JP5569599B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関のバルブタイミングを変更する可変機構と、同バルブタイミングを最進角時期及び最遅角時期の間の機関始動が可能な時期に固定可能な固定機構とを備える可変動弁装置を備えた内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関に搭載される装置として、カム軸により開閉駆動される吸気バルブや排気バルブのバルブタイミングを機関運転状態に応じて変更する可変動弁装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1に記載されるものをも含め、従来一般の可変動弁装置についてその構成を図14に示す。図14(a)は、カバーを取り外した状態での可変動弁装置100の内部構造を示し、同図14(b)は、図14(a)のB−B線に沿った断面構造を示す。なお、同図14(a)ではカム軸200の回転方向を矢印RCにて示している。
同図14に示す可変動弁装置100は、同一の回転軸線周りに回転する二つの回転体として、クランク軸にチェーン(いずれも図示略)を介して駆動連結されたスプロケット101及びこれに固定されたハウジング102と、カム軸200に駆動連結されたベーンロータ103とを備えている。ハウジング102の内部に形成された複数の収容室105の内部には、ベーンロータ103に設けられた複数のベーン103Aがそれぞれ収容され、各収容室105はベーン103Aによって進角室106と遅角室107とに区画されている。そして、これら進角室106及び遅角室107に供給される油圧により収容室105でベーン103Aが変位し、ハウジング102とベーンロータ103とが相対回転することにより、クランク軸に対するカム軸200の相対回転位相、換言すればバルブタイミングが変更される。
また、この可変動弁装置100には、バルブタイミングを最遅角時期及び最進角時期の間の機関始動が可能な時期であって、特に冷間始動時において機関始動が可能な時期(以下、「特定時期」という)に固定可能なロック機構110が設けられている。図14(b)に示すように、このロック機構110は、スプロケット101に形成された凹部112と、この凹部112に対して近接離間可能な態様でベーン103Aに収容されたロックピン111とを備えている。さらに、ベーン103Aにおいてロックピン111を収容する空間には、ロックピン111を付勢するばね113が設けられるとともに、所定油圧にて作動油が供給される解除室114が形成されている。ロックピン111は、ばね113により凹部112に嵌入する方向に付勢される一方、解除室114に供給される作動油の圧力に基づく力により凹部112から抜脱する方向に付勢される。
そして、機関停止要求時等、バルブタイミングを特定時期にロックする条件が成立した場合には、解除室114から作動油が排出される。これに伴い解除室114の油圧が解除油圧よりも低下すると、ばね113の付勢力によりロックピン111が凹部112に嵌入し、ベーンロータ103とハウジング102との相対回転が機械的にロックされる。その結果、バルブタイミングが特定時期にロックされる。したがって、次回の機関始動時には、バルブタイミングが特定時期にある状態でクランキングが開始されるため、良好な機関始動性を確保することができる。
一方、バルブタイミングの変更要求時等、バルブタイミングを特定時期から解除する条件が成立した場合には、解除室114に作動油が供給される。これに伴い解除室114の油圧が解除油圧よりも上昇すると、この油圧に基づく付勢力によりロックピン111が凹部112から抜脱し、ベーンロータ103とハウジング102との相対回転のロックが解除される。そして、作動油が進角室106及び遅角室107に対して選択的に給排されることで、特定時期にロックされていたバルブタイミングが機関運転状態に適した時期に変更される。
特開2001−041012号公報
ところで、機関停止要求時においてバルブタイミングが特定時期にロックされなかった場合には、バルブタイミングが最遅角時期等、特定時期とは異なる時期となった状態で内燃機関の運転が停止する。このため、次回の機関始動時において、バルブタイミングが特定時期にない状態でクランキングが開始されることとなり、機関始動が不能となったり、機関始動に長期間を要したりする等、機関始動性の悪化を招くこととなる。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、クランキング開始時にバルブタイミングが特定時期にない場合であっても、それに起因する機関始動性の悪化を抑制することのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、クランク軸及びカム軸の一方と同期して回転する第1の回転体及びそれらの他方と同期して回転する第2の回転体を有し、それら両回転体を相対回転させることにより前記カム軸にて開閉駆動されるバルブのバルブタイミングを変更する可変機構と、前記両回転体の相対回転を規制することによりバルブタイミングを最遅角時期及び最進角時期の間の特定時期に固定可能な固定機構とを備える可変動弁装置を備えた内燃機関の制御装置において、燃料噴射をともなうクランキングが開始されてからの経過期間を始動後期間として、この始動後期間が第1の所定期間α以上かつ機関回転速度が所定値以下のとき、すなわち完爆状態に移行しない始動不良が発生しているとき、前記バルブタイミングが前記特定時期とは異なる時期にある状態に対応した始動不良時処理を実行し、前記始動不良時処理は、前記始動不良の発生が判定されたときの燃料噴射量よりも前記始動不良の発生が判定された後の前記燃料噴射量を減量する。
上記構成では、クランキング開始時にバルブタイミングが特定時期にない場合であっても、それに起因する機関始動性の悪化を抑制することができる。また、この発明では、クランキング開始時から内燃機関に燃料を供給するようにしているため、バルブタイミングが特定時期にあるときには、内燃機関を迅速に始動することができる。
上述したような始動不良時処理は、例えば燃料噴射量を前記始動不良の発生時よりも減量するといった態様にてこれを具現化することができる。このように燃料噴射量を始動不良の発生時よりも減量するようにすれば、機関始動が完了するまでに長期間を要して未燃燃料が点火プラグに付着し、これに起因する失火が頻発することで機関始動性の悪化がさらに助長されることを抑制することができる。なお、このように燃料噴射量を減量する際には、燃料噴射を実行しつつその燃料噴射量を減量する他、燃料噴射そのものを停止する、すなわち燃料噴射量が「0」となるようにこれを減量するようにしてもよい。
ここで、上述した可変機構は、作動油の油圧に基づき両回転体を相対回転させることによりバルブタイミングを変更するものであり、上述した固定機構は、前記第1の回転体に設けられたロックピンと、前記第2の回転体に設けられて前記ロックピンが嵌入する凹部とを有し、前記ロックピンを前記凹部に嵌入させることにより前記両回転体の相対回転を機械的にロックしてバルブタイミングを前記特定時期にロックする一方、前記凹部から抜脱することにより前記両回転体を相対回転可能な状態とするものであることが好ましい。
上記目的を達成するため、本発明では、クランク軸及びカム軸の一方と同期して回転する第1の回転体及びそれらの他方と同期して回転する第2の回転体を有し、それら両回転体を相対回転させることにより前記カム軸にて開閉駆動されるバルブのバルブタイミングを変更する可変機構と、前記両回転体の相対回転を規制することによりバルブタイミングを最遅角時期及び最進角時期の間の特定時期に固定可能な固定機構とを備える可変動弁装置を備えた内燃機関の制御装置において、前記可変機構は、作動油の油圧に基づき両回転体を相対回転させることによりバルブタイミングを変更するものであり、前記固定機構は、前記第1の回転体に設けられたロックピンと、前記第2の回転体に設けられて前記ロックピンが嵌入する凹部とを有し、前記ロックピンを前記凹部に嵌入させることにより前記両回転体の相対回転を機械的にロックしてバルブタイミングを前記特定時期にロックする一方、前記凹部から抜脱することにより前記両回転体を相対回転可能な状態とするものであり、燃料噴射をともなうクランキングが開始されてからの経過期間を始動後期間として、この始動後期間が第1の所定期間α以上かつ機関回転速度が所定値以下のとき、すなわち完爆状態に移行しない始動不良が発生しているとき、前記バルブタイミングが前記特定時期とは異なる時期にある状態に対応した始動不良時処理を実行し、前記始動不良時処理は、機関始動装置によりクランク軸を回転させる際のクランキング速度を前記始動不良の発生が判定されたときの前記クランキング速度よりも前記始動不良の発生が判定された後の前記クランキング速度を低下させる。
上記構成では、クランキング開始時にバルブタイミングが特定時期にない場合であっても、それに起因する機関始動性の悪化を抑制することができる。また、この発明では、クランキング開始時から内燃機関に燃料を供給するようにしているため、バルブタイミングが特定時期にあるときには、内燃機関を迅速に始動することができる。 カム軸に対し交番トルクが作用して両回転体が相対回転する際には、その相対回転方向が周期的に反転するため、ロックピンが凹部の段部に嵌入可能な位置にある状態と嵌入不能な位置にある状態とが繰り返されるようになる。ここで、ロックピンが凹部の段部に嵌入可能な位置にある状態の継続期間とロックピンが凹部の段部に嵌入するのに要する期間と比較したとき、前者が後者よりも短い場合には、ロックピンが凹部の段部に嵌入することができない。そして、ロックピンが凹部の段部に嵌入するのに要する期間にばらつきが存在することも考慮すれば、ロックピンが凹部の段部に嵌入可能な位置にある状態の継続期間が長いときほど、ロックピンは凹部の段部に嵌入しやすくなり、速やかにバルブタイミングを特定時期にまで変更することができる。したがって、上述したように、機関始動装置によりクランク軸を回転させる際のクランキング速度を始動不良の発生時よりも低下させるようにすれば、バルブタイミングが特定時期にロックされた状態に速やかに移行させることができ、機関始動可能なバルブタイミングのもとでのクランキングをより早い段階で行うことができるようになる。なお、上述した燃料噴射量の減量処理やクランキング速度の低下処理はこれらを始動不良時処理として併せて実行することもできる。
