図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。
ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、後述する演出を制御する手段によって遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
始動口62は、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62の拡開機構(いわゆる電動チューリップ)を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動口62の拡開機構が拡開されたとき、始動口62の開口幅が拡がって入球容易性が向上する。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を拡開させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66は、例えばアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の設置個数としては、一つだけ設置する構成に限らず、複数個の大入賞口66を設置してそれぞれを遊技状態等に応じて使い分ける構成としてもよい。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する。以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という。
特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示装置である。特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄である。特別図柄192の変動表示が停止したときの図柄態様が、あらかじめ当たりと定められた図柄であった場合に、その停止図柄が表示されたタイミングが大当たり発生タイミングとなる。本実施例における特別図柄192は、当たりの図柄態様である「0」〜「9」のいずれかの数字、または外れの図柄態様である「−」の記号で表される。これらの数字または記号が高速で次々に入れ替わって特別図柄表示装置61へ表示されることにより、特別図柄192の図柄変動表示が実現される。なお、特別図柄192の態様は上記の数字または記号に限られず、英字などの文字であってもよいし、7セグメントLEDを構成する各セグメントの組合せで形成される無意味な記号であってもよい。また、7セグメントLEDは、「8の字」を形成する7個のセグメントおよび「ドット」を表す1個のセグメントからなる8個のセグメントで構成されてもよい。この場合、8個のセグメントを組み合わせることにより8ビット分の数値を表現できる。
演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイで構成される表示装置である。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。本実施例においては、「0」〜「9」の数字で構成される図柄を3列に表示して変動させ、最終的に停止表示される3個の図柄組合せによって当たりまたは外れを示す。装飾図柄190を構成する複数の図柄のそれぞれは、色彩や模様の装飾が施された数字、文字、または記号で構成されるが、これら数字、文字、記号に対して全図柄に共通する絵柄または図柄ごとに異なる絵柄を加えて一体化させる形で構成されてもよい。この絵柄は、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連するモチーフが描かれた絵柄であり、例えば人物や動物のキャラクターが描かれた絵柄であってもよい。装飾図柄190は、絵柄が一体的に含まれる図柄が変動表示される場合と、絵柄が分離して数字、文字、記号の部分のみが変動表示される場合とが、演出の展開に沿って切り替えられる構成であってもよい。装飾図柄190の変動表示の背景には、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連する演出的効果を有する動画像が図柄変動と連動して表示される。
演出表示装置60は、本実施例では液晶ディスプレイなどの高精細なドットマトリクス型表示装置で構成されるが、ドラム回転式などの機械的表示手段やLEDマトリクス式などの表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させる。ただし、特別図柄自体に演出的な役割をもたせることで装飾図柄を用いずに表現する手法を採用する場合には、特別図柄を7セグメントLEDではなく液晶ディスプレイに表示させる構成としてもよい。
作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は始動口62の拡開機構を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。したがって、開放抽選は「普通図柄抽選」とも呼ぶ。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が停止すると、通常、50%から80%程度の確率で始動口62が所定時間拡開する。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、特別図柄表示装置61および演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。演出表示装置60の下方には、抽選保留ランプ20が設けられ、その対称的な位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に作動保留ランプ22が設けられている。
