<第1実施形態>
この発明の第1実施形態について図1ないし図6を参照して説明する。図1は本発明の接合装置100の第1実施形態を示す図である。図2は図1に示す接合装置100が備える共振器7を示す図である。図3は図2に示す共振器7が支持手段44により支持された状態を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線矢視断面図である。図4は図1に示す接合装置100における低精度アライメントを示す部分断面図である。図5は図1に示す接合装置100における高精度アライメントを示す部分断面図である。図6は図1に示す接合装置100における実装処理を示すフローチャートである。
図1に示す接合装置100は、本発明の「対象物」であるチップ23や電子部品を、本発明の被実装である基板24やウエハの所定の位置に超音波振動により接合する。すなわち、GaAsなどの半導体の接合面に金属バンプ23aを有するチップ23と、金属バンプ24aを有する基板24とが超音波振動が印加されることにより接合され、チップ23が基板24の所定の位置に実装される。なお、チップ23は後述する共振器7の保持手段40に保持され、基板24は後述するステージ10に載置される。
図1に示すように、接合装置100は、接合機構27と、ステージ10とステージテーブル12とを有する実装機構28と、位置認識部29と、搬送部30と、制御装置31とを備えている。
接合機構27は、上下駆動機構25とヘッド部26とを備え、上下駆動機構25は上下駆動モータ1とボルト・ナット機構2とにより、共振器支持部6を上下ガイド3でガイドしながら上下動する。そして、接合機構27はフレーム34に結合され、フレーム34はヘッド部26の加圧中心の周辺を囲むように配設された4本の支柱13により架台35と連結されている。なお、支柱13およびフレーム34の一部は図示省略されている。
共振器支持部6は、ヘッド逃がしガイド5で上下方向にガイドされ、自重をキャンセルするための自重カウンター4に牽引された状態でボルト・ナット機構2に連結されている。そして、この共振器支持部6に共振器7を有するヘッド部26が結合されている。
また、共振器支持部6には圧力センサ32が設けられており、圧力センサ32は、共振器7とステージ10との間に挟持された両対象物(チップ23、基板24など)への加圧力を検出する。そして、圧力センサ32により検出された両対象物に対する加圧力が制御装置31にフィードバックされて、当該フィードバック値に基づいて上下駆動機構25が制御され、これにより、両対象物への加圧力が制御される。また、共振器支持部6は、リニアセンサなどにより構成される共振器部高さ検出手段36を備えており、これによりヘッド部26の高さを検出する。
共振器支持部6に結合されたヘッド部26は、共振器7と、振動子8と、チップ23を吸着保持する保持手段40と、基部20と第1クランプ手段21および第2クランプ手段22とを有する支持手段44とを備えている。
図2に示すように、共振器7は、振動子8が発生する超音波振動に共振するものであって、共振器7のほぼ中央の位置f2と、両端位置f0およびf4とが最大振幅点となるように、共振周波数の一波長の長さで形成されている。このように構成すれば、最大振幅点から1/4波長離れた位置f3およびf1は、それぞれ第1および第2最小振幅点(ノーダルポイント)に相当する。また、共振器7は、位置f4側から見た断面形状が円形状である円柱状に形成されている。
振動子8は、共振器7の位置f0に、共振器7の中心軸と同軸に共振器7に連結されている。また、振動子8は、制御装置31により制御されて超音波振動を発生し、これにより共振器7がその中心軸の方向に振動する。
保持手段40は、所定の取着位置として設定された共振器7の最大振幅点である位置f2における外周下面に取着され、対象物としてのチップ23を保持する。なお、この実施形態では、保持手段40は、チップ23に可視光や赤外光などを投光できるように、可視光および赤外光を透過することができるように特殊なコーティングなどが施されたガラスにより形成されて、熱硬化型樹脂などの接着剤により共振器7に取着されている。
また、この実施形態では、保持手段40は、対象物としてのチップ23を吸着保持できるように、真空吸着機構(図示省略)を備えている。また、チップ23などの対象物を保持する構成としては上記した真空吸着機構に限られず、静電吸着機構、機械式のチャック機構など、対象物を保持できる機構であればどのような構成であってもよい。また、対象物を保持手段40に直接貼付けることにより対象物が保持手段40に保持されるようにしてもよい。
また、保持手段40を、超硬タングステンカーバイト、セラミック、ダイヤモンドなど、金属以外の部材により形成してもよく、このように構成した保持手段40を、エポキシ系の接着剤や、Ni、Cu、Agなどの金属ろうなどによって共振器7に接着してもよい。
また、図2に示すように、共振器7の第1最小振幅点である位置f3および第2最小振幅点である位置f1における共振器7の外周には、凹状の第1被支持部41および第2被支持部42が形成されている。凹状に形成された第1被支持部41および第2被支持部42が支持手段44により支持されることで、共振器7が支持手段44により支持される。また、第1被支持部41および第2被支持部42の、共振器7の中心軸にほぼ直交する断面形状は八角形状に形成されている。
また、共振器7は、チップ23および基板24の金属バンプ23a,24a(アライメントマーク)を、保持手段40の取着位置の方向から保持手段40を通して、後述する上下マーク認識手段14により読取ったり、保持手段40に保持されたチップ23や保持手段40に加熱用光源(後述)の光を投光するために、取着位置に形成された一方の共振器開口HOPと、一方の共振器開口HOPとは異なる位置に形成された他方の共振器開口HOPと、一方および他方の共振器開口HOPを両端に有する共振器光路HLPとを備えている(図3(b)参照)。
また、図3(a)に示すように、支持手段44は、基部20と第1クランプ手段21および第2クランプ手段22とを備えている。第1クランプ手段21および第2クランプ手段22は、それぞれ上部部材21a,22aと、下部部材21b,22bとを備えている。そして、図3(b)に示すように、基部20に支持された第2クランプ手段22の上部部材22aと下部部材22bとが凹状に形成された第2被支持部42に嵌挿され、ボルト43により上部部材22aと下部部材22bとが固定されることにより、第2被支持部42が第2クランプ手段22により挟持される。また、同様に、基部20に支持された第1クランプ手段21の上部部材21aと下部部材21bとが凹状に形成された第1被支持部41に嵌挿され、ボルト43により上部部材21aと下部部材21bとが固定されることにより、第1被支持部41が第1クランプ手段21により挟持される。これにより、共振器7は、第1および第2被支持部42において、それぞれ第1クランプ手段21および第2クランプ手段22により支持される。
また、基部20は共振器支持部6に固定されており、支持手段44に支持された共振器7が上下駆動機構25により上下動することにより、チップ23および基板24が加圧される。
また、共振器7は、ボルト43を緩めることで共振器7の中心軸を回転の中心として回転可能に形成されている。例えば、後で図8を参照して説明するように、共振器7の外周上に複数の保持手段40が取着される構成であれば、ボルト43を緩めて共振器7をその中心軸を回転の中心として回転させることにより、チップ23を基板24に接合する際に使用する保持手段40を交換することができる。
なお、共振器7を第1クランプ手段21および第2クランプ手段22により支持して固定する方法は、ボルト43に限らずどのようなものであってもよい。例えば、電気制御可能に構成された機械的なクランプ機構や、ワンタッチで取付け可能なクランプ機構により第1クランプ手段21および第2クランプ手段22を構成し、これにより共振器7が支持されるようにしてもよい。
