しかしながら、上記従来の床暖カーペットにおいては、使用者が採暖する際の姿勢を変化させた場合であっても、その姿勢の変化(使用形態の変化)に応じて使用者に与える不
快感を十分に低減した状態で採暖を行えるよう表面材の適切な温度制御を行うという観点からは未だ改善の余地があった。
すなわち、上記従来の床暖カーペットは、「使用者が椅子に腰掛けるなどして足のうらを表面材上に載せた姿勢で採暖するとき」(以下、「第1採暖時」という)に、足のうらという身体のうちの非常に狭い範囲で採暖しても十分な採暖ができることを重視し、この第1採暖時のときの表面材の設定温度を、「使用者が少なくとも足のうら以外の下半身を表面材上に載せた姿勢で採暖する時」(以下、「第2採暖時」という)のときの表面材の設定温度よりも、一般的にやや高めに設定して温度制御を行うよう構成されていた。
つまり、従来の床暖カーペットは使用者が第1採暖時の姿勢で利用することを前提に設計されており、第2採暖時の姿勢の場合の表面材の設定温度よりも第1採暖時の姿勢の場合の表面材の設定温度を高くして、身体が表面材に直接触れることによる採暖の他に、身体が表面材に直接触れていなくとも床暖カーペットからの輻射熱により使用者が十分な暖かさを感じられるように配慮した設計となっていた。
しかし、本発明者らによる床暖カーペットの使用者の使用実態調査の結果、使用者は、第1採暖時の姿勢よりもむしろ第2採暖時の姿勢で床暖カーペットを使用していることが多いことがわかった。
そのため、使用者が第1採暖時のときの姿勢から第2採暖時の姿勢へ移行して採暖をしようとする場合など、第2採暖時の姿勢で採暖する場合には熱いという不快感を感じるおそれがあった。
また、第2採暖時において使用者が熱く感じる時には発熱体への通電量を調節して表面材の温度を下げる調節をすればよいのであるが、表面材の温度を下げるには所定時間が必要なので、使用者が表面材の温度を下げた後の快適な暖かさを感じるまでには時間がかかる。そのため、表面材の温度を下げる調節をした後、表面材の温度が使用者にとって適切でなかった場合、上述の不可避の温度変化の待ち時間に加えて再び温度調節をしなければならない煩雑さが伴い、使用者は使い勝手が悪いという不快感を増幅させてしまうおそれがあり、使用者に与える不快感を十分に低減する観点からは改善の余地があった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、使用者が採暖する際の姿勢を変化させた場合であっても、その姿勢の変化(使用形態の変化)に応じて使用者に与える不快感を十分に低減した状態で採暖を行えるよう表面材の適切な温度制御を行うことのできる床暖カーペットを提供することを目的とする。
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、
床面に敷かれ使用される床暖カーペットであって、
巻回及び折畳み可能な幕状の基材と、
基材の2つの主面のうちの使用者の側に向く表面を覆う表面材と、
基材の2つの主面のうちの床面の側に向く裏面を覆う裏面材と、
基材の内部に配設され、通電により発生するジュール熱により発熱する発熱体と、
発熱体の温度Thを検知する温度検知手段と、
使用者が足のうらを表面材上に載せた姿勢で採暖する第1採暖時において、表面材の設定温度Tsを、使用者の要求により設定するための温度設定手段と、
使用者が少なくとも足のうら以外の下半身を表面材上に載せた姿勢で採暖する第2採暖時において、表面材の設定温度Tsを、第1採暖時における温度Ts1より低い温度Ts2となるように、使用者の要求により設定するための温度控えめ設定手段と、
発熱体、温度検知手段、温度設定手段、及び、温度控えめ設定手段に接続されており、温度設定手段及び温度控えめ設定手段のうちの何れかから送信される温度制御信号を受信し、表面材の実際の表面温度Tsrが、温度設定手段及び温度控えめ設定手段のうちの何れかを用いて使用者の要求により設定された設定温度Tsに近づくように、温度検知手段により検知された発熱体の温度Thに基づいて発熱体への通電を制御する温度制御手段と、
設置スペースにおける環境温度を検知する環境温度検知手段を更に有しており、
前記環境温度検知手段は、前記温度制御手段に接続されており、
前記温度制御手段は、使用者が前記温度控えめ設定手段を用いて、前記表面材の設定温度Tsを、前記第1採暖時における前記温度Ts1より低い前記第2採暖時における温度Ts2にすることを要求した場合に、前記環境温度検知手段により検知された前記環境温度に基づいて、当該環境温度が低くなるに伴い温度の下げ幅(Ts1−Ts2)が小さくなるように当該温度の下げ幅(Ts1−Ts2)を変化させる、
床暖カーペット、を提供する(請求項1)。
ここで、本発明において、第1採暖時の温度Ts1は、第2採暖時よりも高い温度であってかつ以下の「下限値A」と「上限値A」との間の温度範囲の中から選択される予め定められる「設定温度値A」である。
すなわち、使用者が第1採暖時の姿勢で感じる温度として、「冷たいと感じる温度領域から温かいと感じる温度領域へ温度が上昇する場合(または、温かいと感じる温度領域から冷たいと感じる温度領域へ温度が低下する場合)における、使用者が冷たいと感じる温度領域と使用者が冷たくないと感じる温度領域との境界値」を「下限値A」とし、「温かいと感じる温度領域から熱いと感じる温度領域へ温度が上昇する場合(または、熱いと感じる温度領域から温かいと感じる温度領域へ温度が低下する場合)における、使用者が温かいと感じる温度領域と使用者が熱いと感じる温度領域との境界値」を「上限値A」とし、これら「下限値A」以上「上限値A」以下のうち温かいと感じる温度範囲の中から定められた設定温度値Aである。
これら「下限値A」、「上限値A」、「温度Ts1」は、本発明の床暖カーペットの使用環境{設置場所における平均温度の一日の変化、上記の平均温度の年間(季節)の変化、設置場所における平均湿度の一日の変化、上記の平均湿度の年間(季節)の変化、使用者の情報(本発明の床暖カーペットを共有して使用する使用者の人数、年齢分布、性別分布、体脂肪率分布、体重分布等)等}を考慮して第1採暖時の姿勢での使用に適合するように、実験やシミュレーションなどにより予め決定しておくことができる。
また、本発明において、第2採暖時の温度Ts2は、第1採暖時よりも低い温度であってかつ以下の「下限値B」と「上限値B」との間の温度範囲の中から選択される予め定められる「設定温度値B」である。
すなわち、使用者が第2採暖時の姿勢で感じる温度として、「冷たいと感じる温度領域から温かいと感じる温度領域へ温度が上昇する場合(または、温かいと感じる温度領域から冷たいと感じる温度領域へ温度が低下する場合)における、使用者が冷たいと感じる温度領域と使用者が冷たくないと感じる温度領域との境界値」を「下限値B」とし、「温かいと感じる温度領域から熱いと感じる温度領域へ温度が上昇する場合(または、熱いと感じる温度領域から温かいと感じる温度領域へ温度が低下する場合)における、使用者が温かいと感じる温度領域と使用者が熱いと感じる温度領域との境界値」を「上限値B」とし、これら「下限値B」以上「上限値B」以下のうち温かいと感じる温度範囲の中から定められた設定温度値Bである。
これら「下限値B」、「上限値B」、「温度Ts2」は、本発明の床暖カーペットの使用環境{設置場所における平均温度の一日の変化、上記の平均温度の年間(季節)の変化、設置場所における平均湿度の一日の変化、上記の平均湿度の年間(季節)の変化、使用者の情報(本発明の床暖カーペットを共有して使用する使用者の人数、年齢分布、性別分布、体脂肪率分布、体重分布等)等}を考慮して第2採暖時の姿勢での使用に適合するように、実験やシミュレーションなどにより予め決定しておくことができる。
上述のように、本発明の床暖カーペットは、第2採暖時において、表面材の設定温度Tsを、第1採暖時における温度Ts1より低い温度Ts2となるように、使用者が自身の要求により温度控えめ設定手段用いて表面材の温度制御を設定することができる。換言すれば、使用者が自身の意思で温度控えめ設定手段を用いた温度制御を行うか否か、温度Ts1より低い温度Ts2で採暖するか否か、を選択することができる。
このように、使用者は自身が温度Ts1及び温度Ts2のうちの何れの温度で採暖するかを認識した上で本発明の床暖カーペットを使用することになる。
そのため、使用者が温度控えめ設定手段を用いた温度Ts2の温度制御を行うことを選択した場合、予め設定された熱くないと感じる温度Ts2に設定されるので、第1採暖時のときの姿勢から第2採暖時の姿勢へ移行するときに、熱いという不快感を十分に低減した状態で採暖を行うことができる。
