JP5566597B2 - I型コラーゲン産生促進剤、アデノシン三リン酸産生促進剤、フィラグリン産生促進剤、メラニン産生抑制剤、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制剤、及び肌の透明感向上剤 - Google Patents
I型コラーゲン産生促進剤、アデノシン三リン酸産生促進剤、フィラグリン産生促進剤、メラニン産生抑制剤、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制剤、及び肌の透明感向上剤 Download PDFInfo
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Description
ところが、紫外線(UV−A、UV−B)の照射、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄、過酸化水素との接触等の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、コラーゲン等の細胞外マトリックスの産生量が減少すると共に、架橋による弾力低下を起こす。その結果、皮膚は保湿機能や弾力性が低下し、角質は異常剥離を始めるため、肌は張りや艶を失い、荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。
このように皮膚の老化に伴う変化、即ち、シワ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等には、コラーゲン等の真皮マトリックス成分の減少乃至変性が関与していることが知られている。
コラーゲンの中でもI型コラーゲンは、最も多く体内に含まれるコラーゲンであり、皮膚の真皮にも多く含まれ、皮膚の強さを生み出す役割を果たしていることが知られている。
このように皮膚においてグルタチオンの産生を促進することは、加齢により衰える酸化ストレスの防御を高め、かつ紫外線による酸化ストレスに対する傷害を抑制することにつながり、皮膚の老化の予防、治療、あるいはシミ等の色素沈着に対する改善が期待できると考えられる。そこで、グルタチオン産生促進作用を有するものとして、例えばビルベリー抽出物又はウォルナット抽出物(特許文献1参照)、クチナシ属植物の抽出物(特許文
献2参照)、などが開示されている。
近年、このフィラグリンが皮膚の水分保持に非常に重要かつ必要不可欠であること、及び乾燥などの条件によってフィラグリンの合成力が低下し、角質層におけるアミノ酸量が低下することが報告されている(非特許文献2参照)。
従って、表皮ケラチノサイトにおいてプロフィラグリンmRNAの発現促進を通じて、フィラグリンの合成を促進することによって角質層内のアミノ酸量を増大させ、角質層の水分環境を本質的に改善できることが期待される。
このため、フィラグリン合成促進剤としては、例えば、カンゾウ抽出物(特許文献3参照)、天然植物中に含まれるフラバノン配糖体として知られるリクイリチン(特許文献4参照)、プロフィラグリン及びフィラグリン蛋白産生促進剤の少なくともいずれかとして、Citrus属に属する植物エキス又は酵母エキス(特許文献5参照)、などが提案されている。
そのため、bFGFの異常産生は、色素細胞の異常増殖につながり、メラニン産生を亢進させ、シミ、ソバカス、くすみ等の原因となると考えられる。
したがって、bFGFの発現上昇を抑制することは、色素細胞の増殖を抑制し、皮膚におけるメラニンの過剰産生を抑制し、日焼け後の色素沈着、シミ、ソバカス等の予防又は抑制に有用であると考えられる。
したがって、タンパク質のカルボニル化を抑制することは、肌の透明感の向上に有用であると考えられる。
また、本発明は、第2に、優れたアデノシン三リン酸産生促進作用を有し、かつ安全性の高いアデノシン三リン酸産生促進剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、第3に、優れたグルタチオン産生促進作用を有し、かつ安全性の高いグルタチオン産生促進剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、第4に、優れたフィラグリン産生促進作用を有し、かつ安全性の高いフィラグリン産生促進剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、第5に、優れたメラニン産生抑制作用を有し、かつ安全性の高いメラニン産生抑制剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、第6に、優れた塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制作用を有し、かつ安全性の高い塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、第7に、優れた肌の透明感向上作用を有し、かつ安全性の高い肌の透明感向上剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、第8に、優れたタンパク質のカルボニル化抑制作用を有し、かつ安全性の高いタンパク質のカルボニル化抑制剤を提供することを目的とする。
<1> マタタビ(Actinidia polygama)の抽出物を含有することを特徴とするI型コラーゲン産生促進剤である。
<2> マタタビ(Actinidia polygama)の抽出物を含有することを特徴とするアデノシン三リン酸産生促進剤である。
<3> マタタビ(Actinidia polygama)の抽出物を含有することを特徴とするグルタチオン産生促進剤である。
