JP5569285B2 - カメラの可動ミラー衝撃吸収機構 - Google Patents

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本発明は、一眼レフカメラに設けられる可動ミラーの駆動装置に関し、特に可動ミラーの衝撃吸収機構に関する。
一眼レフカメラの内部には、撮影光路上に挿入されて被写体光をファインダ光学系へ反射させるファインダ導光位置(ダウン位置)と、撮影光路から退避して被写体光をシャッタ側へ通過させる退避位置(アップ位置)に昇降回動可能な可動ミラー(クイックリターンミラー)が設けられている。可動ミラーはミラーボックス内に設けた位置決め部材に当接して回動が規制されるが、位置決め部材に当接するときの衝撃でバウンド(振動)を生ずる。可動ミラーがバウンドすると、ファインダの観察像が安定せず観察性能に悪影響を及ぼす。また、可動ミラーを用いて測距用のセンサや測光用のセンサに被写体光を導く構造のカメラでは、可動ミラーがバウンドしている間は正確な測距や測光を行うことができず、連写性能が制限される。そのため、可動ミラーの回動時の衝撃を吸収してバウンドを抑制させる衝撃吸収機構が提案されてきた。
特開2000-131755号公報
可動ミラーの衝撃吸収機構は、可動ミラーを弾性部材に接触させるタイプや、付勢部材により移動付勢された移動部材に対して可動ミラーを当接させるタイプなどが知られている。但し、ファインダの観察性能に直接的な影響を及ぼすファインダ導光位置や、露光動作が行われる退避位置では、可動ミラーの高い位置精度が要求されるため、可動ミラーの位置決めは専用の位置決め部材によって行い、衝撃吸収機構は、当該位置決め部材による位置決めに干渉しないように構成することが求められる。つまり、カメラにおける可動ミラーの衝撃吸収機構は、単にミラー回動時のバウンド抑制を行うだけでなく、可動ミラーが回動端に達したときは、その位置決めを妨げないことが求められ、構造が複雑化しやすかった。
本発明の第2の態様は、撮影光路上に位置して被写体光を観察光学系に反射させるファインダ導光位置と、撮影光路から退避して被写体光を撮像用受光媒体側に通過させる退避位置との間で回動可能に支持された可動ミラーと、可動ミラーが退避位置とファインダ導光位置の間で一の方向に回動するときに該可動ミラーに当接して押圧移動され、可動ミラーに対する衝撃吸収を行う第1緩衝部材と、可動ミラーが退避位置とファインダ導光位置の間で他の方向に回動するとき該可動ミラーに当接して押圧移動され、可動ミラーに対する衝撃吸収を行う第2緩衝部材と、第1緩衝部材と第2緩衝部材とに設けられた係合機構とを有するカメラの可動ミラー衝撃吸収機構であって、第1緩衝部材と第2緩衝部材の少なくとも一方は、可動ミラーに当接して押圧移動される緩衝移動域よりも先に、該可動ミラーに当接しないオーバー移動域を有すること;及び、係合機構は、第1緩衝部材と第2緩衝部材のうちオーバー移動域を有する一方の緩衝部材が可動ミラーにより押圧移動されたときに他方の緩衝部材を係合させて、該一方の緩衝部材をオーバー移動域に保持させることを特徴としている。オーバー移動域を有する緩衝部材を、第1緩衝部材と第2緩衝部材のいずれか一方にするか両方にするかは、任意に選択できる。
本発明の第1の態様は、撮影光路上に位置して被写体光を観察光学系に反射させるファインダ導光位置と、撮影光路から退避して被写体光を撮像用受光媒体側に通過させる退避位置との間で回動可能に支持された可動ミラーと、可動ミラーが退避位置からファインダ導光位置に回動するとき該可動ミラーに当接して押圧移動され、可動ミラーに対する衝撃吸収を行うミラー進出緩衝部材と、可動ミラーがファインダ導光位置から退避位置に回動するとき該可動ミラーに当接して押圧移動され、可動ミラーに対する衝撃吸収を行うミラー退避緩衝部材とを有するカメラの可動ミラー衝撃吸収機構であって、可動ミラーがファインダ導光位置にあるとき、ミラー退避緩衝部材によってミラー進出緩衝部材を可動ミラーに対する非当接位置に保持することを特徴としている。
本発明の一形態として、以下のように構成することが好ましい。まず、ミラー進出緩衝部材を、可動ミラーの回動軸と略平行な軸を中心として回動可能な回動部材とし、第1の付勢部材によって可動ミラーへの当接方向へ回動付勢する。ミラー退避緩衝部材は、ミラー進出緩衝部材の回動軸と略直交する平面に沿って直進移動可能とし、第2の付勢部材によって可動ミラーへの当接方向へ移動付勢する。可動ミラーが退避位置からファインダ導光位置に回動するときには、第1の付勢部材の付勢力に抗してミラー進出緩衝部材を押圧し、可動ミラーがファインダ導光位置から退避位置に回動するときには、第2の付勢部材の付勢力に抗してミラー退避緩衝部材を押圧する。そして、ミラー退避緩衝部材には、第2の付勢部材による付勢方向の移動端にあるときにミラー進出緩衝部材の回動軌跡上に進出してその回動範囲を制限し、可動ミラーによって第2の付勢部材の付勢方向と反対方向に押圧移動されることによりミラー進出緩衝部材の回動軌跡上から退避する回動規制部を設ける。
ミラー進出緩衝部材には、ミラー退避緩衝部材による回動規制を受けるときに回動規制部に当接する回動規制面と、この回動規制面よりも外径側に位置し、ミラー退避緩衝部材の回動規制部との接触状態で、第2の付勢部材による付勢方向へのミラー退避緩衝部材の移動を規制しつつ、ミラー進出緩衝部材の回動を許す回動許容面とを形成することが好ましい。
ミラー進出緩衝部材とミラー退避緩衝部材は、内部に可動ミラーを支持するミラーボックスの側部に支持することが好ましい。この場合、可動ミラーを挟んで位置するミラーボックスの対向する一対の内壁面のうち一方から、ミラー進出緩衝部材とミラー退避緩衝部材にそれぞれ設けられ可動ミラーに当接可能な突出当接部を突出させ、他方から可動ミラーのファインダ導光位置を定めるミラー位置決め部を突出させる。そして、可動ミラーがミラー位置決め部に当接してファインダ導光位置に保持されるとき、ミラー進出緩衝部材は、ミラー退避緩衝部材の回動規制部に当接して、突出当接部を可動ミラーから離間させる位置に保持される。