抽選保留ランプ20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。当否抽選の保留数が3個になると、遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が通常より短縮される(以下、「短縮変動」ともいう)。同様に、当否抽選の保留数が4個になると、さらに遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が上記3個の場合よりもさらに短縮される(以下、「超短縮変動」ともいう)。
作動保留ランプ22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。
演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作する操作入力手段であり、その操作入力の内容に応じて演出内容等に変化が加えられる。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。本実施例における操作ボタン82は一つのボタンで構成されるが、複数のボタンや十字キーなどの方向指示ボタンで構成されてもよい。
センター飾り64の演出表示装置60との境界部には、第1センサ161、第2センサ162、第3センサ163(以下、これらのセンサを総称して「入力検出センサ」ともいう)が設けられている。すなわち、各入力検出センサが、演出表示装置60の表示画面に重なるように配置されている。この入力検出センサは、後述するセンサ予告演出において遊技者の操作入力を検出する非接触センサからなる。本実施例では反射型の光センサにより構成されているが、磁気センサなど検出対象を非接触にて検出可能なセンサであれば他の形式のセンサであってもよい。第1センサ161は、演出表示装置60の左方位置に配設され、第2センサ162および第3センサ163は、演出表示装置60の右方位置に配設されている。図示の例では、第2センサ162が第1センサ161よりやや高い位置に設けられ、第3センサ163が第1センサ161および第2センサ162の双方よりも低い位置に設けられている。この入力検出センサの具体的構成およびそれによるセンサ予告演出の詳細については後述する。
以上のような構成においてなされる遊技の方法および制御の流れを概説する。遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動表示時間の経過後に停止される。特別図柄192は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動パターンにしたがって変動表示される。装飾図柄190は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動演出パターンにしたがって変動表示される。変動パターンおよび変動演出パターンはそれぞれ複数種ずつ用意され、それぞれが長短様々な変動時間をもつ。変動パターンにしたがって特別図柄192が変動表示される間、同じ変動時間をもつ変動演出パターンにしたがって装飾図柄190が変動表示される。変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄192および装飾図柄190の変動が停止される。
装飾図柄190の変動表示としては、まず変動開始とともにスロットマシンのリール回転のように3列とも図柄を変動させ、変動終了タイミングへ近づいたときに一列ずつ停止させることで最終的な停止態様としての図柄組合せを表示する。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当たりを示す停止態様となった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。大当たりを示す装飾図柄190の停止態様は、例えば3つの図柄の種類が一致する組合せの態様である。
変動演出パターンには、通常の外れの図柄組合せを表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなる状態であるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当たりの図柄組合せを表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。例えば、背景の切り替えなど演出上の発展を伴わないノーマルリーチ、特定のキャラクタによるストーリーを演出するなどして演出上の発展を含んで大当たりへの信頼性を高めるスーパーリーチ等のリーチ変動パターンが含まれる。各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。
特別遊技は、開始デモ画面と呼ばれる演出画面の表示によって開始される。開始デモ画面の表示の後に大入賞口66が開放され、その開放が約30秒間続いた後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開放から閉鎖までが、基本的には単位遊技と呼ばれるが、1回の単位遊技の間に複数回の短時間の開放を繰り返す場合があってもよい。大入賞口66の開閉ないし単位遊技が所定回数、例えば15回繰り返された後、終了デモ画面と呼ばれる演出画面の表示によって特別遊技が終了される。
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである変動時間短縮遊技(以下、適宜「時短」という)が開始される。時短においては、特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が通常状態よりも短縮される。特別図柄192および装飾図柄190の変動時間は、所定の変動回数、例えば100回の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻されるが、その変動回数に達する前に大当たりが発生すれば時短も終了する。時短において特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が短縮されるため、通常の変動時間のまま図柄変動がなされる通常状態の場合と比べて、大当たりが発生するまでの時間を短縮することができ、大当たりの獲得容易性を相対的に高めることができる。時短中は、さらに普通図柄の変動時間を通常状態より短縮するとともに、始動口62の拡開機構の拡開時間を通常状態よりも長くする、いわゆる開放延長を実行する。このように、時短中は一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、始動口62への入球容易性も増すため、始動口62への入球数が増加する可能性も高い。したがって、時短中は始動口62への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさずに遊技し続けることが可能となる。
