JP5572024B2 - レンズ装置 - Google Patents
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Description
デジタルカメラやビデオカメラには、光学レンズを有するレンズ装置と撮像素子を有する撮像装置が着脱自在のマウント部で接続され、撮影状況に応じて様々な組み合わせが可能な撮影装置がある。レンズ装置と撮像装置は、それぞれ別々に製造元の組立で光軸位置は調整されおり、マウント部の接続方法が同一ならレンズ装置と撮像装置で製作元が異なっても接続可能である。そしてマウント部での着脱は、撮影者が撮影する状況に応じてレンズ装置や撮像装置を交換したり、運搬の時持ち運びやすいように個々に分離したりする時に行う。この時、別々に調整されたレンズ装置と撮像装置では、調整誤差や部品精度の誤差により互いの光軸の位置がずれて、接続するとズームの望遠側と広角側で撮影像の位置ずれが起きる場合がある。さらに、レンズ装置内でも調整誤差や部品精度の誤差によりズーム中に光軸の位置ずれがある場合は、原因の異なる位置ずれが2箇所で発生することになる。このような位置ずれが起きると、被写体をズーム操作する時に、画面内で被写体の配置位置がずれ、或いは、オートフォーカス機能を搭載している装置ではオートフォーカスの測距箇所と測距指標が合致せず、合焦動作に支障が生じる。
そこで本発明の例示的な目的は、着脱自在なレンズ装置と撮像装置の組み合わせにおいて、取り付け誤差による光軸の位置ずれを簡易的に調整して補正でき、また不特定の組み合わせでもそれぞれに適した位置ずれの補正が可能なレンズ装置を提供することにある。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付の図面を参照して説明される好ましい実施例等によって明らかにされるであろう。
図1は、本発明の構成を有するレンズ装置内の概略を示す概要図である。
図1に示すように、レンズ装置100内には、フォーカスレンズ群1、ズームレンズ群2、アイリス機構3、防振レンズ群4、複数の光学レンズ群を有する切替光学ユニット5、リレーレンズ群6の各光学手段が前方から順次配置されている。
アイリス機構3は、複数枚の絞り羽(図示せず)で構成されており、絞り羽で形成された絞り径を駆動機構(図示せず)で調整することにより絞り径が変更される。
図2は、防振レンズ群4、及びその周囲の機構を図1の紙面右側から見た図である。防振レンズ群4は、保持枠15に保持されており、そして保持枠15はガイドアーム16に対して、2箇所のピッチ方向摺動部17を介してY方向のピッチ方向に摺動可能に接続されている。さらにガイドアーム16は、基台18に対して2箇所のヨー方向摺動部19を介してX方向のヨー方向に摺動可能に接続されている。また保持枠15には、コイル20とコイル21が設けてあり、それぞれが着磁したマグネット22、23と対向している。マグネット22、23は、ヨークとして基台18に取り付けられている。コイル20、21に通電すると磁界が発生し、対向するマグネット22、23との磁界の組み合わせで電磁力が発生する。コイル20とマグネット22では、コイル20の電流値の方向応じて上下Y方向のピッチ方向の電磁力が作用し、防振レンズ群4、及び保持枠15がピッチ方向摺動部17を介してピッチ方向に駆動される。同様にコイル21とマグネット23では、コイル21の電流値の方向応じて左右X方向のヨー方向の電磁力が作用し、防振レンズ群4、及び保持枠15がヨー方向摺動部19を介してヨー方向に駆動される。また保持枠15には、保持枠15の移動位置を検出するヨー方向位置センサ24と、ピッチ方向位置センサ25が設けられている。そして基台18には、ピッチ方向、ヨー方向それぞれの方向の振動による角速度を検出するジャイロ26、27が設けられている。
