JP5573782B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
気筒から排出される排気ガスを浄化する触媒と、
吸気バルブと排気バルブのうち少なくとも一方のバルブを閉弁状態で弁停止させることが可能な弁停止機構と、
燃料中のアルコール濃度を検出するアルコール濃度検出手段と、
少なくとも吸入空気量と前記アルコール濃度とに基いて前記触媒のHC被毒量を推定し、前記HC被毒量が解除を必要とするレベルである場合に被毒解除要求を発生させる被毒解除要求発生手段と、
所定の燃料カット条件が成立し、かつ、前記被毒解除要求が発生した場合に、前記吸気バルブと前記排気バルブとを作動させた状態で前記燃料供給手段を停止する第1の燃料カット手段と、
前記燃料カット条件が成立し、かつ、前記被毒解除要求が発生していない場合に、前記弁停止機構により少なくとも前記一方のバルブを弁停止させた状態で前記燃料供給手段を停止する第2の燃料カット手段と、
を備えることを特徴とする。
前記第1の燃料カット手段の作動中に前記触媒に供給された空気量が前記被毒解除空気量に達した場合に、前記第1の燃料カット手段を停止して前記第2の燃料カット手段を作動させる燃料カット切換手段と、を備える。
前記劣化抑制要求が発生していない場合に、前記被毒解除要求が発生していなくても、前記第1の燃料カット手段を作動させる被毒解除優先手段と、を備える。
[実施の形態1の構成]
以下、図1乃至図4を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための全体構成図である。本実施の形態のシステムは、FFV等の車両に搭載される内燃機関として多気筒型のエンジン10を備えている。エンジン10は、例えばメタノール、エタノール等のアルコール成分を含む燃料(アルコール燃料)及びガソリンが使用可能となっている。なお、図1は、エンジン10に搭載された複数気筒のうちの1気筒を例示したものである。エンジン10の各気筒には、ピストン12により燃焼室14が形成されており、ピストン12はクランク軸16に連結されている。また、エンジン10は、各気筒に吸入空気を吸込む吸気通路18を備えており、吸気通路18には、吸入空気量を調整する電子制御式のスロットルバルブ20が設けられている。
一般に、アルコール燃料の使用時には、ガソリンと比較して未燃燃料(HC)が触媒24に吸着され易いため、触媒のHC被毒(未燃燃料の吸着による浄化能力の低下)が頻繁に発生する。この傾向はアルコールが極性分子であることに起因している。従って、燃料カットの実行時には、例えば触媒の劣化を回避するために弁停止を行うと、HC被毒が継続した状態となり易い。一方、弁停止せずに燃料カットを実行すると、触媒を劣化させることになる。そこで、本実施の形態では、燃料カット条件が成立した場合に、触媒のHC被毒量(被毒解除要求)と劣化し易さ(劣化抑制要求)とに基いて2種類の燃料カットを使い分けることにより、HC被毒の解除と劣化の抑制とを両立させる構成としている。以下、これらの燃料カット及び上記各要求の発生条件について説明する。
まず、燃料カットが実行される一般的な条件(燃料カット条件)について説明する。本実施の形態では、下記の条件(1),(2)の両方が成立した場合に、燃料カット条件が成立したと判定する。
(1)アクセル操作量が零(即ち、アイドルスイッチがON)
(2)エンジン回転数が所定の燃料カット回転数以上
なお、上記条件(1),(2)は、減速時燃料カットと呼ばれる燃料カットの実行条件の一例を示したもので、本発明を限定するものではない。
被毒解除要求とは、触媒24のHC被毒量が解除を必要とするレベルである場合に発生されるもので、具体的には、下記の条件(3)〜(6)の全てが成立した場合に、被毒解除要求が発生したものと判定する。
(3)エンジン水温が暖機完了状態に対応する所定値(暖機完了温度T1)以上
(4)触媒温度がHC被毒の解除を可能とする温度の下限値(下限温度T2)よりも低い
(5)弁作動燃料カット(後述)の実行中でない
