JP2012036735A - 車載内燃機関制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】機関停止時に入力回転体と出力回転体とが互いに係合されなかった場合であれ、機関始動時に入力回転体と出力回転体とを好適に係合させることができる。
【解決手段】ハイブリッド車両に搭載される内燃機関は、ハウジングロータとベーンロータとの相対回転位相を油圧によって変更することにより吸気バルブの開閉タイミングを変更するとともに、これらロータの相対回転位相が最遅角タイミングよりも進角側の所定タイミングに対応する所定回転位相となる状態にてこれらロータを固定機構により互いに固定するバルブタイミング可変機構を備える。電子制御装置は、機関始動に際して、共振範囲(400rpm≦NE≦500rpm)の上限値よりも大きいクランキング回転速度Ncrnkまでクランキングを行なう一方、クランキング回転速度Ncrnkまで機関回転速度NEを上昇させる際に、共振範囲の下限値よりも小さい所定回転速度N1にて機関回転速度NEを所定期間にわたり保持する。
【選択図】図9
【解決手段】ハイブリッド車両に搭載される内燃機関は、ハウジングロータとベーンロータとの相対回転位相を油圧によって変更することにより吸気バルブの開閉タイミングを変更するとともに、これらロータの相対回転位相が最遅角タイミングよりも進角側の所定タイミングに対応する所定回転位相となる状態にてこれらロータを固定機構により互いに固定するバルブタイミング可変機構を備える。電子制御装置は、機関始動に際して、共振範囲(400rpm≦NE≦500rpm)の上限値よりも大きいクランキング回転速度Ncrnkまでクランキングを行なう一方、クランキング回転速度Ncrnkまで機関回転速度NEを上昇させる際に、共振範囲の下限値よりも小さい所定回転速度N1にて機関回転速度NEを所定期間にわたり保持する。
【選択図】図9
Description
本発明は、駆動輪に動力を出力可能な駆動源として内燃機関と例えば電動機とを併せ備えるハイブリッド車両に適用されて、機関バルブの開閉タイミングを変更する油圧式のバルブタイミング可変機構を備える内燃機関の制御装置に関する。
この種のハイブリッド車両に適用される内燃機関制御装置としては、例えば特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載のものも含め従来一般の車載内燃機関制御装置の搭載される車両では、駆動輪に動力を出力可能な駆動源として内燃機関と電動機とを併せ備えている。
こうした車両では、内燃機関の出力軸であるクランクシャフトに、発電機としての機能と電動機としての機能とを併せ有するモータジェネレータが連結されている。そして、内燃機関の始動に際して、始動時燃料噴射に先立ち、モータジェネレータによりクランクシャフトの回転駆動、すなわちクランキングが行なわれる。
また、機関バルブの開閉タイミングを変更するバルブタイミング可変機構を備える内燃機関が周知である(例えば特許文献2参照)。バルブタイミング可変機構は、クランクシャフトからタイミングチェーンを介して伝達される動力が入力されるハウジングロータと、同ハウジングロータの内部に設けられるとともに機関バルブに動力を出力するカムシャフトに連結されるベーンロータとを有している。そして、ハウジングロータとベーンロータとの相対回転位相を油圧によって変更することにより機関バルブの開閉タイミングが変更されるようになっている。また、バルブタイミング可変機構への油圧の供給態様は、オイルコントロールバルブにより制御される。
また、バルブタイミング可変機構には、ハウジングロータとベーンロータとの相対回転位相が所定回転位相となる状態にてこれらハウジングロータとベーンロータとを互いに固定する固定機構が設けられている。ここで、所定回転位相は、機関バルブの開閉タイミングを最遅角タイミングよりも進角側の所定のタイミングに対応する位相とされている。そして、機関停止時に、ハウジングロータとベーンロータとを固定機構により互いに固定しておくことで、次の機関始動時に機関バルブの開閉タイミングを上記所定タイミングに維持することができ、内燃機関の始動性の向上を図ることができる。
ところで、上述したハイブリッド車両では、内燃機関のクランキングのみを行なう電動機、所謂スタータモータを備える車両に比べて、内燃機関のクランキングを行なうための電動機(ここではモータジェネレータ)の回転子の質量が遙かに大きいものとなっている。そして、このように質量の大きい回転子がクランクシャフトに連結されているために、これら回転子とクランクシャフトとのねじり共振が生じやすい。またこうしたねじり共振は、機関回転速度NEが所定の共振範囲内(例えば400rpm≦NE≦500rpm)にあるときに生じる。そこで、例えば先の特許文献1に記載の技術では、図11に示すように、内燃機関の始動に際して、上記共振範囲の上限値(この場合、500rpm)よりも大きいクランキング回転速度Ncrnk(例えば1000rpm)までクランキングを行なうとともに、機関回転速度NEが上記共振範囲を素早く通過するように電動機のトルク制御を行なっている。これにより、上述したねじり共振に起因して乗員に与えられる違和感の軽減を図るようにしている。
ところで、例えばハウジングロータとベーンロータとの相対回転位相が所定回転位相から大きくずれている場合には、機関停止時にこれらロータの相対回転位相が所定回転位相とならず、これらロータを互いに固定させることができないまま内燃機関が停止状態となることがある。この場合、ハイブリッド車両に適用される内燃機関制御装置にあって、次に機関始動を行なう際に、内燃機関とモータジェネレータとの共振範囲の上限値よりも高いクランキング回転速度Ncrnkまで素早く機関回転速度NEを上昇させると、以下の問題の発生が懸念される。すなわち、機関始動時には、機関回転速度NEが早期にクランキング回転速度Ncrnkとなることと、オイルポンプから吐出されるオイルの圧力が低く、バルブタイミング可変機構に供給される油圧が低い状態となっていることとから、機関バルブの開閉タイミングが最遅角タイミングとなる位置にてベーンロータがハウジングロータに押し当てられた状態が維持される。従って、ハウジングロータとベーンロータとの相対回転位相が上記所定回転位相にはならず、これらロータを互いに固定することができないといった問題が生じるおそれがある。
