本発明の前述の特徴および他の特徴ならびに優位性は、例示的な実施形態の以下の詳細な説明とともに添付の図面から、より良好に理解される。
図3を参照して、インターフェース・ポイント・ネットワーク(例示的な実施形態による、IPN)100が、設けられている。IPNには、インターフェース・ポイント・サーバ(IPS)102と、これが通信する少なくとも1つの病院検査室情報システム(hospital Laboratory Information System)(LIS)104とホスト・コンピュータのネットワーク106とが含まれている。ホスト・コンピュータのネットワーク106には、第1のホスト・コンピュータ108およびこれが通信する第1の複数の検査室機器110と、第2のホスト・コンピュータ112およびこれが通信する第2の複数の検査室機器114とが含まれている。ホスト・コンピュータは、検査室計測器との相互接続が、既知のイーサネット(登録商標)接続を介してまたは当該技術分野で知られている他の相互接続メカニズムによって、行なわれていても良い。このようなメカニズムは、たとえば既知のシリアルもしくはパラレル接続または無線接続である。IPS102には、インターフェース・ソフトウェアB(本明細書では同意語として、「ISB」または「ベンタナ・ラボ・マネージャ(Ventana Lab Manager )」もしくは「VLM」ソフトウェアと言う)が含まれている。このソフトによって、ホスト・コンピュータのネットワーク106間におけるデータ管理に関する自動機能を行なうことが可能になる。これはたとえば、困難も望ましくないデータ伝達も伴うこともなく、第1のホスト・コンピュータ108と第2のホスト・コンピュータ112との間でデータ要素を共有することを、第1のホスト・コンピュータ108があるタイプのホスト・コンピュータで、第2のホスト・コンピュータ112が別のタイプのホスト・コンピュータである場合でさえ、行なうことである。なお、実施形態には、ホスト・コンピュータ間での非患者情報の伝達を支援するように、LISに接続されずに構成されたIPSが含まれる場合があることに注意されたい。
例示的な実施形態におけるVLMソフトウェアは、IPS102上で実行される。VLMソフトウェアの主な目的は、データの複製を、ホスト・システム間のネットワークを通して容易にすることである。本明細書で説明する例示的な実施形態では、ホスト・システムは、既知の自動化されたスライド染色器具(たとえばベンタナ・メディカル・システム(Ventana Medical Systems )(ツーソン(Tucson)、アリゾナ州)から販売されるもの)に接続されて機能するPCである。VLMが取り扱うデータは、多くのタイプとすることができる。たとえば染色プロトコル、バー・コード割当て、試薬ディスペンサ情報、試薬ID、試薬消費量、試薬の所有権または特定の機器への登録、ユーザ・パスワード、症例データ、患者IDまたは名前、医療施設、オーダー・リクエスタ、受け入れID、スライドID、オペレータID、オペレータの勤務中ステータス、オペレータ質的管理(QC)ステータス、機器QCステータス、検査結果、診断結果および/または染色結果である。VLMは、機器110、114、ホスト・システム108、112にサービスを提供可能なネットワークに接続されたPC上に存在するソフトウェアの1つである。この実施形態では、VLMはIPS102上に存在するが、VLMソフトウェアは、ホスト108、112の1つまたは複数の上に存在することもできるし、その他の場合にはネットワーク内で分配することもできることを理解されたい。標準的なTCP/IPプロトコルを用いて、各機器ホスト・コンピュータをIPS102上のVLMに接続する。VLMソフトウェアが最初にオンラインで現れると、VLMソフトウェアはその存在を宣言するメッセージを、ネットワーク上のすべてのデバイスに一斉に送信する。ホストが、VLMサービスを用いるように構成されている場合には、ホストはVLMに接続して、VLMに既知である最新のデータ要素を要求することができるか、または新しいデータ要素をVLMと共有して、そのデータ要素を他のホスト・コンピュータ108、112が利用できるようにすることができる。通常、ラボの状況では、たとえば例示的な実施形態では、自動化されたスライド染色機器間でのデータ共有には、以下のものが含まれる。染色プロトコル、ユーザ・パスワードおよびプリビレッジ、試薬(ディスペンサ/ガラス瓶)、症例、キーコード、テンプレート、パネル、およびサード・パーティの試薬である。
各ホスト108、112を独立にセット・アップして、これらのデータ要素を共有するようにすることもできるし、共有しないようにすることもできる。これは、個々のラボおよびホスト要求によって決まる。ホストがデータ要素を共有する場合には、どのデータが最新であるかを評価するアルゴリズムがソフトウェア内に存在して、正確なデータの複製を保証し、データ損失を回避するようになっている。VLMは、すべての共有ホストによって共有されている最新のデータ要素のコピーを、最初に構築した後、保持する。VLMはこれを、ホスト・システムのソフトウェアとの密接な協力関係を用いて行なう。ホスト・システムは、VLMとパートナーシップを形成してシステムを完成させている。いくつかのデータ要素、とりわけ試薬は、それらが使用されているホスト・システムによる所有権を必要とする。あるホストが別のホストからの所有権の譲渡を要求することを可能にするソフトウェア・メッセージング・システムが存在するため、試薬データ要素が適切かつ安全に変わる(すなわち投薬量が容器限界を超えない)ことが保証されている。VLM通信プロトコルのアーキテクチャは、ネットワーク接続が利用できない間も、ホストが、所有する試薬を用いて組織の処理を続けられるようになっている。そのためホストは、ネットワーク接続が再び確立されたら、VLMと同期することができる。
VLMソフトウェアは、ホスト・コンピュータの異なるグループからのデータを自動的に管理することができる。たとえば、ベンタナ・メディカル・システムのネクセス(NexES)、HVS、およびニュウ・ビジョン(Neu Vision)ホストはすべて、困難もまたあるホスト・タイプから他のホスト・タイプへの望ましくないデータ伝達も伴うことなく、同様のシステム間においてデータ要素を共有することができる。後に説明するように、データ要素の記憶および共有が実施されるVLMソフトウェアは、これまでVLMには知られていない新しいタイプのホストが、VLMシステム・ソフトウェアにソフトウェアのアップ・グレードを要求せずに、VLMを用いて新しいタイプのデータ要素を共有することを可能にするものである。この結果、ホストのソフトウェアが、独立にアップグレードされることおよび既存のVLMシステムを用いて新しいデータ要素を共有することが、可能になる。VLMの他の機能は、遠隔オペレータに、ウェブ・インターフェースとして、ホスト・システムおよびホストが接続される機器に対する報告およびステータス更新に対して使用できるインターフェースを提供するものである。
IPS102が実施するデータ要素の記憶およびデータ共有は、LISから配信されたときに、本明細書で説明する例示的な実施形態では、医療アプリケーション間での情報交換に対するヘルス・レベル・セブン(HL7)標準の適合に従うものであり、適合は後に説明するようになされる。しかし他の所定のプロトコル、たとえば医療機器通信に対するIEEE1073標準または医療機器通信に対してデザインされた専用プロトコルも、実施できることを理解されたい。図3に例示するように、インターフェース・ソフトウェアA(本明細書では、同意語として、「ISA」または「ベンタナ・インターフェース・ポイント」ソフトウェアもしくは「VIP」とも言う)も、IPS102上に存在し、VLMとLISとの間のゲートウェイの機能を果たす。このゲートウェイは、この例示的な実施形態では、HL7を実施している。VIPが取り扱うデータには、症例マネジメント、LISからの染色要求、染色ステータス、およびLISへの結果返却がある。標準TCP/IPプロトコルを用いて、LISおよびVLMに接続する。カスタム・コードを変えずにデータ・フォーマットをサイトごとに変えられるように、データ・マッピングを利用することができる。
IPS102によって、LIS104とIPNとの間の機能的な接続が形成される。IPNは、IPS102、ホスト・コンピュータ、および機器から構成され、これらはすべて接続されてシステムを形成している。IPSの機能は、論理的および構造的に2つの部分VLMおよびVIPに分割される。これについては、すでに説明した通りである。これらはそれぞれ、含まれているソフトウェア・オブジェクトから構成されるが、それらの機能をカプセル化することによって、機器の数およびタイプの両方の増加に対しておよび機能に対して、システムを拡張可能なものにしている。検査室の自動化という特定のアプリケーションに対して、これは特に重要である。なぜならば、インストールされた計測器の現在の状態、データ送信およびデータ共有のタイプおよび目的、自動化のレベルは、動的であるからである。
このように本明細書で説明したシステムの例示的な実施形態では、構成するハードウェア・エンティティおよびソフトウェア・プログラムが、通信プロトコルおよびデータ共有を通して接続されて機能する(一般的に、データベースと拡張可能なバイナリ構造とを用いて接続される)。図3の物理的な表現に加えて、システムは、図3Aに例示するようなデータ・フローとして表わすことができる。
この観点から、LISおよび医療施設の他のデータ・システム(たとえば、HIS、EPR、在庫管理、メンテナンス管理、オペレータ管理)は、IPNとのやり取りを機能的に必要とするデータ資源および管理システムに相当する。VIPの役割は、任意の多数の医療施設システムとの間のこの通信に対するゲートウェイ・インターフェースを提供することである。このように機能をカプセル化することの利点は、このインターフェースを特定して、特定のサイトまたは医療施設の必要性に適応させることが、IPNに対する重要な管理機能をVLM内に保持しながら、可能となることである。このように、VIPは医療施設への通信に対するマネージャである。
代替的に、VLMがIPNを管理する機能を提供する。このセットのタスクおよびそれらの非常に一意のセットのデータ管理および決定プロセスは、IPN全体に付随する管理機能を適切なレベルにおいて統合することを目的として、VLM内でカプセル化される。ホストが単一機器または機器グループの管理を担うように、VLMは、データを同期させ、染色要求を仲裁し、IPN全体に渡るワーク・フローを管理しなければならない。さらに、VLMは、検査プロセスに対する要求および結果を管理して、最終的に、オーダーを完結させる(開始から結果報告までの)ために検査室情報報告を一元管理する。こうして、例示的な実施形態では、複数の層になったアーキテクチャ(物理的および論理的の両方)が、検査室を通してのワークフロー、データ、およびステータスの管理に対して、たとえば組織学および臨床病理学に対して、提供される。このように密接に統合すること(機能的にカプセル化されたモジュールにおいて具体化される)によって、このシステムは、(サイトごとに)大きく変わる医療施設の検査室環境に容易に適合することができる。解剖病理学に関係する例示的な実施では、以下のものを含む(しかしこれらに限定されない)ワーク・フローを管理するために、本明細書で説明したデータ管理方法および器具を用いても良い。病理学のオーダー発注、複数の機器に対するスライド処理の最適化、プロセスを通してのスライドの識別、バー・コードの利用、試薬の使用および供給、検査室機器間での試薬の共有、オペレータの実地訓練、QC要求のトレーニングに応じるための故障時のオペレータのロック・アウト、検査室機器QCテスティング、および/またはQC要求に応じるための故障時の検査室機器QCロック・アウト。
臨床病理学プロセスの自動化を伴う例示的な実施形態では、染色プロセスの自動化によってコスト、信頼性、および有効性の利点が従来の手作業技術に対して得られたように、より大きい臨床病理学プロセスの自動化によって同様の利点が得られる。詳細には、サンプルの調製から結果報告までのプロセスを完全に自動化できることによって、人件費、写しエラー、不必要なデータ複製、および結果を手作業で報告するのに必要な時間がなくなることは、前述した通りである。
IPNによって、この自動化のレベルを得るためのバックボーンが形成される。なぜならば、検査室へのオーダー・プロセス、プロセスを進行する間のオーダーのステータスが見えるからであり、また結果を報告することができるからである。調製、処理、検査、および報告を一元管理できることは、効率および精度を得るのに非常に有利である。
VLMがプロセス全体を通してオーダーを管理するため、VLMがこのような統合に対する最重要部分を形成している。自動データ収集ステーションを検査(完全自動検査または自動データ収集を用いた病理学者主導の検査)用に加えることによって、報告機能を介した完全手引きを実現する上での次のステップが得られる。病理学者による検査が進める自動データ収集に対しては、複数の方法が存在する可能性がある。たとえばコンピュータ入力ステーション、タッチ・パッド・データ入力、音声データ入力、および音声を用いた対話式ビデオである。このようなデータは、特定のオーダーに対する臨床記録の一部になる。
さらに図3Aを参照して、データ・フロー図によって、IPNの機能能力を別のレベルで見ることができる。LISとVIPとの間で示すデータのやり取りによって、やり取りの高レベルな性質を示している。具体的には、LIS−VLMデータ・フローを、IPNシステム・ステータス、染色オーダー、および結果報告を中心に示している。さらに、他の非LISの医療施設エンティティとの間で示すやり取り(たとえば、在庫およびオペレータ管理)は、医療施設全体に影響を及ぼす材料およびワーク・フロー領域に関係する。
下方のレベル(システム・アーキテクチャ内、具体的にはVLMとホストの間およびホストと機器の間)において、データ・オブジェクトは、特定の態様のIPN動作の管理を可能にする性質を有する。たとえば、いくつかの特定のやり取りではホスト間のデータ共有が扱われる。このデータ共有では、染色プロトコル、バー・コード割当て、およびユーザ情報が必要に応じて交換されて、動作が管理されおよびホストと機器との間で共通のデータが共有される。
さらに下方のレベルでは、個々の機器に影響を及ぼす特定の動作基準を管理するために、ホスト間でデータが共有される。この例は試薬所有権である。これは、特定の機器が、特定のディスペンサに対する所有権を主張するものである。さらに、データ収集ステーションをIPNに加えることによって、データ階層デザインが利用される。この利用は、オーダーの割り当ておよび管理ならびに結果の報告(データ収集にとって重要な目標である)を可能にすることによってなされる。
この階層、IPN内の個々のエンティティが行なう制御、ならびに適切なレベルのデータ共有、交換、および記憶によって、IPN内での機能およびデータ管理を効率的に分割することが実現される。機能および付随するデータを適切なレベルでカプセル化するモデルが、この大規模システムにIPNおよびアーキテクチャを介して効率的に適用されることは、説明した通りである。
データ共有および記憶は(一般的に)、どのシステム・エンティティが共有機能を進めるかという性質に関係して、二つの方法のうちの一方で実現される。これを(ホスト−VLM関係に対して)行なうことができる方法は、VLMまたはホスト・システムのいずれかが、アクティブなデータ共有をIPN上で制御することである。共有および記憶に最適なデザインを考慮する際に、デザインされる機能カプセル化の性質を考慮することは重要である(IPSの一部としてのVIPおよびVLMに関して前述した通りである)。一般的なルールとして、データ要求をほとんど「知っている」エンティティが、共有および記憶ルールを進めることに最も適している。VLMおよびホスト・コンピュータの場合、試薬管理および染色レシピに関係する機能の詳細全体が、ホスト・コンピュータにおいてカプセル化され、その結果、ホスト・コンピュータが、共有パラダイムを、「プッシュする」観点から進める(どのデータをいつ共有するかを決定する)。このように、優先順位付け、およびデータを同期させるために行なわれる実際の行為が、使用症例から進められ、データ共有を管理する手段をより効率的に表わしている。
VLMおよびVIPが管理し得るデータを識別する場合、同期された状態を維持するのではなくて、アド・ホック・トランザクションまたは状態要求が機能をサポートすることを単純に必要に応じて可能にすることの方が最適であり得る移行が、行なわれる。このように、データの管理方法は、同期された状態を維持することから、特定の場合にデータを必要に応じて識別および要求することの一方を行なうことへと、変化する。このようなトランザクションのサポートに適応された通信プロトコル(たとえばHL−7)を用いることは、これらのタイプのデータ要求に対して非常に適切である。
当該技術分野において知られているように、HL7は、米国規格協会(ANSI)公認の標準であって、臨床患者の看護および管理、健康管理サービスの提供および評価をサポートするための、データの交換、管理、および統合を規定するものである。HL7標準を適合および実施することによって、新しいタイプのデータ要素を共有することが、IPS102に対するソフトウェア・アップグレードを必要とせずに可能となる。この結果、第1のホスト・コンピュータ108および第2のホスト・コンピュータ112上のソフトウェアを、独立にアップグレードすることが、既存のIPS102を用いて新しいデータ要素を共有する一方で、可能となる。たとえば、第1のホスト・コンピュータ108および第2のホスト・コンピュータ112が、ホスト・コンピュータのネットワーク106内に配置されていて、データ要素を共有している場合には、データ損失を回避するために、IPS102におけるISBに、正確なデータの複製が行なわれることを保証するアルゴリズムが含まれていても良い。これらのアルゴリズムは、この保証することを、IPS102とホスト・コンピュータのネットワーク106とを互いに密接に協力させて動作させて、第1のホスト・コンピュータ108と第2のホスト・コンピュータ112とによって共有されるデータ要素のうちどれが最新であるかを評価できるようにすること、およびこれらのデータ要素のコピーを構築および保持することによって、行なっても良い。要するに、「パートナーシップ」が、ホスト・コンピュータのネットワーク106とIPS102との間で形成される。これについては、後に詳細に説明する。
次のことを理解されたい。すなわち、いくつかのデータ要素(たとえば自動染色計測器を用いたIPNにおける試薬に関する要素)では、ホスト・システムがこれらの要素に対して所有権を有している必要があり、したがって、あるホスト・コンピュータがこれらの要素を整列できるか、またはこれらの要素の所有権の他のホスト・コンピュータからの譲渡を要求できるように、ソフトウェア・メッセージング・システムが設けられる。データ要素の整列については、後に詳細に説明する。このようにデータ要素を整列できることによって、所有権を必要とするデータ要素が、所定の範囲に留まる(たとえば投薬量が容器の限界を超えない)ように、適切かつ安全に変わることが保証される。
すでに簡単に述べたように、HL7は、独立したアプリケーション間でのデータの交換、管理、および統合を規定する標準である。したがってHL7は、独立した医療アプリケーション間で臨床データを移動させるための方法を規定する開かれたメッセージング標準である。HL7は、ネットワーク上でのデータ通信をリアル・タイムで行なえるようにデザインされており、HL7仕様において詳細に説明されている。HL7仕様は、ヘルス・レベル・セブン団体(Health Level Seven organization )(アナーバー(Ann Arbor )、ミシガン州)から入手できる。なお仕様は、本明細書において全体として取り入れられている。HL7を実施することは、後に説明するように、LISと単一のポイント・サーバIPS102との間で通信するために、および最終的にホスト・コンピュータ108、112および機器110、114と通信するために、用いられる。
図4を参照して、多層(すなわち7層)のソフトウェア・アーキテクチャを例示する高レベルのブロック図が示されている。このブロック図には、第1のレベルまたは「物理的なレベル」、第2のレベルまたは「データ・リンク・レベル」、第3のレベルまたは「ネットワーク・レベル」第4のレベルまたは「トランスポート・レベル」、第5のレベルまたは「セッション・レベル」、第6のレベルまたは「プレゼンテーション・レベル」、および第7のレベルまたは「HL7アプリケーション・レベル」が含まれている。
用語「レベル・セブン」は、国際標準化機構(International Standardization Organization)(ISO)によって開発されたマルチ・レベル(すなわち7レベル)のソフトウェア・アーキテクチャ方式を指し、またアプリケーション間インターフェースである。この意味は、HL7が、レベル7の機能に対する仕様プロトコルのみを規定し(したがって、アプリケーション間インターフェース)、残りの6つのサポート・レベルに対しての仕様は規定しないということである。HL7は、交換すべきデータのタイプ、これらの通信のタイミング、およびある所定のアプリケーション固有のエラーが起きたときの処置を特定する。これはたとえば、患者のデモグラフィック情報、医師から検査室へのオーダー、ラボから医師へのテスト結果、請求先情報、および企業規模のスケジューリングである。図5に例示するのは、HL7メッセージの構成を規定する設定された階層を示す別の高レベルのブロック図である。階層には、複数の要素、たとえば「コンポーネント要素」、「フィールド要素」、「セグメント要素」、および「メッセージ要素」が含まれている。
HL7標準は全体としてかなり広く、中央の患者看護システムとともに、各部門のデータによる分散環境をサポートしている。たとえば、標準によってカバーされる特定のインターフェースまたはメッセージには、以下のものが含まれる。患者の入院/登録、退院、または転院(ADT)情報;問い合わせ;資源および患者のスケジューリング;オーダー、ステータス結果、および臨床検査;請求書作成;マスタ・ファイル更新情報;医療記録、および患者照会、および患者看護。これらのインターフェースまたはメッセージはそれぞれ、この標準によって取り扱っても良いが、説明のために、自動テスト・オーダーリング(OML)、自動ステータス更新(OUL)、およびマスタ・ファイル転送(MFNおよびMFQ)メッセージ(インターフェース・ポイント・ネットワークとの関連で実施される)のみを、この詳細な説明で扱う。これらのメッセージについてそれぞれ、以下で別個に説明する。
以下のことを理解されたい。用語「メッセージ」は、本明細書で用いる場合、規定された手順におけるセグメントのグループを指し、メッセージは、システム間を転送されるデータの最小構成単位であり、また各メッセージは、その目的を規定するメッセージ・タイプを有している。同様に、用語「トリガ・イベント」は、メッセージを開始する実世界のイベントを指す。トリガ・イベントは、ある値(たとえばオーダー・イベント)を表わすコードであり、メッセージ・タイプとトリガ・イベント・コードとの間の1対多の関係を伴う。このように、トリガ・イベント・コードは1つのメッセージ・タイプのみに付随することもあるが、メッセージ・タイプは複数のトリガ・イベント・コードに付随することもある。また用語「無関係なメッセージ・セグメント」は、「無視される」かまたは「使用されない」セグメントを指す。無視されるかまたは使用されないメッセージ・セグメントは、HL7メッセージには含まれないことが好ましいが、これは必要条件ではない。したがって、存在しても、無視されるメッセージ・セグメントに対しては、データ検証は行なわない。
自動テスト・オーダーリング・メッセージ
オーダーリング・メッセージ、または自動テスト・オーダーリング(OML)メッセージは、受け入れ情報およびテスト・オーダーを、LISから検査室機器へ送るために用いられる単方向性メッセージである。HL7には、双方向性メッセージ/確認応答通信メッセージ対が含まれる。次のことに注意されたい。単方向性メッセージングを用いて情報のフローを特徴付けても良く、たとえばLISが生成してIPSへ送っても良い。OMLメッセージは、新しいオーダーに対して適用し、既存のオーダーのキャンセルまたは変更のために用いることはしなくても良い。OMLメッセージには通常、複数のキー・メッセージ・セグメントが含まれ、これらには以下のものが含まれる。メッセージ・ヘッダ(MSH)セグメント、患者識別(PID)セグメント、患者来院(PVI)セグメント、組織サンプルに関する情報に対する試料および容器(SAC)セグメント、新しいテスト・オーダーを加えるための共通オーダー(ORC)セグメント、LISがオーダーを要求できるようにするための検査要求(OBR)セグメント、および任意の送られたメッセージの受け取りを可能にするためのメッセージ確認応答(MSA)セグメント。MSHセグメント、SACセグメント、ORCセグメントおよびOBRセグメントは、必須フィールドであり、有効な情報が含まれていなければならない。PVIセグメントは、任意的であり、情報を含んでいても良いし、いなくても良い。またPIDセグメントは、PVIセグメントが終了した場合にのみ必要とされる条件付きフィールドである。
SACセグメントには、検査室自動化システムの全体を通して使用されている容器を維持するために必要なデータが含まれており、3つのセグメント属性フィールドが含まれている。すなわち、外部受け入れ識別子フィールド、受け入れ識別子フィールド、および容器識別子フィールドである。外部受け入れ識別子フィールドには、外側設備が提供する識別子に基づいて検査室試料を識別するために用いられるデータが含まれている。受け入れ識別子フィールドには、テストを行なう検査室が提供する識別子に基づいて検査室試料を識別するために用いられるデータが含まれている。受け入れ識別子フィールドには、複数の容器を参照するデータが含まれていても良いし、いなくても良いことに注意されたい。容器識別子フィールドには、一意の識別子を容器に割り当てるデータが含まれている。容器は、その試料の一次(当初)のサンプルを保持しても良いし分取(二次)のサンプルを保持しても良い。一次のサンプルの場合には、このフィールドには一次の容器IDが含まれ、バーコード化された分取サンプルの場合には、このフィールドには分取容器IDが含まれる。分取サンプルが非バーコード化の場合には、このフィールドは空の状態のままであるかまたはデフォルト・データが入れられる。
ORCセグメントは、要求されるすべてのサービスに共通するフィールドを送信するために用いられ、6つのセグメント属性フィールドが含まれている。すなわち、オーダー制御(ORC−1)属性フィールド、発注オーダー(ORC−2)属性フィールド、実施済オーダー(ORC−3)属性フィールド、発注者グループ(ORC−4)属性フィールド、オーダー・ステータス(ORC−5)属性フィールド、および応答フラッグ(ORC−6)属性フィールドである。
ORC−1属性フィールドは、オーダー・セグメントの機能を決定する必須フィールドであり、OMLおよびOULメッセージの両方の動作に対して重要である。ORC−1属性フィールドには、新しいオーダー/サービス(NW)機能に対するORCフィールド値、容認済みオーダー/サービス&OK(OK)機能、および容認できないオーダー/サービス(UA)機能が、含まれている。OMLメッセージに対してこのフィールドにおいて有効な値のみがNWであることに注意されたい。しかしOULメッセージは、所定の状態に応じて、2つの可能な値のうちの1つを有することができる。検査が無事終了した場合には、OULメッセージ値はOKとなる。検査が終了しなかった場合には、OULメッセージ値はUAとなる。この場合、検査セグメント(OBX)(後述する)を調べて、未終了メッセージの原因を決定しても良い。任意のタイプの新しいオーダーを規定する各オーダー・メッセージ(すなわちORC−1=NW、OK、またはUA)では、ORC/OBRメッセージ対が、受信アプリケーションに対する各オーダーを規定する必要がある。これは任意の他のタイプのオーダーにも適用され、OBRの代わりに適切なオーダー詳細セグメントを用いる。
ORC−2、ORC−3、およびORC−4属性フィールドは、通常はサンプル受け入れ数を検査室機器に送るために用いられる任意的なフィールドであり、また個々のオーダーを識別するために用いられる。ORC−2、ORC−3、およびORC−4属性フィールドには、一意のオーダー識別子が含まれている。この識別子は、エンティティ識別子(EI)タイプである。これについては後述する。次のことに注意されたい。第1のコンポーネント(個々のオーダーを識別する文字列)には、推奨される(しかし必須ではない)15文字の制限があるが、第1のコンポーネントには、HL7標準によって規定される任意の数の文字が含まれていても良い。
ORC−5属性フィールドは、オーダーのステータスを特定するために用いられる任意的なフィールドであるが、何ら行為を開始しないフィールドである。ORC−5属性フィールドには、5つの可能な値が含まれている。すなわち、「識別子」(ID)値、「進行中」(IP)値、「オーダー終了済み」(CM)値、「エラー、オーダー終了不可能」(ER)値、および「オーダー保留状態」(HD)値である。次のことに注意されたい。場合によって、オーダー・ステータスが反映するステータスは、メッセージが送られるときに送信アプリケーションが知るものと常に同様であることが想定される。また次のことにも注意されたい。実施者のみが、このフィールドにおいて値を生成することができる。したがって、このフィールドは、ORLおよびOULメッセージにおいてのみ有効である。
ORC−6属性フィールドは、ステータス更新(OUL)を可能にする任意的なフィールドであり、またこのフィールドによって、送信アプリケーションは、1つまたは複数のOULメッセージを介して実施者から戻すべき情報量を決定することができる。ORC−6属性フィールドには、5つの可能な値が含まれている。すなわち、「染色ラン・ステータスの報告開始」(B)値、「染色ラン・ステータスの報告終了」(E)値、「画像化ラン・ステータスの報告終了」(I)値、ゼロまたは「デフォルト」(N)値、および「ポインタ」(L)値である。次のことに注意されたい。このフィールドは、複数のOULメッセージが望ましい場合には、複数のID値を用いて繰り返しても良い。
次のことに注意されたい。ORCセグメントはOMLメッセージにおいて必須フィールドであり、またオーダー詳細セグメントが存在する場合には、ORCセグメントは、非要求型検査室検査(OUL)メッセージにおいても必須である。