特別遊技が発生した場合であってそのときの当たり停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)がさらに開始される。確変中は、通常の確率状態より当たりの確率が高い当否抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生し得る。本実施例においては、確変が開始されるときに同時に時短も開始される。ただし、時短の開始を伴わない確変が実行される場合があってもよい。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。
電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。セット基板39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。
ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140、第1センサ161、第2センサ162、第3センサ163のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。なお、本実施例において、演出決定手段132が「操作入力判定手段」として機能し、演出決定手段132および演出表示制御手段134が「遊技制御手段」として機能する。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
当否抽選手段112は、始動口62への遊技球の入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するために乱数の値を当否抽選値として取得する。例えば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、当たりまたは外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当たりの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当たりであるか否かを判定する。当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄の形で変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。また、図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を抽選により決定する。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。図柄決定手段114は、特別図柄や普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
図柄決定手段114は、特別図柄を決定するための図柄決定抽選値を取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。図柄決定手段114は、決定した停止図柄を示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。
図柄決定手段114は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための抽選乱数を取得し、その抽選乱数に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。普通図柄の停止図柄が特定の図柄であった場合、開閉制御手段124が始動口62の普通電動役物を所定時間拡開する。
変動パターン決定手段115は、当否抽選の結果に応じて複数種の変動パターンからいずれかの変動パターンを選択する。変動パターン決定手段115は、変動パターンを決定するために参照すべきパターン選択テーブルを保持する。図柄決定手段114は、決定した変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。変動パターン決定手段115は、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつとともに、その変動時間にて複数の図柄で構成される装飾図柄による図柄変動も実行されることを前提として規定される。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄および装飾図柄の変動が停止される。
保留制御手段116は、当否抽選手段112により取得された当否抽選値を保留球として保持する。当否抽選値は、その保留数が所定の上限に達するまで蓄積される。保留数の上限は4である。
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、図柄決定手段114により決定された変動パターンにしたがって特別図柄の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、特別図柄の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出決定手段132および演出表示制御手段134へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄の変動を普通図柄表示装置59に表示させる。