上述した固定機構は、クランキング実行時にバルブタイミングを特定時期とは異なる時期から同特定時期まで変更するものであることが好ましい。この場合、クランキング開始時にバルブタイミングが特定時期にない場合であっても、このバルブタイミングを特定時期にまで変更することにより、機関始動が可能なバルブタイミングのもとでのクランキングを早い段階で行うことができるようになる。
さらに、上記凹部は前記第2の回転体の周方向に沿って配置されてその深さが異なる複数の段部を有することが望ましい。この場合、前記複数の段部及び前記ロックピンは、前記カム軸に作用する交番トルクに基づき生じる前記両回転体の相対回転により前記複数の段部に前記ロックピンが順次嵌入することによりバルブタイミングを前記特定時期とは異なる時期から同特定時期まで段階的に変更するラチェット機構として機能する。
上記構成のようにすれば、カム軸に作用する交番トルクに基づいて両回転体が相対回転する際に、ロックピンが凹部の複数の段部に順次嵌入することでバルブタイミングを特定時期まで段階的に変更することができるようになる。このため、クランキング開始時にバルブタイミングが特定時期にない場合であっても、カム軸に作用する交番トルクに基づいてバルブタイミングを自律的に特定時期まで変更することができ、機関始動性の悪化を一層好適に抑制することができるようになる。
ところで、冷間始動時には、噴射燃料の気化が促進されず燃焼し難い状態にあるため、クランキング開始から内燃機関が完爆状態に移行するまでの期間が長くなる。したがって、こうした冷間始動時においてクランキング開始時にバルブタイミングが特定時期にない場合には、機関始動性の悪化がより一層顕著なものとなる。また、冷間始動時には作動油の温度が低くその粘性が高くなるため、カム軸に作用する交番トルクにより両回転体が相対回転する際に生じる作動油の抵抗力も増大するようになる。その結果、交番トルクがカム軸に作用したときに生じる両回転体の相対回転量が小さくなり、クランキングの実行中にバルブタイミングを特定時期まで変更してその時期にロックさせ難くなる。したがって、特にこうした冷間始動時において上述したような始動不良時処理を実行することとすれば、機関始動性の悪化が発生しやすい状況においてこれを好適に抑制することができるようになる。なお、こうした冷間始動時であるか否かは、機関温度が予め設定された所定温度以下であることをもって判定することができ、さらに機関温度は機関冷却水温や作動油温等に基づいてこれを監視することができる。
なお、こうした始動不良時処理は、クランキング開始から内燃機関が完爆状態に移行するまでの一連の機関始動期間において始動不良が発生したとき即時実行するようにしてもよいが、同始動不良が発生したときにその履歴を記録し、前回の機関始動に始動不良が発生した旨の履歴が記録されていることを条件に、次回の機関始動に際してクランキング開始時から前記始動不良時処理を実行するようにしてもよい。
本発明を具体化した第1実施形態にかかる内燃機関の制御装置及びその制御対象である内燃機関の概略構成図。 同実施形態の可変動弁装置について、そのスプロケットを取り外した状態での内部構造を示す端面図。 図2のA−A線に沿う断面構造を示す断面図。 図2のA−A線に沿う断面構造を模式的に示すものであって、(a)〜(d)は、機関始動時においてバルブタイミングが最遅角時期から特定時期まで進角する過程を順に示す断面図。 クランキング時にカム軸に作用する交番トルクと、バルブタイミングの変化態様との関係を説明する図。 同実施形態におけるスタータ駆動処理の処理手順を示すフローチャート。 同実施形態における始動時処理の処理手順を示すフローチャート。 機関通常停止後の機関始動時におけるバルブタイミング、クランキング、機関回転速度、及び燃料噴射量の各変化態様を示すタイミングチャート。 機関異常停止後の機関始動時におけるバルブタイミング、クランキング、機関回転速度、及び燃料噴射量の各変化態様を示すタイミングチャート。 本発明にかかる内燃機関の制御装置を具体化した第2の実施形態において、これが適用された内燃機関が搭載された車両の概略構成図。 同実施形態における始動時処理の処理手順を示すフローチャート。 機関異常停止後の機関始動時におけるバルブタイミング、クランキング速度、機関回転速度、及び燃料噴射量の各変化態様を示すタイミングチャート。 本発明を具体化した第3実施形態における始動時処理の処理手順を示すフローチャート。 (a)は従来一般の可変動弁装置の内部構造を示す端面図であり、(b)は(a)のB−B線に沿う断面構造を示す断面図。
(第1の実施形態)
以下、図1〜図9を参照して、本発明にかかる内燃機関の制御装置を具体化した第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、内燃機関10の気筒10Aには、ピストン11が往復動可能に収容されている。このピストン11の頂面と気筒10Aの内周面とによって燃焼室12が区画形成されている。燃焼室12には、同燃焼室12に吸入空気を供給する吸気通路15と、同燃焼室12から排気が排出される排気通路16とが接続されている。吸気通路15には、その内部に燃料を噴射する燃料噴射弁13が取り付けられている。また、燃焼室12には、吸入空気と燃料との混合気を点火する点火プラグ14が設けられている。
上述したピストン11には、その往復運動を回転運動に変換するクランク軸17が連結されている。また、内燃機関10の上部には、吸気バルブ21を開閉する吸気用のカム軸22と、排気バルブ23を開閉する排気用のカム軸24とが設けられている。吸気用のカム軸22の先端には、吸気バルブ21のバルブタイミングを変更する可変動弁装置20が設けられている。可変動弁装置20のスプロケット41は、図示しないタイミングチェーンを介して、クランク軸17と駆動連結されている。また、可変動弁装置20のカバー40は、スプロケット41が設けられている側とは反対側の面に設けられている。
内燃機関10の下部には、作動油を貯留するオイルパン31が取り付けられるとともに、クランク軸17の回転力により駆動されてオイルパン31の作動油を組み上げるオイルポンプ30が設けられている。このオイルポンプ30により作動油が供給される作動油通路26には、可変動弁装置20の各油室に対する作動油の給排状態を変更するオイルコントロールバルブ25が設けられている。なお、オイルパン31に貯留される作動油は、可変動弁装置20を駆動するための油圧を発生する作動油としての機能の他、内燃機関10の各部を潤滑するための潤滑油としての機能も併せ有している。
また、クランク軸17には、内燃機関10の始動時に同クランク軸17を強制回転(クランキング)させる機関始動装置としてのスタータ32が接続されている。このスタータ32には、バッテリ33から電力が供給される。
内燃機関10には、同内燃機関10の運転状態を検出するための各種センサが設けられている。例えば、こうした各種センサとして、エンジンスイッチ81、クランク角センサ82、カム角センサ83、水温センサ84等がある。エンジンスイッチ81は、内燃機関10の始動要求時に運転者により操作されると、スタート信号STSWを出力する。クランク角センサ82は、クランク軸17の近傍に設けられてクランク角CA及び機関回転速度NEを検出する。カム角センサ83は、カム軸22の近傍に設けられて同カム軸22の位置を検出する。水温センサ84は、内燃機関10の冷却水の温度(機関冷却水温)TWを検出する。これら各種センサから出力される信号は、内燃機関10の各種装置を総括的に制御する制御部80に取り込まれる。
制御部80は、演算ユニットをはじめ、各種制御プログラムや演算マップ、制御の実行に際して算出されるデータ等を記憶保持する記憶手段(記憶部)としての複数のメモリ80Aを備えている。なお、メモリ80Aの一部は、バッテリ33により電力が供給されることにより、機関停止中においてもその記憶された情報を保持するバックアップメモリとして機能する。そして、制御部80は、上述した各センサの検出結果に基づいて内燃機関10の運転状態を監視し、その運転状態に基づいて、燃料噴射弁13の燃料噴射量や燃料噴射時期を調整する燃料噴射制御、点火プラグ14の点火時期を調整する点火時期制御、吸気バルブ21のバルブタイミングを制御するバルブタイミング可変制御等の各種制御を実行する。
次に、図2を参照して、可変動弁装置20の構成について説明する。同図2は、スプロケット41を取り外した状態での可変動弁装置20の内部構造を示している。可変動弁装置20は、吸気バルブ21のバルブタイミングを変更する可変機構20Aと、吸気バルブ21のバルブタイミングを最進角時期PH及び最遅角時期PLの間の中間時期(以下、「特定時期PM」という)に機械的にロックするロック機構48を備えている。この特定時期PMは、機関始動が可能なバルブタイミングであって、特に冷間始動時において機関始動が可能なバルブタイミングが設定されている。なお、ロック機構48が、バルブタイミングを特定時期PMに固定可能な固定機構に相当する。
上述したスプロケット41、ハウジング42、カバー40は図示しないボルトによって固定され、カム軸22の回転軸線周りに一体回転する。これらカバー40、スプロケット41及びハウジング42は、クランク軸17に駆動連結された第2の回転体として機能する。なお、カム軸22及びハウジング42は、図2に示す回転方向RCに回転するものとする。
ハウジング42には、その径方向内側に延びる3つの区画部44が設けられている。また、ハウジング42には、ハウジング42と同一の回転軸線周りに回転するベーンロータ43が回動可能に収容されている。ベーンロータ43は、カム軸22に一体回転可能に連結されるボス43Aと、ボス43Aの径方向外側に突出する3つのベーン43Bを有している。そして、ハウジング42の各区画部44とベーンロータ43のボス43Aによって収容室45が区画形成されるとともに、この収容室45は各ベーン43Bにより進角室46と遅角室47とにそれぞれ区画されている。なお、ベーンロータ43は、カム軸22に駆動連結された第1の回転体として機能する。