図3は、切替光学ユニット5を図1の紙面右側から見た図である。回転板28上には、変倍光学系である変倍レンズ群29,30と、それぞれのレンズ群と略同等の質量を有するウエイト31がそれぞれ回転板28の中心に対して略120°等分に配置されている。図3では、変倍レンズ群29が撮影光路に移動した(挿入された)状態となっている。回転板28の円周には、回転板28を回転するための切替駆動部32と、回転板28の回転位置を検出する回転位置センサ33が配置されている。切替駆動部32により回転板28の回転動作を行うと、回転板28の中心を回転中心として回転し、正逆両方に回転することで変倍レンズ群29,30がそれぞれ撮影光路に挿入される。この時、ウエイト31は回転中心を重心とするバランサーとして機能し、回転時の回転むらを抑制する。
図4(a)、図4(b)は、本発明の構成を有するレンズ装置100のズーム操作部300を、上面側と側面側から見た概要図である。図4(a)において、ズーム操作リング34、変倍切替スイッチ35、防振起動スイッチ36、及び操作棒37が設けられている。また図4(b)では、補正起動スイッチ38、プリセットスイッチ39、方向切替スイッチ40が設けられている。ズーム操作リング34は、レンズ装置100のズーム操作(変倍操作)を行うため、図4中に一点鎖線で示す中心線を回転軸として回転可能で、回転に応じてズームレンズ群2がモータ10、カム軸11を介して駆動され、焦点距離が変化する。変倍切替スイッチ35は、切替光学ユニット4の変倍レンズ群29、30のうちどちらを撮影光路に挿入するかを選択する。選択されると、回転板28が切替駆動部32を介して回転して、所望する変倍レンズ群が撮影光路に挿入される。防振起動スイッチ36は、図2の防振レンズ群4の機構で振動を防振するか否かを選択する。そして操作棒37は、レンズ装置100、及び撮像装置200をパン、チルト操作する時に使用する。
図5において、レンズCPU41は、レンズ装置100の動作をコントロールする制御部である。レンズCPU41では、フォーカス、ズーム、アイリス、防振の各駆動制御と、撮像装置200やズーム操作部300、フォーカス操作部400と通信して指令伝達や各種の情報の処理を行う。
レンズの光軸上にある被写体の像点は理想的な条件においては像面上の所定の1点にとどまり、ズームの倍率に依存して変位することはない。したがって、レンズの光軸が撮像面の中心に一致している場合は、撮像面の中心に結像する被写体の像はズームの倍率に依らず移動することはない。しかし、レンズの光軸が撮像面の中心に一致していない場合は、撮像面内のレンズの光軸位置を中心として、ズームの倍率(画角)に対応した画界が撮像面で撮像されるため、ズームの倍率変化(変倍群の移動による焦点距離の変化)により、撮像面の中心に結像する被写体の像は移動し、撮影者が意図しない不自然な像の動き(位置ずれ)が発生してしまう。本実施例においては、レンズ装置と撮像装置との接続が、レンズ装置の光軸位置が撮像装置の撮像面中心に一致しない接続となってしまった場合でも、撮像倍率の変化に依らず、撮像面中心の被写体の像が変位しないレンズ装置を提供することを目的とする。
図7は、レンズ装置100と撮像装置200を接続した後、被写体の十字形状の指標59を合焦した状態で撮影した時の波形モニタ56の映像である。モニタの表示は縦(Y方向)と横(X方向)それぞれで分かれており、カメラ中心近辺にある特定の走査線の映像出力をそれぞれの方向に表示している。図7では、指標59がカメラ中心からずれており、この時XY各方向で指標59の線幅の波形とカメラ中心線の線幅の波形が出力されている。撮影者は、操作棒37を操作し、または、後述する補正動作で防振レンズ群4を移動させて、指標59の線幅の波形とカメラ中心線の線幅が合致するよう位置合わせを行う。なお、正確な位置合わせを行うために波形モニタ56を使用するが、もしモニタ55の解像力が高く、正確な位置合わせが可能な場合はモニタ55で代用しても良い。また、位置合わせには十字形状の指標59を使用しているが、形状に限定されるものではなく、コントラストの差から縦(Y方向)と横(X方向)の中心位置が読み取れるものであれば良い。