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選結果が当たりであった場合に、特別遊技の実行処理を制御する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。単位遊技は例えば15回を上限として繰り返され、1回の単位遊技において大入賞口66を約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の継続回数が上限回数に達していなければ、現在の単位遊技の終了後に次の単位遊技を開始させる。単位遊技の上限回数を消化した場合には、特別遊技を終了させる。
特定遊技実行手段122は、遊技状態を通常状態から特定遊技状態へ移行させる制御と、特定遊技状態から通常状態へ戻す制御を実行する。本実施例における特定遊技には、当否抽選の当選確率を通常確率の状態から高確率の状態へ切り替える確変と、図柄変動時間を通常時間より短時間へ切り替える時短とがある。
特定遊技実行手段122は、当否抽選値が確変状態へ移行すべき値であった場合に、特別遊技後の遊技状態を確変状態へ移行させる。確変状態は原則として次の大当たりが発生するまで続行され、その間は当否抽選手段112による当たり判定の確率が高い値のまま維持される。また、特定遊技実行手段122は、当否抽選値の如何に関わらず、特別遊技後に遊技状態を時短の状態へ移行させる。
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。
パターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、上述した複数の変動演出パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当たりへの期待度の高さを予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。
演出決定手段132は、当否抽選手段112による当否抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン(変動時間値)に応じて変動演出パターンを決定する。演出決定手段132は、変動演出パターンを決定するために参照すべきパターンテーブルを保持し、特別図柄の変動時間と等しい表示時間を有する演出パターンを選択する。演出決定手段132は、決定した変動演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。
図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄の組合せとその配置を、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段131は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる予告演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当たり態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。本実施例では、特定のコメント文字列を画面に表示させるコメント予告演出、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当たりへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出、可動役物140を短時間だけ動作させる可動役物予告演出、入力検出センサの検出状態によりその後の演出内容を切り替えるセンサ予告演出が含まれる。センサ予告は、特定の画面表示を伴う演出である。これらの予告演出パターンには、装飾図柄190の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄190が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
演出決定手段132は、当否抽選の結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定するとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否か、および予告演出の種類を決定するために参照すべき予告決定テーブルを保持する。予告決定テーブルは、当否抽選の結果によって異なるテーブルが参照されるように設定され、当否抽選が当たりの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否抽選の結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当たりへの期待度(以下、適宜「当たり期待度」ともいう)の高さを示唆することができる。演出決定手段132は、決定した予告演出パターンの情報を演出表示制御手段134および役物制御手段136へ送る。
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動演出パターンデータにしたがって演出表示装置60へ装飾図柄を含む演出画像を変動表示させる。演出表示制御手段134は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段132により決定された場合、選択された予告演出パターンが画像表示を伴う予告演出であればその画像を予告演出パターンにしたがって図柄変動の演出に付加されるように演出表示装置60へ表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。また、選択された予告演出パターンに音声の出力が定められている場合は、演出表示制御手段134は予告演出パターンに定められた音声を出力する。
