半径Crと、当該クラウニング半径Crで前記内筒スピンドルの歯が歯端当たりを生じない最小歯幅との組み合わせで必要となるバックラッシが、前記内筒ギヤ部と前記外筒ギヤ部における許容最大バックラッシとなる無数の交点を結んでなる曲線であることを特徴とする。
上記課題を解決する第五の発明に係るギヤスピンドルは、第一乃至第四のいずれかの発明において、歯面に、ショットブラスト加工を施したことを特徴とする。
上記課題を解決する第六の発明に係るギヤスピンドルは、第一乃至第四のいずれかの発明において、歯面に、リン酸マンガン皮膜処理を施したことを特徴とする。
上記課題を解決する第七の発明に係るギヤスピンドルは、第一乃至第四のいずれかの発明において、歯面に、二硫化モリブデン皮膜処理を施したことを特徴とする。
上記課題を解決する第八の発明に係るギヤスピンドルは、第一乃至第七のいずれかの発明において、スピンドル外筒とスピンドル内筒の外表面に、冷却用流体を噴き付けることで、歯面潤滑剤およびスピンドル外筒とスピンドル内筒の各歯面を強制冷却することを特徴とする。
上記課題を解決する第九の発明に係るギヤスピンドルは、第一乃至第八のいずれかの発明において、前記内筒ギヤ部におけるピッチ円直径をDP[mm]、ギヤ圧力角をα[度]、ギヤモジュールをMn[mm]、クラウニング半径をCr[mm]、歯幅をB[mm]、前記内筒スピンドルの歯端部から首部へ移る部位の最小直径をd[mm]、歯先に設けた円弧形状の曲率半径をR=Cr×tanα[mm]とし、
Figure 0005575213
とすることを特徴とする。
上記課題を解決する第十の発明に係る圧延機は、被圧延材を圧延するための上下一対のワークロールと、上下一対のワークロールとそれぞれ独立して連結し、上下一対のワークロールへそれぞれ独立して回転動力を伝達する上下一対のギヤスピンドルと、上下一対のギヤスピンドルと連結する変速機と、変速機と連結し、変速機へ回転動力を伝達するギヤカップリングと、ギヤカップリングと連結し、ギヤカップリングへ回転動力を供給する電動機とを備える圧延機において、前記ギヤスピンドルが、第一の発明乃至第九のいずれかの発明に係るギヤスピンドルであることを特徴とする。
第一の発明に係るギヤスピンドルによれば、1200[mm]≦Cr≦4000[mm]は許容伝達トルクの向上が見込まれ且つ実用的に使用し得る範囲であり、この範囲内でクラウニング半径Crを設定することにより、スピンドル内筒の首部において破損する虞なく、許容伝達トルクを向上させることができる。クラウニング半径Crを大きくすると歯元の負荷分担範囲が広くなるので、歯元強度が向上する。すなわち、歯元の負荷分担範囲が広くなることにより、歯元強度が向上し、スピンドル強度(面圧、曲げ、PV値)の向上により、スピンドル傾斜角を必要以上に小さくする必要がなくなり、スピンドル長さを短くできるので、小径、高速回転用スピンドルが可能になる。なお、この範囲を外れてクラウニング半径Crを大きくすると、首部における首径dが小さくなり、首部における捩り応力が上昇するので、スピンドル内筒の首部に過大な負荷が掛かることになる。
第二の発明に係るギヤスピンドルによれば、B≦59.04×exp(0.0005×Cr)[mm]は歯元曲げ応力が許容値を超えない状態であるので、歯元曲げ応力によって歯が折損することがなく、大きいトルクで回転動力を伝達することができる。さらに、B≦19×Cr0.292[mm]はバックラッシ量が許容値を超えない状態であるので、バックラッシ量の過大により噛み合いが悪くなることなく、大きいトルクで回転動力を伝達することができる。
第三の発明に係るギヤスピンドルによれば、1200[mm]≦Cr≦4000[mm]は許容伝達トルクの向上が見込まれ且つ実用的に使用し得る範囲であり、この範囲内でクラウニング半径Crを設定することにより、スピンドル内筒の首部において破損する虞なく、許容伝達トルクを向上させることができる。なお、この範囲を外れてクラウニング半径Crを大きくすると、首部における首径dが小さくなり、首部における捩り応力が増大するので、スピンドル内筒の首部において破損する虞がある。
第四の発明に係るギヤスピンドルによれば、B≦18×exp(0.001×Cr)[mm]は歯元曲げ応力が許容値を超えない状態であるので、歯を折損させる虞なく、高速回転および大きい伝達トルクにも対応することができる。さらに、B≦32×Cr0.247[mm]はバックラッシ量が許容値を超えない状態であるので、バックラッシ量の過大により噛み合いが悪くなることなく、高速回転および大きい伝達トルクにも対応することができる。また、歯の許容伝達トルクを減ずることなく、加工誤差や経年変化等の使用上の余裕を考慮しないので、更なるコスト削減や軽量化およびコンパクト化を図ることができる。
第五の発明に係るギヤスピンドルによれば、歯表面にデンプル状の微細窪みを生成し、その窪みに油を溜めることで油膜切れを防止することができ、内筒ギヤ部および外筒ギヤ部における歯面の焼付きを抑えることができる。よって、大きいトルクを伝達する場合にも歯面の焼付きが起こらないので、ギヤスピンドルにおける許容伝達トルクを更に向上させることができる。
第六の発明に係るギヤスピンドルによれば、多孔質な結晶体のため、皮膜に油の保持力があると共に初期馴染み性良好なため、摩擦熱の発生を抑えることができ、内筒ギヤ部および外筒ギヤ部における歯面の焼付きを抑えることができる。よって、大きいトルクを伝達する場合にも歯面の焼付きが起こらないので、ギヤスピンドルにおける許容伝達トルクを更に向上させることができる。
第七の発明に係るギヤスピンドルによれば、歯表面に固体潤滑剤を焼成することにより、万一油が枯渇しても、固体潤滑剤で金属接触を防止することができ、内筒ギヤ部および外筒ギヤ部における歯面の焼付きを抑えることができる。よって、大きいトルクを伝達する場合にも歯面の焼付きが起こらないので、ギヤスピンドルにおける許容伝達トルクを更に向上させることができる。
第八の発明に係るギヤスピンドルによれば、スピンドル外筒の外表面を外部強制冷却することにより、接触部の温度上昇を抑制できるので、耐焼付き強度が向上する。
第九の発明に係るギヤスピンドルによれば、クラウニング加工に支障なく、首径を大きくすることにより、首部における捩り強度が増し、首部において破損する虞を低減することができる。
第十の発明に係る圧延機によれば、バックラッシ過大により噛み合いが悪くなることなく、許容歯元曲げ応力を超えて歯を折損させる虞なく、高速回転および大きい伝達トルクにも対応することができる。また、ギヤスピンドルのスピンドル内筒の首部における捩り応力が低減されるので、歯における破損の虞が低減すし、ギヤスピンドルの内筒ギヤ部および外筒ギヤ部の歯面における面圧が低減されるので、歯面における焼付きの虞が低減る。