(6)上記条件(3)〜(5)が成立した状態で、吸入空気量を積算した値である積算吸入空気量が被毒許容限度Ga1よりも増加
劣化抑制要求とは、触媒24が空気(酸素)との接触により劣化し易い状況となった場合に発生されるもので、具体的には、下記の条件(7),(8)の両方が成立した場合に、劣化抑制要求が発生したものと判定する。
(7)前述の燃料カット条件が成立
(8)触媒温度が劣化判定温度T3よりも高い
ここで、劣化判定温度T3は、例えば800℃程度の高温に設定される。上記条件(7),(8)が成立した場合には、燃料カットを行うときの排気温度が高く、かつ、排気ガス中に酸素が過剰に存在することになる。この場合には、触媒の劣化が進行し易いので、劣化抑制要求を発生させる。なお、劣化判定温度T3は、吸入空気量等に基いて可変に設定してもよい。
弁作動燃料カットは、前述の燃料カット条件が成立した状態において、被毒解除要求が発生した場合、または、劣化抑制要求が発生していない場合に実行される。そして、弁作動燃料カットでは、吸気バルブ32と排気バルブ34とを通常通りに作動させた状態で、燃料噴射を停止する。この制御によれば、燃料カットを実行しつつ、触媒24に新気を供給し、触媒のHC被毒を解除することができる。なお、弁作動燃料カットは、第1の燃料カット手段に対応している。
弁停止燃料カットは、燃料カット条件が成立し、かつ、劣化抑制要求が発生した状態において、被毒解除要求が発生していない場合に実行される。そして、弁停止燃料カットでは、吸気バルブ32と排気バルブ34のうち少なくとも一方のバルブ(両方でもよい)を可変動弁機構36(または38)により弁停止させた状態で、燃料噴射を停止する。この制御によれば、燃料カットを実行しつつ、触媒24を新気から遮断することができ、触媒の劣化を抑制することができる。なお、弁停止燃料カットは、第2の燃料カット手段に対応している。
次に、図2乃至図4を参照して、上述した制御を実現するための具体的な処理について説明する。まず、図2は、本発明の実施の形態1において、ECUにより実行される制御のフローチャートである。この図に示すルーチンは、エンジンの運転中に繰返し実行されるものとする。図2に示すルーチンでは、まず、ステップ100において、燃料カット要求フラグ(F/C要求フラグ)が「ON」に設定されているか否かを判定する。ここで、燃料カット要求フラグは、本ルーチンと並列に実行される他のルーチン(図示せず)により設定されるもので、前述の燃料カット条件が成立した場合に「ON」となり、燃料カット条件が不成立の場合に「OFF」となる。ステップ100の判定が不成立の場合には、燃料カットの実行タイミングではないので、本ルーチンを終了する。
次に、図5及び図6を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態は、前記実施の形態1とほぼ同様の構成及び制御において、弁作動燃料カット中に触媒に供給された空気量に基いて燃料カットを切換えることを特徴としている。なお、本実施の形態では、実施の形態1と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
弁作動燃料カット中には、触媒24に空気が供給されることにより、HC被毒の解除が実行されるが、被毒の解除が完了した場合には、弁停止燃料カットに切換えて触媒の劣化を抑制するのが好ましい。このため、本実施の形態では、被毒解除要求が発生した場合に、HC被毒の解除に必要な空気量である被毒解除空気量Ga0を後述のパラメータに基いて算出する。そして、弁作動燃料カット中に触媒24に供給された空気量が被毒解除空気量Ga0に達した場合には、弁作動燃料カットを停止し、これに代えて弁停止燃料カットを実行する構成としている。