OBRセグメントは、オーダーを要求するためにLISによって用いられ、また7つの属性フィールドを含んでいる。すなわち、「発注者オーダー番号」(OBR−2)属性フィールド、「実施者オーダー番号」(OBR−3)属性フィールド、「ユニバーサル・サービス識別子」(OBR−4)属性フィールド、「検査データ/時間番号」(OBR−7)属性フィールド、「ラベル・テンプレート」(OBR−18)属性フィールド、「テキスト」(OBR−19)属性フィールド、および「発注者補給サービス情報」(OBR−46)属性フィールドである。
OBR−2属性フィールドは、ORC−2属性フィールドと一致する条件付きのフィールドで、個々のオーダーを識別するために用いられる。このフィールドは、EIフィールド(後述する)の特別な場合であり、発注者オーダー番号が属性フィールドORC−2に与えられているか否かに対応するという意味で条件付きである。たとえば、発注者オーダー番号が属性フィールドORC−2に与えられていない場合には、OBR−2は必須フィールドとなる。
OBR−3属性フィールドは、ORC−3属性フィールドと一致する条件付きのフィールドで、個々のオーダーを識別するために用いられる。このフィールドは、EIフィールド(後述する)の特別な場合であり、条件付きである。なぜならば、このフィールドは、OULメッセージにおいてのみ必要とされ、ORC−3属性フィールドと同じ値になるからである。OBR−3は、オーダー実施(受信)アプリケーションによって割り当てられ、特定の実施アプリケーションからのすべてのオーダーの中で、オーダーを一意に識別する。
OBR−4属性フィールドは、スライド上で行なわれるCEデータ・タイプの染色プロトコルが含まれる必須フィールドである。これは、検査室機器に対して規定されるローカル・プロトコルに基づいており、どの染色プロトコルをスライド上で用いるかを決定するために検査室機器によって用いられても良い。
OBR−7属性フィールドは、何らかの臨床的に重要な検査の日付/時間が含まれる条件付きのフィールドであり、どの染色プロトコルをスライド上で行なうかを識別するために検査室システムが用いるデータである。このフィールドは、試料が最初に得られた日付および時間を表わしている。このフィールドは条件付きである。なぜならば、OBRが報告メッセージの一部として送信されるときに、このフィールドは終了していなければならず、またOBRが要求の一部として送信されるときに、このフィールドは無視され得るからである。
OBR−18属性フィールドは、テキストのユーザ定義文字列である任意的なフィールドであり、この文字列によって、LISが、スライド・ラベルをプリントするときに用いるべきテンプレートの名前を指定することができる。このフィールドにおける値が「NOラベル」またはゼロ(たとえば「」)の場合には、ラベルは生成されない。さらにこれは、代替的なラベル・プリント資源を用いて機器バー・コード・ラベルをプリントするために用いても良い。この属性がゼロである場合には、検査室機器は、デフォルト・ラベル・テンプレートを用いてプリントしても良い。
OBR−19属性フィールドは、将来の使用に備えて確保される任意的なフィールドである。このフィールドは、サイトで規定されたバー・コード記号およびバー・コード・テキストが種々の物品(たとえば検査室におけるスライド)を一意に識別するために、用いても良い。またこのフィールドは、バー・コードにおいてエンコードされ、バー・コードを読み出すときに遭遇する一意のテキストを、LISが検査室機器に通知できるようにするために用いても良い。
OBR−46属性フィールドは、詳細を記述するために用いられる任意的なフィールドである。詳細はたとえば、どのタイプの画像化プロトコルを、OBR−4染色プロトコルを受け取ったスライド上で行なうべきか等である。OBR−46フィールドに含まれるのは、発注者システムから実施者システムに送られる補給サービス情報であって、OBR−4ユニバーサル・サービスIDにおいて報告されるユニバーサル手続きコードに対する情報である。このフィールドは、OBRセグメントの他のフィールドでは利用可能でないオーダーリング情報詳細を得るために用いても良い。複数の補給サービス情報要素を、報告しても良い。またこのフィールドは、スライドに対する画像化プロトコルを、スライドがOBR−4で要求されるプロトコルによって染色された後に要求するために、用いても良い。
次のことに注意されたい。検査が無事終了したときに、発注者フィールドに戻されるメッセージには、オーダー・セグメント(OBR)とこれに続いて検査(OBX)セグメントとが、オーダーによって生成されるそれぞれの別個の検査に対して、含まれていても良い。このような検査セグメントの数は、プロセスにおいて行なわれる個々の測定の数によって決まっても良い。OULメッセージでは、検査ができない場合(たとえばユニバーサル・サービス識別子が既知のプロトコルとマッチしないため)には、発注者は、X(検査は行なわれなかったことを示す)に等しいOBR−25−結果ステータスを受け取る。この場合、検査セグメント送信されない。
MSAセグメントには、別のメッセージを確認応答する間に送られる情報が含まれ、また6つの属性フィールドが含まれている。すなわち、「確認応答コード」属性フィールド、「メッセージ制御ID」属性フィールド、「テキスト・メッセージ」属性フィールド、「予想連続番号」属性フィールド、「遅延確認応答タイプ」属性フィールド、および「エラー状態」属性フィールドである。
確認応答コード・フィールドは、必須フィールドであり、以下の3つの値のうちの少なくとも1つが含まれていても良い確認応答コードが含まれている。すなわち、AA(当初モード:アプリケーション容認−拡張モード:アプリケーション確認応答:容認)、AE(当初モード:アプリケーション・エラー−拡張モード:アプリケーション確認応答:エラー)、またはAR(当初モード:アプリケーション拒否−拡張モード:アプリケーション確認応答:拒否)。
メッセージ制御IDフィールドは、必須フィールドであり、送信システムから送られるメッセージのメッセージ制御IDが含まれている。また、このフィールドによって、送信システムが、この応答を、応答が対象とするメッセージに関連付けることができても良い。テキスト・メッセージ・フィールドは、エラー状態をさらに記述する任意的なフィールドである。このテキストは、エラー・ログ内にプリントしても良いし、エンド・ユーザに示しても良い。予想連続番号は、手順プロトコルにおいて用いられる任意的な数字フィールドである。遅延確認応答タイプは、任意的であり、無視しても良い。
エラー状態フィールドは、任意的なフィールドであり、このフィールドによって、確認応答システムがユーザ定義のエラー・コードを用いてARまたはAEタイプの確認応答をさらに特定することができるものである。エラー状態フィールドには、以下の13個の値のうちの少なくとも1つが含まれていても良い。すなわち、0、100、101、102、103、200、201、202、203、204、205、206、および207である。「0」のエラー状態値は、「メッセージ容認済」のエラー・テキスト・メッセージを与え、成功を示す。これは通常、ステータス・コードを常に戻さなければならないシステムに対して用いられ、任意的である、なぜならばAAが成功を伝えるからである。「100」のエラー状態値は、「セグメント手順エラー」のエラー・テキスト・メッセージを与え、メッセージ・セグメントが適切なオーダーになかったことを示すか、または必須セグメントが行方不明であることを示す。「101」のエラー状態値は、「必須フィールド行方不明」のエラー・テキスト・メッセージを与え、必須フィールドがセグメントから行方不明であることを示す。「102」のエラー状態値は、「データ・タイプ・エラー」のエラー・テキストを与え、フィールドに間違ったデータ・タイプのデータが含まれていたこと(たとえばNMフィールドに「FOO」が含まれていたこと)を示す。「103」のエラー状態値は、「テーブル値見出されず」のエラー・テキストを与え、データ・タイプIDまたはISのフィールドが対応テーブルと比較されたがマッチングが見出されなかったことを示す。
「200」のエラー状態値は、「未サポート・メッセージ・タイプ」のエラー・テキスト・メッセージを戻し、メッセージ・タイプはサポートされていないことを示す。「201」のエラー状態値は、「未サポート・イベント・コード」のエラー・テキスト・メッセージを戻し、イベント・コードはサポートされていないことを示す。「202」のエラー状態値は、「未サポート処理ID」のエラー・テキスト・メッセージを示し、処理IDはサポートされていないことを示す。「203」のエラー状態値は、「未サポート・バージョンID」のエラー・テキスト・メッセージを戻し、バージョンIDはサポートされていないことを示す。「204」のエラー状態値は、「未知のキー識別子」のエラー・テキスト・メッセージを戻し、患者のID、オーダーなどが見出されなかったことを示す。このフィールドは、追加以外のトランザクション(たとえば存在しない患者の転院)に対して用いても良い。「205」のエラー状態値は、「重複したキー識別子」のエラー・テキスト・メッセージを戻し、患者のID、オーダーなどがすでに存在することを示す。このフィールドは、追加トランザクション(入院、新しいオーダーなど)に応答して用いても良い。「206」のエラー状態値は、「アプリケーション記録ロックド」のエラー・テキスト・メッセージを戻し、トランザクションがアプリケーション記憶レベルにおいて実行できなかったこと(たとえばデータベースがロックされたこと)を示す。「207」のエラー状態値は、「アプリケーション内部エラー」のエラー・テキスト・メッセージを戻し、他のコードでは明確にはカバーしていない内部エラーに対するキャッチオールである。
自動ステータス更新
ステータス結果メッセージ、または自動ステータス更新(非要求型検査室検査またはOUL)メッセージも、単方向性メッセージである。しかしOULは、検査室機器によって生成され、LISによって受信されてLISに試料ステータスを通知する。OULメッセージは、LISからの当初のオーダー要求を、そのオーダー要求に関係するステータス更新と組み合わせる応答ステータス・メッセージであり、少なくとも2つのキー・セグメントが含まれている。すなわち、診断報告の各コンポーネントのステータスであるOBXセグメントと、テスト中に使用される試薬についての詳細な情報を含むZSIセグメントである。
次のことに注意されたい。セグメント・タイプのOBXおよびOBRを用いた場合、ほとんどどんな臨床報告も、3レベル階層として構築することができる。すなわち、上部レベルにおけるPID、次のレベルにおけるオーダー記録(OBR)、および下部における1つまたは複数の検査記録(OBX)である。さらに次のことに注意されたい。1つの結果セグメント(OBX)が診断報告の各コンポーネントに対して送信され、このセグメントにより、分析結果の生成に関与した試薬および他の物質の物質データ(ロット、製造業者など)を、分析結果自体以外に、ZSIセグメントを介して伝達することが可能になる。
検査(OBX)セグメントは、ラン番号、開始時間、終了時間、およびエラー・メッセージに関する情報の転送を可能にし、また少なくとも5つのOBX属性フィールドを含んでいる。すなわち、セットID(OBX−1)属性フィールド、値タイプ(OBX−2)属性フィールド、検査識別子(OBX−3)属性フィールド、検査サブID(OBX−4)属性フィールド、および検査値(OBX−5)属性フィールドである。
OBX−1フィールドは、連続番号が含まれる必須フィールドである。OBX−2フィールドは、OBX−5フィールドに含まれる検査値のフォーマットを含む必須フィールドであり、以下の値のうちの少なくとも1つを含んでいても良い。OBX−2=NMは、数字フォーマットを示す。OBX−2=STは、文字列フォーマットを示す。OBX−2=TSは、タイム・スタンプ・フォーマットを示す。OBX−3フィールドは、検査に対する少なくとも1つの一意の識別子を含む必須フィールドである。これは、ORC−4フィールドにおける染色プロトコル値を反映しても良いが、例外として、この検査が画像化結果を参照するときには、OBX−3フィールドは、OBR−46フィールドにおける画像化プロトコルのうちの1つが有する値を反映しても良い。OBX−4フィールドは、複数のOBXセグメントを区別するために用いても良い必須フィールドであり、同じ検査IDがOBRの下で系統立てられる。またOBX−4フィールドは、検査セグメントを分類するために用いても良い必須フィールドである。OBX−4フィールドには、表1に示す値のうちの少なくとも1つが含まれていても良い。
OBX−5フィールドは、検査者が検査した値が含まれる必須フィールドである。OBX−2(値タイプ)には、このフィールドに対するデータ・タイプが、どの検査値がフォーマットされるかに基づいて含まれる。
物質識別子(ZSI)セグメントには、分析テスト結果の生成に用いられる物質(たとえば試薬)を識別するために必要なデータが含まれ、少なくとも10個の属性フィールドが含まれる。これらのフィールドの組み合わせによって、物質が一意に識別され、製造業者に応じてこれらのフィールドの全部または一部が必要とされる。分析に複数の物質が必要である場合には、このセグメントは各物質に対して繰り返される。ZSIセグメントによって、以下のものに関する情報の転送が可能になる。試薬の製造業者、化学名、カタログ番号、ロット番号、ロット期限、および連続番号。
ZSIセグメントには、表2に示す属性フィールドが含まれる。
マスタ・ファイル交換メッセージ
マスタ・ファイル交換またはマスタ・ファイル転送メッセージも、単方向性メッセージであり、2つのタイプのメッセージが含まれている。すなわち、1)マスタ・ファイル変化通知(MFN)メッセージ、およびマスタ・ファイル照会(MFQ)メッセージである。マスタ・ファイル転送メッセージは、検査室機器によって生成され、LISによって受信されて、マスタ・ファイル情報が2つのシステム間で同期し続けるようにする。
MFQメッセージによって、LISは、特定のマスタ・ファイルにおける記録のグループを照会することができる。MFQメッセージには、2つの必須セグメントが含まれている。すなわち、メッセージ・ヘッダ(MSH)セグメントと照会定義(QRD)セグメントである。QRDセグメントは、照会を定義するために用いられ、表3に示すような10個の属性フィールドが含まれている。
またMFQトランザクションには、以下の7つのセグメントを含むマスタ・ファイル応答(MFR)メッセージが含まれている。すなわち、メッセージ・ヘッダ(MSH)、メッセージ確認応答(MSA)、照会定義(QRD)、マスタ・ファイル識別(MFI)、プロトコル入力(ZVP)、テンプレート入力(ZVT)、およびサード・パーティの化学入力(ZSI)である。なおZVPおよびZVT以外はすべて、必須セグメントである。
MFIセグメントは通常、マスタ・ファイルを識別するために用いられ、表4に示すような5つのセグメント属性フィールドを含んでいる。
ZVPセグメントは、マスタ・ファイル・プロトコル情報を入力するために用いられ、表5に示すように3つのセグメント属性フィールドを含んでいる。
ZVTセグメントは、マスタ・ファイル・テンプレート情報を入力するために用いられ、表6に示すように2つのセグメント属性フィールドを含んでいる。次のことに注意されたい。ZVTセグメントは、MFI−1セグメント・フィールドにおけるフィールド・タイプがテンプレートにセットされたときにのみ用いられる。
ZSIサード・パーティの化学/物質セグメントは、MFI−1セグメント・フィールドにおけるフィールド・タイプが、抗体、試薬、プローブ、またはバルクにセットされたときにのみ用いられるユーザ定義のセグメントである。
MFNメッセージは、検査室機器プロトコル、スライド・ラベル・テンプレート、およびサード・パーティの化学を他のシステムと同期させるために生成され、マスタ・ファイル・メッセージおよびマスタ・ファイル確認応答メッセージを含んでいる。マスタ・ファイル・メッセージは、ユーザ充填可能なディスペンサとともに用いても良いサード・パーティの化学情報を容認するために用いても良く、また6つのセグメントを含んでいる。すなわち、メッセージ・ヘッダ(MSH)セグメント、マスタ・ファイル識別(MFI)セグメント、マスタ・ファイル入力(MFE)セグメント、プロトコル入力(ZVP)セグメント、テンプレート入力(ZVT)セグメント、およびサード・パーティの化学入力(ZSI)セグメントである。インポート手順中に使用されないZVPセグメントおよびZVTセグメントを除いて、以上のセグメントはすべて必要とされる。
マスタ・ファイル確認応答メッセージは、マスタ・ファイル・メッセージの受け取りを確認応答するために用いられ、2つの必須セグメント(メッセージ・ヘッダ(MSH)セグメント、確認応答(MSA)セグメント)と、1つの任意的なセグメント(エラー(ERR)セグメント)とを含んでいる。
MFEセグメントは、ZVP、ZVT、およびZC3セグメントからの複数のデータ要素を繰り返す必須セグメントである。MFEセグメントは、記録が追加されているか、削除されているか、または更新されているかを示す記録レベルのイベント・コードを、インポートおよびエクスポート動作中に示すために用いられ、表7に示すように5つのセグメント属性フィールドを含んでいる。
例示的な実施として、ラボ機器110、114(図3)に自動スライド染色が含まれる場合には、受け取ったHL7メッセージを変換してスライド・データ要素にマッピングすることができる編集可能なメカニズムを実現するために、GUIインターフェースを有するエディタを実施して、HL7メッセージを処理するためのルールからなる変換スクリプトをユーザが構築してテストできるようにする。
このメカニズムによって、ライブ変換スクリプトを用いるためのルーチンHL7メッセージ変換を行なうこと、およびアクティブに編集されていてライブではない変換スクリプトを維持することの両方が可能であるオブジェクトが得られる。
IPS102(図3)に常駐するフィールド・マッパー機能は、次のことを行なう単一のオブジェクトを中心に行なわれる。ライブ・スクリプトをロードおよび保持すること、ライブ・スクリプトを失うことなくスクリプトを編集モードにすることを可能にすること、編集済みスクリプト・ライブの選択を可能にすること、編集済みスクリプトを保存すること、およびライブ・スクリプトを用いてルーチンHL7変換を行なって、症例データを必要に応じて変更すること。
例示的なIPS102上で実行されるアプリケーションは、必要に応じてフィールド・マッパー・オブジェクトを形成し、このオブジェクトを、主に受け取ったHL7メッセージを処理するために用いる。その結果、症例データが、HL7メッセージから必要に応じて抽出される。フィールド・マッパーは、顧客サイトに存在する実に様々なHL7メッセージ・データ構造と共に動作できるように、非常にフレキシブルである必要がある。このことに適応するために、メッセージ・データの処理が体系化されるスクリプト「ルール」は、メッセージ・データを症例データに変換するためにつながる命令のインタープリット済みリストからなる。IPS102では、これらの処理ルールを取り扱っている。以下は、例示的な場合に規定される9つのスライド・データ・フィールドである。1)テンプレート、2)患者ID、3)患者名、4)医療施設、5)要求者、6)受け入れID、7)症例ID、8)ブロックID、および9)スライドID。
この例示的な実施形態では、これらは、フィールド・マッピング変換中に変更できる唯一の可能な出力フィールドである。しかし他の実施では、他のフィールドを規定および処理しても良いことを理解されたい。フィールド・マッパーの目的は、これらのデータ・フィールドに、HL7メッセージから抽出された適切なデータを入れることである。
当業者であれば理解するように、HL7メッセージには、スクリプトによって取り入れられるべきデータを含むことができる多数のしかし有限のHL7フィールドが存在する。
スクリプト言語コンポーネント
スクリプト・フィールド・マッピング言語は、一般的な形式でラインに符号化されるルールからなる。<ターゲット要素>=<ソース要素>まとめて、スライド・データ・フィールド、HL7メッセージ要素、内部変数、およびリテラル文字列は、「データ・タイプ」と言われる。データ・タイプは、スクリプト・ラインにおいて以下のように存在することができる。
内部変数は、スクリプトの編集時にユーザ定義可能であり、スクリプト・コマンド処理中に結果を一時的に保持するために用いられる。内部変数は、自動的に形成され、最初は空の値を有している。
言語エディタは、ユーザがスクリプト・コマンドを形成することができる唯一の方法である。この結果、ユーザ入力のスクリプト・コマンド・ラインを取り扱う精巧な構文解析エンジンを開発する必要がない。スクリプト・コマンドは、バイナリ形式で記憶されるが、ユーザが容易に見ることができるフォーマットで示される(この表示されるフォーマットは、後に特殊関数の構文を記述するときに用いられるが、構文解析は、示したコマンド・ラインには必要ではない)。
COPY(コピー)特殊関数
この機能は、1つのデータ・オブジェクトの全内容をコピーして、それを他に保存するために用いられる。構文は以下のようになる。
[ターゲット・データ・オブジェクト]=COPY([ソース・オブジェクト])
例:
x=‘1234’の場合、
[s]=COPY([x])
の結果は‘1234’。
EXTRACT(抽出)特殊関数
この機能は、ソース・オブジェクトから区切りデータを掘り出すために使用できる非常にフレキシブルな文字列抽出機能である。抽出は、規定された区切り文字列と開始および終了区切りカウントとを用いて行われる。この機能によって、データを種々の仕方(一番左、一番右、または中央の文字列など)で、抽出することができる。抽出は、区切り文字列の開始インスタンス・カウントで始まる文字から始まり、実際の開始区切り文字列は除く。抽出は、区切り記号の終了インスタンス・カウントで終了し、実際の終了区切り文字列は含まない。
構文は以下のようになる。
[ターゲット・データ・オブジェクト]=EXTRACT([ソース・オブジェクト]、区切り文字列、開始インデックス・カウント、終了インスタンス・カウント)
区切り文字列は、ユーザが入力する任意の空白でない文字列とすることができる。
開始および終了インデックス・カウントは、任意の正の整数値とすることができる。区切りカウント0には特別な意味があり、それらが見出される場所によって異なる。0が開始インスタンス・カウントで見出される場合には、この意味は、データ・オブジェクトの開始から抽出を開始することである。0が終了インスタンス・カウントで見出される場合には、この意味は、データ・オブジェクトの終わりに抽出を終了することである。言い換えれば、開始インスタンス・カウントに対して0を用いることは、データ・オブジェクトの左部分を選ぶことを意味し、終了インスタンスに対して0を用いることは、データ・オブジェクトの右側を選ぶことを意味する。
例:
[x]=EXTRACT([‘1234−567−1111−9999’],‘−’,1,2)
の結果は‘567’。
[x]=EXTRACT([‘1234−567−1111−9999’],‘−’,1,3)
の結果は‘567−1111’。
[x]=EXTRACT([‘1234−567−1111−9999’],‘−’,0,2)
の結果は‘1234−567’。
[x]=EXTRACT[‘1234−567−1111−9999’],‘−’,1,0)
の結果は‘567−1111−9999’。
[x]=EXTRACT([‘1234−567−1111−9999’],‘−’,0,0)
の結果は‘1234−567−1111−9999’(これは実際には、フィールド全体である)。
CONCAT特殊関数
この機能は、複数のソース・データ・オブジェクトを一つに連結して長い文字列を作成し、ターゲット・データ・オブジェクトに割り当てるために用いられる。構文は以下のようになる。
[ターゲット・データ・オブジェクト]=CONCAT([ソース・オブジェクト1],[ソース・オブジェクト2],[ソース・オブジェクト3],[ソース・オブジェクト4])
1〜4のソース・データ・オブジェクトが存在することができる。3〜4は任意的である。ソース・データ・オブジェクトの内容を、単純に一つに連結して、結果を形成する。4を超えるソース・データ・オブジェクトを連結する必要がある場合には、一時的な結果を内部変数に記憶することができ、より多くのコンカット・コマンドをつなげて連結を続けることができる。
例:
x=‘1234’、y=‘567’、z=‘1111’の場合、
[s]=CONCAT([x],[‘−’],[y])
の結果は‘1234−567’。
[s]=CONCAT([s],[‘−’],[z])
の結果は‘1234−567−1111’。
LEFT(レフト)特殊関数
この機能は、ある特定の量の文字をデータ・オブジェクトの左側から抽出するために用いられる。構文は以下のようになる。
[ターゲット・データ・オブジェクト]=LEFT([ソース・オブジェクト],#文字)
例:
x=‘1234’の場合、
[s]=LEFT([x],3)
の結果は‘123’。
RIGHT(ライト)特殊関数
この機能は、ある特定の量の文字をデータ・オブジェクトの右側から抽出するために用いられる。構文は以下のようになる。
[ターゲット・データ・オブジェクト]=RIGHT([ソース・オブジェクト],#文字)
例:
x=‘1234’の場合、
[s]=RIGHT([x],3)
の結果は‘234’。
MID特殊関数
この機能は、ある特定の量の文字をデータ・オブジェクトの中央部から抽出するために用いられる。構文は以下のようになる。
[ターゲット・データ・オブジェクト]=MID([ソース・オブジェクト],開始位置,#文字)
開始位置は、文字の抽出を開始する文字位置である。文字数は、いくつの文字を抽出するかである。
例:
x=‘1234’の場合、
[s]=MID([x],2,2)
の結果は‘23’。
データ記憶
フィールド・マッピング・スクリプトは、バイナリ形式でディスクに記憶され、必要に応じて検索され、変更されたら記憶される。ファイル・フォーマットは、人間によって読取可能とはならないようにデザインされる。データ保全機能がファイル・フォーマットに組み込まれていて、ディスクからの検索時にデータ破損が明らかとなるようになっており、無効のスクリプトが容易に識別可能となって実行されないようになっている。より具体的には、データは、暗号化されて自動ラップされたコードセーフ・ストリーム内に記憶される。
次に図6を参照して、ホスト/IPデータ同期方法600を一般的に例示する高レベルのブロック図を示しており、図3に関してすでに例示および説明したIPNに関して以下のように説明する。後に詳細に説明するように、IPS102が最初にIPN100に接続されると、IPS102は、IPN100上のすべてのデバイス(たとえば第1のホスト・コンピュータ108および第2のホスト・コンピュータ112)にメッセージを周期的に一斉送信することを始めて、これらのデバイスのそれぞれに、IPS102がIPN100に接続したことを通知する(ブロック602に示す)。このメッセージは、IPN100全体に渡って全体的に一斉送信されるユーザ・データグラム・プロトコル(UDP)タイプであり、IPS102上に何のデータが存在するかについての情報を含んでいる。次のことを理解されたい。IPS102がIPN100に接続されると、IPS102サービスを用いるように構成されたIPN100上の任意のホスト・コンピュータは、種々の機能を行なうことができる。たとえば、IPS102に接続して、IPS102に既知である最新のデータ要素を要求するか、または新しいデータ要素をIPS102と共有することによって、新しい要素をホスト・コンピュータのネットワーク106にとって利用可能にする等である。検査室状況における機器の間で共有され得るデータのタイプには、以下のものがある。すなわち、染色プロトコル、ユーザ・パスワードおよびプリビレッジ、試薬(ディスペンサ/ガラス瓶)、バルク流体、症例/キーコード、テンプレート、パネル、およびサード・パーティの試薬である。ホスト・コンピュータのネットワーク106における各ホスト・コンピュータは、独立にセット・アップして、所定の状態(たとえば個々の検査室および/またはコンピュータ・ホストの要求)に対応して、データ要素を共有するようにしても良いし、共有しなくても良い。
この一斉送信メッセージを受け取ると、ホスト・コンピュータのネットワーク106は、IPS102上のデータがホスト・コンピュータのネットワーク106上のデータと異なっているかどうかを判定する(ブロック604に示す)。これは、第1のホスト・コンピュータ108が、IPS102上に存在するデータを第1のホスト・コンピュータ108上に存在するデータと比較すること、および第2のホスト・コンピュータが、IPS102上に存在するデータを第2のホスト・コンピュータ112上に存在するデータと比較することによって、行なっても良い。第1のホスト・コンピュータ108および第2のホスト・コンピュータ112の両方に存在するデータが、IPS102上に存在するデータと同じである場合には、同期プロセスは終了する(ブロック614に示す)。しかしホスト・コンピュータのネットワーク106上のデータセットが、IPS102上に存在するデータセットと異なる場合には、ホスト・コンピュータのネットワーク106は、同期プロトコルを開始して、IPS102のデータ要素のバージョンのコピーをホスト上のデータ・セットに転送する。しかしホスト・コンピュータのネットワーク106上のデータセットが、IPS102上のデータセットよりも新しい場合には、IPS102上のデータセットを、ホスト・コンピュータ106からのデータ要素のバージョンのコピーによって更新する。
たとえばIPS102上のデータセットが、第1のホスト・コンピュータ108上のデータセットと、全部または一部が異なる場合には、第1のホスト・コンピュータ108は、そのデータセットがIPS102上のデータセットよりも古いかどうかを判定する(ブロック606に示す)。これは、第1のホスト・コンピュータ108がそのデータセットをIPS102上のデータセットと比較することによって、行なっても良い。第1のホスト・コンピュータ108上のデータセットが、IPS102上のデータセットよりも古い場合には、IPS102上のデータセットのうち新しい部分が、第1のホスト・コンピュータ108によって取得される(ブロック608に示す)。これが行なわれると、または第1のホスト・コンピュータ108上のデータセットが、IPS102上のデータセットよりも古くない場合には、第1のホスト・コンピュータ108は、そのデータセットが、IPS102上のデータセットよりも新しいかどうかを判定する(ブロック610に示す)。前述したように、これは、第1のホスト・コンピュータ108が、そのデータセットをIPS102上のデータセットと比較することによって、行なっても良い。第1のホスト・コンピュータ108上のデータセットが、IPS102上のデータセットよりも新しい場合には、ホスト・コンピュータ108上のデータセットのうち新しい部分が、第1のホスト・コンピュータ108によってIPS102に転送される(ブロック612に示す)。これがIPN100全体上の各ホスト・コンピュータに対して行なわれたら、同期プロセスは終了する(ブロック614に示す)。