本発明の実施例1に係る圧延機におけるギヤスピンドルとワークロールとの連結部を示す縦断面図である。 本発明の実施例1に係る圧延機の駆動系全体を示す概略図である。 本発明の実施例1に係るギヤスピンドルにおける内筒ギヤ部と外筒ギヤ部との嵌合部を示す縦断面図である。 本発明の実施例1に係るギヤスピンドルにおける内筒ギヤ部と外筒ギヤ部との嵌合部を示す縦断面図(図3におけるIV−IV矢視断面)である。 本発明の実施例1に係るギヤスピンドルにおいて、クラウニング半径が小さく歯幅が短い場合の内筒ギヤ部と外筒ギヤ部との接触部を示す説明図である。 本発明の実施例1に係るギヤスピンドルにおいて、クラウニング半径が大きく歯幅が長い場合の内筒ギヤ部と外筒ギヤ部との接触部を示す説明図である。 本発明の実施例1に係るギヤスピンドルにおけるクラウニング半径および歯幅の設定範囲を示すグラフである。 本発明の実施例1に係るギヤスピンドルにおけるクラウニング半径および必要最低限の歯幅の設定範囲を示すグラフである。
前述したように、本発明に係るギヤスピンドルは、内筒ギヤ部における歯幅Bの歯に、歯幅方向に沿って中央が膨らんで両歯端が肉薄となるような半径Crのクラウニングを設け、歯幅Bとクラウニング半径Crとを、Cr=1200[mm]と、Cr=4000[mm]と、B=0.0272×Cr+28[mm]と、B=59.04×exp(0.0005×Cr)[mm]と、B=32×Cr0.247[mm]とをグラフ化して囲んでなる範囲で設定する。
つまり、ギヤスピンドルの内筒ギヤ部における形状として、クラウニング半径Crを、従来よりも極めて大きい1200[mm]乃至4000[mm]とし、クラウニング半径Crに適した歯幅Bを、使用傾斜角と歯端における片当りの要素に基づく関数B=0.0272×Cr+28[mm]と、歯元曲げ応力の要素に基づく関数B=59.04×exp(0.0005×Cr)[mm]と、バックラッシ量の要素に基づく関数B=32×Cr0.247[mm]とをグラフ化した関係から求めるようにするのである。
以下に、本発明に係るギヤスピンドルおよびそれを備えた圧延機の実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各種変更が可能であることは言うまでもない。
本発明の実施例1に係るギヤスピンドルおよびそれを備えた圧延機について、図1乃至図7を参照して説明する。
図2に示すように、本実施例の圧延機1は、被圧延材を圧延するための上下一対のワークロール2と、上下一対のワークロール2とそれぞれ独立して連結し、上下一対のワークロール2へそれぞれ独立して回転動力を伝達する上下一対のギヤスピンドル3と、上下一対のギヤスピンドル3と連結し、回転動力を所定の回転数に変速すると共に、変速した回転動力を上下一対のギヤスピンドル3へそれぞれ分配する変速機4と、変速機4と連結し、変速機4へ回転動力を伝達するギヤカップリング5と、ギヤカップリング5と連結し、ギヤカップリング5へ回転動力を供給する電動機6とを備える。
ギヤスピンドル3は、ギヤスピンドル3の中間部に配置された中間軸10と、中間軸10の一端側に設けられ中間軸10とワークロール2とを連結するスピンドル内筒12およびスピンドル外筒20と、中間軸10の他端側に設けられ中間軸10と変速機4とを連結するスピンドル内筒13およびスピンドル外筒30とから成る。
図1に示すように、スピンドル内筒12の一端側に設けた内筒ギヤ部40(外歯)とスピンドル外筒20の一端側に設けた外筒ギヤ部50(内歯)とが嵌合し、スピンドル外筒20の他端側に設けた小判形状の断面を有する嵌合穴60(以下、小判穴60と呼ぶ)とワークロール2の端部に設けた小判形状の断面を有する嵌合突起70(以下、ワークロール小判部70と呼ぶ)とが嵌合する。
本実施例のギヤスピンドル3は、超高抗張力鋼を圧延することができるように、最適条件下で、許容伝達トルクTaの強度指数として、
T/D3≦0.8〜1.0[ton/m2]
を達成する、従来(T/D3≦0.4[ton/m2])よりも優れた約二倍の強度を有する。ここで、Tはギヤスピンドル3を介してワークロール2へ伝達する伝達トルク[ton・m]、Dはスピンドル外筒20におけるギヤスピンドル外径[mm]である。
ギヤスピンドル3の許容伝達トルクTaは、ギヤスピンドル外径Dだけではなく後述する傾斜角θやクラウニング半径Crおよび歯幅Bなどにもよる。傾斜角θとギヤスピンドル外径Dは他要素によって決められ得る数値であり、その設定における自由度は低い。一方、クラウニング半径Crおよび歯幅Bは設計によって決められ得る数値であり、その設定における自由度は高い。よって、本実施例では、以下に示す数値設定の下で、後述するクラウニング半径Crと歯幅Bを最適に設定することにより、ギヤスピンドル3の許容伝達トルクTaを従来よりも向上させる。
まず、本実施例のギヤスピンドル3およびそれを備えた圧延機1について説明する。
ワークロール2に連結される上下一対のギヤスピンドル3において、上下のスピンドル外筒20が互いに干渉しないように、図1に示すように、ギヤスピンドル外径Dをワークロール径DWよりも僅かに小径とする。小径化したワークロール2を有する本実施例の圧延機1では、ギヤスピンドル外径DをD=225[mm]〜340[mm]とする。
回転する構造体の、全長が長いものは全長の短いものに比較して振動を起こし易く、また、外径が細いものは外径が太いものに比較して振動を起こし易いことが知られている。一方、高抗張力鋼圧延用圧延機では、ギヤスピンドルを小径化して高速で回転駆動するので、径の面でも回転数の面でも、ギヤスピンドルは振動を起こし易くなる。よって、本実施例ではギヤスピンドル3の全長L1(図2)を極力短くする必要がある。
スピンドル外筒20とワークロール2との嵌合においては、組付け組外し作業を可能にするためワークロール小判部70とスピンドル外筒20の小判穴60との間に僅かな隙間を設けている。反面、この隙間によって、ギヤスピンドル3にガタ振動が起こることがある。ワークロール小判部70と小判穴60との嵌合長さL2に対し、小判穴60の開端部61から内筒ギヤ部40の歯幅中心41までの距離である中心距離L3がある程度以上長すぎる場合、スピンドル外筒20とワークロール2のガタ振動が発生し易くなる。よって、振動予防の面から、L2/L3は極力大きいことが好ましい。本実施例では、嵌合長さL2および中心距離L3を(L2/L3)≧0.65とする。
なお、嵌合長さL2を必要以上に長くすることは、ワークロール2とギヤスピンドル3の双方の長さを長くすることになり、振動の面で不利となるので、嵌合長さL2は必要最小限に設定することが求められる。よって、嵌合長さL2が一定の場合、中心距離L3は短い方が良いと言える。