更に、この場合、温度Ts2は先に述べたように熱くないと感じる温度に予め設定されているので、表面材の温度は確実に快適な温度Ts2に調節される。そのため、先に述べた従来技術の課題:「表面材の温度を下げる調節をした後、表面材の温度が使用者にとって適切でなかった場合、上述の不可避の温度変化の待ち時間に加えて再び温度調節をしなければならない煩雑さが伴い、使用者は使い勝手が悪いという不快感を増幅させてしまうおそれがある」の発生を十分に防止できる。
また、使用者が温度控えめ設定手段を用いずに温度Ts1の温度制御を行うことを選択した場合、第1採暖時のときの姿勢から第2採暖時の姿勢へ移行するときに温度Ts1の温度制御のままであっても、使用者は自身で温度Ts1の温度制御を選択し認識しているので、従来よりも熱いという不快感を十分に低減した状態で採暖を行うことができる。
更に、この場合、使用者が第1採暖時のときの姿勢でいるときにあらためて温度控えめ設定手段を用いた温度Ts2の温度制御を行うことを選択し、その後、第2採暖時の姿勢へ移行した場合、又は、使用者が第1採暖時のときの姿勢から第2採暖時の姿勢へ移行した後にあらためて温度控えめ設定手段を用いた温度Ts2の温度制御を行うことを選択した場合にも、表面材の温度は確実に快適な温度Ts2に調節されるので、先に述べた従来技術の課題:「表面材の温度を下げる調節をした後、表面材の温度が使用者にとって適切でなかった場合、上述の不可避の温度変化の待ち時間に加えて再び温度調節をしなければならない煩雑さが伴い、使用者は使い勝手が悪いという不快感を増幅させてしまうおそれがある」の発生を十分に防止できる。
その結果、本発明の床暖カーペットによれば、使用者が採暖する際の姿勢を変化させた場合であっても、その姿勢の変化(使用形態の変化)に応じて使用者に与える不快感を十分に低減した状態で採暖を行えるよう表面材の適切な温度制御を行うことができるようになる。
より具体的には、本発明の床暖カーペットによれば、例えば、使用者が上述の第1採暖時の姿勢で採暖する時、及び、第2採暖時の姿勢で採暖する時のうちの何れの姿勢で使用する場合においても、それぞれの姿勢に適した表面材の温度制御ができるので、例えば、使用者が第1採暖時の主として足のうらで採暖する姿勢(後述の図5参照)から、第2採暖時の少なくとも足のうら以外の下半身を表面材上に載せた姿勢{後述の図4参照。表面材上に使用者が全身で横たわる姿勢(いわゆる、「仰向け」の姿勢、「うつぶせ」の姿勢、及び、身体の側面全体を表面材上につけて横たわる姿勢などを含む)}に移行した場合であっても、表面材上に直接触れる身体の部分{又は表面材上に間接的に触れる身体の部
分(表面材と使用者との間に別の敷物がしかれている場合の敷物上に触れる身体の部分)}が熱く感じることなく、使用者に好ましい暖感覚を提供することができる。
ここで、本発明において、先に述べたように、温度制御手段は、表面材の実際の表面温度Tsrが、使用者の要求により設定された設定温度Tsに近づくように、温度検知手段により検知された発熱体の温度Thに基づいて発熱体への通電を制御するが、上述の本発明の効果をより確実に得る観点から、「温度制御手段は、表面材の実際の表面温度Tsrが設定温度Tsとなるように制御する」ことが好ましい。
また、本発明の床暖カーペットにおいては、当該床暖カーペットの設置スペースにおける環境温度を検知する環境温度検知手段を更に有しており、この環境温度検知手段は、温度制御手段に接続されており、温度制御手段は、使用者が温度控えめ設定手段を用いて、表面材の設定温度Tsを、第1採暖時における温度Ts1より低い第2採暖時における温
度Ts2にすることを要求した場合に、環境温度検知手段により検知された環境温度に基づいて、当該環境温度が低くなるに伴い温度の下げ幅(Ts1−Ts2)が小さくなるように当該温度の下げ幅(Ts1−Ts2)を変化させる構成を採用してもよい。
使用者が温度控えめ設定手段を用いて、表面材の設定温度Tsを、第1採暖時における温度Ts1より低い第2採暖時における温度Ts2にすることを要求した場合、この環境温度検知手段により先に述べた環境温度を正確に検知し更にこの環境温度に基づいて、当該環境温度が低くなるに伴い温度の下げ幅(Ts1−Ts2)が小さくなるように当該温度の下げ幅(Ts1−Ts2)を変化させることができる。
そのため、設置スペースの環境温度が高温側にある場合は温度の下げ幅(Ts1−Ts2)を比較的大きくして第2採暖時において使用者が熱いと感じる不快感をより確実に防止するよう十分に低い温度Ts2での温度制御を実現することが容易にできる。また、設置スペースの環境温度が高温側にある場合は温度の下げ幅(Ts1−Ts2)を比較的小さく第2採暖時において使用者が冷たい(寒い)と感じる不快感をより確実に防止するよう十分に高い温度Ts2での温度制御を実現することが容易にできる。
また、上述の本発明の効果をより確実に得る観点から、本発明の床暖カーペットにおいては、温度制御手段には、温度控えめ設定手段からの温度制御信号を受信した時に、運転時間の経過とともに表面材の設定温度Tsを変動させる揺らぎ温度制御部が更に設けられており、この揺らぎ温度制御部による表面材の設定温度Tsの温度制御範囲の上限値が、第2採暖時における温度Ts2となるように設定されていることが好ましい(請求項2)。
これにより、温度制御手段は、温度控えめ設定手段から表面材の設定温度Tsを第2採暖時における温度Ts2に設定する指示信号を受信すると、温度設定手段をもちいて設定された第1採暖時における温度Ts1を第2採暖時における温度Ts2に変更し、かつ、揺らぎ温度制御部を動作開始させる構成となる。ここで、揺らぎ温度制御部による揺らぎ温度制御で変動する表面材の設定温度Tsの温度制御範囲は、その変動の上限値が第2採暖時における温度Ts2となるため、第2採暖時おいて使用者に対して与える熱いと感じる不快感をより確実かつ安全に低減することができる。
また、揺らぎ温度制御部による揺らぎ制御をしていない場合に比較して、揺らぎ温度制御部による揺らぎ温度制御を行う場合、上限値が第2採暖時における温度Ts2であり、当該上限値でない他の温度制御範囲では当然に第2採暖時における温度Ts2未満の温度となるため、当該上限値でない他の温度制御範囲では発熱体への通電量を節約できる。そのため、揺らぎ制御パターンを最適化することにより、使用者に対して十分な暖感覚を与えつつ省エネ効果を更に得ることも容易に可能となる。
更に、上述の揺らぎ温度制御部を採用する場合、本発明の効果及び上述の揺らぎ温度制御部を採用する場合に得られる付加的効果をより確実に得る観点から、揺らぎ温度制御部による表面材の設定温度Tsの温度制御範囲の下限値が、設置スペースにおいて使用される際の環境温度の最低値Tm以上となるように設定されていることが好ましい(請求項3)。
これにより、揺らぎ温度制御が、設置スペースにおいて使用される際の環境温度の最低値Tm以上で行われるので、床暖カーペットの表面材の実際の表面温度Tsrが低くなり過ぎて使用者の暖感覚を損ねることをより確実に防止できるようになる。
なお、設置スペースにおいて使用される際の環境温度の最低値Tmは、本発明の床暖カーペットの使用環境{設置場所における平均温度の一日の変化、上記の平均温度の年間(季節)の変化、設置場所における平均湿度の一日の変化、上記の平均湿度の年間(季節)の変化、使用者の情報(本発明の床暖カーペットを共有して使用する使用者の人数、年齢分布、性別分布、体脂肪率分布、体重分布等)等}を考慮して、実験やシミュレーションなどにより予め決定しておくことができる。
また、本発明の床暖カーペットは、その設置スペースを暖房する際の補助的な暖房機器として使用されるこことが好ましく、エアコン、セラミックファンヒータ、ストーブ(電
気ストーブ、石油ストーブ、ガスストーブ)などの主たる暖房機器とともに使用されることが好ましい。このような主たる暖房機器とともに使用される場合、上記環境温度の最低値Tmが設定し易くなり、この場合環境温度の最低値Tmとしては、使用者の暖感覚を損ねることをより確実に防止する観点から、20〜30℃の温度範囲の中から設定されることが好ましく、23〜27℃の温度範囲の中から設定されることがより好ましく、25℃であることが更に好ましい。
また、本発明の効果をより確実に得る観点から、温度控えめ設定手段は、表面材上に位置する使用者の姿勢が第1採暖時の姿勢及び第2採暖時の姿勢のうちの何れかを検知する人体検知手段を有しており、温度設定手段は、温度控えめ設定手段の人体検知手段により検知された使用者の姿勢に基づいて、使用者の要求により設定された表面材の設定温度Tsとなるように発熱体への通電を制御することが好ましい(請求項4)。
