JP5574335B2 - 屋根の耐震補強方法 - Google Patents

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Description

本発明は、稼働中の工場における屋根の耐震補強方法に関するものである。
ビルなどの建築物における耐震補強の一般的な方法としては、柱と梁とで囲まれた開口部に鉄骨ブレースなどの補強体を設置する壁面を利用した耐震補強工事が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、工場などの大空間を有する建築物においては、屋根が大スパンの鉄骨造になっており、屋根の耐震補強工事が必要になる場合がある。
ここで、稼働中の工場の屋根を耐震補強する必要がある場合、工場内を平面的にいくつかのエリアに分割し、一のエリアに配置された工作機械や装置類を別の場所に移動して、その場所に足場を組んで屋根の耐震補強工事をする方法が採用されている。また、休日や夜間などに工場が稼働していない時間帯がある場合には、当該時間帯に工作機械や装置類の上方に足場を組んで屋根の耐震補強工事をする方法が採用されることもある。
特開2008−14065号公報
しかしながら、部分的にエリアを空けて順次工事を行う場合には、工場の稼働を部分的に止めることになり、工場の稼働効率が低下するという問題がある。また、大型の工作機械や装置類の中には移動することができないものもあり、耐震補強工事ができない箇所が出てしまうという問題もある。
また、休日や夜間などの時間帯を使用して工事を行う場合には、耐震補強工事の作業開始前に工作機械や装置類の養生を行い、作業終了後に養生を撤去するなど、本来の耐震補強工事以外の作業の工数が多くなり、作業効率が低下して大幅なコストアップになるという問題がある。
そこで、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、工場を稼働停止させることなく、かつ、作業効率を向上することができる屋根の耐震補強方法を提供するものである。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、鉄骨造の屋根を有する工場における屋根の耐震補強方法であって、前記工場内に耐震補強鉄骨を組み立てるための防護構台を設置する工程と、前記工場内に前記耐震補強鉄骨をスライドさせるレールを設置する工程と、既存鉄骨と前記耐震補強鉄骨とを接合する仕口部分を施工する工程と、前記防護構台上で前記耐震補強鉄骨を組み立てる工程と、組み立てられた前記耐震補強鉄骨を前記レールを利用して所定位置までスライドする工程と、前記耐震補強鉄骨と前記仕口部分とを接合する工程と、を備えていることを特徴としている。
請求項1に記載した発明によれば、工場内の隅部であって、工場の稼働に影響の無い箇所に適当な広さの防護構台を設置することにより、工場の稼働エリアと工事エリアを上下に分離することができる。したがって、工場を稼働停止させることなく屋根の耐震補強工事を行うことができる。また、防護構台上で耐震補強鉄骨を組み立て、レールでスライド移動させることにより、鉄骨組立作業を連続して効率よく行うことができ、屋根の耐震補強工事の作業効率を向上することができる。さらに、鉄骨組立作業を昼間作業とすることができるため、作業単価を改善することができる。そして、鉄骨組立作業を防護構台上で行うため、地上での作業と略同一の環境で作業することができ、安全で効率よく工事を行うことができる。
請求項2に記載した発明は、前記耐震補強鉄骨は、1スパン分ずつ組み立てられ、スライド移動させることを特徴としている。
請求項2に記載した発明によれば、防護構台上での作業を1スパン分ずつ繰り返し作業とすることができるため、作業効率を向上することができる。
請求項3に記載した発明は、前記耐震補強鉄骨と前記レールとの摺動箇所に脱落防止用金物が取り付けられていることを特徴としている。
請求項3に記載した発明によれば、耐震補強鉄骨をレールに沿って移動させる際に、耐震補強鉄骨が脱落するのを確実に防止することができる。したがって、安全に耐震補強工事を行うことができる。
請求項4に記載した発明は、前記レールが、前記工場内に組み立てられた仮設足場又は仮設柱の上部に配されていることを特徴としている。
請求項4に記載した発明によれば、工事の稼働に影響の無い工場内の壁際などに仮設足場又は仮設柱を組み立てて、そこにレール部材を設けるだけで耐震補強鉄骨をスライド移動させることができるため、簡易な構成で所望の作業を行うことができる。また、壁際に仮設足場又は仮設柱を組み立てることにより、壁面の塗装工事などの改修工事を併行して行うことができる。