図7を参照して、ホスト側データ要素の同期方法700を例示する低レベルのブロック図を示しており、以下のように説明する。図7の方法を、第1のホスト・コンピュータ108に対して説明しているが、図7の方法は、複数のホスト・コンピュータ106における各ホスト・コンピュータに対して適用されることを理解されたい。すでに簡単に述べたように、IPS102が最初にIPN100に接続されると、IPS102は、IPN100に接続されるすべてのデバイスにUDPメッセージを周期的に一斉送信することを始めて、IPN100に接続されるすべてのデバイス(この場合は第1のホスト・コンピュータ108)上の情報を同期させる(ブロック702に示す)。このUDPメッセージには、IPSプロトコル・バージョン番号とともに、IPS102上に存在するデータに関する情報、たとえばその情報のタイムスタンプまたは日付が含まれる。第1のホスト・コンピュータ108がこのメッセージを受け取ると、第1のホスト・コンピュータ108は、そのデータセットが、IPS102上に含まれるデータセットと異なっているかどうかを判定する(ブロック704に示す)。これは、UDPメッセージに含まれるIPSプロトコル・バージョン番号を第1のホスト・コンピュータ108上のプロトコル・バージョン番号と比較することによって、行なっても良い。プロトコル・バージョン番号がマッチする場合には、IPS102上のデータセットは、第1のホスト・コンピュータ108上のデータセットと同じであり、ホスト側データ要素同期方法700は終了する(ブロック740に示す)。
しかしプロトコル・バージョン番号がマッチしない場合には、IPS102上のデータセットは、第1のホスト・コンピュータ108上のデータセットとは異なっており、第1のホスト・コンピュータ108は、IPS102からのデータ要素のIPSリスト(すなわち内容のテーブル)を要求する(ブロック706に示す)。この要求を受け取ると、IPS102はデータ要素のIPSリストを送り、第1のホスト・コンピュータ108はこれを受け取る(ブロック708に示す)。
第1のホスト・コンピュータ108は、第1のホスト・コンピュータ108上に含まれるホスト・データ要素のリストを構築し(ブロック710に示す)、ホスト・データ要素のリストをデータ要素のIPSリストと比較して、第1のホスト・コンピュータ108上で何らかのデータ要素が不足しているか、またはIPS102上のデータ要素よりも古いかどうかを判定する(ブロック712に示す)。第1のホスト・コンピュータ108上のデータ要素に、不足しているかまたはIPS102上のデータ要素よりも古いものがある場合には、第1のホスト・コンピュータ108は、データ要素のロックを要求してこれをIPS102から取得する(ブロック714に示す)。複数のホスト・コンピュータがある場合には、このデータ要素のロックによって、1つのホスト・コンピュータ(たとえば第1のホスト・コンピュータ108)のみが、IPS102内のデータ要素にアクセスできるようになるため、他のホスト・コンピュータが、特定のデータ要素に同時にアクセスして変えてしまうことを心配する必要がない。データ要素のロックが取得されると、第1のホスト・コンピュータ108は、IPS102に、当該データ要素を送ることを要求する(ブロック716に示す)。第1のホスト・コンピュータ108が、要求されたデータ要素を受け取ると、第1のホスト・コンピュータ108は、データ要素をそのデータ要素バッファに加える(ブロック718に示す)。そしてデータ要素は、データ要素バッファから第1のホスト・コンピュータ108のホスト・データベースに保存される(ブロック720に示す)。次に第1のホスト・コンピュータ108は、第1のホスト・コンピュータ108上のデータ要素に、不足しているかまたはIPS102上のデータ要素よりも古いものがさらにあるかどうかを判定する(ブロック722に示す)。そうである場合には、ブロック716〜720を繰り返す。そうでない場合には、第1のホスト・コンピュータ108は、IPS102に、データ要素のロックを解除するように要求を送る(ブロック724に示す)。
データ要素のロックが解除されるか、または第1のホスト・コンピュータ108上に、不足しているかまたはIPS102上のデータ要素よりも古いデータ要素がない場合には、第1のホスト・コンピュータ108は、ホスト・データ要素のリストをデータ要素のIPSリストと比較して、IPS102上で何らかのデータ要素が不足しているか、または第1のホスト・コンピュータ108上のデータ要素よりも古いかどうかを判定する(ブロック726に示す)。IPS102上のデータ要素に、不足しているかまたは第1のホスト・コンピュータ108上のデータ要素よりも古いものがある場合には、第1のホスト・コンピュータ108は、データ要素のロックを要求してこれをIPS102から取得する(ブロック728に示す)。データ要素のロックが取得されると、第1のホスト・コンピュータ108は当該のデータ要素をIPS102に送る(ブロック730に示す)。第1のホスト・コンピュータ108は、データ要素をホスト・データベースから読み出して、そのデータ要素バッファに入れ(ブロック732に示す)、IPS102に送られたデータ要素は、データ要素バッファから取り除かれる(ブロック734に示す)。次に第1のホスト・コンピュータ108は、IPS102上のデータ要素に、不足しているかまたは第1のホスト・コンピュータ108上のデータ要素よりも古いものがさらにあるかどうかを判定する(ブロック736に示す)。そうである場合には、ブロック730〜734を繰り返す。そうでない場合には、第1のホスト・コンピュータ108は、データ要素のロックを解除するようにIPS102に要求を送り(ブロック738に示す)、ホスト側データ要素同期方法700は、終了する(ブロック740に示す)。
ある特定のテスティング状況では、データ要素場所の知識は必須であり、たとえば試薬を取り扱うときにそうである。この状況は、ホスト側データ要素の整列によって対処され得る。図8を参照して、ホスト側データ要素の整列方法800を例示するブロック図を示しており、以下のように説明する。ホスト・コンピュータが、データ要素(たとえば試薬)の所有権を必要とする場合(ブロック802に示す)、ホスト・コンピュータは、データ要素の所有権を要求することを、データ要素の所有権を要求するUDPメッセージをIPN100へ一斉送信することによって行なう(ブロック804に示す)。IPN100上の各ホスト・コンピュータは、UDPメッセージを受け取り(ブロック806に示す)、要求されたデータ要素を現時点で所有しているかどうかを判定する(ブロック808に示す)。要求されたデータ要素を所有するホスト・コンピュータは、要求されたデータ要素がロックされているかどうかを判定する(ブロック810に示す)。要求されたデータ要素がロックされていない場合には、要求されたデータ要素を所有するホスト・コンピュータは、要求しているホスト・コンピュータについての情報(ホストIDおよびタイムスタンプ更新を含む)をそのデータ要素データベースに書き込み(ブロック812に示す)、要求されたデータ要素の所有権を、要求しているホストに実効的に転送する。
これが終了するか、またはホスト・コンピュータが、要求されたデータ要素を所有していないか、またはデータ要素がロックされている場合には、ホスト・コンピュータは、要求されたデータ要素のすべてについて所有権の有無を調べたかどうかを判定する(ブロック814に示す)。調べていない場合には、ブロック808〜814を、要求されたデータ要素のすべてについて所有権の有無を調べるまで、繰り返す。調べている場合には、ホスト・コンピュータは、何らかのデータ要素の所有権が、要求しているホスト・コンピュータに移されたかどうかを判定する(ブロック816に示す)。移されていない場合には、ホスト側データ要素の整列方法800は終了する(ブロック824に示す)。移されている場合には、ホスト・コンピュータは、新しい所有権データ要素を、要求しているホスト・コンピュータに、たとえばTCP/IPメッセージを用いて一斉送信する(ブロック818に示す)。新しい所有権データ要素を受け取ると、要求しているホスト・コンピュータは、確認応答メッセージを、送信しているホスト・コンピュータに送り返す(ブロック820に示す)。次に、要求しているホスト・コンピュータは、そのデータベースを新しい所有者情報を用いて更新し、たとえば所有者バージョンを増加しおよびタイムスタンプを再設定する(ブロック822に示す)。これが終了したら、ホスト側データ要素の整列方法800は終了する(ブロック824に示す)。
次のことを理解されたい。HL7を介して行なわれるこのタイプの直接テスト・オーダーリングによって、データ入力およびラベリング機能が能率化でき、その結果、ワーク・フローの生産性および質的管理が増加する。さらに次のことを理解されたい。IPS102は、LIS104および/またはホスト・コンピュータのネットワーク106との通信を、標準TCP/IPプロトコルまたは所望の最終目的に好適な任意の他の方法を用いて行なっても良い。このような方法はたとえば、インターネット、イーサネット、無線、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)などである。さらに、IPS102が取り扱うデータは、多くのタイプから構成されていても良い。これはたとえば(しかしこれらに限定されないが)、染色プロトコル、バー・コード割当て、試薬ディスペンサ情報、ユーザ・パスワード、症例マネジメント、LISからの染色要求、染色ステータス、およびLISに送り返される結果情報である。
前述したように、図6、7、および8の方法の少なくとも一部は、コンピュータ実施のプロセスおよびこれらのプロセスを実行するための器具の形態で具体化しても良い。さらに図6、7、および8の方法の少なくとも一部は、有形の媒体(たとえばフロッピー(登録商標)・ディスケット、CD−ROM、ハード・ドライブ、または任意の他のコンピュータ−読取可能な記憶媒体)において具体化される命令を含むコンピュータ・プログラム・コードの形態で具体化しても良い。なおコンピュータ・プログラム・コードがコンピュータにロードされてコンピュータによって実行されると、コンピュータは、本明細書で説明した技術を実行するための器具になる。再プログラム可能な記憶(たとえば、フラッシュ・メモリ)を有する既存のシステムを、本明細書で説明した技術を実施するために更新しても良い。図6、7、および8の方法の少なくとも一部は、たとえばコンピュータ・プログラム・コードの形態で具体化されても良いことが意図されている。これは、コードが、記憶媒体に記憶されるか、コンピュータにロードされおよび/またはコンピュータによって実行されるか、または何らかの伝送媒体を介して送信される(たとえば電気配線もしくはケーブル布線を介して、光ファイバを通して、もしくは電磁放射を介して)かどうかに依らない。なおコンピュータ・プログラム・コードがコンピュータにロードされてコンピュータによって実行されると、コンピュータは、本明細書で説明した技術を実行するための器具になる。多目的マイクロプロセッサ上で実施されるとき、コンピュータ・プログラム・コード・セグメントは、特定の論理回路を形成するようにマイクロプロセッサを構成しても良い。
次のことを理解されたい。本明細書で説明したシステムおよび技術を用いるために実施されるネットワークによって、IPS102が遠隔オペレータに、次のようなウェブ・インターフェースを与えることができても良い。すなわち、ホスト・コンピュータのネットワーク・システム106および任意の検査室機器(たとえば第1の複数の検査室機器110および第2の複数の検査室機器114)に対する報告およびステータス更新のために用いても良いウェブ・インターフェースである。
本明細書で説明したシステムの実施形態では、任意の1つまたは複数の異なるエンコーディング技術を用いて、スライド、試薬、および他の要素の追跡および識別を容易にしても良い。これらの技術には、任意の電磁気的エンコーディングが含まれる。たとえば、光学的に読取可能な文字たとえばバー・コード、読取可能および/または書き込み可能なRFIDラベル、赤外線のIDシステムなどとともに用いても良いものである。
一例として、RFID技術は、スライド、試薬などを追跡することに関連して用いても良く、またこれらの要素についての情報にアクセスおよび管理する際に用いても良い。RFID使用可能ラベルは、ガラス・スライド、試料容器、または自動化された検査室環境において処理され得る他の物品もしくはコンポーネントに関連して、用いても良い。
一実施形態では、バー・コード上でRFIDラベルを用いることに利点を見出しても良い。これについては、本明細書の他の箇所で説明される。バー・コード上にRFIDラベルを設けることの1つの利点は、タグ・データを読み出しおよび書き込むための見通し線を必要としないことである。さらにRF信号は、幅広い非金属の材料の中を伝わることができる。データは、アンテナの範囲内にある多くのRFIDラベルから同時に捕捉しても良い。RFIDラベルを、種々のコーティング内に入れても良く、こうすることで、RFIDラベルを、極めて耐久性のあるものにすることができ、また過酷な生産プロセスの間じゅう追跡することができる。また本明細書の他の箇所で詳細に説明するように、RFIDラベルは、読み出しおよび/書き込み動作をサポートすることが可能である。書き込み可能なRFIDラベルを用いる実施形態では、リアル・タイムな情報更新を、タグ付き物品が処理ステップの間を移動する間にRFIDラベルに書き込むことによって、行なっても良い。バー・コード(いったんプリントされたら再使用できない)とは対照的に、書き込み可能なRFIDタグは、新しいデータにより再使用できる。
次に図9を参照して、スライド配置の実施形態1000の例を示す。スライド1004には、RFIDラベル1002が含まれている。配置1000では、RFIDラベル1002は、スライド1004の上面1006に取り付けられている。この配置および本明細書で説明する他の配置におけるスライドは、たとえばガラス・スライドであっても良い。RFIDラベル1002には、電子的にエンコードされた情報が含まれていても良い。これについては、本明細書の他の箇所で説明される。さらにRFIDラベル1002の表面には、プリントされた情報、たとえば人間によって読取可能なテキスト、バー・コード識別子などが、含まれていても良い。また次のことにも注意されたい。RFIDラベル1002の実施形態では、テキストまたは他のタイプの情報をその表面に含めることを省いても良い。
次に図10を参照して、スライドおよびRFIDラベルの第2の配置1020を示す。例1020では、スライド1024にはRFIDラベル1022が含まれ、このラベル1022はスライド1024の下面1026に取り付けられている。この配置例1020では、スライド1022には、当業者には既知であるRFID技術に基づいてエンコードされた情報が含まれていても良い。さらにスライドの底部1026に取り付けられた1022の表面上に、RFIDラベルは、RFIDラベル表面にプリントされた情報を含んでいても良い。プリントされた情報には、人間によって読取可能なテキスト、バー・コードなどが含まれていても良い。これらは、検査スライド1024を上面1028から見たときに見ることができる。この場合、プリントされた情報(たとえばバー・コード)は、スライド1024の底面1026に接触している1022の表面上にあっても良い。さらに一実施形態では、テキストまたは他のプリントされた情報を、RFIDラベル1022の底面上に組み込んでも良い。また次のことにも注意されたい。一実施形態では、バー・コードおよび他の情報を別のラベル内に含むことを、このような任意的なテキストをRFIDラベル1022の表面上に含む代わりに行なっても良い。
次に図11を参照して、RFIDラベルにおけるスライドの第3の配置1040を示す。配置1040では、RFIDラベル1042が、スライド1044の層の内部に埋め込まれていても良い。このような配置1040には、あらかじめ作製されたスライドおよびRFIDラベル(たとえば製造業者によって提供される)が含まれていても良い。この配置では、RFIDラベル1042は、ガラス・スライド1044の上面付近に埋め込まれる。
次に図12を参照して、RFIDラベルおよびスライドの第4の配置1060を示す。配置1060では、RFIDラベル1062は、ガラス・スライド1064の底面付近に埋め込まれている。次のことに注意されたい。1060に示す配置は、図11に関連して説明したものと同様に、あらかじめ作製されたスライドおよびRFIDラベルの配置として実現しても良い。RFIDラベル(たとえば1042および1062)を埋め込んでも良いスライド内の特定の場所には、図11および図12に関連して説明したもの以外の位置および場所が含まれていても良い。RFIDラベルの特定の配置は、特定のスライド組成および/またはスライド製造プロセスに基づいて変わっても良い。
次に図13を参照して、試料容器およびRFIDラベルの配置1080を示す。配置1080では、試料容器1084にRFIDラベル1082が含まれていて、このラベル1082は試料容器1084の表面に取り付けられていても良い。またRFIDラベル1082は、1080に例示される場所以外の場所にあっても良く、また本明細書の他の箇所で他の図に関連して説明されるその他のRFIDラベルと同様に、さらなる情報がそこにインプリントされていても良い。またRFIDラベルは、容器の表面の真下に埋め込まれていても良い。たとえば側壁表面の真下である。
次に図14を参照して、試薬容器の例1650が示されており、RFIDラベルが取り付けられている。例1650に例示される試薬容器1652では、RFIDラベル1654が容器の側面に取り付けられている。RFIDラベル1654は、例1650に示す以外の容器の異なる表面に配置しても良い。次のことに注意されたい。RFIDラベルは、試薬容器内に、容器表面の真下に埋め込まれていても良い。これはたとえば、試薬容器に最初に充填するときに行なっても良い。このような埋め込みラベルによって、容器表面に後で取り付けたラベルが、取り外されるか、そうでなければ容器表面に貼られた他のラベルと混ざったときに、試薬の誤認を防止することができる。
次に図15を参照して、RFIDラベルを用いたシステムに含めても良いコンポーネントの例1700を示す。図15のコンポーネントは、検査室に含まれていても良く、また本明細書で説明した他の技術に関連して用いられても良い。例1700には、コンピュータ1704、データベース1706、1つまたは複数のRFIDラベル・リーダ/ライタ・モジュール1708a〜1708n、1つまたは複数のアンテナ1710a〜1710n、および1つまたは複数のRFIDラベル1720a〜1720nが含まれている。ラベル1720a〜nはそれぞれ、本明細書で説明したように検査室で用いられる要素に取り付けられ、埋め込まれ、または他の仕方で付随しても良い。ラベルは、たとえば各スライドおよび各試薬容器に取り付けられても良い。RFIDラベルは、スライド、試薬容器、およびRFIDラベルが取り付けられる他の要素の場所を追跡および識別する際に用いても良い。動作中、RFIDラベル・リーダ/ライタ・モジュール(たとえば1708a)は、アンテナ要素の1つまたは複数に、そのRFIDラベルが識別する特定の要素の場所に関して問い合わせても良い。モジュール1708aは、このことを、アンテナ要素の1つまたは複数に問い合わせ信号を送信することによって行なっても良い。アンテナ要素(たとえば1710a)は、ラベルに信号を送信しても良い。このことを1722で例示する。ラベル(たとえばラベル1720a)は、この信号を受け取り、リターン信号を送信し返しても良い。このことを1724で例示する。リターン信号には、そのRFIDラベルに対応する一意の識別子が含まれる。モジュール1708aは、このRFIDラベルの一意の識別子および他の情報をこの技術を通して得て(読み出して)も良い。コンピュータ1704は、モジュール1708a〜1708nと通信して、データを送りおよび/または受け取っても良く、この情報をデータベース1706に記憶しても良い。
次のことに注意されたい。コンピュータ1704は、たとえばIPSに接続されるホストまたは他のコンピュータ・システムであっても良い。IPSは、本明細書の他の箇所(たとえば、図3、図29、および図33)で説明される例に含まれている。たとえば一実施形態では、要素1704は、ホスト・コンピュータであっても良い。ホストは、図15に例示するようにRPIDリーダ/ライタ・コンポーネントに接続されても良い。リード/ライタ・コンポーネントと通信する同じホストが、他の機器(たとえば検査室機器)と通信してこれを制御しても良い。あるいは、一実施形態では、検査室機器を制御しない専用のホストを、図15に例示するRFIDコンポーネント(たとえばリーダ/ライタ・コンポーネント)以外に、有していても良い。リード/ライタ・コンポーネントの1つまたは複数は、図15に例示するように、スタンドアローンのコンポーネントであっても良い。一実施形態では、リード/ライタ・コンポーネントの1つまたは複数を、他の機器内に含んでいても良い。ホストは、情報をRFIDラベルまたはタグから収集しても良い。たとえば、ホストは、在庫の使用法を処理しRFIDイベントの取り扱いを行なうコードを実行しても良い。その後、ホストは、VLMおよび検査室内の他のコンポーネントと通信して、RFIDラベルを介して収集される任意の情報およびその問い合わせを配布しても良い。他の箇所で詳細に説明されるように、情報を、ホストを用いてRFIDラベルに書き込んでも良い。
また本明細書の他の箇所で説明されるように、RFIDラベルまたはタグは、エンコードされても良いし、情報がRFIDラベルに書き込まれても良い。RFIDラベルに含まれる情報は、ラベルが検査室処理の中を移動する間に動的に変更されても良い。データベース内の記録または記録のグループを識別し得る静的な情報を含むバーコードとは対照的に、RFIDラベルの場合は、データが付随要素(たとえばスライド)と共に移動することができる。処理を、検査室の内部および外部の両方で、RFIDラベル上に記憶されるデータを用いて行なって、たとえば、RFIDラベルに付随するスライドの処理の仕方を知り、そしてRFIDラベルに他の情報を記憶しても良い。この方法では、一実施形態において、RFIDラベルを情報の供給源として用いても良いし、またたとえばデータベースを、冗長なキャッシュまたはデータの一部もしくは全部(そうでなければRFIDラベルに含まれ得る)のコピーとして特徴づけても良い。
当該技術分野において知られているように、RFIDラベルは、アクティブであっても良いしパッシブであっても良い。さらにRFIDラベルは、読み出し専用、一度だけ書き込み/何度でも読み出し、および読み出し/書き込みであっても良い。前述のうち任意の1つまたは複数を、実施形態に含めても良い。
RFIDラベルの場所を決定するために、種々の技術を用いても良い。たとえば、RFIDラベルの場所を決定するために三角測量を用いる実施形態では、少なくとも3つのアンテナ・モジュールを用いても良い。RFIDラベルを、棚配置で保存されるスライド上に設ける場合、アンテナを取り付けて、各アンテナが、棚の1つまたは複数の特定のゾーンまたは部分におけるスライドの場所を決定することを担うようにしても良い。当業者であれば理解するように、アンテナの特定の配置、数、タイプ、および方位は、各実施形態ごとに変わっても良い。アンテナを、RFIDラベルを含む種々の要素の追跡および要素との通信を容易にするために、配置しても良い。次のことに注意されたい。アンテナは、三角測量技術を用いた個々のRFIDタグの位置決めが、特定のアプリケーションおよび実施形態に対して必要な精度内で実施されるように、配置しても良い。
前述したように、RFIDラベルを、スライド、サンプル、または他の要素に取り付けても良いし、他の場合には埋め込んでも良い。RFIDラベルを取り付けるかまたは埋め込むことによって、スライドが、処理に付随する検査室ワーク・フローに関連して処理されるときに、情報をRFIDラベルに書き込みおよび/またはラベルから読み出しても良い。一例として、RFIDラベルをスライドに取り付けることを、試料を切断するときに行なっても良い。患者情報および行なうべきテストを、書き込み可能なRFIDラベルに書き込むことによってエンコードしても良い。情報の一部または全部をRFIDラベルに書き込むことの代替案として、RFIDラベルが、バー・コード・ラベルの識別子と同様のインデックスを提供しても良く、またインデックスを、データベースまたは他のデータ・コンテナから情報を間接的に得るために用いても良い。RFIDラベルの表面、またはスライドの他の部分に、他のプリントされた情報(たとえばテキスト、バー・コード情報など)が含まれていても良い。プリントされた情報には、RFIDエンコードされた情報および/または他の情報の一部が含まれていても良い。スライドが検査室の中を移動する間に、スライドが各点において適切に処理されていることを保証するために、スライドを、種々の技術の任意の1つまたは複数を用いてチェックしても良い。各点において得られる情報には、たとえば、行なうべきテストまたは処理ステップに関係づけられる詳細が含まれていても良い。情報を読み出すために用いられるこのような技術には、技師がスライドの目視検査を、そのテキスト部分を読むこと、バーコード・リーダを用いること、RFIDリーダを用いること等によって行なうことが含まれていても良い。サンプルが検査室処理ステップの間を移動する間に、スライドのRFIDラベルを、さらなる情報(たとえば、時間、日付、テスト・パラメータ、ならびに品質保証および制御に関連して使用され得る他の情報など)を用いてエンコードしても良い。この情報は、書き込み可能なRFIDラベルに書き込んでも良い。次のことに注意されたい。情報をホストのデータベースに加えて、データベースからその情報の一部または全部を、書き込み可能なRFIDラベル内に写しても良い。QCチェックとして、処理内の異なる点において、RFIDラベルの読み出しを通して得られる情報部分を、ホストのデータベースに記憶された情報と比較することを、システムの他の場所に複製されるときに行なっても良い。
書き込み可能なRFIDラベルに書き込まれる情報は、実施形態ごとに変わっても良い。たとえば、一実施形態では、QC障害が検出される場合に使用しても良い特定の規則に基づいて情報を書き込んでも良い。さらに、RFIDラベルに書き込まれる情報は、このようなQC障害を判定する際に用いても良い。一例として、このようなRFIDラベルに書き込まれる情報には、以下のうちの1つまたは複数が含まれていても良い。使用される試薬の情報(たとえば、組織サンプルとともに用いられるカタログ番号、ロット番号、および満了日付)、対照情報(たとえば対照組織サンプル上の染色ベンチマークを特徴付けるために用いられる情報)、加工流通過程管理の追跡情報(たとえばバッチ情報、このサンプルが検査室内のどこで、どの機器によって、いつ処理されたか)、技師情報(たとえば、サンプルを検査し、機器を動作させ、機器を検査し、サンプルを物理的に検査して、RFIDラベルおよびサンプルがマッチすることおよびRFIDラベルがスライドまたは他の付随要素から離れていないことを保証する技師の名前)、病理学者または他の人にとって興味の対象となり得る状態の検査(適切な診断を保証することに関連して使用され得る)である。
スライドがスライド・テスティングの終了後に病理学者に届いたときに、病理学者は、RFIDラベル内のエンコードされた情報のいずれかにアクセスしても良く、またそのサンプルに対する診断をさらに記録しても良い。診断の記録は、RFIDラベルに書き込むことによって、および/またはデータをデータベースに書き込むことによって、行なっても良い。RFIDラベル内のエンコードされた情報によって、病理学者、または検査室から離れている場合がある他の場所に対して、サンプル情報にアクセスすることが与えられる。サンプル情報は、他の場合には、サンプルについての情報を含むデータベースまたは他のデータ・コンテナへ接続することによってのみアクセス可能であり得る。
次に図16を参照して、RFIDラベルに関連して一実施形態で行なわれ得る処理ステップのフローチャート1800を示す。1800のステップには、前述したものがまとめられている。ステップ1802において、グロスの組織サンプルを検査室で受け取ってもよく、またサンプルにRFIDラベルを取り付けても良い。ステップ1804におけるグロスの組織サンプルを、1つまたは複数の症例またはブロックに分割しても良い。ステップ1806において、現在の症例は、処理されている現在の症例を表わす変数である。ステップ1808において、すべての症例が処理されたか否かについて判定を行なう。そうである場合には、スライドの調製を停止する。そうでない場合には、制御はステップ1810に進んで、現在の症例に対する次のスライドを調製する。ステップ1812において、現在のスライドに対するRFIDラベルを用意する。RFIDラベルには、症例識別子およびスライド固有の情報が含まれる。症例識別子は、たとえば、特定の症例のすべてのスライドを後で検索するために用いても良い。同様に、グロスの組織サンプルに付随する一意の識別子を、特定の組織サンプルに付随するすべてのスライドを決定することに関連して用いても良い。ステップ1812は、書き込み可能なRFIDラベルに情報を書き込むことによって行なっても良い。またステップ1812は、読み出し専用RFIDラベルを用いて行なっても良く、RFIDラベルは、ステップ1812において現場で作製した後にスライドに取り付ける。ステップ1814において、現在の症例に対するすべてのスライドの処理が終了したか否かについて判定を行なう。そうである場合には、制御はステップ1806に進んで、次の症例を処理する。そうでない場合には、制御はステップ1810に進んで、現在の症例に対する次のスライドを調製する。次のことに注意されたい。1800のステップは、手作業および/または自動化された方法で(たとえば自動化されたスライド調製器具を用いて)、行なっても良い。1800のステップのうちの1つまたは複数が自動化されている場合には、ソフトウェアおよび/またはハードウェアを用いて、ステップを行なう特定のコンポーネントを制御するための命令を出しても良い。次のことに注意されたい。1800の処理ステップは、書き込み可能または非書き込み可能なRFIDラベルを用いて行なっても良い。