この構成とすれば、使用者が温度控えめ設定手段による温度制御を選択した場合、人体検知手段により、使用者の姿勢が第1採暖時の姿勢及び第2採暖時の姿勢のうちの何れかであるかを確認することができる。
これにより、使用者が温度控えめ設定手段による温度制御を選択した場合、人体検知手段により使用者の姿勢が第2採暖時の姿勢であれば表面材の設定温度Tsを温度Ts2とする温度制御を行い、人体検知手段により使用者の姿勢が第1採暖時の姿勢であれば表面材の設定温度Tsを温度Ts2とせずに温度Ts1を維持する温度制御を行うよう構成することができる。すなわち、使用者の姿勢の変化(使用形態の変化)に応じて使用者に与える不快感を十分に低減した状態で採暖を行えるようより精密な制御ができるようになる。
更に、人体検知手段に加えて先に述べた揺らぎ温度制御手段を採用している場合には、使用者が温度控えめ設定手段による温度制御を選択した場合、人体検知手段により使用者の姿勢が第2採暖時の姿勢であれば表面材の設定温度Tsを温度Ts2としかつ揺らぎ温度制御を行い、人体検知手段により使用者の姿勢が第1採暖時の姿勢であれば表面材の設定温度Tsを温度Ts2とせずに温度Ts1を維持する温度制御を行うよう構成することができる。
なお、本発明の床暖カーペットに人体検知手段を備える場合、(1)使用者が温度控えめ設定手段による温度制御を選択した場合に、これに連動して自動的に上述の人体検知手段による制御を行う構成としてもよく、(2)使用者が温度控えめ設定手段による温度制御を選択した場合に、上述の人体検知手段による制御を更に行うか否かを選択できるように構成してもよい。
ここで、本発明の床暖カーペットに人体検知手段を備える場合、人体検知手段は、設置スペースに設置された当該人体検知手段から得られる情報を動作制御に利用する他の電気機器に搭載されていてもよい(請求項5)。
このように、他の電気機器{(テレビ、オーディオ機器、照明機器、暖房機器(エアコン、セラミックファンヒータ、電気ストーブ、石油ストーブ、ガスストーブ)、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、食器洗浄機器、これらの機器の操作リモコンなど}に、人体検知手段を設置することにより、床暖カーペット自体に人体検知手段を搭載する場合に比較して、人体検知手段の配置位置の制限が緩和され、使用者の姿勢が第1採暖時の姿勢及び第2採暖時の姿勢のうちの何れかであるかをより確実に確認することができる。例えば、暖房機器に設けた人体検知手段による使用者の姿勢の情報を、公知の赤外線通信技術などを用いて、本発明の床暖カーペットと暖房機器とで共有する構成とできれば、使用者の姿勢に
応じた適切な暖房をより確実にすることができる。また、床暖カーペット自体に人体検知手段を搭載する場合に比較して、床暖カーペット自体の製造コストの上昇、販売価格の上昇を抑制することができる。
なお、本発明の床暖カーペットにおいて、人体検知手段を他の電気機器に搭載する場合、人体検知をより確実に行う観点から、更に床暖カーペット自体にも第2の人体検知手段を必要に応じて設けてもよい。
ここで、本発明の床暖カーペットに環境温度検知手段を備える場合、環境温度検知手段は、設置スペースに設置された当該環境温度検知手段から得られる前記環境温度を動作制御に利用する他の電気機器に搭載されていてもよい(請求項6)。
このように、他の電気機器{(テレビ、オーディオ機器、照明機器、暖房機器(エアコン、セラミックファンヒータ、電気ストーブ、石油ストーブ、ガスストーブ)、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、食器洗浄機器、これらの機器の操作リモコンなど}に、環境温度検知手段を設置することにより、床暖カーペット自体に環境温度検知手段を搭載する場合に比較して、環境温度検知手段の配置位置の制限が緩和され、また、環境温度検知手段への床暖カーペットからの輻射熱の影響が低減され、環境温度をより確実に確認することができる。また、床暖カーペット自体に環境温度検知手段を搭載する場合に比較して、床暖カーペット自体の製造コストの上昇、販売価格の上昇を抑制することができる。
更に、先に述べた人体検知手段を環境温度検知手段とともに併有し、両者を他の電気機器に搭載する構成としてもよい。例えば、他の電気機器に設けた人体検知手段及び環境温度検知手段による使用者の姿勢の情報及び環境温度の情報を、公知の赤外線通信技術などを用いて、本発明の床暖カーペットと暖房機器とで共有する構成とできれば、使用者の姿勢に応じた適切な暖房をより確実にすることができる。また、床暖カーペット自体に人体検知手段及び環境温度検知手段を搭載する場合に比較して、床暖カーペット自体の製造コストの上昇、販売価格の上昇を抑制することができる。
また、この効果をより確実に得る観点からは、温度設定手段は、環境温度検知手段から得られる環境温度を使用者に表示する表示部を有していることが好ましい(請求項7)。
この表示部を設けることにより、使用者は環境温度を正確に把握することができる。
更に、表示部を設け、かつ、環境温度検知手段とともに人体検知手段も設ける構成とする場合には、表示部に、人体検知手段から得られる第1採暖時の姿勢及び第2採暖時の姿勢の何れの状態にあるかの情報を表示させる構成を採用してもよい。これにより、使用者に対し第1採暖時の姿勢及び第2採暖時の姿勢を確実に自認させることができるようになる。そのため、使用者が第2採暖時の姿勢をとる場合に適した温度控えめ設定手段を用いた温度制御を行うか、第1採暖時における適した温度制御を行うかについての正確な判断を促すことが期待できる。そして、第1採暖時の姿勢及び第2採暖時の姿勢のそれぞれに適した温度制御を設定する行為を使用者が面倒と感じずに積極的に実行させることが期待できる。
また、本発明の床暖カーペットにおいては、
表面材の主面が複数の暖房領域に分割されるよう構成されており、
表面材の主面の略全体を暖房する第1暖房運転モードと、表面材の主面のうちの上記複数の暖房領域をそれぞれ独立に暖房しかつ上記複数の暖房領域を同時に暖房しないようにする第2暖房運転モードを、使用者の要求により設定するための暖房運転モード切替設定手段が更に設けられており、
温度制御手段は、使用者が暖房運転モード切替設定手段を用いて、上記第2暖房運転モードでの運転を要求した場合に、使用者の要求の有無にかかわらず(温度控えめ設定手段を用いて設定される第2採暖時における制御を行う要求の有無にかかわらず)、温度設定手段を用いて設定される第1採暖時における制御を行い、温度控えめ設定手段を用いて設定される第2採暖時における制御を行わない構成としてもよい(請求項8)。
この構成とすることにより、本発明の床暖カーペットを他の電気機器と併用してもブレーカーダウンの発生をより確実に防止することができるようになる。
例えば、表面材の主面が2つの暖房領域に分割されるよう構成した場合{表面材の主面(基材の主面)の半面(左半面)と他方の半面(右半面)を交互に加熱できるよう発熱体を配設した場合}、使用者が暖房運転モード切替設定手段を用いて上記第2暖房運転モードでの運転を要求した場合、表面材の主面の左半面と右半面を交互に通電することにより、通常の表面材の主面の全面を暖房する場合に比べ、少ない消費電力で暖房することができる。
また、例えば、使用者が1人のときなど少人数の場合は表面材の主面の全面を暖房を行わず、表面材の主面の一部(例えば、半面だけ)を使用することもできるので、この観点からも使用者がいるところだけ少ない消費電力で暖房することができ、無駄のない暖房を実現することができるようになる。
更に、使用者が暖房運転モード切替設定手段を用いて上記第2暖房運転モードでの運転を要求した場合であっても、使用者の要求の有無にかかわらず、温度設定手段を用いて設定される第1採暖時における制御を行い、温度控えめ設定手段を用いて設定される第2採暖時における制御を行わない構成とすることにより、使用者に対して十分な暖感覚をより確実に与えることができるようになる。
更に、本発明の床暖カーペットにおいて、上述の第2暖房運転モードでの運転を実現する構成(請求項8)を採用する場合、
温度制御手段は、使用者が暖房運転モード切替設定手段を用いて、第2暖房運転モードでの運転を要求した場合に、使用者の要求の有無にかかわらず(揺らぎ温度制御部17を用いた揺らぎ温度制御を行う要求の有無にかかわらず)、揺らぎ温度制御部による表面材の設定温度Tsの温度制御を開始するように構成されており、