また、共振器7が第1クランプ手段21および第2クランプ手段22により支持される位置は、最小振幅点f1、f3に限られず、共振器7のどのような位置が支持されてもよい。また、第1被支持部41および第2被支持部42の形状は凹状に限られず、どのような形状に形成されてもよい。例えば、第1被支持部41および第2被支持部42は凸状に形成されてもよい。また、保持手段40が取着される共振器7の取着位置は、共振器7の最大振幅点f2に限られず、その他の最大振幅点であってもよいし、最大振幅点以外の任意の位置に保持手段40を取着してもよい。
また、この実施形態では、第1クランプ手段21および第2クランプ手段22の全体が、後で説明する支持部材により形成されている。なお、この実施形態では、第1クランプ手段21および第2クランプ手段22の全体が支持部材により形成されているが、少なくとも、第1クランプ手段21が第1被支持部41と接触する部分、および、第2クランプ手段22が第2被支持部42と接触する部分が、支持部材により形成されていればよい。また、第1被支持部41および第2被支持部42の断面形状は、八角形状に限られず円形状や、その他の多角形状であってもよい。
なお、接合される対象物および被実装物の材質や種類に応じた振幅で共振するように共振器7を形成すればよい。接合される材質がプラスチックのときは、40〜80μmの振幅で共振するように、共振器7をチタンやアルミニウムなどで形成することができる。接合される材質が金属のときは、10〜25μmの振幅で共振するように、共振器7を高速度鋼(SKH)、合金工具鋼(SKD)、高炭素鋼などで形成することができる。接合される材質が半導体のときは、1〜4μmの振幅で共振するように、共振器7を高速度鋼(SKH)、合金工具鋼(SKD)、高炭素鋼などで形成することができる。この実施形態では、基板24やウエハにLEDや半導体などのチップ23を接合するために、共振器7は、10μmよりも小さい振幅で共振するように形成されている。
また、保持手段40を、上記した材質のうち、比較的硬度の高い、ガラス、超硬タングステンカーバイト、セラミックやダイヤモンドなどで形成すれば、共振器7を音響特性の優れた材質、例えばチタン合金により形成してもよい。また、保持手段40を、硬度の高い材質で形成すれば、共振器7を安価な材質、例えばAlにより形成してもよい。このとき、接合される材質が半導体のときは、0.1〜5μmの振幅で共振するように共振器7を形成するとよい。
また、第1クランプ手段21および第2クランプ手段22が備える支持部材は、対数減衰率が0.01より大きく1より小さい材質、実用的には、0.1以上の材質であればよい。また、第1クランプ手段21および第2クランプ手段22が備える支持部材は、音速が5900m/sより大きい材質、実用的には、6000m/s以上の材質であればよい。これらの条件を満たす材質として、純チタン、チタン合金、ジュラルミン、Mn−Cu合金、鉄などにより支持部材を形成することができる。
この実施形態では、対数減衰率および音速の両方が上記した条件を満たす双晶型制振合金(例えば、Mn−Cu合金)により、第1クランプ手段21および第2クランプ手段22全体が形成され、これらが共振器7に凹状に形成された第1被支持部41および第2被支持部42に嵌挿されて共振器7が支持されている。なお、支持部材として最も望ましい材質は双晶型制振合金の一種であるMn−Cu合金であるが、特に、Ni、Feなどがさらに添加されたMn−Cu−Ni−Fe合金により第1クランプ手段21および第2クランプ手段22を形成するのが望ましい。また、支持部材の材質は、双晶型制振合金に限られず、対数減衰率が0.01〜1の範囲の材質、または、音速が5900m/sより大きい材質であれば、どのようなものを採用してもよい。また、共振器7の両被支持部41,42に上記した材質の支持部材が接触していれば、支持手段44の形状、大きさはどのようなものであってもよい。
実装機構28は、被実装物としての基板24が載置されるステージ10と、ステージ10を上下方向にほぼ直交する水平面内で移動するステージテーブル12とを備えている。また、ステージ10は、基板24を吸着保持するため真空吸着機構(図示省略)を備えている。なお、この施形態では、基板24やウエハなどの被実装物を保持する保持機構として、ステージ10には真空吸着機構が設けられているが、保持機構としては真空吸着機構に限られず、静電吸着機構や、機械式のチャック機構などを採用してもよい。また、被実装物をステージ10上に載置するだけでもよい。
ステージテーブル12は、平行・回転移動自在な移動軸を備え、ステージ10をヘッド部26に対して移動することで、保持手段40に保持されたチップ23に対する基板24の相対的な位置を調整する。この実施形態では、後述する上下マーク認識手段14により読取られたチップ23および基板24の金属バンプ23a,24a(アライメントマーク)の相対的な位置関係に基づいて、チップ23と基板24との相対的な位置調整が行われるようにステージテーブル12は制御装置31により制御される。
位置認識部29は、対向配置されたチップ23と基板24の間に挿入されて、または、共振器光路HLPに他方の共振器開口HOPから挿入されて、チップ23および基板24にそれぞれ設けられた位置認識用のアライメントマーク(金属バンプ23a,24a)を光学的に読取る上下マーク認識手段14と、チップ23、基板24および共振器7の振幅を検出する振幅検出器33と、これらの認識手段14および振幅検出器33を水平面内および上下方向に移動させる認識手段移動テーブル15とを備えている。
上下マーク認識手段14は、ミラーやプリズムで構成される、周知の2視野光学系レンズ14aと、2視野光学系レンズ14aを介してその上下に隔離して配置されたチップ23および基板24を撮像するCCDカメラ14bとを備えている(図4参照)。また、図5に示すように、上下マーク認識手段14は、共振器光路HLPに他方の共振器開口HOPから挿入されることにより、2視野光学系レンズ14aを介してチップ23および基板24を上方から保持手段40を通してCCDカメラ14bにより撮像する。
また、上下マーク認識手段14は、赤外光源14c(本発明の「加熱用光源」に相当)を備えている。この実施形態では、保持手段40は赤外光源14cから投光される赤外光を透過するガラスにより形成されているため、上下マーク認識手段14は、赤外光源14cの赤外光を、共振器光路HLPを介して保持手段40や、保持手段40に保持されたチップ23などの対象物に照射することができる。したがって、上下マーク認識手段14は、赤外光源14cからチップ23および基板24に赤外光が照射されることによる反射光のアライメントマーク(金属バンプ23a,24a)の陰影を取着位置の方向から保持手段40を通して読取ることで、チップ23および基板24にそれぞれ設けられたアライメントマークを読取るため、チップ23および基板24にそれぞれ設けられたアライメントマークを確実に光学的に読取ることができる(図5参照)。
また、チップ23を例えばGaAsにより構成し、基板24を例えばSiにより構成し、アライメントマークを赤外光を反射して赤外光を透過しない材質である金属バンプ23a,24aにより形成することで、チップ23および基板24に赤外光を照射すれば、GaAsおよびSiは赤外光を透過するため、アライメンマークの陰影をより明りょうに生成することができ、これにより、上下マーク認識手段14によりアライメントマークの陰影をより精度よく読取ることができる(図4および図5参照)。なお、本実施形態では、2視野光学系レンズ14aは、赤外光や通常の可視光などを透過または反射可能なミラーやプリズムなどを組合わせることにより構成されている。
また、チップ23などの実装物および基板24などの被実装物に赤外光を投射することによるアライメントマークの陰影をより明りょうに読取るために、アライメントマークのエッジを強調する画像処理などを併用して、アライメントマークを上下マーク認識手段14により読取ってもよい。
