JP5569464B2 - 半導体素子の製造方法 - Google Patents

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本発明は、例えばモータ制御などに利用される半導体素子の製造方法に関する。
特許文献1には、半導体素子形成用のウエハに荷電粒子を照射することで欠陥を形成する技術が開示されている。ウエハに形成された欠陥は、キャリアのライフタイムキラーとして作用し、半導体素子のスイッチング速度を高速化する。
特開2006−35210号公報
ウエハには一定量の炭素不純物が存在する。この炭素不純物は、ウエハに荷電粒子を照射することにより炭素不純物欠陥となる。炭素不純物欠陥の量は、半導体素子の特性に大きく影響するのでウエハ間で均一化することが望ましい。
ところが、荷電粒子照射量がばらつくことにより、あるウエハでは炭素不純物欠陥が多く、他のウエハでは炭素不純物欠陥が少なくなることがある。この場合半導体素子の特性がばらつく。
本発明は上述のような課題を解決するためになされたもので、荷電粒子照射量のばらつきによる炭素不純物欠陥量のばらつきを防止できる半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
本願の発明に係る半導体素子の製造方法は、炭素不純物量が均一である複数のウエハを製品用ウエハとモニタ用ウエハに分ける分割工程と、該モニタ用ウエハの炭素不純物量を求める炭素不純物量導出工程と、該炭素不純物量導出工程で求めた炭素不純物量よりも多い荷電粒子を該製品用ウエハに照射し、該製品用ウエハ中に存在する全ての炭素不純物を炭素不純物欠陥とする荷電粒子照射工程と、を備えたことを特徴とする。

本発明によれば、炭素不純物量よりも多い荷電粒子をウエハに照射するので、炭素不純物欠陥の生成量のばらつきを防止できる。
本発明の実施の形態1に係る半導体素子の製造方法を示すフローチャートである。 ライフタイムと炭素不純物量との相関グラフである。 ウエハに素子パターンを形成することを示す断面図である。 コレクタ電極が形成された製品用ウエハの断面図である。 荷電粒子照射工程の荷電粒子照射量と炭素不純物欠陥量の関係を示す図である。 アニール後に測定したキャリアのライフタイムと荷電粒子照射後に測定したキャリアのライフタイムの相関を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る半導体素子の製造方法を示すフローチャートである。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体素子の製造方法を示すフローチャートである。まず、素子形成用ウエハを製造する(ステップ10)。この工程では、複数のシリコンウエハに対し、同一時期に同一工程でエピタキシャル層を形成する。このように同一時期に同一工程で製造された複数の素子形成用ウエハを「同一グループのウエハ」と称する。次いで、同一グループのウエハを、製品用ウエハとモニタ用ウエハに分ける分割工程を実施する(ステップ12)。本発明の実施の形態1に係るモニタ用ウエハは1枚である。
次いで、モニタ用ウエハを洗浄する(ステップ14)。その後、モニタ用ウエハに熱酸化法で酸化処理を施し、酸化膜を形成する(ステップ16)。この酸化処理は、800℃〜1000℃の温度条件下でドライ酸化又はウェット酸化を行い、100Å以上の膜厚の酸化膜を形成するものである。酸化膜を形成するのは、ウエハの表面準位を不活性化するためである。
次いで、モニタ用ウエハに荷電粒子を照射する(ステップ18)。ステップ18では、モニタ用ウエハに電子線を照射し、ライフタイムキラーとして作用する欠陥準位を形成する。次いで、モニタ用ウエハをアニールする(ステップ20)。アニールは300〜500℃程度の比較的低温で実施する。このアニールにより、不安定な欠陥準位を回復させ、かつモニタ用ウエハ全体の欠陥量を制御する。
次いで、モニタ用ウエハのライフタイムを測定する(ステップ22)。ステップ22では、μ−PCD法を用いてモニタ用ウエハのキャリア(正孔)のライフタイムを測定する。ライフタイムの測定は非破壊かつ非接触で実施される。