揺らぎ温度制御部による表面材の設定温度Tsの温度制御範囲の上限値が、第1採暖時における温度Ts1となるように設定されており、
揺らぎ温度制御部による表面材の設定温度Tsの温度制御範囲の下限値が、設置スペースにおいて使用される際の環境温度の最低値Tm以上となるように設定されていることが好ましい(請求項9)。
これにより、使用者に対して十分な暖感覚を与えつつ省エネ効果もより容易かつ確実得ることができるようになる。
また、本発明の床暖カーペットにおいて、表面材は、水の通らない構成材料を用いて形成されておりかつ柔軟性を有しており、基材は、荷重がかから無くなると、荷重がかかる前のもとの形状に復元可能な構成材料を用いて形成されていることが好ましい(請求項11)。
これにより、上述の温度設定手段、温度控えめ設定手段及び温度制御手段(更には揺らぎ温度制御部)を使用した温度制御による採暖の際に、使用者は、第1採暖時の姿勢及び第2採暖時の姿勢のうちの何れの姿勢においても、表面材上に載った場合に柔らかさを感じることができる。そのため、使用者に与える不快感をよりいっそう低減した状態で採暖を行えるようになる。
本発明の床暖カーペットによれば、使用者が採暖する際の姿勢を変化させた場合であっても、その姿勢の変化(使用形態の変化)に応じて使用者に与える不快感を十分に低減した状態で採暖を行えるよう表面材の適切な温度制御を行うことができるようになる。
以下、図面を参照しながら本発明の床暖カーペットの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号付し、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
本発明の床暖カーペットの第1実施形態について図1〜図6を用いて説明する。
図1は、本発明の床暖カーペットの第1実施形態の基本構成を示す要部断面図である。また、図2は、図1に示した床暖カーペットの基本構成を示す制御ブロック図である。更に、図3は、図1に示した床暖カーペットの温度控えめ設定手段及び揺らぎ温度制御部を用いた制御を行うときの表面材の設定温度Tsの経時変化と表面材の実際の表面温度Tsrとの経時変化のプロフィールの一例を示す模式図である。
また、図4は、図1に示した床暖カーペットを使用者が第1採暖時の姿勢で使用する場合の一例を示す模式図である。より詳しくは、図4は、使用者11が第1採暖時の姿勢(使用者11が足のうらを表面材4上に載せた姿勢)で床暖カーペット1を用いて採暖する場面(使用形態)の一例を模式的に示すもので、床暖カーペット1は床面7に敷かれ、その上にテーブル8及び椅子9に載置され、更に、使用者11が椅子9に腰掛けて足10のうらを表面材4(床暖カーペット1)上に載せている場面を示している。
更に、図5は、図1に示した床暖カーペットを使用者が第1採暖時の姿勢で使用する場合の一例を示す模式図である。より詳しくは、図5は、使用者11が第2採暖時の姿勢(使用者11が少なくとも足のうら以外の下半身12を表面材4上に載せた姿勢)で床暖カーペット1を用いて採暖する場面(使用形態)の一例を模式的に示すもので、床暖カーペット1は床面7に敷かれ、使用者11が少なくとも足10のうら以外の下半身12を表面材4(床暖カーペット1)上に載せている場面を示している。
また、図6は、図1に示した床暖カーペットの温度控えめ設定手段を用いた制御を行うときの表面材の設定温度Tsの経時変化と表面材の実際の表面温度Tsrとの経時変化のプロフィールの一例を示す模式図である(後述する揺らぎ温度制御部17を用いた揺らぎ温度制御をしない場合)。
図1及び図2に示す第1実施形態の床暖カーペット1は、床面に敷かれ使用されるものであり、使用者が載る主面が略矩形の幕状の形状と所定の面積(1畳、2畳、3畳等)と所定の厚さとを有しており、使用者の側に向く表面に使用者が載るなどして荷重がかかると、表面のうち荷重がかかった部分が僅かに沈み、荷重がなくなると沈んだ表面の部分がほぼもとの状態に復元する特性を有している。
図1及び図2に示すように、この床暖カーペット1は、巻回及び折畳み可能な幕状の基材2と、この基材2の2つの主面のうちの、使用者の側に向く表面(使用者の側に向く主面)を覆う表面材4と、床面の側に向く裏面(床面の側に向く主面)を覆う裏面材5と、基材2の内部に配設され、通電により発生するジュール熱により発熱する発熱体3と、基材2の内部において発熱体3と一体的に配置されており発熱体3の温度Thを検知するための温度検知手段13と、発熱体3及び温度検知手段13に電気的に接続されており温度検知手段13により検知された発熱体3の温度Thに基づいて発熱体3への通電を制御するためのコントローラ体6とを含む構成を有している。
基材2は、主面が略矩形の幕状の形状を有している。また、基材2は、この巻回及び折畳み可能な構成材料であり、かつ、荷重がかから無くなると荷重がかかる前のもとの形状に復元可能な構成材料を用いて形成されている。このような構成材料としては、例えば、発泡ウレタンが好ましく挙げられる。
表面材4は、基材2の2つの主面のうちの、使用者の側に向く表面を覆うように配置されている。この表面材4は、水の通らない構成材料でありかつ柔軟性を有する構成材料を用いて形成されている。このような構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニールが好ましく挙げられる。
裏面材5は、基材2の2つの主面のうちの、床面の側に向く裏面を覆うように配置されている。この裏面材5も上述の表面材4と同様に、水の通らない構成材料でありかつ柔軟性を有する構成材料を用いて形成されていることが好ましい。このような構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニールが好ましく挙げられる。
発熱体3は、通電により発生するジュール熱により発熱する構成を有しており、本実施形態の場合、表面材4を効率よく加熱する観点から基材2のうち表面材4に近い側に埋設されている。
また、本実施形態においては、使用者の要求により、後述する暖房運転モード切替設定手段20(図2参照)を用いて、表面材4の主面の暖房領域が全面又は2つに分割できるように、発熱体3が基材2中に配設されている。
また、本実施形態においては、コントローラ体6は、幕状の形状を有する床暖カーペット1のコーナ部に一体的に設置されている。そして、コントローラ体6には図示しない電源コードのプラグが接続されており、この電源コードのプラグは、床暖カーペット1の設置スペースの壁などにある電源コンセント(図示せず)へ差し込まれて使用される。
図2に示すように、コントローラ体6は、主として、それぞれ後述する、温度設定手段14と、温度控えめ設定手段16と、温度制御手段15と、を有している。
温度設定手段14は、使用者11が足のうらを表面材4上(床暖カーペット1上)に載せた姿勢で採暖する第1採暖時(図4参照)において、表面材4の設定温度Tsを、使用者の要求により設定するためのものである。この温度設定手段14は、マイクロコンピュータ及びその周辺回路が内蔵されており、使用者11の操作で設定された表面材4の設定温度Tsの情報を、後述する温度制御部15に送信する構成を有している。
温度控えめ設定手段16は、使用者11が少なくとも足のうら以外の下半身12を表面材4上に載せた姿勢で採暖する第2採暖時(図5参照)において、表面材の設定温度Tsを、第1採暖時における温度Ts1より低い温度Ts2となるように、使用者の要求により(使用者の操作により)設定するためのものである。
例えば、使用者が第2採暖時の姿勢(図5)で採暖する時に温度控えめ設定手段16を操作して後述の温度制御手段15に制御信号を送ることで、第1採暖時の姿勢(図4)で採暖する時よりも表面材4の設定温度Tsを低下させることができる。
温度制御手段15は、発熱体3、温度検知手段13、温度設定手段14、及び、温度控えめ設定手段16に接続されており、温度検知手段13により検知された発熱体3の温度Thに基づいて発熱体3への通電を制御するためのものである。
この温度制御手段15は、使用者11の操作により、温度設定手段14及び温度控えめ設定手段16のうちの何れかから送信される温度制御信号を受信する構成を有している。そして、温度制御手段15は、表面材の実際の表面温度Tsrが、使用者の要求により(使用者の操作により)温度設定手段14及び温度控えめ設定手段16のうちの何れかを用いて設定された表面材4の設定温度Tsに近づくように、温度検知手段13により検知された発熱体3の温度Thに基づいて発熱体3への通電を制御する。