また、チップ23および基板24にそれぞれ設けられたアライメントマークを、チップ23および基板24の上方から上下マーク認識手段14により読取ることができるように、アライメントマークをチップ23の上面、および基板24の上面であってチップ23の陰とならない位置に設けてもよい。また、赤外光を利用してアライメントマークを読取るときは、CCDカメラ14bを、可視光と共に赤外光に感度分布を有するCCDにより構成するとよい。また、CCDカメラ14bを、可視光を撮像する素子により構成されるカメラと、量子型やボロメータ型などの赤外線撮像素子により構成されるカメラの2つのカメラにより形成してもよい。
また、この実施形態では、赤外光源14cは、アライメントマークを読取るときの低出力の読取用赤外光と、対象物を加熱するときの高出力の加熱用赤外光とを切換えて照射できるように形成されており、加熱用赤外光に切換えることで、保持手段40に保持されたチップ23などの対象物に光路HLPを介して赤外光を照射してチップ23を加熱することができる。
また、保持手段40を上記した材質のうち、赤外光を透過可能な特殊なガラスなどと異なる材質であって、赤外光源14cからの赤外光を透過しない材質により形成したときには、赤外光を高出力の加熱用赤外光に切換えることで、保持手段40に光路HLPを介して赤外光を照射して保持手段40を加熱することができる。このような場合には、チップ23および基板24にそれぞれ設けられたアライメントマークを上方から上下マーク認識手段14により読取ることができるように、保持手段40に孔を形成するとよい。以上のように、上下マーク認識手段14は本発明の「加熱手段」として機能している。
搬送部30は、チップ23を搬送するチップ供給装置16およびチップトレイ17と、基板24を搬送する基板搬送装置18および基板搬送コンベア19とを備えている。
制御装置31は、ヘッド部26を介してチップ23および基板24に加えられる加圧力や、振動子8へ印加される電圧および電流を調整してチップ23および基板24に加えられる超音波振動エネルギーの大きさなどを制御する。また、制御装置31は、共振器部高さ検出手段36によるヘッド部26の高さ位置の検出信号に基づいて上下駆動機構25を制御し、ヘッド部26の図1中の矢印Z方向の高さを調節する。また、制御装置31は、接合装置100全体の制御を行うための操作パネル(図示省略)を備えている。
次に、図4ないし図6を参照して、接合装置100において実行される、チップ23を基板24の所定の位置に超音波振動により接合する処理について説明する。
図6に示す接合処理は、チップ23が基板24の所定の位置に接合されるときに実行される処理であり、まず、対象物としてのチップ23および被実装物としての基板24の供給が行われる。チップ23は、チップ供給装置16によりチップトレイ17から共振器7に取着された保持手段40に供給されて吸着保持される(ステップS1)。また、基板24は、基板搬送装置18により基板搬送コンベア19からステージ10に供給されて吸着保持される。
次に、図4に示すように、それぞれの接合面が対向するように保持されたチップ23と基板24との間に上下マーク認識手段14が認識手段移動テーブル15により挿入されて、対向保持されたチップ23および基板24にそれぞれ設けられたアライメントマーク(金属バンプ23a,24a)の位置が上下マーク認識手段14により検出される。そして、上下マーク認識手段14により読取られたチップ23および基板24のアライメントマークの相対的な位置関係に基づいて、チップ23の位置を基準としてステージテーブル12が平行・回転移動されて基板24の位置が調整されて、チップ23と基板24との相対的な位置調整が行われて低精度アライメントが実行される(ステップS2)。
続いて、図5に示すように、共振器7が下降されることにより、チップ23および基板24が近接移動され、これにより、チップ23および基板24がそれぞれ備える金属バンプ23a,24aが、接触する寸前、もしくは軽く接触した状態とされる。そして、他方の共振器開口HOPから上下マーク認識手段14が共振器光路HLPに認識手段移動テーブル15により挿入されて、対向保持されたチップ23および基板24にそれぞれ設けられたアライメントマーク(金属バンプ23a,24a)の位置が上下マーク認識手段14によりチップ23および基板24の上方から検出される。そして、上下マーク認識手段14により読取られたチップ23および基板24のアライメントマークの相対的な位置関係に基き、チップ23の位置を基準としてステージテーブル12が平行・回転移動されて基板24の位置が調整され、チップ23と基板24との相対的な位置調整が行われて高精度アライメントが実行される(ステップS3)。
次に、チップ23および基板24の相対的な位置が整合された状態(金属バンプ23a,24aの位置が合わされた状態)で、赤外光源14cによる赤外光が低出力の読取用赤外光から高出力の加熱用赤外光に切換えられると共に、上下駆動機構25によりヘッド部26の下降が開始され、チップ23と基板24とがさらに接近される。そして、チップ23の金属バンプ23aと基板24の金属バンプ24aとが接触することによる圧力センサ32からの検出信号に基づき、チップ23と基板24とが共振器7およびステージ10との間に挟持されたことが検出される。
そして、上下駆動機構25に設置された上下駆動モータ1が制御装置31により制御されて、所定の加圧力がチップ23および基板24に加えられ、赤外光源14cによる加熱エネルギーおよび超音波振動エネルギーが併用されて、金属バンプ23a,24aどうしが接合される(ステップS4)。このとき、制御装置31により、振動子8に印加される電流値および電圧値から導出される超音波振動エネルギー、共振器7の共振振幅、チップ23および基板24に対する加圧力などの監視と制御が行われる。なお、接合処理を終了するタイミングは、目的とされる接合面積で接合されるために必要な加圧力、超音波振動エネルギーおよび接合時間を予め求めておき、予め求めたそれぞれの値に達したときに接合処理を終了すればよい。
この実施形態では、一例として、振動子8の発信周波数は40kHzに設定され、振動子8への印加電圧は0V〜10Vの範囲内に設定されている。また、この実施形態では、一例として、チップ23と基板24との間の相対振動振幅の大きさが0.1μm〜0.5μm程度の振幅となるように構成されている。相対振動振幅の大きさは、実装対象物および被実装対象物の種類(材質、機能など)や接触面積などに応じて適宜変更すればよい。
そして、チップ23および基板24の接合が終了して接合処理が完了すると、認識手段移動テーブル15により上下マーク認識手段14が退避されると共に、共振器7によるチップ23の吸着が解除され、ヘッド部26が上方へ復帰移動される。最後に、チップ23が実装された状態で、ステージ10上に保持された基板24が基板搬送装置18により基板搬送コンベア19へ排出されて一連の接合処理が終了する。なお、基板24へ接合されるチップ23の数は1つに限られず、複数のチップ23を基板24へ連続的に接合してもよい。
次に、図7ないし図9を参照して、上記した第1実施形態の変形例について説明する。
(1)第1変形例
図7は共振器の変形例を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B線矢視断面図である。図7に示すように、共振器70は、上記した共振器7と共振器光路HLPの形状が異なっており、断面形状が略I字状に形成されている(図7(b)参照)。その他の構成および動作は、上記した第1実施形態の構成および動作と同一であるため、同一符号を付すことによりその構成および動作の説明は省略する。このように共振器70を構成すれば、図5に示す高精度アライメントを実行するときと、保持手段40または保持手段40に保持された対象物を赤外光により加熱するときは、基部20と、共振器70の上側に形成された他方の開口HOPとの間の空間に上下マーク認識手段14を挿入して、保持手段40および保持手段40に保持された対象物に赤外光を照射すればよい。