ミラーボックスには、第1の付勢部材による付勢方向へのミラー進出緩衝部材の回動端を決める第1の規制部と、第2の付勢部材による付勢方向へのミラー退避緩衝部材の移動端を決める第2の規制部を形成することが好ましい。
第1の付勢部材は、ミラーボックスとミラー進出緩衝部材に係合するトーションばねにより構成し、第2の付勢部材は、ミラーボックスとミラー退避緩衝部材に係合する引張ばねにより構成するとよい。あるいは、第2の付勢部材を、ミラーボックスとミラー退避緩衝部材に係合するトーションばねによって構成してもよい。
本発明の第2の態様は、撮影光路上に位置して被写体光を観察光学系に反射させるファインダ導光位置と、撮影光路から退避して被写体光を撮像用受光媒体側に通過させる退避位置との間で回動可能に支持された可動ミラーと、可動ミラーが退避位置とファインダ導光位置の間で一の方向に回動するときに該可動ミラーに当接して押圧移動され、可動ミラーに対する衝撃吸収を行う第1緩衝部材と、可動ミラーが退避位置とファインダ導光位置の間で他の方向に回動するとき該可動ミラーに当接して押圧移動され、可動ミラーに対する衝撃吸収を行う第2緩衝部材と、第1の緩衝部材と第2の緩衝部材とに設けられた係合機構とを有するカメラの可動ミラー衝撃吸収機構であって、第1緩衝部材と第2緩衝部材の少なくとも一方は、可動ミラーに当接して押圧移動される緩衝移動域よりも先に、該可動ミラーに当接しないオーバー移動域を有すること;及び、係合機構は、第1緩衝部材と第2緩衝部材のうちオーバー移動域を有する一方の緩衝部材が可動ミラーにより押圧移動されたときに他方の緩衝部材を係合させて、該一方の緩衝部材をオーバー移動域に保持させることを特徴としている。オーバー移動域を有する緩衝部材を、第1緩衝部材と第2緩衝部材のいずれか一方にするか両方にするかは、任意に選択できる。
例えば、少なくとも第1緩衝部材がオーバー移動域を有するものとし、係合機構は、第1緩衝部材と第2緩衝部材をそれぞれ可動ミラーによる押圧移動方向と反対方向に付勢する第1及び第2の付勢部材と、第1緩衝部材に設けられ第1の付勢部材による付勢方向に向く係合面部と、第2緩衝部材に設けられ、該第2緩衝部材の移動に応じて第1緩衝部材の係合面部の移動軌跡上に進退する移動規制部とを備えるとよい。そして、第2緩衝部材が第2の付勢部材の付勢方向に移動されたときに、第2緩衝部材に設けた移動規制部が第1緩衝部材の係合面部の移動軌跡上に位置して、第1の付勢部材の付勢力によって係合面部と移動規制部が当接して第1緩衝部材をオーバー移動域に保持し、第2緩衝部材が第2の付勢部材の付勢力に抗して可動ミラーにより押圧移動されたときに、移動規制部が第1緩衝部材の係合面部の移動軌跡上から退避するように構成するとよい。
本発明の第1の態様によれば、可動ミラーがファインダ導光位置へ回動するときに衝撃吸収を行うミラー進出緩衝部材は、可動ミラーがファインダ導光位置に達した状態では、該可動ミラーに対して当接しない位置に保持されるため、ミラー進出緩衝部材による影響を受けずに可動ミラーのファインダ導光位置を高精度に設定することができる。そして、この可動ミラーとの非当接位置にミラー進出緩衝部材を保持する手段を、可動ミラーが退避位置へ回動するときの衝撃吸収を担うミラー退避緩衝部材が兼ねる構成としたので、可動ミラー衝撃吸収機構における部品点数が少なく構造が簡単になり、カメラの小型化やコストダウンを達成することができる。
本発明の第2の態様によれば、可動ミラーがファインダ導光位置と退避位置へ回動するときにそれぞれ衝撃吸収を行う2つの緩衝部材は、その少なくとも一方が他方を可動ミラーに当接しないオーバー移動域に保持させる保持手段としても機能するので、緩衝部材による影響を受けずに可動ミラーを高精度に位置決めすることができると共に、可動ミラー衝撃吸収機構における部品点数を少なくして構造を簡略にすることができる。
本発明を適用した一眼レフカメラの光学系の概略を示す図である。 ミラーダウン状態でのミラーボックスの前方斜視図である。 ミラーアップ状態でのミラーボックスの前方斜視図である。 ミラーダウン状態でのミラーボックスの後方斜視図である。 ミラーダウン状態でのミラーボックスの後方斜視図である。 ミラーアップ状態でのミラーボックスの後方斜視図である。 ダウン吸収レバーの緩衝用ダボにミラーシートの当接部を当接させた状態のミラー緩衝機構の斜視図である。 アップ吸収レバーの緩衝用ダボにミラーシートの当接部を当接させた状態のミラー緩衝機構の斜視図である。 押さえ板を外してミラー緩衝機構を露出させた状態のミラーボックスの左側面図である。 ミラーダウン状態のミラー緩衝機構の側面図である。 可動ミラーがダウン位置からアップ位置に回動する途中の状態のミラー緩衝機構の側面図である。 ミラーアップ状態のミラー緩衝機構の側面図である。 可動ミラーがアップ位置からダウン位置に回動する途中の状態のミラー緩衝機構の側面図である。 可動ミラーがアップ位置からダウン位置への回動を完了し、ダウン吸収レバーがアップ吸収レバーによる回動規制位置よりも先のオーバー位置まで回動された状態のミラー緩衝機構の側面図である。 アップ吸収レバーを付勢するアップ吸収ばねをトーションばねにより構成した形態のミラー緩衝機構の、ミラーダウン状態を示す側面図である。 アップ吸収レバーを付勢するアップ吸収ばねをトーションばねにより構成した形態のミラー緩衝機構の、ミラーアップ状態を示す側面図である。
図1に示す一眼レフカメラ(以下、カメラ)10は、カメラボディ11の前面に交換式のレンズ鏡筒12を着脱させるレンズマウント13を有し、その内方にミラーボックス14が設けられている。
ミラーボックス14内には可動ミラー(クイックリターンミラー)15が設けられる。可動ミラー15は、ミラーシート16上にメインミラー15aを固定的に支持し、ミラーシート16の背面側にサブミラー17を回動可能に支持した構造になっており、ミラーシート16の両側に突出する一対のミラーシートヒンジ16xがミラーボックス14の両側壁に軸支されている。可動ミラー15の後方にはフォーカルプレーンシャッタ(以下、シャッタ)18が設けられ、シャッタ18の後方にはイメージセンサ(撮像用受光媒体)19が設けられている。なお、本実施形態のカメラ10は、撮像用受光媒体にイメージセンサ19を用いるデジタルカメラであるが、撮像用受光媒体として銀塩フィルムを用いるカメラに対しても本発明は適用が可能である。