図9において、レンズ装置100と撮像装置200に電源が供給されると、レンズCPU41は、防振レンズ群4を予めメモリ48に記憶された光軸O1に合致する基準位置(x0,y0)に移動する。基準位置への移動は、ヨー方向位置センサ24、ピッチ方向位置センサ25より防振レンズ群4の位置を読み取り、目標となる基準位置を設定してコイル20、21、及びマグネット22、23により駆動して行う(STEP101)。起動後、レンズCPU41は補正起動スイッチ38がONの状態か確認する(STEP102)。ONの場合は、補正モードに切り替わったと判断して次のステップへ進み、OFFの場合は補正しないと判断して後述する図10の動作へ進む。次にレンズCPU41は、ズーム位置センサ12よりレンズのズーム位置Znを取得する(STEP103)。Znの値が望遠端の値Ztであれば、そのまま次のステップへ進む(STEP104)。Znの値がZtで無ければ、レンズCPU41はズーム駆動回路45を介してズームレンズ群2を望遠端の位置に駆動する(STEP105)。そしてSTEP103で再度Znを読み取り、STEP104でZn=Ztとなったことを確認後、次のステップへ進む。ここで撮影者は、フォーカス操作部400でフォーカスレンズ群1を駆動して指標59に対して焦点合わせを行う。そして被写体である指標59の中心位置がカメラ中心(撮影画面(撮像面)の中心)になるように、操作棒37を操作してレンズ装置100、及び撮像装置200のパン及びチルトの方向を調整する。この時、図7の波形モニタ56を使用すると位置合わせが容易になる。
ky1=(yt-yw)/ Z ---(2)
kx1,ky1はそれぞれX方向、Y方向に対する補正係数である。次に以下の式より、ズーム位置Znにおける防振レンズ群4の補正シフト量D1n(Dx1n,Dy1n)を得る(STEP111)。
Dy1n=ky1×Zn ---(4)
Dx1n,Dy1nはそれぞれズーム位置Znにおける防振レンズ群4のX方向、Y方向の移動量(補正シフト量)である。そしてレンズCPU41は、得られた補正係数kx1,ky1と補正シフト量D1n(Dx1n,Dy1n)の設定式をメモリ48に記憶する(STEP112)。最後にレンズCPU41は、補正起動スイッチ38のOFFの入力指令を受けて、ズーム操作リング34による操作指令の割り当てを、防振レンズ群4の移動から通常の撮影操作であるズームレンズ群2の移動に戻す(STEP113)。
図10において、レンズ装置100と撮像装置200に電源供給されると、レンズCPU41は、図9のSTEP101と同様の動作で防振レンズ群4を予めメモリ48に記憶された光軸O1に合致する基準位置(x0,y0)に移動する(STEP201)。次にズーム位置センサ12よりレンズのズーム位置Znを取得する(STEP202)。次にレンズCPU41は、メモリ48よりズーム位置Znにおける補正シフト量D1n(Dx1n,Dy1n)を読み出す(STEP203)。ここで、補正シフト量D1n(Dx1n,Dy1n)は、ズーム位置Znに対する値としてテーブルとして記録されている場合であれば、ズーム位置Znに対応する補正シフト量D1n(Dx1n,Dy1n)を読み出してもいいし、ズーム位置Znの関数として補正シフト量D1n(Dx1n,Dy1n)が式で記録されている場合であれば、補正シフト量D1nを算出してもよい。続いてD1n(Dx1n,Dy1n)でシフトされる防振レンズ群4の移動目標座標を設定する(STEP204)。そして防振レンズ駆動回路46を介して防振レンズ群4を目標座標まで駆動する(STEP205)。その後、撮影者のズーム操作によりズーム位置Znが変更されなければ動作は終了する(STEP206)。ズーム位置が変更された場合は、STEP202に戻り再びZnを取得し、そのZnの位置におけるシフト量D1nに応じて再び防振レンズ群4を補正駆動する。