ここで、本実施形態の床暖カーペットは、使用中において、発熱体3の温度Thを温度検知手段13により検知することで表面材4の実際の温度Tsrを間接的にモニタできるよう構成されている。
温度制御手段15には、マイクロコンピュータ及びその周辺回路が内蔵されており、これらの中に、発熱体3の温度Thから表面材4の実際の温度Tsrを算出(換算)することのできる計算式又は換算データ整理されたテーブルが格納されている。これらの計算式又はテーブルは、床暖カーペット1の使用環境{設置場所における平均温度の一日の変化、上記の平均温度の年間(季節)の変化、設置場所における平均湿度の一日の変化、上記の平均湿度の年間(季節)の変化、使用者の情報(本発明の床暖カーペットを共有して使用する使用者の人数、年齢分布、性別分布、体脂肪率分布、体重分布等)等}を考慮して実験やシミュレーションなどにより予め決定されている。
例えば、本実施形態の床暖カーペットにおいては、温度制御手段15は、温度検知手段13により検知された発熱体の温度Th(ひいては表面材4の実際の温度Tsr)に基づき、表面材4の実際の温度Tsrが、使用者11により設定された表面材4の設定温度Tsをオーバーすると発熱体3への通電をOFFするように制御する。
より詳しくは、温度制御手段15は、温度検知手段13により検知された発熱体の温度Th(ひいては表面材4の実際の温度Tsr)が、使用者11により設定された表面材4の設定温度Ts以下になると発熱体3への通電をONするように制御する。このように、温度制御手段15は、発熱体3への通電を所謂ON−OFF制御する構成を有している。
ここで、本実施形態において、第1採暖時の温度Ts1は、第2採暖時よりも高い温度であってかつ先に述べた「下限値A」と「上限値A」との間の温度範囲の中から選択される予め定められる「設定温度値A」である。また、本実施形態において、第2採暖時の温度Ts2は、第1採暖時よりも低い温度であってかつ先に述べた「下限値B」と「上限値B」との間の温度範囲の中から選択される予め定められる「設定温度値B」である。
本実施形態の床暖カーペット1は、以上の温度検知手段13、温度設定手段14、温度制御手段15、温度控えめ設定手段16を有するため、以下のことができるようになる。
すなわち、本実施形態の床暖カーペット1は、使用者が温度控えめ設定手段16を用いることにより、第2採暖時において、表面材4の設定温度Tsを、第1採暖時における温度Ts1より低い温度Ts2となるように表面材4の温度制御を設定することができる。
換言すれば、使用者が自身の意思で温度控えめ設定手段16を用いた温度制御を行うか否か、温度Ts1より低い温度Ts2で採暖するか否か、を選択することができる。このように、使用者は自身が温度Ts1及び温度Ts2のうちの何れの温度で採暖するかを認識した上で床暖カーペット1を使用することができるようになる。
そのため、使用者が温度控えめ設定手段16を用いた温度Ts2の温度制御を行うこと
を選択した場合、予め設定された熱くないと感じる温度Ts2に設定されるので、第1採暖時のときの姿勢から第2採暖時の姿勢へ移行するときに、熱いという不快感を十分に低減した状態で採暖を行うことができる。
更に、この場合、温度Ts2は先に述べたように熱くないと感じる温度に予め設定されているので、表面材4の温度は確実に快適な温度Ts2に調節される。そのため、先に述べた従来技術の課題:「表面材の温度を下げる調節をした後、表面材の温度が使用者にとって適切でなかった場合、上述の不可避の温度変化の待ち時間に加えて再び温度調節をしなければならない煩雑さが伴い、使用者は使い勝手が悪いという不快感を増幅させてしまうおそれがある」の発生を十分に防止できる。
また、使用者が温度控えめ設定手段16を用いずに温度Ts1の温度制御を行うことを選択した場合、第1採暖時のときの姿勢から第2採暖時の姿勢へ移行するときに温度Ts1の温度制御のままであっても、使用者は自身で温度Ts1の温度制御を選択し認識しているので、従来よりも熱いという不快感を十分に低減した状態で採暖を行うことができる。
更に、この場合、使用者が第1採暖時のときの姿勢でいるときにあらためて温度控えめ設定手段16を用いた温度Ts2の温度制御を行うことを選択し、その後、第2採暖時の姿勢へ移行した場合、又は、使用者が第1採暖時のときの姿勢から第2採暖時の姿勢へ移行した後にあらためて温度控えめ設定手段16を用いた温度Ts2の温度制御を行うことを選択した場合にも、表面材4の温度は確実に快適な温度Ts2に調節されるので、先に述べた従来技術の課題:「表面材の温度を下げる調節をした後、表面材の温度が使用者にとって適切でなかった場合、上述の不可避の温度変化の待ち時間に加えて再び温度調節をしなければならない煩雑さが伴い、使用者は使い勝手が悪いという不快感を増幅させてしまうおそれがある」の発生を十分に防止できる。
その結果、床暖カーペット1では、使用者が採暖する際の姿勢を変化させた場合であっても、その姿勢の変化(使用形態の変化)に応じて使用者に与える不快感を十分に低減した状態で採暖を行えるよう表面材の適切な温度制御を行うことができるようになる。
より具体的には、床暖カーペット1によれば、例えば、使用者が上述の第1採暖時の姿勢で採暖する時、及び、第2採暖時の姿勢で採暖する時のうちの何れの姿勢で使用する場合においても、それぞれの姿勢に適した表面材の温度制御ができるので、例えば、使用者が第1採暖時の主として足のうらで採暖する姿勢(図5参照)から、第2採暖時の少なくとも足のうら以外の下半身を表面材4上に載せた姿勢{図4参照。表面材4上に使用者が全身で横たわる姿勢(いわゆる、「仰向け」の姿勢、「うつぶせ」の姿勢、及び、身体の側面全体を表面材上につけて横たわる姿勢などを含む)}に移行した場合であっても、表面材上に直接触れる身体の部分{又は表面材4上に間接的に触れる身体の部分(表面材4と使用者との間に別の敷物がしかれている場合の敷物上に触れる身体の部分)}が熱く感じることなく、使用者に好ましい暖感覚を提供することができる。
ここで、本実施形態において、先に述べたように、温度制御手段15は、表面材4の実際の表面温度Tsrが、使用者の要求により設定された設定温度Tsに近づくように、温度検知手段により検知された発熱体の温度Thに基づいて発熱体への通電を制御するが、上述の本発明の効果をより確実に得る観点から、「温度制御手段15は、表面材4の実際の表面温度Tsrが設定温度Tsとなるように制御する」ことが好ましい。
更に、本実施形態の床暖カーペット1の場合、温度制御手段15には、温度控えめ設定手段16からの温度制御信号を受信した時に、運転時間の経過とともに表面材4の設定温
度Tsを変動させる揺らぎ温度制御部17が設けられている。
この揺らぎ温度制御部17による表面材4の設定温度Tsの温度制御範囲の上限値は、第2採暖時における温度Ts2となるように設定されている。
これにより、温度制御手段15は、温度控えめ設定手段17から表面材4の設定温度Tsを第2採暖時における温度Ts2に設定する指示信号を受信すると、温度設定手段15をもちいて設定された第1採暖時における温度Ts1を第2採暖時における温度Ts2に変更し、かつ、揺らぎ温度制御部17を動作開始させる構成となる。ここで、揺らぎ温度制御部17による揺らぎ温度制御で変動する表面材の設定温度Tsの温度制御範囲は、その変動の上限値が第2採暖時における温度Ts2となるため、第2採暖時おいて使用者に対して与える熱いと感じる不快感をより確実かつ安全に低減することができる。
また、揺らぎ温度制御部17による揺らぎ制御をしていない場合に比較して、揺らぎ温度制御部17による揺らぎ温度制御を行う場合、上限値が第2採暖時における温度Ts2であり、当該上限値でない他の温度制御範囲では当然に第2採暖時における温度Ts2未満の温度となるため、当該上限値でない他の温度制御範囲では発熱体3への通電量を節約できる。そのため、揺らぎ制御パターンを最適化することにより、使用者に対して十分な暖感覚を与えつつ省エネ効果を更に得ることも容易に可能となる。
また、揺らぎ温度制御部17による表面材4の設定温度Tsの温度制御範囲の下限値が、床暖カーペット1の設置スペースにおいて使用される際の環境温度の最低値Tm以上となるように設定されている。
これにより、揺らぎ温度制御が、床暖カーペット1の設置スペースにおいて使用される際の環境温度の最低値Tm以上で行われるので、床暖カーペット1の表面材4の実際の表面温度Tsrが低くなり過ぎて使用者の暖感覚を損ねることをより確実に防止できるようになる。
なお、床暖カーペット1の設置スペースにおいて使用される際の環境温度の最低値Tmは、先に述べたように、床暖カーペット1の使用環境を考慮して、実験やシミュレーションなどにより予め決定しておくことができる。