可動ミラー15は、ミラーシートヒンジ16xを軸として、レンズ鏡筒12内の撮影レンズ12aからイメージセンサ19に至る撮影光路上に約45度の角度で斜設されるダウン位置(ファインダ導光位置:図1の実線、図2、図4、図5、図10)と、撮影光路から上方に退避したアップ位置(退避位置:図1の二点鎖線、図3、図6、図12)の間で往復回動される。図4及び図6に示すように、可動ミラー15を挟んで位置するミラーボックス14の両側壁のうち一方の内面からダウン位置決めダボ(ミラー位置決め部)20が突出しており、このダウン位置決めダボ20に対してミラーシート16の一側部に設けたストッパ部16a(図7、図8)を当接させることで、可動ミラー15のダウン位置が定められる。ダウン位置決めダボ20は、ミラーボックス14に対する取付位置の微調整が可能である。また、ミラーボックス14内には、可動ミラー15をアップ位置に回動させたときミラーシート16の上面が当接可能な上方ストッパ21が設けられている。可動ミラー15の上方には、ペンタプリズムや接眼レンズなどにより構成されるファインダ光学系22が設けられている。
レンズマウント13にレンズ鏡筒12を装着した状態でレンズ鏡筒12内の撮影レンズ12aを通してミラーボックス14内に入射する被写体光は、可動ミラー15がダウン位置にあるときには、可動ミラー15のメインミラー15aにより反射されてファインダ光学系22に入り、カメラボディ11後面側のファインダ窓22aを通して被写体像を観察することができる。この状態では、ファインダ光学系22を構成するペンタプリズムの後方に設けた測光ユニット23による測光が可能である。また、可動ミラー15のダウン位置では、サブミラー17はミラーシート16に対して斜め下方に向けて突出し、サブミラー17によって被写体光の一部がミラーボックス14の下方の測距ユニット24に導かれ、被写体距離を検出することができる。一方、可動ミラー15がアップ位置にあるときには、撮影レンズ12aを通してミラーボックス14内に入射する被写体光は可動ミラー15で反射されずにシャッタ18側に進み、シャッタ18を開くことでイメージセンサ19の受光面上に光を入射させることができる。可動ミラー15のアップ位置では、サブミラー17はミラーシート16の背面側に格納される。カメラボディ11の後面に設けたLCDモニタ25には、イメージセンサ19により得られる被写体の電子画像や、電子画像以外の各種の情報を表示することができる。
図5に示すように、ミラーボックス14の一側部(前方から見て左側の側部)には、可動ミラー15の昇降回動を行わせるミラー駆動機構30が設けられている。ミラー駆動機構30は、モータ31と、モータ31の駆動力を伝達する減速ギヤ列32と、遊星ギヤ機構を介して減速ギヤ列32からの回転駆動力が伝達されるカムギヤ33と、カムギヤ33によって回動位置が制御されるミラー駆動レバー34を備えている。ミラー駆動レバー34は、ミラーシートヒンジ16xの軸線と略平行な軸34xを中心として往復回動可能にミラーボックス14に支持されており、ミラーシート16の側部に設けたミラーシートボス16bを保持している。このミラー駆動レバー34による保持部分がミラーシートボス16bを下方に押圧することで可動ミラー15をダウン位置に向けて回動させ、ミラーシートボス16bを上方に押圧することで可動ミラー15をアップ位置に向けて回動させる。ミラー駆動レバー34は、可動ミラー15をダウン位置へ押圧する方向へ回動付勢されており、カムギヤ33が特定の回転位置にあるとき、該カムギヤ33に形成したミラー制御カム(周面カム)によって、付勢力に抗してミラー駆動レバー34がミラーアップ方向へ押圧回動される。詳しくは、カムギヤ33は初期位置から一方向にのみ回転される一回転カムギヤであり、カムギヤ33が初期位置にあるときには、該カムギヤ33のミラー制御カムがミラー駆動レバー34を押圧せず、ミラー駆動レバー34に作用する付勢力によって可動ミラー15がダウン位置に保持されている。カムギヤ33が初期位置から途中まで回転されると、カムギヤ33のミラー制御カムがミラー駆動レバー34を押圧回動させ、ミラー駆動レバー34が可動ミラー15をアップ位置に回動させる。この途中位置からカムギヤ33が初期位置に戻るまでの間に、カムギヤ33のミラー制御カムがミラー駆動レバー34に対する押圧を解除して、可動ミラー15がダウン位置に復帰される。
ミラーボックス14の一側部にはさらに、シャッタ18のチャージ動作を行わせるシャッタチャージレバー35が備えられている。カムギヤ33は、上述のミラー駆動カムに加えて、シャッタチャージレバー35の動作を制御するシャッタチャージカムを有し、初期位置から一回転することでシャッタチャージレバー35を往復回動させてシャッタチャージを行わせる。シャッタチャージ機構は本発明の特徴とは関係がないため、詳細な説明を省略する。
ミラーボックス14の他側部(前方から見て右側の側部)には、可動ミラー15がダウン位置とアップ位置に回動するときの衝撃を吸収して可動ミラー15のバウンド(振動)を抑制させるミラー緩衝機構(可動ミラー衝撃吸収機構)40が備えられている。ミラー緩衝機構40は、ダウン吸収レバー(ミラー進出緩衝部材、緩衝部材)41、ダウン吸収ばね(第1の付勢部材、係合機構)42、アップ吸収レバー(ミラー退避緩衝部材、緩衝部材)43及びアップ吸収ばね(第2の付勢部材、係合機構)44を備え、これらの各部材は、ミラーボックス14の側部に固定される押さえ板45(図4)によって脱落しないように保持されている。