図12に示したズーム中の光軸の位置ずれを補正するためのフローチャートのSTEP301からSTEP308までの動作は、図9に示したレンズ装置と撮像装置の装着に起因する光軸の位置ずれを補正するためのフローチャートのSTEP101からSTEP108までの動作と同様である。つまり、補正起動スイッチ38がONの時に、望遠端における防振レンズ群4の位置を基準位置(xt,yt)として記憶し、ズーム位置を広角端に移動した後、防振レンズ群4を移動して指標とカメラ中心が位置合わせされた後の防振レンズ群4の移動位置(xw,yw)を記憶する。ここで補正起動する操作は、次の図13の動作と区別するため、異なる操作で行ってもよい。例えば、方向切替スイッチ40を押しながら補正起動スイッチ38をONにするなど、通常は撮影者が操作せず、且つレンズCPU41が異なる補正起動と識別できる操作であれば良い。これでレンズCPU41は、図12の動作を行うか、後述する図13のレンズ装置と撮像装置との取り付け誤差を補正する動作を行うか起動の方法で識別できる。また図12の補正動作で使用する撮像装置は、レンズ装置100のマウント部14に対して光軸が正確に調整されている装置を使用すると、ズーム中の位置ずれのみを補正対象として抽出できるため望ましい。
図13に示すフローチャートにおいて、STEP401からSTEP411までの動作は、図9のSTEP101からSTEP110までの動作とほぼ同様である。つまり、補正起動スイッチ38がONの時に、望遠端における防振レンズ群4の位置を基準位置(xt,yt)として記憶し(STEP407)、ズームを広角端に移動(STEP408)した後、防振レンズ群4を移動して指標と撮影画面の中心を位置合わせした後の防振レンズ群4の移動位置(xw,yw)を記憶する(STEP409)。もし補正起動スイッチ38がOFFの場合は,補正しないと判断して後述する動作モード(図14)へ進む。続いて望遠端と広角端における防振レンズ群4の移動位置の差分値(xt-xw, yt-yw)を算出し(STEP410)、その差分値とズーム位置Znのサンプリング点の総数Zより、X方向、Y方向の補正係数kx1,ky1を、
kx1=(xt-xw)/Z ---(1)
ky1=(yt-yw)/Z ---(2)
によって得る(STEP411)。補正係数を得たことで、レンズ装置100と撮像装置200の取り付け誤差による位置ずれを補正する補正シフト量D1n(Dx1n,Dy1n)が、
Dx1n=kx1×Zn ---(3)
Dy1n=ky1×Zn ---(4)
により求められる。
Ly1n=fy1(Zn) ---(6)
Lx1n, Ly1nはそれぞれ防振レンズ群4のX方向、Y方向の補正シフト量で、またfx1, fy1はX方向、Y方向の補正式である。続いて(3),(4)式と(5),(6)式より、ズーム位置Znにおける防振レンズ群4の最終補正シフト量D2n(Dx2n,Dy2n)を得る(STEP412)。
Dy2n= Ly1n+Dy1n ---(8)
Dx2n,Dy2nはそれぞれX方向、Y方向の補正シフト量である。そしてレンズCPU41は、得られた補正係数k1(kx1,ky1)と補正シフト量D1n(Dx1n,Dy1n)とL1n(Lx1n,Ly1n)、及び最終補正シフト量D2n(Dx2n,Dy2n)の設定式をメモリ48に記憶する(STEP413)。最後にレンズCPU41は、補正起動スイッチ38のOFFの入力指令を受けて、ズーム操作リング34による操作指令を、防振レンズ群4の移動からズームレンズ群2の移動に戻す(STEP414)。
図14において、STEP501からSTEP502までの動作は、図10のSTEP201からSETP202までの動作と同じである。つまり、防振レンズ群4を、予めメモリ48に記憶された光軸O1に合致する基準位置(x0,y0)の位置に移動後に、レンズのズーム位置Znを取得する。次にレンズCPU41は、メモリ48よりズーム位置Znにおける補正シフト量D2n(Dx2n,Dy2n)を読み出す(STEP503)。続いてD2n(Dx2n,Dy2n)でシフトされる防振レンズ群4の移動目標座標を設定する(STEP504)。D2n(Dx2n,Dy2n)は、レンズ装置100自体に起因するズーム中の位置ずれ補正シフト量L1n(Lx1n,Ly1n)と、レンズ装置100と撮像装置200の相対的な位置ずれに起因する補正シフト量D1n(Dx1n,Dy1n)を含んでおり、ズーム位置Znにおけるそれぞれの位置ずれを補正した移動目標座標が設定される。そして防振レンズ駆動回路46を介して、防振レンズ群4を目標座標まで駆動する(STEP505)。その後、撮影者のズーム操作によりズーム位置Znが変更されなければ、動作は終了する(STEP506)。ズーム位置が変更された場合は、STEP502に戻り再びZnを取得し、そのZnの位置におけるシフト量D2nに応じて防振レンズ群4を補正駆動する。