<4> マタタビ(Actinidia polygama)の抽出物を含有することを特徴とするフィラグリン産生促進剤である。
<5> マタタビ(Actinidia polygama)の抽出物を含有することを特徴とするメラニン産生抑制剤である。
<6> マタタビ(Actinidia polygama)の抽出物を含有することを特徴とする塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制剤である。
<7> マタタビ(Actinidia polygama)の抽出物を含有することを特徴とする肌の透明感向上剤である。
<8> タンパク質のカルボニル化抑制作用を有する前記<7>に記載の肌の透明感向上剤である。
<9> マタタビ(Actinidia polygama)の抽出物を含有することを特徴とするタンパク質のカルボニル化抑制剤である。
即ち、本発明によると、第1に、優れたI型コラーゲン産生促進作用を有し、かつ安全性の高いI型コラーゲン産生促進剤を提供することができる。
また、本発明によると、第2に、優れたアデノシン三リン酸産生促進作用を有し、かつ安全性の高いアデノシン三リン酸産生促進剤を提供することができる。
また、本発明によると、第3に、優れたグルタチオン産生促進作用を有し、かつ安全性の高いグルタチオン産生促進剤を提供することができる。
また、本発明によると、第4に、優れたフィラグリン産生促進作用を有し、かつ安全性の高いフィラグリン産生促進剤を提供することができる。
また、本発明によると、第5に、優れたメラニン産生抑制作用を有し、かつ安全性の高いメラニン産生抑制剤を提供することができる。
また、本発明によると、第6に、優れた塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制作用を有し、かつ安全性の高い塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制剤を提供することができる。
また、本発明によると、第7に、優れた肌の透明感向上作用を有し、かつ安全性の高い肌の透明感向上剤を提供することができる。
また、本発明によると、第8に、優れたタンパク質のカルボニル化抑制作用を有し、かつ安全性の高いタンパク質のカルボニル化抑制剤を提供することができる。
本発明のI型コラーゲン産生促進剤、アデノシン三リン酸産生促進剤、グルタチオン産生促進剤、フィラグリン産生促進剤、メラニン産生抑制剤、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制剤、肌の透明感向上剤、及びタンパク質のカルボニル化抑制剤は、マタタビ(Actinidia polygama)の抽出物を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記マタタビの抽出物が含有する、前記各作用(I型コラーゲン産生促進作用、アデノシン三リン酸産生促進作用、グルタチオン産生促進作用、フィラグリン産生促進作用、メラニン産生抑制作用、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制作用、肌の透明感向上作用、及びタンパク質のカルボニル化抑制作用)を発揮する物質の詳細については不明であるが、前記マタタビの抽出物がこのような優れた作用を有することは、従来には知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
抽出原料として使用する前記マタタビの部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根、根茎、根皮、これらの混合物などが挙げられ、これらの中でも、果実が好ましい。
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽内に、前記抽出原料を投入し、更に必要に応じて時々攪拌しながら、30分〜4時間静置して可溶性成分を溶出した後、ろ過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物を得ることができる。抽出溶媒量は通常、抽出原料の5倍量〜15倍量(質量比)である。抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50℃〜95℃にて1時間〜4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40℃〜80℃にて30分間〜4時間程度である。なお、溶媒で抽出することにより得られる抽出液は、抽出溶媒が安全性の高いものであれば、そのまま本発明のI型コラーゲン産生促進剤、アデノシン三リン酸産生促進剤、グルタチオン産生促進剤、フィラグリン産生促進剤、メラニン産生抑制剤、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制剤、肌の透明感向上剤、及びタンパク質のカルボニル化抑制剤の有効成分として用いることができる。