ダウン吸収レバー41は、ミラーボックス14に突設されミラーシートヒンジ16xと略平行な軸41xによって回動可能に支持されている。ダウン吸収レバー41は、軸41xを中心とする略扇形をなし、扇の周縁部に近い位置にミラーボックス14の内方側に向けて突出する緩衝用ダボ(突出当接部)41aを有し、軸41xに近い部分に半径方向に向け延設された回動規制面(係合機構、係合面部)41bを有する。また、回動規制面41bに続けて、該回動規制面41bよりも外径側に位置し、軸41xを中心とする円弧状をなす回動許容面41cが形成されている。ミラーボックス14には軸41xを中心とする円弧状の貫通孔14aが形成されていて、ダウン吸収レバー41の緩衝用ダボ41aは、貫通孔14aに挿通されてミラーボックス14の内部に突出している(図2、図3、図5及び図9参照)。緩衝用ダボ41aは、ミラーシート16の先端部近傍の側部に設けた緩衝当接部16cの移動軌跡上(ミラーシートヒンジ16xを中心とする可動ミラー15の回動軌跡上)に位置しており、緩衝当接部16cの下面側に当接可能となっている。
ダウン吸収ばね42は、軸41xを囲むコイル部42aと、ミラーボックス14の側面に形成したばね掛け部14bに係合するばね腕部42bと、ダウン吸収レバー41に形成したばね掛け部41dに係合するばね腕部42cを有するトーションばねであり、ダウン吸収レバー41を図9ないし図14の時計方向に回動付勢する。このダウン吸収ばね42によるダウン吸収レバー41の付勢方向は、ミラーシート16の緩衝当接部16cに対して緩衝用ダボ41aを接近(当接)させる方向であり、当該付勢方向へのダウン吸収レバー41の回動端を定める回動規制突起(第1の規制部)14cがミラーボックス14の側面に突設されている。この回動規制突起14cに当接するダウン吸収レバー41の回動端を緩衝待機位置と呼ぶ。ダウン吸収レバー41は、この緩衝待機位置を一方の回動端として、ダウン吸収ばね42の付勢力に抗して回動規制突起14cから離れる方向に回動することができる。ダウン吸収レバー41は、図12や図13に示す緩衝待機位置を起点として所定の位置までは、ダウン位置方向へ回動する可動ミラー15(ミラーシート16)の緩衝当接部16cによって押圧されながら、ダウン吸収ばね42の付勢力に抗して回動される。この所定の位置とは、可動ミラー15のダウン位置に対応した位置であり、可動ミラー15がダウン位置まで達するとストッパ部16aがダウン位置決めダボ20に当接してそれ以上の回動が規制されるため、ダウン吸収レバー41に対してそれ以上は緩衝当接部16cからの押圧力が及ばなくなる。可動ミラー15による押圧移動力を受けるダウン吸収レバー41の当該回動範囲を緩衝移動域と呼ぶ。ダウン吸収レバー41はさらに、緩衝移動域よりも先のオーバー移動域まで回動可能である。図10と図14は、ダウン吸収レバー41がオーバー移動域にある状態を示しており、可動ミラー15がダウン位置決めダボ20に当接してダウン位置よりも先への回動が規制されているのに対し、ダウン吸収レバー41は、緩衝用ダボ41aをミラーシート16の緩衝当接部16cから離間させていて、可動ミラー15との間の当接関係が解除されている。
アップ吸収レバー43は、ミラーボックス14の側面に突設した上下2つのガイドピン14dとガイドピン(第2の規制部)14eを挿通させる2つのガイド孔43aとガイド孔43bを有し、各ガイド孔43a、43bで各ガイドピン14d、14eの案内を受けることによって、上下方向に直進移動可能に支持されている。このアップ吸収レバー43の直進移動方向は、ダウン吸収レバー41の回動軸41xの軸線と略直交する平面内に設定されている。換言すれば、ダウン吸収レバー41とアップ吸収レバー43は、互いに平行な平面に沿って回動及び移動が可能に支持されている。アップ吸収レバー43の上端部付近には、ミラーボックス14の内方側に向けて突出する緩衝用ダボ(突出当接部)43cを有し、下端部付近にはばね掛け部43dが設けられている。ミラーボックス14には上下方向への長孔である貫通孔14fが形成されていて、アップ吸収レバー43の緩衝用ダボ43cは、貫通孔14fに挿通されてミラーボックス14の内部に突出している(図2、図3及び図9参照)。緩衝用ダボ43cは、ミラーシート16の緩衝当接部16cの移動軌跡上(ミラーシートヒンジ16xを中心とする可動ミラー15の回動軌跡上)に位置しており、緩衝当接部16cの上面側に当接可能となっている。アップ吸収レバー43の側部には、回動規制アーム(回動規制部、係合機構、移動規制部)43eが突出している。回動規制アーム43eは、アップ吸収レバー43の移動方向である上下方向に対して略直交する方向に突出され、その先端部付近が下方に曲げられた鈎状の形状をなしている。
アップ吸収ばね44は引張ばねからなり、その一端部がアップ吸収レバー43に形成したばね掛け部43dに掛けられ、他端部がミラーボックス14の側面に形成したばね掛け部14gに掛けられ、アップ吸収レバー43を下方に向けて移動付勢している。このアップ吸収ばね44によるアップ吸収レバー43の付勢方向は、ミラーシート16の緩衝当接部16cに対して緩衝用ダボ43cを接近(当接)させる方向であり、アップ吸収レバー43は、ガイドピン14eに対してガイド孔43bの上端部を当接させることで、アップ吸収ばね44の付勢方向への移動が規制される。このアップ吸収ばね44の付勢方向(下方)へのアップ吸収レバー43の移動端を緩衝待機位置と呼ぶ。アップ吸収レバー43の緩衝待機位置では、ダウン吸収レバー41のうち軸41xを中心とする回動規制面41bの回動軌跡上に回動規制アーム43eが進出し、該回動規制面41bに対して回動規制アーム43eの側面を当接させることで、ダウン吸収ばね42の付勢方向へのダウン吸収レバー41の回動を規制する(図10、図11)。より詳しくは、ダウン吸収レバー41の回動規制面41bとアップ吸収レバー43の回動規制アーム43eの側面が対向して当接可能となるのは、アップ吸収レバー43が緩衝待機位置にあり、かつダウン吸収レバー41が上述のオーバー移動域にあるという関係を満たした状態である。よって、アップ吸収レバー43の回動規制アーム43eに対する回動規制面41bの当接で回動規制されるとき、ダウン吸収レバー41は、緩衝用ダボ41aをミラーシート16の緩衝当接部16cから離間させるオーバー移動域に保持される。一方、回動規制アーム43eの端部が回動規制面41bの回動軌跡から外れた状態(図12)では、ダウン吸収レバー41に対するオーバー移動域での保持が解除され、ダウン吸収レバー41はダウン吸収ばね42による付勢方向(緩衝待機位置)への回動が可能となる。また、回動規制アーム43eの端部が回動許容面41cに当接する状態(図13)では、回動規制アーム43eに対して回動許容面41cを摺接させることで、ダウン吸収レバー41の回動が許される。