次に図17を参照して、書き込み可能なRFIDラベルを含む調製されたスライドを処理することに関連して行なっても良い処理ステップのフローチャート1850を示す。また1850のステップは、手作業でおよび/または自動化された方法で行なっても良い。たとえば、スライドを染色すべき場合には、ステップ1852、1854、1856、および1858は、1つまたは複数の自動的な染色器具を用いて行なっても良い。ステップ1852において、変数である現在のステップは、現在のスライドに対する次の処理ステップを表わす。ステップ1854において、処理ステップ情報をRFIDラベルに書き込む。この情報には、たとえば、日付/時間情報、使用される試薬、試薬についての情報たとえばバッチ数、ロット番号などが含まれていても良い。書き込む情報は、各処理ステップごとに変わっても良い。たとえば、1つの処理ステップは、結果として生じる染色の画像を取得して、結果として生じる画像をファイル(たとえばJPEGファイル)に記憶することであっても良い。結果として生じる画像ファイルの場所を示す識別子を、RFIDラベルに書き込んでも良い。本明細書の他の箇所で説明されるように、スライド識別子およびデータ要素に付随する他のスライド情報を、本明細書の他の箇所で説明されるOBXセグメントに記憶しても良い。ステップ1856において、スライドに対する現在の処理ステップを行なう。ステップ1858において、現在のスライドの処理が終了したか否かについて判定を行なう。終了していない場合には、制御はステップ1852に進む。その他の場合には、制御はステップ1859に進んで、同じ症例のスライドを集めても良い。ステップ1859は、スライドの1つまたは複数のランが1つまたは複数の機器上で処理された後に行なっても良い。特定の症例に含まれる各スライドのRFIDラベルを用いてステップ1859を実行することを、特定の症例識別子を有するすべてのRFIDラベルを決定するために問い合わせ信号を送ることによって、行なっても良い。同じ症例のすべてのスライドを集めた後で、病理学者は、症例に付随する1つまたは複数のスライドを受け取る(ステップ1860)。次のことに注意されたい。ステップ1860は、症例の1つまたは複数のスライドが処理された後に何らかの時間が経ってから行なっても良い。ステップ1860において、病理学者は、1つまたは複数のスライドを受け取り、RFIDラベルに記録された(書き込まれた)情報にアクセスする。ステップ1862において、病理学者はスライドを処理する。病理学者によるその後のどんな結果または診断も、RFIDラベルに書き込んで良い(ステップ1864)。本明細書の他の箇所で説明されるように、RFIDラベルおよび/またはデータベースに記録中の結果または診断によって、ステータス更新がトリガされて伝達されても良い。非書き込み可能なRFIDラベルまたはバー・コード・ラベルを用いる実施形態では、1850の処理ステップを変えて、処理情報がRFIDラベルに書き込まれる(たとえばステップ1854および1864)のではなくて、データベースに記録されるようにしても良い。
RFIDラベルを用いて、特定の症例またはバッチに付随するスライドを追跡および/または照合することを、前述の例を示すために例示したもの以外の他の処理ステップに関連して行なっても良い。照合の際の症例識別子の他の使用法として、第1のセットの染色をスライドのグループ上で行なっても良い。後のある時点で、スライドにさらなる染色または他の処理を施しても良い。RFIDラベルを用いて、処理ステップ(たとえば染色、画像化、および他のステップ)間で一時的に記憶され得る特定のグループ分けのすべてのスライドの位置を決めても良い。 1800および1850のステップにおける情報の記録に関連して、情報をRFIDラベル以外の他の場所に記録しても良いことに注意されたい。たとえば情報を、IPS102および1つまたは複数のホストのデータベースに記録しても良い。追加データをRFIDラベルに書き込むときに、その追加データをIPS102のデータベースに、RFIDラベルのその後の問い合わせがあるまで記憶しても良い。これらのデータ更新を、他のホストの他のデータベースにさらに複製することを、本明細書の他の箇所で説明される技術を用いて行なっても良い。
各スライドについてのオーダー、処理、および/または結果情報を、関連するスライドまたは他の試料上に、書き込み可能なRFIDラベルを用いて記録することによって、各スライドは種々の識別情報を保持する。情報は、検査室における各サンプルまたは試料を識別するために用いても良い。このような情報によって、付加的なチェックが、たとえば初期試料から切断される単一のバッチの症例の1つまたは複数のサンプルを識別する際に、行なわれても良い。書き込み可能なRFIDラベルを用いることによって、サンプルについての最新の情報に迅速にアクセスしてこれを識別することが、局所的にサンプル自体にアクセスすることのみによって、実現されても良い。また前述したように、RFIDラベルを用いて、1つまたは複数の保存されたスライドの場所を物理的に識別することを、スライドが見通し線内にある必要なく行なっても良い。このような識別を行なうことで、たとえばスライド、試薬などが予想され得る(たとえば、データベース記録フィールドにおいて識別され得る)場所に物理的に存在しているかどうかを検証し、スライドが検査室の物理的なサイトにあるかどうかを検証しても良い。
一実施形態では、RFIDラベルを利用することを、そこからデータを読み出すことのみに関連して行なっても良い。このような実施形態では、バー・コードと同様のRFIDラベル(RFIDラベルに含まれるデータが静的な状態を保つ)を用いても良い。しかしこのような実施形態でもやはり、バー・コードおよび他の形態のエンコーディング、たとえば光学式読み取り装置または電磁気的スキャナに対して優位である。これらの場合では、RFIDラベルがリーダまたはスキャナの見通し線内にある必要がある。情報を、このような制約を受けることなく、RFIDラベルから読み出すことができる。RFIDラベルは、アンテナおよびRFシステムの他の機器に基づく制約のもとで、検査室内の他の場所から読み出すことができるため、好都合である。
RFIDラベルを、他のタイプの手作業のおよび/または自動化された技術とともにまたはこれらの代替案として、用いても良い。たとえばRFIDラベルを、バー・コード・ラベルと組み合わせて用いても良い。次のことに注意されたい。書き込み可能なRFIDラベルを用いて、情報をたとえばスライドまたは他のサンプルを処理した結果として動的に記憶する実施形態では、データベースに記憶される情報の一部または全部を省いても良い。このことを用いて、1つまたは複数のホストおよび/またはIPSデータベースまたは他のデータ・コンテナ上での必要メモリを減らしても良い。
一実施形態では、ガラス・スライド上にラベルを、スライド上にサンプルを配置するときに設けても良い。たとえば、スライドが供給業者によって販売用に提供され、RFIDが各スライドに販売時に組み込まれても良い。あるいは、供給業者によって、RFIDラベルをスライド上の他の点に配置する際に使用しても良い自動スライド・ラベリング・システムが提供されても良い。
またRFIDラベルは、スライドに関連する機能上の目的を満たしても良い。たとえば、一実施形態では、ラベルは、スライド上に保存されるサンプルに対するスライド上の「ダム」として機能しても良い。
書き込み可能なRFIDラベルを用いる実施形態において、次に説明するのは、RFIDラベル内でエンコードしても良いデータの例である。説明するデータを用いて、病理学テストに関連してLISに送られる病理学報告書を生成しても良い。以下で述べるもの以外のデータも、実施形態で使用しても良い1つまたは複数の報告書フォーマットに基づいて、RFIDラベル内でエンコードしても良い。図3および3Aを参照して本明細書で説明したように、VLM(IPS上で実行される)によって、1つまたは複数のデータ要素を1つまたは複数のホストから集めても良く、またこれらのデータ要素を、LISに送られるべき報告書のフォーマットで与えても良い。以下の情報を、LISに送られる病理学報告書に含めるためにRFIDラベル内でエンコードしても良い。
患者属性データ(demographics)
患者名、誕生日、病院受け入れ数、試料サイト、収集日、掛かり付けの医師
結果概要
テスト名、染色強度、陽性細胞%。
症例概要報告
症例概要報告には、たとえば、任意のアッセイ・ランに対する写真または画像および概要情報が含まれていても良い。
次のことに注意されたい。対象の追跡および識別に対してRFID技術を用いることが、たとえば以下の文献に記載されている。米国特許第6,150,921号明細書「物品追跡システム」(ワーブら、2000年11月21日出願)、および米国特許第6,600,420号明細書「無線周波数識別システムに対するアプリケーション」(ゴフら、2003年7月29日出願)。なお両文献とも、本明細書において参照により取り入れられている。
スライド、試薬などのラベルから光学的に読み出すことができるエンコーディング情報に関連して、異なるタイプの文字またはグリフおよび付随する記号を用いても良い。光学的に読み出すことができる情報をエンコードする1つの方法は、バー・コードを用いることである。バー・コードは、種々のバーおよびスペースの並列配置として特徴付けても良い。さらにバー・コードには、幅変調された符号および高さ変調された符号として表現される符号が含まれていても良い。バー・コードは、本明細書の他の箇所で説明され当業者には既知であるように、種々の次元および他の種々の物理的な属性を有していても良い。幅変調された符号に関連して、種々の幅のバーおよびスペースからなる並列配置を用いて符号を表わしても良い。同様に、高さ変調された符号に関連して、種々の高さのバーからなる並列配置を用いて特定の符号を表わしても良い。記号によって、どのように情報が、バー、スペース、および他の光学的に読み出される文字の物理的な属性にエンコードされるかが記述される。また記号は、特定のタイプのコードに対するルールのセットも指す。たとえば、バー・コードに関連して、バーは符号のより暗い要素として考えても良いのに対して、スペースはそれらの間のより明るい部分として特徴付けられる。標準的なまたは供給業者固有の定義に含まれ得る種々の異なる記号のどの1つも、バー・コードを表わすために一実施形態において用いて良い。
次のことに注意されたい。当業者には既知であるコード(たとえばバー・コード)に関連して、読み取りおよびプリント用機器は、互換性のある記号を用いることで、第1の記号のバー・コードを読み取るデバイスが、たとえば第1の記号でラベルを生成するプリント用機器によって生成され得る第1の記号を理解およびインタープリットできるようにする。バー・コードまたは他のタイプの文字を用いて、情報をエンコードしても良い。エンコードされ得るこのような情報には、たとえば以下のものが含まれていても良い。部品番号、連続番号、トランザクション・コード、データベース内でのインデックス、または他のタイプのデータである。符号は、バー・コードまたは他のコードに関連して本明細書で用いる場合、情報をエンコードするために使用される実際の文字の配置(たとえば平行なバー、スペースなど)を参照しても良い。
情報をエンコードするための技術として、自動化された検査室環境での光学的検出に関連して使用しても良いものが当該技術分野において知られており、たとえば以下の文献に記載されている。米国特許第5,449,895号明細書(ヘクトら)、発明の名称「セルフ・クロッキング・グリフ・コードに対する明白な同期」(なおこの文献は、本明細書において参照により取り入れられている)、ならびにバー・コード・ブック:バー・コードおよび他の装置読取可能な符号の読み出し、プリント、特定、および適用に対する包括的ガイド(The Bar Code Book: Comprehensive Guide to Reading, Printing, Specifying, and Applying Bar Code and Other Machine−Readable Symbols )、ロジャー C.パルマー(Roger C. Palmer)、改訂増補第4版。
次に図18を参照して、本明細書で説明した技術に関連して含まれおよび使用され得る異なるタイプのバー・コード記号の実施形態のいくつかの表現の例を示す。図18には、第1の直線状のバー・コード記号1120が含まれている。表現1120では、単一行のバーおよびスペースを高さ変調を伴って変化させて、データをエンコードしても良い。要素1140を参照して、直線状の符号の幅変調が例示されたバー・コード記号を示している。表現1120および1140に関連して、異なる直線状の記号が、データをエンコードするために、幅変調および高さ変調の両方の技術の組み合わせを用いても良い。種々の幅および/または高さを有する異なるバー・コードによって表わされる異なるパターンを用いて、エンコードされたデータに対応する異なる文字を表わしても良い。要素1160を参照して、環状の記号表現の例を示している。同心円の幅を変えることによって、異なる文字を表わしても良い。
次に図19を参照して、別の環状の記号を例示する例1200を示す。1200における環状の記号は、1つまたは複数の異なる文字およびエンコーディングを表わすために用いられる直線状の記号またはそれらのセグメントの環状の配置を表わしている。
1120および1140に例示される直線状の記号と1160および1200に関連して例示される環状の記号との両方に関連して、1つまたは複数の文字を、1つまたは複数の対応する検出可能な符号(たとえば直線状の要素または環状の要素として表わされ得る)によって表わしても良い。1つまたは複数の直線状または環状の要素が、エンコーディングを表わす特定の文字に対応しても良い。より一般的に、前述した光学的に検出可能な異なる符号(たとえばラインまたは円)はそれぞれ、グリフと言っても良い。当業者には既知であるバー・コーディングの技術は、たとえば光学式読み取り装置によって検出され得るグリフの順序に基づく。光学式読み取り装置では、グリフの特定の順序づけによって、エンコードされたデータが表わされる。
バー・コードを用いることに関連して、他のタイプの記号を用いても良い。次に図20を参照して、2次元(2D)のスタック型バー・コード記号の表現1220を示す。2Dスタック型バー・コード記号では、複数行の幅変調されたバーおよびスペースを用いて、1つまたは複数の文字を表わしている。各行は、同じ物理的長さであり、従来の直線状の記号のように見える。隣接する行は、互いと接触しており、また線引きするためのセパレータ・バーを含んでいても良い。表現1220に関連して、複数行の直線状のバー・コードが一緒に積み重ねられて単一の符号を形成している。表現1220は、単一の符号に対応しても良い。
次に図21を参照して、情報を2次元パターンのデータ・セルにエンコードするために用いられる2次元のマトリックス記号を表わす例1240を示す。データ・セルは、異なる色(たとえば黒色または白色)および異なる形状(たとえば四角いドットまたは多角形)を有していても良い。これらは、何も情報を含まないスペースによって分離され得る。
次のことに注意されたい。1−Dおよび2−Dのバー・コード配置を本明細書で説明したが、バー・コードは、各特定の実施形態における特定のバー・コード・リーダおよびプリンタに基づいて、他のより高次元(たとえば3Dなど)であっても良い。
異なるタイプの文字を、異なる記号に基づいてエンコードしても良い。たとえば、記号によって、数のみがエンコードされても良い。ある記号は、英数字の情報をエンコードしても良く、ある記号は、ASCII文字のセット全体だけでなくユーザ定義の文字、印刷可能文字などの範囲に対するエンコーディングを提供しても良い。異なる記号を、エンコードされた異なる文字セット(たとえば異なる外国語に対して用いられる文字セットなど)を表わす際に用いても良い。光学式読み取り装置によって、前述のバー様のコード以外の他のタイプの文字またはグリフを認識しても良い。
次に図22を参照して、エンコードされた情報を表わすために使用され得るグリフ・コーディングの表現1260を示す。次のことに注意されたい。図22における表現には、グリフとして、バーではなくスラッシュ様の符号が含まれている。スラッシュ様の符号は、垂直軸に対して異なる45°の角度で配向されている。異なるスラッシュ様の符号はそれぞれ、たとえば1およびゼロの値に対応しても良い。異なる種々のパターンの1およびゼロは、エンコードされた文字またはデータに対応しても良い。所定の数のこれらスラッシュ様の符号が、符号セルとして特徴付けても良いアレイを規定することによって、符号を表わしても良い。たとえばアレイを、特定の文字セット(たとえばASCII文字セット)における文字を表わすビット数のサイズに規定しても良い。異なるアレイ・サイズが、他の文字セットを表わすのに適していても良い。前述したことは、光学的に検出可能な文字を、情報をエンコードするためにどのように使用できるかを示す別の表現である。
一実施形態では、情報のエンコードに関連して光学的な読み出しおよび/または記録を(たとえばプリンティングなどにより)行なっても良い種々の異なる記号および文字のいずれか1つを用いても良い。記録されたデータを、グラフィック記録媒体上に含めても良く(紙上にプリントするなど)、そしてこれを、スライドまたは他の試料に対するラベルとして用いても良い。
次に説明するのは、本明細書で説明するように光学的に読取可能な文字を含むラベルを検査室内で用いても良い異なる配置の例である。バー・コードを用いているが、他のタイプの文字および異なる記号を用いても良いことに注意されたい。以下の例の詳細は、限定と解釈してはならない。
解剖病理学検査室では、一例として、スライド上のバー・コードを、1つの場所に記憶しても良いしまたは種々のサイトに複製しても良い共通のデータ・セットにアクセスすることに関連して用いても良い。一実施形態では、スライドに付随するバー・コード識別子は、そのスライドに付随するデータ要素にアクセスする際に用いられるグローバル一意識別子であっても良い。スライドの一意の識別子は、何年間も検査室によって処理され得るスライドに対して識別子が一意であるように形成しても良い。したがって、スライドの一意の識別子は、たとえば少なくとも部分的な日付情報に基づいて、形成しても良い。図3を参照して本明細書で説明したように、VIPを用いることによって、VIPに接続され得る機器、他のホスト、および他のシステムからLISへの接続が実現される。VIPは、システム内の異なるコンポーネントを統合する共通の接続部として機能し得る。コンポーネントはそれぞれ、同じサイトにあっても良いし、異なるサイトにあっても良い。コンポーネントは、任意の1つまたは複数の異なるタイプの接続を通して、接続しても良い。これらはたとえば、無線接続、ネットワーク接続、ハードワイヤード直接接続、および当業者には既知の他の接続である。VIPを用いて、情報をLISと機器との間で伝達しても良い。転送されるデータには、たとえばオーダーおよび結果情報が含まれていても良い。LISから送られるオーダー情報には、機器によって実行される特定の動作またはテストに対する要求が含まれていても良い(たとえば、染色に対する要求、結果として得られるスライド上で画像化プロトコルを実行する要求)。LISに戻される結果には、オーダーを達成する記述が含まれていても良い。特定のスライドに付随する1つまたは複数のオーダーおよび結果に関連する情報にアクセスすることを、その特定のスライドを識別するバー・コードに関連して行なっても良い。次のことに注意されたい。この一意の識別子は、スライドを一意に識別するエンコードされたバー・コード値として使用されるが、スライドのRFIDラベルに付随する一意の識別子として用いても良い。これについては本明細書の他の箇所で説明される。
次に図23を参照して、バー・コードの個々のスライド上への配置を例示する例1300を示す。説明図1300に含まれるスライド1310の配置は、たとえば検査室機器たとえば染色装置による処理に対するスライド・トレイに含まれるスライドの配置を表わしても良い。次のことに注意されたい。説明図1300に関連して、バー・コード情報が、スライドの表面上のスライドの一端(たとえば、1300に例示するようにスライドの左側など)に含まれていても良い。しかし、バー・コーディングに対して本明細書で説明した技術および情報のエンコーディングの他の形態は、バー・コードの配置をスライドのこの特定の場所またはスライドの特定の表面領域にすることに、限定されない。ラベルをスライドの複数の表面上に配置しても良い。バー・コードによってエンコードされる情報は、たとえば、関連するスライドについての他の情報に対するデータベース内でのインデックスとして機能する識別子であっても良い。
次に図24を参照して、スライド・トレイに含まれ得るスライドの他の配置1400を示す。1400における各スライドでは、複数のバー・コード部が各スライド上に含まれている。スライド1440にはそれぞれ、第1の部分1450a、第2の部分1450b、および第3の部分1450cが含まれていても良い。部分1450aおよび1450bにはそれぞれバー・コード情報が含まれ、垂直および水平方向にそれぞれ配向されていても良い。バー・コード・ラベルが、部分1450aおよび1450bのそれぞれに配置されていても良い。一実施形態では、スライドの1450bに含まれるラベルは、複数のスライドに共通の情報(たとえば特定の患者、バッチなどに関連する情報)に対するインデックスであっても良い。領域1450aは、各特定のスライドごとに変化する他の情報に対する別のインデックスを含んでいても良く、また、たとえばより多くのテスト固有の情報(たとえば、特定の使用試薬、特定のテストまたは染色が行なわれた時間など)を示しても良い。部分1450cには、人間によって読取可能な情報または他の形式の装置読取可能な情報を伴う別のラベルが含まれていても良い。
説明図1400には、各スライドにどのように複数のバー・コードまたは他のタイプのエンコーディングが含まれ得るかを示す1つの特定の配置が含まれている。図24に示すもの以外の配置が可能である。次のことに注意されたい。部分1450a〜cの1つまたは複数は、これらの部分のうちの別の部分でのバー・コード・ラベルとともに使用されるRFIDラベルであっても良い。
次に図25を参照して、スライドにバー・コード・ラベルを取り付けたものを示す配置1460を示す。1460では、バー・コード情報が、スライド1464の上面1466に取り付けられるラベル上に含まれていても良い。単一のスライドたとえば1464には、1つまたは複数のバー・コード・ラベル1462が、その上面に取り付けられていても良い。
次に図26を参照して、バー・コード・ラベルをスライドにどのように取り付けるかを示す別の配置1480を示す。この配置1480では、バー・コード・ラベル1482が、スライド1484の底面1486に固定されていても良い。この例では、バー・コード情報が、スライドの下面1486に接触している1482の表面上に設けられていても良い。スライド1484がたとえばガラスで形成されている場合には、スライドの下面1486に接触している1482の表面上に含まれるバー・コード情報は、ガラス1484を通して光学的に読み出しても良い。次のことに注意されたい。スライド1484では、複数のバー・コード・ラベルがスライド1484の底部に取り付けられていても良い。バー・コードまたは他の光学的に認識される文字を、ラベル1482の底面上に配置しても良い。たとえば鏡を用いることによって、1482の外面上の文字を反射して、光学式読み取り装置によってインタープリットしても良い。次のことに注意されたい。一実施形態では、スライドの1つまたは複数の表面上の光学的に認識可能な文字を含む1つまたは複数のラベル(たとえばバー・コード・ラベル)が含まれていても良い。たとえばスライドには、バー・コード・ラベルが、その上面および底面に取り付けられていても良い。
次に図27を参照して、本明細書で説明したラベリング技術に関連して使用し得る試薬ホルダの配置1500を示す。説明図1500には、複数のディスペンサ(たとえば試薬を含み得るもの)を保持するための試薬ディスペンサ・トレイ1520が含まれている。説明図1500には、試薬容器1522がフィットする試薬ディスペンサ・ホルダ開口部1540が含まれている。各試薬容器1522には、ラベル1530が含まれている。1530に含まれるラベルは、たとえば容器1522の表面に取り付けられるRFIDラベルであっても良い。また次のことにも注意されたい。説明図1500に含まれる試薬容器には、RFIDラベル1530以外に、容器上のバー・コード・ラベルが含まれても良い。次のことに注意されたい。RFIDコード・ラベル1530は、容器表面に埋め込まれても良いし(たとえば容器が最初に供給業者によって充填されるときに行なわれても良い)、または他の場所に埋め込まれても良い。場所1550には、バー・コード・ラベル、または場所1550内に配置される試薬容器に対応する他のタイプのラベルが、含まれていても良い。
バー・コード、ならびにスライドおよび試薬に関連した使用方法が、たとえば以下の文献に記載されている。米国特許第第6,352,861号明細書(2002年3月5日出願、コープランドら)、発明の名称「自動化された生物反応器具」。なおこの文献は、本明細書において参照により取り入れられている。
次に図28を参照して、一実施形態において、識別子を有するバー・コードまたはRFIDラベルを、症例情報を得るためにどのように使用し得るかを示す説明図2000を示す。2000における表現によって、一意のスライド識別子が、スライド2010の領域2002におけるバー・コード・ラベルまたはRFIDラベルにエンコードされ得る一実施形態が例示されている。2002にバー・コード・ラベルが含まれる場合には、2002におけるバー・コードを光学式読み取り装置によって読み出して、スライド識別子2020を得ても良い。要素2002にRFIDラベルが含まれる場合には、スライド2020の一意の識別子を、RFIDリーダを用いて読み出しても良い。2020の識別子を、データベース内でのインデックスとして用いて、スライド・データ要素2030に付随する情報を得ても良い。スライド・データ要素2030に含まれる情報には、たとえば以下のものが含まれても良い。患者情報、染色プロトコル、使用される試薬、テスト結果/ポスト・ラン情報(たとえば、どの機器が染色を行なったかについての情報、いつ染色が行なわれたかについての情報、画像ファイルの場所)など、である。一実施形態では、スライド・データ要素における他の情報(各実施形態、サンプル、および各サンプル上で行なわれる処理ごとに変わり得る)が含まれていても良い。データベース内のスライドの情報は、スライドまたは他のサンプルについての新しい情報が取得されたときに、処理の種々の点において更新しても良い。
次のことに注意されたい。バー・コード、RFIDラベルなどにエンコードされる情報は、種々の異なる暗号化技術のいずれか1つを用いて暗号化しても良い。
図3に戻って、ホストはそれぞれ、その他のホストに対して自律的に動作しても良い。この自律的なホスト動作は、複数の態様に関連して特徴付けても良い。IPN100のホストは、IPN100からオフラインにしても良く、また後に、他のホストに再参加するIPN100のメンバとしてオンラインに戻っても良い。ホストがIPN100のメンバとしてオンラインでくるときに、同期プロセスを行なって、IPN100のホストと他のコンポーネントとの間でデータ要素を同期させても良い。このプロセスの一実施形態は、たとえば図6および7で説明されている。本明細書で説明した同期機能を有することにより、ホストは、他のタスクを行なうためにIPN100に対してオフラインで動作した後、IPN100に付随するタスクを行なうために動作しても良い。たとえば第1のホストが、IPN100に付随する処理を行なっても良い。さらに第1のホストは、IPN100に付随しない他のタスクを行なうために他のソフトウェアを含んでいても良い。その他のタスクを行なうときには、第1のホストは、IPN100に対してオフラインであっても良い。後に、第1のホストはIPN100に再参加しても良く、また第1のホストは、そのIPNデータ要素を再同期させても良い。
IPN100に対してオフラインである間、ホストは、実施形態ごとに変わり得る任意の1つまたは複数の異なる動作を行なっても良い。たとえば、ホストは、他のホストによって後に共有され得るプロトコルを形成および編集しても良い。またプロトコルは、他のホストおよびVLMと共有されるのではなくて、ホストによって局所的にのみ使用されても良い。ホストは、オフラインの間、新しい試薬パッケージを登録する、ランを行なう、ユーザ・プリビレッジを形成および編集する、QC手順を行なう、報告をプリントする等を行なっても良い。ホストがオフラインの間行なう処理の結果、新しいまたは更新されたデータ要素が生成され、これらは後に、オフライン・ホストがIPNに再参加したときに、他のホストおよび/またはVLMによって使用されても良い。あるいは、ホストがオフラインの間行なう処理、および結果として生じるデータ要素は、そのホストが行ない得る特定の動作に対してホストが局所的にのみ用いても良い。またホストは、オフラインでの処理を、たとえば複雑な処理または多くのネットワーク資源を必要とする処理が行なわれているときに、行なっても良い。このような処理には、たとえばVLMデータのシステム規模のバックアップおよび/またはアーカイブを行なうことが含まれていても良い。この場合、VLMホスト同期に関与するためにシステム・リソースを消費することは好ましくない場合がある。またホストは、オフラインでの処理を、たとえばホストがデータ要素を用いていて、ホストが、定数データ値または別のホストによって更新され得るデータ要素の状態に基づいているときに、行なっても良い。ホストは、ホストにのみ既知であるローカルなデータ要素を定義しても良い。このようなローカルなデータ要素を、後に公表するかまたはグローバルにする(たとえば、ローカルなホストに加えて他のコンポーネントに既知にする)ことを、ローカルなデータ要素をVLMおよび他のホストに伝達することによって、行なっても良い。またこのようなローカルなデータ要素が、ホストに対してローカルのままでいることも、たとえばローカルなデータ要素がその特定のホストのみによって用いられる場合には、行なわれても良い。ローカルなデータ要素の定義および値が特定のホストにのみ既知であって、対照的に他のデータ要素がIPN100においてグローバルな特性を呈していても良い。これはたとえば、ホストにデータ要素を、VLMとの通信および同期を通して公表させて、データ要素の定義および値を他のホストにとって利用可能にすることによって行なわれる。ホストおよびそのデータ要素の特定の構成は、ホストごとのベースで行なっても良く、また実施形態ごとに変わっても良い。次のことに注意されたい。一実施形態では、同じセットの動作および/または各実施形態ごとに変わり得る異なる動作を行なうホストが含まれていても良い。