ロック機構48は、互いに異なるベーン43Bにそれぞれ設けられた進角ロック機構50と遅角ロック機構60とを備えている。進角ロック機構50は、バルブタイミングが特定時期PMよりも進角側に変化する方向にハウジング42とベーンロータ43とが相対回転することを規制する機能を有している。一方、遅角ロック機構60は、バルブタイミングが特定時期PMよりも遅角する方向にハウジング42とベーンロータ43とが相対回転することを規制する機能を有している。また、進角ロック機構50及び遅角ロック機構60は、バルブタイミングを特定時期PMよりも遅角側から特定時期PMまで段階的に進角させるラチェット機能も併せ有している。そして、これら進角ロック機構50及び遅角ロック機構60の協働によりバルブタイミングが特定時期PMにロックされる。
次に、図3を参照して、ロック機構48の詳細な構成について説明する。以下では、カム軸22の軸方向において可変動弁装置20のカバー40が配置される側を「先端側ZA」とし、スプロケット41が配置される側を「基端側ZB」とする。
進角ロック機構50は、ベーン43Bに設けられた円筒状の第1のロックピン51と、第1のロックピン51が嵌入又は抜脱する第1の凹部53とを備えている。この第1の凹部53は、カバー40に形成されている。
第1のロックピン51は、ベーン43Bに形成されたベーン孔56において先端側ZA及び基端側ZBに往復動するとともに、ベーン43Bの外部に突出して第1の凹部53に嵌入する。ベーン孔56は、第1のロックピン51により、基端側ZBの第1のばね室58と、先端側ZAの第1の解除室57とに区画されている。第1のばね室58には、第1のロックピン51を先端側ZAに付勢する第1のばね52が収容されている。一方、第1の解除室57には、上述した作動油通路26(図1参照)を通じて作動油が供給される。この供給される作動油の圧力に基づく力により第1のロックピン51が基端側ZBに付勢される。
第1の凹部53は、カバー40においてその周方向に沿った円弧状をなしている。詳しくは、第1の凹部53は、相対的に深さが浅く形成された第1の上段部54と、相対的に深さが深く形成された第1の下段部55とから構成されている。第1の上段部54は、第1の下段部55よりも遅角側に形成されている。
遅角ロック機構60は、ベーン43Bに設けられた円筒状の第2のロックピン61と、第2のロックピン61が嵌入する第2の凹部63とを備えている。この第2の凹部63は、カバー40に形成されている。
第2のロックピン61は、ベーン43Bに形成されたベーン孔66において先端側ZA及び基端側ZBに往復動するとともに、ベーン43Bの外部に突出して第2の凹部63に嵌入する。ベーン孔66は、第2のロックピン61により、基端側ZBの第2のばね室68と、先端側ZAの第2の解除室67とに区画されている。第2のばね室68には、第2のロックピン61を先端側ZAに付勢する第2のばね62が収容されている。一方、第2の解除室67には、上述した作動油通路26(図1参照)を通じて作動油が供給される。この供給される作動油の圧力に基づく力により第2のロックピン61が基端側ZBに付勢される。
第2の凹部63は、カバー40においてその周方向に沿った円弧状をなしている。詳しくは、第2の凹部63は、相対的に深さが浅く形成された第2の上段部64と、相対的に深さが深く形成された第2の下段部65とから構成されている。第2の上段部64は、第2の下段部65よりも遅角側に形成されている。
第1のロックピン51、第2のロックピン61、第1の凹部53に形成された第1の上段部54及び第1の下段部55、並びに第2の凹部63に形成された第2の上段部64及び第2の下段部65は、カム軸22に作用する交番トルクによりバルブタイミングを特定時期PMにまで段階的に進角させるラチェット機構として機能する。すなわち、第1の凹部53に形成された第1の上段部54及び第1の下段部55は、第1のロックピン51がこれら段部54,55に嵌入したときに同ロックピン51の遅角側への変位をそれぞれ規制する。一方、第2の凹部63に形成された第2の上段部64及び第2の下段部65は、第2のロックピン61が嵌入したときに同ロックピン61の遅角側への変位をそれぞれ規制する。さらに、第1のロックピン51が第1の下段部55に嵌入するとともに第2のロックピン61が第2の下段部65に嵌入するときには、第1の下段部55の進角側の端部により第1のロックピン51の進角側への変位が規制される。また、併せて第2の下段部65の遅角側の端部により第2のロックピン61の遅角側への変位が規制される。これにより、バルブタイミングが特定時期PMでロックされる。なお、図3には、ロック機構48がロック状態であって、バルブタイミングが特定時期PMでロックされた状態を示している。
次に、可変動弁装置20の作用について説明する。
機関運転に伴いクランク軸17が回転するとその駆動力がタイミングチェーン(図示略)を介して可変動弁装置20に伝達され、この可変動弁装置20とともに、カム軸22が回転する。これにより、吸気バルブ21はカム軸22に設けられたカム(図示略)により開閉される。
また、可変動弁装置20の進角室46及び遅角室47に対する作動油の供給又は排出がオイルコントロールバルブ25を通じて制御されると、進角室46及び遅角室47の油圧に基づき収容室45でベーン43Bが変位する。これにより、スプロケット41及びハウジング42に対するベーンロータ43の相対回転位置、すなわちクランク軸17に対するカム軸22の相対回転位置が変更され、吸気バルブ21のバルブタイミングが変更される。
具体的には、可変動弁装置20の進角室46に対して作動油が供給される一方で遅角室47の作動油が排出されることにより、ベーンロータ43がハウジング42に対して進角側方向に相対回転すると、バルブタイミングが進角される。そして、ベーン43Bが遅角室47の進角側の内壁に当接すると、バルブタイミングは最進角時期PHとなる。また、遅角室47に対して作動油が供給される一方で進角室46の作動油が排出されることにより、ベーンロータ43がハウジング42に対して遅角側方向に相対回転すると、バルブタイミングは遅角される。そして、ベーン43Bが進角室46の遅角側の内壁に当接すると、バルブタイミングは最遅角時期PLとなる。
機関停止要求時には、バルブタイミングが特定時期PMになるようにオイルコントロールバルブ25を通じて進角室46及び遅角室47の油圧が制御される。そして、進角ロック機構50の第1の解除室57から作動油が排出されてこの第1の解除室57の油圧が解除油圧よりも低くなると、第1のばね52で付勢された第1のロックピン51が第1の凹部53(第1の下段部55)に嵌入する。併せて、遅角ロック機構60の第2の解除室67から作動油が排出されてこの第2の解除室67の油圧が解除油圧よりも低下すると、第2のばね62で付勢された第2のロックピン61が第2の凹部63(第2の下段部65)に嵌入する。これにより、第1のロックピン51の進角側への変位が第1の下段部55の進角側の端部で規制されるとともに、第2のロックピン61の遅角側への変位が第2の下段部65の遅角側の端部で規制されて、バルブタイミングが特定時期PMにロックされる。以下、このようにバルブタイミングが特定時期PMにロックされて機関停止することを「機関通常停止」という。
ここで、上述した機関通常停止の後に、内燃機関10の始動要求があったときには、バルブタイミングが特定時期PMにある状態でクランキングが開始される。上述したように、この特定時期PMは機関始動が可能なバルブタイミングに設定されているため、内燃機関10は良好に始動することができる。
そして、機関始動後に所定条件が成立すると、第1のロックピン51及び第2のロックピン61が第1の凹部53及び第2の凹部63からそれぞれ抜脱される。具体的には、進角ロック機構50の第1の解除室57に作動油が供給されてこの第1の解除室57の油圧が解除油圧よりも上昇すると、この油圧に基づく付勢力により第1のロックピン51は基端側ZBに移動して第1の凹部53から抜脱する。また、遅角ロック機構60の第2の解除室67に対しても作動油が供給されてこの第2の解除室67の油圧が解除油圧よりも上昇すると、この油圧に基づく付勢力により第2のロックピン61は基端側ZBに移動して第2の凹部63から抜脱する。これにより、ハウジング42とベーンロータ43との相対回転が許容される。その後、バルブタイミングが機関運転状態に適した所望の時期となるように、オイルコントロールバルブ25の制御が実行される。
一方、機関停止要求時においてバルブタイミングが特定時期PMにロックされなかったときには(以下、「機関異常停止」という)、バルブタイミングが最遅角時期PL等、特定時期PMとは異なる時期となった状態で内燃機関10の運転が停止する。
そして、機関異常停止の後に、内燃機関10の始動要求があったときには、バルブタイミングが特定時期PMにない状態でクランキングが開始されることとなり、機関始動が不能となったり、機関始動に長期間を要したりする等、機関始動性の悪化を招くおそれがある。なお、こうした機関異常停止時には、内燃機関10の停止が完了するまでに、進角室46及び遅角室47の各油圧の低下に伴いバルブタイミングが遅角する方向に向かってベーンロータ43とスプロケット41とが相対回転するため、バルブタイミングが最遅角時期PLまで変化する場合が多い。
そこで、本実施形態では、機関異常停止後の機関始動性を向上させるべく、ロック機構48の第1の凹部53及び第2の凹部63に複数の段部54,55,64,65を形成し、クランキング時にカム軸22に作用する交番トルクを利用して、バルブタイミングを最遅角時期PLから特定時期PMにまで進角するようにしている。
次に、図4及び図5を参照して、機関始動時においてバルブタイミングが最遅角時期PLから特定時期PMまで進角する過程について説明する。図4(a)〜(d)は、バルブタイミングが最遅角時期PLから特定時期PMまで進角する過程について順に示したものである。なお、図4(a)〜(d)では、進角ロック機構50の動作状態と遅角ロック機構60の動作状態との関係を容易に把握できるよう、第1のロックピン51と第2のロックピン61とを同一のベーン43Bから互いに逆向きに突出するように示していると共に、第1の凹部53と第2の凹部63とを軸方向に向き合うように示している。
バルブタイミングが特定時期PMにない状態でクランキングが開始されると、カム軸22に対して作用する交番トルクにより、バルブタイミングが遅角側及び進角側に変化するようにベーンロータ43とハウジング42とがその相対回転方向を周期的に反転しつつ相対回転するようになる。詳しくは、図5に示すように、カム軸22に対して、バルブタイミングが進角する方向に作用する負トルクと、バルブタイミングが遅角する方向に作用する正トルクとが交互に作用する。これにより、ロックピン51,61が凹部53,63の段部54,55,64,65に嵌入可能な位置にある状態と嵌入不能な位置にある状態とが繰り返される。