図10以下を参照してミラー緩衝機構40の動作を説明する。図10は可動ミラー15がダウン位置にある状態を示している。このとき、ミラー駆動機構30を構成するミラー駆動レバー34によってミラーシートボス16bが下方に押圧され、ミラーシート16のストッパ部16aがダウン位置決めダボ20に当接することで可動ミラー15がダウン位置に保持されている。アップ吸収レバー43は、アップ吸収ばね44の付勢力によって緩衝待機位置に保持され、回動規制面41bに回動規制アーム43eを当接させることで、ダウン吸収ばね42の付勢方向(時計方向)へのダウン吸収レバー41の回動を規制している。ダウン吸収レバー41は、緩衝用ダボ41aをミラーシート16の緩衝当接部16cから離間させたオーバー移動域にあって、ダウン吸収レバー41は、ミラーシート16の位置決めに関与せず、ダウン位置決めダボ20によるミラーシート16の位置決めを妨げない。より詳しくは、ミラーシート16を側面視している図10では、その一方の側部に設けたストッパ部16aと、他方の側部に設けた緩衝当接部16cが同じ位置にあるものとして示している。そして、アップ吸収レバー43によって回動規制されたダウン吸収レバー41は、ダウン位置決めダボ20よりも、ミラーダウン方向(図10の反時計方向)へ進んだ位置に緩衝用ダボ41aを位置させている。このダウン位置決めダボ20と緩衝用ダボ41aの相対位置関係により、ダウン位置決めダボ20がストッパ部16aに当接し、緩衝用ダボ41aが緩衝当接部16cに当接しない状態(オーバー移動域)が得られる。
ミラー駆動機構30のミラー駆動レバー34により可動ミラー15がダウン位置からアップ位置へ向けて回動されると、やがて、図11に示すように、ミラーシート16の緩衝当接部16cの上面がアップ吸収レバー43の緩衝用ダボ43cに対して当接する。図11の時点では可動ミラー15はアップ位置に達しておらず、図12に示すアップ位置まで可動ミラー15が回動する間に、ミラーシート16の緩衝当接部16cが緩衝用ダボ43cを押し上げて、アップ吸収ばね44の付勢力に抗してアップ吸収レバー43を緩衝待機位置から上方に押圧移動させる。つまり、可動ミラー15の回動に対してアップ吸収ばね44の負荷が作用し、可動ミラー15は、アップ吸収レバー43及びアップ吸収ばね44によって緩衝されながらアップ位置へ達する。これにより、ダウン位置からアップ位置に回動するときの可動ミラー15のバウンド(振動)の発生が軽減される。具体的には、バウンドの発生時間が短くなり、バウンドの回数が少なくなる。可動ミラー15のアップ位置では、ミラーシート16の上面が上方ストッパ21に当接して、それ以上の上方への回動が規制される(図1)。なお、アップ吸収レバー43は、ガイドピン14dにガイド孔43aの下端部が当接する位置まで上方に移動可能であるが、アップ吸収レバー43がこの上方移動端まで達するよりも前に可動ミラー15が上方ストッパ21に当接するようになっている。すなわち、アップ吸収レバー43も、可動ミラー15(ミラーシート16)の緩衝当接部16cによって緩衝用ダボ43cが押圧される緩衝移動域の先に、上方ストッパ21によりアップ位置に停止された状態の可動ミラー15の緩衝当接部16cから緩衝用ダボ43cを離間させることが可能なオーバー移動域を有している。
可動ミラー15がアップ位置へ回動する際に、ミラーシート16の緩衝当接部16cによってアップ吸収レバー43が緩衝待機位置から上方に押圧移動されると、回動規制アーム43eが回動規制面41bの回動軌跡上から上方に退避する。これにより、ダウン吸収レバー41に対する回動規制が解除され、図12に示すように、ダウン吸収レバー41はダウン吸収ばね42の付勢力によって、回動規制突起14cに当接する緩衝待機位置まで回動される。ダウン吸収レバー41が緩衝待機位置にあるとき、緩衝用ダボ41aは、ダウン位置決めダボ20よりも上方、すなわち可動ミラー15のミラーアップ方向(図12の時計方向)へ進んだ位置(可動ミラー15がダウン位置へ回動する際には、ミラーシート16のストッパ部16aとダウン位置決めダボ20の当接よりも先に、ミラーシート16の緩衝当接部16cと緩衝用ダボ41aの当接が生じる位置)にある。また、ダウン吸収レバー41の緩衝待機位置では、アップ吸収レバー43の回動規制アーム43eの下方に離間して回動許容面41cが位置する。
ミラー駆動機構30のミラー駆動レバー34により可動ミラー15がアップ位置からダウン位置へ向けて回動されると、ミラーシート16の緩衝当接部16cの移動に追随して、アップ吸収レバー43が、アップ吸収ばね44の付勢力によって緩衝待機位置へ向けて下降移動される。図13に示すように、アップ吸収レバー43が所定量移動すると、回動規制アーム43eの下端部がダウン吸収レバー41の回動許容面41cに当接して、アップ吸収レバー43の下降移動が途中で停止される。続いて、可動ミラー15がダウン位置に近付くと、ミラーシート16のストッパ部16aがダウン位置決めダボ20に当接するよりも前に、図13に示すように、ミラーシート16の緩衝当接部16cがダウン吸収レバー41の緩衝用ダボ41aに当接する。この時点で、ダウン吸収レバー41はダウン吸収ばね42の付勢力によって緩衝待機位置に保持されており、図14に示すダウン位置まで可動ミラー15が回動する間に、ミラーシート16の緩衝当接部16cが緩衝用ダボ41aを押し下げて、ダウン吸収ばね42の付勢力に抗してダウン吸収レバー41を緩衝待機位置から図13中の反時計方向に回動させる。このとき、回動規制アーム43eの端部に対して回動許容面41cを摺接させることにより、ダウン吸収レバー41は、アップ吸収レバー43による規制を受けることなく回動することができる。これにより、ダウン吸収レバー41が緩衝待機位置から始まる緩衝移動域を回動している間、可動ミラー15の回動に対してダウン吸収ばね42の負荷が作用し、可動ミラー15は、ダウン吸収レバー41及びダウン吸収ばね42によって緩衝されながらダウン位置へ達する。その結果、アップ位置からダウン位置に回動するときの可動ミラー15のバウンド(振動)の発生が軽減される(バウンドの発生時間が短くなり、バウンドの回数が少なくなる)。