請求項5に記載した発明は、前記レールは、前記工場内に予め設置されている天井クレーンのクレーンガーターを利用することを特徴としている。
請求項5に記載した発明によれば、耐震補強鉄骨をスライド移動させるためのレールを新たに設置する必要がないため、耐震補強工事の作業効率をさらに向上させることができる。
請求項6に記載した発明は、前記レールに沿ってスライド移動可能な作業ステージをさらに備えていることを特徴としている。
請求項6に記載した発明によれば、ステージをさらに設けることにより、耐震補強鉄骨および既存鉄骨の塗装工事などを容易に行うことができる。また、作業ステージを移動可能に構成することにより、作業ステージの解体・組立て作業を軽減することができる。したがって、より安全に、より効率よく屋根の耐震補強工事を行うことができる。また、足場上に溶接の火花養生を施したまま移動させることができるため、養生作業を削減することができ、作業効率を向上することができる。
請求項7に記載した発明は、前記既存鉄骨と前記耐震補強鉄骨との結合作業を行うための作業ステージが、前記既存鉄骨または前記耐震補強鉄骨から吊り下げられているとともに、前記レールの延在方向に移動可能に構成されていることを特徴としている。
請求項7に記載した発明によれば、吊り足場の掛けばらし作業がなくなるため、高所作業を大幅に削減することができ、より安全に屋根の耐震補強工事を行うことができる。また、足場上に溶接の火花養生を施したまま移動させることができるため、養生作業を削減することができ、作業効率を向上することができる。
本発明の屋根の耐震補強方法によれば、工場内の隅部であって、工場の稼働に影響の無い箇所に適当な広さの防護構台を設置することにより、工場の稼働エリアと工事エリアを上下に分離することができる。したがって、工場を稼働停止させることなく屋根の耐震補強工事を行うことができる。また、防護構台上で耐震補強鉄骨を組み立て、レールでスライド移動させることにより、鉄骨組立作業を連続して効率よく行うことができ、屋根の耐震補強工事の作業効率を向上することができる。さらに、鉄骨組立作業を昼間作業とすることができるため、作業単価を改善することができる。そして、鉄骨組立作業を防護構台上で行うため、地上での作業と略同一の環境で作業することができ、安全で効率よく工事を行うことができる。
本発明の実施形態における工場の屋根伏図(耐震補強前)である。 本発明の実施形態における工場の梁伏図(耐震補強前)である。 図1のA−A線に沿う断面図(耐震補強前)である。 本発明の実施形態における工場の梁伏図(耐震補強後)である。 図4のB−B線に沿う断面図(耐震補強後)である。 本発明の実施形態における耐震補強工事中の状態を示す屋根伏図である。 本発明の実施形態における補強梁と既存鉄骨との接合状態を示す側面部(一部断面図)である。 本発明の実施形態における補強梁をスライド移動させる方法を説明する正面図である。 本発明の実施形態における補強梁と既存鉄骨との接合状態を示す斜視部である。 本発明の実施形態における補強梁をスライド移動させる途中状態を示す斜視図(1)である。 本発明の実施形態における補強梁をスライド移動させる途中状態を示す斜視図(2)である。 本発明の実施形態における作業ステージを示す平面図である。 本発明の実施形態における作業ステージ上に枠組み足場を組み立てた状態を示す側面図である。 本発明の実施形態における作業ステージ上に枠組み足場を組み立てた状態を示す正面図である。 本発明の実施形態における作業ステージの別の態様を示す正面図である。 図15の作業ステージの側面図である。 図15の作業ステージをスライド移動させる方法を説明する側面図(1)である。 図15の作業ステージをスライド移動させる方法を説明する側面図(2)である。 図15の作業ステージをスライド移動させる方法を説明する側面図(3)である。 図15の作業ステージをスライド移動させる方法を説明する側面図(4)である。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態における工場の屋根伏図(耐震補強前)であり、図2は工場の梁伏図(耐震補強前)であり、図3は図1のA−A線に沿う断面図(耐震補強前)である。図1〜図3に示すように、本実施形態の工場10は、平面視で幅約15.5m×奥行約66mの大きさを有する第1空間部11と、幅約19m×奥行約58mの大きさを有する第2空間部12と、が連結されて大空間を有している。なお、第1空間部11および第2空間部12は、ともに屋根15の最大高さが約17mとなっている。そして、既存の建物は鉄骨造で構成されている。