役物制御手段136は、演出決定手段132から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。予告演出パターンとして可動役物140を動作させる可動役物予告演出が選択された場合、役物制御手段136は、予告演出パターンに定められた通りに可動役物140を動作させる。
次に、本実施例の主要部をなす予告演出の具体的内容について説明する。
図4は、通常遊技中に演出表示装置に表示される画面例を表す図である。同図(a)および(b)は、その演出過程の例を表している。
図4(a)に示すように、演出表示装置60の表示領域194には、その略中央の領域に装飾図柄190が変動表示される他、その装飾図柄190の変動表示に重ねられるように、各種予告演出等の画像が表示される。予告演出として画面中央にキャラクタ等が大きく表示される場合、同図(b)に示すように、装飾図柄190が縮小されて画面上部に目立たない態様で表示される。同図には、センサ予告演出における遊技者の介入の結果、バトルモードへ移行した様子が例示されている。
図5および図6は、予告演出としてセンサ予告が選択された場合に演出表示装置に表示される画面例、およびその画面にしたがった遊技者の操作例を表す図である。各図の(a)および(b)は、その演出過程の例を表している。
本実施例では、遊技者介入型の予告演出としてセンサ予告が設けられており、その予告演出の実行に際して遊技者による操作入力を要求する入力画面が表示される。図5(a)に示すように、第1センサ161の検出領域となる第1目標領域、第2センサ162の検出領域となる第2目標領域、第3センサ163の検出領域となる第3目標領域がそれぞれ設定されており、当否抽選の結果に応じてそのいずれかの目標領域に手をかざすよう促される。各入力検出センサは、検出対象(遊技者の手など)が目標領域に設定距離以内(例えば20mm以内)に近接するとこれを検知し、遊技者の操作入力がなされたことを示す特定信号を出力する。なお、この設定距離は各入力検出センサの感度に応じて決まることになる。本実施例では、当たり期待度の高いものから順に第3目標領域、第2目標領域、第1目標領域となるよう設定され、遊技者による各目標領域の識別が容易となるよう第1目標領域には青色、第2目標領域には黄色、第3目標領域には赤色が付されている。また、図示の例では、画面中央に操作入力を促す「センサに手をかざせ!」という文字列が表示されるとともに、遊技者が手をかざすべき目標領域に入力要求オブジェクト165としての手のマークが表示されている。遊技者は、この入力要求オブジェクト165が位置する目標領域に手をかざすことにより遊技に介入し、演出上のメリットを享受できる。
同図においては第2センサ162の検出領域である第2目標領域への操作入力が要求されているが、遊技者がこれにしたがった操作入力を行う場合、設計上、同図(a)および(b)に示すように片手hを動作させるものと想定される。なお、ここでいう「設計上」とは、必ずしも事実と一致することを要するものではなく、平均的な遊技者が入力要求にしたがって動作した場合に、入力検出センサの位置関係等から想定されることを意味する。本実施例では上述のように、第2目標領域を平均的な遊技者の肩の高さ位置よりやや上方に設定したため、その第2目標領域に向けて左手を動かした場合、それよりやや低い高さにある第1目標領域をかすめるように通過すると想定している。右手については発射ハンドル17を操作していると考えられるため、ここでは対象外としている。
同様に、図6においては第3センサ163の検出領域である第3目標領域への操作入力が要求されているが、遊技者がこれにしたがった操作入力を行う場合、設計上、同図(a)および(b)に示すように片手hを動作させるものと想定される。すなわち、遊技者が第3目標領域に向けて左手を動かした場合、その指先がそれよりやや上方にある第2目標領域をかすめるように通過すると想定している。なお、第1センサ161の検出領域である第1目標領域への操作入力が要求された場合については図示を省略するが、設計上、遊技者は他の目標領域を経由することなく、その目標領域に手をかざすことができるものと想定している。
このようにして遊技者がその入力要求に応えて所定の有効期間に指定された目標領域に手をかざした場合、その目標領域を検出領域とする入力検出センサにより遊技者の操作入力を検出したことを示す特定信号が出力される。そして、比較的希少性の高い複数の特定予告演出のうち、該当するセンサおよび当否抽選の結果に応じたいずれかの画像に切り替えられる。遊技者が有効期間に操作を行わなかった場合、そのペナルティとして特定予告演出の表示は行われず、通常の図柄変動表示のみが表示される。
ところで上述のように、図5および図6に示したいずれの場合にも、遊技者が操作対象となる目標領域に手をかざそうとする過程において他の目標領域にさしかかる可能性がある。すなわち、第2目標領域が操作対象となる場合には、遊技者の手が第1目標領域を通過することで第1センサ161が反応してしまう可能性があり、第3目標領域が操作対象となる場合には、遊技者の手が第2目標領域をかすめることで第2センサ162が反応してしまう可能性がある。そうなると、仮にその途中過程で反応した意図しないセンサ出力についても有効とした場合、本来表示されるべき演出への切り替えが行われなくなる可能性がある。このことは、演出内容と当たり期待度との不整合をもたらすことにもなる。
そこで本実施例では、遊技者が第2目標領域に片手を近接させる場合に第1センサ161が反応しうる反応時間を超える期間を判定基準期間として設定し、その判定基準期間を超えてもなお第1センサ161から特定信号が入力される場合に第1目標領域への操作入力を判定する。つまり、第1センサ161に基づく操作入力判定を所定期間無効とする不感帯を設けている。同様に、遊技者が第3目標領域に片手を近接させる場合に第2センサ162が反応しうる反応時間を超える期間を判定基準期間として設定し、その判定基準期間を超えてもなお第2センサ162から特定信号が入力される場合に第2目標領域への操作入力を判定する。つまり、第2センサ162に基づく操作入力判定を所定期間無効とする不感帯を設けている。なお、本実施例では遊技者が第1目標領域に片手を近接させる場合、および第2目標領域に片手を近接させる場合のいずれにおいても第3目標領域を経由することを想定していないため、第3センサ163に基づく操作入力判定については不感帯を特に設けていない。