また、床暖カーペット1は、その設置スペースを暖房する際の補助的な暖房機器として使用されるこことが好ましく、エアコン、セラミックファンヒータ、ストーブ(電気ストーブ、石油ストーブ、ガスストーブ)などの主たる暖房機器とともに使用されることが好ましい。このような主たる暖房機器とともに使用される場合、上記環境温度の最低値Tmが設定し易くなり、この場合環境温度の最低値Tmとしては、使用者の暖感覚を損ねることをより確実に防止する観点から、20〜30℃の温度範囲の中から設定されることが好ましく、23〜27℃の温度範囲の中から設定されることがより好ましく、25℃であることが更に好ましい。
次に、本実施形態の床暖カーペット1において、温度控えめ設定手段16及び揺らぎ温度制御部17を用いた制御を行うときの動作の一例を、図3及び図6に示した表面材4の設定温度Tsの経時変化と表面材4の実際の表面温度Tsrとの経時変化のプロフィールを用いて説明する。
まず、使用者は、本実施形態の床暖カーペット1を住居の室内等の設置スペースの床面に敷いて電源コードのプラグを設置スペースの壁に設けられた電源コンセントに差し込む。
次に、図4に示すように使用者が第1採暖時の姿勢で採暖する場合、通常、使用者はコントローラ体6の温度設定手段14を操作して(例えば、温度設定手段14に設けられた設定温度Ts1の選択用の押し釦を押すことなどにより)表面材4の設定温度Ts1(足のうらだけという身体の比較的狭い範囲の採暖であっても寒さを感じない暖かさが得られる好ましい温度、例えば37℃)を設定する。
そして、温度設定手段14から表面材4の設定温度Ts1に関する制御信号を受信した温度制御手段15は、表面材4の設定温度Ts1(例えば37℃)及び温度検知手段13から得られる発熱体3の温度Thに基づいて発熱体3へのON−OFF制御による通電を開始する。この温度制御手段15による制御により、表面材4の実際の温度設定温度Tsrは、表面材4の設定温度Ts1に近い温度値で略一定になる。
次に、図5に示すように、使用者が第1採暖時の姿勢から第2採暖時の姿勢に姿勢を変えた場合、使用者はコントローラ体6の温度控えめ設定手段16を用いて(例えば、温度控えめ設定手段16に設けられた設定温度Ts2の選択用の押し釦を押すことなどにより)表面材4の設定温度Ts2(少なくとも足のうら以外の下半身という身体の比較的広い範囲の採暖であっても熱く感じることのない暖かさが得られる好ましい温度、例えば35℃)を設定する。
そして、温度控えめ設定手段16から表面材4の設定温度Ts2に関する制御信号を受信した温度制御手段15は、この制御信号を温度設定手段14から表面材4の設定温度Ts1に関する制御信号よりも優先し、表面材4の設定温度Ts2(例えば35℃)及び温度検知手段13から得られる発熱体3の温度Thに基づいて発熱体3へのON−OFF制御による通電を開始する。この温度制御手段15による制御により、表面材4の実際の温度設定温度Tsrは、表面材4の設定温度Ts2に近い温度値で略一定になる(図3の運転時間t0におけるTs、Tsrのプロフィール、及び、図6のTs、Tsrのプロフィールを参照)。
特に、この場合は、コントローラ体6の温度控えめ設定手段16を押し釦を押すことなどの操作をするだけで、表面材4の実際の温度Tsrが簡単に採暖に適した温度にすることができるので、従来に比べ表面材4の設定温度Tsの調節操作の煩雑さを十分に低減することができて使い勝手が向上する。
更に、温度控えめ設定手段16を用いた運転中に、(1)使用者が、温度制御手段15に設けられている揺らぎ温度制御部17による揺らぎ温度制御を選択した場合、又は、(2)温度控えめ設定手段16を用いた運転を使用者が選択すると自動的に揺らぎ温度制御部17による揺らぎ温度制御が開始される設定となっている場合には、以下の揺らぎ温度制御が開始される。
すなわち、温度制御手段15の揺らぎ温度制御部17による揺らぎ温度制御が開始されると、表面材4の設定温度Ts(表面材4の設定温度Ts2)は、図3の運転時間t1〜t8におけるTsのプロフィールに示すように、運転時間の経過とともに変動するようになる。
ここで、本実施形態の場合、先に述べたように、この揺らぎ温度制御部17による表面材4の設定温度Ts(表面材4の設定温度Ts2)の温度制御範囲の上限値が、第2採暖時における温度Ts2(揺らぎ温度制御部17を用いないときの第2採暖時における温度Ts2、例えば35℃)となるように設定されている。また、揺らぎ温度制御部17による表面材4の設定温度Tsの温度制御範囲の下限値が、設置スペースにおいて使用される
際の環境温度の最低値Tm以上となるように設定されている。
そして、温度制御手段15は、上記の温度範囲内において変動する表面材4の設定温度Ts2及び温度検知手段13から得られる発熱体3の温度Thに基づいて発熱体3へのON−OFF制御による通電をおこなう。
この温度制御手段15による制御により、表面材4の実際の温度設定温度Tsrは、所定の時間(例えば、図3に示す運転時間t1〜t8)を一周期として、表面材4の設定温度Ts2の変動とともに当該表面材4の設定温度Ts2に近い温度値で変動する(図3の運転時間t1〜t8におけるTsrのプロフィールを参照)。
例えば、この場合、表面材4の設定温度Ts2は、第2採暖時における温度Ts2(揺らぎ温度制御部17を用いないときの第2採暖時における温度Ts2、例えば35℃)よりも適宜間隔で低くなる(例えば1℃、5℃、1℃、2℃と低くなる)ので、図5に示すように足のうらよりも広い範囲の下半身12が床暖カーペット1に直接触れていても熱く感じることを十分に防止した安全な温度制御ができるとともに、単に先に述べた第1採暖時のON−OFF温度制御を行う場合よりも省エネ作用も期待できることになる。
(第2実施形態)
次に、本発明の床暖カーペットの第2実施形態について図7を用いて説明する。
図7は、本発明の床暖カーペットの第2実施形態の基本構成を示す制御ブロック図である。なお、説明の便宜上、第1実施形態の床暖カーペット1と同一または相当部分には同一符号付して説明する。
第2実施形態の床暖カーペット1Aは、上述の第1実施形態の床暖カーペット1に搭載される温度控えめ設定手段16と異なる構成の温度控えめ設定手段16を有し、当該温度控えめ設定手段16を使用するための制御を行うこと以外の構成は、第1実施形態の床暖カーペット1と同様の構成を有している。
そのため、以下の説明においては、上記の第1実施形態の床暖カーペット1と相違する構成要素である温度控えめ設定手段16について説明する。
第2実施形態の床暖カーペット1に搭載される温度控えめ設定手段16は、図7に示すように、表面材4上に位置する使用者の姿勢が第1採暖時の姿勢及び第2採暖時の姿勢のうちの何れかを検知する人体検知手段22を有している。そして、温度設定手段15は、温度控えめ設定手段16の人体検知手段22により検知された使用者の姿勢に基づいて、使用者の要求により設定された表面材4の設定温度Tsとなるように発熱体への通電を制御する構成とされている。
この構成とすれば、使用者が温度控えめ設定手段16による温度制御を選択した場合、人体検知手段22により、使用者の姿勢が第1採暖時の姿勢及び第2採暖時の姿勢のうちの何れかであるかを確認することができる。
これにより、使用者が温度控えめ設定手段16による温度制御を選択した場合、人体検知手段22により使用者の姿勢が第2採暖時の姿勢であれば表面材4の設定温度Tsを温度Ts2とする温度制御を行い、人体検知手段により使用者の姿勢が第1採暖時の姿勢であれば表面材4の設定温度Tsを温度Ts2とせずに温度Ts1を維持する温度制御を行うよう構成することができる。すなわち、使用者の姿勢の変化(使用形態の変化)に応じて使用者に与える不快感を十分に低減した状態で採暖を行えるよう、より精密な制御がで
きるようになる。
更に、人体検知手段22に加えて先に述べた揺らぎ温度制御手段17を採用している場合には、使用者が温度控えめ設定手段16による温度制御を選択した場合、人体検知手段22により使用者の姿勢が第2採暖時の姿勢であれば表面材4の設定温度Tsを温度Ts2としかつ揺らぎ温度制御を行い、人体検知手段22により使用者の姿勢が第1採暖時の姿勢であれば表面材4の設定温度Tsを温度Ts2とせずに温度Ts1を維持する温度制御を行うよう構成することができる。
なお、人体検知手段22を備える場合、(1)使用者が温度控えめ設定手段16による温度制御を選択した場合に、これに連動して自動的に上述の人体検知手段22による制御を行う構成としてもよく、(2)使用者が温度控えめ設定手段16による温度制御を選択した場合に、上述の人体検知手段22による制御を更に行うか否かを選択できるように構成してもよい。