図16において、STEP601からSTEP602までの動作は、図9のSTEP101からSTEP102までの動作と同じある。つまり、防振レンズ群4を予めメモリ48に記憶された光軸O1に合致する基準位置(x0,y0)の位置に移動した後に、補正起動スイッチ38がONの時に次のステップへ進む。ここで補正起動する操作は、次の図17の動作と区別するため、異なる操作で行ってもよい。通常の撮影処理時等には撮影者が操作せず、且つレンズCPU41が異なる補正起動と識別できる操作であれば良い。これでレンズCPU41は、図16の動作を行うか、後述する図17のレンズ装置と撮像装置との取り付け誤差を補正する動作を行うか起動の方法で識別できる。また図16の補正動作で使用する撮像装置は、レンズ装置100のマウント部14に対して光軸が正確に調整されている装置を使用すると、切替光学ユニットの光学レンズ切替による位置ずれのみを補正対象として抽出できるため望ましい。
次にレンズCPU41では、メモリ48に記憶された[1]の望遠端と[2]の望遠端とのそれぞれ出力値の差分値(xt-[2]xt, yt-[2]yt)を算出する(STEP615)。そしてその差分値をメモリ48に記憶する(STEP616)。最後に操作者は、補正起動スイッチ38をOFFにして補正モードを終了する(STEP617)。最後にレンズCPU41は、補正起動スイッチ38のOFFの入力指令を受けて、ズーム操作リング34による操作指令の割り当てを、防振レンズ群4の移動から通常の撮影動作のズームレンズ群2の移動に戻す。
図17において、STEP701からSTEP703までの動作は、図16のSTEP601からSTEP603までの動作と同じある。つまり、防振レンズ群4を予めメモリ48に記憶された光軸O1に合致する基準位置(x0,y0)の位置に移動後、補正起動スイッチ38がONの時に切替光学ユニットの回転位置を取得する。回転位置の値が[2]であれば、そのまま次のステップへ進む(STEP704)。回転位置の値が[2]で無ければ、レンズCPU41は切替駆動回路47を介して回転板28を回転し、変倍レンズ群30を撮影光路に挿入するように駆動する(STEP705)。そしてSTEP703で再度回転位置を読み取り、STEP704で[2]の状態となったことを確認後、次のステップへ進む。次のSTEP706からSTEP712までの動作は、切替光学ユニット5が[2]の状態に切り替わった以外は図9のSTEP103からSTEP109までの動作と同じである。つまり、[2]の状態で望遠端Ztにズーム位置を駆動し、指標中心と撮影画面の中心の位置合わせをレンズ装置と撮像装置を操作して行った後に、望遠端の防振レンズ群4の位置([2]xt,[2]yt)を記憶する。そしてズーム位置を広角端Zwとして、防振レンズ群4を移動させて撮影画面の中心との位置合わせ後の防振レンズ群4の位置([2]xw,[2]yw)を記憶する。その後に、メモリ48に記憶された望遠端と広角端のそれぞれ出力値の差分値([2]xt-[2]xw, [2]yt-[2]yw)を算出する。次に、その差分値とズーム位置Znのサンプリング点数の総数Zより、以下の式において[2]の状態の中心位置の補正係数k2を得る(STEP713)。
ky2=([2]yt-[2]yw)/ Z ---(10)
kx2,ky2はそれぞれX方向、Y方向の補正係数である。
続いてレンズCPU41は、図16で算出した[1]と[2]の差分値(xt-[2]xt, yt-[2]yt)をメモリ48から読み出す(STEP714)。そして(9),(10)式と差分値より、ズーム位置Znにおける[2]の状態の防振レンズ群4の補正シフト量D3nを得る(STEP715)。