尚、こうした問題は、内燃機関のクランキングを行なうための電動機としてモータジェネレータを備えるものに限られるものではない。内燃機関の始動に際して、内燃機関と電動機との共振が生じる機関回転速度の範囲である共振範囲の上限値よりも大きいクランキング回転速度まで内燃機関のクランキングを行なうべく電動機への通電制御を行なうものであれば、概ね共通したものとなっている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、機関停止時に入力回転体と出力回転体とが互いに係合されなかった場合であれ、機関始動時に入力回転体と出力回転体とを好適に係合させることのできる車載内燃機関制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、駆動輪に動力を出力可能な駆動源として内燃機関及び内燃機関以外の他の駆動源を備えるハイブリッド車両に適用されて、内燃機関からの動力が入力される入力回転体と、機関バルブに動力を出力する出力回転体とを有し、前記入力回転体と前記出力回転体との相対回転位相を油圧によって変更することにより機関バルブの開閉タイミングを変更するバルブタイミング可変機構であって、前記入力回転体と前記出力回転体との相対回転位相が前記機関バルブの開閉タイミングにおける最遅角タイミングよりも進角側の所定タイミングに対応する所定回転位相となる状態にてこれら入力回転体と出力回転体とを互いに係合させる係合機構を有する油圧式のバルブタイミング可変機構と、前記バルブタイミング可変機構への油圧の供給態様を制御する油圧制御機構と、内燃機関の出力軸に連結されて内燃機関のクランキングを行なう電動機と、内燃機関の始動に際して、内燃機関と前記電動機との共振が生じる機関回転速度の範囲である共振範囲の上限値よりも大きいクランキング回転速度まで内燃機関のクランキングを行なうべく前記電動機への通電制御を行なう電動機制御部と、を備える車載内燃機関の制御装置であって、前記電動機制御部は、前記クランキング回転速度までクランキングを行なう際に、機関回転速度の上昇開始後であって機関回転速度が前記共振範囲の下限値よりも小さい所定範囲内にあるときに機関回転速度の上昇速度を同所定範囲の下限値よりも低いときに比べて小さくすることをその要旨としている。
(1)請求項1に記載の発明は、駆動輪に動力を出力可能な駆動源として内燃機関及び内燃機関以外の他の駆動源を備えるハイブリッド車両に適用されて、内燃機関からの動力が入力される入力回転体と、機関バルブに動力を出力する出力回転体とを有し、前記入力回転体と前記出力回転体との相対回転位相を油圧によって変更することにより機関バルブの開閉タイミングを変更するバルブタイミング可変機構であって、前記入力回転体と前記出力回転体との相対回転位相が前記機関バルブの開閉タイミングにおける最遅角タイミングよりも進角側の所定タイミングに対応する所定回転位相となる状態にてこれら入力回転体と出力回転体とを互いに係合させる係合機構を有する油圧式のバルブタイミング可変機構と、前記バルブタイミング可変機構への油圧の供給態様を制御する油圧制御機構と、内燃機関の出力軸に連結されて内燃機関のクランキングを行なう電動機と、内燃機関の始動に際して、内燃機関と前記電動機との共振が生じる機関回転速度の範囲である共振範囲の上限値よりも大きいクランキング回転速度まで内燃機関のクランキングを行なうべく前記電動機への通電制御を行なう電動機制御部と、を備える車載内燃機関の制御装置であって、前記電動機制御部は、前記クランキング回転速度までクランキングを行なう際に、機関回転速度の上昇開始後であって機関回転速度が前記共振範囲の下限値よりも小さい所定範囲内にあるときに機関回転速度の上昇速度を同所定範囲の下限値よりも低いときに比べて小さくすることをその要旨としている。
同構成によれば、内燃機関の始動に際して、機関回転速度が共振範囲を素早く通過するように内燃機関のクランキング開始から機関回転速度を単純に増大させる制御構成に比べて、機関回転速度が上記共振範囲の下限値よりも小さい所定範囲内にある期間を長くすることができる。ここで、機関回転速度が小さいときほど、内燃機関の出力軸の回転変動量が大きくなり、入力回転体と出力回転体との相対回転位相の変動量が大きくなる。このため、入力回転体と出力回転体との相対回転位相が上記所定回転位相となる機会、すなわち、これら回転体が互いに係合される機会を増大させることができる。また、機関回転速度が上記所定範囲内にあるときには内燃機関と電動機との共振が生じることはない。従って、機関停止時に入力回転体と出力回転体とが互いに係合されなかった場合であれ、機関始動時に入力回転体と出力回転体とを好適に係合させることができるようになる。
(2)請求項1に記載の発明は、請求項2に記載の発明によるように、内燃機関のクランキングを行なう電動機は、発電機としても機能するモータジェネレータであるといった態様をもって具体化することができる。
(3)請求項1又は請求項2に記載の発明は、請求項3に記載の発明によるように、前記油圧制御機構は、内燃機関からの動力により駆動されるポンプと前記バルブタイミング可変機構との間に設けられて同バルブタイミング可変機構への油圧の供給態様を制御する制御弁を含むといった態様をもって具体化することができる。こうした油圧制御機構を備える内燃機関にあって、機関始動時には、オイルポンプから吐出される油圧が低く、バルブタイミング可変機構に供給される油圧が低い状態となっていることとから、早期にクランキング回転速度に到達するまで機関回転速度を上昇させることとすると、出力回転体が入力回転体に当接して機関バルブの開閉タイミングが最遅角タイミングに維持されやすくなる。そして、入力回転体と出力回転体との相対回転位相が、機関バルブの開閉タイミングが最遅角タイミングとなる状態に維持される。そして、入力回転体と出力回転体との相対回転位相が上記所定回転位相にはならず、これら回転体を互いに係合させることができないといった問題が生じやすい。この点、こうした油圧制御機構を備える内燃機関の制御装置に対して、請求項1に記載の発明を適用すれば、機関停止時に入力回転体と出力回転体とが互いに係合されなかった場合であれ、機関始動時に入力回転体と出力回転体とを好適に係合させることができるようになる。