(2)第2変形例
図8は共振器の変形例を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のC−C線矢視断面図である。図8に示すように、共振器71は、共振器7と共振器光路HLPの形状が異なっており、断面形状が略十字状に形成されている(図8(b)参照)。また、共振器71の対向する2つの開口HOPに保持手段40が設けられている。その他の構成および動作は、上記した第1実施形態の構成および動作と同一であるため、同一符号を付すことによりその構成および動作の説明は省略する。このように共振器71を構成すれば、図5に示す高精度アライメントを実行するときと、保持手段40または保持手段40に保持された対象物を赤外光により加熱するときは、側方に2つ設けられた他方の開口HOPのいずれかから共振器光路HLPに上下マーク認識手段14を挿入して、保持手段40および保持手段40に保持された対象物に赤外光を照射すればよい。
また、保持手段40が2つ設けられているため、一方の保持手段40が磨耗などにより破損すれば、共振器71をその中心軸を回転中心として回転させることにより、他方の保持手段40に保持手段40を交換することができる。
以上のように、上記した第1実施形態によれば、振動子8が発生する超音波振動に共振する共振器7の所定の取着位置にチップ23などの対象物を保持する保持手段40が取着され、共振器7は、保持手段40の取着位置に形成された一方の共振器開口HOPと、一方の共振器開口HOPとは異なる位置に形成された他方の共振器開口HOPと、一方および他方の共振器開口HOPを両端に有する共振器光路HLPとを備えており、上下マーク認識手段14が有する赤外光源14cの赤外光が、共振器7が備える共振器光路HLPを介してチップ23または保持手段40に照射されることにより、チップ23または保持手段40は非接触で加熱されるため、共振器7は所定の振動周波数で適正に振動することができる。
このように、共振器光路HLPが、共振器7,70,71に形成されていることがこの実施形態の最も大きな特徴の一つである。従来、安定して共振することが優先されて共振器が設計されていたため、所定の振動周波数で共振するように設計された共振器に、さらに加工を施すことにより新たな機能を加えるという着想は、当業者が容易に想到できるものではなかった。
また、対象物を被実装物に超音波振動により接合する技術分野においては、共振器が安定して共振することが最も優先されているため、安定して共振しつつ他の機能も備える共振器、すなわち、この実施形態における共振器光路HLPを備える共振器7,70,71を設計するという技術思想は本願出願前公知ではなかった。また、共振器を安定して共振させるという課題の存在が、他の接合技術分野の技術を超音波振動接合技術に単に適用することの妨げとなっていた。本発明者は、種々の実験を繰返すことにより、共振器7,70,71に共振器光路HLPを形成するという着想を得たが、これは、従来、当業者であっても想到し得ることのなかった技術思想である。
また、この実施形態では、共振器7,70,71の所定の取着位置にチップ23を保持する保持手段40が取着されている。そして、共振器7,70,71は、共振器光路HLPを備えているため、例えば、チップ23と基板24とが接触していたとしても、共振器7,70,71が備える共振器光路HLPを介して、チップ23および基板24のアライメントマークを取着位置の方向から保持手段40を通して上下マーク認識手段14により光学的に読取ることができるため、より近接して配置された状態のチップ23および基板24のアライメントマークを上下マーク認識手段14で読取ることができ、より近接して配置された状態のチップ23および基板24のアライメントマークの相対的な位置関係に基づいてチップ23と基板24との相対的な位置調整をステージテーブル12により行うことができる。
また、この実施形態では、保持手段40または保持手段40に保持された対象物に赤外光源14cの赤外光を照射することにより、保持手段40または保持手段に保持された対象物を加熱するように構成されているため、保持手段40を、金属などの赤外光を透過しない材質で形成すると共に、保持手段40の所定位置に赤外線を通すための通過孔を形成することで、保持手段40に保持された対象物に通過孔を介して局所的に赤外光を照射することができるため、チップ23などの対象物を局所的に加熱することができる。
また、この実施形態では、共振器7,70,71は、10μmより小さい振幅で共振するように構成されているが、特にGaAsなどの半導体のチップ23を基板24に実装するときに、必要とされる共振器7,70,71の振幅は0.1〜10μmであるため、半導体チップ23を基板24に実装するのに実用的である。また、共振器7,70,71はポアソン比に基づく伸縮を繰返しながら共振するが、共振器7,70,71の振幅を10μmよりも小さくすることで、共振器7,70,71に一方および他方の共振器開口HOPおよび共振器光路HLPが形成されることにより共振器7,70,71が共振する際に大きな変形を繰返すのを抑制することができるため実用的である。
また、この実施形態によれば、第1被支持部41および第2被支持部42に係合して共振器7,70,71を支持する支持手段44は、少なくとも第1および第2クランプ手段21,22がそれぞれ両被支持部41,42に接触する部分に、対数減衰率が0.01より大きく1より小さい材質からなる支持部材を備えている。したがって、支持部材が共振器7,70,71と接触する箇所において、共振器7,70,71の正常な振動方向と異なる方向への異常振動は支持部材により精度よく吸収されるが、共振器7,70,71の正常な方向への振動は阻害されずに、共振器7,70,71は共振器の固有振動数が変動することなく安定して振動することができる。ここで、支持部材の材質の対数減衰率は、0.1以上であることが望ましい。
また、共振器7,70,71を支持する支持手段44が、少なくとも第1および第2クランプ手段21,22が両被支持部41,42に接触する部分に、音速が5900m/sより大きい材質からなる支持部材を備えるようにしてもよい。このような構成としても、支持部材が共振器7,70,71と接触する箇所において、共振器7,70,71の正常な振動方向と異なる方向への異常振動は支持部材により精度よく放散されるが、共振器77,70,71の正常な方向への振動は阻害されずに、共振器7,70,71は固有振動数が変動することなく所安定して振動することができる。なお、支持部材の材質の音速は6000m/s以上であることが望ましい。なお、第1および第2のクランプ手段21,22の全体を上記した材質により形成してもよい。
また、上記した材質によって支持部材を形成することにより、共振器7,70,71が支持手段44によりノーダルポイントとは異なる任意の位置で支持されたとしても、共振器7,70,71は安定して振動することができるため、チップ23および基板24に効率よく超音波振動を与えることができる。したがって、チップ23および基板24の大きさや形状などに応じて、共振器7,70,71が支持手段44により支持される位置や支持手段44の形状なども変更することができ、装置構成を容易に変更することができる。また、支持手段44の大きさを小さくしたり、共振器7,70,71が支持手段44により支持される位置の数を少なくできるため、装置の小型化や簡略化も図ることができる。
なお、本実施形態では、上下マーク認識手段14が、2視野光学系レンズ14aを備える構成としたが、図5に示す高精度アライメントのみを実行するように接合装置100を構成すれば、上下マーク認識手段14により下方のアライメントマークのみを認識できるように1視野光学系レンズを備えるようにしてもよい。
<第2実施形態>