Dy3n= ky2×Zn+(yt-[2]yt) ---(12)
Dx3n,Dy3nはそれぞれX方向、Y方向の補正シフト量である。そしてレンズCPU41は、得られた補正係数k2(kx2,ky2)と補正シフト量D3n(Dx3n,Dy3n)の設定式をメモリ48に記憶する(STEP716)。最後レンズCPU41は、補正起動スイッチ38のOFFの入力指令を受けて、ズーム操作リング34による操作指令の割り付けを、防振レンズ群4の移動から通常の撮影動作であるズームレンズ群2の移動に戻す(STEP717)。
図18において、図9のSTEP101と同様に、レンズ装置100と撮像装置200に電源供給後、防振レンズ群4は予めメモリ48に記憶された光軸O1に合致する基準位置(x0,y0)の位置に移動する(STEP801)。次にレンズCPU41は、切替光学ユニット5の変倍レンズ群29と変倍レンズ群30のどちらのレンズ群が撮影光路に挿入された状態かを判別するため、回転位置[1]、又は[2]を取得する(STEP802)。回転位置の値が、変倍レンズ群29が撮影光路に挿入された状態の値[1]であれば、そのまま次のステップへ進む(STEP803)。回転位置の値が[1]で無ければ、[2]のステップへ進む。ここで値[1]のSTEP804からSTEP808までの動作は、図10のSTEP202からSTEP206の動作と同じである。つまり、ズーム位置Znを取得した後に補正シフト量D1nを読み出し、D1nでシフトされる防振レンズ群4の移動目標座標を設定して防振レンズ群4を目標座標まで駆動する。そしてズーム位置Znが変更されなければ動作は終了し、変更された場合は、再びZnを取得して、そのZnの位置におけるシフト量D1nに応じて補正駆動する。STEP803で[1]の状態でなければ、[2]の状態のズーム位置Znを取得する(STEP809)。そしてレンズCPU41は、[1]と[2]の切り替えによる位置ずれと、[2]の状態でのレンズ装置100と撮像装置200の取り付け誤差による位置ずれを補正した補正シフト量D3n(Dx3n,Dy3n)をメモリ48より読み出す(STEP810)。続いてD3n(Dx3n,Dy3n)でシフトされる防振レンズ群4の移動目標座標を設定する(STEP811)。そして防振レンズ駆動回路46を介して防振レンズ群4を目標座標まで駆動する(STEP812)。その後、撮影者のズーム操作によりズーム位置Znが変更されなければ動作は終了する(STEP813)。ズーム位置が変更された場合は、STEP809に戻り再びZnを取得し、そのZnの位置におけるシフト量D3n(Dx3n,Dy3n)に応じて再び防振レンズ群4を補正駆動する。
図20において、STEP901からSTEP911までの動作は、図17のSTEP701からSTEP711までの動作と同様である。つまり、補正起動スイッチ38をONの時、[2]の状態で望遠端を基準位置([2]xt,[2]yt)として位置を記憶する。そして広角端に切り替えて広角端での移動位置([2]xw,[2]yw)を記憶する。ここで補正起動する操作は、次の図21の動作と区別するため、異なる操作で行ってもよい。通常は撮影者が操作せず、且つレンズCPU41が異なる補正起動と識別できる操作であれば良い。これでレンズCPU41は、図20の動作を行うか、後述する図21のレンズ装置と撮像装置との取り付け誤差を補正する動作を行うか起動の方法で識別できる。また図20の補正動作で使用する撮像装置は、レンズ装置100のマウント部14に対して光軸が正確に調整されている装置を使用すると、ズーム中の位置ずれのみを補正対象として抽出できるため望ましい。