(4)請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明は、請求項4に記載の発明によるように、前記電動機制御部は、前記所定範囲内の所定回転速度にて機関回転速度を一時的に保持するといった態様をもって具体化することができる。この場合、クランキング回転速度まで機関回転速度を上昇させる際に、機関回転速度の上昇開始後であって機関回転速度が共振範囲の下限値よりも小さい所定範囲内にあるときに機関回転速度の上昇速度を同共振範囲の下限値よりも低いときに比べて小さくするといった請求項1に係る発明を簡易且つ的確に実現することができるようになる。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の車載内燃機関制御装置において、前記電動機制御部は、前記所定回転速度にて機関回転速度を所定期間にわたり保持することをその要旨としている。
同構成によれば、所定回転速度にて機関回転速度が所定期間にわたり保持されることから、入力回転体と出力回転体との相対回転位相が上記所定回転位相となる機会、すなわち、これら回転体が互いに係合される機会を的確に増大させることができる。従って、機関停止時に入力回転体と出力回転体とが互いに係合されなかった場合であれ、機関始動時に入力回転体と出力回転体とを的確に係合させることができるようになる。
以下、図1〜図9を参照して、本発明に係る車載内燃機関制御装置をパラレル型ハイブリッド車両に適用される内燃機関制御装置として具体化した一実施形態について詳細に説明する。
図1に、本実施形態におけるパラレル型ハイブリッド車両(以下、「車両」1)の概略構成を示す。
図1に示すように、車両1は、駆動輪6を回転させる動力源として内燃機関10及びモータジェネレータ(以下、第2のモータジェネレータと称する)MG2を備えている。内燃機関10から出力される動力は、動力分割機構3、減速機4、及び車軸5を介して駆動輪6に伝達される。また、第2のモータジェネレータMG2から出力される動力は、モータリダクション機構7、減速機4、及び車軸5を介して駆動輪6に伝達される。尚、本実施形態の車両1は、前輪が駆動輪6とされるとともに、後輪が従動輪とされている。
図1に示すように、車両1は、駆動輪6を回転させる動力源として内燃機関10及びモータジェネレータ(以下、第2のモータジェネレータと称する)MG2を備えている。内燃機関10から出力される動力は、動力分割機構3、減速機4、及び車軸5を介して駆動輪6に伝達される。また、第2のモータジェネレータMG2から出力される動力は、モータリダクション機構7、減速機4、及び車軸5を介して駆動輪6に伝達される。尚、本実施形態の車両1は、前輪が駆動輪6とされるとともに、後輪が従動輪とされている。
内燃機関10から出力された動力は、動力分割機構3により、駆動輪6に伝達する動力と第1のモータジェネレータMG1に伝達する動力とに分割される。第1のモータジェネレータMG1は、内燃機関10から出力された動力によって発電するとともに、この発電された電力は電力変換部8を介してバッテリ9に供給されることで同バッテリ9の充電が行なわれる。具体的には、第1のモータジェネレータMG1は、その回転子が内燃機関10の出力軸であるクランクシャフトに対して連結・遮断可能に設けられており、内燃機関10の始動時には、バッテリ9から供給される電力によって第1のモータジェネレータMG1が出力する動力により内燃機関10のクランキングが行なわれる。
一方、第2のモータジェネレータMG2は、バッテリ9から供給される電力によって動力を出力する。また、第2のモータジェネレータMG2は、車両1の減速時や制動時等に駆動輪6の回転力によって発電するとともに、この発電された電力は、電力変換部8を介してバッテリ9に供給されることで同バッテリ9の充電が行なわれる。
電力変換部8はインバータ及びコンバータ等を備えて構成されており、各モータジェネレータMG1、MG2から供給される交流電力を直流電力に変換するとともにその電圧をバッテリ9の電圧レベルに変換して同バッテリ9に供給する。また、電力変換部8は、バッテリ9から供給される直流電力を交流電力に変換するとともに昇圧して各モータジェネレータMG1、MG2に供給する。
制御装置90は、電子制御装置91や各種センサを備えており、内燃機関10、各モータジェネレータMG1、MG2、及び電力変換部8を含む各種装置の制御を行う。
図2に、内燃機関の全体構成を示す。
図2に、内燃機関の全体構成を示す。
図2に示すように、内燃機関10は、シリンダブロック13、シリンダヘッド14、及びオイルパン15を有する機関本体12と、シリンダヘッド14に設けられた動弁系の各要素を有する可変動弁装置20と、機関本体12や可変動弁装置20等にオイルを供給する油圧制御装置50とを備えている。
可変動弁装置20は、燃焼室16を開閉する吸気バルブ21及び排気バルブ23と、吸気バルブ21を開閉駆動する吸気カムシャフト22及び排気バルブ23を開閉駆動する排気カムシャフト24と、クランクシャフト17に対する吸気カムシャフト22の回転位相、すなわちクランクシャフト17と吸気カムシャフト22との相対回転位相を変更して吸気バルブ21の開閉タイミングVTを変更するバルブタイミング可変機構30と、を備えている。
油圧制御装置50は、オイルパン15内のオイルを吸引して吐出する機関駆動式のオイルポンプ52と、オイルポンプ52から吐出されたオイルを内燃機関10の各部位に供給するオイル路51と、バルブタイミング可変機構30へのオイルの供給態様を制御するオイルコントロールバルブ60とを備えている。
ここで、図3を参照して、バルブタイミング可変機構30の構成について説明する。尚、図中の矢印Xは、クランクシャフト17(スプロケット33)及び吸気カムシャフト22の回転方向Xを示している。
バルブタイミング可変機構30は、クランクシャフト17に同期して回転するハウジングロータ31と、吸気カムシャフト22に同期して回転するベーンロータ35と、吸気バルブ21の開閉タイミングVTを上記所定タイミングVT1に固定する固定機構40とを含めて構成されている。
ハウジングロータ31は、タイミングチェーン(図示略)を介してクランクシャフト17に連結されたスプロケット33と、スプロケット33の内側に組みつけられるとともにスプロケット33と一体的に回転するハウジング本体32と、ハウジング本体32に取り付けられるカバー34とを備えている。ハウジング本体32には、径方向においてハウジングロータ31の回転中心軸である吸気カムシャフト22に向けて突出する3つの区画壁31Aが設けられている。