次いで、モニタ用ウエハの炭素不純物量を導出する(ステップ24)。この工程は炭素不純物量導出工程と称する。炭素不純物量導出工程では、炭素不純物量とライフタイムとの相関グラフを用いて、ステップ22で測定したモニタ用ウエハのライフタイムに対応する炭素不純物量を導出する。図2は、炭素不純物量とライフタイムとの相関グラフである。この相関グラフは炭素不純物量導出工程の前に作成したものである。
図2の相関グラフの作成について説明する。図2の相関グラフは、あらかじめシリコンで形成されたサンプルウエハを測定することにより作成したものである。サンプルウエハは複数であり、ウエハ製造時にそれぞれ異なった量の炭素をドープしておく(強制的汚染と称する)。強制的汚染はシリコンウエハ製造後のイオン注入でもよいし、シリコンウエハの表面に薬液を塗布して加熱する方法で実施してもよい。強制的汚染を施したサンプルウエハに酸化、荷電粒子照射、及びアニールを実施し、μ−PCD法でライフタイムを測定する。これにより、様々な炭素不純物量とライフタイムとの相関を得ることができる。
上述のようにして求められた炭素不純物量とライフタイムとの相関(図2)から、炭素不純物量とライフタイムには正の相関があることが分かる。図2の相関グラフを用いると、モニタ用ウエハのライフタイムからモニタ用ウエハの炭素不純物量を導出(算出)できる。なお、ステップ16にて、酸化膜を形成しウエハの表面準位を不活性化したので、ライフタイムに対する表面準位の影響を排除できている。
一方、製品用ウエハについては以下のように処理する。製品用ウエハには素子パターンを形成する(ステップ26)。図3は、ウエハに素子パターンを形成することを示す断面図である。この工程では素子パターンとしてIGBTを形成する。まず、n−エピタキシャル層40、n+エピタキシャル層42、及びp+基板44とで形成されるウエハの表面に熱酸化法で酸化膜を形成する。その後、ウエハの表面から例えばボロンなどのイオンを注入し、pウェル不純物注入領域を形成する。
そして、1000℃〜1200℃程度の高温熱処理を行い、不純物注入領域を電気的に活性化させる。次にフォトリソグラフィ技術とエッチング技術により、選択的にイオン注入領域を形成した後、高温熱処理を実施しp型ベース領域46及びn型エミッタ領域48を形成する。次にフォトリソグラフィ技術とエッチング技術によりトレンチゲートを形成し、その内にゲート絶縁膜50を形成する。そして、CVD法によってトレンチゲートを埋めるようにポリシリコンゲート52を形成する。
次いで、ポリシリコンゲート52上にBPSGなどの絶縁膜54を形成する。次いで、アルミスパッタなどでエミッタ電極56を形成する。次いで、保護膜(例えばSiN膜)をCVD法などにより最表面に堆積し、所望の領域のみ選択的にエッチングすることでエミッタ電極56を露出させる。ステップ26では上述の処理が実施される。
次いで炭素不純物量導出工程(ステップ24)で求めた炭素不純物量が規定値未満であるかを調査する(ステップ28)。炭素不純物量の規定値は、この値を超えると、半導体素子を完成させても所望の電気特性を得ることができない値に設定される。炭素不純物量が規定値以上であると、製品用ウエハとモニタ用ウエハを廃棄してプロセスを終了する(ステップ30)。
一方、炭素不純物量導出工程(ステップ24)で求めた炭素不純物量が規定値未満であればステップ32へ処理を進める。ステップ32では、炭素不純物量導出工程で求めた炭素不純物量よりも多い荷電粒子を製品用ウエハに照射する。この工程を、荷電粒子照射工程と称する。荷電粒子照射工程では、電子線を製品用ウエハに照射する。
次いで、製品用ウエハをアニールする(ステップ34)。このアニールは製品用ウエハの正孔のライフタイムを調整するために行うものである。アニールを終えると裏面構造を形成するステップ36へ処理を進める。ステップ36では、製品用ウエハの裏面を研削してp+基板44を薄くする。その後さらにp+基板44にコレクタ電極58を形成する。図4は、コレクタ電極が形成された製品用ウエハの断面図である。ステップ36の処理を終えるとフローを終了する。