ここで、人体検知手段22を備える場合、人体検知手段22は、第2実施形態の床暖カーペット1Aの設置スペースに設置された当該人体検知手段22から得られる情報を動作制御に利用する他の電気機器に搭載されている構成としてもよい。
このように、第2実施形態の床暖カーペット1Aと同じ設置スペースに設置される他の電気機器{(テレビ、オーディオ機器、照明機器、暖房機器(エアコン、セラミックファンヒータ、電気ストーブ、石油ストーブ、ガスストーブ)、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、食器洗浄機器、これらの機器の操作リモコンなど}に、人体検知手段22を設置することにより、床暖カーペット1A自体に人体検知手段22を搭載する場合に比較して、人体検知手段22の配置位置の制限が緩和され、使用者の姿勢が第1採暖時の姿勢及び第2採暖時の姿勢のうちの何れかであるかをより確実に確認することができるようになる。
例えば、エアコンなどの暖房機器の本体又はリモコンに設けた人体検知手段22による使用者の姿勢の情報を、公知の赤外線通信技術などを用いて、床暖カーペット1Aと暖房機器とで共有する構成とできれば、使用者の姿勢に応じた適切な暖房をより確実にすることができる。
また、床暖カーペット1A自体に人体検知手段22を搭載する場合に比較して、床暖カーペット1A自体の製造コストの上昇、販売価格の上昇を抑制することができる。
なお、本発明の床暖カーペットにおいて、人体検知手段を他の電気機器に搭載する場合、人体検知をより確実に行うことを重視する場合には、更に床暖カーペット1A自体にも第2の人体検知手段を必要に応じて設けてもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明の床暖カーペットの第3実施形態について図8を用いて説明する。
図7は、本発明の床暖カーペットの第2実施形態の基本構成を示す制御ブロック図である。なお、説明の便宜上、第1実施形態の床暖カーペット1と同一または相当部分には同一符号付して説明する。
第3実施形態の床暖カーペット1Bは、下記以外の構成は第1実施形態の床暖カーペット1と同様の構成を有している。すなわち、第3実施形態の床暖カーペット1Bは、第1実施形態の床暖カーペット1と異なり、温度制御手段15に電気的に接続される環境温度検知手段18を有し、当該環境温度検知手段18を使用するための制御を行うこと以外の
構成は、第1実施形態の床暖カーペット1と同様の構成を有している。
そのため、以下の説明においては、上記の第1実施形態の床暖カーペット1と相違する構成要素である環境温度検知手段18及び温度制御手段15について説明する。
第3実施形態の床暖カーペット1Bは、図8に示すように、温度設定手段15には、当該床暖カーペット1Bの設置スペースにおける環境温度を検知する環境温度検知手段が電気的に接続されている。
また、温度制御手段15は、使用者が温度控えめ設定手段16を用いて、表面材4の設定温度Tsを、第1採暖時における温度Ts1より低い第2採暖時における温度Ts2にすることを要求した場合に、以下の温度制御を行う構成を有している。すなわち、この場合、温度制御手段15は、この環境温度検知手段18により環境温度を正確に検知し更にこの環境温度に基づいて、当該環境温度が低くなるに伴い温度の下げ幅(Ts1−Ts2)が小さくなるように当該温度の下げ幅(Ts1−Ts2)を変化させる構成を有している。
そのため、設置スペースの環境温度が高温側にある場合は温度の下げ幅(Ts1−Ts2)を比較的大きくして第2採暖時において使用者が熱いと感じる不快感をより確実に防止するよう十分に低い温度Ts2での温度制御を実現することが容易にできる。また、設置スペースの環境温度が高温側にある場合は温度の下げ幅(Ts1−Ts2)を比較的小さく第2採暖時において使用者が冷たい(寒い)と感じる不快感をより確実に防止するよう十分に高い温度Ts2での温度制御を実現することが容易にできる。
ここで、環境温度検知手段18を備える場合、環境温度検知手段18は、第2実施形態の床暖カーペット1Bの設置スペースに設置された当該環境温度検知手段18から得られる情報を動作制御に利用する他の電気機器に搭載されている構成としてもよい。
このように、第3実施形態の床暖カーペット1Bと同じ設置スペースに設置される他の電気機器{(テレビ、オーディオ機器、照明機器、暖房機器(エアコン、セラミックファンヒータ、電気ストーブ、石油ストーブ、ガスストーブ)、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、食器洗浄機器、これらの機器の操作リモコンなど}に、環境温度検知手段18を設置することにより、床暖カーペット自体に環境温度検知手段18を搭載する場合に比較して、環境温度検知手段18の配置位置の制限が緩和され、また、環境温度検知手段18への床暖カーペットからの輻射熱の影響が低減され、環境温度をより確実に確認することができる。また、床暖カーペット1B自体に環境温度検知手段を搭載する場合に比較して、床暖カーペット1B自体の製造コストの上昇、販売価格の上昇を抑制することができる。
更に、先に述べた人体検知手段22を環境温度検知手段18とともに併有し、両者を他の電気機器に搭載する構成としてもよい。
例えば、他の電気機器に設けた人体検知手段22及び環境温度検知手段18による使用者の姿勢の情報及び環境温度の情報を、公知の赤外線通信技術などを用いて、床暖カーペット1Bと暖房機器とで共有する構成とできれば、使用者の姿勢に応じた適切な暖房をより確実にすることができる。また、床暖カーペット1B自体に人体検知手段22及び環境温度検知手段18を搭載する場合に比較して、床暖カーペット1B自体の製造コストの上昇、販売価格の上昇を抑制することができる。
また、温度設定手段14は、環境温度検知手段18から得られる環境温度を使用者に表示する表示部(図示せず)を有していてもよい。
この表示部を設けることにより、使用者は環境温度を正確に把握することができる。
更に、表示部を設け、かつ、環境温度検知手段18とともに先に述べた人体検知手段22も設ける構成とする場合には、表示部に、人体検知手段22から得られる第1採暖時の姿勢及び第2採暖時の姿勢の何れの状態にあるかの情報を表示させる構成を採用してもよい。
これにより、使用者に対し第1採暖時の姿勢及び第2採暖時の姿勢を確実に自認させることができるようになる。そのため、使用者が第2採暖時の姿勢をとる場合に適した温度控えめ設定手段を用いた温度制御を行うか、第1採暖時における適した温度制御を行うかについての正確な判断を促すことが期待できる。そして、第1採暖時の姿勢及び第2採暖時の姿勢のそれぞれに適した温度制御を設定する行為を使用者が面倒と感じずに積極的に実行させることが期待できるようになる。
(第4実施形態)
次に、本発明の床暖カーペットの第4実施形態について図9、図10及び図11を用いて説明する。
図9は、本発明の床暖カーペットの第4実施形態の基本構成を示す制御ブロック図である。また、図10は、第4実施形態の床暖カーペット1Cを第1暖房運転モードで運転する場合の一例を示す模式図である。更に、図11は、第4実施形態の床暖カーペット1Cを第2暖房運転モードで運転する場合の一例を示す模式図である。なお、説明の便宜上、第1実施形態の床暖カーペット1と同一または相当部分には同一符号付して説明する。
図9に示すように、第4実施形態の床暖カーペット1Cは、下記以外の構成は第1実施形態の床暖カーペット1と同様の構成を有している。すなわち、第4実施形態の床暖カーペット1Cは、第1実施形態の床暖カーペット1と異なり、温度制御手段15に電気的に接続される暖房運転モード切替設定手段20を有している。更に、第4実施形態の床暖カーペット1Cは、第1実施形態の床暖カーペット1と異なり、この暖房運転切替設定手段20により設定される第1暖房運転モード及び第2暖房運転モードに対応して表面材4の主面が2つの暖房領域に分割されるよう構成されている。
そのため、以下の説明においては、上記の第1実施形態の床暖カーペット1と相違する構成要素である暖房運転モード切替設定手段20とこれを用いた温度制御を行う温度制御手段15について説明する。
図10及び図11に示すように、第4実施形態の床暖カーペット1Cは、表面材4の主面Sの略全体での暖房と、2つの暖房領域(領域S1及び領域S2)に分割した暖房との両方の暖房ができるように、発熱体3が基材2中に配設されている。