また、前記I型コラーゲン産生促進剤、アデノシン三リン酸産生促進剤、グルタチオン産生促進剤、フィラグリン産生促進剤、メラニン産生抑制剤、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制剤、肌の透明感向上剤、及びタンパク質のカルボニル化抑制剤は、前記その他の成分として、I型コラーゲン産生促進作用、アデノシン三リン酸産生促進作用、グルタチオン産生促進作用、フィラグリン産生促進作用、メラニン産生抑制作用、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制作用、肌の透明感向上作用、及びタンパク質のカルボニル化抑制作用を有する、前記マタタビの抽出物以外の天然抽出物等を含んでいてもよい。前記I型コラーゲン産生促進剤、アデノシン三リン酸産生促進剤、グルタチオン産生促進剤、フィラグリン産生促進剤、メラニン産生抑制剤、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制剤、肌の透明感向上剤、及びタンパク質のカルボニル化抑制剤中の前記その他の成分の含有量にも、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アデノシン三リン酸産生促進剤は、有効成分として含有されるマタタビの抽出物の作用により、アデノシン三リン酸産生促進作用を発揮する。
前記グルタチオン産生促進剤は、有効成分として含有されるマタタビの抽出物の作用により、グルタチオン産生促進作用を発揮する。
前記フィラグリン産生促進剤は、有効成分として含有されるマタタビの抽出物の作用により、フィラグリン産生促進作用を発揮する。
前記メラニン産生抑制剤は、有効成分として含有されるマタタビの抽出物の作用により、メラニン産生抑制作用を発揮する。
前記塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制剤は、有効成分として含有されるマタタビの抽出物の作用により、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制作用を発揮する。
前記肌の透明感向上剤は、有効成分として含有されるマタタビの抽出物の作用により、肌の透明感向上作用を発揮する。
前記タンパク質のカルボニル化抑制剤は、有効成分として含有されるマタタビの抽出物の作用により、タンパク質のカルボニル化抑制作用を発揮する。
本発明の肌の透明感向上剤が有する肌の透明感向上作用は、例えば、角層タンパク質のカルボニル化抑制作用に基づいて発揮される。
なお、肌の透明感向上作用とは、肌の透明感が低下した状態(悪い状態)をより優れた状態(平常状態、又は平常状態より良い状態)とすること、平常状態をより優れた状態とすることのいずれも含む。
マタタビの果実(乾燥物)200gに、質量比で10倍量の水を加え、還流抽出器で80℃で2時間抽出し、熱時ろ過した。次いで、ろ液を減圧濃縮し、その後凍結乾燥して、マタタビの水抽出物(凍結乾燥品)を得た。なお、得られたマタタビの水抽出物の抽出率は、26.4%であった。
マタタビの果実(乾燥物)200gに、質量比で10倍量の30質量%エタノールを加え、還流抽出器で80℃で2時間抽出し、熱時ろ過した。次いで、ろ液を減圧濃縮し、その後凍結乾燥して、マタタビの30質量%エタノール抽出物(凍結乾燥品)を得た。なお、得られたマタタビの30質量%エタノール抽出物の抽出率は、21.2%であった。
マタタビの果実(乾燥物)200gに、質量比で10倍量の80質量%エタノールを加え、還流抽出器で80℃で2時間抽出し、熱時ろ過した。次いで、ろ液を減圧濃縮し、その後凍結乾燥して、マタタビの80質量%エタノール抽出物(凍結乾燥品)を得た。なお、得られたマタタビの80質量%エタノール抽出物の抽出率は、17.6%であった。
前記製造例1〜3のマタタビの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、I型コラーゲン産生促進作用を試験した。
I型コラーゲン産生促進率は、標準品を用いて上記ELISAを行い、検量線を作成し、試料無添加時のI型コラーゲン産生量を100%として算出した。各試料のI型コラーゲン産生促進率(%)を表1に示す。なお、I型コラーゲン産生促進率の計算方法は以下のとおりである。
I型コラーゲン産生促進率(%)=A/B×100
ただし、前記式中、Aは被験試料添加時のI型コラーゲン量、Bは被験試料無添加時のI型コラーゲン量を表す。
前記製造例1〜3のマタタビの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、ATP産生促進作用を試験した。
ATP産生促進率の計算方法は以下のとおりである。
ATP産生促進率(%)=A/B×100
ただし、前記式中、Aは被験試料を添加した細胞での化学発光量、Bは被験試料を添加しない細胞での化学発光量を表す。
前記製造例1〜3のマタタビの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、グルタチオン産生促進作用を試験した。
前記溶解したうちの100μLを用いて、総グルタチオンの定量を行った。即ち、96穴プレートに溶解した細胞抽出液 100μL、0.1Mリン酸緩衝液 50μL、2mM NADPH 25μL、及びグルタチオンレダクターゼ 25μL(終濃度 17.5unit/mL)を加え、37℃で10分間加温した。次いで、10mM 5,5’−dithiobis(2−nitrobenzoic acid) 25μLを加え、5分後までの波長412nmにおける吸光度(OD)を測定し、ΔOD/minを求めた。総グルタチオン濃度は、酸化型グルタチオンを用いて作成した検量線をもとに算出した。得られた値は、総タンパク量当たりのグルタチオン量に補正した後、下記の式に従い、グルタチオン産生促進率を算出した。結果を表3に示す。
グルタチオン産生促進率(%)=B/A×100
ただし、前記式中、Aは被験試料を添加しない細胞中における総タンパク量当たりのグルタチオン量(対照)、Bは被験試料を添加した細胞中における総タンパク量当たりのグルタチオン量を表す。
前記製造例1〜3のマタタビの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、グルタチオン産生促進作用を試験した。