ベーンロータ35は、吸気カムシャフト22の端部に固定されるとともにハウジング本体32内の空間に配置されている。ベーンロータ35には、ハウジング本体32の隣り合う区画壁31Aの間に向けて突出した3つのベーン36が設けられている。各ベーン36は、区画壁31Aの間に形成されているベーン収容室37を進角室38と遅角室39とに区画している。
進角室38は、ベーン収容室37内においてベーン36よりも吸気カムシャフト22の回転方向Xの後方側に位置している。遅角室39は、ベーン収容室37内においてベーン36よりも吸気カムシャフト22の回転方向Xの前方側に位置している。進角室38及び遅角室39の容積は、バルブタイミング可変機構30へのオイルの供給状態に応じて変化する。
次に、バルブタイミング可変機構30の動作について説明する。
進角室38へオイルを供給するとともに遅角室39からオイルを排出することにより、進角室38が拡大する一方、遅角室39が縮小することで、ベーンロータ35がハウジングロータ31に対して進角側、すなわち吸気カムシャフト22の回転方向Xに回転する。これにより、吸気バルブ21の開閉タイミングVTが進角側に変化する。ベーンロータ35がハウジングロータ31に対して最も進角側に位置したとき、すなわちハウジングロータ31に対するベーンロータ35の回転位相が回転方向Xの最も前方側の位相にあるとき、吸気バルブ21の開閉タイミングVTは最も進角側の開閉タイミング(以下、「最進角タイミングVTmax」)となる。
進角室38へオイルを供給するとともに遅角室39からオイルを排出することにより、進角室38が拡大する一方、遅角室39が縮小することで、ベーンロータ35がハウジングロータ31に対して進角側、すなわち吸気カムシャフト22の回転方向Xに回転する。これにより、吸気バルブ21の開閉タイミングVTが進角側に変化する。ベーンロータ35がハウジングロータ31に対して最も進角側に位置したとき、すなわちハウジングロータ31に対するベーンロータ35の回転位相が回転方向Xの最も前方側の位相にあるとき、吸気バルブ21の開閉タイミングVTは最も進角側の開閉タイミング(以下、「最進角タイミングVTmax」)となる。
一方、進角室38からオイルを排出するとともに遅角室39へオイルを供給することにより、遅角室39が拡大する一方、進角室38が縮小することで、ベーンロータ35がハウジングロータ31に対して遅角側、すなわち吸気カムシャフト22の回転方向Xとは反対方向に回転する。これにより、吸気バルブ21の開閉タイミングVTは遅角側に変化する。ベーンロータ35がハウジングロータ31に対して最も遅角側に位置したとき、すなわちハウジングロータ31に対するベーンロータ35の回転位相が回転方向Xの最も後方側の位相にあるとき、吸気バルブ21の開閉タイミングVTは最も遅角側のバルブタイミング(以下、「最遅角タイミングVTmin」)となる。
次に、図4を参照して、固定機構40の構造を説明する。
固定機構40は、ベーン36の内部に設けられたピン41と、ベーン36に形成されてピン41を収容する収容室42と、スプロケット33に形成されてピン41と係合可能な係合穴48と、ピン41を移動させる動作部43とを備えている。係合穴48は、スプロケット33の壁面のうちで、ハウジングロータ31に対してベーンロータ35が、吸気バルブ21の開閉タイミングVTが最遅角タイミングVTminよりも進角側の所定タイミングVT1となるときに対応する所定回転位相に回転したときのピン41の位置に設けられている。
固定機構40は、ベーン36の内部に設けられたピン41と、ベーン36に形成されてピン41を収容する収容室42と、スプロケット33に形成されてピン41と係合可能な係合穴48と、ピン41を移動させる動作部43とを備えている。係合穴48は、スプロケット33の壁面のうちで、ハウジングロータ31に対してベーンロータ35が、吸気バルブ21の開閉タイミングVTが最遅角タイミングVTminよりも進角側の所定タイミングVT1となるときに対応する所定回転位相に回転したときのピン41の位置に設けられている。
動作部43は、ベーン36の内部に設けられてピン41を一方向(図4において下方)に押すばね44と、上記収容室42の一部をなすとともに同ばねを収容するばね室45と、上記収容室42の一部をなす第1解除室46と、スプロケット33に形成される第2解除室47とを備えている。
第1解除室46は、収容室42内においてピン41の基端部41aと、ピン41の先端部41bの側面と、収容室42の壁面とにより区画形成される。ベーン36において収容室42を形成する壁面には、遅角室39と第1解除室46とを連通する第1連通路46aが形成されている。ここで、第1解除室46には第1連通路46aを通じて遅角室39内のオイルが供給されるようになっている。このため、遅角室39にオイルが供給されると、同オイルの一部が第1解除室46に供給されるようになることで、ピン41の基端部41aに油圧が印加されるようになる。従って、ピン41は、ばね44の力に抗してベーン36に収容される方向(図4において上方、以下、「収容方向ZB」)に動作する。
第2解除室47は係合穴48の一部をなしている。また、ベーン36においてスプロケット33に対向する面には、進角室38と第2解除室47とを連通する第2連通路47aが形成されている。ここで、第2解除室47には第2連通路47aを通じて進角室38内のオイルが供給されるようになっている。このため、進角室38にオイルが供給されると、同オイルの一部が第2解除室47に供給されるようになることで、ピン41の先端部41bの先端面に油圧が印加されるようになる。従って、ピン41は、ばね44の力に抗して収容方向ZBに動作する。
第1解除室46及び第2解除室47にオイルが供給されていないときには、ピン41は、ばね44の力によりベーン36から突出する方向(図4において下方、以下、「突出方向ZA」)に動作する。ピン41に対してばね44による突出方向ZAの力が加わっているときに、ハウジングロータ31に対してベーンロータ35が回転してピン41が係合穴48のところに移動すると、ピン41が突出して係合穴48に嵌まり込む。これにより、ハウジングロータ31とベーンロータ35とが固定される。