ここで、スピンドル外筒20の小判穴60と外筒ギヤ部50を隔てる隔壁62の厚さをL62、外筒ギヤ部50および内筒ギヤ部40に潤滑油を供給するために設けた潤滑油室63の幅をL63、内筒ギヤ部40の歯幅をBとすると、L3=L2+L62+L63+B/2となる。歯幅Bを極力広く確保しつつ、L3を小さく保つには、L62とL63を最小にする必要がある。
もちろん、隔壁62は、小判穴60が圧延トルクによって楕円に変形するのに対し、外筒ギヤ部50が楕円に歪まぬようにスピンドル外筒20全体を支えている壁であり、ある程度以上の厚みL62は必要である。また、本実施例のスピンドル3は、高トルクかつ高回転数のため、歯部での発熱が大きい。しかし、小径化されたスピンドル3であるために潤滑油を封入する潤滑油室62の内径が小さいので、潤滑油室62内に潤滑油量を確保するにはある程度の長さL63は必要である。
以上より、歯幅Bは、ギヤスピンドルの強度を確保する上で重要な寸法であるが、その範囲で狭い方が良い。本実施例では、歯幅B≦250[mm]とする。
上下のワークロール2における小判部70の上下間距離L4(図2)は、ワークロール2の使用最小径DWによって決まる。高抗張力鋼は変形抵抗が大きいので、ワークロール2を小径化している。そのため、上下のワークロール2におけるワークロール小判部70の上下間距離L4(図2)は小さくなっている。
また、被圧延材である高抗張力鋼を圧延する際にワークロール2の回転駆動に必要となる必要伝達トルクTrは大きいので、変速機4の図示しない変速分配歯車を大径化している。そのため、上下の変速分配歯車における変速分配歯車軸80の上下間距離L5(図2)は大きくなっている。
図2に示すように、ギヤスピンドル3は、変速機4の変速分配歯車軸80とワークロール2のワークロール小判部70を連結するように設置され、スピンドル内筒10がスピンドル外筒20およびワークロール小判部70に対して傾斜角θだけ傾斜した状態で使用される。
ところで、この傾斜角θの一因を成す変速機4の上下出力軸間距離L5(図2)は、必要伝達トルクTrとその他の条件により決められるもので、設備により異なる。また、上下ワークロール2の小判部70の上下間距離L4は、被圧延材の設定板厚などの圧延条件やワークロール2の使用に伴う摩耗や研磨などによって変化する。
よって、ギヤスピンドル3の傾斜角θは、設備の仕様により異なると共に、使用中にも変化するので、ギヤスピンドル3としては、これらを勘案の上、ある程度の範囲の傾斜角θが許容される必要がある。本実施例では、スピンドル内筒12とスピンドル外筒20との間の傾斜角θを0.6°≦θ≦1.6°としている。
傾斜角θを持つギヤスピンドル3における許容伝達トルクTaは、常に内筒ギヤ部40および外筒ギヤ部50における全ての歯が接して伝達されるのではなく、瞬間毎には内筒ギヤ部40および外筒ギヤ部50におけるある割合の歯だけが接して伝達される。傾斜角θが大きければ、瞬間毎に伝達トルクTの伝達に寄与する歯の数は更に少なくなる。
本実施例のような高抗張力鋼圧延用ギヤスピンドルは、必要伝達トルクTrが非常に大きいので、極力多くの歯で負荷を分担する必要があるので、傾斜角θは小さい方が好ましい。しかし、高抗張力鋼圧延用圧延機の場合、ロール径は圧延荷重の制限で通常より細くなり、一方、変速機は高トルク伝達用に大型化するので、相乗効果として変速機の軸心高さL5とロール軸心高さL4の差(L5−L4)が大きくなる傾向にある。更に、小径ワークロールで生産性を上げるため高速回転するので、スピンドル3の長さL1を極力短くする必要がある。これら二つの理由により、tanθ≒(L5−L4)/L1で示す圧延機1におけるギヤスピンドル3の傾斜角θはある程度大きくならざるを得ない。
このような背景に基づき、近年、前述の圧延設備の駆動機(特許)のごとく、変速機4の上下出力軸間距離L5を小さくする開発が行われてきた結果、高抗張力鋼圧延用ギヤスピンドルの使用条件として傾斜角θをθ≦1.6°にできるようになってきた。傾斜角θの下限については、変速機の仕様が設備により異なることやロール径が使用中に変化することを加味しても0.6°≦θとすれば十分である。よって、高抗張力鋼圧延用ギヤスピンドルの傾斜角θの範囲は、0.6°≦θ≦1.6°が妥当である。
スピンドル内筒10とスピンドル外筒20との傾斜角θを許容するように、図3に示すように、内筒ギヤ部40の歯先43をピッチ円において曲率半径Rとなるように歯幅方向に沿って湾曲する円弧形状と共に、更に図4に示すように、内筒ギヤ部40における歯端44の歯面と外筒ギヤ部50の歯面51との片当りを避けるために、内筒ギヤ部40の歯に歯幅方向に沿って中央が膨らんで両歯端44が肉薄となるように曲率半径Crのクラウニングを設定する。歯先半径Rとクラウニング半径Crとは、以下の関係にある。
R=Cr×tanα[mm] ・・・(1)
ここでαは内筒ギヤ部40における圧力角であり、本実施例では圧力角α=25°としている。
また、本実施例では、内筒ギヤ部40および外筒ギヤ部50における歯の大きさを示すモジュールMnをモジュールMn=5[mm]〜10[mm]とする。
上述した設定に加え、本実施例の圧延機1に備えるギヤスピンドル3における内筒ギヤ部40のクラウニング半径Crと歯幅Bとの設定について以下に説明する。
図4に示すように、内筒ギヤ部40の歯にクラウニングを設定することで、内筒ギヤ部40は外筒ギヤ部50の歯面51に対して歯端部44において片当たりすることなく、歯面42において弾性変形を伴って接触する。また、内筒ギヤ部40と外筒ギヤ部50とは、ギヤスピンドル3の回転中に、常に同じ箇所で接触しているわけではなく、接触する箇所を移動させながら接触している。つまり、内筒ギヤ部40と外筒ギヤ部50との接触部は、瞬間毎に異なる位置にある。
図5Aおよび図5Bに示すように、瞬間の接触部が一端側に最も近づく接触部90a(以下、最端接触部90aと呼ぶ)と瞬間の接触部が他端側に最も近づく接触部90b(以下、最端接触部90bと呼ぶ)との間を、一回転に一往復の周期で接触部を移動させながら内筒ギヤ部40と外筒ギヤ部50とは接触する。ただし、内筒ギヤ部40と外筒ギヤ部50との接触部が歯幅中心41に近づくと、内筒ギヤ部40の歯面42と外筒ギヤ部50の歯面51とが離れ、接触しない場合もある。
クラウニング半径Crが小さい場合には、図5Aに示すように、最端接触部90aと90bとの間の距離は短く、内筒ギヤ部40の歯面42と外筒ギヤ部50の歯面51とが接触し得る範囲(以下、接触範囲Sと呼ぶ)は狭い。また、瞬間毎の接触部(図5Aにおいては90a)の面積は小さいので、瞬間毎の接触部における面圧Pは大きい。
一方、クラウニング半径Crが大きい場合には、図5Bに示すように、最端接触部90aと90bとの間の距離は長く、接触範囲Sは広い。また、瞬間毎の接触部(図5Bにおいては90a)の面積は大きいので、瞬間毎の接触部における面圧Pは小さい。