図21において、STEP1001からSTEP1014までの動作は、図17のSTEP701からSTEP713までの動作とほぼ同様である。つまり、補正起動スイッチ38がONの時、切替光学ユニット5の光学レンズが[2]の状態で望遠端における防振レンズ群4の位置を基準位置([2]xt,[2]yt)として記憶する。そして広角端に移動(STEP1011)した後に、防振レンズ群4を移動して指標と撮影画面の中心を合わせた後の防振レンズ群4の移動位置([2]xw,[2]yw)を記憶する(STEP1012)。その後にメモリ48に記憶された望遠端と広角端における防振レンズ群4の移動位置の差分値([2]xt-[2]xw, [2]yt-[2]yw)を算出し(STEP1013)、その差分値とズーム位置Znのサンプリング点の総数Zより、図17のように(9),(10)式より切替光学ユニット5の光学レンズが[2]の状態の中心位置の補正係数k2(kx2, ky2)を得る(STEP1014)。そして、図16の補正動作で算出した[1]と[2]の差分値(xt-[2]xt, yt-[2]yt)をメモリ48から読み出す(STEP1015)。次に(9),(10)式と差分値より、(11),(12)式のようにズーム位置Znにおける[2]の状態の防振レンズ群4の補正シフト量D3n(Dx3n,Dy3n)を得る。
Lx2n=fx2(Zn) ---(13)
Ly2n=fy2(Zn) ---(14)
Lx2n, Ly2nはそれぞれX方向、Y方向の補正シフト量で、またfx2, fy2はX方向、Y方向の補正式である。続いて(11),(12)式と(13),(14)式より、ズーム位置Znにおける防振レンズ群4の最終補正シフト量D4n(Dx4n,Dy4n)を得る。(STEP1016)
Dx4n= Lx2n+Dx3n ---(15)
Dy4n= Ly2n+Dy3n ---(16)
Dx4n,Dy4nはそれぞれX方向、Y方向の補正シフト量である。そしてレンズCPU41は、得られた補正係数k2と補正シフト量Dx3n,Dy3nとLx2n, Ly2n、及び最終補正シフト量Dx4n,Dy4nの設定式をメモリ48に記憶する(STEP1017)。最後レンズCPU41は、補正起動スイッチ38のOFFの入力指令を受けて、ズーム操作リング34による操作指令の割り付けを、防振レンズ群4の移動から通常の撮影動作のズームレンズ群2の移動に戻す(STEP1018)。
先ずレンズ装置500の内部CPUは、どの撮像装置と接続されているか識別するため、撮像装置の内部CPUにカメラ情報入力手段であるシリアルポートを介してカメラ識別信号を要求する指令コマンドを送る(STEP1101)。コマンドを受信した撮像装置の内部CPUは、レンズ装置500の内部CPUへシリアルポートを介してカメラ識別信号を送信し、レンズ装置500側でその識別ナンバーを読み出す(STEP1102)。そして識別ナンバーより撮像装置を識別し、図23のリストより識別した撮像装置の補正式を選択する(STEP1103)。選択された補正式は、実施例1から実施例4までのそれぞれの補正動作に使用される。
4 防振レンズ群
41 レンズCPU
45 ズーム駆動回路
46 防振レンズ駆動回路
Claims (10)
- 撮像装置に着脱可能に取り付けるためのマウント部を備えるレンズ装置であって、
変倍に際し光軸方向に移動する変倍レンズ群と、
光軸と垂直な方向に移動可能である防振レンズ群と、
該防振レンズ群を駆動する防振駆動手段と、
該防振駆動手段による該防振レンズ群の駆動を制御する防振制御手段と、
前記レンズ装置が取り付け可能な撮像装置の像面上の所定の1点に結像する被写体の像の光軸に垂直方法の位置ずれであって、前記変倍レンズ群の移動による位置ずれ、を低減するための、前記防振レンズ群を移動する移動量である補正シフト量を記憶する記憶手段と、
を有し、
前記防振制御手段は、前記レンズ装置が取り付けられている撮像装置に必要な補正シフト量を前記記憶手段に記憶し、
前記補正シフト量は、前記レンズ装置に固有の変倍レンズ群の移動による位置ずれを補正するための第1の補正シフト量と、前記レンズ装置と前記撮像装置との取り付けに起因する位置ずれを補正するための第2の補正シフト量との和で表され、前記第1の補正シフト量は前記変倍レンズ群の位置に対する近似多項式で表され、前記第2の補正シフト量は前記変倍レンズ群の位置に対する一次式で表され、