次に、バルブタイミング可変機構30の動作態様及び固定機構40によるハウジングロータ31とベーンロータ35との固定態様について更に説明する。
吸気バルブ21の開閉タイミングVTの遅角要求が出されているときには、油圧制御装置50により遅角室39にオイルが供給される。このとき、第1連通路46aを通じて第1解除室46にもオイルが供給されるため、ピン41が収容室42に収容されたままの状態で、ハウジングロータ31に対してベーンロータ35が遅角側に回転する。
吸気バルブ21の開閉タイミングVTの遅角要求が出されているときには、油圧制御装置50により遅角室39にオイルが供給される。このとき、第1連通路46aを通じて第1解除室46にもオイルが供給されるため、ピン41が収容室42に収容されたままの状態で、ハウジングロータ31に対してベーンロータ35が遅角側に回転する。
一方、吸気バルブ21の開閉タイミングVTの進角要求が出されているときには、油圧制御装置50により進角室38にオイルが供給される。このとき、第2連通路47aを通じて第2解除室47にもオイルが供給されるため、ピン41が収容室42に収容されたままの状態で、ハウジングロータ31に対してベーンロータ35が進角側に回転する。
更に、機関停止時において吸気バルブ21の開閉タイミングVTを所定タイミングVT1とする要求が出されると、油圧制御装置50により、そのときの吸気バルブ21の開閉タイミングVTが所定タイミングVT1よりも進角側にあるときには遅角室39にオイルが供給されて、ハウジングロータ31に対してベーンロータ35が遅角側に回転する。また、吸気バルブ21の開閉タイミングVTが所定タイミングVT1よりも遅角側にあるときには進角室38にオイルが供給されて、ハウジングロータ31に対してベーンロータ35が進角側に回転する。またこのとき、機関回転速度の低下に伴いオイルポンプ52の出力軸の回転速度が低下してオイルポンプ52から吐出される油圧が徐々に低下する。これにより、第2解除室47及び第1解除室46の油圧が低下することで、ピン41に対して方向ZBに作用する油圧に基づく力に比べて、ピン41に対して突出方向ZAに作用するばねの付勢力が大きくなる。従って、ハウジングロータ31に対するベーンロータ35の回転位相が、上記所定タイミングVT1に対応する所定回転位相になると、ピン41が係合穴48に嵌合されることで、吸気バルブ21の開閉タイミングVTが所定タイミングVT1に固定される。
以上、説明した油圧制御装置50によるオイルの供給構造を図5にまとめる。
図5に示すように、オイルポンプ52から吐出されたオイルは、供給油路54を介してオイルコントロールバルブ60に供給されるとともに、オイルコントロールバルブ60の動作状態に応じて次の図6及び図7に示すようにオイル路51を流通する。
図5に示すように、オイルポンプ52から吐出されたオイルは、供給油路54を介してオイルコントロールバルブ60に供給されるとともに、オイルコントロールバルブ60の動作状態に応じて次の図6及び図7に示すようにオイル路51を流通する。
まず、図6及び図7を参照して、オイルコントロールバルブ60の構成につい手説明する。
図6及び図7に示すように、オイルコントロールバルブ60は、複数のポートが設けられた略筒状のスリーブ61と、スリーブ61内に設けられる棒状のスプール62とを備えている。スプール62がスリーブ61に対して移動することにより、ポート同士の連通状態が切り替えられることで、進角室38及び遅角室39に対するオイルの流通状態が変更される。
図6及び図7に示すように、オイルコントロールバルブ60は、複数のポートが設けられた略筒状のスリーブ61と、スリーブ61内に設けられる棒状のスプール62とを備えている。スプール62がスリーブ61に対して移動することにより、ポート同士の連通状態が切り替えられることで、進角室38及び遅角室39に対するオイルの流通状態が変更される。
スリーブ61には、進角油路55に接続される進角ポート61aと、遅角油路56に接続される遅角ポート61bと、供給油路54に接続される供給ポート61cと、排出油路53に接続される第1排出ポート61dと、同排出油路53に接続される第2排出ポート61eとが形成されている。
スプール62の先端部(図6及び図7において左端部)には、同スプール62を進角ポート61aから遅角ポート61bの方向に向けて付勢するスプールばね63が設けられている。スプール62の基部(図6及び図7において右部)には、同スプール62を遅角ポート61bから進角ポート61aの方向に向けて、すなわちスプールばね63に抗して同スプール62を移動する駆動機構が設けられている。駆動機構は、電子制御装置91から出力されるデューティ比に基づいてスプール62を移動する。
スプール62には、スリーブ61に対する同スプール62の移動に伴い、各ポートの開口面積を変更する次の3つの弁体が設けられている。すなわち、供給ポート61c、第1排出ポート61d、及び進角ポート61aの開口面積を変更する進角弁64と、供給ポート61c、遅角ポート61b、及び第2排出ポート61eの開口面積を変更する遅角弁65と、スプール62の端部に設けられた封止弁66とが設けられている。
オイルコントロールバルブ60は、スリーブ61に対してスプール62を軸方向に移動させることにより、進角室38及び遅角室39に対するオイルの流通状態を、次の(a)〜(e)のいずれかの状態に切り替える。
(a)スプール62の位置が図6(A)に示す位置とされると、進角ポート61aと供給ポート61cとが連通状態とされ、且つ遅角ポート61bと第2排出ポート61eとが連通状態とされる。これにより、進角室38にオイルが供給されるとともに、遅角室39からオイルが排出される。尚、遅角室39から排出されたオイルは、オイルコントロールバルブ60及び排出油路53を介してオイルパン15に戻される。
(b)スプール62の位置が図6(B)に示す位置とされると、進角ポート61aと供給ポート61cとが連通するとともに、遅角ポート61bが遅角弁65により閉鎖される。これにより、進角室38にオイルが供給されるとともに、遅角室39のオイルの流通が遮断される。
(c)スプール62の位置が図6(C)に示す位置とされると、進角ポート61aが進角弁64により閉鎖され、且つ遅角ポート61bが遅角弁65により閉鎖される。これにより、進角室38及び遅角室39の油圧が維持される。