図14は、可動ミラー15がダウン位置まで回動された直後の状態を示している。図10と同様に、ミラーシート16のストッパ部16aがダウン位置決めダボ20に当接して、可動ミラー15のミラーダウン方向(図14の反時計方向)への回動が規制される。ダウン吸収レバー41が緩衝待機位置から押圧回動された結果、回動許容面41cと回動規制アーム43eの当接関係による移動規制が解除され、アップ吸収レバー43は、アップ吸収ばね44の付勢力によって緩衝待機位置まで下方移動されている。これにより、回動規制アーム43eが回動規制面41bの回動軌跡上に進出し、緩衝待機位置(図14の時計方向)へのダウン吸収レバー41の回動が規制される。詳細には、可動ミラー15がダウン位置まで回動するとき、図14に示すように、ダウン吸収レバー41は、緩衝移動域を超えて、アップ吸収レバー43の回動規制アーム43eから回動規制面41bを離間させる位置、すなわちオーバー移動域まで慣性で回動される。続いて、ダウン吸収レバー41は、ダウン吸収ばね42の付勢力によって、回動規制面41bをアップ吸収レバー43の回動規制アーム43eに当接させる図10の位置に戻る。上述のように、図14のみならず図10のダウン吸収レバー41の位置も、緩衝用ダボ41aをミラーシート16の緩衝当接部16cから離間させたオーバー移動域であり、可動ミラー15のダウン位置はダウン位置決めダボ20によって定められる。つまり、ダウン吸収レバー41は、可動ミラー15がダウン位置へ向けて回動するときには、緩衝当接部16cに緩衝用ダボ41aを当接させる緩衝移動域で緩衝部材として機能し、可動ミラー15がダウン位置に達した状態では、ミラーシート16に対する非当接位置(オーバー移動域)に保持され、ダウン位置決めダボ20による可動ミラー15の位置決めを妨げない。
以上のように、本実施形態のカメラ10では、可動ミラー15がダウン位置とアップ位置の間で回動するときに、ミラー緩衝機構40を構成するダウン吸収レバー41とアップ吸収レバー43をミラーシート16に当接させて可動ミラー15のバウンドを抑制する。これにより、ファインダ光学系22を介して被写体を観察するときの像振れの発生や、測光ユニット23や測距ユニット24を用いての演算処理の遅滞を防ぐことができ、カメラ10におけるファインダの観察性能や連写性能の向上を図ることができる。そしてミラー緩衝機構40では、可動ミラー15のダウン位置でダウン吸収レバー41(緩衝用ダボ41a)をミラーシート16に対して非当接状態(ミラーシート16に当接しないオーバー移動域)に保持させ、ダウン位置決めダボ20による可動ミラー15の高精度な位置決めを保証させる手段を、ミラーアップ時に可動ミラー15の衝撃吸収を行うアップ吸収レバー43が兼ねている。つまり、ミラーダウン時にはダウン吸収レバー41を緩衝部材として確実に機能させつつ、可動ミラー15がダウン位置まで達したときには、アップ吸収レバー43以外の特別な保持部材を設けることなくダウン吸収レバー41を可動ミラー15との非当接位置に保持させることができる。また、ダウン吸収ばね42およびアップ吸収ばね44の付勢力は、可動ミラー15の緩衝機能だけでなく、ダウン吸収レバー41とアップ吸収レバー43との係合にも利用される機構となっている。以上の構成によって、部品点数が少なくシンプルな構造のミラー緩衝機構40となっている。
図15及び図16は、アップ吸収レバー43を緩衝待機位置へ移動付勢する部材として、トーションばねからなるアップ吸収ばね440を用いた実施形態を示している。アップ吸収ばね440は、ミラーボックス14の側面に設けたばね支持突起14hを囲むコイル部440aと、ミラーボックス14の側面に形成したばね掛け部14iに係合するばね腕部440bと、アップ吸収レバー43の緩衝用ダボ43cの基部に係合するばね腕部440cを有するトーションばねであり、アップ吸収レバー43を下方に移動付勢する。先の実施形態と同じく、図15に示すミラーダウン状態では、アップ吸収ばね440の付勢力によって、アップ吸収レバー43は、ガイドピン14eに対してガイド孔43bの上端部を当接させる緩衝待機位置に保持される。図16のように可動ミラー15がアップ位置に回動すると、ミラーシート16の緩衝当接部16cが緩衝用ダボ43cを押圧して、アップ吸収ばね440の付勢力に抗してアップ吸収レバー43が緩衝待機位置から上方に移動され、アップ吸収レバー43は、可動ミラー15に対する衝撃吸収を行うと共に、ダウン吸収レバー41に対する回動規制を解除する。トーションばねからなるアップ吸収ばね440を用いることにより、可動ミラー15駆動時の動作音の低減を図ることができる。
以上の各実施形態は、可動ミラー15のダウン位置でダウン吸収レバー41を可動ミラー15との非当接位置(オーバー移動域)に保持させるものとして説明したが、図10及び図15の可動ミラー15の角度位置をアップ位置、図12及び図16の可動ミラー15の角度位置をダウン位置とみなすようにそれぞれの側面図を回転させた上で、ミラー緩衝機構40の関連説明部分で「アップ位置」と「ダウン位置」を逆に読み替えることにより、可動ミラー15のアップ位置でダウン吸収レバー41を可動ミラー15との非当接位置(オーバー移動域)に保持させる構成としても適用が可能である。すなわち本発明は、可動ミラーのダウン位置(ファインダ導光位置)とアップ位置(退避位置)のいずれにおける緩衝部材の保持にも適用が可能であり、上記実施形態は、その両方に対応が可能な構成を記載したものである。