つまり、クラウニング半径Crを小さく設定すれば、接触範囲Sは狭くなるので、歯幅Bを小さく設定することができ、クラウニング半径Crを大きく設定すれば、接触範囲Sは広くなるので、歯幅Bを大きく設定しなければならない。内筒ギヤ部40において大きいクラウニング半径Crに対して歯幅Bを小さく設定している場合には、歯端44が接触範囲S内となり、歯端44で片当りを起こすことによる歯の折損の虞がある。そこで、接触範囲Sが歯端44に及ばないように、クラウニング半径Crに対する必要最低限の歯幅B(この場合の歯幅をB1と表す)を下式(2)に基づいて設定する。
1=0.0272×Cr+28[mm] ・・・(2)
この式(2)は、傾斜角θ等によって異なるが、図6に示すように、前述した数値設定(傾斜角θ=0.6°〜1.6°)の範囲においてクラウニング半径Crに対して、歯端44における片当りを起こす虞のない必要最低限の歯幅Bをプロットして近似した式(ギヤスピンドル3の数値設定として傾斜角θ=0.6°の場合に相当する)である。
クラウニング半径Crに対する歯幅Bを式(2)よりも小さく設定すると、歯端44で片当りを起こし、歯に折損の虞が生じる。よって、歯端44で片当りを起こすことによる歯の折損の虞をなくすため、クラウニング半径Crに対する歯幅Bを式(2)よりも大きく設定する。つまり、クラウニング半径Crに対する歯幅BをB≧0.0272×Cr+28[mm]とする。
クラウニング半径Crを大きくすると、接触部90aの形状は歯幅方向に延びて長くなる。接触部90aへ働く作用力を歯面42から歯底45を経て他へ伝達する力の経路となる歯元における有効歯幅Bhも長くなるので、歯元曲げ応力σは小さくなる。
また、構造上、外歯である内筒ギヤ部40の歯元に対し、内歯である外筒ギヤ部50の歯元は厚いので、外筒ギヤ部50は内筒ギヤ部40よりも強い。よって、ギヤスピンドルの歯元曲げ強度として弱い方の内筒ギヤ部40の強度で示す。
本実施例では、内筒ギヤ部40および外筒ギヤ部50における歯が折損する虞のない許容値として許容歯元曲げ応力σaをσa=39[kg/mm2]と設定し、クラウニング半径Crに対して、許容歯元曲げ応力σaとなる歯幅B(この場合の歯幅をB2と表す)を下式(3)に基づいて設定する。
2=59.04×exp(0.0005×Cr)[mm] ・・・(3)
この式(3)は、前述した数値設定の範囲において、図6に示すように、任意の傾斜角θに対して歯元曲げ応力σがσ=39[kg/mm2]となるクラウニング半径Crと、その条件において歯端44で片当りを起こす虞のない歯幅Bとをプロットして近似した式である。
歯元曲げ応力σを決める主要パラメータは、トルクT、傾斜角θ、ギヤスピンドル外径D、有効歯幅Bhであり、下式(4)と考えられている。
σ∝T×f(θ)/(D2×Bh) ・・・(4)
ここで、Bhは有効歯幅Bh=f(Cr、T)であり、クラウニング半径Crと負荷トルクTに依存する。
外的要因で決定される任意の傾斜角θが与えられたとき、式(4)により歯元曲げ応力σを許容値σa以下に保つ許容最小限のクラウニング半径Crが決まり、併せて式(3)により許容最小限のクラウニング半径Crに最適な最小限の歯幅Bが決まる。ここで、クラウニング半径Crを必要最小限以下の値に設定した場合に、それを補完すべく歯幅Bを最適な値よりも大きい値に設定しても、強度に資することはなく、歯元曲げ応力σは許容値σaを超え、歯は折損の虞がある。
傾斜角θが与えられたとき、式(3)の条件において、クラウニング半径Crと歯幅Bの組み合わせを選定すると、許容最小限のクラウニング半径Crと最小限の歯幅Bを得ることができる。よって、クラウニング半径Crを許容最小限の値以上に設定し、歯幅Bをクラウニング半径Crが与えられたときに片当りを生じない最小限の値に設定する。これを数式で表せば下式となる。
B≦59.04×exp(0.0005×Cr)[mm]
なお、式(3)は、歯端44で片当りを起こすことによる歯の折損の虞がない最小限の歯幅Bに運転時の突発的最大負荷などを考慮した設定(最小限の歯幅Bにおける両歯端44から各20[mm]を確保した設定)で算出して成る。
また、内筒ギヤ部40および外筒ギヤ部50における接触部の面圧Pは、内筒ギヤ部40の歯面42および外筒ギヤ部50の歯面51における焼付きに大きく影響している。面圧Pが大きい場合には焼付きの虞が増大し、面圧Pが小さい場合には焼付きの虞が低減する。よって、前述したように、クラウニング半径Crを大きくすると、接触部の面圧Pは小さくなるので、内筒ギヤ部40の歯面42および外筒ギヤ部50の歯面51における焼付きの虞を低減させることができる。
なお、超高抗張力鋼圧延用ギヤスピンドルに要求されるような高伝達トルク容量、特にT/D3≦0.8〜1.0を満たすには、クラウニング半径Crがある一定以上の値でなければ成立しない。よって、図6に示すように、下限値として最小クラウニング半径Cr1をCr1=1200[mm]と設定する。
クラウニング半径Crを最小クラウニング半径Cr1よりも小さく設定すると、ギヤスピンドル3は傾斜角θが小さく且つ必要伝達トルクTrが小さい場合にしか対応できなくなる。よって、傾斜角θが大きい場合や必要伝達トルクTrが大きい場合にも対応できるように、クラウニング半径CrをCr1よりも大きく設定する。つまり、クラウニング半径CrをCr≧1200[mm]とする。
ギヤスピンドル3は内筒ギヤ部40と外筒ギヤ部50とが噛み合って回転するが、ギヤスピンドル3を傾斜角θ=0.6°〜1.6°で両歯が互いに干渉することなく円滑に回転するには、クラウニングを設定すると共に、歯の隙間であるバックラッシを設定する。バックラッシ量BLが極端に多い場合には、歯の遊びが多くなり、振動の原因となる。
本実施例では、有害な振動を起こさないための許容最大バックラッシ量BLとして、モジュールMnに依存する許容値を下式(4)に基づいて設定する。ただし、説明を容易にするために、ここでは加工誤差や経年変化によるバックラッシ変動は考慮しない。
BL≦(1+0.1×Mn)[mm] ・・・(5)
また、前述した数値設定は、傾斜角θ=0.6°〜1.6°であるので、円滑に回転するために必要なバックラッシ量BLはギヤスピンドル3の傾斜角θおよびクラウニング半径Crにもよる。傾斜角θが大きい場合には大きいバックラッシ量BLが必要であり、クラウニング半径Crが大きい場合にも大きいバックラッシ量BLが必要である。また、クラウニング半径Crが大きくなると必要歯幅Bも大きくなる。そこで、クラウニング半径Crに対して、バックラッシ量BLが式(5)による許容値となる歯幅B(この場合の歯幅をB3と表す)を下式(6)に基づいて設定する。
3=32×Cr0.247 [mm] ・・・(6)
この式(6)は、前述した数値設定の範囲において、図6に示すように、任意の傾斜角θに対してバックラッシ量BLが式(5)による許容値となるクラウニング半径Crと、その条件において歯端で片当りを起こす虞のない歯幅Bとをプロットして近似した式である。