ホストの自律性の別の態様によれば、IPN100のホストは、IPN100内で定義されて使用される1つまたは複数のデータ要素を共有する/共有しないを選んでも良い。ホストは、1つまたは複数の要素に対するその共有する/共有しないステータスを、動作中に変更しても良い。ホストが、IPN100の他のコンポーネントとデータ要素を共有することを選んだ場合、ホストは、対象とするデータ要素の最新のバージョンをVLMから得ても良い。またホストは、データ要素を局所的に使用していても良いし、また他のホストが使用できるようにこのデータ要素を公表することを選択しても良い。こうしてホストは、更新されたバージョンのデータ要素をVLMに送っても良く、このデータ要素は次に、その他のホストに伝えられる。本明細書で説明したように、対象とする各データ要素に対して、各ホストがデータ要素の最新のコピーを有することを保証するように、各ホストがコードを実行しても良い。特定のデータ要素を対象とする各ホストが最新バージョンのデータ要素上で動作することを保証するように、各ホストが同期を行なっても良い。本明細書の他の箇所で説明されるように、タイムスタンプ値を用いて、データ要素の最新のコピーを決定しても良い。
一実施形態では、ホストが、データをデータ要素ごとのベースで共有することを選んでも良い。この結果、ホストは、各データ要素を独自に使用することを制御することができる。各ホストは、特定のデータ要素がそのホストによって本当に使用されるかどうかを制御する。データ要素が使用される場合には、ホストは、このデータ要素を局所的に(たとえばこのホスト上でのみ)定義するのかまたは全体的に定義する(たとえば他のホストにとって利用可能となる)のかを、制御する。1つまたは複数のホスト間で共有される特定のデータ要素は、ホストおよび/またはその付随する機器の機能を反映しても良い。一実施形態では、ホストのそれぞれに付随する機能は同じであっても良いし異なっていても良い。たとえば、第1の実施形態では、機能は各ホスト上で同じであっても良い。第1のホストおよび第2のホストが、それらが同じセットの機器および動作をサポートするときに、同じデータ要素を共有することを選んでも良い。他の実施形態では、各ホストの機能は、たとえば第1および第2のホストが異なる機器をサポートしおよび/または異なる動作を行なう場合に、変わっても良い。この場合、第1のホストは第1のセットのデータ要素(たとえば染色プロトコル)を用いても良く、第2のホストは第2の異なるセットのデータ要素を用いても良い。またホストは、一部のデータ要素を共有して他は共有しないことを選んでも良い。たとえば、すべてのホストが、共通のデータ要素(たとえば症例および患者情報)を共有することを選ぶが、異なるデータ要素(たとえば、各ホストに付随する機器が用いるプロトコルに関するもの)を共有することを選んでも良い。
第1および第2のホストがそれぞれ同期処理を行なうとき、同期処理は、各ホストが対象とするデータ要素のみに対して行なっても良い。第1および第2のホストが、異なる染色プロトコルを用いるが同じ症例および患者情報を用いる前述の例では、第1および第2のホストは両方とも、症例および患者情報に対してはデータ同期を行なっても良いが、すべての染色プロトコルに対してはしなくても良い。
次に図29を参照して、本明細書で説明した技術を行なうことに関連して用いても良いシステムの実施形態の例を示す。例1900には、説明されおよび例示された(たとえば図3)ものと同様のコンポーネントが含まれる。また1900には、一実施形態において含まれ得るデータ・コンテナまたはデータ・ストアを例示する要素1902、1904、および1906が含まれる。次のことに注意されたい。これらのさらなるコンポーネントは、選択性のデータ同期を例示するために例1900に含まれる。1902には、染色プロトコル1および3が含まれる。この例では、染色プロトコル1および3のみが、ホスト1の対象である。ホスト1は、これらの2つのプロトコルのみを行なうそのラボ機器をサポートするあるバージョンのソフトウェアを実行している。ホスト2には、染色プロトコル2のみを行なうそのラボ機器をサポートする異なるバージョンのソフトウェアが含まれる。マスタ・データベース1906には、すべての染色プロトコルについての情報が含まれる。ホスト・データベースには特定の染色プロトコルのみが含まれていても良いが、両方のホスト・データベースには同じ患者情報が含まれている。
再同期処理を行なうとき(たとえば図6および7に示すように)、処理は、ホストが対象とするデータ要素(各ホストごとに変わり得る)のみに対して行なっても良い。一実施形態では、対象とする特定のデータ要素(各ホストごとに変わり得る)は、各ホスト上での対象とするデータ要素の申し込みリストに基づいて定義される。このリストは、各ホストおよび/またはマスタ・データベース(たとえば要素1906)に記憶しても良い。
試薬の使用状態をモニタすることに関連して、試薬所有権のコンセプトが、本明細書の他の箇所で説明されるように一実施形態に含まれても良い。試薬は、複数のホストに接続される複数の機器が共有し得る資源として特徴付けても良い。スライドまたは他のサンプルの処理において、試薬の使用状態および供給をモニタしても良い。一実施形態では、データ要素を定義して、一緒に使用され得る1つまたは複数の試薬の各セットに付随させても良い。試薬を用いるとき、スライドまたは他のサンプルのバッチを処理するランは、ランを終了するのに十分な量の1つまたは複数の試薬がない場合には、開始しないことが望ましい。この決定を行なうために、一実施形態では、試薬の量を追跡しても良い。1つまたは複数の試薬に付随するデータ要素の所有権を有するホストが、各試薬の記録された量(試薬データ要素の属性または他のフィールドに含まれ得る)を、更新しても良い。言い換えれば、試薬のデータ要素を書き込むかまたは更新するために、ホストはこのデータ要素の所有権を有する。一実施形態で行なわれ得る所有権を取得するための1つの方法の説明が、たとえば図8で行なわれている。
また試薬の所有権を用いて、どの機器およびホストが1つまたは複数の試薬のセットを有するのかを表わしおよび制御しても良い。たとえば、1つまたは複数の試薬のセットを、第1のホストに付随する1つのラボ機器から第2のホストに付随する他のラボ機器に物理的に移すことが望ましい場合がある。試薬のセットが物理的に存在し得る場所を、セットに付随するデータ要素をどのホストが所有するかによって表わしても良い。一般的に、試薬データ要素を所有するホストは、付随する試薬を用いており、したがって、付随するデータ要素に記録される量を更新する必要がある。
一例としては、新しい試薬セットを、第1のホストに付随する第1の機器上で用いても良い。新しい試薬セットに対するデータ要素を第1のホストに登録するために、処理を行なっても良い。本明細書の他の箇所で説明される技術を用いて、第1のホストに既知であるデータ要素定義を、IPN100のデータベース内で自動的に複製しても良く、またデータ同期処理を通して各ホスト上で局所的に複製しても良い。第1のホストは、試薬データ要素の記録された所有者であっても良い。第1の機器について問題が発生する場合があり、新しい試薬セットを第1の機器から、他のホストに接続される第2の動作機器に移す場合がある。この例では、試薬は第2のホストに物理的に移され、第2のホストは新しい試薬セットの所有権を要求して取得し得る。第1の機器による使用中に、第1のホストが、新しい試薬セットに対する付随するデータ要素の付随する任意の量を相応に更新する。第2の機器による使用中に、第2のホストが同様に、新しい試薬セットに対する付随するデータ要素における任意の量を更新する。他の例では、第1の機器は、新しい試薬セットを用いてスライドのセットを処理していても良い。第1の機器が動作している間に、新しい試薬の所有権に対する要求が第2のホストによって行なわれて、新しい試薬セットを、第2のホストに付随する第2の機器で使用するために移すことができるようになる。第2のホストによる所有権の要求は、第1の機器が依然として新しい試薬セットを用いている間は、拒否される。第1の機器が試薬を用いている間、第1のホストは、付随するデータ要素における新しい試薬セットの量を更新する。第2のホストが試薬の所有権を取得したら、第2のホストは、第2の機器による消費量を反映するように量を更新する。
異なる物理的な場所に試薬を移すことは、手作業でおよび/または自動化された方法で行なっても良い。
前述したことによって、試薬の供給および場所をモニタするために試薬所有権をどのように用いても良いかが例示され、また異なるホストおよび機器の間で試薬を共有することが容易になる。試薬データ要素の所有権は、付随する試薬を制御するためのソフトウェア・ロッキング技術として特徴付けても良い。次のことに注意されたい。前述では、所有者ホストがオンラインである場合およびデータ共有を選んだ場合を除いて、所有権を移すことはできない。たとえば、ホストが、オフラインであり、またそれが所有する1つまたは複数の試薬のセットを使用しても良い。別のホストが所有権の取得に成功することは、たとえば、ホストがオフラインである間、またはホストが所有権を移すことを拒否する間(たとえば、試薬がホストの機器の1つによって使用中であるため)は、図8のステップを実行してもできない。
一実施形態では、スライドのランを始める前に、ランを終了させるためにどのくらいの量の試薬または他の供給が必要なのかについて、決定を行なうことができる。供給が不十分である場合には、ランの開始を許可しなくても良い。十分な試薬についての前述の決定は、IPS100上で実行されるコードによって(たとえば例示的な実施形態においてIPS上に存在するVLMコンポーネントによって)、行なっても良い。
試薬が所定の閾値レベルに達するかそうでなければ空の場合には、試薬を再オーダーするためにオーダーを自動的に生成しても良い。さらに、本明細書の他の箇所で説明されるように、オーダーを、試薬および他の供給の以前の使用履歴に基づいて規則的に行なっても良い。これについては、本明細書の他の箇所で詳細に説明する。
本明細書で説明した(たとえば図3および図29で)システムに関連して、ユーザまたは顧客による構成が可能なオプションに対する機能が含まれていても良い。一実施形態では、1つまたは複数のホストに、1つまたは複数のユーザ構成可能なオプションを得るためにメニュー・スクリーンを表示するためのコードが含まれていても良い。構成オプションを、本明細書の他の箇所で説明されるメッセージを用いて伝達しても良い。構成オプションは、ホストから他のホストに、またマスタ・データベース(たとえば図29の要素1906)に記憶するために、送っても良い。
次に図30を参照して、構成オプションの選択に関連してホスト上に表示され得る構成スクリーン・ショットの例示的な表現を示す。例1950では、1つまたは複数の記号を、1952に含まれると表示しても良い。要素1952には、ユーザが選択を行なっても良いすべての利用可能な記号が含まれている。行なわれた記号選択を、スライドまたは他のサンプル上に含まれ得る任意のバー・コード・ラベルを読み出しおよび/またはプリントすることに関連して、用いても良い。言い換えれば、構成オプションによって、すべてのホストの各機器上の各バーコード・リーダ、およびシステムたとえば1900における各ラベル・プリンティング・デバイスは、記号構成選択に基づいて動作する。
次のことに注意されたい。構成オプションは、その後に変更しても良いし、また更新は、本明細書の他の箇所で説明されるメッセージング技術を用いて、システム内の1つまたは複数のホストおよび他のデータベースに複製しても良い。また構成オプションは、本明細書で説明したもの以外のまたは代替案としての他の技術を用いて指定しても良い。次のことに注意されたい。一実施形態では、構成オプション選択に対する機能を、ホスト以外にシステムの他のコンポーネント上に含んでいても良い。たとえばIPSは、構成オプション選択を行なうためのコードを実行しても良い。
一実施形態では、構成更新を行なう能力を限定する機能が含まれていても良い。たとえば、構成オプションは、特定のホストから構成可能であるかまたは特定のユーザidの許可レベルに基づいて構成可能である等であっても良い。
次のことに注意されたい。構成データおよびシステム内で複製され得る他のデータに関連して、タイムスタンプまたは他の時間インジケータがデータ・セットに付随していても良い。同期を行なう際、最新のタイムスタンプに基づいたデータ・セットの最新のコピーを用いても良い。
一実施形態では、ラベル・プリンティングが、1つまたは複数のホストによって、スライドが形成されるときに行なわれても良い。ラベル・プリンタは、ホスト(たとえば図3および図29に例示されるもの)に接続される機器であっても良い。ラベルを、各スライド上に、スライド識別子とともにできるだけ早く配置することが望ましい場合がある。ラベルには、たとえば、バー・コード識別子および他の人間によって読取可能なおよび/または装置読取可能な情報が、含まれていても良い。
スライドに付随する一意の識別子は、種々の技術のいずれか1つを用いて形成しても良い。長期間(たとえば数年)保存されているスライドに識別子が付随するシステムでは、識別子は、この時間の間、一意でなければならない。一実施形態において、以下は、識別子を形成することに関連して用いても良い例示的なフォーマットである。グロスの組織サンプルが、得られて、以下のルート・フォーマットを伴う識別子に付随しても良い。
LYY−nnn…nnn
ここでLは、組織の供給源を表わす文字であっても良い(たとえば、外科手術ではS、骨髄ではBである)。
YYは、サンプルが届いた年における最後の2つの数字であっても良い(たとえば、暦年2004の場合04である)。
またnnn…nnnは、一連の整数(現在の数列における次の整数は現在の組織に付随する)を表わしても良い。
その後、この組織サンプルを症例ブロックに分割しても良い。各症例ブロックに対して、1つまたは複数のスライドを組織サンプルから切断しても良い。各症例ブロックに、識別子を割り当てても良い。たとえば一実施形態では、各症例ブロックは、第1の症例ブロックがAに付随し、第2がBに付随し等となるように、アルファベット内に現れている次の単一文字に付随しても良い。症例ブロック内の各スライドはさらに、1から始まる数列における次の整数に付随しても良い。症例ブロック識別子(たとえばA、B…)およびスライド連続番号(たとえば1、2、3…)を、添え字として前述のグロスの組織サンプル識別子に配置して、スライド識別子を形成しても良い。たとえば、以下はスライド識別子であっても良い。S04−1234A1。このスライド識別子は、たとえば選択されたバー・コード記号の1つをラベル上で用いて、エンコードしても良い。またスライド識別子は、RFIDラベル識別子を形成する際に用いても良い。同じ症例に付随する1つまたは複数のスライドを、症例ブロック識別子に連結されるルート部分によって識別しても良い(たとえば、症例識別子S04−1234Aでは、この症例におけるスライドは、S04−1234A1およびS04−1234A2であっても良い)。一実施形態では、スライド、症例などに対する識別子を形成することに関連して他の技術を用いても良い。
各スライドまたはスライドのバッチに対する一意の識別子を形成することに関連して、スライド、容器、および/または組織サンプルの固有の特性を用いて、一意の識別子を生成しても良い。
本明細書の他の箇所で説明されるように、一実施形態では、一意スライド識別子を、本明細書の他の箇所で説明される通信で用いるメッセージのフィールドORC−2、3、および/または4に、記憶しても良い。一意スライド識別子は、本明細書の他の箇所で説明されるバー・コードおよび/またはRFID識別子とともに用いても良い。一実施形態では、ORC−2およびORC−3フィールドはそれぞれ、スライドを一意に識別しても良い。スライド情報は、たとえばOBXセグメントに含まれても良い。スライド識別子以外に、スライド情報には、たとえば使用すべき画像化、染色プロトコル、試薬などに由来し得るJPEGまたは他の画像ファイル場所が、含まれても良い。
当業者であれば理解するように、バー・コード、RFIDラベルなどに関連して使用される識別子を形成することに関連して行なわれる特定のステップは、実施形態およびまた形成すべき特定の組織サンプルおよびスライドに基づいて、変わっても良い。
サンプルのランを構成しスケジューリングすることの複雑さは、試薬、機器の数、および検査室全体のサイズが増加するにつれて、増加する場合がある。検査室機器による処理に対するサンプルのランをスケジューリングするときに、種々の要因が考慮される場合がある。たとえば構成は、ある特定の質的管理(QC)要求を考慮する必要がある場合がある。いくつかのQC要求は、米国病理学会(CAP)、臨床検査改善修正法案(CLIA)などに基づいて必要とされ得るルールおよび規則(たとえば多くの正および/または負の制御)において定められる場合がある。またいくつかのQC態様は、病理学者によって望まれるかまたは好まれるものであっても良いし、他の場合には業界内で予想され得るものであっても良い。別の要因は、ランをスケジューリングする際の試薬の供給および他の補給品である。一実施形態では、ランによって消費すべき試薬および他の補給品の量を決定しても良く、そしてこの決定に基づいてランが行なわれるようにしても良いししなくても良い。また一実施形態では、スループットを最大にするために種々のグループ分けにおいてスライドを処理する1つまたは複数のランを構成することを考慮しても良い。異なる計測器および試薬の構成を、たとえばスループットおよび検査室性能を最大にするために、考慮しても良い。スケジューリングにおいて考慮すべき別の事柄として、処理中に使用される新しい試薬または他の要素を用いている場合には、種々の認証要求に基づいてその特定の要素を認証するために、種々の制御(たとえば、正および負の制御)をスケジュールする必要がある場合がある。
一実施形態では、たとえば図29および図3に例示されるシステムに含まれる1つまたは複数のホスト上で実行されるソフトウェアを、サンプル(たとえばスライド)のバッチまたはランを処理するためにスケジューリングする際に、用いても良い。
次に図31を参照して、バッチ・スケジューラを例示する例2100を示す。2100では、バッチ・スケジューラ2102が、1つまたは複数の第1の入力2104を含んでいても良い。さらに一実施形態では、1つまたは複数の第2の入力2106が含まれていても良い。一般的に、第1の入力2104には、検査室の現在の状態についての情報が含まれていて、バッチ・スケジューラ2102が1つまたは複数の特定のランを評価および/または生成することができるようになっていても良い。また一実施形態では、本明細書で説明したもの以外の情報を用いても良い。第1の入力2104には、データベースから入力される情報(たとえばIPS内に記憶され得るもの)が、含まれていても良い。情報には以下のものが含まれていても良い。たとえば、処理すべき現在の症例負荷または症例サンプル、システム要求および症例スライド数に基づいて処理すべき対照スライド、機器構成およびステータス情報、試薬在庫、およびスループット能力である。機器構成およびステータス情報には、どの装置がラン処理に対して作動中であり実行中であるかそうでなければ利用可能でないか、どの試薬がどの機器にあるか、などが含まれていても良い。試薬在庫情報には、各試薬のタイプおよび現在量についての情報が含まれていても良い。スループット能力情報には、種々の機器がスライドに関連してある特定の処理ステップを行なうレートが含まれていても良い。第2の入力2106には、スケジューリングおよびその評価に関連して用いられる1つまたは複数の任意的な入力が含まれていても良い。第2の入力には、たとえば、依存関係、優先順位、好ましいスライド・グループ分け、および他のスケジューリング基準(たとえばスループット)が含まれていても良い。依存関係は、ある特定のスライドまたは他のサンプルのオーダーリングの依存関係を特定しても良い。たとえば、スライドは、別の機器による他の処理を行なう前に第1の染色を必要としても良い。優先順位を特定しても良く、優先順位には、たとえばどの1つまたは複数のスライドに他よりも高い優先度を与えるべきかを示すことが含まれていても良い。好ましいスライド・グループ分けには、たとえばどのようにスライドをランにグループ分けすべきかを示す表示が含まれていても良い。たとえば、スライドのグループ分けを、症例によってではなく、処理するための抗体によって行なうことが好ましい場合がある。1つまたは複数の動作基準を特定しても良く、たとえばスループット等である。スケジューラがこれを、どのラン構成が好ましくあり得るかを決定するときに用いても良い。たとえば、スループットを最大にすることが望ましい場合がある。したがって、異なるスケジューリング・アルゴリズムまたは異なるルールが、現在の症例負荷を処理するための1つまたは複数のランを決定する際に、働いても良い。また第3の入力2112には、スケジューラ2102に対する入力が含まれていても良い。第3の入力2112には、サンプル・ラン入力および/または構成オーバーライド情報が含まれていても良い。オーバーライド情報が、単独でまたは2112の他の要素と組み合わせて、入力されても良い。オーバーライド情報には、種々の構成オプションが含まれていても良い、たとえば特定の機器がオフラインではなくてオンラインだったか、特定の試薬が、異なる能力の異なる機器上だったか、などである。一般に、オーバーライド情報は、検査室構成に対する変形に基づいてラン構成を生成しおよび/またはラン構成を評価するために、用いても良い。スケジューラ2102が第1のモード(モード・セレクタ2110によって選択され得る)に基づいて動作する場合、スケジューラ2102は、特定の入力に基づいてスライド構成の1つまたは複数のランを出力しても良い。
またスケジューラ2102は、第2のモードで実行されても良い。第2のモードでは、第3の入力2112に含まれる特定のセットのサンプル・ラン構成がスケジュールされ得る。この第2のモードにおけるラン構成を、スケジューラに対する入力として与えても良い。言い換えれば、ラン構成を生成する第1のモードで動作するのではなくて、スケジューラ2102は、第2のモードで動作して、2112に含まれるサンプル・ランの提案されたセットの終わりに検査室の状態をシミュレートしても良い。この第2のモードでは、スケジューラは、出力として、システムの最終状態を、1つまたは複数の入力ランの与えられたセットに対して生成しても良い。一般的に、最終状態情報には、検査室の現在の状態を仮定して入力ランが行なわれるならば、システムの最終状態を記述する1つまたは複数のピースの情報が含まれても良い。最終状態情報を用いて、特定のセットの入力ランのうちどれが好ましくあり得るかを評価しても良い。最終状態には、たとえば、サンプル処理の終了時間、試薬在庫、試薬供給が不十分だったか否かなどが含まれても良い。一実施形態では、スケジューラが第2のモードで実行される場合に、2112のサンプル・ラン構成が必要とされても良い。構成オーバーライドは、スケジューラが第1または第2のモードに基づいて動作するときに、任意的に特定されても良い。
また一実施形態では、モード・セレクタが含まれていなくても良く、また本明細書で説明した第1のモードまたは第2のモードのみに基づいて動作しても良い。スケジューラの他の変形が可能であることは、当業者によって理解される通りである。
前述したことは、1つまたは複数のランを実際に実行する前に、与えられたセットのランを動的に構成しおよび/または評価するために用いても良い。検査室の複雑さが増すにつれて、このようなスケジューラの有用性も増加し得る。なぜならば、経験的な知識を用いてランを手作業でスケジューリングしおよび決定することは、難しくなるからである。
複数のホストを有する実施形態では、スケジューリング動作に必要な情報をマスタ・スケジューラ・モジュールに伝達するためのソフトウェアおよび/またはハードウェアを各ホストに含めても良い。またマスタ・スケジューラ・モジュールは、複数のホストおよび付随する機器に渡ってスケジューリングを行なうためのハードウェアおよび/またはソフトウェアを含んでいても良い。マスタ・スケジューラ機能を、指定されたホスト、IPS、または他のホストと通信する他のコンポーネントが行なって、ラボ規模の機器情報、症例負荷、試薬情報などを得ても良い。スケジューリングでは、スケジュールすべきすべての検査室機器およびそれらの付随する能力についての情報を用いる。1つのコンポーネント(マスタ・スケジューラとして上記で特徴付けられる)が、すべての必要なスケジューリング入力を得ても良く、またVLMがホストと通信する方法と同様にホストと通信しても良い。各ホストには、このような必要な情報を供給するためのソフトウェアが含まれていても良い。また一実施形態では、各ホストに、その特定のホストに接続される機器に対する何らかのスケジューリング処理を行なうためのコンポーネントが含まれていても良い。また各ホストに含まれるこのようなスケジューリング・コンポーネントは、異なるホスト間でのマスタ・プロセス調整スケジューリング・タスクと通信しても良い。この後者の構成では、労力のスケジューリング分割を、ホストおよびマスタ・スケジューラ間で区分しても良い。あるいは、一実施形態では、各ホストによって報告され得るスケジューリング情報(たとえば、機器および試薬情報、他の検査室構成情報など)を収集する単一のマスタ・スケジューラを有していても良い。そしてマスタ・スケジューラは、この情報を用いてすべてのスケジューリング・タスクを行なっても良い。さらに別の実施形態では、各ホストは、各ホストが制御する機器を独自にスケジューリングする。
また一実施形態では、特定の基準に基づいて症例負荷を最良に処理する多くのシナリオを生成するためのスケジューリング・オプションが含まれていても良い。このような基準は、たとえば、機器利用最適化、機器および/または検査室のスループット最大化、ある特定の日付までの特定の試薬の消費量などである。基準、症例負荷、および実施形態に含まれ得る他の情報に基づいて生成されるシナリオによって、手作業のおよび/または自動化された方法で実行すべき処理オーダーを示す作業リストが得られても良い。また一実施形態では、入ってくる新しいオーダーおよび/または既存のオーダー(他のオーダーよりも優先的な処理を必要とする優先的オーダーとして指定される)を取り扱うためのスケジューリングに対する特徴が含まれていても良い。スケジューラには、このような優先的オーダーを処理する特徴(たとえば優先的オーダーを、スケジューラに対する他の入力として指定することによって行なう)が、含まれていても良い。スケジューラは、指定された優先的オーダーに基づいておよび他の基準に基づいて、処理オーダーを生成しても良い。スケジューラは、試薬位置決めサポートを得るための機能を含んでいても良いし、試薬位置決めサポートを得るために検査室内の他のコンポーネントと通信しても良い。このサポートは、たとえば、技師が染色ランを手作業で組み立てるのを支援するために、RFIDまたは他の技術を用いて実施され得るものである。またスケジューラは、機器に対する予防メンテナンスをスケジューリングすること、在庫補充用オーダーを行なうことなどを支援するために、試薬の使用状態の履歴傾向を分析して試薬在庫を管理するための機能を含んでいても良いし、またはそうするために検査室内の他のコンポーネントと通信しても良い。またスケジューラは、法規制の遵守に基づいてランを決定することを支援しても良い。これはたとえば、染色ランにおける対照組織サンプル/スライドをスケジューリングすることによって行なう。このような法規制の遵守の情報および要求を、スケジューラに対する入力として伝達しても良く、またスケジューラは、スケジュールされた出力ランを、この基準および指定され得る他の基準に基づいて生成しても良い。
次のことに注意されたい。スケジューリング動作に付随する機能を、システム内の任意の1つまたは複数のコンポーネントが行なっても良い。いくつかの例示的な構成(たとえばホスト・コンピュータおよび/または他のコンポーネントのパートナーシップである構成)を本明細書で説明しているが、これらは、本明細書で説明する技術の限定と解釈してはならない。
スライドまたは他のサンプルを処理する際、特定の症例のスライドをバラバラにして、各スライドを異なる機器によって処理する場合がある。たとえば、スループットを最大にするために、スライドを特定の抗体に基づいて処理しても良い。第1のセットの症例からの第1の抗体に付随するスライドを、第1のランで処理しても良い。第1のセットの症例からの第2の抗体に付随する他のスライドを、第2のランで処理しても良い。第1のセットの症例のすべてのスライドを処理した後で、一実施形態では、各症例のスライドを再照合してそれらの個々の症例フォルダに戻すポスト・ラン・スライド・ソーティング・ステップが含まれても良い。言い換えれば、処理の効率のために、スライドの症例を分離しても良い。スライドの処理(たとえば染色)が終了した後で、スライドを、症例ごとに再グループ分けしても良い。一実施形態では、この照合ステップを手作業のおよび/または自動化された方法で行なっても良い。たとえば、スライド情報(バー・コード・ラベル、RFIDラベル、または他の形態で、各スライド上に含まれ得る)を、この照合ステップにおいて用いても良い。たとえば各スライドのバー・コード・ラベルには、同じ症例のスライドを一緒にグループ分けするのに使用されるエンコードされた症例情報が含まれていても良い。そして各症例のスライドを、単一の症例フォルダ内に配置しても良い。