ところで、荷電粒子照射工程(ステップ32)における荷電粒子照射量はばらつくことがある。荷電粒子照射量がばらつくと炭素不純物欠陥の生成量がばらつき、結果としてウエハごとに電気特性がばらつくことになる。ところが、本発明の実施の形態1に係る半導体素子の製造方法によれば、荷電粒子照射工程における荷電粒子照射量のばらつきにより同一グループのウエハの電気特性がばらつくことを防止できる。
すなわち、本発明の実施の形態1に係る荷電粒子照射工程では、炭素不純物量よりも多い荷電粒子をウエハに照射する。そのため、ウエハ中に存在する全ての炭素不純物は、荷電粒子照射により生じた空孔に置換され炭素不純物欠陥(Cs−CiもしくはCs−Cii)となる。そして、同一グループのウエハの炭素不純物量は一定であるので、同一グループのウエハの炭素不純物欠陥量を均一化できる。
図5は、荷電粒子照射工程における荷電粒子照射量と炭素不純物欠陥量の関係を示す図である。図5に示すとおり、荷電粒子照射工程における荷電粒子照射量が炭素不純物量未満であると、荷電粒子照射量のばらつきにより炭素不純物欠陥量もばらつく。ゆえに半導体素子の電気特性もばらつく。ところが、荷電粒子照射工程における荷電粒子照射量を炭素不純物量より多くすると、荷電粒子照射量のばらつきによる炭素不純物欠陥量のばらつきを抑制できる。
ウエハ中の炭素不純物量はウエハ製造時の装置内の雰囲気などに応じて変動する。そして、ウエハ中の炭素不純物は荷電粒子の照射があるまでは不活性であるので、ウエハに荷電粒子を照射する前にウエハ中の炭素不純物量を測定するのは困難である。ところが、本発明の実施の形態1に係る半導体素子の製造方法によれば、モニタ用ウエハを使って同一グループのウエハ1枚当たりの炭素不純物量を導出するので、製品用ウエハに荷電粒子を照射する前に、炭素不純物量を把握できる。しかもモニタ用ウエハには、素子パターンを形成せず、炭素不純物欠陥を生成するための最低限の工程が施されるので、迅速に炭素不純物量を把握できる。
このように、同一グループのウエハの全てについて炭素不純物欠陥量を均一化できるので、アニール工程(ステップ34)にてアニール条件を調整するだけで所望の電気特性をばらつきなく得ることができる。なお、同一グループのウエハと他のグループのウエハでは炭素不純物量が異なる場合も、アニール条件を調整することで均一の電気特性を得ることができる。
また、モニタ用ウエハの炭素不純物量を求める間に製品用ウエハの素子パターンを形成できるので、製品用ウエハの製造を遅延無く進めることができる。
本発明の実施の形態1に係る半導体素子の製造方法ではモニタ用ウエハをアニール(ステップ20)してからライフタイムの測定(ステップ22)を実施したが、アニール工程は省略しても良い。図6は、アニール後に測定したキャリアのライフタイムと荷電粒子照射(ステップ18)後に測定したキャリアのライフタイムの相関を示す図である。この図から、アニール後のライフタイムと荷電粒子照射後のライフタイムとは強い正の相関が認められる。
よって、荷電粒子照射後にアニールなしでライフタイムの測定を実施しても良い。なお、照射する荷電粒子の種類や照射条件によっては、アニール後でないと炭素不純物に起因する欠陥準位の影響を確認できない場合がある。そのため、照射する荷電粒子の種類や照射条件によって、荷電粒子照射後にライフタイムを測定するかアニール後にライフタイム測定するかを選択することが好ましい。
本発明の実施の形態1に係る半導体素子の製造方法では、炭素不純物量とライフタイムとの相関グラフを用いてモニタ用ウエハの炭素不純物量を導出した。しかしながら、ライフタイムと炭素不純物量との相関グラフを用いることは必須ではなく、炭素不純物量を導出できるような相関データであれば特に限定されない。たとえば、サンプルウエハに強制的汚染(一定量の炭素不純物をドープさせることをいう)を施した後にPL(photoluminescence)測定を実施してもよい。PL測定により得られたスペクトルから、炭素起因のピーク強度(又は面積)と炭素不純物量の相関を把握できる。この相関を用いると、モニタ用ウエハのPL測定結果から炭素不純物量を導出できる。なお、PL測定ではなくCL(cathode luminescence)測定を実施してもよい。