なお、式(6)は、歯端44で片当りを起こすことによる歯の折損の虞がない最小限の歯幅Bに運転時の突発的最大負荷などを考慮した設定(最小限の歯幅Bにおける両歯端44から各20[mm]を確保した設定)で算出して成る。
外的要因で決定される任意の傾斜角θが与えられたとき、クラウニング半径Crを大きくすると、片当りを防止するために必要な歯幅Bが大きくなると共に、バックラッシ量BLも大きくなる。
傾斜角θが与えられたとき、式(6)の条件において、クラウニング半径Crと歯幅Bとの組み合わせを選定すると、許容最大のクラウニング半径Crと最小歯幅Bを得ることができる。よって、クラウニング半径Crを許容最大の値以下に設定し、歯幅Bをクラウニング半径Crが与えられたときに片当りを生じない最小の値に設定する。これを数式で表せば下式となる。
B≦32×Cr0.247[mm]
次に、クラウニング半径Crを大きくすることのデメリットについて述べる。
内筒ギヤ部40における歯先43を歯幅方向に沿って円弧形状としているので、歯底45における歯底円の大きさ(以下、歯底円直径DBと呼ぶ)は歯幅方向に沿って変化し、歯幅中心41から歯端44へ向かうに従って小さくなる。歯先半径Rとクラウニング半径Crは、前述した式(1)の関係にあるので、クラウニング半径Crが小さい場合には歯先半径Rは小さく、クラウニング半径Crが大きい場合には歯先半径Rは大きい。よって、同一の歯幅Bにおいては、クラウニング半径Crを大きくすると、歯先半径Rは大きくなるので歯端44における歯底直径DBは大きくなる。
一方、クラウニング半径Crを大きくするには、前述したように歯端44における片当りを起こす虞のない歯幅Bを確保するため、歯幅Bを大きくする必要があり、同一のクラウニング半径Crおよび同一の歯先半径Rにおいては、歯幅Bを大きくすると、歯端44における歯底直径DBは小さくなる。
このように、クラウニング半径Crを大きくすると、歯底直径DBが大きくなる因子と小さくなる因子があるが、結果としては歯底直径DBが小さくなる。また、スピンドル内筒10の首部11における首径dは、製作加工上の問題で歯底直径DBよりも小さくする必要がある。つまり、クラウニング半径Crを大きくすると、首部11における首径dが小さくなり、首部11における捩り応力が上昇する。
もう一つのデメリットは、スピンドル首部11における曲げ応力の上昇である。
つまり、スピンドル回転トルクによりスピンドル3における内筒ギヤ部40の歯面42に作用する回転力Fは、クラウニング半径Crの大小に係わらず一定である。一方、内筒ギヤ部40には多くの歯が設けられているが、図5Aおよび図5Bに示すように、回転力Fを最端接触部90aで受けている歯の略180°反対側の歯は最端接触部90bで回転力Fを受けているので、この回転力Fが内筒12の首部11には曲げモーメントとして作用する。
ここで、最端接触部90a、90bの距離をS1としたとき、このS1が曲げモーメント長さであり、クラウニング半径Crが小さい場合よりクラウニング半径Crが大きい方が最端接触部90a、90bの距離S1は長い。よって、スピンドル首部には、曲げモーメントをMとしたときM≒F×S1が作用する。つまり、クラウニング半径Crを大きくすると、首部11における曲げモーメントが大きくなり首部11における曲げ応力が上昇する。
以上の二点により、クラウニング半径Crの過度な増大により、首部11の曲げと捩りの合成応力が大きくなり、スピンドル3の強度低下を起こさぬよう、図6に示すように、上限値として最大クラウニング半径Cr2をCr2=4000[mm]と設定する。
クラウニング半径Crを最大クラウニング半径Cr2よりも大きく設定すると、首部11における捩り応力と曲げ応力が共に上昇するので、スピンドル内筒10の首部11において破損する虞が生じる。よって、首部11における捩り応力と曲げ応力の合力による応力の過大による首部11の破損の虞をなくすため、クラウニング半径Cを最大クラウニング半径Cr2よりも小さく設定する。つまり、クラウニング半径CrをCr≦4000[mm]とする。
次に、上述したようにクラウニング半径Crおよび歯幅Bが設定されたギヤスピンドル3には、更に以下の処理が施され、また形状の特定がなされる。これにより、内筒ギヤ部40の歯面42および外筒ギヤ部50の歯面51における焼付きの虞がより低減され、スピンドル内筒10の強度が高くなるので、ギヤスピンドル3は大きな伝達トルクTをより安定して伝達することが可能となる。
本実施例のギヤスピンドル3に対する必要伝達トルクTrが大きい場合には、内筒ギヤ部40の歯面42および外筒ギヤ部50の歯面51に掛かる面圧Pは大きく、歯面42、51における熱量は高い。また、ワークロール2の小径化に伴うギヤスピンドル3の小径化によって、ギヤスピンドル3における内筒ギヤ部40および外筒ギヤ部50に封入できる潤滑油は少ない。よって、内筒ギヤ部40の歯面42および外筒ギヤ部50の歯面51が焼付く虞を更に低減させるため、摩擦熱による昇温を抑える効果のある処理を施すことが好ましい。
歯面42、51が焼付く原因は、歯面42、51が油膜切れを起こし、金属接触することによる発熱と、その発熱の冷却不足である。この発熱の対策としては、面圧Pの低減、滑り速度Vの低下、油膜保持能力の増強、固体潤滑剤の設定などが挙げられ、冷却力の対策としては、外部強制冷却などが挙げられる。面圧Pの低減については、前述したクラウニングの設定による効果が期待される。滑り速度Vの低下については、圧延速度や傾斜角など圧延条件に依存するため、設定の自由度が低い。そこで、油膜保持能力の増強および固体潤滑剤の設定によって、内筒ギヤ部40および外筒ギヤ部50における摩擦熱の発生を抑えると共に、外部強制冷却によって内筒12および外筒20の冷却を促して歯面42、51の昇温を抑える。
まず、内筒ギヤ部40および外筒ギヤ部50の歯面42、51にショットブラスト加工を施す。ショットブラスト加工は、歯面42、51にデンプル状の微細窪みを生成し、その窪みに油を溜めることで油膜切れを防止する効果がある。
次に、内筒ギヤ部40および外筒ギヤ部50の歯面42、51にリン酸マンガン皮膜処理を施す。リン酸マンガン皮膜は、多孔質な結晶体のため、皮膜に油の保持力があると共に、初期馴染み性良好なため、摩擦熱の発生を抑える効果がある。
次に、内筒ギヤ部40および外筒ギヤ部50の歯面42、51に二硫化モリブデン焼成を施す。二硫化モリブデン焼成は、歯面42、51に固体潤滑剤を焼成することにより、万一油が枯渇しても、固体潤滑剤で金属接触を防止する効果がある。
次に、ワークロール2側のスピンドル外筒20および変速機4側のスピンドル外筒30に冷却用流体を噴き付け、スピンドル外筒20、30およびスピンドル内筒12、13の各歯面ならびに歯面間の潤滑油を強制冷却する。