次に図32を参照して、スライドまたは他のサンプルを照合用に処理することに関連して一実施形態において行なわれ得る処理ステップのフローチャート2150を示す。ステップ2150は、エンコードされたスライドまたはサンプル情報を用いてスライドをソートすることにおいて前述したものを一般化したものである。ステップ2152において、スライドは、1つまたは複数の基準に基づいて決定されるランにおいて処理される。前述したように、スライドは、より効率的なスループット最大化処理を行なうために、抗体に基づいて分けても良い。ステップ2152で処理されるランは、手作業でまたは本明細書で説明したスケジューラを用いることに関連して、決定しても良い。ステップ2154において、各スライドについての症例情報を、エンコードされた情報(たとえばスライドのバー・コード・ラベルにおいてエンコードされ得る)から読み出す。症例情報の読み出しは、装置(たとえば光学式読み取り装置、RFIDリーダ)を用いて、または手作業で、プリントされたラベルを人が読むことによって行なっても良い。同じ症例情報を有するスライドを、ステップ2156で一緒にグループ分けしても良い。ステップ2158において、同じ症例のスライドを、適切な症例フォルダ内に配置する。ステップ2156および2158の処理も、手作業でおよび/または自動化技術を用いて行なっても良い。次のことに注意されたい。同じ症例のスライド(たとえば、グロスの組織サンプルから生成されるすべてのスライド)を、本明細書の他の箇所で説明される症例識別子を用いて識別しても良い。一実施形態では、スライドを処理するときに、それらを、1つまたは複数の収集場所に配置しても良い。これらの収集場所からのスライドは、症例識別子に基づいて、特定のタイプのラベルに対するリーダを用いて自動的にソートしても良い。共通の症例識別子を有するスライドを、同じ出力グループ分けに配置して、その後に症例フォルダ内に配置しても良い。
他の実施形態では、スライドがラボのどこで処理されているかについての場所情報を、スライドの場所が変わるときに追跡しても良い。情報は、手作業でおよび/または自動的に入力しても良い。情報は自動的に収集しても良く、これはたとえば、スライドが処理されるかまたは機器内にロードされるときに、バー・コードまたは他のリーダを用いて、検査室機器にスライドについての情報を報告させることによって行なう。情報は手作業で入力しても良く、これはたとえば、ホスト上のユーザ・インターフェースを用いて行なう。そして情報を、他の場所(たとえばIPSおよび他のホストのデータベース)内で複製しても良い。後のある時点で、VLMデータベース(たとえばIPS上にあるかまたはIPSに接続されていても良い)に照会して、同じ症例に含まれるすべてのスライドの場所を決定するために、たとえばLISシステムのホストまたは遠隔オペレータが、処理を行なっても良い。情報を用いて、同じ症例のスライドを位置決めして組み合わせても良い。
次に図33を参照して、クライアントからの遠隔アクセスおよびクロス・ホスト症例報告を例示するシステムの実施形態の別の例を示す。例2200には、他の図に関連して説明したものと同様のコンポーネントが含まれている。また2200には、IPSデータ・ストア2206、ホスト1データ・ストア2202、ホスト2データ記憶2204、およびクライアント2210が含まれている。クライアント2210は、IPSに接続されるシステム上で実行され得るクライアント・ソフトウェアであっても良い。クライアント2210は、遠隔であっても良いし、そうでなければ本明細書で説明し当業者には既知である種々の接続のいずれか1つを用いて、IPSに接続されても良い。クライアント2210は、IPS(サーバの機能を果たす)に、ある特定の情報を要求する。このサービスを提供するソフトウェアおよび/またはハードウェアは、たとえば、VLM内の機能、さらなるコンポーネント、として含まれても良いし、複数のハードウェアおよび/またはソフトウェア・コンポーネントにおいて具体化される機能として含まれても良い。たとえば、IPSには、要求される情報を含むウェブ・ページをサービスするウェブサーバが含まれていても良い。ウェブサーバは、VLMと通信して、必要なウェブ・ページおよびクライアントによって要求される情報を得ても良い。VLMは、ウェブサーバがサービスするウェブ・ページへのアクセスを制御しても良く、またこのページに関連して用いられる情報を生成しても良い。あるいは、VLMは、ウェブ・ページへのアクセスを制御しても良く、またデータ・ベースからデータ値を得ても良い。しかしVLMは、他のコンポーネントと通信して、ホストに照会しおよび/またはデータベースから得られる未処置のデータ値に何らかのさらなる処理を行なうことで、サービスされるウェブ・ページに値を入れるために必要なデータを生成しても良い。VLMまたは他のコンポーネントは、すべてのホストに対して、クライアント要求に基づく任意の情報(たとえば、症例、サービスなど)を報告するように、要求(たとえばUDP要求)を出しても良い。
前述のクライアント報告処理において用いられるハードウェアおよび/またはソフトウェア・コンポーネント(図33に例示する)は、各実施形態ごとに変わり得る1つまたは複数の異なるコンピュータ・システム構成上にあっても良い。たとえばウェブサーバは、VLMと同じコンピュータ・システム上にあっても良いし、異なっていても良い。一実施形態では、ウェブサーバ、VLM、および任意のさらなるコンポーネントが、同じコンピュータ・システム上に配置されていても良い。一実施形態では、クライアント2210からなされる要求は、インターフェース(たとえばグラフィカル・ユーザ・インターフェース)を用いてクライアントを通して入力される照会に基づいて、なされても良い。たとえば要求は、特定の症例に付随するすべてのデータを見るためになされても良い。このデータには、オーダーに付随する症例情報(LISからIPSに伝達され得る)、オーダーの処理に関連して用いられるポスト・ラン情報(たとえば染色プロトコル、試薬など)が、含まれていても良い。例2200は、症例に対するオーダーがオーダーを満たすための処理を終了した後の時点におけるシステムのスナップショットを表わしている。一実施形態では、まだ完全には処理されていないオーダーは、データ・ストア2206に記憶される。
任意の時点において、2206には、まだ終了していない進行中のオーダーの現在の症例負荷を表わす情報が含まれている。オーダーが処理されると、種々の処理ステップについてのポスト・ラン情報を、ホストからIPSへ戻すことができる。このポスト・ラン情報は、オーダーが進行中である間に、各ホストおよび2206に局所的に記憶しても良い。オーダー処理が終了したときに、情報を、各ホストの個々のデータ・ストア内に残存するポストラン情報とともに、2206から取り除いても良い。次のことに注意されたい。本明細書で説明したように、ポストラン情報は、当初のオーダー情報、症例情報などの一部または全部のスーパーセットであっても良い。またオーダー処理が終了した後に各ホストに維持される情報には、各症例に付随するすべての情報を識別および照合するために、症例情報が含まれている。図33を参照して、クライアントは、症例1についてのすべての情報を要求しても良い。この例では、症例1に対するオーダーが処理を終了しているので、IPSによって2206に見出される情報はない。そしてIPSは、各ホスト(たとえばホスト1およびホスト2)と通信して、各ホスト上に維持される症例1についてのすべての情報を得る。そしてIPSは、1つまたは複数のホストから受け取った症例1についてのこの情報を収集して、それをクライアントに、たとえばインターネット・エクスプローラによって表示され得るウェブ・ページの形態で、戻しても良い。症例1に対する処理が、照会の時点でまだ進行中だった場合には、データベース2206には症例1についての情報も含まれ、このような情報は照会に応答して戻される場合がある。
クライアント2210を、照会に基づいて報告情報を得るために用いても良い。情報は、進行中であるかまたは処理を終了したオーダーに関連しても良い。一実施形態では、同様に、任意の1つまたは複数の目的に対する報告情報をクライアントに提供しても良い。IPSは、報告に関連する動作に対して報告情報をHTML、XMLなどの形態でクライアントに出すサーバの機能を果たしても良い。報告生成機能は、VLMまたは他のコンポーネントが提供しても良いことに注意されたい。一実施形態では、VLMは、XMLでのウェブ・ページを管理しても良い。当業者には既知であるように、XMLは、たとえばXSLT変換を用いて、種々の異なるフォーマットおよびスタイルに変換しても良い。変換されおよび値が入れられたウェブ・ページは、クライアントに戻しても良い。
IPS(たとえば本明細書で説明したように、一実施形態においてIPS上で実行されるVLMおよび/または他のコンポーネント)は、製品在庫および追跡を行なっても良い。履歴データ(たとえば、長期に渡る試薬の使用履歴について)を得る、再オーダー限界値を検出する、およびジャスト・イン・タイムの製品在庫を維持するために、IPS上でコードを実行しても良い。IPSには、連続的な仕方で実行されるバックグラウンド・スレッドが含まれていても良い。バックグラウンド・スレッドは、試薬在庫をモニタし、および再オーダーをトリガする閾値レベルを1つまたは複数の試薬がいつ下回るのかを使用法履歴および/または満了日付に基づいて決定する。たとえば、使用法履歴、試薬の満了情報、および試薬を得るために必要であり得る時間に基づいて、再オーダーがIPSによって自動的に生成されても良い。IPS(たとえば、本明細書で説明した一実施形態においてIPS上で実行されるVLMおよび/または他のコンポーネント)を、価格モデルを提供する別のシステムに接続しても良い。特定の試薬の満了日付に基づいて、試薬供給業者によって現在提供されている割引を得るために、特定の量を再オーダーすることを自動的に決定しても良い。このような価格情報、割引などは、時間が経てば変わる場合がある。一実施形態では、前述した製品在庫および/または追跡の機能を、1つまたは複数のコンポーネントの協同および通信的な活動を通して行なっても良い。コンポーネントはたとえば、各ホストに対する在庫管理機能(たとえば履歴データ)、RFID追跡(たとえば、他の場合に利用可能であり得る情報よりも多い現在の試薬についての情報)、ならびにVLMおよび/またはウェブサーバのサービス・レポートなどのコンポーネントである。
試薬には、現在の量を反映するために更新され得る変更可能かまたは書き込み可能なRFIDラベルが含まれていても良い。このような情報を、試薬および他の補給品のRFIDラベルから読み出して、リアル・タイムな在庫情報を提供しても良い。在庫情報を、RFIDコンポーネントと通信するホストまたは他のシステムに送っても良い。そしてホストまたは他のシステムは、このような情報を、IPS(たとえばIPS内のVLM)、および/または在庫管理を行なう際に一実施形態において用いても良い他のコンポーネントに、中継しても良い。
VLMまたは他のコンポーネントは、在庫および追跡を行なうときに、1つまたは複数の他のシステム(図示せず)と通信して、オーダーリングおよび追跡に関連した動作をさらに統合することを実現しても良い。たとえば、一実施形態では、在庫および追跡を行なうVLMおよび他のコンポーネントを、IPS上で実行しても良い。在庫および追跡動作を行なうことに関連して、これらのコンポーネントは、会計システムと通信して、オーダー承認プロセスを能率的にしても良い。またIPSは、試薬供給業者の電子システムと通信して、たとえば補給品のオーダーを電子的に行なっても良い。IPSはさらに、選択した配送サービス(たとえばUPS、フェデラル・エクスプレスなど)のシステムと電子的に通信して、配送の進捗についての情報を得ても良い。オーダー、在庫などについての情報は、前述したようにサーバとしての機能を果たすIPSからクライアントへの報告機能を通して得ても良い。
前述したことは、1つまたは複数のシステムの統合を通して実現され得る種々の機能のいくつかの例である。特定の機能は、各実施形態ごとに変わっても良い。
QC処理は、一実施形態において本明細書で説明したような種々の異なる態様で行なっても良い。QCの別の形式として、IPSには、VLMなどのコンポーネント、またはホストと通信してQC処理を行なう他のコンポーネントが含まれていても良い。QC処理は、症例における1つまたは複数のスライドまたは他のサンプルからの総計されたテスト結果に基づいて、およびテンプレートに基づいて行なわれる。一実施形態では、ホストは、テンプレートに基づいてQCテスティングを行なっても良い。各ホストのQCテスティング情報は、VLMおよび本明細書で説明した他の技術を用いて、他のホストに複製しても良い。テンプレートは、たとえばテスト結果のある特定の予想される組み合わせを、規定しても良い。総計されたテスト結果が、予想される組み合わせの1つにフィットしない場合には、IPSまたは1つもしくは複数のホストは、1つまたは複数のテストを自動的に再オーダーしても良い。容認できるテスト結果を規定することに加えてまたはこの代替案として、テンプレートは、総計されたテスト結果が、規定された誤ったQCパターンの1つである場合に行なうべき行為を規定しても良い。
次に図34を参照して、再テスト用にQC処理を自動化する際に用いても良いテンプレートの例示的な表現を示す。テンプレートは、たとえばIPSのデータベースに記憶しても良い。例2300には、テンプレート2302が含まれており、容認できるテスト結果パターンのセットが領域2304に、再テストをトリガする結果のセットが領域2306に含まれている。領域2302には、1つまたは複数のテスト結果パターンが含まれている。領域2306には、テスト結果のセットと、規定されるテスト結果が決定された場合に行なうべき1つまたは複数の行為とが含まれている。たとえば、領域2306におけるパターン1が決定された場合には、すべてのスライドが再テストされる。また再テストのための特定の情報が、テンプレートに含まれていても良い。一実施形態では、領域2306のみを含むテンプレートが含まれていても良い。症例が、セクション2306における特定のパターンの1つを満足する場合に、再テストが行なわれる。その他の場合には、結果は容認できるものと決定しても良い。セクション2302および2306の両方を含む実施形態では、残りの状態をすべてカバーするテスト・パターンが、セクション2326において特定されても良い。セクション2304および2306における状態の1つが満たされない場合に、2326におけるデフォルトの行為を行なっても良い。一実施形態では、テンプレート仕様および評価に対して種々の異なるフォーマットおよび技術のいずれか1つを用いても良い。この自動化された再テストは、たとえば、各ホストによって、IPSによって、VLMが一実施形態において実行されている別のシステム上で、または本明細書で説明したシステム内の他のコンポーネント上で、行なっても良い。一実施形態では、QC障害が、あるホストによって特定の試薬を用いて、たとえば拒否された染色スライド上で検出された場合に、拒否された染色スライド上で使用されるすべての試薬に対するさらなるどんな処理も、他のホストが保留状態にしても良い。言い換えれば、拒否されたスライド上で使用されるすべての試薬をわずかでもさらに使用することを、保留状態にしても良い。QC障害は、ホストが決定しても良い。このような障害を検出したら、ホスト、VLM、または検出ホストと通信状態にある他のコンポーネントが、拒否された染色スライド上で他のどの試薬が使用されたかを決定しても良い。VLMが維持するデータベース内のデータを、1つまたは複数の疑わしい試薬に対するさらなる処理が保留状態であることを反映するように、更新しても良い。その後、この情報を、VLMを介して他のホストに複製しても良い。
障害に関連して、障害には、処理(たとえば試薬など)に関連して使用される1つまたは複数の機器および/または1つまたは複数の要素が伴っても良い。検出されたQA障害に応答して、一実施形態では、任意の1つまたは複数の異なる行為を行なっても良い。一実施形態では、ロックアウト・プロセスを、たとえば障害に関連する機器、試薬、および/または他のコンポーネントを伴うさらなる処理が許可されないように、行なっても良い。一実施形態では、QA障害に関連して、ロックアウト以外の他の行為を行なっても良い。行為は、重大性が様々な程度のもの(たとえば特定のQA障害に基づいて変わり得るもの)であっても良い。たとえば、一実施形態では、QA障害に関連する機器、試薬、および/または他のコンポーネントをその後に用いることが、検出された障害を通知することに加えて、可能であっても良い。一実施形態では、たとえば、検出されたQA障害に関する通知を、任意の1つまたは複数の出力装置に出力しても良い。QA障害に関連する機器、試薬、または他の要素を使用し続けるためには、技師が、QA障害に対して確認応答して、承認を積極的に示し(たとえば、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを通しての入力)、QA障害に関連する要素を使用し続ける必要があっても良い。次のことに注意されたい。QA障害は、種々の異なる基準および適格性のいずれか1つに関連しても良い。たとえば、ある特定のQA要求を、試薬、機器などを認証するかまたは適格とするための第1のセットの規則によって特定しても良い。QA障害が、これらの規則のセットおよび/または要素(たとえば試薬、機器など)の1つまたは複数に関連しても良い。
QA障害の検出に応答して、報告または他の通知メッセージが自動的に生成されて、ラボ・マネージャ、技師などに送られても良い。通知は、電子通知(たとえば、eメール・メッセージ、ポケット・ベル通知など)の形態を取っても良い。このような通知および/または報告の生成が行なわれるのは、すべてのQA障害、または検出された障害のうち所定の基準(たとえば、特定の重大性レベルなど)を満足する部分について、ある特定の数および/またはタイプの障害が、規定された時間に検出された場合などであっても良い。
一実施形態では、ユーザが、たとえばQA障害に関するある特定の情報を選択的に要求しおよび特定のユーザ基準に応答して報告を生成することを可能にする報告生成機能が含まれていても良い。
報告および/または通知には、種々のレベルの詳細な情報が含まれていても良く、種々のレベルの詳細は、特定の基準(たとえば、ユーザ指定の基準、重大性レベル、規則、または他の準拠基準などを含む)に基づいても良い。
前述のシステムには任意の1つまたは複数の異なるタイプの機器が含まれていても良いことに、注意されたい。図3の要素を参照して、一実施形態では、機器114は画像化装置であっても良い。画像化装置は画像ファイルを生成しても良く、これは本明細書の他の場所で説明される通りである。画像化装置が行なう処理の結果、画像情報が生成されても良い。画像情報には、特定のファイル・タイプおよび/またはフォーマットに記憶される画像データが含まれていても良い。画像情報またはその一部は、画像化装置のメモリに局所的に記憶しても良いし、画像化装置を制御するホストにアップロードしても良いし、ならびに/または各ホストおよびシステムの特定の構成に基づいて本明細書で説明した技術を用いてその他のホスト上で複製しても良い。一実施形態では、画像ファイルは、記憶装置(たとえば機器および/またはホストに取り付けられたもの)に記憶しても良い。画像ファイルの名前および/または全部もしくは一部の画像ファイル・データを、機器からアップロードしても良い。書き込み可能なRPIDラベルを用いる本明細書の他の箇所で説明される実施形態では、画像ファイルの名前および/または一部の画像ファイル・データを、RPIDラベルに書き込んでも良い。次のことに注意されたい。画像ファイル・データまたはその一部(RPIDラベルに書き込まれ得る)は、圧縮フォーマットまたは他のフォーマットなどのフォーマットに記憶しても良い。画像化装置または他の機器(一実施形態に含まれ得る)は、スライドの素性またはある特定の時間に処理されている選択されたサンプルの素性を、ホストに報告しても良い。このような情報は、その他のホストおよび/またはデータベースに複製しても良く、またたとえば1つまたは複数の特定のスライド、サンプルなどを位置決めするために用いても良い。
前述では、ホストをネットワーク接続して互いと通信させて、統合された検査室環境を形成することができるシステムについて説明した。本明細書(たとえば図3)で説明したシステムのコンポーネントはすべて、同じ場所に物理的に配置しても良いし、1つまたは複数の異なる場所に配置しても良い。異なる場所にあるコンポーネントは、当業者には既知である種々の異なる接続のいずれか1つを用いて、他のコンポーネントと通信しても良い。たとえば、LISを、IPSおよびホストから遠隔に配置しても良い。また次のことにも注意されたい。本明細書で説明した例示的な実施形態は、完全に統合しおよび接続しても良いが、当業者であれば理解するように、本明細書で説明した技術は、コンポーネントがすべて本明細書で説明したように接続されているわけではない実施形態においても用いて良い。たとえば、RPIDラベルを用いて検査室内のスライドを追跡する本明細書で説明した技術は、IPS−ホスト接続性のみを有しLIS−IPS接続性がない実施形態においても用いて良い。
本明細書で説明したようなシステムによって、1つまたは複数のホスト間における構成可能なデータ共有が、一実施形態に含まれ得るVLMを用いて実現されても良い。データを各ホスト上で自動的に複製しても良い。異なるホスト上で登録され得る試薬、プロトコル割当て、ユーザ・プリビレッジなどを、すべてのホストに対して自動的に複製しても良い。たとえばVLMは、データの最新のバージョンに対するデータ・リポジトリの機能を果たすことを、ホストに、更新されたデータをVLMに常に送らせること、さらにホストに、VLMからの更新された任意のデータを要求させて受け取らせることによって、行なっても良い。データ共有および複製の利点として、スライド・ラベルのプリンティングを、任意のホスト上で行なうことができる。スライド・ラベルを、任意的なVIPソフトウェアを用いているときにLISからオーダーを受け取ったときに自動的にプリントするように、構成することができる。一実施形態では、これを、オーダー発注に関連して行なっても良い。たとえば、オーダーがVIPにおいてHL7メッセージングを介して発注されたときに、一実施形態では、ラベル・プリンティング・オプションを容易にするために、1つまたは複数のフィールドがメッセージに含まれていても良い。ラベル・プリンティングに対して用いるべき特定のホストおよび付随するプリンタを示すために、構成データ要素を用いても良い。さらに、同じまたは異なるデータ要素には、プリンティング・モード・インジケータが含まれていても良い。一実施形態では、プリントティング・モード・インジケータは、キューイングされても良いし、パス・スルーしても良い。モードのキューイングが示すのは、関連するオーダーに対する任意のラベルが、ラベル・プリンティング・キュー内に、後に要求(たとえばユーザから)がラベルのプリンティングに対してなされるまで、残ることを示す。キューイングされたモードでは、ラベル・プリンティングは自動的ではない。パス・スルー・モードが指定された場合、指定されたホストおよびプリンタが新しいオーダーを認識すると、そのオーダーに付随するラベルが自動的にプリントされる。プリンティング・オプションは、一実施形態では、オーダーごとベースで指定しても良い。あるいは、一実施形態では、構成オプションとして、新しいオーダーに対して使用され得るサイト・バー・コード記号構成オプション(本明細書の他の箇所で説明される)が含まれていても良い。構成オプションには、特定のホストおよび/またはプリンタ指定だけでなく、特定のプリンティング・モードが含まれていても良い。また前述したことによって、単一のインターフェース・ポイント(VIP)を通したLISと検査室のコンポーネントとの間のメッセージングを介した通信が実現される。検査室に送るべきオーダーと、LISに送るべきステータスおよび報告情報とを与える双方向性のインターフェースについて説明する。オーダー情報の一部として、患者情報を含む症例データと他のデータとがLISから検査室に伝達され、手作業での患者データ入力および可能性のある再入力の必要がない。本明細書で説明した特徴(たとえばスライド・オーダーリングおよびラベル・プリンティングに対するLISの接続性)の利点は、検査室環境が大きくなるほど、より明らかとなり得る。
既存のA/P検査室では、組織サンプルをスライドに載せる作業は、冗長なデータ入力を伴うほとんど人手に頼る作業であり、標識付きのスライドを得るための作業フロー処理の複数の箇所で誤りを起こし得るという特徴がある。本明細書では、冗長性を解消したり、誤り発生の可能性を低減したりすることによって、作業フロー処理を円滑にするために用い得る技法について述べる。上記及び下記段落で述べる技法は、A/P検査室の作業フロー処理並びに関連作業フロー処理のある他の検査室の作業フロー処理を円滑化及び自動化するために用い得る。
次に、図35において、本明細書の技法を利用し得るシステムの一実施形態例を示す。例2400には、LIS2402、IPS2408、ホスト2420a乃至b、並びに機器2422a乃至b及び2410が含まれる。IPS2408には、データ記憶装置2414を備えたデータ管理部2404、VIP2406、及びVLMデータ記憶装置2416を備えたVLM2412を含み得る。例2400に示したIPS、VIP、及びVLM等の一部の構成要素については、本明細書の他の箇所で、例えば、図3に関連して述べる。以下の段落で更に詳述するように、LIS2402からIPS2408に送る通信情報の処理は、データ管理部2404、VIP2406、VLM2412間で分割し得る。
一実施形態において、VIP2406、VLM2412及びVLMデータ記憶装置2416は、通信情報処理については、それぞれホスト2420a乃至bを用いて制御される専用又は改良型染色機器2422a乃至b等の二次染色機器のみに用い得る。VLMは、専用又は改良型染色機器2422a乃至bについて、検査指示及び通信情報用の第1組の処理動作を実施し得る。専用又は改良型染色機器2422a乃至bとしては、例えば、アリゾナ州、ツーソン(Tucson)のベンタナ・メディカル・システム社(Ventana_Medical_Systems_Inc)製ベンチマーク(BenchMark)(登録商標)システム等の免疫組織化学(IHC)スライド染色機器、又は、組織に存在する微生物や特定の組織タイプに集まる化学色素染料を用いるものなどの他の補助的なもしくは専用の染色機器(例えば、ベンタナ・メディカル・システム社のネキセス(NexES)(登録商標)SS染色器)が挙げられる。実施形態2400には、更に、専用又は改良型染色機器以外に、他の種類の機器を含み得る。他の機器には、例えば、ベンタナ・メディカル・システム社製シンフォニー(SYMPHONY)(商標)システム等のヘマトキシリン及びエオシン(H/E)染色を行う一次染色機器2410を含み得る。機器2410は、ホスト2420a乃至bの内の1つを用いて制御しなくてもよい。むしろ、一次染色機器2410は、それに含まれる1つ又は複数のプロセッサを用いて、それ自体の動作を制御し得る。2400に示すような実施形態では、データ管理部2404は、LIS2402からの全着信通信情報、例えば、機器2422a乃至b及び2410で検査を実施するための検査及び症例情報等を受信し得る。LIS2402とIPS2408との間の通信は、HL7プロトコルに基づいてよいが、このプロトコルは、本明細書の他の箇所で述べており、また当分野では既知である。データ管理部2404は、LIS2402から着信データを受信し、機器2410に関連する通信情報の全処理を行い、更に、第1組の処理動作用の専用又は改良型染色機器2422a乃至bに関連するVIP2406にそれらの通信情報を中継し得る。また、データ管理部2404は、専用/改良型染色器、一次染色器、及び可能性として、例2400の中にあり得る他の機器に関連する受信通信情報に第2組の処理動作を実施し得る。例えば、以下の段落で更に詳述するように、データ管理部2404は、チェックポイント通知及び検査室の全機器用の他の処理を規定し得る。チェックポイント通知は、検査室にあるスライドや組織検体等の実体が、指定時間までに特定の作業フローポイントによって処理されない場合の通知を規定する。データ管理部2404は、LIS2402によっても用いられる統一識別子を利用してよい。統一識別子は、作業フロー処理において、患者サンプル等の異なる実体間の識別や管理を行うために用いられる識別子である。統一識別子は、1人又は複数人の使用者(consumer)によって、例えば、検査室内及び病院等の外部使用者によって用いられる。更に、データ管理部2404は、検査室の作業フロー処理を改善するための処理を実施し得る。データ管理部2404は、HL7プロトコルに基づきVIP2406と通信を行い得る。データ管理部2404は、更に、統一識別子をVIP及びVLMによって用い得る他の識別子にマッピングする等、任意の識別子マッピング又は変換を実施し得る。一実施形態において実施し得る作業フローを改善するための統一識別子、チェックポイント通知、及び処理に関する更なる詳細については、本明細書の他の箇所で更に詳述する。
尚、図35及び36の機器は、染色器又は検査室での処理と関連して用い得る他の機器であってよい。本明細書に述べた染色器は、当業者が認識されるように、例示のみを目的としている。
一実施形態において、VIP及びVLMは、専用/改良型染色機器2422a乃至b用の第1組の処理動作を実施するIPS2408の既存の構成要素であってよい。後で、IPS2408によって実施される処理は、2つの態様で拡張し得る。この処理は、第1組の処理動作に含まれるもの以外の他の処理タスクが、機器2422a乃至bのために実施されるように、拡張し得る。更に、IPS2408によって実施される処理動作を拡張して、2422a乃至bに含まれるもの以外の一次染色器等の他の種類の機器2410にも適用し得る。例2400において、データ管理部2404は、チェックポイント通知等、機器2422a乃至bのための追加の処理を実施し得る。データ管理部2404は、2410等の新規の又は追加の機器用の全ての処理タスクも実施し得る。そのような実施形態では、データ管理部2404及びそのデータ記憶装置2414は、新規の構成要素として既存のIPS2408に追加し得る。2410等の新規の又は追加の機器は、データ管理部2404と直接通信を行い得る。上述したように、全着信通信は、データ管理部2404によって受信され、データ管理部2404は、それら対象の通信、例えば、機器2422a乃至b用の検査指示や症例情報等の通信情報をフィルタ処理し、VIP2406等に中継する。VLM及びそれに接続されたホストからのVIPによって受信される通信情報は、データ管理部2404に伝達し得る。ホスト2420a乃至bとVLMとの間の通信は、本明細書の他の箇所で述べるように、通信接続2420cを介し得る。
データ記憶装置2414及び2416は、データベースであったり、当分野で公知の任意の様々な異なる構成に基づきデータを記憶するために用いる任意の他の種類のデータコンテナであってよい。
尚、追加機器2410は、データ管理部2404と直接通信を行うように示すが、或る実施形態では、更に、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)等の装置インターフェイスを2404と2410との間で利用して、それらの間の通信を円滑化し得る。例えば、様々な異なる追加機器があってよく、データ管理部2404は、それらのために本明細書に述べる処理を実施する。異なるインターフェイスを異なる各機器に用いて、データ管理部2404との通信を円滑化し得る。