例えば、クランキング開始時にバルブタイミングが最遅角時期PLにあるときに、カム軸22に対して交番トルクが作用すると、まず、負トルクの作用によりハウジング42に対してベーンロータ43が進角側に相対回転する。これにより、第1のロックピン51及び第2のロックピン61は進角側に変位してバルブタイミングは第1遅角時期PX1を超えて大きく進角する(図5参照)。次に、正トルクの作用によりハウジング42に対してベーンロータ43が遅角側に相対回転し、これにより第1のロックピン51及び第2のロックピン61が遅角側に変位する。こうしてロックピン51,61が変位しているいずれかの期間において、第1のロックピン51が第1の上段部54に嵌入可能な位置にある状態、換言すると、第1のロックピン51が第1の上段部54の基端側ZBに位置するときに(図5に示す「嵌入可能な期間TP」)、同ロックピン51が第1の上段部54に向けて突出する(図4(a))。この状態では、第1の上段部54の遅角側の端部に第1のロックピン51が接触するため、バルブタイミングが遅角する方向にハウジング42とベーンロータ43とが相対回転することが規制される。これにより、最遅角時期PLよりも進角側の第1遅角時期PX1において、バルブタイミングの遅角が規制される。
この状態で、カム軸22に対してさらに作用する交番トルクに基づき、第2のロックピン61が第2の上段部64に嵌入し(図4(b))、第1のロックピン51が第1の下段部55に嵌入し(図4(c))、第2のロックピン61が第2の下段部65に嵌入する(図4(d))。これにより、バルブタイミングの遅角が第2遅角時期PX2、第3遅角時期PX3、特定時期PMで順に規制され、バルブタイミングが特定時期PMでロックされた状態に移行する。
ところで、内燃機関10の冷間始動時には、作動油の温度(油温)TOILが低くその粘性が高くなるため、カム軸22に作用する交番トルクによりベーンロータ43とハウジング42とが相対回転する際に生じる作動油の抵抗力も増大するようになる。その結果、交番トルクがカム軸22に作用したときに生じるベーンロータ43とハウジング42との相対回転量が小さくなり、クランキングの実行中にバルブタイミングを特定時期PMまで変更して特定時期PMにロックさせ難くなる。
また、冷間始動時には、噴射燃料の気化が促進されず燃焼し難い状態にあるため、クランキング開始から内燃機関10が完爆状態に移行するまでの期間が長くなる。したがって、こうした冷間始動時においてクランキング開始時にバルブタイミングが特定時期PMにない場合には、機関始動性の悪化がより一層顕著なものとなる。
そこで、本実施形態では、図6に示す「スタータ駆動処理」と並行して、図7に示す「始動時処理」を実行することにより、上述したような機関始動性の悪化に対処するようにしている。
次に、図6を参照して、内燃機関10の始動時に実行される「スタータ駆動処理」についてその処理手順を説明する。同図に示す一連の処理は、内燃機関10の始動後において、制御部80により所定の周期をもって繰り返し実行される。
本処理が開始されると、まず、始動時フラグFstaが「ON」であるか否かが判定される(ステップS100)。具体的には、メモリ80Aに記憶された始動時フラグFstaの情報を参照することにより判定される。この始動時フラグFstaは、初期値が「OFF」に設定されている。
そして、始動時フラグFstaが「OFF」である旨判定される場合には(ステップS100:NO)、続いて始動要求があるか否かが判定される(ステップS110)。具体的には、エンジンスイッチ81からスタート信号STSWが送信されたことに基づき、始動要求がある旨判定される。そして、始動要求がない旨判定される場合には(ステップS110:NO)、本処理は終了される。
一方、始動要求がある旨判定される場合には(ステップS110:YES)、始動時フラグFstaが「ON」に設定されて(ステップS120)、クランキングが開始される(ステップS130)。具体的には、制御部80から作動信号STARがスターターリレー(図示略)に送信されてスタータ32が駆動されることにより、クランキングが開始される。なお、このときのクランキング速度Rは回転速度RAに設定される。
続いて、内燃機関10が完爆状態に移行したか否かが判定される(ステップS140)。具体的には、クランク角センサ82により検出される機関回転速度NEが完爆回転速度NSに達した場合に(NE≧NS)、完爆状態に移行した旨判定される。なお、「完爆」とは、内燃機関10のクランク軸17が自律回転可能な状態に達したことを示す。また、「完爆回転速度NS」とは、クランク軸17が自律回転可能な状態に達したと判断することのできる機関回転速度NEとして予め設定された値である(例えば400rpm)。
そして、機関回転速度NEが完爆回転速度NSに達しており(NE≧NS)、内燃機関10が完爆状態に移行した旨判定される場合には(ステップS140:YES)、クランキングが停止される(ステップS150)。具体的には、制御部80からの作動信号STARが停止されることにより、スタータ32が停止される。続いて、始動時フラグFstaが「OFF」に設定されて(ステップS160)、本処理は終了する。
一方、上記ステップS140の判定処理において、機関回転速度NEが完爆回転速度NSに達しておらず(NE<NS)、内燃機関10が完爆状態に移行していない旨判定される場合には(ステップS140:NO)、本処理が一旦終了されて、再びステップS100からの処理が実行される。
こうして再びステップS100からの処理が実行されると、始動時フラグFstaが「ON」に設定されているため(ステップS100:YES)、ステップS170に移行し、始動時フラグFstaが「ON」に設定された後、一定期間TSが経過したか否かが判定される(ステップS170)。この一定期間TSは、後述する第1の所定期間αと第2の所定期間βとを加算した期間よりも長い期間が設定される。詳しくは、内燃機関10が完爆状態に移行しない場合に、運転者によるエンジンスイッチ81の一回の操作に伴いクランキングを継続することが望ましい十分な期間(例えば25秒)が設定される。
ここで、始動時フラグFstaが「ON」に設定された後、一定期間TSが経過していない旨判定される場合には(ステップS170:NO)、再びステップS140以降の各処理が実行される。一方、始動時フラグFstaが「ON」に設定された後、一定期間TSが経過した旨判定される場合には(ステップS170:YES)、クランキングが停止されるとともに(ステップS150)、始動時フラグFstaが「OFF」に設定されて(ステップS160)、本処理は終了する。
こうした一連の処理により、以下の(a)及び(b)のいずれかの条件が成立したときに、クランキングが停止される。
(a)クランキング開始後、一定期間TSが経過するまでに内燃機関10が完爆状態に移行したこと。
(b)クランキングを一定期間TS継続したが、内燃機関10が完爆状態に移行しなかったこと。
次に、図7を参照して、内燃機関10の始動後において制御部80により実行される「始動時処理」についてその処理手順を説明する。なお、同図に示す「始動時処理」は、運転者によりエンジンスイッチ81が操作される毎に1回開始される。
本処理では、まず、クランキングの開始と同時に燃料噴射が開始される(ステップS200)。すなわち、上述したステップS130におけるクランキング開始と同時に、燃料噴射弁13からの燃料噴射が開始される。このときの燃料噴射量QFは、機関通常停止後の機関始動時に適した量(通常噴射量QA)に設定される。なお、内燃機関10の始動直後であって、クランク角センサ82及びカム角センサ83からの信号に基づく内燃機関10の気筒判別が完了していない期間には、クランク角CAに同期しない非同期噴射が実行される。
続いて、油温TOILが所定温度TC以下(TOIL≦TC)であるか否かが判定される(ステップS210)。この油温TOILは、水温センサ84の検出結果に基づき把握される。すなわち、機関冷却水温TWが低いときほど作動油の温度TOILも低いという関係があるため、機関冷却水温TWに基づき油温TOILを把握することができる。上述した所定温度TCは、ラチェット機構によるバルブタイミングの進角の効率を考慮して予め設定されている(例えば−25℃)。
そして、油温TOILが所定温度TCよりも高い(TOIL>TC)旨判定される場合には(ステップS210:NO)、例えクランキング開始時にバルブタイミングが特定時期PMにない場合であっても、機関始動を完了させることができる可能性が高いと判断することができる。これは、内燃機関10の温度が比較的高く、燃焼室12における噴射燃料の気化が比較的良好に行われて、燃焼しやすい状況にあると判断することができるためである。さらに、油温TOILが比較的高く作動油の粘性が低い時には、クランキング時にカム軸22に作用する交番トルクを利用して、ラチェット機構によりバルブタイミングを特定時期PMにまで迅速に移行させることができる可能性が比較的高いと判断することができるためである。そこで、上記ステップS210の判定処理で油温TOILが所定温度TCよりも高い(TOIL>TC)旨判定される場合には(ステップS210:NO)、本処理は終了される。
一方、油温TOILが所定温度TC以下である(TOIL≦TC)旨判定される場合には(ステップS210:YES)、続いて、クランキング開始後、第1の所定期間αが経過するまでに内燃機関10が完爆状態に移行したか否かが判定される(ステップS220)。先の図6に示したように、内燃機関10が完爆状態に移行すると、スタータ32が停止されてクランキングが停止される(ステップS150)。また、スタータ32が駆動している間には、制御部80に対してスタータ32からスタータ信号STAが送信されている。したがって、ステップS220の判定処理では、クランキングの開始後、第1の所定期間αが経過するまでにスタータ32からのスタータ信号STAが停止されたときに、肯定判定がなされる(ステップS220:YES)。本ステップS220での処理により、内燃機関10の始動不良が発生したか否かが判定される。なお、上述した第1の所定期間αは、クランキング開始時にバルブタイミングが特定時期PMにない可能性が高いと判断することのできる期間が予め設定されている(例えば5秒)。