内筒ギヤ部40および外筒ギヤ部50に設けた潤滑油室63はシール部材64によって外部と隔離され、高粘度の潤滑油が封入されている。しかし、潤滑油は高温になるに従い粘度が低下し、内筒ギヤ部40および外筒ギヤ部50において油膜切れが生じやすくなる。また、ギヤスピンドル3を高温状態で長期間使用すると潤滑油の劣化により潤滑性が低下する。よって、外部からギヤスピンドル3を強制冷却することは、油膜切れ防止および潤滑油の劣化防止に非常に効果がある。
冷却用流体としては、圧延用ロールクーラントや変速機潤滑用ギヤ油などが挙げられる。両流体とも冷却効果は十分であるが、ギヤスピンドル3に使用する高粘度の潤滑油に比べ油膜強度が極めて弱いので、内筒ギヤ部40および外筒ギヤ部50における歯面の潤滑剤としては不向きである。よって、上述のごとく、潤滑油室63をシール部材64によって外部と隔離することで、冷却用流体の潤滑油室63内への混入を防止すると共に、潤滑油の外部への流出を防止している。
圧延用ロールクーラントは、被圧延材とワークロール2との間の摩擦係数の低下やワークロール2の冷却を目的として、ワークロール2の近傍に多量に噴射されている。また、変速機潤滑用ギヤ油は、変速機4の歯車や軸受の摩擦係数の低下や冷却を目的に、変速機4の内部に多量に噴射されている。よって、これらの流体をギヤスピンドル3の冷却に採用することは、比較的容易であると共に、大きな効果が期待できる。
ギヤスピンドルの最弱部は内筒ギヤ部なので、前述したように、内筒ギヤ部40におけるクラウニング半径Crおよび歯幅Bを最適に設定することによって、内筒ギヤ部40の強度を向上させ、ギヤスピンドル3としての許容伝達トルクTaを向上させた。
しかし、本発明により内筒ギヤ部40の強度が向上すると、内筒ギヤ部40がギヤスピンドル3の最弱部ではなくなる可能性がある。つまり、内筒ギヤ部40の強度を向上させても、内筒ギヤ部40以外の部分の強度が不十分であれば、ギヤスピンドル3の許容伝達トルクTaを十分に大きくすることはできない。よって、ギヤスピンドル3としての許容伝達トルクTaの向上には、その他の部位を含めて全体的な強度を向上させることが不可欠である。
内筒ギヤ部40を除くギヤスピンドル3の強度は、外径がギヤスピンドル3のうちで最小径となる首部11における首径dに依存する。首径dが大きければ許容伝達トルクTaは大きくなり、首径dが小さければ許容伝達トルクTaは小さくなる。
スピンドル内筒10の首部11における首径dは、製作加工上の制約で歯底直径DBよりも小さい必要がある。首径dを大きくし、首部11における破損の虞をなくすためには、歯底直径DBと首径dの段差を、製作加工に支障のない範囲で極力小さくすることが効果的である。本実施例では、クラウニング等の加工に支障のないギヤスピンドル3における首径dの下限値を下式(7)に基づいて設定する。
Figure 0005575213
従来のギヤスピンドル(例えば、特許文献1)では首径/ピッチ円直径=d/DP≒0.78であるのに対し、本実施例のギヤスピンドル3では首径dを式(7)における下限値に設定することで首径/ピッチ円直径=d/DP≒0.89となる。捩り強度や曲げ強度は直径の三乗に比例するので、本実施例のギヤスピンドル3における強度は、従来のギヤスピンドルにおける強度に対して
(0.89)3/(0.78)3=1.49≒150%
となる。つまり、ギヤスピンドル3における首径dを式(7)の範囲で設定することで、首部11における捩り強度を従来に対し150%程度向上させることができる。
なお、本実施例のギヤスピンドル3には、首部11の機械的強度を向上させるため、スピンドル内筒10における首径dとなる範囲に浸炭焼入れ処理を施している。浸炭処理は標準熱処理である調質処理に比べ強度が約150%程度向上する。この浸炭処理と、前述した首径dの式(7)に基づく形状の特定とを合わせれば、首部11における捩り強度や曲げ強度が150%×150%=225%となり、従来に比べ2倍以上に向上させることができる。
次に、ギヤスピンドル3のクラウニング半径Crおよび歯幅Bの設定および作用について、具体例を用いて詳細に説明する。なお、数値設定Aとして、モジュールMn=10[mm]、傾斜角θ=1.2°とする。
数値設定Aにおいて、クラウニング半径Crに対して、歯端44における片当りを起こす虞のない歯幅Bは歯幅B4(図6)である。クラウニング半径Crに対する歯幅BをB4線よりも小さく設定すると、歯端44で片当りを起こすことによる歯の折損の虞が生ずる。よって、クラウニング半径Crに対する歯幅BをB4線以上(図6中のB4線から上部)で設定する。
クラウニング半径Crに対する歯幅BがB4線以上となる点Q1と点Q2の設定を比較する。点Q1は、B4線上の点Q2に対して、クラウニング半径Crを保ったまま歯幅Bだけを広げた設定である。点Q1と点Q2の設定においては、クラウニング半径Crの設定が同値であるので、有効歯幅Bh=f(Cr、T)も同等である。よって、点Q1の設定は、点Q2の設定に対して、歯元曲げ強度は向上せず、首径dは歯幅Bを広げた分だけ細くなるので強度が低下する。つまり、歯幅BをB4線よりも上側に設定しても、歯元曲げ強度に資することはなく、ギヤスピンドル3としては、首部11の強度低下や製造コストなどの観点から、歯幅Bを必要最小とするB4線上で設定することが好ましい。
次に、クラウニング半径Crに対して許容歯元曲げ応力σ=39[kg/mm2]となるのは歯幅B2である。B4線上においてクラウニング半径CrがB2線より下回るような点Q3に設定すると、歯元強度は不足する。そこで、クラウニング半径不足を補う目的で歯幅Bを増やして点Q4に設定しても、歯幅Bの増大は強度に資することはなく、逆に若干なりとも首径強度が低下する。よって、点Q3も点Q4も両方とも、歯元強度は不足しており、内筒ギヤ部40および外筒ギヤ部50における歯に折損の虞がある。よって、クラウニング半径Crに対する歯幅Bを、B2線とB4線とが交わる点Q5よりも大きいクラウニング半径Crおよび歯幅B(図6中の点Q5から右側)に設定する。
次に、クラウニング半径Crに対してバックラッシ量BLが最大値(数値設定Aにおいては、BL=1+0.1×Mn=2[mm])となるのは歯幅B3である。クラウニング半径Crに対する歯幅Bを、B3線とB4線とが交わる点Q6よりも小さいクラウニング半径Crおよび歯幅B(図6中の点Q6から左側)に設定する。クラウニング半径Crに対する歯幅BをB3線よりも大きく設定する(例えば、点Q7とする)と、バックラッシ量BLの過大により、ギヤスピンドル3の振動が大きくなり、被圧延材の板厚変動や平坦度悪化など圧延性能の悪化をもたらす虞がある。