また、図9に示すように、第4実施形態の床暖カーペット1Cは、暖房運転モード切替設定手段20が更に設けられている。
この暖房運転モード切替設定手段20は、表面材4の主面Sの略全体を暖房する第1暖房運転モードと、表面材4の主面Sのうちの上記2つの暖房領域(領域S1及び領域S2)をそれぞれ独立に暖房しかつ上記2つの暖房領域(領域S1及び領域S2)を同時に暖房しないようにする第2暖房運転モードを、使用者の要求により設定するためのものである。
また、温度制御手段15は、使用者が暖房運転モード切替設定手段20を用いて、上記第2暖房運転モードでの運転を要求した場合、使用者の要求の有無にかかわらず(温度控えめ設定手段16を用いて設定される第2採暖時における制御を行う要求の有無にかかわらず)、温度設定手段14を用いて設定される第1採暖時における制御を行い、温度控えめ設定手段16を用いて設定される第2採暖時における制御を行わない構成とされている。
温度控えめ設定手段16を用いて設定される第2採暖時における制御を行う要求の有無にかかわらず、温度設定手段14を用いて設定される第1採暖時における制御を優先的に行うように、することにより、床暖カーペット1Cを他の電気機器と併用してもブレーカーダウンの発生をより確実に防止することができるようになる。
例えば、表面材4の主面S(基材の主面)の左半面(領域S1)と他方の右半面(領域S2)を交互に加熱できるよう発熱体3を配設した場合、使用者が暖房運転モード切替設定手段20を用いて上記第2暖房運転モードでの運転を要求した場合、表面材4の主面Sの左半面(領域S1)と右半面(領域S2)を交互に通電することにより、通常の表面材4の主面Sの全面を暖房する場合に比べ、少ない消費電力で暖房することができる。
また、例えば、使用者が1人のときなど少人数の場合は表面材4の主面Sの全面を暖房を行わず、表面材4の主面Sの一部、例えば、左半面(領域S1)を使用することもできるので、この観点からも使用者がいるところだけ少ない消費電力で暖房することができ、無駄のない暖房を実現することができるようになる。
更に、使用者が暖房運転モード切替設定手段20を用いて上記第2暖房運転モードでの運転を要求した場合であっても、使用者の要求の有無にかかわらず、温度設定手段14を用いて設定される第1採暖時における制御を優先的に行い、温度控えめ設定手段22を用いて設定される第2採暖時における制御を行わない構成とすることにより、使用者に対して十分な暖感覚をより確実に与えることができるようになる。
更に、第4実施形態の床暖カーペット1Cの場合、温度制御手段15は、使用者が暖房運転モード切替設定手段20を用いて、第2暖房運転モードでの運転を要求した場合に、使用者の要求の有無にかかわらず(揺らぎ温度制御部17を用いた揺らぎ温度制御を行う要求の有無にかかわらず)、揺らぎ温度制御部17による表面材の設定温度Tsの温度制御を開始するように構成されていてもよい。
この場合には、揺らぎ温度制御部17による表面材4の設定温度Tsの温度制御範囲の上限値は、第1採暖時における温度Ts1となるように設定されており、揺らぎ温度制御部17による表面材4の設定温度Tsの温度制御範囲の下限値が、設置スペースにおいて使用される際の環境温度の最低値Tm以上となるように設定されていることが好ましい。
これにより、使用者に対して十分な暖感覚を与えつつ省エネ効果もより容易かつ確実得ることができるようになる。
更に、この第4実施形態の床暖カーペット1Cにおいても発熱体3への通電を行う際に、先に述べた第2実施形態の床暖カーペット1Aで述べた温度控えめ設定手段16に人体検知手段22を搭載する構成を採用してもよい。
また、この第4実施形態の床暖カーペットにおいても発熱体3への通電を行う際に、先に述べた第3実施形態の床暖カーペット1Bで述べた環境温度検知手段18及び温度制御手段15を搭載する構成を採用してもよい。
更に、この第4実施形態の床暖カーペットにおいても発熱体3への通電を行う際に、先に述べた第2実施形態の床暖カーペット1Aで述べた温度控えめ設定手段16に人体検知手段22を搭載する構成と、先に述べた第3実施形態の床暖カーペット1Bで述べた環境温度検知手段18及び温度制御手段15を搭載する構成を同時に採用してもよい。
(その他の変形態様)
以上、本発明の第1実施形態〜第4実施形態の床暖カーペットについて説明したが、本発明の床暖カーペットは上述した第1実施形態〜第4実施形態の床暖カーペットに限定されるものではない。
例えば、第1実施形態の床暖カーペット1として、そのコーナ部にコントローラ体6が一体的に設置されている態様について説明したが、本発明の床暖カーペットにおいて、コントローラ体6設置位置はこれに限定されるものではない。本発明においては、コントローラ体6は、床暖カーペット1に対して物理的に別設してもよく、例えば、床暖カーペット1に対して物理的に別設されたリモコンとしてもよい。この場合、公知の赤外線通信を利用したリモートコントロール技術を用いて、床暖カーペット1とリモコン(コントローラ体6)とが赤外線通信で温度制御に必要な制御信号を相互に送受信し、発熱体3の温度制御を行えるように構成すればよい。
なお、この場合、温度控えめ設定手段16に人体検知手段22が備えられている場合と、温度控えめ設定手段16に人体検知手段22が備えられていない場合との何れの場合であっても、コントローラ体6をリモコンとして床暖カーペット1に対して物理的に別設してよい。更に、この場合、リモコンは、床暖カーペット1と同じ設置スペースに設置された他の電気機器に搭載されるものであってもよい。このように、床暖カーペット自体にコントローラ体6を搭載する場合に比較して、床暖カーペット1自体の製造コストの上昇、販売価格の上昇を抑制することができる。
例えば、第1実施形態の床暖カーペット1として、使用者が載る主面が略矩形の幕状の形状を有する態様について説明したが、本発明の床暖カーペットの使用者が載る主面の形状はこれに限定されるものではない。本発明の床暖カーペットの使用者が載る主面の形状は設置スペースの床面の形状又は使用者好みに応じて適宜変更可能である。例えば、本発明の床暖カーペットの使用者が載る主面の形状は、略円形状、略楕円形状、略三角形状、略6角形状であってもよい。
また、第4実施形態の床暖カーペット1Cとして、図10及び図11を用いて説明したように、使用者の要求により、暖房運転モード切替設定手段20(図9参照)を用いて、表面材4の主面Sの暖房領域の略全体を暖房する場合と、表面材4の主面Sを2つの暖房領域(領域S1及び領域S2)に分割して暖房する場合の両方の暖房ができるように、発熱体3が基材2中に配設されている態様について説明した。しかし、本発明の床暖カーペットの表面材4の主面の暖房領域を分割する際の態様はこれに限定されるものではない。本発明の床暖カーペットの表面材4の主面の暖房領域を分割する際の態様は、設置スペースの床面のうち使用頻度(使用者が採暖する頻度の高い領域)の高い領域又は使用者好みを考慮して適宜変更可能であり2以上に分割してもよい。
図11に示した例とは別の一例について以下の図12を用いて説明する。なお、図12は、図11に示した床暖カーペット1Cを第2暖房運転モードで運転する場合の別の一例を示す模式図である。
例えば、図12に示すように、床暖カーペット1Cの表面材4の主面Sを3つの領域(
領域S1、領域S2、領域S3)に分割し、暖房運転モード切替設定手段20(図2参照)を用いて、領域S1のみを暖房(暖房ON)して領域S2及び領域S3は暖房しない(暖房OFF)状態、領域S2のみを暖房(暖房ON)して領域S1及び領域S3は暖房しない(暖房OFF)状態、領域S3のみを暖房(暖房ON)して領域S1及び領域S2は暖房しない(暖房OFF)状態を順に繰り返すように暖房できるよう構成してもよい。このときの領域S1、領域S2、領域S3の面積は同一でも異なっていてもよい。
また、領域S1、領域S2及び領域S3のうちの1つは常に暖房せず(暖房OFF)残りの2つの領域について交互に暖房ONと暖房OFF状態として暖房できるよう構成してもよい。更に、領域S1、領域S2及び領域S3のうちの1つは常に暖房せず(暖房OFF)残りの2つの領域を同時に暖房ONと暖房OFF状態として暖房できるよう構成してもよい。また、領域S1、領域S2及び領域S3のうちの2つは常に暖房せず(暖房OFF)残りの1つの領域についてのみ暖房ONと暖房OFF状態として暖房できるよう構成してもよい。
このように構成することで、設置スペースの床面のうち使用頻度(使用者が採暖する頻度の高い領域)の高い領域を特定し又は使用者好みを考慮した上での、より無駄のない快適な暖房を行うことが可能となる。