この発明の第2実施形態について図9および図10を参照して説明する。図9は本発明の接合装置の第2実施形態の要部拡大図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のE−E線矢視断面図である。図10は図9に示す接合装置における高精度アライメントを示す図である。この第2実施形態が、上記した第1実施形態と異なるのは共振器7の共振器光路HLPにミラーやプリズムにより形成される光路変換手段HMが設けられている点である。以下では、上記した第1実施形態と異なる点を中心に説明し、その他の構成については同一符号を付すことにより、その構成および動作の説明を省略する。
図9(b)に示すように、共振器7に形成された共振器光路HLPには反射面が金により構成されたミラーから成る光路変換手段HMが配設されている。これにより、共振器7の下方に形成された一方の共振器開口HOP(保持手段40)の方向から、共振器7の側方に形成された他方の共振器開口HOPの方向へと光路が変換される。なお、この実施形態では、光路変換手段HMの反射面を赤外光の反射効率のよい金により形成したが、これに換えて金めっきにより反射面を形成してもよいし、同様に赤外光の反射効率のよいAlにより形成してもよい。また、赤外光の反射効率のよいその他の材質で反射面を形成してももちろんよく、所謂、一般的な表面鏡により反射面を形成してもよい。
また、図10に示すように、CCDカメラ140aと、赤外光源104bとを備える認識手段140が、光路変換手段HMを介して、チップ23および基板24にそれぞれ設けられたアライメントマークを読取ることができるように配設されている。したがって、図10に示すように、チップ23と基板24とが近接した状態でチップ23および基板24に設けられたアライメントマークを読取ることができ、これにより、上記した高精度アライメントを実行することができる。
また、上記した第1実施形態と同様に、赤外光源140bは、アライメントマークを読取るときの低出力の読取用赤外光と、対象物を加熱するときの高出力の加熱用赤外光とを切換えて照射できるように形成されており、加熱用赤外光に切換えることで、保持手段40に保持されたチップ23などの対象物に光路変換手段HMを介して赤外光を照射してチップ23を加熱することができる。
また、保持手段40を上記した材質のうち、赤外光を透過可能な特殊なガラスなどと異なる材質であって、赤外光源140bからの赤外光を透過しない材質により形成したときには、赤外光を高出力の加熱用赤外光に切換えることで、保持手段40に光路変換手段HMを介して赤外光を照射して保持手段40を加熱することができる。このような場合には、チップ23および基板24にそれぞれ設けられたアライメントマークを上方から上下マーク認識手段140により読取ることができるように、保持手段40に孔を形成するとよい。以上のように、上下マーク認識手段140は本発明の「加熱手段」として機能している。
以上のように、この実施形態では、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができるとともに以下のような効果を奏することができる。すなわち、共振器光路HLPに光路変換手段HMが設けられており、これにより、認識手段140は、光路変換手段HMを介してチップ23および基板24にそれぞれ設けられたアライメントマークを読取ることができると共に、光路変換手段HMを介して赤外光源140bの光を対象物または保持手段40に照射することで、対象物または保持手段40を加熱することができる。
また、認識手段140によりチップ23および基板24にそれぞれ設けられたアライメントマークを読取る際に、認識手段140を共振器光路HLPに挿入する必要がないため、認識手段140が共振器7に接触して破損することが防止される。
また、光路変換手段HMの反射面が金により構成されており、金は650nm以上の波長の赤外光を95%以上反射することができるため、非常に効率よく赤外光を反射することができる。
<第3実施形態>
この発明の第3実施形態について図11を参照して説明する。図11は本発明の接合装置の第4実施形態の要部拡大図であって、(a)は高精度アライメントが実行されている状態を示す図であり、(b)は(a)の変形例である。この第3実施形態が、上記した第2実施形態と異なるのは、共振器7に取着された保持手段40に対向して設けられ、保持手段40に対向する面に設けられた載置位置に基板24が載置されるステージ10aに、ステージ光路SLPが設けられている点である。以下では、上記した第2実施形態と異なる点を中心に説明し、その他の構成については同一符号を付すことにより、その構成および動作の説明を省略する。
図11(a)に示すように、ステージ10aは、基板24の載置位置に形成された一方のステージ開口SOPと、一方のステージ開口SOPの形成位置とは異なる位置に形成された他方のステージ開口SOPと、一方および他方のステージ開口SOPを両端に有するステージ光路SLPを備えている。また、ステージ光路SLPには、反射面が金により形成された光路変換手段SMが配設されており、これにより、ステージ10aの基板24の載置位置に形成された一方のステージ開口SOPの方向から、ステージ10aの側方に形成された他方のステージ開口SOPの方向へと光路が変換される。なお、この実施形態では、光路変換手段SMの反射面を金により形成したが、上記した光路変換手段HMと同様に、これに換えて金めっきにより反射面を形成してもよいし、赤外光の反射効率のよいAlにより形成してもよい。また、赤外光の反射効率のよいその他の材質で反射面を形成してももちろんよく、所謂、一般的な表面鏡により反射面を構成してもよい。
また、認識手段140は、共振器7の共振器光路HLPに赤外光を投光できるように共振器7の側方に設けられた赤外光源104cをさらに備えている。赤外光源140cにより共振器光路HLPに投光された赤外光は光路変換手段HMを介して、チップ23および基板24に上方から投光される。したがって、図11(a)に示すように、赤外光源140cにより投光されてチップ23および基板24を透過した赤外光の陰影を読取ることで、チップ23と基板24とが近接した状態でチップ23および基板24に設けられたアライメントマークを、ステージ光路SLPに挿入された認識手段140により読取ることができ、これにより、上記した高精度アライメントを実行することができる。
また、上記した第2実施形態と同様に、赤外光源140cは、アライメントマークを読取るときの低出力の読取用赤外光と、対象物を加熱するときの高出力の加熱用赤外光とを切換えて照射できるように形成されており、加熱用赤外光に切換えることで、保持手段40に保持されたチップ23などの対象物に光路変換手段HMを介して赤外光を照射してチップ23を加熱することができる。
また、保持手段40を上記した材質のうち、赤外光を透過可能な特殊なガラスなどと異なる材質であって、赤外光源140cからの赤外光を透過しない材質により形成したときには、赤外光を高出力の加熱用赤外光に切換えることで、保持手段40に光路変換手段HMを介して赤外光を照射して保持手段40を加熱することができる。このような場合には、チップ23および基板24にそれぞれ設けられたアライメントマークを上方から上下マーク認識手段140により読取ることができるように、保持手段40に孔を形成するとよい。
(3)第3変形例
図11(b)に示す変形例が同図(a)に示す構成と異なる点は、共振器71に形成された共振器光路HLPの形状が異なり、共振器光路HLPを通して赤外光源140cにより赤外光がチップ23および基板24に上方から直接投光されている点である。その他の構成は図11(a)に示す例と同様であるため、その構成および動作の説明を省略する。
以上のように、この実施形態では、上記した第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、この実施形態では、ヘッド部26がθ方向に回転可能に構成されており、ヘッド部26をθ方向に回転することで、θ方向におけるチップ23および基板24のアライメントが行われるように接合装置が構成されている。また、ステージ光路SLPに光路変換手段SMを設けずに、上下マーク認識手段14により直接アライメントマークを読取るように構成してもよい。