以上のように、クラウニング半径Crおよび歯幅BをB4線上における点Q5から点Q6までの間で設定することによって、ギヤスピンドル3をバックラッシ過大により振動が発生することもなく、しかも許容歯元曲げ応力σaを超えて歯を折損させることもなく、従来よりも高速回転かつ大きい伝達トルクTに対応することができる。
なお、クラウニング半径Crおよび歯幅BをB4線上における点Q5に近い設定とした場合には、BL量が小さくガタが小さいので、より高速回転に対応することができる。また、クラウニング半径Crおよび歯幅BをB4線上における点Q6に近い設定とした場合には、クラウニング半径Crが大きいので、面圧Pが小さく歯元曲げ応力σも小さくなり、より大きい伝達トルクに対応することができる。なお、図6に示すように、B4線上における点Q5と点Q6との間での設定は、最大クラウニング半径Cr2よりも小さい設定であるので、首部11の捩り応力と曲げ応力の合力よってギヤスピンドル3が破損することはない。
本実施例では、説明の便宜上、ギヤスピンドル外径D、許容伝達トルクTaの強度指数T/D3、歯幅B、傾斜角θ、モジュールMnとして個別の数値を使用して説明したが、本発明はこれらの各数値に限定されない。図6に示す曲線と直線Cr1、B2、B3、Cr2、B1に囲まれた領域のクラウニング半径Crと歯幅Bの組み合わせという特質を活かし、ギヤスピンドルの強度を向上させることにより、従来よりも更にワークロールおよびギヤスピンドルを小径化することができる。
また、主に高抗張力鋼圧延に適したギヤスピンドルとして紹介したが、本実施例に係るギヤスピンドルおよびそれを備える圧延機は、許容伝達トルク性能を向上させており、適用範囲が広い。よって、高抗張力鋼より硬度の低い圧延材や比較的高硬度な圧延材の圧延にも適する。
本実施例においては、クラウニング半径Crに対する歯幅Bの設定範囲である歯幅B2の式(3)および歯幅B3の式(6)は、歯端44で片当りを起こすことによる歯の折損の虞がない必要最小限の歯幅Bに運転時の突発的最大負荷などを考慮した設定(必要最小限の歯幅Bにおける両歯端44から各20[mm]を確保した設定)で算出して成る。
この運転時の突発的最大負荷は、被圧延材の仕様、運転条件などに依存するものであり、全て一律のものではない。すなわち、突発的最大負荷を想定する必要のない場合には、歯幅Bを必要最小限まで更に狭くすることができる。
そこで、図7に示すように、歯端44で片当りを起こすことによる歯の折損の虞がない必要最小限の歯幅Bとして、歯幅B2の代わりに歯幅B20を下式(8)に基づいて設定する。
20=18×exp(0.001×Cr)[mm] ・・・(8)
この式(8)は、前述した数値設定の範囲において上記条件を加味し、図7に示すように、任意の傾斜角θに対して歯元曲げ応力σが許容歯元曲げ応力σa(=39[kg/mm2])となるクラウニング半径Crと、その条件において歯端で片当りを起こす虞のない歯幅Bをプロットして近似した式である。
外的要因で決定される任意の傾斜角θが与えられたとき、式(4)により歯元曲げ応力σを許容歯元曲げ応力σa以下に保つ必要最小限のクラウニング半径Crが決まり、併せて式(7)により許容最小限のクラウニング半径Crに最適な最小限の歯幅Bも決まる。ここで、クラウニング半径Crを必要最小限以下の値に設定した場合に、それを補完すべく歯幅Bを最適な値よりも大きい値に設定しても、強度に資することはなく、歯元曲げ応力σは許容歯元曲げ応力σaを超え、歯は折損の虞がある。
傾斜角θが与えられたとき、式(8)の条件において、クラウニング半径Crと歯幅Bの組み合わせを選定すると、許容最小限のクラウニング半径Crと最小限の歯幅Bを得ることができる。よって、クラウニング半径Crを許容最小限の値以上に設定し、歯幅Bをクラウニング半径Crが与えられたときに片当りを生じない最小限の値に設定する。これを数式で表せば下式となる。
B≦18×exp(0.001×Cr)[mm]
つまり、歯の許容伝達トルクTaを減ずることなく、許容歯元曲げ応力σa(=39[kg/mm2])を超えない、かつ式(3)による歯幅B2より狭い歯幅B20を設定することができる。
このように歯幅Bをより狭く設定することにより、更なるコスト削減や軽量化およびコンパクト化を図ることができる。また、ギヤスピンドル3の中心距離L3(図1)および全長L1(図2)が小さくなるので、ギヤスピンドル3をより振動の起こし難いものとすることができる。
また、図7に示すように、クラウニング半径Crに対して、バックラッシ量BLが式(5)による許容値となる歯幅Bとして、歯幅B3の代わりに歯幅B30を下式(9)に基づいて設定する。
30=19×Cr0.292[mm] ・・・(9)
この式(9)は、前述した数値設定の範囲において上記条件を加味し、図7に示すように、任意の傾斜角θに対してバックラッシ量BLが式(5)による許容値となるクラウニング半径Crと、その条件において歯端で片当りを起こす虞のない歯幅Bをプロットした近似式である。
外的要因で決定される任意の傾斜角θが与えられたとき、クラウニング半径Crを大きくすると、片当りを防止するために必要な歯幅Bが広くなると共に、バックラッシ量BLを大きくなる。
傾斜角θが与えられたとき、式(9)の条件において、クラウニング半径Crと歯幅Bの組み合わせを選定すると、許容最大限のクラウニング半径Crと最小限の歯幅Bを得ることができる。よって、クラウニング半径Crを許容最大限の値以下に設定し、歯幅Bをクラウニング半径Crが与えられたときに片当りを生じない最小限の値に設定する。これを数式で表せば下式となる。
B≦18×exp(0.001×Cr)[mm]
本実施例では、説明の便宜上、ギヤスピンドル外径D、許容伝達トルクTaの強度指数T/D3、歯幅B、傾斜角θ、モジュールMnとして個別の数値を使用して説明したが、本発明はこれらの各数値に限定されない。図7に示す曲線と直線Cr1、B20、B30、Cr2、B1に囲まれた領域のクラウニング半径Crと歯幅Bの組み合わせという特質を活かし、ギヤスピンドルの強度を向上させることにより、従来よりも更にワークロールおよびギヤスピンドルを小径化することができる。
また、主に高抗張力鋼圧延に適したギヤスピンドルとして紹介したが、本実施例に係るギヤスピンドルおよびそれを備える圧延機は、許容伝達トルク性能を向上させており、適用範囲が広い。よって、高抗張力鋼より硬度の低い圧延材や比較的高硬度な圧延材の圧延にも適する。
もちろん、ワークロールおよびギヤスピンドルの更なる小径化を伴わずに、圧延機として超高抗張力鋼を圧延するための十分な圧延荷重を掛けることが可能である場合には、本実施例に係るギヤスピンドルおよびそれを備える圧延機は許容伝達トルク性能を向上させているので、超高抗張力鋼を圧延することができる。
1 圧延機
2 ワークロール
3 ギヤスピンドル
4 変速機
5 ギヤカップリング
6 電動機
10 中間軸
11 スピンドル内筒の首部
12 スピンドル内筒(ワークロール側)