そして、ステップS220の判定処理において肯定判定がなされる場合、すなわちクランキング開始後、第1の所定期間αが経過するまでに内燃機関10が完爆状態に移行した旨判定される場合には(ステップS220:YES)、機関始動が良好に完了したと判断することができる。これにより本処理が終了される。その後は、内燃機関10の運転状態に応じて各種制御が実行される。
一方、ステップS220の判定処理において否定判定がなされる場合(ステップS220:NO)、燃料噴射が停止される(ステップS230)。すなわち、クランキング開始後、第1の所定期間αが経過した時点であっても、スタータ32から駆動中である旨を示すスタータ信号STAが送信されている場合には、始動不良が発生した旨判定することができる。そして、こうした始動不良が発生する場合には、クランキング開始時にバルブタイミングが特定時期PMにない可能性があると判断することができる。したがって、この場合には、バルブタイミングが特定時期PMとは異なる時期にある状態に対応する始動不良時処理として、燃料噴射が停止される(ステップS230)。
続いて、燃料噴射が停止されてから第2の所定期間βが経過したか否かが判定される(ステップS240)。この第2の所定期間βは、上記第1の所定期間αにおいてバルブタイミングが特定時期PMにまで進角しなかった場合に、点火プラグ14への未燃燃料の付着を抑制しつつラチェット機構を通じてバルブタイミングをさらに進角させる期間として好適な期間が予め設定されている(例えば3秒)。すなわち、バルブタイミングが特定時期PMとは異なる時期にあって機関始動が完了するまでに長期間を要する場合には、未燃燃料が点火プラグ14に付着し、これに起因する失火が頻発することで機関始動性の悪化がさらに助長されることになる。そこで、本実施形態では、燃料噴射を一時的に(第2の所定期間β)停止して未燃燃料が点火プラグ14に付着することを抑制しつつバルブタイミングを特定時期PMにまで進角させる期間を設けるようにしている。
そして、燃料噴射が停止されてから第2の所定期間βが経過していない旨判定される場合には(ステップS240:NO)、肯定判定が得られるまでステップS240の判定処理が一定の時間周期ごとに繰り返し実行される。
こうした判定処理を通じて、燃料噴射が停止されてから第2の所定期間βが経過した旨判定される場合には(ステップS240:YES)、燃料噴射が再開される(ステップS250)。すなわち、燃料噴射量QFが「0」の状態から通常噴射量QAに戻されて、本処理は終了する。
次に、図8及び図9を参照して、上述した「スタータ駆動処理」及び「始動時処理」が実行されたときにおける機関始動時のバルブタイミング、クランキング、機関回転速度NE、及び燃料噴射量QFの各変化態様を説明する。なお、これら図8及び図9には、油温TOILが所定温度TC以下であるとき、すなわち冷間始動時における各変化態様を示している。また、同図に示すバルブタイミング、機関回転速度NEの各変化態様は一例であって、内燃機関10の状態に応じて変化する。
図8に示すように、バルブタイミングが特定時期PMにある機関通常停止後の機関始動要求時において、タイミングT11から燃料噴射を伴うクランキングが開始されると、機関回転速度NEは、スタータ32によるクランキング速度RAから早期に上昇し、タイミングT12で完爆回転速度NSに達する(NE≧NS)。これにより、上述した「スタータ駆動処理」のステップS140において肯定判定がなされるため(ステップS140:YES)、クランキングが停止される(ステップS150)。また、クランキング開始後(タイミングT11)、第1の所定期間αが経過するタイミングT13までのタイミングT12において内燃機関10が完爆状態に移行したため、上述した「始動時処理」のステップS220において肯定判定がなされる(ステップS220:YES)。
これに対し、図9に示すように、バルブタイミングが特定時期PMにない機関異常停止後の機関始動要求時には、タイミングT21から燃料噴射を伴うクランキングが開始されると、このクランキングに伴いカム軸22に作用する交番トルクにより、バルブタイミングが段階的に徐々に進角する。
しかし、第1の所定期間αが経過したタイミングT22においても、機関回転速度NEが完爆回転速度NSにまで達していないため(NE<NS)、燃料噴射弁13による燃料噴射が停止されて、燃料噴射量QFが「0」に設定される。すなわち、上述した「始動時処理」のステップS220において否定判定がなされるため(ステップS220:NO)、始動不良時処理として燃料噴射が停止される(ステップS230)。これにより、未燃燃料が点火プラグ14に付着することが抑制されつつラチェット機構によりバルブタイミングが進角される。
その後、第2の所定期間βが経過するタイミングT23まで燃料噴射の停止が継続される。そして、このタイミングT23において燃料噴射が再開されて燃料噴射量QFが通常噴射量QAに戻されると、タイミングT24から機関回転速度NEが徐々に上昇して、タイミングT25において内燃機関10は完爆状態に移行するようになる。
一方、一点鎖線で示すように、タイミングT22において燃料噴射を停止する始動不良時処理が実行されなかった場合には、バルブタイミングが特定時期PMに進角させる期間において、未燃燃料が点火プラグ14に一層付着することになる。これにより、機関始動性の悪化がさらに助長されるため、例えバルブタイミングが特定時期PMにまで進角したとしても機関回転速度NEが長期に上昇せず、内燃機関10が完爆状態に移行することが困難になる。
以上説明した第1の実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)燃料噴射を伴うクランキングを開始してから第1の所定期間αが経過するまでに内燃機関10が完爆状態に移行しない始動不良が発生したときに(ステップS220:NO)、バルブタイミングが特定時期PMとは異なる時期にある状態に対応する始動不良時処理が実行される(ステップS230)。そのため、クランキング開始時にバルブタイミングが特定時期PMにない場合であっても、それに起因する機関始動性の悪化を抑制することができる。また、クランキング開始と同時に燃料噴射が開始されるため(ステップS200)、バルブタイミングが特定時期PMにあるときには、内燃機関10を迅速に始動することができる。
(2)ロック機構48には、ラチェット機構が設けられている。そのため、カム軸22に作用する交番トルクに基づいてベーンロータ43とハウジング42とが相対回転する際に、バルブタイミングを特定時期PMまで段階的に進角させることができる。このため、クランキング開始時にバルブタイミングが特定時期PMにない場合であっても、カム軸22に作用する交番トルクに基づいてバルブタイミングを自律的に特定時期PMまで進角させることができ、機関始動性の悪化を一層好適に抑制することができるようになる。
(3)内燃機関10の始動不良が生じたときに、始動不良時処理として燃料噴射が停止される。したがって、機関始動が完了するまでに長期間を要して未燃燃料が点火プラグ14に付着し、これに起因する失火が頻発することで機関始動性の悪化がさらに助長されることを抑制することができる。
(4)油温TOILが所定温度TC以下(TOIL≦TC)である冷間始動時であることを条件に、始動不良時処理として燃料噴射が停止される(ステップS230)。これにより、機関始動性の悪化が発生しやすい状況においてこれを好適に抑制することができるようになる。
(5)クランキング開始直後であって機関回転速度NEが低い場合には、カム角センサ83の信号に基づきカム軸22の位置を早期に検出することが困難であるという問題がある。すなわち、機関異常停止後の機関始動時であってバルブタイミングが特定時期PMにない場合であっても、このバルブタイミングの時期をカム角センサ83の信号に基づき検出することは困難である。この点、本実施形態によれば、始動不良が発生したか否かを監視し、その監視結果に基づき始動不良時処理が実行される。したがって、カム角センサ83の検出結果に基づきバルブタイミングを把握することのできない状況下であっても、クランキング開始時にバルブタイミングが特定時期PMにない場合には、それに起因する機関始動性の悪化を抑制することができる。
(第2の実施形態)
次に、図10〜12を参照して、本発明にかかる内燃機関の制御装置を具体化した第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態では、上記第1の実施形態における内燃機関10が、図10に示すハイブリッド車両70に搭載されている。なお、上記第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
図10に示すように、車両70は、駆動輪76を回転させる動力源として内燃機関10及び第2のモータジェネレータ71を備えている。内燃機関10から出力される動力は、動力分割機構72、減速機74、及び車軸75を介して駆動輪76に伝達される。一方、第2のモータジェネレータ71から出力される動力は、モータリダクション機構77、減速機74、及び車軸75を介して駆動輪76に伝達される。
内燃機関10から出力された動力は、動力分割機構72により、駆動輪76に伝達する動力と第1のモータジェネレータ73に伝達する動力とに分割される。第1のモータジェネレータ73は、内燃機関10から出力された動力によって発電するとともに、この発電された電力は電力変換部78を介してバッテリ79に供給される。また、内燃機関10の始動時には、バッテリ79から供給される電力に基づき第1のモータジェネレータ73が出力する動力により内燃機関10のクランキングが行なわれる。なお、本実施形態のバッテリ79は、上記第1の実施形態のバッテリ33に相当する。また、本実施形態の第1のモータジェネレータ73は、内燃機関10のクランク軸17を強制回転させる機関始動装置として機能し、上記第1の実施形態のスタータ32に相当する。なお、スタータ32は、クランキング速度Rが回転速度RAに固定されている機関始動装置であったのに対し、第1のモータジェネレータ73は、クランキング速度Rが可変制御される機関始動装置である。
一方、第2のモータジェネレータ71は、バッテリ79から供給される電力に基づき動力を出力する。また、第2のモータジェネレータ71は、車両70の減速時や制動時等に駆動輪76の回転力によって発電するとともに、この発電された電力は、電力変換部78を介してバッテリ79に供給される。
