JP5568866B2 - 楽音信号生成装置 - Google Patents
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そして、この単音発音は、例えばMIDI(Musical Instruments Digital Interface:登録商標)規格の演奏データを用いる場合、ノートオンイベントやノートオフイベントの検出に応じて鍵の押鍵状態やその履歴を記憶しておき、押鍵状態が変化する度に、その時点での押鍵状態に基づき上記の基準に従って発音させる音を選択することにより実現できる。例えば、最高音を基準に選択する場合、ある鍵が押鍵された後、離鍵される前により高音の鍵が押鍵された場合に、離鍵前でも発音中の音を停止させ、新たに押鍵された鍵に係る音の発音に移行する等である。
また、同じく電子鍵盤楽器において、検出した押鍵操作がレガート奏法に係るものか否かを判定し、レガート奏法の場合に、レガート用の音色の楽音を発生させたり、アタックを弱くしたりといったレガート制御を行うことも知られている。
この場合のレガート奏法の判定基準としては、例えば、ノートオン中の楽音がある状態で次音のノートオンが検出されたことや、これに加えて、ノートオン中の楽音のノートオン発生時点と次音のノートオン発生時点との時間差が所定の閾値以上であることが挙げられる。
このようなレガート制御については、例えば特許文献2及び3に記載されている。
そして、このような問題は、電子鍵盤楽器だけでなく、演奏や再生に基づいて供給される演奏データに基づいて楽音信号を生成する楽音信号生成装置全般について存在するものである。
まず、図1に、この発明の楽音生成装置の実施形態である電子楽器のハードウェア構成を示す。
図1に示すように、電子楽器10は、CPU11,フラッシュメモリ12,RAM13,MIDI(Musical Instruments Digital Interface:登録商標)_I/O14,パネル表示器15,パネル操作子16,鍵盤17,音源部18を備え、これらはシステムバス20により接続されている。また、音源部18に接続されるサウンドシステム19も備えている。
RAM13は、CPU11のワークメモリとして使用したり、電子楽器10の動作に反映させるパラメータの値を記憶させたりする記憶手段である。
MIDI_I/O14は、MIDIシーケンサ等の外部装置との間でMIDIデータの入出力を行うためのインタフェースである。
パネル操作子16は、電子楽器10の操作パネル上に設けた、ボタン、ノブ、スライダ、タッチパネル等の操作子であり、パラメータの設定や、画面や動作モードの切り替え等、ユーザからの種々の指示を受け付けるためのものである。
鍵盤17は、ユーザによる演奏操作を受け付けるための演奏操作子である。
サウンドシステム18は、スピーカとD/Aコンバータを備え、音源部17から波形データの供給を受けてその波形データに基づく発音を行う発音手段である。
まず、図2に、単音発音パートに関するノートオンイベントを検出した場合にCPU11が実行する処理のフローチャートを示す。
なお、あるパートを、複数の鍵が同時に押下された場合でもそのうち1つのノートの発音しか行わない単音発音モードにするか否かは、ユーザがパネル操作子16により設定できる他、音色の選択に応じて自動的に設定したり、楽曲データによって設定したりすることもできる。
そして、まず検出したノートオンイベントとその検出時刻を、押鍵状態の記録として、RAM12に設けた所定の記憶領域に記録する(S11)。また、検出したイベントの内容を参照して、イベントにおいて指定されているノートナンバ及びベロシティの値を取得し、変数NNにノートナンバの値を、変数VELにベロシティの値を設定する(S12)。
そして、実行中でなければ、レガート演奏でない通常演奏に応じた発音を行うべく、音源部18のうち空いている発音chを必要な数だけ検索し、検出したノートオンイベントに係る発音をその発音chに割り当てる(S14)。そして、その割当先の発音chに、NN及びVELの値に対応した通常発音用音色の楽音制御パラメータを設定し(S15)、その発音chの発音開始を音源部18に指示して(S16)、処理を終了する。音源部18は、ステップS16の指示に応じて、設定された楽音制御パラメータに従った楽音信号の生成を開始する。
すなわち、ステップS14と同様に発音chの割り当てを行い(S23)、割り当てた発音chに、NN及びVELの値に対応したレガート発音用音色の楽音制御パラメータを設定し(S24)、その発音chの発音開始を音源部18指示する(S25)。そして、これらに加えて同じパートの以前のノートオンイベントに係る楽音信号を生成中の発音chのリリース(通常減衰)開始を音源部18に指示して(S26)、処理を終了する。このリリースの指示も、ステップS22のダンプと同様、新たな発音を開始する際に前の音の発音を停止させるために行うものである。
また、レガート発音用音色は、一般的には、通常発音用音色よりもアタック感を抑えた音色である。そして、これらの2種の発音について波形データ自体を別々に用意してもよいが、同じ波形データを用いても、レガート発音の場合に通常発音の場合よりも楽音信号の振幅エンベロープの立ち上がり速度を遅くする等、パラメータの設定により2種の発音を実現することもできる。これらのどちらの手法を用いるか、あるいはその他の手法を用いるかは、各パートの発音に用いる音色データにより規定され、パート毎に異なっていてもよい。
CPU11は、楽音の減衰開始を指示する減衰開始命令であるノートオフイベントを検出し、そのイベント中のパートの指定に基づき、検出したノートオフイベントが単音発音パートに関するものであると判断すると、図3に示す処理を開始する。