図7は、各入力検出センサの検出情報に基づく操作入力判定のタイミングを例示するタイミングチャートである。同図(a)、(b)は第1センサ161の検出情報に基づく操作入力判定タイミングを示し、同図(c)は第2センサ162の検出情報に基づく操作入力判定タイミングを示し、同図(d)は第3センサ163の検出情報に基づく操作入力判定タイミングを示している。各図の上段には各入力検出センサが出力する特定信号が示され、下段には操作入力があったと判定されたときに設定される操作フラグの状態が示されている。各図の横軸は時間の経過を表している。
同図(a)に示す例では、第1センサ161が遊技者の手を検出したことを示す特定信号(第1特定信号)を出力している。演出決定手段132は、時刻t1においてその第1特定信号の入力があっても、上述のように設定された判定基準期間Δt1を経過するまでは操作入力を留保する。そして、時刻t2にて判定基準期間Δt1が経過してもなお第1特定信号が入力されているため、その時点で操作入力があったことを確定的に示す第1操作フラグをオンにしている。
同図(b)に示す例では、第1センサ161が遊技者の手を検出したことを示す特定信号(第1特定信号)を出力してはいるが、判定基準期間Δt1が経過する前の時刻t12に第1特定信号の入力がなくなったため、第1操作フラグはオフのままとなっている。同図は、遊技者が第1目標領域ではなく、他の目標領域(第2目標領域など)に手をかざす動作をしたような場合を例示するものである。
同図(c)に示す例では、第2センサ162が遊技者の手を検出したことを示す特定信号(第2特定信号)を出力している。演出決定手段132は、時刻t1においてその第2特定信号の入力があっても、上述のように設定された判定基準期間Δt2を経過するまでは操作入力を留保する。そして、時刻t22にて判定基準期間Δt2が経過してもなお第2特定信号が入力されているため、その時点で操作入力があったことを確定的に示す第2操作フラグをオンにしている。なお、この判定基準期間Δt2は、上記判定基準期間Δt1よりも短く設定されている。これは、本実施例における各入力検出センサの位置関係から、遊技者が第3目標領域へ向けて片手を動かした場合に第2目標領域を通過する時間が、第2目標領域へ向けて片手を動かした場合に第1目標領域を通過する時間よりも短いと想定しているためである。例えば、Δt1を30ms、Δt2を20ms程度に設定してもよい。なお、変形例においては、判定基準期間Δt2を判定基準期間Δt1と同じ期間に設定してもよいが、本実施例のように各判定基準期間を必要最小限に留めるようにすれば、遊技制御の応答性を高く保つことができる。なお、図示を省略するが、この場合も判定基準期間Δt2が経過する前に第2特定信号の入力がなくなった場合には、第2操作フラグはオフのままとなる。
同図(d)に示す例では、第3センサ163が遊技者の手を検出したことを示す特定信号(第3特定信号)を出力している。演出決定手段132は、時刻t1においてその第3特定信号の入力があった場合、その入力時点をもって操作入力を判定し、操作入力があったことを確定的に示す第3操作フラグをオンにしている。上述のように、第3センサ163に基づく操作入力判定については不感帯を特に設けていないためである。なお、変形例においては、第1センサ161、第2センサ162、第3センサ163のいずれにも同じ判定基準期間を設定してもよいが、本実施例のように各判定基準期間を必要最小限に留めるようにすれば、遊技制御の応答性を高く保つことができる。あるいは、第3センサ163についてもノイズ等を除去するために短期間の判定基準期間(例えば10msなど)を設定してもよい。
図8は、予告演出パターンを決定する際に用いられる予告決定テーブルのデータ構造図である。(a)は、当否抽選の結果が当たりであった場合に参照されるテーブルであり、(b)は、当否抽選の結果が外れであった場合に参照されるテーブルである。
演出決定手段132は、図示の予告決定テーブルを用いて通常の予告演出を実行するか否か、および予告演出の種類を決定する。すなわち、演出決定手段132は、予告抽選値として0〜255の範囲で乱数値を取得する。当否抽選が当たりの場合、予告抽選値が0〜20の場合は「コメント予告」が選択され、予告抽選値が21〜60の場合は「群予告」が選択され、予告抽選値が61〜110の場合は「ステップアップ予告」が選択され、予告抽選値が111〜170の場合は「可動役物予告」が選択され、予告抽選値が171〜255の場合は「センサ予告」が選択される。このように、当否抽選結果が当たりの場合は必ずいずれかの種類が選択され、その選択をもって予告演出を実行する旨が決定される。
一方、当否抽選が外れの場合、予告抽選値が0〜200の場合は「予告なし」が選択され、予告抽選値が201〜230の場合は「コメント予告」が選択され、予告抽選値が231〜240の場合は「群予告」が選択され、予告抽選値が241〜245の場合は「ステップアップ予告」が選択され、予告抽選値が246〜250の場合は「可動役物予告」が選択され、予告抽選値が251〜255の場合は「センサ予告」が選択される。このように、当否抽選結果が外れの場合は、予告抽選値が0〜200のときに予告演出が実行されず、予告抽選値が201〜255のときに予告演出が実行される旨が決定される。
すなわち、当否抽選結果が外れのときは55/256の確率で予告演出が実行される。逆に、当否抽選結果が当たりのときは256/256、すなわち100%の確率で予告演出が実行されるので、予告演出が画面に表示されれば大当たりの蓋然性は比較的高く、大当たりが発生することを示唆することができる。したがって、予告演出が表示されると、遊技者は大当たりに対する期待を抱くこととなる。また、当否抽選結果が当たりの場合は選択確率の高いものからセンサ予告、可動役物予告、ステップアップ予告、群予告、コメント予告の順となっており、外れの場合はその逆となっている。つまり、本実施例ではセンサ予告演出が表示された場合に当たり期待度が最も高くなり、遊技者の期待感が最高潮に達するようになる。