(d)スプール62の位置が図7(A)に示す位置とされると、進角ポート61aが進角弁64により閉鎖され、且つ遅角ポート61bと供給ポート61cとが連通される。これにより、進角室38のオイルの流通が遮断されるとともに、遅角室39にわずかにオイルが供給される。
(e)スプール62の位置が図7(B)に示す位置とされると、進角ポート61aと第1排出ポート61dとが連通され、且つ遅角ポート61bと供給ポート61cとが連通される。これにより、進角室38からオイルが排出されるとともに、遅角室39にオイルが供給される。尚、進角室38から排出されたオイルは、オイルコントロールバルブ60及び排出油路53を介してオイルパン15に戻される。
先の図1及び図2に示すように、制御装置90は、内燃機関10及び各モータジェネレータMG1、MG2等を含む各種装置を統括的に制御するものであり、各種の演算処理等を行う電子制御装置91と、内燃機関10の運転状態や車両1の走行状態を把握するための各種センサとを備えている。
電子制御装置91は、プログラムによって数値計算や論理演算等を行なう中央演算処理装置(CPU)、各種の制御に必要なプログラムやデータを記憶する不揮発性メモリ(ROM)、入力データや演算結果を一時的に記憶する揮発性メモリ(RAM)を備えている。
また、各種センサとしては、アクセルペダル(図示略)の踏み込み量に応じた信号を電子制御装置91に出力するアクセル開度センサ、クランクシャフト17の回転位相に応じた信号を電子制御装置91に出力するクランクポジションセンサを備えている。また、吸気カムシャフト22の回転位相に応じた信号を電子制御装置91に出力するカムポジションセンサ、駆動輪6の回転速度、すなわち車両1の走行速度に応じた信号を電子制御装置91に出力する車速センサ、及びシフトレバーの操作位置に応じた信号を電子制御装置91に出力するシフトレバーポジションセンサ等を備えている。
電子制御装置91は、各種の制御に用いるためのパラメータとして次のものを算出する。すなわち、クランクポジションセンサからの出力信号に基づいて、クランクシャフト17の回転位相を算出する。また、カムポジションセンサからの出力信号に基づいて、吸気カムシャフト22の回転位相を算出する。
また、電子制御装置91は、アクセル開度センサからの出力信号やシフトレバーポジションセンサからの出力信号等に基づいて車両の要求駆動力を算出し、この要求駆動力や車速センサからの出力信号に基づいて車両1の走行制御を行なう。車両1の発進時や低速走行時においては内燃機関10が停止状態とされ、第2のモータジェネレータMG2から出力される動力のみによる車両走行を行なう。また、車両1の加速時や高速走行時には、内燃機関10の運転を行い、第2のモータジェネレータMG2から出力される動力に加えて、或いは同動力に代えて、内燃機関10から出力される動力によって車両走行を行なう。
また、電子制御装置91は、クランクシャフト17の回転位相及び吸気カムシャフト22の回転位相に基づいて吸気バルブ21の開閉タイミングVTを算出するとともに、バルブタイミング可変機構30の駆動制御を通じて吸気バルブ21の開閉タイミングVTを変更するバルブタイミング制御を行なう。
バルブタイミング制御では、機関運転状態に基づいて吸気バルブ21の開閉タイミングVTを、最進角タイミングVTmaxと最遅角タイミングVTminとの間で変更する。また、内燃機関10の停止時にはバルブタイミングVTを最遅角タイミングVTminよりも進角側の所定タイミングVT1に変更する。すなわち、ハウジングロータ31とベーンロータ35との相対回転位相を所定回転位相に変更する。そして、ハウジングロータ31とベーンロータ35とを固定機構40により互いに固定しておくことで、次の機関始動時に吸気バルブ21の開閉タイミングVTを上記所定タイミングVT1に維持することができ、内燃機関10の始動性の向上を図ることができる。
ところで、本実施形態の車両1では、内燃機関のクランキングのみを行なう電動機、所謂スタータモータを備える車両に比べて、内燃機関10のクランキングを行なうための第1のモータジェネレータMG1の回転子の質量が遙かに大きいものとなっている。そして、このように質量の大きい回転子がクランクシャフト17に連結されているために、これら回転子とクランクシャフト17とのねじり共振が生じやすい。またこうしたねじり共振は、機関回転速度NEが所定の共振範囲内(400rpm≦NE≦500rpm)にあるときに生じる。そこで、本実施形態では、内燃機関10の始動に際して、上記共振範囲の上限値(この場合、500rpm)よりも大きいクランキング回転速度Ncrnk(本実施形態では、1000rpm)までクランキングを行なうとともに、機関回転速度NEが上記共振範囲を素早く通過するように第1のモータジェネレータMG1のトルク制御を行なっている。これにより、上述したねじり共振に起因して乗員に与えられる違和感の軽減を図るようにしている。
ところで、ハウジングロータ31とベーンロータ35との相対回転位相が所定回転位相から大きくずれている場合には、機関停止時にこれらロータの相対回転位相が所定回転位相とならず、これらロータ31、35を互いに固定させることができないまま内燃機関10が停止状態となることがある。この場合、次に機関始動を行なう際に、内燃機関10と第1のモータジェネレータMG1との共振範囲の上限値よりも高いクランキング回転速度Ncrnkまで素早く機関回転速度NEを上昇させると、以下の問題の発生が懸念される。すなわち、機関始動時には、機関回転速度NEが早期にクランキング回転速度Ncrnkとなることと、オイルポンプ52から吐出されるオイルの圧力が低く、バルブタイミング可変機構30に供給される油圧が低い状態となっていることとから、吸気バルブ21の開閉タイミングVTが最遅角タイミングVTminとなる位置にてベーンロータ35がハウジングロータ31に押し当てられた状態が維持される。従って、ハウジングロータ31とベーンロータ35との相対回転位相が上記所定回転位相にはならず、これらロータ31、35を互いに固定することができないといった問題が生じるおそれがある。
そこで、本実施形態では、内燃機関10の始動に際して、以下に説明する第1のモータジェネレータMG1のトルク制御を実行することにより、機関停止時にハウジングロータ31とベーンロータ35とが互いに係合されなかった場合であれ、機関始動時にこれらロータ31、35を好適に固定するようにしている。