図4は本実施形態における工場の耐震補強工事後の屋根伏図であり、図5は図4のB−B線に沿う断面図である。図4、図5に示すように、本実施形態では、屋根15を構成する既存鉄骨17のトラス材18を補強する工事、水平力を負担する補強梁19を新規に設置する工事、水平ブレース20を新規に設置する工事、繋ぎ梁21を新規に設置する工事、および既存繋ぎ梁22を補強する工事を行う。以下に、工場10の屋根15の耐震補強工事について説明する。
図6に示すように、本実施形態の耐震補強工事では、第1空間部11および第2空間部12内にそれぞれ防護構台25を組み立てる。防護構台25は、第1空間部11および第2空間部12の隅部(平面視一方端部)にそれぞれ設ける。また、防護構台25は工場内に配されている工作機械や装置類の高さを回避する高さに設けられる。防護構台25を設けることにより、工場10内を稼働エリア(地上面)と工事エリア(防護構台面)とに上下に分離することができる。なお、防護構台25の幅は、第1空間部11および第2空間部12の幅と略同一の大きさで設けられ、奥行は構台上で安全に作業ができる大きさ(約1〜2スパン分の大きさ)で設けられる。
略同時に、第1空間部11および第2空間部12に仮設柱27を配置する。例えば、第1空間部11における仮設柱27は、第1空間部11の奥行方向に配されている既存柱(不図示)近傍に配置する。つまり、仮設柱27は、第1空間部11の壁際と第1空間部11における第2空間部12との境界とにそれぞれ対向するように配置する。同様に、第2空間部12における仮設柱27は、第2空間部12の奥行方向に配されている既存柱(不図示)近傍に配置する。
続いて、第1空間部11および第2空間部12の奥行方向に隣り合う仮設柱27,27の上端に仮設繋ぎ梁29を配置する。仮設繋ぎ梁29は、防護構台25上で組み立てられた補強梁19などを奥行方向にスライド移動させるためのレールとして機能するものである。
続いて、図7に示すように、補強梁19などの組み立てに先行し(または併行して)補強梁19と既存鉄骨17とを接合するための仕口部31を既存鉄骨17側に施工する。
続いて、防護構台25上において補強梁19などを組み立てる。まず、防護構台25が配された側と反対側1スパン分の補強梁19、水平ブレース20および繋ぎ梁21からなる耐震補強部材(耐震補強鉄骨)を組み立てる。このとき、補強梁19のボルト本締めやタッチアップ塗装なども全て防護構台25上で完了させる。
続いて、組み立てられた補強梁19などを1スパン分奥行方向にスライド移動させる。このとき、図8に示すように、補強梁19などは仮設繋ぎ梁29をレールとして利用して奥行方向にスライド移動させる。具体的には、補強梁19の端部には仮設ブラケット33を連結させておき、該仮設ブラケット33の下端には仮設繋ぎ梁(レール)29から脱落するのを防止する脱落防止金物35が取り付けられている。脱落防止金物35は、断面略コ字状に形成されており、仮設繋ぎ梁29に対して上方から嵌合できるように構成されている。また、脱落防止金物35は、隣接する仮設繋ぎ梁29,29の連結箇所をスムーズにスライド移動できるように、奥行方向側の両端部に上方への反り返し部が形成されている。
続いて、防護構台25上で次の1スパン分の補強梁19などを組み立てる。この組立→スライド移動の作業を繰り返し、全てのスパンの補強梁19、水平ブレース20および繋ぎ梁21を所定の位置まで移動させる。
続いて、補強梁19を既存鉄骨17に順次接合する。具体的には、図9に示すように、仕口部31(既存鉄骨17)と補強梁19とをボルト締めや溶接などにより接合する。この手順としては、まず、図10に示すように、仮設繋ぎ梁29(図11では不図示)に沿ってスライド移動してきた仮設ブラケット33が連結された補強梁19を所定の位置で静止させる。続いて、図11に示すように、補強梁19と仕口部31とをボルトを用いて仮接合する。略同時に補強梁19に連結されていた仮設ブラケット33を取り外す。続いて、図9に戻り、補強梁19と既存鉄骨17とを本設ブラケット37および接合プレート39を用いて接合するとともに、補強梁19と仕口部31との間をボルト本締めし、さらに必要箇所を溶接することにより補強梁19を所定の位置に固定することができる。
なお、本実施形態では、仮設柱27の上方に設けた仮設繋ぎ梁29をレールとして利用したが、必ずしも仮設繋ぎ梁29を利用しなくてもよい。具体的には、耐震補強工事と同時に工場10内の壁面や既存鉄骨17の塗装工事などの改修工事を行う場合、改修工事用に設置する仮設足場の上部に鋼材を奥行方向に架設して、該鋼材をレールとして利用してもよい。また、工場10内に天井クレーンなどの設備が設置されている場合であって、クレーンガーターが予め設置されている場合には、該クレーンガーターをレールとして利用してもよい。