図9は、センサ予告が決定された場合に用いられる演出パターン決定テーブルのデータ構造図である。(a)は、当否抽選の結果が当たりであった場合に参照されるテーブルであり、(b)は、当否抽選の結果が外れであった場合に参照されるテーブルである。
演出決定手段132は、センサ予告の実行を決定した場合、さらに図示の演出パターン決定テーブルを用いて目標領域として操作対象となるセンサ(対象センサ)と、遊技者の操作入力を前提に演出内容の切り替え先となる演出パターン(特殊演出モード)を決定する。当否抽選の結果が当たりである場合には、同図(a)に示すように、選択確率の高いものから順に第3センサ163、第2センサ162、第1センサ161となるよう設定されている。一方、当否抽選の結果が外れである場合には、同図(b)に示すように、選択確率の高いものから順に第1センサ161、第2センサ162、第3センサ163となるよう設定されている。すなわち、各入力検出センサの当たり期待度と実際の選択確率とが整合するように設定されている。このようにして対象センサが選択されると、該当センサへの操作入力を示す入力画面が表示される。操作入力があれば希少性の高い特殊演出モードに切り替えられ、操作入力がなければ通常の図柄変動演出が表示される。図示の例では、第1センサ161への入力要求にしたがって操作入力が行われた場合にミッションモードへ移行され、第2センサ162への入力要求にしたがって操作入力が行われた場合にバトルモードへ移行され、第3センサ163への入力要求にしたがって操作入力が行われた場合にパラダイスモードへ移行される。ここで、「ミッションモード」は、特定のキャラクタが指令を受け、その指令が達成されると当たりが確定するモードである。「バトルモード」は、複数の悪役キャラクタが登場し、そのキャラクタを全て倒せば当たりが確定するモードである。「パラダイスモード」は、複数の女性キャラクタが登場し、いずれかのキャラクタと楽園に辿り着けば当たりが確定するモードである。本実施例では当たり期待度の高いものから順に、パラダイスモード、バトルモード、ミッションモードとなるよう設定されている。したがって、演出がパラダイスモードへ突入すると当たり期待度が最高になり、遊技者の期待感は最高潮に達するようになる。
図10は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。
まず、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入賞した場合や、遊技球が作動口68を通過した場合の処理を実行する(S10)。そして、特別遊技中でなければ(S12のN)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行する(S14)。特別遊技中であれば(S12のY)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、S10からS16までの処理における各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
図11は、図10におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否抽選手段112が当否判定処理を実行する(S34)。その判定結果に応じてメイン表示制御手段118が変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段134へ送信し、これを受信した演出表示制御手段134が変動パターンデータにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S36)。S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS36までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34およびS36の処理がスキップされる。続いて、図柄変動表示が既に開始されていれば(S38のY)、図柄変動表示処理を実行し(S39)、予告演出の設定がなされているときは(S40のY)、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を実行する(S41)。予告演出の設定がなされていなければ(S40のN)、S41をスキップする。図柄変動表示が開始されていないときは(S38のN)、S39からS41をスキップする。
図12は、図11におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。 まず、当否抽選手段112が当否抽選値を読み出して(S42)、その当否抽選値に基づいて当否を判定する(S44)。図柄決定手段114は、当否判定結果に基づいて特別図柄の停止図柄を決定し(S46)、特別図柄の変動パターンを選択する(S48)。演出決定手段132は、当否判定結果および特別図柄に基づいて装飾図柄の停止図柄組合せを決定し(S50)、特別図柄の変動パターンに応じて装飾図柄の変動パターンを選択し(S52)、上述の予告抽選により予告演出を設定する(S54)。
図13は、図11におけるS41の予告演出実行処理を詳細に示すフローチャートである。
予告演出が開始済でなく(S100のN)、センサ予告が選択されていれば(S102のY)、センサ予告演出を実行するセンサ予告実行処理を開始する(S104)。一方、センサ予告ではなくコメント予告その他の予告演出が選択されていれば(S102のN)、その選択された予告演出の実行を開始する(S106)。既に予告演出が開始されていれば(S100のY)、S102からS106の処理をスキップする。
図14は、図13におけるS104のセンサ予告実行処理と並行して実行される操作情報記憶処理を示すフローチャートである。この操作情報記憶処理は、センサ予告演出における目標領域への入力要求に対して遊技者が操作入力を行ったか否かを判定するためのフラグの設定を行う処理であり、センサ予告演出が開始されると同演出中に所定周期にて繰り返し実行される。センサ予告演出が終了すると、本処理も終了する。