次に、図8のフローチャートを参照して、本実施形態における第1のモータジェネレータMG1のトルク制御の処理手順について説明する。尚、このフローチャートに示される一連の処理は、電子制御装置91への通電中において内燃機関10の始動条件が成立したときに実行される。また、図9に、本実施形態における第1のモータジェネレータMG1のトルク制御が実行されたときの機関回転速度NEの推移の一例を示す。
図8に示すように、このフローチャートに示す一連の処理では、内燃機関10の始動条件が成立すると、まず、ステップS1の処理として、機関回転速度NEが所定回転速度N1に到達するまで機関回転速度NEが上昇するように第1のモータジェネレータMG1のトルクを設定する(図9において、t0≦t≦t1)。
本実施形態では、所定回転速度N1を、共振範囲(400rpm≦NE≦500rpm)の下限値(この場合、400rpm)よりも小さい、例えば200rpmに設定している。
そして、機関回転速度NEが所定回転速度N1に到達すると、次に、ステップS2の処理に進んで、内燃機関10のクランキングが開始されてからの経過時間であるクランキング時間tが所定期間t2となるまで機関回転速度NEが所定回転速度N1に保持されるように第1のモータジェネレータMG1のトルクを設定する(図9において、t1<t≦t2)。
ここで、所定期間t2は、バルブタイミング可変機構30や油圧制御装置50を含めた内燃機関10を用いての実験等を通じて予め設定された固定値である。
そして、クランキング時間t1が所定期間t2となると、次に、ステップS3の処理に進んで、機関回転速度NEがクランキング回転速度Ncrnkに到達するまで機関回転速度NEが上昇するように第1のモータジェネレータMG1のトルクを設定する(図9において、t2<t≦t3)。
そして、クランキング時間t1が所定期間t2となると、次に、ステップS3の処理に進んで、機関回転速度NEがクランキング回転速度Ncrnkに到達するまで機関回転速度NEが上昇するように第1のモータジェネレータMG1のトルクを設定する(図9において、t2<t≦t3)。
尚、図9に示すように、機関回転速度NEがクランキング回転速度Ncrnk以上となるタイミングt3以降において、内燃機関10の燃料噴射制御及び点火制御が行なわれる。
以上説明した本実施形態に係る車載内燃機関制御装置によれば、以下に示す作用効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、電子制御装置91を通じて、クランキング回転速度Ncrnkまでクランキングを行なう際に、共振範囲(400rpm≦NE≦500rpm)の下限値(この場合、400rpm)よりも小さい所定回転速度N1にて機関回転速度NEを所定期間Δtにわたり保持するようにした。これにより、内燃機関10の始動に際して、機関回転速度NEが共振範囲を素早く通過するように内燃機関10のクランキング開始から機関回転速度NEを単純に増大させる制御構成に比べて、機関回転速度NEが上記所定回転速度N1とされる期間を長くすることができる。ここで、機関回転速度NEが小さいときほど、クランクシャフト17の回転変動量が大きくなり、ハウジングロータ31とベーンロータ35との相対回転位相の変動量が大きくなる。このため、ハウジングロータ31とベーンロータ35との相対回転位相が上記所定回転位相となる機会、すなわち、これらロータ31、35が互いに係合される機会を増大させることができる。また、機関回転速度NEが上記所定回転速度N1とされるときには内燃機関10と第1のモータジェネレータMG1との共振が生じることはない。従って、機関停止時にハウジングロータ31とベーンロータ35とが互いに係合されなかった場合であれ、機関始動時にハウジングロータ31とベーンロータ35とを好適に係合させることができるようになる。
(1)本実施形態では、電子制御装置91を通じて、クランキング回転速度Ncrnkまでクランキングを行なう際に、共振範囲(400rpm≦NE≦500rpm)の下限値(この場合、400rpm)よりも小さい所定回転速度N1にて機関回転速度NEを所定期間Δtにわたり保持するようにした。これにより、内燃機関10の始動に際して、機関回転速度NEが共振範囲を素早く通過するように内燃機関10のクランキング開始から機関回転速度NEを単純に増大させる制御構成に比べて、機関回転速度NEが上記所定回転速度N1とされる期間を長くすることができる。ここで、機関回転速度NEが小さいときほど、クランクシャフト17の回転変動量が大きくなり、ハウジングロータ31とベーンロータ35との相対回転位相の変動量が大きくなる。このため、ハウジングロータ31とベーンロータ35との相対回転位相が上記所定回転位相となる機会、すなわち、これらロータ31、35が互いに係合される機会を増大させることができる。また、機関回転速度NEが上記所定回転速度N1とされるときには内燃機関10と第1のモータジェネレータMG1との共振が生じることはない。従って、機関停止時にハウジングロータ31とベーンロータ35とが互いに係合されなかった場合であれ、機関始動時にハウジングロータ31とベーンロータ35とを好適に係合させることができるようになる。
尚、本発明にかかる車載内燃機関制御装置は、上記実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記実施形態では、クランクシャフト17と第1のモータジェネレータMG1とのねじり共振が生じる共振範囲が、「400rpm≦NE≦500rpm」となる内燃機関10について例示した。しかしながら、クランクシャフトの質量と内燃機関のクランキングを行なう電動機の回転子の質量との関係によっては、ねじり共振の共振範囲(Nvl≦NE≦Nvh)が異なるものとなることから、こうした共振範囲の下限値Nvlに応じて所定回転速度N1を適宜設定するようにすればよい(N1<Nvl)。また、こうした共振範囲の上限値Nvhに応じてクランキング回転速度Ncrnkを適宜設定するようにすればよい(Ncrnk>Nvh)。