さらに、FT−IR法(フーリエ変換赤外吸光)やSIMS法(二次イオン質量分析法)などにより、モニタ用ウエハの炭素不純物量を求めてもよい。
本発明の実施の形態1に係る半導体素子の製造方法では、分割工程において同一グループのウエハの中からモニタ用ウエハを抽出した。しかしながら、例えば複数グループに属する全てのウエハが均一の炭素不純物量であると考えられる場合には、複数グループに属するウエハの中からモニタ用ウエハを1枚又は複数枚抽出してもよい。
複数グループに属する全てのウエハが均一の炭素不純物量であるかどうかは、例えば、ウエハの製造装置の管理状況などを考慮して判断する。従って、分割工程では炭素不純物量が均一である複数のウエハを製品用ウエハとモニタ用ウエハに分ければよい。
本発明は、製品用ウエハに対して炭素不純物量より多い荷電粒子を照射し、炭素不純物欠陥量のばらつきを防ぐことを特徴とする。従ってこの特徴を失わない限りにおいて様々な変形が可能である。例えば、ウエハはシリコンウエハに限定されず、炭化珪素、窒化ガリウム系材料、又はダイヤモンドなどのワイドバンドギャップ半導体を用いても良い。また、ウエハに形成する半導体素子もIGBTに限定されない。荷電粒子照射は電子線に限定されず、プロトンやHeイオンなどを照射してもよい。上述したアニール温度は適宜変更可能である。
実施の形態2.
図7は、本発明の実施の形態2に係る半導体素子の製造方法を示すフローチャートである。以後、実施の形態1に係る半導体素子の製造方法との相違点のみ説明する。本発明の実施の形態2に係る半導体素子の製造方法は、ステップ28にてモニタ用ウエハの炭素不純物量が規定値未満である事を確認した後に、製品用ウエハに素子パターンを形成する(ステップ26)。
モニタ用ウエハの炭素不純物量が規定値以上の場合、製品用ウエハの素子パターンを形成せずにプロセスを終了する(ステップ30)。本発明の実施の形態2に係る半導体素子の製造方法によれば、モニタ用ウエハの炭素不純物量が規定値以上であるにも関わらず製品用ウエハの素子パターンを形成する無駄を回避することができる。なお、本発明の実施の形態2に係る半導体素子の製造方法は少なくとも実施の形態1と同程度の変形は可能である。
12 分割工程、 24 炭素不純物量導出工程、 32 荷電粒子照射工程

Claims (4)

  1. 炭素不純物量が均一である複数のウエハを製品用ウエハとモニタ用ウエハに分ける分割工程と、
    前記モニタ用ウエハの炭素不純物量を求める炭素不純物量導出工程と、
    前記炭素不純物量導出工程で求めた炭素不純物量よりも多い荷電粒子を前記製品用ウエハに照射し、前記製品用ウエハ中に存在する全ての炭素不純物を炭素不純物欠陥とする荷電粒子照射工程と、を備えたことを特徴とする半導体素子の製造方法。
  2. 前記複数のウエハは、同一時期に同一工程で製造されたウエハであることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
  3. 前記炭素不純物量導出工程の前に、ウエハの炭素不純物量とライフタイムとの相関データを作成し、
    前記炭素不純物量導出工程の前に、前記モニタ用ウエハのライフタイムを測定する工程を有し、
    前記炭素不純物量導出工程では、前記相関データを用いて前記モニタ用ウエハのライフタイムに対応する炭素不純物量を導出することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体素子の製造方法。
  4. 前記モニタ用ウエハの前記炭素不純物量が規定値未満である場合にのみ、前記製品用ウエハの素子パターンを形成する工程と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
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