<第4実施形態>
この発明の第4実施形態について図12を参照して説明する。図12は本発明の接合装置の第4実施形態の要部拡大図である。この第9実施形態が、上記した第1実施形態と異なるのは、共振器7に換えて共振器71が採用されている点と、認識手段141の構成が異なる点である。以下では、上記した第1実施形態と異なる点を中心に説明し、その他の構成については同一符号を付すことにより、その構成および動作の説明を省略する。
図12に示すように、共振器71の対向する2つの開口HOPにそれぞれ保持手段40が取着されており、いずれかの保持手段40がステージ10に対向するように配置されている。また、認識手段141は、2視野光学系レンズ141aと、CCDカメラ141bと、赤外光源141cとを備えている。また、CCDカメラ141bは、2視野光学系レンズ141aを介してアライメントマークを読取ることができるように配設されている。そして、2視野光学系レンズ141aは矢印Z方向における所定の位置において矢印Fの方向に、CCDカメラ141bは矢印CX,CYと矢印Fの方向に、それぞれ独立して図示省略された移動手段により移動されるように構成されている。
このように構成すれば、図12に示すように、チップ23と基板24とが近接した状態でチップ23および基板24に設けられたアライメントマークを、共振器光路HLPに2視野光学系レンズ141aが挿入された認識手段141により読取ることができ、これにより、上記した高精度アライメントを実行することができる。
また、上記した第1実施形態と同様に、赤外光源141cは、アライメントマークを読取るときの低出力の読取用赤外光と、対象物を加熱するときの高出力の加熱用赤外光とを切換えて照射できるように形成されており、加熱用赤外光に切換えることで、保持手段40に保持されたチップ23などの対象物に2視野光学系レンズ141aを介して赤外光を照射してチップ23を加熱することができる。
また、保持手段40を上記した材質のうち、赤外光を透過可能な特殊なガラスなどと異なる材質であって、赤外光源141cからの赤外光を透過しない材質により形成したときには、赤外光を高出力の加熱用赤外光に切換えることで、保持手段40に2視野光学系レンズ141aを介して赤外光を照射して保持手段40を加熱することができる。このような場合には、チップ23および基板24にそれぞれ設けられたアライメントマークを上方から認識手段141により読取ることができるように、保持手段40に孔を形成するとよい。以上のように、認識手段141は本発明の「加熱手段」として機能している。
以上のように、この実施形態では、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができると共に、共振器光路HLPに光路変換手段HMが配設された構成と異なり、高精度アライメントの際のヘッド部26の矢印θ方向の回転が、2視野光学系レンズ141aとCCDカメラ141bとの配置関係に影響を与えない。したがって、ヘッド部26を矢印θ方向に回転可能に構成しても、認識手段141によりチップ23および基板24に設けられたアライメントマークを確実に読取ることができる。
また、共振器光路HLPに光路変換手段HMが配設された構成と異なり、ヘッド202の矢印Zの方向への移動が、光路をCCDカメラ141bの方向へ変換する2視野光学系レンズ141aと、CCDカメラ141bとの配置関係に影響を与えることがないため、CCDカメラ141bから2視野光学系レンズ141aを介して見たアライメントマークの鏡像の位置は常に一定である。したがって、ヘッド部26の上下方向(Z方向)の移動が、CCDカメラ141bにより読取られるアライメントマークのX方向の位置精度に影響を与えるおそれがなく、アライメントマーク読取りの際にX方向における位置誤差が生じるおそれがないため、位置精度よくアライメントマークを読取ることができる。
<第5実施形態>
この発明の第5実施形態について図13ないし図16を参照して説明する。図13は本発明の接合装置の第8実施形態の要部拡大図であって、(a)は部分正面図、(b)は(a)の下面図である。図14は図13に示す共振器のF−F線矢視断面図であって、(a)は保持手段40が脱離された状態を示す図、(b)は保持手段40が取着された状態を示す図である。図15は図13に示す共振器のG−G線矢視断面図であって、(a)は保持手段40が脱離された状態を示す図、(b)は保持手段40が取着された状態を示す図である。図16は図13に共振器のF−F線矢視断面図であって、(a)は保持手段40aが脱離された状態を示す図、(b)は保持手段40aが取着された状態を示す図である。この第5実施形態が、上記した第1ないし第4実施形態と異なるのは、保持手段40,40aが共振器73の取着位置に脱着可能に取着される点である。その他の構成および動作は、上記した実施形態と同様であるため、その他の構成および動作については同一符号を付して、その構成および動作の説明を省略する。
図13ないし図16に示すように、共振器73の取着位置には吸着することにより保持手段40,40aを取着することができるように、取付用凹部73aが形成されている。また、図13(b)、図14(b)、図15(b)、図16(b)に示すように、取付用凹部73aは、平面視形状が保持手段40,40aの平面視形状とほぼ同一の矩形に形成されており、その大きさは保持手段40,40aの側面が取付用凹部73aの内壁に接するように嵌る大きさに形成されてている。
また、図13(b)に示すように、取付用凹部73aのフランジ部分には保持手段40,40aを吸着するための吸着溝73bが形成されている。また、吸着溝73bの所定箇所の底に一方の開口73c1が形成され、他方の開口73c2が共振器73の外周面に形成された吸引孔73cが設けられている。そして、吸引孔73cの他方の開口73c2が、外部に配設された真空ポンプを有する吸着ユニット300に接続されている。したがって、保持手段40,40aが取付用凹部73a嵌った状態で、吸着ユニット300により他方の開口73c2から吸引を行うことにより、保持手段40,40aが取付用凹部73aに吸着保持される(図14(b)、図15(b)、図16(b)参照)。
また、図13(b)、図14(a),(b)、図16(a),(b)に示すように、取付用凹部73aのフランジ部分の所定箇所に一方の開口73d1が形成され、他方の開口73d2が共振器73の外周面に形成された吸引孔73dが設けられている。また、図14(a),(b)、図16(a),(b)に示すように、保持手段40,40aには、保持手段40,40aの吸着面の所定箇所に一方の開口40b1が形成され、他方の開口40b2が吸着面と対向する面の所定箇所に形成された吸引孔40bが設けられている。
また、図14(b)、図16(b)に示すように、吸引孔40bの他方の開口40b2は、保持手段40,40aが取付用凹部73aに嵌った状態で、吸引孔73dの一方の開口73d1と連結されるように構成されている。また、吸引孔73dの他方の開口73d2が、外部に配設された真空ポンプを有する吸着ユニット400に接続されている。したがって、保持手段40,40aが取付用凹部73aに吸着保持された状態で、吸着ユニット400により他方の開口73d2から吸引を行うことにより、保持手段40,40aの吸着面に対象物としてのチップ23などを吸着することができる。
このように構成すれば、図14(a)および図16(a)に示すように、吸引ユニット300による吸引を停止することにより、保持手段40,40aを取付用凹部73aから脱離することができる。そして、チップ23などの対象物の大きさに応じて保持手段40,40aを選択し、選択された保持手段40,40aが取付用凹部73aに嵌った状態で吸引ユニット300による吸引を開始することにより、保持手段40,40aが取付用凹部73aに吸着保持されて、保持手段40,40aが共振器73の所定の取着位置に取着される。