続いて、屋根15を構成する既存鉄骨17のトラス材18を補強する工事および既存繋ぎ梁22を補強する工事の方法について説明する。
屋根15の既存鉄骨17(トラス材18)の補強工事や塗装工事を行う場合には、必ず足場が必要になる。また、鉄骨補強のための溶接火花の養生や、塗装工事の前工程での鉄骨ケレン作業や埃の清掃作業のための養生は、下方で工場が稼働しているため特に念入りに行う必要がある。なお、トラス材18の補強工事とは、該トラス材18に補強トラス材18a(図14参照)を接合して補強する工事である。
従来は、屋根15の既存鉄骨17を利用して、吊り足場や棚足場を平面視で略全面に組み立てて補強工事を行っていた。しかしながら、足場を組み立てる仮設工事は高所で行うために危険であり、工数もかかっていた。その上、溶接火花、ケレンカス、埃などは小さな穴からも落下するため、完全な養生は極めて困難である。したがって、このような作業も工場10の稼働が停止する夜間や休日に行っている。さらに、作業開始前には火花、埃、ゴミなどの落下に備えた養生を行い、作業終了時には都度養生を撤去するという余分な作業が発生している。そこで、上述の補強梁19の新設作業と同様に、仮設工事を少なくして安全性を向上するとともに、工場内空間を上下に分離して、昼間も補強工事、塗装工事を行うことができる方法について説明する。
本実施形態では、図12に示すような奥行方向にスライド移動可能な作業ステージ41を設ける。作業ステージ41の移動に利用するレールは、上述した補強梁19をスライド移動させるレール(仮設繋ぎ梁29)とは別に設けることにより、作業ステージ41と補強梁19とを干渉させることなく移動させることができる。また、上述した補強梁19をスライド移動させるレール(仮設繋ぎ梁29)を利用する際には、この作業ステージ41を利用して行う工事(屋根15を構成する既存鉄骨17のトラス材18を補強する工事および既存繋ぎ梁22を補強する工事)を先行して行うようにすればよい。レールを利用して作業ステージ41をスライド移動させる際には、上述の仮設ブラケット33に取り付けた脱落防止金物35と略同一の構成の金物を作業ステージ41の脚部に取り付けておくことで、レールの延在方向に作業ステージ41をスムーズにスライド移動させることができる。
また、図13に示すように、作業ステージ41の上面は防炎シート45などで全面養生し、小さな隙間も無いようにしておく。また、作業ステージ41の上面と屋根15に配された既存鉄骨17との間は、所定の隙間が形成されている。この隙間を形成することにより、屋根15に配された既存鉄骨17の下面の塗装を容易に行うことができる。また、所定の隙間を形成することにより、この隙間に収まる高さの枠組み足場43の一部43aを作業ステージ41上に固定しておくことができる。このように枠組み足場43の一部43aが作業ステージ41上に組まれていることにより、スライド移動後の枠組み足場43の組立てに要する時間を短縮することができる。
そして、図13、図14に示すように、この作業ステージ41上には、枠組み足場43を組み立てることができるように構成されている。ただし、枠組み足場43を組み立てた状態では既存鉄骨17などと干渉するため、足場をスライド移動させることはできない。したがって、作業ステージ41を利用する際には、所望の位置まで作業ステージ41を移動させた後、作業ステージ41上に枠組み足場43を組み立て、その後、枠組み足場43を利用して既存鉄骨17の塗装工事やトラス材18の補強工事などを行う。そして、対象エリアの工事が完了した後に、枠組み足場43を解体し、作業ステージ41をまた別の位置までスライド移動して、同様の作業を繰り返しながら、屋根15を構成する既存鉄骨17のトラス材18を補強する工事および既存繋ぎ梁22を補強する工事を全スパンに亘って施工する。全スパンの工事が完了した後、作業ステージ41を防護構台25上までスライド移動させて戻し、防護構台25上で作業ステージ41を解体すればよい。
このように移動可能な作業ステージ41を設けることにより、工場が稼働している昼間でも屋根15の塗装工事や補強工事などの改修工事を実施することができる。また、作業ステージ41上で枠組み足場43の組立・解体を行うことができるため、安全性が向上するとともに、作業効率も向上する。さらに、作業ステージ41を移動可能に構成することにより、仮設資材の物量が少なくなり、工事費の低減にもつながる。