次に、図36において、本明細書の技法を利用し得るシステムの他の実施形態例を示す。例2450には、上述して図35に示したものと同様の構成要素が含まれる。データ管理部2452は、図35のデータ管理部2404とは対照的に、データ管理部と、VIP及びVLM等のIPS2408の他の構成要素との間の処理動作を分割するよりもむしろ検査室の全機器のための処理を実施し得る。
図35及び36の代表的な実施形態は、まさにIPS2408によって実施される機能をIPSの様々な構成要素間で分割し得る2つの方法であることを当業者は認識されるであろう。例えば、図35は、データ管理部2404等の新しい構成要素を追加することによって、どのようにIPSの機能を拡張し得るかについての代表的実施形態である。最初、VlP及びVLMの使用者には、図35に示すような構成が有り得る。後に、そのような使用者は、更に、最新バージョンのデータ管理部2452に移行し、図36に示すような構成を利用し得る。
次に、図37において、ワークステーション構成を例示する。ワークステーションは、検査室において、以下の段落で更に詳述する様々な作業フロー処理ポイントで用い得る。当分野で公知であり、また、本明細書の他の箇所で更に詳述するように、スライド上での組織サンプルの生成に関連する作業フロー処理には、複数のステップが含まれる。1つ又は複数のワークステーションを作業フロー処理の各ステップでの処理に関連して用い得る。IPSに直接又は仲介ホスト(例えば、ホスト2420a乃至b)を介して間接的に接続したワークステーションは、組織検体処理に関連する様々なポイントに配置し得る。説明を簡潔にするために、ワークステーションは、本明細書では、図35及び36等の図には明示的に含まない。図37は、IPS2502に接続した単一ワークステーション構成の概略図を示す。ワークステーションサイトには、シンPCクライアント2508及びタッチスクリーン2506等のコンピュータシステムを含み得る。また、一実施形態には、構成要素2506及び2508の他の選択肢として、オールインワンPC及びタッチスクリーン組合せ装置を含み得る。コンピュータシステム2508には、ワークステーションで用るための1つ又は複数の他の装置を接続し得る。そのような装置には、バーコード画像化装置2504及びプリンタ2510を含み得る。プリンタ2510は、熱転写プリンタや、ワークステーションで実施し得る異なる印刷方法に基づき、スライドに印刷することが可能なプリンタ等のラベルプリンタであってよい。一実施形態において、コンピュータ2508は、IPS2502のサーバ構成要素に接続するブラウザを実行し得る。コンピュータ2508に接続した個々の装置は、実施形態により変わり得る。例えば、バーコードを検査室の異なる実体のラベル付けに用いる場合、バーコードリーダ及び/又は印刷装置をワークステーションで用いてよい。RFIDタグを用いる場合、適切な読み取り/書き出し装置もワークステーションに含んでよい。様々な実体(例えば、検体、スライド、ブロック、又はカセット)に関連して用い得る異なる種類のタグ又はラベル(例えば、RFIDタグ、異なる種類のバーコード、他の形態の機械読取り可能な識別子等)については、本明細書の他の箇所で述べる。
尚、本明細書に述べるIPSのソフトウェア及びハードウェアは、サーバコンピュータシステムに含んでソフトウェアをそれ上で動作させたり、また、本明細書に述べた処理を実施可能な機器又は他の構成要素(1つ又は複数)に含んでよい。
ワークステーション構成におけるコンピュータ周辺装置やバーコードリーダ等の異なる装置は、USB又は他の種類の通信接続を介してコンピュータ2508と通信を行い得る。ワークステーション構成2500のコンピュータ2508は、イーサネット、無線、又は他の通信接続を介してIPS2502と通信し得る。
以下の段落で述べるように、ワークステーションは、検査室の様々な場所に配置して、組織検体、ブロック、又はスライドの処理に関連して用い得る。
次に、図38において、本明細書の技法を用いる一実施形態に含み得る構成要素の他の表現を示す。例2600は、例えば、図36に含まれる構成要素の他の表現であり得る。LIS2602は、HL7プロトコルに基づき、IPSに含み得るデータ管理部2604と通信を行ってよい。データ管理部2604は、1つ又は複数のホスト2608と通信を行い得るが、各ホスト2608は、ベンタナ・メディカル・システムのネキセス(登録商標)ソフトウェア等の或るバージョンのソフトウェアを実行する。各ホスト2608は、専用又は改良型染色器2610等の機器と通信を行い得る。一次染色器2606等の他の機器は、仲介ホストを利用することなくデータ管理部2604と直接通信を行い得る。一次染色器2606は、例えば、ベンタナ・メディカル・システム社製のシンフォニー(商標)システムであってよい。改良型又は専用染色器2610には、例えば、全てベンタナ・メディカル・システム社製であるが、ネキセス(登録商標)IHC染色器、ネキセス(登録商標)SS染色器、ベンチマーク(登録商標)XT染色器等を含み得る。
次に、統一識別子について更に詳述する。
統一識別子は、実体を一意に識別するために、検査室内のLIS及びそれと通信を行う他の情報システムによって用い得る識別子である。統一識別子は、1人又は複数の使用者又は統一識別子のユーザに関して統一されており、例えば、検査室のコンピュータシステム及びデータベースと通信を行うLIS、A/P検査室、病院情報システム、及び可能性としてA/P検査室から離れた他の場所等に関して統一されている。統一識別子は、その使用者に関して或るレベルの一意性を有し、これにより、使用者による実体の識別及び追跡が可能である。一意性のレベルは、使用者による実体の予想使用時間等の時間枠にも関係し得る。異なる実体用に複数種類の統一識別子があってよい。例えば、検査室に保管されたスライドの予想継続時間の間、スライドの追跡及び識別に関連して用いられる統一スライド識別子が存在してよい。統一スライド識別子は、或る時間期間の間、例えば、スライドが用いられてA/P検査室のスライド保管庫に保管される可能性がある時間の間、そのスライドを一意に特定するために、LIS、A/P検査室、及び1つ又は複数の他の供給業者によって認識され用いられることがある。また、統一症例識別子、統一検体又は部分識別子、及び統一ブロック又はカセット識別子は、以下の段落に述べるように用いてよい。
異なる各統一識別子は、同じ情報を共有する施設間で局所的に固有のものとして特徴付け得る。例えば、互いに通信状態にある情報システムを有する3つの検査室及び3つの病院は、或る実体に同じ統一識別子を用いて、実体及び関連する統一識別子を各使用者(例えば、病院及び検査室)により他のものと区別させてよい。
次に、図39において、本明細書に述べる異なる種類の統一識別子の形成に関連して用い得る異なるデータ部の例を示す。例2700には、症例id(識別子)又は症例番号2702、検体又は部分id(識別子)2704、ブロック又はカセットid(識別子)2706、及びスライドid(識別子)2708が含まれる。上記各idは、登録の一部として、例えば、患者の1つ又は複数の組織検体を検査室で受理する際、割り当て得る。idは、様々な作業フロー処理ポイントで利用される異なる統一識別子の形成に用い得る。例えば、最初の検体の場合、症例id2702、検体id2704、及び1つ又は複数のブロックidは、登録の一部として割り当て、次に、最初の検体から作られるブロック用の統一ブロック識別子2720の形成に用い得る。統一ブロック識別子は、肉眼検査でそれぞれのブロック用のカセットのラベル付け又はマーク付けに関連して用い得る。
症例id2702は、患者、患者関連情報、1つ又は複数の検体、そこから生成される全ブロック又はカセット及びスライド、検査指示及び結果等に関連付けた識別子である。統一識別子を用いる一実施形態では、症例idは、統一症例識別子とも称し得る。検体又は部分idは、登録の一部として検査室で検体を受理する際に割り当て得る。まとめると、症例id2702及び検体又は部分id2704の組合せは、統一検体又は部分識別子2720を形成し得る。ブロック又はカセットid2706は、検査室での登録の一部として割り当てられ、検体を分割する時に肉眼検査で用いる。まとめると、症例id2702、検体又は部分id2704、及びブロック又はカセットid2706の組合せは、統一ブロック又はカセット識別子2722を形成し得る。スライドid2708は、登録の一部として割り当てられ、組織ブロックを切ってスライドに載せる際に用いられる。まとめると、症例id2702、検体又は部分id2704、ブロック又はカセットid2706、及びスライドid2708の組合せは、統一スライド識別子2724を形成し得る。
症例id又は番号2702は、次の書式を有し得る。
LYY−nnn…nnn
ここで、Lは、組織の出所を表す文字であってよい(例えば、Sは外科手術、Bは骨髄、CYは細胞検体、Bは生検、CBは細胞ブロック)。また、Lは、検体を送った施設を表す1つ又は複数の文字であってよい(例えば、NWはノースウェスト病院)。
YYは、症例id2702が生成された年の末尾2桁であってよい(例えば、「07」は暦年2007)。
nnn…nnnは、現在の数列での次の整数が、毎年0からやり直せる一連の整数を表し得る。また、nnn…nnnは、英数字列における要素等、一連の要素内における任意の要素であってよいが、この場合、順番は、YYによって示された年の各症例毎にインクリメントされる。順番は、YYによって示された各新しい年の初めにリセットし得る。
例として、症例id2702は、他の書式を症例idの形成に用い得るが、上記書式に基づき、「S07−12345」であってよい。症例idは、検査がそれらの検体に実施予定である1つ又は複数の患者の検体に関連付けてよい。例えば、外科の患者又は外来患者には、複数の組織生検を行い得る。各生検試料は、症例id2702に関連付けた同じ患者に関連する検体であり得る。尚、異なる番号及び文字タイプを用いて、組織(L)の出所及び症例id2702形成時の年(YY)を表してよい。
検体又は部分id2704は、症例の各検体に割り当てた英数字列に含まれる1つ又は複数の英数字であってよい。例として、検体id2704は、症例当り26検体以内の場合、要素列「A」乃至「Z」の内の単一の文字(例えば、「A」)であってよく、症例当り10検体以内の場合、要素列「0乃至9」の内の単一の桁(例えば、「1」)であってよく、又は定義要素列の組合せでの単一の文字及び番号(例えば、「S1」又は「P1」は器官1)であってよい。同じ症例idに関連付けた各検体には、異なる検体又は部分idを割り当て得る。次の各検体は、要素列中の次の要素を割り当て得る。
カセット又はブロックid2706は、1つ又は複数の英数字であってよいが、これらは、検体から形成する各ブロックに割り当てる英数字列に含まれる。当分野で公知なように、各検体は、検査室での組織処理の一部として、1つ又は複数の区画に分割してよい。組織検体の各区画は、異なるカセット又はブロックに含んでよい。更に当分野で公知なように、肉眼検査での組織検体の区画は、カセットに載せてよい。カセットは、包埋前の組織実体を参照し得る。包埋後、カセットに含まれる組織実体は、ブロックと称し得る。例として、ブロック又はカセットid2706は、単一の文字(例えば、「A」)、単一の桁(例えば、「1」)、又は単一の文字と番号(例えば、特定の検体のブロック1の場合、「B1」)であってよい。同じ検体に関連する各ブロックには、異なるブロック又はカセットidを割り当て得る。検体から作る次の各ブロックには、英数字列中の次の要素を割り当て得る。
スライドid2708は、英数字列における一連の1つ又は複数の数字又は文字等、1つ又は複数の英数字であってよい。例えば、スライドidは、「001」、「002」、「A」、「B」、「AA」、「AB」、「S1」、「S2」等であってよい。同じブロックから作成された各スライドは、英数字列の次の要素として割り当てる異なるスライドidを有し得る。
各統一識別子は、検体、ブロック又はカセット、及びスライド等、処理される実体の作業フロー処理内のポイントに基づき、上述したid2702、2704、2706、及び2708の異なる部分の組合せとして形成し得る。一実施形態において、図39の複数idは、連結されて、異なる統一識別子を形成し得る。例えば、上記書式に基づき、症例id「S07−12345」からの検体1のブロックAのスライド1の場合、統一スライド識別子は、「S07−12345,1,A,01」である。更に、ブロックAの統一ブロック識別子は、「S07−12345,1,A」であり、検体1の統一検体識別子は、「S07−12345,1」であり、また、統一症例識別子は、「S07−12345」である。
上記内容に基づき、作業フロー処理の様々なポイントでの異なる組織実体に関する階層表現を見て、異なる統一識別子の形成に用いてよい。
次に、図40において、組織処理作業フローに関連して本明細書に述べた異なる統一識別子の形成に用い得る階層表現を図示した例を示す。例2800には、症例id2702に対応する単一ノードを第1又はルートレベル2802が有する階層表現が含まれる。第2レベルには、症例ノードの子ノードとして表される各検体用のノードが含まれる。本例において、それぞれ「A」、「B」、及び「C」で示す3検体が存在する。第3レベルには、検体から作成された各ブロック用のノードが含まれ、これは、その検体(そのブロックはこれから作成された)の子ノードとして表される。本例では、第1検体には、2ブロック、第2検体には、1ブロック、及び第3検体には、3ブロックがある。ブロックは、検体から作成した次のブロック毎にインクリメントされる単一の数字(例えば、「1」、「2」、「3」)によって示す。葉ノードの第4レベルには、ブロックから作成された各スライド用のノードが含まれ、そのブロック(これからそのスライドが作成された)の子ノードとして表される。本例では、検体1のブロック1には、3スライド、検体1のブロック2には、5スライド、検体2のブロック1には、2スライド、検体3のブロック1には、3スライド、並びに検体3の各ブロック2及び3には、2スライドがある。本例のスライドは、ブロックから作成される次のスライド毎にインクリメントされる数字(例えば、「01」、「02」、「03」)によって示される。
階層構造2800のノードに関連付けた各idは、作業フロー処理のポイント又は処理ステップに関連付け得る。階層構造の各レベルは、症例に関連する組織の作業フロー処理ポイントに基づき、図39の異なるid(例えば、症例id、検体id、ブロックid、スライドid)の生成及び異なる統一識別子の生成に関連付け得る。ツリーにおけるノードの統一識別子は、ツリーの根ノードからそのノードまでの経路に含まれる上記idの組合せによって形成し得る。更に説明すると、本例のノード2806の統一スライド識別子は、「S07−12345,A,2,05」であり、本例のノード2804の統一スライド識別子は、「S07−12345,B,1,01」である。上記各統一スライド識別子は、根ノード2802からレベル4におけるそれぞれの葉ノードまでの経路上にある各ノードに関連付けたidを用いて、形成し得る。更に詳細に後述するように、統一スライド識別子は、切断作業場所でマーク付け又はラベル付けされたスライド上に含み得る。本例のノード2808の統一検体識別子は、「S07−12345,C」である。ノード2808のための上記統一検体識別子は、レベル1の根ノードのid及びノード2808のidを用いて形成する。更に詳細に後述するように、統一検体識別子は、検査室の受付ステーションにおいてマーク付け又はラベル付けされた検体容器上に含み得る。
例えば、図35及び36に示すデータ管理部のデータ記憶装置には、図40に表すような情報及び関係が含まれており、データ記憶装置に含まれる情報の問い合わせ、取り込み、及び索引付けを行ってよい。また、追加の情報、例えば、様々なプロトコル、試薬、患者情報等も、データ記憶装置に記憶し、図40に示す様々な要素に関連付けてよい。データ記憶装置は、統一識別子の内の1つに関連付けた情報を検索できるように、体系化してよい。ノードに関連付けた特定の統一識別子に基づき、ノードの1つ又は複数の上位及び/又は下位に関する情報は、実施される動作に依存して検索し得る。例えば、作業フロー処理の或るポイントでは、統一症例識別子を入力して、特定の症例に関する全情報又は階層構造において対応する根ノード及びその子に関連付けた全情報を検索し得る。他の例として、ノード2808の統一検体識別子は、特定の検体に関する情報を検索するために用い得る。検体が、現在、分割前に肉眼検査ステーションにある場合、統一検体識別子に関して検索した情報は、形成されるブロック又はカセットの数を示し得る。ブロックがミクロトームにある場合、統一ブロック識別子は、生成されるスライドの数、従って、そのブロックに対して切り出される組織サンプルの数を決定するために用い得る。他の例として、スライド処理の完了後にスライドの症例フォルダーを組み立てる場合、各スライドの統一スライド識別子を用いると、適切な症例又は根ノードを決定して、同じ症例のスライドだけが症例フォルダーに含まれることを保証し得る。更に、上記のことを用いると、症例フォルダーに含まれる各スライドに関連する特定の症例の場合、症例用の全スライドがそこに含まれること、症例用のスライドが欠落していないこと、また、他の症例用の他のスライドが含まれていないことを検証し得る。
また、統一識別子に基づき検索された情報は、同じ症例に関連するそのツリーの他の経路に関連付け得る。例として、ワークステーションを用いると、ログインしたユーザは、データベース問い合わせ動作を実施し得る。ユーザは、検体ラベルをスキャンして、統一検体識別子を読み出し、症例に関する情報(例えば、上位ノード)、その検体ラベルを有する検体から生成されたブロック及び/又はスライドに関する情報(例えば、子又は下位ノード)、同じ症例の他の検体に関する情報(例えば、同じ症例の兄弟ノード)、他の検体のスライドに関する情報等を検索し得る。
また、一実施形態では、階層構造の或るレベルにおけるノード用の識別子は、そのノードがその親の唯一の子である場合、省略し得る。例えば、ノード2810は、その親ノードである検体2の唯一の子である。その結果、一実施形態では、「S07−12345,B」である統一検体識別子と同じノード2810用統一ブロック識別子を形成し得る。上記に基づき、ノード2804に対応するスライドの統一スライド識別子は、「S07−12345,B,01」であり得る。ノード2810が単一の子(例えば、2810のブロック1から生成された唯一のスライド)だけを有する場合、統一検体識別子は、統一スライド識別子としても用い得る。
尚、上記内容は、組織処理及び関連の作業フロー処理での統一識別子の使途を表すが、本明細書における統一識別子用の技法は、組織以外の他のサンプルや検体の処理にも用い得ることが当業者によって認識されるであろう。例えば、サンプルを更なる解析のために分割する場合の本明細書の技法は、臨床化学、細胞学、及び他の試験検査室において血液や他のサンプルを処理するために用い得る。
次に、図41において、1つ又は複数の組織サンプルに関して実施し得る作業フロー処理の異なるステップの図を示す。例2850には、LIS2852、IPS2874、及び1つ又は複数の検体に関連して実施し得る様々な作業フロー処理ステップ2851の図が含まれる。図41には示さないが、LIS2852は、他の箇所で述べたように、例えば、図3Aに関して述べたように、1つ又は複数の他の情報システムと通信状態にあっても良い。代表的な一実施形態では、LIS2852は、病院のLISであってよく、この場合、組織検体(1つ又は複数)は、病院から得ることができる。1つ又は複数の検査に対する要求は、一旦検体が検査室で受理されると、2854における検体の受理(receiving)及び登録(accessioning)工程の一部として、患者データと共にLISに入力し得る。受理及び登録2854の一部として、LIS2852は、本明細書の他の箇所で述べたように、統一症例識別子として症例idを生成し得る。LIS2852は、更に、他のidを割り当て、図39の他の統一識別子を生成し得るが、これら統一識別子は、検査室処理に関してそれから派生する組織検体(1つ又は複数)及びサンプルに関連付けられる。IPS2874及びLIS2852は、同じ情報の使用者として、本明細書の他の箇所でも述べる統一識別子に関して同じ統一方式を用いてよい。通常、LISは、検査要求、並びに検査状態及び結果情報と要求者及び提供者とをリンクするネットワーク接続されたソフトウェア企業である。LIS2852は、病院内の患者のための検査要求及び検査データ、また同様に、外来患者について外部から提出された検査要求及び検査データも記憶し得る。LISは、検査が実施された各患者の検査を追跡するためのデータベースを利用し得る。LISは、症例id又は番号を患者に割り当て、症例idを、例えば、処置する医師、その症例に携わった他の医師、入院患者/外来患者状態、保険情報、要求された検査、検査状態、検査結果等のデータと互いに関係付ける。LIS2852は、症例idの1つ又は複数の検体を処理する検査室のネットワークに含まれるIPS2874と通信状態にあってよい。図39の症例id及び他のid、また、従って、統一症例識別子及び他の統一識別子、検査指示、及び最初に2852で入力された他の情報は、IPS2874に伝達し得る。図37に示す構成を有する1つ又は複数のワークステーションは、2854、2856、2858、2860、2862、2864、2866、2867、2868、2870、及び2872で示した各要素の代わりに含み得る。図41には明示しないが、作業フロー処理に関連する各ワークステーションは、そこに記憶された情報を検索及び更新するためにIPS2874への接続を有してよい。例えば、統一識別子の内の異なるものは、異なる作業フロー処理ポイントに用いるためにIPS2874のデータベースから検索し得る。例えば、カセットにラベル付け又はマーク付けする場合、統一ブロック又はカセット識別子を検索し、また、スライドにラベル付け又はマーク付けする場合、統一スライド識別子を検索する。
尚、図41及び本明細書の他の図に関連して、バーコード等、特定の種類の機械読取り可能なタグ又は識別子の例を用い得る。しかしながら、本明細書の他の箇所で更に詳述するように、また更に、当分野で公知なように、任意の種類の機械読取り可能なタグ又は識別子を用いてよいことに留意されたい。
上記に関連して、患者情報、検査情報等の全ては、検体登録の一部として、検査室で受理した際、入力してよい。言い換えると、それら1つ又は複数の組織検体は、IPS2874に伝達する既存の情報がLISに全く無い状態で、検査室に到着することがある。例えば、組織検体は、患者情報や検査指示等を含む文書による要求を添付した状態で検査室の受理及び登録2854に到着することがある。図39の症例id及び他のid、また従って、統一識別子は、登録及び受理2854の一部として、検体(1つ又は複数)が検査室で受理された際に生成し得る。この後者の例では、LISシステムに情報がまだ存在しない状態で、検体が検査室に到着した場合、文書による要求に含まれる患者情報及び検査指示情報は、検体が検査室で受理された時、受理及び登録2854の一部として、最初に入力し得る。上記のバリエーションとして、患者名、保険情報、属性データ(demographics)等の患者情報の一部は、LISに接続された他の外部システムを用いて入力し得る。そのような例において、情報の一部は、外部システムからLISへ伝達され、そこで、上述した情報の残りは、検体が検査室で受理された時、登録及び受理2854の一部として入力し得る。
受理及び登録2854の一部として、統一検体又は部分識別子を検体毎に生成する。更に、ラベルは、統一検体識別子を含む検体毎に生成する。ラベルは、本明細書に述べた様々な異なるラベルの内の任意の1つであってよい。例えば、ラベルには、機械読み取り可能なバーコード識別子又は他の機械読取り可能な識別子を、それ上に統一検体識別子を符号化した状態で、それの人間が読み取り可能な形式と共に含み得る。作業フロー処理で重要なことは、登録及び受理時に検査室で受け取った際、組織検体入りの容器を、工程のこのポイントでラベル付け及びタグ付けして、適切な識別を保証し、検体のラベル張り間違いの可能性を低減することである。
更に、図39のid、従って、統一識別子は、一旦検体が受理及び登録2854の一部として検査室で受理されると、生成し得ることに留意されたい。
次に、登録及び受理2854の後、ラベル付き容器の各組織検体は、肉眼検査ステーション2856に送って処理する。肉眼検査ステーションで、組織検体を分割する。各分割したものは、異なるラベル付きカセットに含んでよい。肉眼検査ステーションで組織検体から作られる分割の数、従って、カセットの数は、IPSのデータベースを用いて決定し得る。一実施形態において、組織検体ラベルには、統一検体識別子の機械読取り可能なバーコードが含まれる。組織検体ラベルは、肉眼検査ステーションでバーコードリーダによってスキャンして、統一検体識別子を得る。肉眼検査ワークステーションは、次に、統一検体識別子に基づき、IPSのデータベースから検体関連情報を検索し得る。検索した情報には、検体用のカセットの数を含み得る。組織検体ラベルのスキャンに応じて、コンピュータ端末画面等の出力装置に情報を表示し得る。ワークステーションの作業者は、表示された情報が、組織検体ラベル上にある人間が判読可能な形式の情報と整合することを視覚的に確認し得る。そして、作業者は、表示装置に表示されたカセットの数にマークするオプションを選択し得る。肉眼検査ワークステーションは、カセットマーク付け装置と一体化してよい。カセットをマーク付けするオプションの選択に応じて、指定数のカセットのマーク付け処理が開始され、各カセットは、異なる統一ブロック又はカセット識別子でマーク付けされる。本明細書の他の箇所で述べたように、以前生成された各統一ブロック又はカセット識別子は、IPS2874のデータベースから検索し得る。様々な異なるカセットマーク付け装置の内のいずれか1つを用いてよい。例えば、カセットは、硬質プラスチックから形成してよく、カセットマーク付け装置は、バーコードによって符号化された統一カセット又はブロック識別子をカセット表面上に、例えば、熱箔転写を実施することによって形成してよい。他の例として、カセットは、バーコードをカセットにエッチングするレーザ装置でマーク付けし得る。更に他の例として、カセットは、RFIDラベルをカセット表面に貼り付けてよい。検体は、適切な数の分割部に分割され、各分割部は、ラベル付き又はマーク付きカセットに載せる。
肉眼検査ステーションにおけるカセットのマーク付け又はラベル付けのバリエーションとして、1つ又は複数のカセットは、例えば、LISによって、事前にマーク付け又は事前にラベル付けしてよい。一実施形態では、容器及び検体に関連付けた事前マーク付けカセットを肉眼検査ステーションに送る。一旦肉眼検査ステーションに送られると、事前マーク付け又は事前ラベル付けカセットをスキャンして、カセットが容器に対応していることを検証する。
肉眼検査ステーションの作業者は、特別な指示、所見、品質保証問題、及び/又はメモを入力し、そして、これらは、特定のカセット用のIPSデータベースに記憶され、また、統一カセット又はブロック識別子に関連付けられる。特別な指示は、後の作業フローポイントにおいて検索し得る。特別な指示には、例えば、肉眼検査でのサンプル状態に関するメモを含み得る。例えば、検体は、極めて小さい又は壊れやすい組織サンプルであり、これは、後続の処理に耐えられない可能性がある。上記のことは、肉眼検査ステーションで気付いて記録し得る。組織処理2858等の後のポイントでは、特別な指示、所見、又はメモを検索し得る。特別な指示は、例えば、後の処理ポイントで切断を改善するために、どのように検体分割部を包埋すべきかについて、特定の位置又は方向を示し得る。この時点で入力された品質保証問題は、サンプルに関係しており、後続の組織学的処理のステップで実施する作業の品質に影響を及ぼし得る特性について記述してよい。
上記内容は、作業フロー処理の一部として既存の検査室で実施し得る処理とは対照的であることに留意されたい。既存のシステムでは、登録ステーションにおいて、1つ又は複数のカセット及び関連するカセットラベルを生成して、肉眼検査ステーションに送って用い得る。言い換えると、カセットは、登録又は受理ステーションにおいてマーク付けされ、そして、肉眼検査ステーションに送られる。肉眼検査以外の異なる作業フローポイントにおいてラベルを生成することによって、もしくは、カセットをマーク付けすることによって、カセット及びブロックのラベル張り間違い又は取扱い誤り等の追加の誤りを防止し得る。
当分野で公知なように、カセットは、後続の化学処理並びにパラフィン浸透及び包埋のために、組織サンプルを保持するための蝶番付き扉を有する小さな有孔プラスチック容器である。カセットには、統一ブロック識別子が記載又は符号化されているが、例えば、不滅インクの形態で、又はカセットに入れたまま組織を追跡するためのバーコードもしくはRFID等の機械読み取り可能なラベルで記入又は符号化されている。
そして、各カセット内の組織は、組織処理2858及び包埋2860に提出され、この場合、組織は、パラフィンに包埋される。組織処理2858には、例えば、段階的に濃度が高くなったエタノールの複数の槽にカセットを浸して、続いて、クロロホルム、キシレン又はヒストクリア(商標)等の除去剤によって、最後に、高温熔融パラフィンワックス(浸透)によって、組織を脱水する段階を含み得る。このプロセス中、パラフィンワックスは、カセット内の組織が、硬質の固化組織サンプルになるように、水分を置換する。包埋2860において、固化組織は、カセットから取り除かれ、窪みに置かれ、組織の配置が定まり、適切に切ることができる。一旦組織を正確に配置して、カセットを組織の上に置き、そして、熔融ワックスをカセット及び組織窪みに注ぎ、そして、冷却し硬化させる。結果的に生じる組織サンプルは、その水分がパラフィンで置き換えられたことによって硬化したブロックの形態である。結果的に生じる組織のブロックは、薄く切ってほぼ透明な薄片又は組織の「切片」にするのに充分な硬さである。
包埋2860における処理の一部として、マーク付きカセットをスキャンして、統一ブロック又はカセット識別子を読み出し、そして、肉眼検査時にカセットに関して以前入力されたあらゆる所見をIPSデータベースから検索し得る。例えば、肉眼検査ステーションで前に入力した所見は、サンプルが、脆いために、組織処理に耐えられないことを示すことがある。組織処理後、カセットの内容は、その中の組織サンプルの状態を判断するために調べることがある。また、組織処理後の組織サンプルの状態に関するその後のメモは、包埋ワークステーションで作り、そして、IPSに伝達して、そのデータベースに記憶し得る。