また、図17(a),(b),(c)に示すように、保持手段40を金属やセラミックなどの赤外光を透過しない部材で形成した場合には、保持手段40に、アライメントマークを読取ることができるように透孔40cを設けるとよく、これにより、アライメントマークを上方から2視野光学系レンズおよびCCDカメラなどを備える認識手段により読取ることができる。また、透孔40cの大きさ、形状、位置は図17(a),(b),(c)に示す例に限られず、アライメントマークを読取ることができればどのような大きさ、形状、位置であってもよい。また、透孔40cは、アライメントマークを読取ることができる位置であって、対象物としての部品および被実装物としての基板に設けられた電極などの超音波振動が印加されることにより接合される部分を加圧できる位置、すなわち、部品が保持手段40に保持された状態で、透孔40cの位置と部品に設けられた電極の位置とがずれる位置に形成されるのが望ましい。なお、図17は図13に示す共振器73のG−G線矢視断面図であって、(a)は保持手段40が脱離された状態を示す図、(b)は保持手段40が取着された状態を示す図、(c)は保持手段40の下面図である。
以上のように、この実施形態によれば、保持手段40,40aは、共振器73の取付用凹部73a(取着位置)に脱着可能に取着されているため、保持手段40,40aが磨耗などにより破損したときにおける保持手段40,40aの交換や、チップ23などの対象物の大きさに応じた保持手段40,40aの交換など、保持手段40,40aの交換を容易に行うことができる。
なお、取付用凹部73aの内側面を断面形状が略ハ字状となるようにテーパー状に形成すると共に、保持手段40,40aの外側面を取付用凹部73aの内側面の形状に合わせて断面形状が略ハ字状となるようにテーバー状に形成してもよい。このように構成することにより、取付凹部73aの内側面と保持手段40,40aの外側面とが密着した状態で保持手段40,40aを取付用凹部73aに嵌め込むことができる。
<第6実施形態>
この発明の第6実施形態について図18および図19を参照して説明する。図18は本発明の接合装置の第6実施形態の要部拡大図であって、(a)は上下マーク認識手段314の側面図、(b)は(a)の平面図である。また、図19は図18に示す接合装置の他の状態を示す図であって、(a)は上下マーク認識手段314の側面図、(b)は(a)の平面図である。この第6実施形態が、上記した第1ないし第5実施形態と異なるのは、上下マーク認識手段314の構成が異なる点である。以下では、上記した実施形態と異なる点を中心に説明し、その他の構成については同一符号を付すことにより、その構成および動作の説明を省略する。
図18(a),(b)に示すように、上下マーク認識手段314は、ハーフミラーやプリズムなどにより構成され、一般的な可視光用の2視野光学系レンズ314a1と、反射面が金やAlなどで構成された赤外光用の反射鏡314a2と、CCDカメラ314bと、赤外光源314cとを備えている。また、図18(b)、図19(b)に示すように、上下マーク認識手段314は、反射鏡314a2を赤外光源314cから投光される赤外光の光軸から外れた位置と、光軸上の位置との間で移動できるように、エアシリンダーなどにより構成されるアクチュエータ314dと、反射鏡314a2に結合され、アクチュエータ314dが備える棒状の押圧部材により押圧されるカム314eとを備えている。
すなわち、図18(b)に示すように、反射鏡314a2は、図示省略されたばねなどの付勢手段により赤外光源314cから投光される赤外光の光軸から外れる位置に移動する方向へ付勢されており、アクチュエータ314dの押圧部材によるカム314eの押圧を解除すれば、反射鏡314a2は赤外光の光軸から外れる位置に移動する。また、図19(b)に示すように、アクチュエータ314dの押圧部材によりカム314eを押圧すれば、反射鏡314a2は、付勢手段の付勢力に抗して赤外光の光軸上の位置に移動する。
このように構成すれば、上記した第1実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、図18に示すように、上下マーク認識手段314は、反射鏡314a2を赤外光の光軸から外れる位置に移動すれば、上下に配置されたチップ23、部品220などの対象物と、基板24,222などの被実装物との間の空間に配置された2視野光学系レンズ314a1を介して、それぞれに設けられたアライメントマークを読取ることができ、これにより、上記した低精度アライメントを実行することができる。
また、図19に示すように、上下マーク認識手段314は、反射鏡314a2を赤外光の光軸上の位置に移動すれば、チップ23、部品220などの実装物と、基板24,222などの被実装物とが近接した状態でそれぞれに設けられたアライメントマークを、対象物および被実装物の上方に配置された反射鏡314a2を介して読取ることができ、これにより、上記した高精度アライメントを実行することができる。
また、上記した第1実施形態と同様に、赤外光源314cは、アライメントマークを読取るときの低出力の読取用赤外光と、対象物を加熱するときの高出力の加熱用赤外光とを切換えて照射できるように形成されており、加熱用赤外光に切換えることで、保持手段40に保持されたチップ23などの対象物に反射鏡314a2を介して赤外光を照射してチップ23を加熱することができる。
また、保持手段40を上記した材質のうち、赤外光を透過可能な特殊なガラスなどと異なる材質であって、赤外光源314cからの赤外光を透過しない材質により形成したときには、赤外光を高出力の加熱用赤外光に切換えることで、保持手段40に反射鏡314a2を介して赤外光を照射して保持手段40を加熱することができる。このような場合には、チップ23および基板24にそれぞれ設けられたアライメントマークを上方から上下マーク認識手段314により読取ることができるように、保持手段40に孔を形成するとよい。以上のように、上下マーク認識手段314は本発明の「加熱手段」として機能している。
なお、本実施形態では、赤外光源314cは、一般的な白色光などの可視光も投光できるように構成されている。また、反射鏡314a2を移動する構成については、上記した構成に限られず、周知の構成を利用して適宜、反射鏡314a2を移動できるようにすればよい。
<第7実施形態>
この発明の第7実施形態について図20を参照して説明する。図20は本発明の接合装置の第7実施形態の要部拡大図である。この第7実施形態が、上記した第1ないし第6実施形態と異なるのは、保持手段40が、一般的な断熱材料や、熱伝導率が非常に悪いチタン合金、セラミックなどにより形成される断熱部材40bを介して、共振器7の取着位置に取着されている点である。以下では、上記した実施形態と異なる点を中心に説明し、その他の構成については同一符号を付すことにより、その構成および動作の説明を省略する。
図20に示すように、断熱部材40bには、共振器開口HOPとほぼ同様の形状、大きさに開口が形成されている。そして、赤外光などを共振器光路HLPを介して保持手段40または保持手段に保持された対象物に照射できるように、共振器開口HOPの周縁を囲むように断熱部材40bが配置された状態で、保持手段40が断熱部材40bを介して共振器7の取着位置に接着されている。
このように構成すると、断熱部材40bを介して共振器7の取着位置に保持手段40が取着されるため、保持手段40や保持手段40に保持された対象物が赤外光などが照射されることで加熱されて昇温した際に、保持手段40から共振器7に伝熱するのが断熱部材40bにより抑制されるため、保持手段40を効率よく加熱することができると共に、共振器7が昇温することにより共振器7の固有振動数が変動するのを防止できる。
なお、例えば、エアーを吹き付けることにより断熱部材40bを冷却する手段(図示省略)をさらに備えていてもよく、このようにすれば、断熱部材40bを冷却する手段により断熱部材40bが冷却されるため、保持手段40などが加熱されて昇温した際に、保持手段40から共振器7に伝熱するのをより効率よく抑制することができる。
<第8実施形態>