制御部85は、上述した制御部80と同様に、車両70に設けられた各種センサの検出結果に基づいて、内燃機関10、各モータジェネレータ71,73等を監視し、その状態に基づいて各種制御を実行する。
ところで、上述したように、クランキング時にカム軸22に対し交番トルクが作用してベーンロータ43とハウジング42とが相対回転する際には、その相対回転方向が周期的に反転するため、ロックピン51,61が凹部53,63の段部54,55,64,65に嵌入可能な位置にある状態と嵌入不能な位置にある状態とが繰り返される。
ここで、ロックピン51,61が、対応する段部54,55,64,65にそれぞれ嵌入可能な位置にある状態の継続期間TPを「嵌入可能な期間TP」とし(図5参照)、ロックピン51,61が、対応する段部54,55,64,65に嵌入するのに要する期間TLを「嵌入に要する期間TL」とする。
そして、嵌入可能な期間TPと嵌入に要する期間TLとを比較すると、嵌入可能な期間TPが嵌入に要する期間TLよりも短い場合には(TP<TL)、ロックピン51,61は、対応する段部54,55,64,65に嵌入することができない。そして、嵌入に要する期間TLにばらつきが存在することも考慮すれば、嵌入可能な期間TPが長くなるほど、ロックピン51,61は、対応する段部54,55,64,65に嵌入しやすくなる。すなわち、先の図4(a)〜(d)に示した状態にそれぞれ移行しやすくなり、ラチェット機構を通じて速やかにバルブタイミングを特定時期PMにまで進角させやすくなる。
そこで、本実施形態では、「始動時処理」として、図7に示した上記第1の実施形態の「始動時処理」のステップS230以降の処理を、図11に示すステップS300以降の処理に変更して実行するようにしている。なお、本実施形態においても、図6に示した「スタータ駆動処理」は、「始動時処理」に並行して実行される。すなわち、この「スタータ駆動処理」により、内燃機関10の始動要求があるときにクランキングが開始される(ステップS130)。本実施形態では、制御部85による第1のモータジェネレータ73の制御によりクランキングが開始される。このときのクランキング速度Rは、機関通常停止後の機関始動時に適した回転速度RA(通常回転速度RA)が設定される。
図11に示すように、図6のステップS220の判定処理により、クランキング開始後、第1の所定期間αが経過するまでに内燃機関10が完爆状態に移行しなかった旨判定される場合には(ステップS220:NO)、始動不良が発生した旨判定することができる。そして、こうした始動不良が発生する場合には、クランキング開始時にバルブタイミングが特定時期PMにない可能性があると判断することができる。したがって、この場合には、バルブタイミングが特定時期PMとは異なる時期にある状態に対応する始動不良時処理として、クランキング速度が低下される(ステップS300)。具体的には、クランキング速度Rが、始動不良の発生時に設定されていた上述した通常回転速度RAよりも低い不良時回転速度RBとなるように第1のモータジェネレータ73が制御される。この不良時回転速度RBは、例えば通常回転速度RAの半分の速度が設定される。
こうしてクランキング速度Rが低下されると、ベーンロータ43とハウジング42との相対回転速度が変化する。これにより、嵌入可能な期間TPを長くすることができるため、ロックピン51,61が、対応する段部54,55,64,65にそれぞれ嵌入しやすくなり、ラチェット機構を通じて速やかにバルブタイミングを特定時期PMにまで進角させやすくなる。
続いて、クランキング速度Rの低下後、第2の所定期間βが経過したか否かが判定される(ステップS310)。この第2の所定期間βは、上記第1の所定期間αにおいてバルブタイミングが特定時期PMにまで進角しなかった場合に、バルブタイミングを特定時期PMにまで進角させるべくさらに確保することが望ましい期間が予め設定されている(例えば3秒)。なお、本実施形態における第2の所定期間βは、上記第1の実施形態における第2の所定期間βと同一の期間を設定するようにしてもよいし、異なる期間を設定するようにしてもよい。
そして、クランキング速度Rの低下後、第2の所定期間βが経過していない旨判定される場合には(ステップS310:NO)、肯定判定が得られるまでステップS310の判定処理が一定の時間周期ごとに繰り返し実行される。
こうした判定処理を通じて、クランキング速度Rの低下後、第2の所定期間βが経過した旨判定される場合には(ステップS310:YES)、クランキング速度Rが通常回転速度RAに戻されて(ステップS320)、本処理は終了される。
次に、図12を参照して、上述した「スタータ駆動処理」及び「始動時処理」が実行されたときにおける機関始動時のバルブタイミング、クランキング速度R、機関回転速度NE、及び燃料噴射量QFの各変化態様を説明する。なお、図12には、バルブタイミングが特定時期PMにない機関異常停止後の機関始動要求時で且つ冷間始動時における各変化態様を示している。また、同図に示すバルブタイミング、機関回転速度NEの各変化態様は一例であって、内燃機関10の状態に応じて変化する。
図12に示すように、タイミングT31から燃料噴射を伴うクランキングが開始される。このときの燃料噴射量QFは通常噴射量QAに設定されるとともに、クランキング速度Rは通常回転速度RAに設定される。
そして、クランキング開始後、第1の所定期間αが経過したタイミングT32において、機関回転速度NEが完爆回転速度NSに達していないため(NE<NS)、クランキング速度Rが不良時回転速度RBに低下される。すなわち、上述した「始動時処理」のステップS220において否定判定がなされるため(ステップS220:NO)、始動不良時処理として第1のモータジェネレータ73によるクランキング速度Rが低下される(ステップS300)。これにより、ラチェット機構によるバルブタイミングの進角が促進されて、タイミングT33においてバルブタイミングが特定時期PMにまで進角する。
そして、クランキング速度Rの低下後、第2の所定期間βが経過したタイミングT34において、クランキング速度Rが通常時回転速度RAに戻される。その後、タイミングT35から機関回転速度NEが上昇して、タイミングT36において完爆状態に達すると、クランキングが停止される。
一方、一点鎖線で示すように、タイミングT32においてクランキング速度Rを低下させる始動不良時処理が実行されなかった場合には、バルブタイミングの進角が長期化する。そのため、バルブタイミングが特定時期PMにある状態でのクランキングが実行可能となるまでに長期間を要するため、内燃機関10が完爆状態に移行することが困難になる。
以上説明した第2の実施形態によれば、上記(1)、(2)、(4)、及び(5)に示した各作用効果を奏することができる他、以下の作用効果を奏することができる。
(6)内燃機関10の始動不良が発生したときに(ステップ220:NO)、始動不良時処理として、クランキング速度Rが通常時回転速度RA(始動不良の発生時のクランキング速度)から不良時回転速度RBに低下される(ステップS300)。これにより、ラチェット機構を通じてバルブタイミングを特定時期PMにロックされた状態に速やかに移行させることができる。そのため、機関始動可能なバルブタイミングのもとでのクランキングをより早い段階で行うことができるようになる。
(第3の実施形態)
次に、図13を参照して、本発明にかかる内燃機関の制御装置を具体化した第3の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。本実施形態では、上記第1の実施形態の図1に示したエンジンスイッチ81に代えて、図1に示すイグニッションスイッチ90が設けられている。イグニッションスイッチ90は、運転者により操作されるイグニッションキー(図示略)の4つの切替位置(オン、オフ、アクセサリ、スタート)に応じた信号を出力する。そして、スタータ32は、イグニッションスイッチ90から送信されるスタート信号STSWに基づき駆動される。換言すると、運転者によりイグニッションキーがスタート位置に操作されている間、スタータ32は駆動される。また、本実施形態では、上記第1の実施形態の図6に示した「スタータ駆動処理」及び図7に示した「始動時処理」に代えて、図13に示す「始動時処理」が実行される。
図13に示す「始動時処理」は、運転者によりイグニッションキーがオン位置に操作される毎に1回開始される。
本処理では、まず、始動不良フラグFfailが「ON」であるか否かが判定される(ステップS400)。具体的には、メモリ80Aに記憶された始動不良フラグFfailの情報を参照することにより判定される。この始動不良フラグFfailは、初期値が「OFF」に設定されている。
ここで、始動不良フラグFfailが「OFF」である旨判定される場合には(ステップS400:NO)、クランキングの開始と同時に、燃料噴射が開始される(ステップS401)。具体的には、イグニッションスイッチ90からのスタート信号STSWの送信に伴い、スタータ32によりクランキングが開始される。そして、このクランキングの開始と同時に燃料噴射弁13により燃料噴射が開始される。なお、このときのクランキング速度Rは回転速度RAに設定される。また、燃料噴射量QFは通常噴射量QAに設定される。
続いて、油温TOILが所定温度TC以下であるか(TOIL≦TC)否かが判定される(ステップS402)。本ステップの処理は、上記ステップS210の処理と同様である。そして、油温TOILが所定温度TCよりも高い(TOIL>TC)旨判定される場合には(ステップS402:NO)、例えバルブタイミングが特定時期PMにない場合であっても、機関始動を完了させることができる可能性が高いと判断することができるため、本処理は終了される。
一方、油温TOILが所定温度TC以下である(TOIL≦TC)旨判定される場合には(ステップS402:YES)、続いて、クランキング開始後、第1の所定期間αが経過するまでに内燃機関10が完爆状態に移行したか否かが判定される(ステップS403)。具体的には、クランク角センサ82の検出結果に基づき、第1の所定期間αが経過するまでに機関回転速度NEが完爆回転速度NSに達した(NE≧NS)旨判定される場合に、内燃機関10が完爆状態に移行した旨判定される。
そして、ステップS403の処理において肯定判定がなされる場合には(ステップS403:YES)、機関始動が良好に完了したと判断することができるため、本処理は終了される。