HC被毒の解除は、触媒に吸着された未燃燃料を空気との酸化反応により燃焼させることで実現される。このため、被毒解除空気量Ga0は、触媒に吸着された未燃燃料の量(≒HC被毒量)が多いほど増加する特性がある。また、未燃燃料はアルコール濃度が高いほど吸着され易くなるので、触媒のHC被毒量及び被毒解除空気量Ga0は、燃料中のアルコール濃度が高いほど増加する特性がある。これらの特性は、2次元のデータマップ等としてECU60に予め記憶されており、ECU60は、前述の積算吸入空気量と燃料中のアルコール濃度とに基いて当該データマップから被毒解除空気量Ga0を算出する。
また、触媒のHC被毒量は、下記の(A)〜(G)に示すパラメータによっても影響される。従って、本実施の形態では、これらのパラメータの中から必要に応じて選択した1個または複数個のパラメータと、積算吸入空気量と、燃料中のアルコール濃度とに基いて被毒解除空気量Ga0を算出する構成としてもよい。この算出処理の具体例を挙げると、まず、選択したパラメータとHC被毒量との関係を示すデータマップ等を予め用意しておき、当該パラメータの検出値(または算出値)に基いて前記データマップからHC被毒量の補正係数を算出する。そして、この補正係数と、積算吸入空気量と、燃料中のアルコール濃度とに基いて被毒解除空気量Ga0を算出すればよい。
触媒の劣化が進行すると、未燃燃料を吸着して被毒するサイトの個数が減少するので、その結果としてHC被毒も生じ難くなる。即ち、HC被毒量は、触媒の劣化度が増加するほど減少する傾向がある。また、触媒の劣化度と酸素吸蔵量Cmaxとの間には、図5に示すように負の相関がある。ここで、酸素吸蔵量Cmaxとは、所謂アクティブ空燃比制御により触媒に対して酸素を吸蔵及び放出させるサイクルを実現したときに、1サイクル中に触媒に吸蔵(触媒から放出)される酸素の総量として定義される。なお、酸素吸蔵量Cmaxの算出方法は公知であり、例えば特開2008−31901号公報に記載されているので、その説明を省略する。従って、劣化度をパラメータとして使用する場合には、まず、上記方法により算出した酸素吸蔵量Cmaxに基いて、図5に示す特性線から触媒の劣化度を算出する。そして、劣化度が増加するほどHC被毒量が減少するように設定されたデータマップ等に基いて、劣化度からHC被毒量の補正係数を算出することができる。
HC被毒量は、触媒温度が低いほど増加する傾向がある。即ち、触媒温度が低い場合には、触媒に吸着された未燃燃料の分子運動が低下し、未燃燃料が触媒から脱離し難くなるので、高温時と比較してHC被毒量が増加することになる。従って、触媒温度が低いほどHC被毒量が増加するように設定されたデータマップ等に基いて、触媒温度からHC被毒量の補正係数を算出することができる。
HC被毒量は、触媒に到達する未燃燃料の量が多いほど増加する傾向がある。触媒に到達する混合気の量(≒未燃燃料の量)は、弁作動燃料カットが前回実行された直後から現時点までの期間中に積算した吸入空気の積算空気量と相関がある。従って、この積算空気量が多いほどHC被毒量が増加するように設定されたデータマップ等に基いて、前記期間中の積算空気量からHC被毒量の補正係数を算出することができる。
上記(C)の場合とほぼ同様の理由により、HC被毒量は、弁作動燃料カットが前回実行された直後から現時点までの期間中に積算された走行距離が長いほど、増加する傾向がある。従って、この傾向をデータ化したデータマップ等に基いて、前記期間中の走行距離からHC被毒量の補正係数を算出することができる。
上記(C)の場合とほぼ同様の理由により、HC被毒量は、弁作動燃料カットが前回実行された直後から現時点までの期間中に走行した走行時間が長いほど、増加する傾向がある。従って、この傾向をデータ化したデータマップ等に基いて、前記期間中の走行時間からHC被毒量の補正係数を算出することができる。
弁作動燃料カットが前回実行された直後から現時点までの期間中において排気空燃比の平均値を算出した場合に、HC被毒量は、前記平均値がリッチ側であるほど増加する傾向がある。従って、この傾向をデータ化したデータマップ等に基いて、前記期間中の排気空燃比の平均値からHC被毒量の補正係数を算出することができる。