そして、ブロックを切片作製(microtomy)又は切断2862に進めて、そこで薄く切断する。当分野で公知なように、切片は、脆いため、まず手作業で切断し、そして、水槽の表面に浮かべて、そこで平らにして、浮かんだままにする。そして、各切片は、浮遊する切片の下のスライドを、スライド表面に切片が付着するように引き上げることによって、真下から持ち上げ得る。切片を乾燥させスライドに焼付けた後、更に、スライドを染色し得る。
ブロックが切片作製又は切断に到着すると、包埋済み組織サンプルの統一ブロック識別子をスキャンして、特定のカセットの情報をIPSデータベースから検索するために用い得る。検索した情報は、切断ワークステーションの出力又は表示装置に表示し得る。検索した情報には、組織ブロックから切断されるスライドの数及びスライド毎の具体的な検査情報を含み得る。そのような情報には、染色規約や使用する試薬(1つ又は複数)等が含まれ、また、切断ステーションに配置されたスライドマーク付け又は印刷装置に直接送ってよい。各スライドについて、統一スライド識別子をIPS2874から検索し、各スライドは、その統一スライド識別子を含むように、また、オプションとして、染色情報をそれ上に含むように、マーク付けする。一実施形態では、スライドの各組織切片をブロックから切断する際、切断ステーションにおいて統一スライド識別子及び染色情報(例えば、染色規約、使用試薬等)で各スライドをマーク付け又はラベル付けし得る。当分野で公知なように、スライドは、様々な異なる技法を用いてラベル付けし得る。例えば、各スライドは、ラベルプリンタ等でラベルを生成し、これをスライドに貼ることによって、ラベル付けし得る。また、スライドは、スライドそれ自体に直接マーク付けすることによって、ラベル表示し得る。各スライドを、その上に載せられた組織が切断される際、ラベル表示することによって、無駄の無い一体的作業フロー処理を用いて、誤りの可能性を低減することによって、効率及び品質が改善される。スライドをラベル付けするための1つの構成は、例えば、2006年12月15日に出願した米国特許出願第11/639,586号、「解剖病理学における自動リーンメソッド」、代理人整理番号第VMS−003US号に述べられており、本明細書に引用・参照している。
尚、既存の検査室では、職員が、ブロックが切断ステーションに到着する前に、ブロック用のスライドラベルを生成してよい。本明細書の他の箇所で述べた肉眼検査ステーションの状況と同様に、既存の検査室のスライド及びスライドラベルは、切断ステーションにおける実際のブロック切断に先立つ場所及び時点で生成してよい。従って、既存の検査室では、スライドが、より容易に、混同、紛失、ラベル張り間違い等を被るという点で、作業フロー処理に追加の誤りを持ち込む可能性がある。
切断2862後、スライドの染色に進む。各スライドに実施される個々の染色が異なるため、スライドは、一次染色2864及び/又は高度及び特殊染色2866に進むことがある。各染色ポイントでは、スライドラベルをスキャンして、統一スライド識別子を読み出し、また、そのスライドについて、染色処理開始日付/時刻情報や特定の染色器等をIPS2874に記録し得る。上記の情報は、IPS2874のデータベースにカタログ化し、統一スライド識別子に関連付け得る。スライドラベルが、更に、染色規約や使用試薬等の染色情報をその上に符号化している一実施形態では、スライドラベルをスキャンすると、それに符号化された染色規約及び他の任意の染色情報が読み出される。そして、ワークステーションは、IPSデータベースから特定の染色規約の情報を検索して、染色の実施に用い得る。スライドラベルが、その上に符号化された染色規約及び他の染色情報を含まない他の実施形態では、染色規約及び他の染色情報は、統一スライド識別子に基づき、IPSデータベースから検索し得る。
次に、スライドを染色する。完了すると、染色処理終了時間は、統一スライド識別子に基づき、そのスライドについて、IPSデータベースに記録し得る。これは、例えば、スライドラベルをスキャンして、統一スライド識別子を読み出し、そして、統一スライド識別子に関連付けたIPS追跡情報(例えば、染色器、作業者、現在の日付/時刻)を記憶することによって実施し得る。
染色後、スライドは、封止2867に進み、そこで、カバーガラス板が組織切片に接着されて、更に恒久的な封止スライドを生成し得る。封止後、スライドは、症例集約処理2868に進み、そこで、同じ症例id又は統一症例識別子に基づき、スライドをグループ化し得る。同じ症例のスライドは、照合して同じ症例フォルダーに入れてよく、これは、その後、病理学者に送られ、2870で見直される。本明細書の技法を用いて、各スライドの統一スライド識別子に含まれる同じ症例番号を有する全てのスライドは、同じ症例フォルダーに集約される。
症例集約ワークステーションの作業者は、IPSと通信を行うことによって、症例フォルダーに適切なスライドが含まれていることを検証可能である。各スライドラベルをスキャンして、スライドが属する適切な症例を決定し得る。更に、この場合、作業者は、IPSからも情報を検索して、特定の症例用の症例フォルダーに含むべきスライドの総数を決定し得る。例えば、作業者は、スライドを紛失していないか、異なる症例からの間違ったスライドが誤って症例フォルダーに含まれていないか等を判断することが可能である。
例2850において、検査室は、レビューのために病理学者に症例フォルダーを転送する前に、オプションとして、症例フォルダーの品質チェックポイント審査も実施し得る。そのような品質チェックは、2870の前に実施してよい。この審査又は品質チェックの一部として、技術者が、病理学者へ送る前にスライドを見て、例えば、A/P検査室処理によって生じ得るような高レベルの工程上の問題がないことを保証し得る。例えば、症例スライドを顕微鏡で調べて、その上の組織が不適切に折り重なっていないか(即ち、問題が切断時に生じたか)、背景染色があるか(即ち、染色問題が、染色器、抗体、規約設定等に起因し得るか)判断し得る。上記の品質チェックは、何らかのそのような処理誤りを捕らえるために実施し得る。問題が特定されると、品質問題のあるスライドは、そのラベルをスキャンして統一スライド識別子を決定し、そのスライドの品質問題に関する情報をIPSデータベースに記録し得る。記録する情報には、品質問題に対応又はそれを解決する任意の指示、例えば、再切断及び再染色、染色機器のチェック、試薬のチェック等も含み得る。品質チェックは、QC(品質管理)ワークステーション2880で実施し得る。尚、追加の品質管理処理をQC2880で実施して、他の作業フロー処理ポイントに関連する他のQC問題を特定し、記録し、及び/又は文書化し得る。
QC処理は、肉眼検査2856に関連して本明細書の他の箇所で述べたように、或る作業フロー処理ポイントにおける処理の一体化部分として実施してよい。更に、一実施形態では、1つ又は複数の作業フロー処理ステップに関連付けたQC処理を実施するための専用QCワークステーション2880があってよい。専用QCワークステーション2880は、他のワークステーション及び関連する職員を利用可能にするために、QC処理を実施するのが望ましい。例えば、症例集約2868の後及び病理学者によるレビュー2870の前に2880でQCを実施すると、症例集約ワークステーションを次の症例の症例集約実施に利用可能にできる。
スライドの症例フォルダーは、その後、レビュー2870のために病理学者に送ってよい。病理学者は、各スライドラベルをスキャンして、統一スライド識別子を読み出し得る。レビューを実施する病理学者に関する情報及び関連する調査日付/時刻情報は、IPSデータベースに記録し得る。そして、病理学者は、顕微鏡を用いてスライドを観察し、また、レビューに関する何らかの情報を入力し、LISデータベースに記録し、処理対象のスライドの統一スライド識別子に関連付け得る。この時点で、病理学者は、例えば、画像解析や追加染色等を実施するかどうかなど、次の適切な処理ステップを決定する。画像解析を実施する場合、病理学者は、画像解析情報やコメント等を入力し得るが、これは、LISに記憶される。また、病理学者は、必要な場合、スライドの追加の染色を指示し得る。一実施形態において、病理学者又はスライドの追加の染色を指示する他の作業者は、IPS2874又はLIS2852と通信を行うことによって、追加染色についての検査指示を入力し得る。スライドラベルをスキャンして、統一スライド識別子を特定し得る。この検査指示は、その後、統一スライド識別子に基づき、この既存スライドのために生成し得る。1つ又は複数の新しいスライドが必要な場合、統一スライド識別子に関連付けられた元のブロックは、IPS2874に記憶された情報を用いて決定し得る。上記内容は、検査指示の中で示してよく、これによって、新しいスライドは、同じ元のブロックから生成される。スライド及びブロックのあらゆる残りの組織は、その後、2872で保管してよい。
作業フロー処理の一部として、これらのステップは、手動及び/又は何人かの人が携わる自動化技法を用いて実施し得る。このように、受理した検体は、検査室において一連の保護管理の中を進み得る。各組織実体は、検体乃至検体から生成されたスライドまで、検査室及び作業フロー処理内のその関連する一連の保護管理が、ワークステーションで情報を記録することによって、追跡及び維持され得る。本明細書の技法を用いて、各組織実体は、ラベル付けされ、また、作業フロー処理を進みながらスキャンし得る。例えば、検体のラベルは、肉眼検査ワークステーション2856でスキャンして、統一検体識別子を特定し、また、その統一検体識別子について、開始及び/又は終了日付/時刻情報、検体を処理した人、場所等を記録し得る。検体又は他の組織実体を処理する人は、作業者の識別子をバーコードに符号化した機械読み取り可能な識別子を有する自分のバッジを本人がスキャンすることによって識別し得る。このことは、ワークステーションの内の1つで処理を開始する前の作業者のログインプロセスの一部であってよい。ログインに続き、作業者は、組織検体のラベルをスキャンし、追跡情報を記録して、ラベルがスキャンされた日付/時刻にその作業者がその組織を処理したことを示し得る。
同様に、ブロックのラベルは、組織処理2858、包埋2860、及び/又は切断2862でスキャンして、統一ブロック識別子を特定し、統一ブロック識別子に関連付けられた開始及び/又は終了日付/時刻情報、処理を実施した人、場所等を記録し得る。同様に、スライドのラベルは、染色において、病理学者によって、症例集約において、並びに統一スライド識別子に関して同様に記録される作業フロー及び一連の保護管理情報に含み得る他の処理ポイントにおいて、スキャンし得る。上記一連の保護管理情報は、IPS2874のデータベースに記憶し得る。
一実施形態において、組織実体の統一識別子をスキャンすることによる上記情報追跡は、1つ又は複数の作業フロー処理ポイントにおいて実施し得る。例えば、一実施形態において、追跡情報は、各処理ポイントで記録し得る。他の実施形態では、追跡情報は、作業フロー処理ポイントの選択部分で記録し得る。作業フロー処理ポイントに含み得るIPSへの接続を有する各ワークステーションにおいて、IPSに記憶された情報は、異なる統一識別子について検索可能であり得る。検索された情報は、関連する症例の追加情報だけでなく、作業フロー処理ポイントに特有のものであり得る。この情報は、異なる組織実体に含まれるラベルをスキャンして、ラベル上に符号化された統一識別子を得ることによって、IPSから検索し得る。追跡情報は、作業フロー処理ポイントのワークステーションにおける到着及び/又は完了時、組織実体の該当ラベルをスキャンすることによって入力し得る。
尚、本明細書に述べたように、検体容器、カセット、又はスライドに配置された各ラベル又は他のマークには、同様に符号化された機械読取り可能な情報の人間が判読可能な形式を含み得る。また、組織実体を処理する人は、ラベル上の人間が判読可能な情報が、スキャンに応じて表示し得るIPSから検索された情報に整合すること、を視覚的に確認し得る。例えば、検体容器が、肉眼検査に到着したとする。作業者は、自分のバッジをスキャンし、また、他の認証情報を入力して、IPSにアクセスすることによって、肉眼検査のワークステーションにログインし得る。検体容器のラベルは、スキャンされ、また、肉眼検査への到着や検体を処理した人等に関する追跡情報をIPSに記録し得る。スキャン処理では、ワークステーションによって用いられる統一検体識別子を読み出して、関連する症例idについてIPSから情報を検索し、また、更に、特定の肉眼検査情報を検索し得る。検索され、処理を実施する人に対して出力装置に表示された情報には、症例id及び検体番号を含み得る。作業者は、出力装置に表示された対話によって、検体のラベル上の、症例idを含む、人間が判読可能な検体識別子を調べるように、また、ラベルの情報が表示されたものに整合することを確認するように促される。作業者が上記内容を視覚的に確認した後、作業者は、入力装置を用いて、次のステップに進み得る。ラベル付けするカセットの数を表示し、各カセットをラベル付けし、そして、検体の切断部分を入れてよい。肉眼検査完了後、作業者は、何らかの適切なメモ又は所見を作成し、検体容器ラベル及び/又は各カセットラベルを再びスキャンして、検体及び/又はカセットについて肉眼検査がいつ完了したかに関する追跡情報をIPSに記録し得る。
作業フロー処理の一部として実施される特定の処理ステップは、各検査室によって異なり得ることを当業者は認識されるであろう。組み立てたスライドの症例フォルダーを審査する品質管理等の追加オプションのステップを実施してよい。更に、個々のステップは、特定の染色又は他の検体処理等、検査室によって実施される処理により異なることがある。
次に、図42及び43において、本明細書の技法に関連して実施し得る処理ステップのフローチャートを示す。これらのフローチャートのステップは、作業フロー処理に関連して実施し得る上述した処理を要約する。フローチャート2900は、患者の1つ又は複数の検体が検査室で受理され、情報システムに以前入力された情報がない例を示す。フローチャートに明示していないが、各組織実体(例えば、検体、ブロック、及びスライド)は、本明細書の他の箇所で述べたように、それに関連したラベルをスキャンして、組織実体の一連の保護管理のための追跡情報をIPSに記録し得る。ステップ2902において、1つ又は複数の検体が、ステップ2904における登録及び受理の一部として入力される患者情報及び検査情報を含む関連の文書による要求と共に到着する。ステップ2906では、登録及び受理処理の一部として、統一症例識別子とも称する症例idを、LISによって生成し、IPSに伝達し得る。本明細書に述べたように、統一症例識別子は、同じデータにアクセスするLIS及び他の情報システムによって用い得る。ステップ2906の一部として、図39の各異なるid及び関連する統一識別子が、生成され、様々な後続の作業フロー処理ポイントに関連して用い得る。ステップ2906の一部として、統一検体識別子が、検体容器毎に生成され、また、ステップ2908の一部として、検体容器に貼り付けるラベルに含まれる。ステップ2910では、検体は、肉眼検査ステーションに送られて処理される。各検体の検体ラベルは、スキャンされ、情報がIPSから検索されて、ステップ2912では、適切な数のカセットを各々統一ブロック又はカセット識別子でラベル付け又はマーク付けし得る。ステップ2914において、検体を分割し、各分割部をラベル付きカセットに載せる。図43に関して、ステップ2952では、作業者は、何らかの特別な指示、所見、品質保証情報、又は後続の処理ステップに関係し得るメモを入力し得る。上記内容は、IPSに記憶され、また、統一ブロック又はカセット識別子に基づき、適切なカセットに関連付け得る。後の処理ポイントのワークステーションで統一ブロック識別子を含むラベルをスキャンすることによって、上記内容を検索し得る。ステップ2954において、組織処理及び包埋は、カセット毎に実施する。ブロックは、切断に進み、そこで、各スライドの組織が、ブロックから切断される。ステップ2956では、スライド毎に、ステップ2906において以前生成された統一スライド識別子が、ラベルに又はスライドをマーキングする他の方法に含まれる。染色規約及び他の染色情報は、IPSからも得られ、また、スライドラベル上にも符号化し得る。ステップ2958では、適切な染色をスライド毎に実施する。本明細書の他の箇所で述べたように、スライドに実施する染色は、スライドのラベルをスキャンして、その上に符号化された統一スライド識別子、染色規約及び他の情報を読み出し、IPSから情報を検索することによって、決定し得る。検索された情報には、例えば、染色規約の処理ステップ、使用する試薬(1つ又は複数)は何であるか等を含み得る。更に、スライドに用いる染色規約等の情報の一部は、スライドラベルに直接符号化し得ることに留意すべきである。ステップ2960において、スライド封止を実施し得る。ステップ2962において、受理したスライドは、それらのスライドが、同じ関連した症例id又は統一症例識別子を有することに基づき、照合して特定の症例の全スライドを集約し得る。本明細書の他の箇所で述べたように、症例フォルダーを集約する作業者は、スライドラベルをスキャンして、その上に符号化された統一スライド識別子を読み出し得る。情報をIPSから検索して、同じ症例idの全スライドが受理され、症例フォルダーに含まれたかどうか判断し、また、他の症例のスライドが誤って含まれていないことを検証し得る。ステップ2964において、症例フォルダーのスライドの品質チェックポイント審査を実施して、スライドに検査室処理によって持ち込まれた問題がないことを保証し得る。ステップ2966において、症例フォルダーは、調査のために病理学者に送る。追加又は新しい検査指示は、病理学者のレビューに基づき、生成し得る。ステップ2968において、症例id又は統一症例識別子に対するスライド及びあらゆる関連する残りの組織ブロックは、保管してよい。
検査室処理の一部として、技法を用いて、検体及び他の組織実体が、タイムリーに処理されることや検査室内の間違った場所に置かれないこと等を保証し得る。用い得る1つの技法は、チェックポイント通知と称するものがあり、以下に述べる。チェックポイント通知には、1つ又は複数の各作業フロー処理ポイントに時刻チェックポイントを関連付ける段階を伴う。組織実体が、時刻チェックポイントまでに作業フロー処理ポイントに達しない場合、例えば、電子通知等の通知を生成して、技術者、検査室管理者、及び/又は他の職員に警告し得る。ワークステーション到着時にラベルをスキャンすることによって取得し得る上述の追跡情報を用いると、ワークステーションに関連する作業フロー処理ポイント用のチェックポイント通知を解除又は停止し得る。例えば、各作業者は、検体が処理のために肉眼検査ワークステーションに到達した時、検体をスキャンするように要求され得る。IPSは、検体の一連の保護管理に関連した追跡情報を受信し得る。チェックポイント通知時間は、IPSに記憶され、また、検体の統一検体識別子に関連付け得る。追跡情報に含まれる現在日付/時刻情報を受領すると、肉眼検査に関するあらゆるチェックポイント通知メッセージを送信不可にし得る。
他の例として、カセットが肉眼検査の出力として午前8時に生成された場合、一実施形態において特定し得ることは、カセットが、4時間以内、即ち同日の正午12時までに包埋処理を完了すべきであるということである。カセットのラベルは、包埋完了時にスキャンし得る。例えば、カセットのラベルが午前11:30にスキャンされた場合、対応するチェックポイント通知をIPSから除去し得る。一方、カセットのスキャンが正午12時までに包埋段階で行われない場合、警告を生成して通知を行う。
IPS又はそこに常駐するデータ管理構成要素の初期化時、検査室において追跡される組織実体に関連する一組の既定チェックポイント通知を定義し得る。例えば、一組の既定チェックポイント通知は、検査室で実施される作業フロー処理について検体毎に定義し得る。検査室で受け取ったサンプルに検査室での登録及び受理が実施されると、既定のチェックポイント通知を検体に関連付け得る。既定チェックポイント通知は、作業フローポイント間の既定の相対的時間期間を定義し得る。検体に関連する特定の作業フロー処理ポイントの処理が指定された時間までに完了しない場合、通知を生成し得る。この通知は、例えば、然るべき検査室職員に送られる電子メールメッセージ又はページや、その出来事をシステムファイルにログ記録する書き込み情報等であってよい。一実施形態では、既定チェックポイント通知を無効にし得る。無効にすることで、特定の検査室実体用の既定チェックポイント通知を調整し得る。このことについては、以下の段落で更に詳述する。
チェックポイント通知は、組織実体及びそれから派生した任意のサンプル(例えば、検体、ブロック、特定のブロックからの/同じ症例からのスライド等)について、任意の2つ以上の作業フロー処理ポイント間で定義し得る。また、時間期間は、特定ポイントへの到着又はそこでの処理の完了に対して決定し得る。
次に、図44において、チェックポイント通知を示す例3000を示す。本例では、システムは、異なる作業フロー処理ポイント3002、3004、3006、3008、3010、及び3012への組織実体の到着を基準としてチェックポイント通知を生成するように構成し得る。一実施形態では、説明のために、3000に含まれるものとは異なる組の処理ポイント用のチェックポイント通知を定義し得る。要素3020は、既定チェックポイント通知のベクトルを定義して、検査室での受理及び登録のための3002の最初の時間を基準として時間期間を示す。受理及び登録3002の一部として、チェックポイント通知を生成して、IPSに含む。通知を生成し得る後続の時刻は、検体が受理及び登録3002において受け取られ処理される時を基準として示す。3002において処理を実施する作業者は、既定チェックポイント通知が生成され、IPSに含まれつつあることをプロンプトで知り得る。既定チェックポイント通知が、作業者に示され、作業者には、チェックポイント通知時間を修正したり、チェックポイント通知の内の1つ又は複数を削除又は使用不可にしたりする等の機会を与え得る。一例として、ベクトル3030には、受理及び登録3002に関連付けた最初の時間である午前8時を基準として、3020の既定時間に基づき自動的に生成し得るチェックポイント通知時間が含まれる。本例において、3030の場合、検体1が午前9時(午前8時の受理時間を基準にして+1時間)までに肉眼検査に到着しない場合、検体用の第1通知メッセージを生成する。9時より前に肉眼検査で検体ラベルをスキャンして、追跡情報を記録した結果として、肉眼検査用のチェックポイント通知が削除される。検体1から生成した各カセットは、午前10:30までに組織処理に到着すると予想される。午前10:30前に組織処理でカセットラベルをスキャンして追跡情報を記録した結果として、カセット毎の組織処理用のチェックポイント通知を削除する。同様に、作業フロー処理ポイント3008、3010、及び3012に関連するチェックポイント通知時間が生成され、関連するチェックポイント通知は、作業フロー処理ポイントのワークステーションにおいて該当する組織実体ラベルをスキャンすると削除される。
要素3040は、午前8:30に受理及び肉眼検査に到着した症例2の他の検体1用のチェックポイント通知時間を定義する。3040の入力は、最初の時間の午前8:30を基準として3020の既定時間間隔に基づく。この例では、受理及び登録の作業者は、3040の既定チェックポイント通知時間のカスタマイズ又は更新を選択する。本例では、切断3010及び染色3012のチェックポイント通知時間を修正することによって、更新時刻を3046に示す。上記内容は、例えば、症例1(3030)及び症例2(3040)の全スライドが午後4時までに染色に到着し、その日の終わりまでに確実に完了する必要がある場合に実施し得る。
既定チェックポイント通知時間は、各検体又はそこから生じたサンプルが特定の処理ポイントにある時への相対的時間に基づき、個々の検体間隔を規定する。例えば、3000を参照して、3020の既定チェックポイント通知を用いると、検体から生成された全てのスライドは、検体の受理及び登録が実施された時から8時間以内に染色に到着すると予想される。また、例3000は、1つ又は複数の作業フロー処理ポイントについてカスタマイズ可能なチェックポイント通知を示す。また、一実施形態では、全症例、選択した検体、又はいずれか他のレベルの肌理の細かさに対する1つ又は複数のチェックポイント通知を使用可/不可にする段階を備え得る。上記例は、受理及び登録時に設定されるチェックポイント通知時間を示すが、検査室管理者又は他の適切な作業者が、IPSに接続された任意のワークステーションから作業フローの任意のポイントのチェックポイント通知時間を読み出し及び/又は修正することが可能であることに留意されたい。更に、既定チェックポイント通知は、初期的に構成してよい。後では、一実施形態には、既定チェックポイント通知を再構成する機能、例えば、処理ポイント間の異なる相対的時間間隔を定義する機能、作業フロー処理ポイントの時間間隔を追加又は除去する等の機能を含み得る。
上記例では、チェックポイント通知時間は、各検体及びそれから派生した全サンプルに結びつけて特徴付けることができる。チェックポイント通知時間は、本例では、登録及び受理の一部として決定され、これにより、後続の全チェックポイント通知時間は、最初の時間、例えば、第1の検査室作業フローポイントにおける受理及び登録のために検体が処理される時間を基準にして決められる。
既定の相対的なチェックポイント通知が、上述したように3020で個々の検体毎に定義されることに対する他の選択肢又は追加として、一実施形態では、更に、絶対的チェックポイント通知時間と称し得る既定チェックポイント通知を定義し得る。図45の例3100は、特定の時刻等の絶対的な時刻を含む既定チェックポイント通知3120を定義することによって、このことを示す。3020において、時刻午後3時を指定して、組織検体が前の作業フローポイントにおいていつ受理又は処理されたかにかかわらず、同じ日に受理した全てのブロック/カセットが、午後3時までに包埋にあると予想されることを示す。本例において、3130では、症例1が、午前8時の受理及び登録によって処理された単一の検体を有することを示す。要素3140では、症例2が、午前10:30の受理及び登録によって処理された単一の検体を有することを示す。症例1及び2の双方の検体は、午後3時までに切断に到着すると予想され、そうでない場合、チェックポイント通知メッセージが、それに応じて生成される。
チェックポイント通知メッセージには、症例、検体又は他の組織実体、通知メッセージが生成された作業フロー処理ポイント(例えば、肉眼検査、包埋、染色等)、期限切れチェックポイント通知時間の予想時間等に関する情報を含み得る。
一実施形態では、任意の1つ又は複数の異なる技法を用いて、症例に関連付けた「緊急」又は優先検査指示を示し得ることに留意されたい。例えば、優先指示に関連する検体、カセット、及びスライドは、ラベル上に色又は他の視覚的指標によって表示し得る。作業対象物は、個々のワークステーションに送り、各ワークステーションで、それ相応に優先順位を付ける。チェックポイント通知は、緊急又は優先指示での用途のために使用可能にしなくてもよい。
本明細書に述べたチェックポイント通知に基づき、検査室では、組織実体がどこで最後に処理されたか特定して、検体、カセット、スライド等の追跡を可能にし得る。このことは、スライド及び検査室で処理された他の実体が、誤った場所に置かれないことを保証するために及び/又は特定の時間までに完了するために有用であり得る。チェックポイント通知を用いると、組織実体が最後に作業フロー処理に関してどこにあったかについてのタイムリーな通知及び判断が備えられる。更に、作業フロー処理ポイントにおける一連の保護管理の追跡情報を得る段階を用いて、その組織実体を誰が最後に処理したか、誤配置の場合、どこに組織実体を配置し得るか等を判断し得る。作業フロー処理のチェックポイント通知及び追跡情報は、作業フロー処理のボトルネックの識別に関して用いてもよい。
チェックポイント通知通信に関する情報は、IPSのデータ記憶装置に記憶し得る。そのような情報には、連絡すべき人、通信形態(例えば、電子メール、ポケベル)、通信内容を送るべき場所(例えば、電子メールアドレス、電話又はポケベル番号)、その人への連絡の際の特定の条件(例えば、特定の作業フロー処理ポイント、時刻、週末、平日)等を示し得る。
症例のスライド及びブロック保管に関連して、一実施形態では、特定の保管用収納場所(例えば、保管器具の引き出し)にスライド及びブロックを保存し得ることに留意されたい。保管用収納場所は、データベースに記録し、後の時点で必要になった場合、保管庫からスライド又はブロックを特定するために用い得る。更に、スライド又はブロックを訂正するには、ユーザは、ワークステーションへログインし、除去対象のスライド又はブロックをスキャンする必要がある。保管庫からスライド又はブロックを検索する際にログインしたユーザは、一連の保護管理情報の一部として、IPSデータベースに記録され得る。
尚、特定の検体タイプ用の技法について記述し説明したが、本明細書の技法は、外科生検試料、組織、及びA/P検査室によって処理される他の検体に用いたり、また、他の検査室によって処理される他の検体、例えば、臨床化学検査室における血液サンプルや細胞学検査室において調製される細胞学サンプルに用い得る。
尚、処理を実施するための本明細書に述べた機能は、実施形態では、ハードウェア及び/又はソフトウェアで実現し得る。更に、本明細書に述べた例及び例示の実施形態は、機能の特定の構成が特定のソフトウェア及び/又はハードウェア構成要素によって実施され得るように述べたが、当業者に公知なように、他の異体及び構成が可能であることに留意されたい。
本発明について例示の実施形態を参照して説明したが、様々な変更、削除及び/又は追加を行うことができ、また、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく等価物をその要素と置き換え得ることを当業者は理解されるであろう。更に、多くの修正を行って、特定の状態又は材料を本発明の教示内容に、その範囲から逸脱することなく、適応させ得る。従って、本発明は、本発明を実行するために考えられる最良の形態として開示された特定の実施形態に限定するものではなく、本発明は、添付の請求項の範囲内にある全ての実施形態を含もうとするものである。更に、具体的に述べない限り、第1、第2等の用語の使用は、いずれも何らかの順序又は重要性を示すものではなく、むしろ、第1、第2等の用語は、1つの要素を他の要素と区別するために用いる。