前記防振制御手段は、前記記憶手段に記憶された、取り付けられた撮像手段に対応する補正シフト量に基づき、撮影のために前記レンズ装置に取り付けられた撮像装置の前記位置ずれを低減するように前記防振レンズ群の駆動を制御する、
ことを特徴とするレンズ装置。 - 前記補正シフト量は、前記変倍レンズ群の少なくとも2箇所以上の変倍位置における位置ずれを取得することによって決定される、ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
- 前記レンズ装置は、
変倍光学系を含む切替光学ユニットと、
該切替光学ユニットを該レンズ装置の光軸と垂直方向に駆動し、該変倍光学系を該レンズ装置の光路に対して挿脱する切替駆動部と、
をさらに有し、
前記防振制御手段は、前記変倍光学系が前記レンズ装置の光路に挿入されていない場合、及び、前記変倍光学系が前記レンズ装置の光路に挿入された場合の、前記補正シフト量を決定して記憶し、
前記防振制御手段は、該記憶手段に記憶された前記の場合に対する補正シフト量に基づいて、該防振レンズ群を駆動する、
ことを特徴とする請求項2に記載のレンズ装置。 - 前記像面上の所定の1点は、前記撮像面の中心である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレンズ装置。
- 前記像面上の所定の1点は、前記レンズ装置の光軸上の点である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のレンズ装置。
- 前記補正シフト量を設定するために前記防振レンズ群をユーザが駆動するための操作手段を有し、
該操作手段は、該レンズ装置の変倍操作、又は焦点調整操作に使用する操作部に設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレンズ装置。 - 前記操作手段は、
前記操作部の変倍操作をするための変倍操作手段又は焦点調整操作をするための焦点調整操作手段を、前記補正シフト量を設定するために前記防振レンズ群を駆動する防振レンズ駆動操作手段として使用するための補正起動手段と、
該防振レンズ群の位置を前記記憶手段に記憶するためのトリガ信号を与える記憶操作手段と、
を含む、
ことを特徴とする請求項6に記載のレンズ装置。 - 前記防振制御手段は、前記レンズ装置の変倍操作のために使用される操作部からの信号、又は前記レンズ装置の焦点調整操作のために使用される操作部からの信号、を前記防振レンズ装置を駆動するための信号として使用し、前記補正シフト量を設定する、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のレンズ装置。
- 前記レンズ装置は、接続される撮像装置の識別情報を入力するカメラ情報入力手段を有し、
前記記憶手段は、複数の撮像装置のための、前記カメラ情報入力手段より入力された該識別情報と該識別情報に対応する、前記防振レンズ群の前記補正シフト量を記憶し、
前記防振制御手段は、該カメラ情報入力手段より入力された前記識別情報に対応する撮影のための補正シフト量を選択し、該選択された補正シフト量に基づいて前記防振レンズ群を駆動するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のレンズ装置。 - 前記レンズ装置は、該レンズ装置に接続される撮像装置と通信する通信手段を更に有し、
前記記憶手段は、複数の撮像装置のための、該通信手段を介して該接続された撮像装置より取得する識別情報、及び該識別情報に対応する前記補正シフト量を記憶し、
前記防振制御手段は、前記通信手段を通して該識別情報に対応する該補正シフト量を撮影のために選択し、該選択された補正シフト量に基づいて前記防振レンズ群の駆動を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のレンズ装置。
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