弁作動燃料カットが前回実行された直後から現時点までの期間中において、排気空燃比が最もリッチとなったときの空燃比(リッチ側最大値)を計測した場合に、HC被毒量は、前記リッチ側最大値が大きいほど増加する傾向がある。従って、この傾向をデータ化したデータマップ等に基いて、前記期間中の排気空燃比のリッチ側最大値からHC被毒量の補正係数を算出することができる。
次に、図6を参照して、上述した制御を実現するための具体的な処理について説明する。この図に示すルーチンは、前記実施の形態1の図2に代えて実行されるもので、図3及び図4に示すルーチンと並列に繰返し実行されるものとする。図6に示すルーチンでは、まず、ステップ400〜404において、前記図2中のステップ100〜104と同様の処理を実行する。そして、ステップ406では、被毒解除要求が発生しているので、弁作動燃料カットを実行する前に、前述の方法により被毒解除空気量Ga0を算出する。
12 ピストン
14 燃焼室
16 クランク軸
18 吸気通路
20 スロットルバルブ
22 排気通路
24 触媒
26,28 燃料噴射弁(燃料供給手段)
30 点火プラグ
32 吸気バルブ
34 排気バルブ
36,38 可変動弁機構(弁停止機構)
40 クランク角センサ
42 エアフローセンサ
44 水温センサ
46 空燃比センサ
48 触媒温度センサ
50 アルコール濃度センサ(アルコール濃度検出手段)
60 ECU
Claims (4)
- アルコール成分を含む燃料を気筒に供給する燃料供給手段と、
気筒から排出される排気ガスを浄化する触媒と、
吸気バルブと排気バルブのうち少なくとも一方のバルブを閉弁状態で弁停止させることが可能な弁停止機構と、
燃料中のアルコール濃度を検出するアルコール濃度検出手段と、
少なくとも吸入空気量と前記アルコール濃度とに基いて前記触媒のHC被毒量を推定し、前記HC被毒量が解除を必要とするレベルである場合に被毒解除要求を発生させる被毒解除要求発生手段と、
所定の燃料カット条件が成立し、かつ、前記被毒解除要求が発生した場合に、前記吸気バルブと前記排気バルブとを作動させた状態で前記燃料供給手段を停止する弁作動燃料カットを実行する第1の燃料カット手段と、
前記燃料カット条件が成立し、かつ、前記被毒解除要求が発生していない場合に、前記弁停止機構により少なくとも前記一方のバルブを弁停止させた状態で前記燃料供給手段を停止する弁停止燃料カットを実行する第2の燃料カット手段と、
前記被毒解除要求が発生した場合にHC被毒の解除に必要な空気量を被毒解除空気量として算出する被毒解除空気量算出手段と、
前記弁作動燃料カットの実行中に前記触媒に供給された空気量が前記被毒解除空気量に達した場合に、前記弁作動燃料カットを停止して前記弁停止燃料カットを実行する燃料カット切換手段と、を備え、
前記被毒解除空気量算出手段は、前記弁作動燃料カットを実行していない期間中の積算吸入空気量と、燃料中のアルコール濃度とを含む少なくとも2つのパラメータに基いて前記被毒解除空気量を設定する構成とした内燃機関の制御装置。 - 前記触媒の温度に基いて劣化抑制要求を発生させる劣化抑制要求発生手段と、
前記劣化抑制要求が発生していない場合に、前記被毒解除要求が発生していなくても、前記弁作動燃料カットを実行する被毒解除優先手段と、
を備えてなる請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記パラメータは、前記触媒の劣化度及び/又は温度を含む構成としてなる請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記パラメータは、前記弁作動燃料カットが前回実行された直後から現時点までの期間に計測された積算空気量、走行距離、走行時間、排気空燃比の平均値及び排気空燃比のリッチ側最大値のうち、少なくとも1つの計測結果を含む構成としてなる請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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