さらには、本発明では、可動ミラーのダウン位置(ファインダ導光位置)とアップ位置(退避位置)の両方で、可動ミラーとの非当接位置(オーバー移動域)に各緩衝部材を保持する構造とすることもできる。上述のように、先の実施形態においてアップ吸収レバー43は、ダウン吸収レバー41と同様のオーバー移動域を有している。具体的には、ガイド孔43aの下端部がガイドピン14dに当接する位置がアップ吸収レバー43の上方移動端であるが、アップ吸収レバー43がこの上方移動端まで達するよりも前に可動ミラー15が上方ストッパ21に当接するため、アップ吸収レバー43を上方移動端付近まで移動させると、緩衝用ダボ43cがミラーシート16の緩衝当接部16cから離間する。そして、可動ミラー15のアップ回動時に、アップ吸収レバー43をこの上方移動端付近(オーバー移動域)に保持させる係合部をダウン吸収レバー41に付加的に設けることで、可動ミラー15のアップ位置においても、アップ吸収レバー43を可動ミラー15に対して非当接状態で保持させることができる。この場合、アップ吸収レバー43のオーバー移動域での保持手段は、ミラーダウン時の緩衝部材であるダウン吸収レバー41やダウン吸収ばね42が兼ねるので、可動ミラー15のダウン位置におけるダウン吸収レバー41のオーバー移動域での保持構造と同様に、部品点数が少なく簡略な構造とすることができる。
以上、図示実施形態に基づき説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図示実施形態のミラー緩衝機構40では、ダウン吸収レバー41が軸41xを回動中心とする回動部材であり、アップ吸収レバー43が直進移動部材であるが、ミラーアップ時とミラーダウン時に作用するそれぞれの緩衝部材の移動態様(移動方向)は、これと異なる組み合わせであってもよい。
また本発明では、可動ミラーに対する緩衝部材の細部形状は、図示実施形態のダウン吸収レバー41やアップ吸収レバー43と異なっていてもよい。
また、各緩衝部材を付勢する付勢部材については、図示実施形態におけるダウン吸収ばね42及びアップ吸収ばね440のようなトーションばねや、アップ吸収ばね44のような引張ばねを任意に組み合わせて用いることが可能であり、さらにはトーションばねや引張ばね以外の付勢部材を用いることも可能である。
10 一眼レフカメラ
11 カメラボディ
12 レンズ鏡筒
13 レンズマウント
14 ミラーボックス
14a 貫通孔
14b ばね掛け部
14c 回動規制突起(第1の規制部)
14d ガイドピン
14e ガイドピン(第2の規制部)
14f 貫通孔
14g ばね掛け部
14h ばね支持突起
14i ばね掛け部
15 可動ミラー(クイックリターンミラー)
15a メインミラー
16 ミラーシート
16a ストッパ部
16b ミラーシートボス
16c 緩衝当接部
16x ミラーシートヒンジ(可動ミラーの回動軸)
17 サブミラー
18 フォーカルプレーンシャッタ
19 イメージセンサ(撮像用受光媒体)
20 ダウン位置決めダボ
21 上方ストッパ
22 ファインダ光学系
22a ファインダ窓
23 測光ユニット
24 測距ユニット
25 LCDモニタ
30 ミラー駆動機構
31 モータ
32 減速ギヤ列
33 カムギヤ
34 ミラー駆動レバー
34x ミラー駆動レバーの軸
35 シャッタチャージレバー
40 ミラー緩衝機構(可動ミラー衝撃吸収機構)
41 ダウン吸収レバー(ミラー進出緩衝部材、緩衝部材)
41a 緩衝用ダボ(突出当接部)
41b 回動規制面(係合機構、係合面部)
41c 回動許容面
41d ばね掛け部
41x ダウン吸収レバーの軸
42 ダウン吸収ばね(第1の付勢部材、係合機構)
42a コイル部
42b 42c ばね腕部
43 アップ吸収レバー(ミラー退避緩衝部材、緩衝部材)
43a 43b ガイド孔
43c 緩衝用ダボ(突出当接部)
43d ばね掛け部
43e 回動規制アーム(回動規制部、係合機構、移動規制部)
44 アップ吸収ばね(第2の付勢部材、係合機構)
45 押さえ板
440 アップ吸収ばね(第2の付勢部材)
440a コイル部
440b 440c ばね腕部

Claims (9)

  1. 撮影光路上に位置して被写体光を観察光学系に反射させるファインダ導光位置と、上記撮影光路から退避して上記被写体光を撮像用受光媒体側に通過させる退避位置との間で回動可能に支持された可動ミラー;
    上記可動ミラーが上記退避位置から上記ファインダ導光位置に回動するとき該可動ミラーに当接して押圧移動され、上記可動ミラーに対する衝撃吸収を行うミラー進出緩衝部材;及び
    上記可動ミラーが上記ファインダ導光位置から上記退避位置に回動するとき該可動ミラーに当接して押圧移動され、上記可動ミラーに対する衝撃吸収を行うミラー退避緩衝部材;
    を有し、
    上記可動ミラーが上記ファインダ導光位置にあるとき、上記ミラー退避緩衝部材によって上記ミラー進出緩衝部材を上記可動ミラーに対する非当接位置に保持することを特徴とするカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
  2. 請求項1記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、上記ミラー進出緩衝部材は、上記可動ミラーの回動軸と略平行な軸を中心として回動可能であり、該ミラー進出緩衝部材を上記可動ミラーへの当接方向へ回動付勢する第1の付勢部材を備え、上記可動ミラーが上記退避位置から上記ファインダ導光位置に回動するとき、該可動ミラーが上記第1の付勢部材の付勢力に抗して上記ミラー進出緩衝部材を押圧し、
    上記ミラー退避緩衝部材は、上記ミラー進出緩衝部材の回動軸と略直交する平面に沿って直進移動可能であり、該ミラー退避緩衝部材を上記可動ミラーへの当接方向へ移動付勢する第2の付勢部材を備え、上記可動ミラーが上記ファインダ導光位置から上記退避位置に回動するとき、該可動ミラーが上記第2の付勢部材の付勢力に抗して上記ミラー退避緩衝部材を押圧し、
    上記ミラー退避緩衝部材は、該ミラー退避緩衝部材が上記第2の付勢部材による付勢方向の移動端にあるときに、上記ミラー進出緩衝部材の回動軌跡上に進出して該ミラー進出緩衝部材の回動範囲を制限し、該ミラー退避緩衝部材が上記可動ミラーによって上記第2の付勢部材の付勢方向と反対方向に押圧移動されることにより、上記ミラー進出緩衝部材の回動軌跡上から退避する回動規制部を有するカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