なお、作業ステージ41は、工場10内に天井クレーンなどの設備が設置されている場合であって、クレーンガーターが予め設置されている場合には、該クレーンガーターをレールとして利用してもよい。また、このような耐震補強工事と同時に工場10内の壁面の塗装工事などの改修工事を行う場合、改修工事用に設置する仮設足場の上部に鋼材を奥行方向に架設して、該鋼材を作業ステージ41のスライド移動用のレールとして利用してもよい。さらに、上述した補強梁19、水平ブレース20および繋ぎ針21からなる耐震補強部材を利用して作業ステージ41を一緒に組み込んでもよい。
また、作業ステージの別の態様として、図15に示すような奥行方向に移動可能な作業ステージ51を設けてもよい。作業ステージ51の移動に利用するレールは、上述した繋ぎ梁21を利用している。この作業ステージ51を用いて、既存鉄骨17と新設した補強梁19などとを結合させて一体化する工事を行う。
図15、図16に示すように、作業ステージ51は既存の仮設材(例えば、マルチトラス材)を使用し、適当な幅と長さに組み立てたものを使用する。作業ステージ51における繋ぎ梁21に対向する位置には、奥行方向両側に突出した腕部材52が取り付けられている。また、繋ぎ梁21をまたぐように略U字状に形成された吊り材53が設けられている。吊り材53は、繋ぎ梁21に引っ掛けるように配されるとともに、下端側を腕部材52に着脱自在に固定できるようになっている。このように構成することにより、作業ステージ51は繋ぎ梁21の延在方向に沿って移動できる。また、作業ステージ51を奥行方向に移動させると、吊り材53が補強梁(大梁)19などに干渉することがある。その際の作業ステージ51の移動方法についてさらに説明する。
図17は補強梁19Aの溶接作業を行っている状態を示している。このとき、作業ステージ51は補強梁19Aの直下に位置しており、作業ステージ51の吊り材53(53A,53B)は、補強梁19Aを介して両側に配されている。また、吊り材53は、作業ステージ51に取り付けられている2セットとは別にもう1セット吊り替え用の吊り材53Cが備えられている。
図18は補強梁19Aの溶接作業が完了し、次のスパンに設置された補強梁19Bの溶接作業を行うために作業ステージ51を移動させている途中の状態を示している。図18に示すように、作業ステージ51を移動させていくと、進行方向後ろ側の吊り材53Aが補強梁19Aに干渉するため、補強梁19Aを介して吊り材53Aの反対側に予備の吊り材53Cを取り付ける。吊り材53Cが取り付けられた後に、吊り材53Aを取り外す。このようにすることで、作業ステージ51のバランスを崩すことなく、次のスパンの補強梁19B側にスムーズに移動させることができる。
図19は作業ステージ51が次のスパンの補強梁19B側にさらに移動して、進行方向前側の吊り材53Bが次のスパンの補強梁19Bに干渉している状態を示している。このとき、補強梁19Bを介して吊り材53Bの反対側(進行方向前側)に予備の吊り材53Aを取り付ける。吊り材53Aが取り付けられた後に、吊り材53Bを取り外す。このようにすることで、作業ステージ51をさらに次のスパンの補強梁19B側に移動させることができる。
図20は作業ステージ51が次のスパンの補強梁19Bの直下まで移動した状態を示している。この状態で補強梁19Bの溶接作業などを行うことができる。なお、補強梁19Bの溶接作業などが終了して、さらに次のスパンに作業ステージ51を移動させる際には、図17の状態に戻す必要がある。つまり、両側の吊り材53の位置をそれぞれ吊り替える必要がある。
上述した図17〜図20の手順を繰り返すことにより作業ステージ51は繋ぎ梁21の延在方向に沿ってスムーズに移動できるようになっている。
なお、本実施形態では、繋ぎ梁21を作業ステージ51移動用のレールとして利用したが、補強梁19の下部に作業ステージ51移動用のレールを予め設けておき、それを利用するように構成することもできる。この場合は、吊り材53の吊り替え作業が不要になる。また、補強梁19の下部に設けたレールを補強部材の一部とすることにより、該レールを撤去する必要がなくなり、作業効率を向上することができる。
本実施形態によれば、工場10内の隅部であって、工場10の稼働に影響の無い箇所に適当な広さの防護構台25を設置することにより、工場10の稼働エリアと工事エリアを上下に分離することができる。したがって、工場10を稼働停止させることなく屋根15の耐震補強工事を行うことができる。また、防護構台25上で補強梁19、水平ブレース20および繋ぎ梁21からなる耐震補強鉄骨を組み立て、仮設繋ぎ梁29で構成されたレールでスライド移動させることにより、鉄骨組立作業を連続して効率よく行うことができ、屋根15の耐震補強工事の作業効率を向上することができる。さらに、鉄骨組立作業を昼間作業とすることができるため、作業単価を改善することができる。そして、鉄骨組立作業を防護構台25上で行うため、地上での作業と略同一の環境で作業することができ、安全で効率よく工事を行うことができる。