一方、クランキング開始後、第1の所定期間αが経過するまでに内燃機関10が完爆状態に移行しなかった(NE<NS)旨判定される場合には(ステップS403:NO)、始動不良が発生した旨判断することができる。そのため、始動不良フラグFfailが「ON」に設定されて(ステップS404)、本処理は終了される。この始動不良フラグFfailは、制御部80のメモリ80Aに保存される。このメモリ80Aが、始動不良が発生したときにその履歴を記憶する記憶手段として機能する。その後、運転者によりイグニッションキーがスタート位置とは異なる位置に操作されたときにスタータ32は停止されてクランキングが停止される。
そして、運転者によりイグニッションキーが操作されて再びステップS400からの判定処理が開始されると、ステップS400の判定処理において肯定判定がなされる(ステップS400:YES)。これにより、ステップS405に移行して、油温TOILが所定温度TC以下であるか(TOIL≦TC)否かが判定される(ステップS405)。本ステップS405での処理は、上記ステップS402の処理と同様である。
そして、油温TOILが所定温度TC以下である(TOIL≦TC)旨判定される場合には(ステップS405:YES)、燃料噴射が停止された状態でクランキングが開始される(ステップS406)。すなわち、前回の機関始動に始動不良が発生した旨の履歴として、始動不良フラグFfailが「ON」であることがメモリ80Aに記憶されているため、クランキング開始時から、始動不良時処理として燃料噴射が停止される。具体的には、イグニッションスイッチ90からスタート信号STSWが送信されるときに、燃料噴射量QFは「0」に設定される一方、スタータ32が駆動されてクランキング速度Rが回転速度RAに設定されてクランキングが開始される。
続いて、燃料噴射が停止されてから第2の所定期間βが経過したか否かが判定される(ステップS407)。本ステップでの判定処理は、上記ステップS240での判定処理(図7参照)と同様である。
そして、燃料噴射が停止されてから第2の所定期間βが経過していない旨判定される場合には(ステップS407:NO)、肯定判定が得られるまでステップS407の判定処理が一定の時間周期ごとに繰り返し実行される。
こうした判定処理を通じて、燃料噴射が停止されてから第2の所定期間βが経過した旨判定される場合には(ステップS407:YES)、燃料噴射が実行される(ステップS408)。すなわち、燃料噴射量QFが通常噴射量QAに設定される。そして、始動不良フラグFfailが初期値である「OFF」に設定されて(ステップS409)、この情報がメモリ80Aで記憶され、本処理が終了される。
ところで、上記ステップS405の判定処理において油温TOILが所定温度TCよりも高い(TOIL>TC)旨判定される場合には(ステップS405:NO)、例え前回の機関始動の際において始動不良が発生し、始動不良フラグFfailが「ON」に設定されている場合であっても、外気温が上昇した等の何らかの理由により、今回の機関始動は冷間始動時ではないと判断することができる。したがって、クランキング開始と同時に燃料噴射が開始されるとともに(ステップS410)、始動不良フラグFfailが初期値の「OFF」に設定されて(ステップS409)、本処理は終了される。
なお、上記ステップS401においてクランキングが開始された後、上述した第1の所定期間αが経過するまでに、運転者によりイグニッションキーがスタート位置とは異なる位置に操作された場合には、スタータ32は停止されてクランキングが停止されるとともに、図13に示す「始動時処理」は終了される。
以上説明した第3の実施形態によれば、上記(1)〜(5)に示した各作用効果を奏することができる。
(その他の実施形態)
なお、この発明にかかる内燃機関の制御装置は、上述した各実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、それら実施形態を適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記各実施形態における第1の所定期間α、第2の所定期間β、一定期間TS、所定温度TC等の設定態様は一例であって、適宜変更することができる。
・上記各実施形態では、水温センサ84の検出結果に基づき油温TOILを把握するとともに、この油温TOILが所定温度TC以下であるときに(TOIL≦TC)、機関温度が予め設定された所定温度以下である冷間始動時である旨判定する例を示した。しかし、冷間始動時である旨判定する方法としては、上述した例に限られない。例えば、油温TOILを検出する油温センサを設けることにより冷間始動時である旨判定したり、機関冷却水温TWを予め設定された所定温度と比較することにより冷間始動時である旨判定したりしてもよい。
・上記第1の実施形態及び第3の実施形態では、始動不良時処理として燃料噴射を停止する例を示した。これに対し、始動不良が発生した旨判断されるときに、始動不良の発生時の燃料噴射量(通常噴射量)QAよりも減量した燃料噴射量QB(QB<QA)を燃料噴射量QFとして設定するようにしてもよい。この場合であっても、点火プラグ14に付着する未燃燃料の量を減少させることができるため、上述した各作用効果を奏することができる。
・さらに、始動不良が発生した旨判断されるときの燃料噴射量QFの減量量はこれを一定とする他、油温TOILに応じて変更することも望ましい。すなわち、油温TOILが高いときほどその粘性が低くなるため、ハウジング42とベーンロータ43とが相対回転する際に生じる作動油の抵抗力が減少する。このため、交番トルクがカム軸22に作用したときに生じるハウジング42とベーンロータ43との相対回転量が大きくなり、ラチェット機構を通じてバルブタイミングを特定時期PMまで自律的に変更する際に必要な時間も短くなる。一方、燃料噴射量QFの減量量を小さくすれば、噴射燃料の燃焼爆発を通じてクランク軸17に作用しこれを回転させようとするトルクが増大するため、内燃機関10が完爆状態に移行しやすくなる。このため、油温TOILが高いときほど、すなわちラチェット機構を通じてバルブタイミングを特定時期PMまで自律的に変更する際に必要な時間が短いときほど、燃料噴射量QFの減量量を小さくすることにより、点火プラグ14に未燃燃料が付着して機関始動性の悪化が助長されることを抑制しつつ、クランキング開始時から内燃機関10が完爆状態に移行するまでの時間を短縮することができる。
・上記第2の実施形態において示したクランキング速度Rの低下度合いについても一例であって、適宜変更することが可能である。具体的には、クランキング速度Rの低下度合いがラチェット機構を通じた自律的なバルブタイミングの変更に対して寄与する度合いと、クランキングによる機関回転速度NEの上昇効率に影響する度合いとを考慮して、好適なクランキング速度Rの低下度合いを決定することが望ましい。
・さらに、始動不良が発生した旨判断されるときにおけるクランキング速度Rの低下度合いは一定とする他、油温TOILに応じて変更することも望ましい。すなわち、クランキング速度Rの低下度合いが大きくなるほど、ラチェット機構を通じてバルブタイミングを特定時期PMまで自律的に変更させやすくなる。一方、クランキング速度Rの低下度合いが小さくなるほど、内燃機関10が完爆状態に移行しやすくなる。このため、油温TOILが高いときほど、すなわちラチェット機構を通じてバルブタイミングを特定時期PMまで自律的に変更する際に必要な時間が短いときほど、クランキング速度Rの低下度合いを小さくすることにより、ラチェット機構によるバルブタイミングの変更を速やかにしつつ、クランキング開始時から内燃機関10が完爆状態に移行するまでの時間を短縮することができる。例えば、油温TOILが上記第2の実施形態よりも高いときに、クランキング速度Rの低下度合いを上記第2の実施形態における低下度合いよりも小さく設定することもできる。
・上記各実施形態では、始動不良時処理として、燃料噴射量QFの減量、又はクランキング速度Rの低下のいずれかの処理を実行する例を示した。これに対し、始動不良が発生した旨判定されるときに、燃料噴射量QFの減量と、クランキング速度Rの低下とを併せて実行するようにしてもよい。この場合には、点火プラグ14に未燃燃料が付着して機関始動性の悪化が助長されることを抑制しつつ、バルブタイミングを速やかに特定時期PMに変更することができるため、内燃機関10がより完爆状態に移行しやすくなる。
・上記各実施形態では、冷間始動時であるときに始動不良が発生したか否かの監視及び始動不良時処理を実行する例を示した。これに対し、冷間始動時であるか否かにかかわらず、始動不良が発生したか否かの監視及び始動不良時処理を実行するようにしてもよい。この場合であっても、上記(1)〜(3)、(5)、(6)に示した各作用効果を奏することができる。
・上記各実施形態では、始動不良時処理を第2の所定期間β実行した後は、燃料噴射量QF又はクランキング速度Rを通常の値に戻して図7、図11、又は図13に示す「始動時処理」を終了する例を示した。これに対し、始動不良時処理の実行後、燃料噴射量QF又はクランキング速度Rを通常の値に戻した上で、さらに内燃機関10が完爆状態に移行するか否かを再度監視するようによい。
・上記第2の実施形態では、内燃機関10がハイブリッド車両70に搭載されるとともに、このハイブリッド車両70の第1のモータジェネレータ73によりクランキング速度Rが可変制御される例を示した。しかし、車両の駆動源として内燃機関10のみが搭載されている場合であっても、クランキング速度Rを変更することのできるスタータ32を設けることにより、始動不良時処理としてクランキング速度Rを低下させる処理を実行することができる。
・上記各実施形態では、特定時期PMよりも遅角側にあるバルブタイミングを進角させる機構としてラチェット機構を構成する例を示した。これに対し、特定時期PMよりも進角側にあるバルブタイミングを遅角させる機構も併せて有するようにラチェット機構を構成するようにしてもよい。
・また、上記各実施形態では、ロック機構48が進角ロック機構50と遅角ロック機構60とにより構成される例を示した。これに対し、単一のロック機構によりロック機構48が構成されていてもよい。この場合であっても、深さが異なる複数の段部を凹部に形成することにより、ロックピンと複数の段部とにより、バルブタイミングを自律的に変更することのできるラチェット機構を構成することが可能である。したがって、上述した各作用効果を奏することができる。