この発明の第8実施形態について図21を参照して説明する。図21は本発明の接合装置の第8実施形態の要部拡大図である。この第8実施形態が、上記した第1ないし第7実施形態と異なるのは、保持手段50が、多孔質金属などの多孔質材料により形成されており、多孔質材料の多孔質構造を介してチップ23などの対象物を吸引する吸引手段(図示省略)を備えている点である。以下では、上記した実施形態と異なる点を中心に説明し、その他の構成については同一符号を付すことにより、その構成および動作の説明を省略する。
図21にハッチングで示すように、多孔質材料により形成された保持手段50の表面が、特定の領域を除いて接着剤などによりシーリングされることで、吸引手段により吸引される吸引窓50aと、チップ23などの対象物を吸着する吸着窓50bとが形成される。すなわち、吸引手段により吸引窓50aから吸引を行うことで、保持手段50に形成された吸引50bに対象物を吸着することができる。なお、保持手段50表面のシーリングは接着剤によらなくともよく、樹脂など、封止に最適な材料で保持手段50表面をシーリングすればよい。また、保持手段50表面をシーリングすることにより形成される吸引窓および吸着窓の形状および大きさは、図21に示す吸引窓50aおよび吸着窓50bの形状および大きさに限られるものではなく、適宜、目的に応じた最適な形状および大きさに、吸引窓50aおよび吸着窓50bを形成すればよい。
このように構成すると、保持手段50が多孔質材料により形成されているため、保持手段50を形成する多孔質材料の多孔質構造を介して吸引手段によりチップ23などの対象物を保持手段50に容易に吸着することができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能であり、上記した実施形態において詳細に説明した構成をどのように組合わせてもよい。例えば、上記した第5実施形態における、保持手段40,40aが共振器73の取着位置に脱着可能に取着される構成を、上記した実施形態のすべてにおいて採用してもよい。
また、上記した実施形態では、重合された対象物および被実装物に、所謂、横振動を加えて接合を行う接合装置を例に挙げて説明したが、重合された対象物および被実装物に、所謂、縦振動を加えて接合を行う接合装置に本発明を適用してもよい。例えば、図22に示すように、3つの開口HOPを有する共振器光路HLPを備え、矢印USOの方向に振動する共振器74を、周知の縦振動型の接合装置に採用すればよい。なお、図22は共振器の変形例を示す図である。
また、上記した実施形態では、上下マーク認識手段14,314および認識手段140,141が赤外光源14c,140b,140c,141c,314cを備える構成を例に挙げて説明したが、赤外光源に換えて可視光である白色光源やなどを備える構成や、加熱用光源としてハロゲンランプやレーザー光源を採用してもよく、装置の使用態様に応じて適宜、適切な光源を採用すればよい。
また、上記した実施形態では、上下マーク認識手段14,314および認識手段140,141がCCDカメラを備える構成を例に挙げて説明したが、CCDカメラに換えてCMOSカメラ、IRカメラなどを備える構成としてもよく、アライメントマークを光学的に読取ることのできる構成であればどのようなものを採用してもよい。
また、対象物および被実装物は、半導体以外の材料(樹脂製の基板、フィルム基板またはこれらの基板をダイシングしたチップなど)でもよい。また、対象物および被実装物としては、超音波振動を伝達することで接合できるものであればどのようなものであってもよい。例えば、Au,Al,Cuなどのような金属、Siのような半導体、SiO2、ガラス、イオン酸リチウム、酸化物単結晶(LT)、セラミック系を含む酸化物などにより形成されるウエハやチップなどに、金属バンプあるいは配線パターンを形成したものどうしを接合することができる。
また、対象物および被実装物の形態としては、基板、ウエハ、基板およびウエハーをダイシングしたチップなど、どのようなものであってもよいが、電子部品、プリント基板、光素子、光学部品、半導体チップなどを対象物とし、これらの対象物がウエハ、樹脂製の基板、フィルム基板などの被実装物に接合されるようにするとよい。また、金属バンプの形態としては、個々に独立した複数のバンプ形状であってもよいし、対象物と被実装物との間のある領域を、当該両対象物どうしで封止できるように輪郭状につながった形状であってもよい。また、金属バンプどうしの接合ではなく、両対象物の一方面の全面どうしが接合されるようにしてもよい。
また、上記した実施形態では、対象物および被実装物を超音波振動により接合しているため、赤外光源などによる加熱を行わなければ、熱に弱い対象物としてのGaAsなどの光素子部品を、基板などの被実装物に常温で接合することができる。
また、チップ23および基板24に設けられた配線パターンや金属電極、チップ23の外形などをアライメントマークとして利用することができる。また、チップ23および基板24に印刷されたマークなどもアライメントマークとして利用することができ、CCDカメラなどで構成された認識手段で認識して対象物(チップ23)および被実装物(基板24)の相対的な位置情報を得ることができるものであれば、アライメントマークはどのようなものであってもよい。
また、共振器の形状、材質、大きさなどは、上記した実施形態に示したものに限られず、装置の使用目的などに応じて適宜、変更することができる。また、共振器の外周に形成された被支持部の形状は凹状に限られず、どのような形状であってもよい。さらに、共振器の中心軸方向の大きさは、共振器の共振周波数の一波長の長さに限らず、どのような長さであってもよい。
また、チップ23および基板24を保持するために、保持手段40,40aやステージ10に配設される保持機構は、真空吸着による保持機構に限られず、静電チャックによる保持機構や機械式チャック機構、磁気吸着による保持機構など、装置の使用目的に応じて、周知の保持機構を採用すればよい。
例えば、吸着保持機構に換えて静電チャックによる保持機構を採用すれば、真空中でチップ23を保持することができるため、真空中でチップ23と基板24との接合を行うことができ、チップ23および基板24に有機物や酸化膜などの不純物が付着するのが防止されるので、対象物と被実装物とを良好に接合することができる。
また、赤外光源などにより、保持手段や対象物を加熱するタイミングは、上記した例に限られるものではなく、接合対象である対象物および被実装物の種類および形状に応じて、適宜、最適なタイミングで光照射による加熱を行うようにすればよい。
また、上記した第1実施形態では、ステージ10側が水平方向の位置調整機能、ヘッド部26側が上下駆動機構を有するように構成したが、水平方向の位置調整機能、上下駆動機構はステージ10側、ヘッド部26側にどのように組み合わせてもよく、また、重複するように構成してもよい。
さらに、上記した第1実施形態では、ヘッド部26およびステージ10を上下方向(図1に示す矢印Z方向)に配置し、対象物であるチップ23と被実装物である基板24とを上下方向で重ね合わせて接合する構成としたが、ヘッド部26およびステージ10の配置方向としてはこれに限定されず、上下方向にほぼ直交する左右方向に配置することにより、両対象物が左右方向で重ね合わされて接合される構成でもよい。
また、金属バンプを形成する材料は、Au、Ag、Cu、Al、鉛錫はんだなど、超音波振動を印加することで接合できるものであればどのような金属であってもよい。また、対象物および被実装物の接合部を金属以外の部材で形成してもよい。
また、上記した実施形態では、2視野光学系レンズ14a,141aや光路変換手段HM,SMなどにより光路を変換して、CCDカメラ14b,140a,141bなどで構成される撮像手段によりアライメントマークを読取るように構成されているが、これらの光路変換のための手段を設けずに、CCDカメラやCMOSカメラなどの撮像手段により直接、対象物および被実装物に設けられたアライメントマークを読取るようにしてもよい。