また、耐震補強鉄骨を1スパン分ずつ組み立て、スライド移動させることにより、防護構台25上での作業を1スパン分ずつ繰り返し作業とすることができるため、作業効率を向上することができる。
また、耐震補強鉄骨とレール(仮設繋ぎ梁29)との摺動箇所に脱落防止用金物35を取り付けたため、補強梁19などの耐震補強鉄骨をレールに沿って移動させる際に、耐震補強鉄骨が脱落するのを確実に防止することができる。したがって、安全に耐震補強工事を行うことができる。
また、レールに沿ってスライド移動可能な作業ステージ41を設けたため、既存鉄骨17の補強工事や塗装工事などを容易に行うことができる。また、作業ステージ41を移動可能に構成することにより、作業ステージ41の解体・組立て作業を軽減することができる。したがって、より安全に、より効率よく屋根15の耐震補強工事を行うことができる。また、足場上に溶接の火花養生を施したまま移動させることができるため、養生作業を削減することができ、作業効率を向上することができる。
また、繋ぎ梁21の延在方向に沿って移動可能に構成された作業ステージ51を設けることで、既存鉄骨17と補強梁19との結合作業などを容易に行うことができる。また、吊り足場の掛けばらし作業がなくなるため、高所作業を大幅に削減することができ、より安全に屋根15の耐震補強工事を行うことができる。また、足場上に溶接の火花養生を施したまま移動させることができるため、養生作業を削減することができ、作業効率を向上することができる。
尚、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な構造や構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
10…工場 15…屋根 17…既存鉄骨 19…補強梁(耐震補強鉄骨) 20…水平ブレース(耐震補強鉄骨) 21…繋ぎ梁(耐震補強鉄骨) 25…防護構台 29…仮設繋ぎ梁(レール) 31…仕口部(仕口部分) 35…脱落防止金物 41…作業ステージ 51…作業ステージ

Claims (7)

  1. 鉄骨造の屋根を有する工場における屋根の耐震補強方法であって、
    前記工場内に耐震補強鉄骨を組み立てるための防護構台を設置する工程と、
    前記工場内に前記耐震補強鉄骨をスライドさせるレールを設置する工程と、
    既存鉄骨と前記耐震補強鉄骨とを接合する仕口部分を施工する工程と、
    前記防護構台上で前記耐震補強鉄骨を組み立てる工程と、
    組み立てられた前記耐震補強鉄骨を前記レールを利用して所定位置までスライドする工程と、
    前記耐震補強鉄骨と前記仕口部分とを接合する工程と、を備えていることを特徴とする屋根の耐震補強方法。
  2. 前記耐震補強鉄骨は、1スパン分ずつ組み立てられ、スライド移動させることを特徴とする請求項1に記載の屋根の耐震補強方法。
  3. 前記耐震補強鉄骨と前記レールとの摺動箇所に脱落防止用金物が取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の屋根の耐震補強方法。
  4. 前記レールが、前記工場内に組み立てられた仮設足場又は仮設柱の上部に配されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の屋根の耐震補強方法。
  5. 前記レールは、前記工場内に予め設置されている天井クレーンのクレーンガーターを利用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の屋根の耐震補強方法。
  6. 前記レールに沿ってスライド移動可能な作業ステージをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の屋根の耐震補強方法。
  7. 前記既存鉄骨と前記耐震補強鉄骨との結合作業を行うための作業ステージが、前記既存鉄骨または前記耐震補強鉄骨から吊り下げられているとともに、前記レールの延在方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の屋根の耐震補強方法。
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