13 スピンドル内筒(変速機側)
20 スピンドル外筒(ワークロール側)
30 スピンドル外筒(変速機側)
40 内筒ギヤ部
41 歯幅中心
42 歯面
43 歯先
44 歯端
45 歯底
50 外筒ギヤ部
51 歯面
60 小判穴
61 小判穴の開端部
62 隔壁
63 潤滑油室
64 シール部材
70 ワークロール小判部
80 変速分配歯車軸
90 接触部
B 歯幅
Cr クラウニング半径
R 歯先半径
BL バックラッシ量
D ギヤスピンドル外径
P ピッチ円直径
B 歯底直径
W ワークロール径
d 首部直径

Claims (10)

  1. 一端側に外歯車の内筒ギヤ部を設けたスピンドル内筒と、前記内筒ギヤ部と嵌合する内歯車の外筒ギヤ部を設けたスピンドル外筒とが、その軸を0.6度乃至1.6度傾斜して成るギヤスピンドルにおいて、
    前記内筒ギヤ部における歯幅Bの歯に、歯幅方向に沿って中央が膨らんで両歯端が肉薄となるような半径Crのクラウニングを設け、
    前記歯幅Bと前記クラウニング半径Crとを、
    Cr=1200[mm]と、
    Cr=4000[mm]と、
    B=0.0272×Cr+28[mm]と、
    B=59.04×exp(0.0005×Cr)[mm]と、
    B=32×Cr0.247[mm]と
    をグラフ化して囲んでなる範囲で設定することを特徴とするギヤスピンドル。
  2. B=0.0272×Cr+28[mm]は、
    0.6度の傾斜角での、任意のクラウニング半径Crと、当該クラウニング半径Crで前記内筒スピンドルの歯が歯端当たりを生じない最小歯幅でなる無数の交点を結んでなる直線であり、
    B=59.04×exp(0.0005×Cr)[mm]は、
    0.6度乃至1.6度の範囲における任意の傾斜角での、前記内筒ギヤ部に掛かる歯元曲げ応力が許容最大値となるクラウニング半径Crと、当該クラウニング半径Crで前記スピンドル内筒の歯が歯端当たりを生じない最小歯幅に40[mm]を加えてなる無数の交点を結んでなる曲線であり、
    B=32×Cr0.247[mm]は、
    0.6度乃至1.6度の範囲における任意の傾斜角での、任意のクラウニング半径Crと、当該クラウニング半径Crで前記内筒スピンドルの歯が歯端当たりを生じない最小歯幅に40[mm]を加えてなる歯幅Bとの組み合わせで必要となるバックラッシが、前記内筒ギヤ部と前記外筒ギヤ部における許容最大バックラッシとなる無数の交点を結んでなる曲線である
    ことを特徴とする請求項1に記載のギヤスピンドル。
  3. 一端側に外歯車の内筒ギヤ部を設けたスピンドル内筒と、前記内筒ギヤ部と嵌合する内歯車の外筒ギヤ部を設けたスピンドル外筒とが、その軸を0.6度乃至1.6度傾斜して成るギヤスピンドルにおいて、
    前記内筒ギヤ部における歯に、歯幅方向に沿って中央が膨らんで両歯端が肉薄となるような半径Crのクラウニングを設け、
    前記歯幅Bと前記クラウニング半径Crとを、
    Cr=1200[mm]と、
    Cr=4000[mm]と、
    B=0.0272×Cr+28[mm]と、
    B=18×exp(0.001×Cr)[mm]と、
    B=19×Cr0.292[mm]と
    をグラフ化して囲んでなる範囲で設定することを特徴とするギヤスピンドル。
  4. B=0.0272×Cr+28[mm]は、
    0.6度の傾斜角での、任意のクラウニング半径Crと、当該クラウニング半径Crで前記内筒スピンドルの歯が歯端当たりを生じない最小歯幅でなる無数の交点を結んでなる直線であり、
    B=18×exp(0.001×Cr)[mm]は、
    0.6度乃至1.6度の範囲における任意の傾斜角での、前記内筒ギヤ部に掛かる歯元曲げ応力が許容最大値となるクラウニング半径Crと、当該クラウニング半径Crで前記スピンドル内筒の歯が歯端当たりを生じない最小歯幅でなる無数の交点を結んでなる曲線であり、
    B=19×Cr0.292[mm]は、
    0.6度乃至1.6度の範囲における任意の傾斜角での、任意のクラウニング半径Crと、当該クラウニング半径Crで前記内筒スピンドルの歯が歯端当たりを生じない最小歯幅との組み合わせで必要となるバックラッシが、前記内筒ギヤ部と前記外筒ギヤ部における許容最大バックラッシとなる無数の交点を結んでなる曲線である
    ことを特徴とする請求項3に記載のギヤスピンドル。
  5. 歯面に、ショットブラスト加工を施したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のギヤスピンドル。
  6. 歯面に、リン酸マンガン皮膜処理を施したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のギヤスピンドル。
  7. 歯面に、二硫化モリブデン皮膜処理を施したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のギヤスピンドル。
  8. スピンドル外筒とスピンドル内筒の外表面に、冷却用流体を噴き付けることで、歯面潤滑剤およびスピンドル外筒とスピンドル内筒の各歯面を強制冷却することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のギヤスピンドル。
  9. 前記内筒ギヤ部におけるピッチ円直径をDP[mm]、
    ギヤ圧力角をα[度]、
    ギヤモジュールをMn[mm]、
    クラウニング半径をCr[mm]、
    歯幅をB[mm]、
    前記内筒スピンドルの歯端部から首部へ移る部位の最小直径をd[mm]、
    歯先に設けた円弧形状の曲率半径をR=Cr×tanα[mm]
    とし、
    Figure 0005575213
    とすることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のギヤスピンドル。
  10. 被圧延材を圧延するための上下一対のワークロールと、上下一対のワークロールとそれぞれ独立して連結し、上下一対のワークロールへそれぞれ独立して回転動力を伝達する上下一対のギヤスピンドルと、上下一対のギヤスピンドルと連結する変速機と、変速機と連結し、変速機へ回転動力を伝達するギヤカップリングと、ギヤカップリングと連結し、ギヤカップリングへ回転動力を供給する電動機とを備える圧延機において、
    前記ギヤスピンドルが、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のギヤスピンドルであることを特徴とする圧延機。
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