前記溶解したうちの100μLを用いて、総グルタチオンの定量を行った。即ち、96穴プレートに溶解した細胞抽出液 100μL、0.1Mリン酸緩衝液 50μL、2mM NADPH 25μL、及びグルタチオンレダクターゼ 25μL(終濃度 17.5unit/mL)を加え、37℃で10分間加温した。次いで、10mM 5,5’−dithiobis(2−nitrobenzoic acid) 25μLを加え、5分後までの波長412nmにおける吸光度(OD)を測定し、ΔOD/minを求めた。総グルタチオン濃度は、酸化型グルタチオンを用いて作成した検量線をもとに算出した。得られた値は、総タンパク量当たりのグルタチオン量に補正した後、下記の式に従い、グルタチオン産生促進率を算出した。結果を表4に示す。
グルタチオン産生促進率(%)=B/A×100
ただし、前記式中、Aは被験試料を添加しない細胞中における総タンパク量当たりのグルタチオン量(対照)、Bは被験試料を添加した細胞中における総タンパク量当たりのグルタチオン量を表す。
前記製造例1〜3のマタタビの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、フィラグリン産生促進作用を試験した。
<ウエスタンブロッティング>
10μg/列に調製したサンプルをSDS−PAGEにより展開し、PVDF膜に転写した。5%スキムミルクを含むPBS(−)でブロッキングを行った後、抗ヒトフィラグリンモノクローナル抗体(Harbor Bio−Products社製)、ビオチン標識抗マウスIg(Whole Ab,Amersham Biosciences社製)、及びストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ複合体(CALBIOCHEM社製)を、0.1%Tween20、0.3%スキムミルクを含むPBS(−)で1,000倍に希釈して順次反応させ、ECL Western blotting detection reagents and analysis system(Amersham Biosciences社製)の発光により、プロフィラグリン及びフィラグリンを検出した。検出したバンドをKODAK 1D Image Analysis Software EDAS290 Version3.5にて定量的に測定した。
結果は、被験試料添加及び無添加で培養した細胞のそれぞれから調製したタンパク10μg中のプロフィラグリン及びフィラグリンのNet intensity(バンド強度)を合算した値を用いて、被験試料のフィラグリン産生促進作用を評価し、プロフィラグリン・フィラグリン産生促進率(%)を下記式に基づいて算出した。結果を表5に示す。
プロフィラグリン・フィラグリン産生促進率(%)=A/B×100
ただし、前記式中、Aは「被験試料添加時のNet intensity(プロフィラグリン及びフィラグリンの合計値)」を、Bは「被験試料無添加時(コントロール)のNet intensity」を表す。
前記製造例1〜3のマタタビの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、メラニン産生抑制作用を試験した。
また、細胞生存率の測定のため、同様に培養後、400μLのPBS(−)で洗浄し、終濃度0.05mg/mLで10質量%FBS含有のダルベッコMEM培地に溶解したニュートラルレッドを各穴に200μL添加した。37℃、5%CO2下で2.5時間培養した後、ニュートラルレッド溶液を捨て、エタノール・酢酸溶液(エタノール:酢酸:水=50:1:49)を各穴に200μL添加し、色素を抽出した。抽出後、波長540nmにおける吸光度を測定した。
空試験として、10質量%FBS及び1mmol/L テオフィリン含有のダルベッコMEM培地のみで培養した細胞を同様の方法で試験した。
結果を表6に示す。なお、メラニン産生抑制作用、及び細胞生存率の計算方法は以下のとおりである。
メラニン産生抑制率(%)={1−(B/D)/(A/C)}×100
細胞生存率(%)=(D/C)×100
ただし、前記式中、Aは被験試料無添加での475nmにおける吸光度、Bは被験試料添加での475nmにおける吸光度、Cは被験試料無添加での540nmにおける吸光度、Dは被験試料添加での540nmにおける吸光度を表す。
前記製造例1〜3のマタタビの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制作用を試験した。
次に、EpiLife−KG2を用いて35mmシャーレ(FALCON社製)に40×104cells/2mL/シャーレずつ播き、37℃、5%CO2下で一晩培養した。24時間後に培養液を捨て、HEPES緩衝液1mLを加え、UV−B照射(50mJ/cm2)を行い、その後、EpiLife−KG2で必要濃度に溶解した被験試料(試料濃度:1μg/mL、10μg/mL)を各シャーレに2mLずつ添加し、37℃、5%CO2下で24時間培養した。培養後、培養液を捨て、ISOGEN(NIPPON GENE社製;Cat.No.311−02501)にてtotal RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、200ng/μLになるようにtotal RNAを調製した。
このtotal RNAを鋳型とし、bFGF(basic Fibroblast Growth Factor;塩基性線維芽細胞増殖因子)、及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出はリアルタイムPCR装置(Smart Cycler(R)、Cepheid社製)を用いて、Takara SYBR(R) PrimeScriptTM RT−PCR Kit(Perfect Real Time、code No.RR063A)によるリアルタイム 2 Step RT−PCR反応により行った。