その後、ノードナンバNNの楽音信号、すなわち検出したノートオフイベントと対応するノートオンイベントに係る楽音信号、の生成を音源部18で実行中である場合(S33)、音源部18に対し、その楽音信号を生成中の発音chのリリース開始を指示する(S34)。このリリースは、図2のステップS26で指示するリリースと同じものである。
すなわち、まず押鍵中の鍵から所定の規則に従って1つの鍵を選択し、押鍵状態の情報として記憶してあるその鍵に係るノートオンイベントの内容を参照して、変数NNにそのイベントで指定されているノートナンバの値を、変数VELに同じくベロシティの値を設定する(S36)。その後、図2のステップS23〜S25の場合と同様に、発音chの割り当て、レガート発音用音色の楽音制御パラメータの設定及び発音開始の指示を行って(S37〜S39)、処理を終了する。なお、ステップS36での鍵の選択規則は、ここでは、最後に押鍵された鍵とする。
また、ステップS33でNOとなるのは、音量の低下等により鍵が押鍵されている間に発音が停止されてしまった場合である。この場合、新たにリリースを開始する必要はなく、さらに、今回の離鍵に応じて他の音の発音を開始するのは不自然であるため、そのまま処理を終了する。
この図において、A〜Eは押鍵される鍵の音程を示し、バーが押鍵から離鍵までの期間を示し、そのうちハッチングを示した部分が、押鍵と対応する発音を行う期間を示す。
なお、鍵Bの離鍵に伴うリリースも、単独押鍵で離鍵操作があった場合と同じリリースにより行う。
このように、鍵盤楽器10においては、鍵の押鍵間隔に応じて前音の減衰速度を変えることにより、なめらかなスラーを適切に表現することができるようにしている。
以上で実施形態の説明を終了するが、装置の構成や具体的な処理内容等が上述の実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
まず、上述した実施形態においては、単音発音パートにおいて、後に押鍵した鍵を無条件で優先させて発音を行う例について説明した。しかし、別の規則で発音させる鍵を選択するようにしてもよい。例えば、押鍵順に関わらず、各時点で、押鍵されている鍵のうち最高音の鍵について発音を行うようにしてもよい。
また、以上述べてきた構成及び変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて適用することも可能である。
従って、この発明を適用することにより、レガート演奏を高い品質で表現可能な楽音信号生成装置を提供することができる。
Claims (2)
- 単音発音パートの楽音信号を生成する楽音信号生成装置であって、
楽音信号を生成する複数の発音チャンネルを備えた音源部と、
前記単音発音パートの発音開始を指示する発音開始命令の検出時、該発音開始命令が検出時点で最高音の押鍵に係る発音開始命令である場合に、前記複数の発音チャンネルのうち必要数に該発音を割り当て、前記音源部に対して、該割り当てた発音チャンネルにおいて前記発音開始命令に応じた楽音信号の生成を開始するよう指示する第1発音制御部と、
前記単音発音パートの発音開始を指示する発音開始命令の検出時、該発音開始命令に応じた楽音信号の生成開始の有無に関わらず、検出した発音開始命令及びその検出時刻を記憶する記憶手段と、
前記発音開始命令の検出時、その発音開始命令が検出時点で最高音の押鍵に係る発音開始命令である場合に、前記単音発音パートの以前の発音開始命令に応じた楽音信号の生成を前記音源部のいずれかの発音チャンネルで実行中であるか否か判断し、実行中であれば、前記以前の発音開始命令の検出と今回の発音開始命令の検出とのタイミング差を所定の閾値と比較し、該タイミング差が該閾値以上であれば、前記音源部に対し、前記以前の発音開始命令に応じた楽音信号を生成中の発音チャンネルの第1の減衰速度での減衰開始を指示し、前記タイミング差が前記閾値未満であれば、前記音源部に対し、前記以前の発音開始命令に応じた楽音信号を生成中の発音チャンネルの第1の減衰速度より速い第2の減衰速度での急速減衰開始を指示する前音減衰制御部と、
前記単音発音パートの楽音の減衰開始を指示する減衰開始命令の検出時、その減衰開始命令が検出時点で最高音の押鍵に係る減衰開始命令である場合に、前記音源部のいずれかの発音チャンネルで該減衰開始命令と対応する楽音の楽音信号を生成中であれば、前記音源部に対して、該楽音信号を生成中の発音チャンネルの前記第1の減衰速度での減衰開始を指示し、さらに、前記検出した減衰開始命令に係る鍵の他に押鍵中の鍵があった場合には、該押鍵中の鍵の中で最高音の押鍵に係る発音開始命令を前記記憶手段から読み出し、前記複数の発音チャンネルのうち必要数に該読み出した発音開始命令に係る発音を割り当て、前記音源部に対して、該割り当てた発音チャンネルにおいて前記読み出した発音開始命令に応じた楽音信号の生成を開始するよう指示する第2発音制御部とを有することを特徴とする楽音信号生成装置。 - 請求項1に記載の楽音信号生成装置であって、
前記第1発音制御部に、前記前音減衰制御部が、前記以前の発音開始命令に応じた楽音信号が生成中でありかつ前記タイミング差が前記閾値以上であると判断した場合に、検出した前記発音開始命令に応じた楽音信号の振幅エンベロープの立ち上がり速度を、その他の場合より小さくするよう前記音源部の設定を行う手段を設けたことを特徴とする楽音信号生成装置。
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