・上記実施形態では、クランキング回転速度Ncrnkまで機関回転速度を上昇させる際に、所定回転速度N1にて機関回転速度NEを所定期間Δt(=t2―t1)(固定値)にわたり保持するようにしたが、本発明はこれに限られるものではない。他に例えば、ハウジングロータ31とベーンロータ35との相対回転位相が変動しにくい状況下、例えばオイルの温度が低くその粘性が高い状況下においては、ハウジングロータ31とベーンロータ35との相対回転位相の変動が緩やかなものとなることを考慮して、所定期間Δtを長く設定するようにしてもよい。すなわち、機関温度に応じて所定期間を可変設定するようにしてもよい。
・上記実施形態では、クランキング回転速度Ncrnkまで機関回転速度NEを上昇させる際に、所定回転速度N1にて機関回転速度NEを一時的に保持するようにしたが、本発明はこれに限られるものではない。他に例えば、図10に示すように、クランキング回転速度Ncrnkまで機関回転速度NEを上昇させる際に、機関回転速度NEの上昇開始後であって機関回転速度NEが共振範囲(Nvl≦NE≦Nvh)の下限値Nvlよりも小さい所定範囲(N3≦NE≦N4、ただしN4<Nvl)内にあるとき(タイミングt11〜t12)における機関回転速度NEの上昇速度dNE/dtを、同所定範囲の下限値N3よりも低いとき(タイミングt0〜t11)における機関回転速度NEの上昇速度dNE/dtに比べて小さくするようにしてもよい。この場合であっても、内燃機関10の始動に際して、機関回転速度NEが共振範囲を素早く通過するように内燃機関10のクランキング開始から機関回転速度NEを単純に増大させる制御構成に比べて、機関回転速度NEが上記共振範囲の下限値Nvlよりも小さい所定範囲(N3≦NE≦N4)内にある期間を長くすることができる。そのため、ハウジングロータ31(入力回転体)とベーンロータ35(出力回転体)との相対回転位相が上記所定回転位相となる機会、すなわち、これら回転体が互いに係合される機会を増大させることができる。従って、機関停止時に入力回転体と出力回転体とが互いに係合されなかった場合であれ、機関始動時に入力回転体と出力回転体とを好適に係合させることができるようになる。
1…車両、2…車両本体、3…動力分割機構、4…減速機、5…車軸、6…駆動輪、7…モータリダクション機構、8…電力変換部、9…バッテリ、MG1…第1のモータジェネレータ(内燃機関のクランキングを行なう電動機)、MG2…第2のモータジェネレータ(内燃機関以外の他の動力源)、10…内燃機関、11…機関本体、13…シリンダブロック、14…シリンダヘッド、15…オイルパン、16…燃焼室、17…クランクシャフト、20…可変動弁装置、21…吸気バルブ、22…吸気カムシャフト、23…排気バルブ、24…排気カムシャフト、30…バルブタイミング可変機構(油圧式可変動弁機構)、31…ハウジングロータ(入力回転体)、31A…区画壁、32…ハウジング本体、33…スプロケット、34…カバー、35…ベーンロータ(出力回転体)、37…ベーン収容室、36…ベーン、38…進角室、39…遅角室、40…固定機構(係合機構)、41…ピン、41a…先端面、41b…基端部、42…収容室、43…動作部、44…ばね、45…ばね室、46…第1解除室、46a…第1連通路、47…第2解除室、47a…第2連通路、48…係合穴、50…油圧制御装置、51…オイル路、52…オイルポンプ、53…排出油路、54…供給油路、55…進角油路、56…遅角油路、60…オイルコントロールバルブ(油圧制御機構)、61…スリーブ、61a…進角ポート、61b…遅角ポート、61c…供給ポート、61d…第1排出ポート、61e…第2排出ポート、62…スプール、63…スプールばね、64…進角弁、65…遅角弁、66…封止弁、90…制御装置、91…電子制御装置(電動機制御部)。
Claims (5)
- 駆動輪に動力を出力可能な駆動源として内燃機関及び内燃機関以外の他の駆動源を備えるハイブリッド車両に適用されて、
内燃機関からの動力が入力される入力回転体と、機関バルブに動力を出力する出力回転体とを有し、前記入力回転体と前記出力回転体との相対回転位相を油圧によって変更することにより機関バルブの開閉タイミングを変更するバルブタイミング可変機構であって、前記入力回転体と前記出力回転体との相対回転位相が前記機関バルブの開閉タイミングにおける最遅角タイミングよりも進角側の所定タイミングに対応する所定回転位相となる状態にてこれら入力回転体と出力回転体とを互いに係合する係合機構を有する油圧式のバルブタイミング可変機構と、
前記バルブタイミング可変機構への油圧の供給態様を制御する油圧制御機構と、
内燃機関の出力軸に連結されて内燃機関のクランキングを行なう電動機と、
内燃機関の始動に際して、内燃機関と前記電動機との共振が生じる機関回転速度の範囲である共振範囲の上限値よりも大きいクランキング回転速度まで内燃機関のクランキングを行なうべく前記電動機への通電制御を行なう電動機制御部と、
を備える車載内燃機関の制御装置であって、
前記電動機制御部は、前記クランキング回転速度までクランキングを行なう際に、機関回転速度の上昇開始後であって機関回転速度が前記共振範囲の下限値よりも小さい所定範囲内にあるときに機関回転速度の上昇速度を同所定範囲の下限値よりも低いときに比べて小さくする
ことを特徴とする車載内燃機関制御装置。 - 請求項1に記載の車載内燃機関制御装置において、
内燃機関のクランキングを行なう電動機は、発電機としても機能するモータジェネレータである
ことを特徴とする車載内燃機関制御装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の車載内燃機関制御装置において、
前記油圧制御機構は、内燃機関からの動力により駆動されるポンプと前記バルブタイミング可変機構との間に設けられて同バルブタイミング可変機構への油圧の供給態様を制御する制御弁を含む
ことを特徴とする車載内燃機関制御装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車載内燃機関制御装置において、
前記電動機制御部は、前記所定範囲内の所定回転速度にて機関回転速度を一時的に保持する
ことを特徴とする車載内燃機関制御装置。 - 請求項4に記載の車載内燃機関制御装置において、
前記電動機制御部は、前記所定回転速度にて機関回転速度を所定期間にわたり保持する
ことを特徴とする車載内燃機関制御装置。
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