・さらに、可変動弁装置のロック機構にラチェット機構を設けないようにすることもできる。この場合であっても、少なくとも上記(1)に示した作用効果を奏することができる。
・上記各実施形態では、オイルポンプ30により作動油が可変動弁装置20に供給される例を示した。これに対し、例えば特開2004−108370号公報に示されるような可変動弁装置、すなわち、カムトルク変動に基づき進角室及び遅角室に給排される作動油の圧力によりバルブタイミングが可変制御される油圧駆動式の可変動弁装置を備えた内燃機関の制御装置として、本発明を具体化することも可能である。
・上記実施形態では、凹部53,63がカバー40に形成された例を示したが、凹部53,63をスプロケット41に形成するようにしてもよい。
・また、上記実施形態では、ベーンロータ43に設けられたロックピン51,61が先端側ZA及び基端側ZBに往復動するとともに、これらロックピン51,61がそれぞれ嵌入する凹部53,63がカバー40に形成された例を示した。これに対し、ベーンロータ43の外周面から突出する態様でロックピンを設ける一方、このロックピンが嵌入する凹部をハウジング42の内周面に設ける構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、スプロケット41がクランク軸17に駆動連結され、ベーンロータ43がカム軸22に駆動連結された例を示した。しかし、スプロケット41がカム軸22に駆動連結され、ベーンロータ43がクランク軸17に駆動連結されるように可変動弁装置20を構成してもよい。この場合であっても、上述した各作用効果を奏することができる。
・上記各実施形態では、ロック機構48(固定機構)として、ロックピンを凹部に嵌入させて第1の回転体と第2の回転体との相対回転を規制することによりバルブタイミングを特定時期に機械的にロックする構成が採用されていたが、電動式の固定機構を採用してもよい。この場合であっても、クランキング開始時にバルブタイミングが特定時期にない場合には、機関始動性が悪化するという問題が生じるため、本発明が適用されることにより、少なくとも上記(1)に示した作用効果を奏することができる。
・上記各実施形態では、作動油の油圧に基づき第1の回転体と第2の回転体とを相対回転させることによりバルブタイミングを変更する油圧駆動式の可変機構20Aが採用されていたが、電動式の可変機構を採用してもよい。この場合であっても、クランキング開始時にバルブタイミングが特定時期にない場合には、機関始動性が悪化するという問題が生じるため、本発明が適用されることにより、少なくとも上記(1)に示した作用効果を奏することができる。
・上記実施形態では、吸気バルブ21のバルブタイミングを変更する可変動弁装置20を備える内燃機関の制御装置として具体化した例を示したが、排気バルブ23のバルブタイミングを変更する可変動弁装置を備える内燃機関の制御装置として本発明を具体化することも可能である。また、吸気バルブ21のバルブタイミングを変更する可変動弁装置、及び排気バルブ23のバルブタイミングを変更する可変動弁装置のいずれも備える内燃機関の制御装置として本発明を具体化することも可能である。
10…内燃機関、10A…気筒、11…ピストン、12…燃焼室、13…燃料噴射弁、14…点火プラグ、15…吸気通路、16…排気通路、17…クランク軸、20,100…可変動弁装置、20A…可変機構、21…吸気バルブ、22,200…吸気用カム軸、23…排気バルブ、24…排気用カム軸、25…オイルコントロールバルブ、26…作動油通路、30…オイルポンプ、31…オイルパン、32…スタータ(機関始動装置)、33…バッテリ、40…カバー(第2の回転体)、41,101…スプロケット(第2の回転体)、42,102…ハウジング(第2の回転体)、43,103…ベーンロータ(第1の回転体)、43A…ボス、43B,103A…ベーン、44…区画部、45,105…収容室、46,106…進角室、47,107…遅角室、48,110…ロック機構(固定機構)、50…進角ロック機構、51…第1のロックピン、52…第1のばね、53…第1の凹部、54…第1の上段部、55…第1の下段部、56、66…ベーン孔、57…第1の解除室、58…第1のばね室、60…遅角ロック機構、61…第2のロックピン、62…第2のばね、63…第2の凹部、64…第2の上段部、65…第2の下段部、67…第2の解除室、68…第2のばね室、70…ハイブリッド車両、71…第2のモータジェネレータ、72…動力分割機構、73…第1のモータジェネレータ(機関始動装置)、74…減速機、75…車軸、76…駆動輪、77…モータリダクション機構、78…電力変換部、79…バッテリ、80、85…制御部(制御装置)、80A…メモリ、81…エンジンスイッチ、82…クランク角センサ、83…カム角センサ、84…水温センサ、90…イグニッションスイッチ、111…ロックピン、112…凹部、113…ばね、114…解除室。

Claims (7)

  1. クランク軸及びカム軸の一方と同期して回転する第1の回転体及びそれらの他方と同期
    して回転する第2の回転体を有し、それら両回転体を相対回転させることにより前記カム
    軸にて開閉駆動されるバルブのバルブタイミングを変更する可変機構と、前記両回転体の
    相対回転を規制することによりバルブタイミングを最遅角時期及び最進角時期の間の特定
    時期に固定可能な固定機構とを備える可変動弁装置を備えた内燃機関の制御装置において

    燃料噴射をともなうクランキングが開始されてからの経過期間を始動後期間として、こ
    の始動後期間が第1の所定期間α以上かつ機関回転速度が所定値以下のとき、すなわち完
    爆状態に移行しない始動不良が発生しているとき、前記バルブタイミングが前記特定時期
    とは異なる時期にある状態に対応した始動不良時処理を実行し、
    前記始動不良時処理は、前記始動不良の発生が判定されたときの燃料噴射量よりも前記
    始動不良の発生が判定された後の前記燃料噴射量を減量する
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記可変機構は、作動油の油圧に基づき両回転体を相対回転させることによりバルブタ
    イミングを変更するものであり、
    前記固定機構は、前記第1の回転体に設けられたロックピンと、前記第2の回転体に設
    けられて前記ロックピンが嵌入する凹部とを有し、前記ロックピンを前記凹部に嵌入させ
    ることにより前記両回転体の相対回転を機械的にロックしてバルブタイミングを前記特定
    時期にロックする一方、前記凹部から抜脱することにより前記両回転体を相対回転可能な
    状態とするものである
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. クランク軸及びカム軸の一方と同期して回転する第1の回転体及びそれらの他方と同期
    して回転する第2の回転体を有し、それら両回転体を相対回転させることにより前記カム
    軸にて開閉駆動されるバルブのバルブタイミングを変更する可変機構と、前記両回転体の
    相対回転を規制することによりバルブタイミングを最遅角時期及び最進角時期の間の特定
    時期に固定可能な固定機構とを備える可変動弁装置を備えた内燃機関の制御装置において、
    前記可変機構は、作動油の油圧に基づき両回転体を相対回転させることによりバルブタ
    イミングを変更するものであり、
    前記固定機構は、前記第1の回転体に設けられたロックピンと、前記第2の回転体に設
    けられて前記ロックピンが嵌入する凹部とを有し、前記ロックピンを前記凹部に嵌入させ
    ることにより前記両回転体の相対回転を機械的にロックしてバルブタイミングを前記特定
    時期にロックする一方、前記凹部から抜脱することにより前記両回転体を相対回転可能な
    状態とするものであり、
    燃料噴射をともなうクランキングが開始されてからの経過期間を始動後期間として、こ
    の始動後期間が第1の所定期間α以上かつ機関回転速度が所定値以下のとき、すなわち完
    爆状態に移行しない始動不良が発生しているとき、前記バルブタイミングが前記特定時期
    とは異なる時期にある状態に対応した始動不良時処理を実行し、
    前記始動不良時処理は、機関始動装置によりクランク軸を回転させる際のクランキング
    速度を前記始動不良の発生が判定されたときの前記クランキング速度よりも前記始動不良
    の発生が判定された後の前記クランキング速度を低下させる
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  4. 前記固定機構は、クランキング実行時にバルブタイミングを前記特定時期とは異なる時
    期から同特定時期まで変更するものである
    請求項2または3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記凹部は前記第2の回転体の周方向に沿って配置されてその深さが異なる複数の段部
    を有し、前記複数の段部及び前記ロックピンは、前記カム軸に作用する交番トルクに基づ
    き生じる前記両回転体の相対回転により前記複数の段部に前記ロックピンが順次嵌入する
    ことによりバルブタイミングを前記特定時期とは異なる時期から同特定時期まで段階的に
    変更するラチェット機構として機能する
    請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 機関温度が予め設定された所定温度以下である冷間始動時であることを条件に前記始動
    不良時処理を実行する
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記始動不良が発生したときにその履歴を記録する記憶手段をさらに備え、
    前回の機関始動に前記始動不良が発生した旨の履歴が前記記憶手段に記録されているこ
    とを条件に次回の機関始動に際してクランキング開始時から前記始動不良時処理を実行す

    請求項1〜6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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