  3. 請求項2記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、上記ミラー進出緩衝部材は、
    上記ミラー退避緩衝部材による回動規制を受けるときに上記回動規制部に当接する回動規制面と;
    上記回動規制面よりも外径側に位置し、上記ミラー退避緩衝部材の上記回動規制部との接触状態で、上記第2の付勢部材による付勢方向への上記ミラー退避緩衝部材の移動を規制しつつ、上記ミラー進出緩衝部材の回動を許す回動許容面と;
    を有するカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
  4. 請求項2または3記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、上記ミラー進出緩衝部材と上記ミラー退避緩衝部材は、内部に上記可動ミラーを支持するミラーボックスの側部に支持されており、
    上記可動ミラーを挟んで位置する上記ミラーボックスの対向する一対の内壁面のうち一方から、上記ミラー進出緩衝部材と上記ミラー退避緩衝部材にそれぞれ設けられ上記可動ミラーに当接可能な突出当接部が突出し、他方から上記可動ミラーの上記ファインダ導光位置を定めるミラー位置決め部が突出し、
    上記可動ミラーが上記ミラー位置決め部に当接して上記ファインダ導光位置に保持されるとき、上記ミラー進出緩衝部材は、上記ミラー退避緩衝部材の上記回動規制部に当接して、上記突出当接部を上記可動ミラーから離間させる位置に保持されるカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
  5. 請求項4記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、上記第1の付勢部材による付勢方向への上記ミラー進出緩衝部材の回動端を決める第1の規制部と、上記第2の付勢部材による付勢方向への上記ミラー退避緩衝部材の移動端を決める第2の規制部が上記ミラーボックスに形成されているカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
  6. 請求項4または5記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、上記第1の付勢部材は、上記ミラーボックスと上記ミラー進出緩衝部材に係合するトーションばねからなり、上記第2の付勢部材は、上記ミラーボックスと上記ミラー退避緩衝部材に係合する引張ばねからなるカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
  7. 請求項4または5記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、上記第1の付勢部材は、上記ミラーボックスと上記ミラー進出緩衝部材に係合するトーションばねからなり、上記第2の付勢部材は、上記ミラーボックスと上記ミラー退避緩衝部材に係合するトーションばねからなるカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
  8. 撮影光路上に位置して被写体光を観察光学系に反射させるファインダ導光位置と、上記撮影光路から退避して上記被写体光を撮像用受光媒体側に通過させる退避位置との間で回動可能に支持された可動ミラー;
    上記可動ミラーが上記退避位置と上記ファインダ導光位置の間で一の方向に回動するときに該可動ミラーに当接して押圧移動され、上記可動ミラーに対する衝撃吸収を行う第1緩衝部材;
    上記可動ミラーが上記退避位置と上記ファインダ導光位置の間で他の方向に回動するとき該可動ミラーに当接して押圧移動され、上記可動ミラーに対する衝撃吸収を行う第2緩衝部材;及び
    上記第1緩衝部材と上記第2緩衝部材とに設けられた係合機構;
    を有し、
    上記第1緩衝部材と上記第2緩衝部材の少なくとも一方は、上記可動ミラーに当接して押圧移動される緩衝移動域よりも先に、該可動ミラーに当接しないオーバー移動域を有すること;及び
    上記係合機構は、上記第1緩衝部材と上記第2緩衝部材のうち上記オーバー移動域を有する一方の緩衝部材が上記可動ミラーにより押圧移動されたときに他方の緩衝部材を係合させて、該一方の緩衝部材を上記オーバー移動域に保持させること;
    を特徴とするカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
  9. 請求項8記載のカメラの可動ミラー衝撃吸収機構において、少なくとも上記第1緩衝部材が上記オーバー移動域を有し、
    上記係合機構は、
    上記第1緩衝部材を上記可動ミラーによる押圧移動方向と反対方向に付勢する第1の付勢部材と;
    上記第2緩衝部材を、上記可動ミラーによる押圧移動方向と反対方向に付勢する第2の付勢部材と;
    上記第1緩衝部材に設けられた、上記第1の付勢部材による付勢方向に向く係合面部と;
    上記第2緩衝部材に設けられ、該第2緩衝部材の移動に応じて上記第1緩衝部材の上記係合面部の移動軌跡上に進退する移動規制部と;
    を有し、
    上記第2緩衝部材が上記第2の付勢部材の付勢方向に移動されたときに、上記移動規制部が上記第1緩衝部材の上記係合面部の移動軌跡上に位置し、上記第1の付勢部材の付勢力によって上記係合面部と上記移動規制部が当接して上記第1緩衝部材を上記オーバー移動域に保持すること;及び
    上記第2緩衝部材が上記第2の付勢部材の付勢力に抗して上記可動ミラーにより押圧移動されたときに、上記移動規制部が上記第1緩衝部材の上記係合面部の移動軌跡上から退避すること;
    を特徴とするカメラの可動ミラー衝撃吸収機構。
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