bFGFのmRNAの発現量は、「紫外線未照射、被験試料無添加」、「紫外線照射、被験試料無添加」、及び「紫外線照射、被験試料添加」でそれぞれ培養した細胞から調製した総RNA標品を基にして、GAPDHの値で補正値を求め、更に「紫外線未照射、被験試料無添加」の補正値を100とした時の「紫外線照射、被験試料無添加」、及び「紫外線照射、被験試料添加」の補正値を算出した。結果を表7に示す。
なお、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制率の計算方法は、以下の通りである。
塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制率(%)
={(A−B)−(A−C)}/(A−B)×100
ただし、前記式中、Aは「紫外線未照射、被験試料無添加」時の補正値、Bは「紫外線照射、被験試料無添加」時の補正値、Cは「紫外線照射、被験試料添加」時の補正値をそれぞれ表す。
前記製造例2のマタタビの抽出物を被験試料として用い、下記の試験方法により、角層タンパク質のカルボニル化抑制作用を試験した。
前記カルボニル化処理によりカルボニル化された角層タンパク質のカルボニル基を、20μmol/L蛍光ヒドラジド(fluorescein−5−thiosemicarbazide、AnaSpec社製)、0.1mol/L 2−morpholinoethane sulfonic acid−Na(pH5.5)緩衝溶液に浸漬してラベル化した。
観察画像を解析し(撮影装置:蛍光顕微鏡オリンパスIX71、オリンパス社製、解析ソフト:ImageJ、National Institute of Health社製)、角層面積あたりの蛍光輝度をカルボニル化レベルとした。
空試験として、20μmol/L次亜塩素酸ナトリウム(和光純薬社製)水溶液のみを同様の方法で試験した。
角層タンパク質のカルボニル化抑制率は、「次亜塩素酸無し、被験試料無添加」時の蛍光輝度を100%として算出した。結果を表8に示す。なお、角層タンパク質のカルボニル化抑制率の計算方法は、以下の通りである。
角層タンパク質のカルボニル化抑制率(%)={(A−B)/(A−C)}×100
ただし、前記式中、Aは「次亜塩素酸有り、被験試料無添加」時の蛍光輝度、Bは「次亜塩素酸有り、被験試料添加」時の蛍光輝度、Cは「次亜塩素酸無し、被験試料無添加」時の蛍光輝度をそれぞれ表す。
Claims (6)
- マタタビ(Actinidia polygama)の抽出物を含有するI型コラーゲン産生促進剤であって、該抽出物は、抽出溶媒として水を用いた場合には、50℃〜95℃の抽出条件で抽出されたものであり、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、40℃〜80℃の抽出条件で抽出されたものであることを特徴とするI型コラーゲン産生促進剤。
- マタタビ(Actinidia polygama)の抽出物を含有するアデノシン三リン酸産生促進剤であって、該抽出物は、抽出溶媒として水を用いた場合には、50℃〜95℃の抽出条件で抽出されたものであり、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、40℃〜80℃の抽出条件で抽出されたものであることを特徴とするアデノシン三リン酸産生促進剤。
- マタタビ(Actinidia polygama)の抽出物を含有するフィラグリン産生促進剤であって、該抽出物は、抽出溶媒として水を用いた場合には、50℃〜95℃の抽出条件で抽出されたものであり、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、40℃〜80℃の抽出条件で抽出されたものであることを特徴とするフィラグリン産生促進剤。
- マタタビ(Actinidia polygama)の抽出物を含有するメラニン産生抑制剤であって、該抽出物は、抽出溶媒として水を用いた場合には、50℃〜95℃の抽出条件で抽出されたものであり、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、40℃〜80℃の抽出条件で抽出されたものであることを特徴とするメラニン産生抑制剤。
- マタタビ(Actinidia polygama)の抽出物を含有する塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制剤であって、該抽出物は、抽出溶媒として水を用いた場合には、50℃〜95℃の抽出条件で抽出されたものであり、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、40℃〜80℃の抽出条件で抽出されたものであることを特徴とする塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)mRNA発現抑制剤。
- マタタビ(Actinidia polygama)の抽出物を含有する肌の透明感向上剤であって、該抽出物は、抽出溶媒として水を用いた場合には、50℃〜95℃の抽出条件で抽出されたものであり、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、40℃〜80℃の抽出条件で抽出されたものであることを特徴とすることを特徴とする肌の透明感向上剤。
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