演出決定手段132は、割込により第1センサ161から第1特定信号が入力されると(S150のY)、その状態が判定基準期間Δt1が経過するまで継続されれば(S152のY)、第1操作フラグをオンにする(S154)。一方、第1センサ161ではなく第2センサ162から第2特定信号が入力されると(S150のN,S156のY)、その状態が判定基準期間Δt2が経過するまで継続されれば(S158のY)、第2操作フラグをオンにする(S160)。一方、第1センサ161および第2センサ162のいずれでもなく(S156のN)、第3センサ163から第3特定信号が入力されると(S162のY)、第3操作フラグをオンにする(S164)。いずれのセンサからも特定信号が入力されていなければ(S162のN)、本処理を一旦終了する。
図15は、図13におけるS104のセンサ予告実行処理を詳細に示すフローチャートである。
演出決定手段132は、センサ予告演出が開始されていなければ(S110のN)、これを開始する(S112)。そして、遊技者に操作入力を要求する対象センサを決定するとともに(S114)、その操作入力が適正になされた場合に移行させる演出モードを決定する(S116)。この対象センサの決定および演出モードの決定は、パターン抽選値を取得したうえで当否抽選の結果に応じて図9に示した演出パターン決定テーブルを参照することにより行う。演出表示制御手段134は、この決定に応じて図5及び図6等に示したような入力画面を表示させ、遊技者の操作入力を要求する(S118)。その入力要求とともに、RAM上の所定領域に設定した計時用カウンタをオンにする(S120)。
一方、センサ予告演出が開始済であれば(S110のY)、演出表示制御手段134は、計時用カウンタを参照して有効期間が経過したか否かを判定する。このとき、有効期間内において遊技者の操作入力があった場合、つまりいずれかの操作フラグがオンになっていた場合には(S122のN,S124のY)、演出表示制御手段134は、決定されている演出モードによる特殊演出に切り替え(S126)、その操作フラグをオフにする(S127)。操作入力がなかった場合には(S124のN)、S126の処理をスキップする。一方、有効期間が経過していれば(S122のY)、通常の図柄変動演出に切り替え(S128)、計時用カウンタをクリアして本処理を終了する(S130)。
図16は、図10におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
まず、大入賞口66が開放済でなければ(S70のN)、演出表示制御手段134が特別遊技の演出処理を開始し(S72)、開閉制御手段124が大入賞口66を開放する(S74)。大入賞口66が開放済であればS72およびS74をスキップする(S70のY)。大入賞口66が開放されてから所定の開放時間が経過した場合(S76のY)、または、開放時間が経過していないものの(S76のN)、大入賞口66へ遊技球が9球以上入球した場合(S78のY)、開閉制御手段124が大入賞口66を閉鎖させる(S80)。開放時間が経過しておらず(S76のN)、大入賞口66への入球数も9球以上に達していない場合は(S78のN)、S80以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
S80における大入賞口66の閉鎖後、最終ラウンド(単位遊技のラウンド数が15)に達していた場合(S82のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の演出処理を終了させ(S84)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させる(S86)。特定遊技実行手段122は、遊技状態を特定遊技へと移行させて時短の実行を開始させる(S88)。また、終了する特別遊技が確変移行を伴うものであれば、確変を実行させる。ラウンド数が最終ラウンドに達していなければ(S82のN)、ラウンド数に1を加算してS16のフローを終了する(S90)。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下に、その変形例について述べる。
(変形例1)
上記実施例においては入力検出センサの構成、数および配置の一例を示したが、変形例においては他の構成、数および配置を採用してもよい。例えば、複数の入力検出センサを演出表示装置60の表示画面に埋設し、各入力検出センサの位置に必要に応じて入力対応オブジェクトを表示させてもよい。例えば、センサ予告演出が開始されたときにのみ、対象センサの位置に入力対応オブジェクトを表示させるようにし、センサ予告演出以外の演出中には入力対応オブジェクトを非表示にしてもよい。このような構成とすることで、上記実施例よりも演出表示装置60の表示画面を広くとることができる。あるいは、入力検出センサを遊技領域52におけるセンター飾り64の外側領域に設け、遊技球の進路を左右する構造体として構成してもよい。さらに、遊技盤50の側部、つまり遊技領域52の外側に設置してもよい。このように入力検出センサを構造体として設ける場合にランプ等の照明と一体化し、その点灯または点滅表示等によりセンサ予告演出の開始と対象センサの位置を遊技者に容易に認識させるようにしてもよい。
(変形例2)
上記実施例では、本発明を従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に適用した例を示したが、第1種ぱちんこ遊技機の機能を備えた他の種別の遊技機に適用することもできる。例えば、第1種ぱちんこ遊技機を複数混在させたような複合機に適用することもできる。また、第1特別遊技として従来にいう第1種ぱちんこ遊技機における特別遊技に対応する遊技を、第2特別遊技として従来にいう第2種ぱちんこ遊技機における特別遊技に対応する遊技を提供する複合機に適用することもできる。