JP5566571B2 - 排水ソケット - Google Patents

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Description

本発明は、上部に便器の排水口が接続され、下部が排水管に挿着されて床面に固定される排水ソケットに関するものである。
従来、特許文献1に開示されているように、上部の流入口側に便器の排水口が接続され、下部の流出口側が、床面に埋設された排水管に挿着されて床面に固定され、流出口側にサイホン起動用の絞り部が形成されてなる排水ソケットが存在する。
特開2000−328633号公報
従来、少ない水で便器から汚物を良好に排出するためには、(A)排水を早く溜めてサイホンの起動速度を高めること、(B)溜まる水の水頭圧を向上させてサイホン力を高めること、(C)排水をスムーズに抜けさせてサイホン流速を高めるといった3つのサイホン作用を高めることが考えられる。
例えば、上記従来技術の排水ソケットの構造のように、サイホンを起動させるため流出口側にサイホン起動用の絞り部を形成した場合には、絞り部の下流側では排水が飛び散り、排水がスムーズに抜け難く、サイホン流速は速くならないという問題点があった。
一方、絞り部を小さくすれば、排水がスムーズに抜けサイホン流速が速くなるが、サイホンの起動速度が遅くなるという問題がある。
このように、サイホンの起動速度、サイホン力、サイホン流速の3つのサイホン作用は相反する作用である。即ち、絞り部を大きくすればサイホンの起動速度を高めることができるが、絞り部の下流側へ排水がスムーズに抜け難くなり、サイホン流速が遅くなるという問題があった。また、絞り部の位置を下方にして溜まる水の水頭圧を向上させてサイホン力を高めようとすると、排水が早く溜まらずサイホンの起動速度が遅くなるという問題があり、絞り部を小さくすれば排水をスムーズに抜けさせてサイホン流速を高めることができるが、排水が早く溜まらずサイホンの起動速度が弱まるという問題があった。
そのため、上記3つのサイホン作用を他のサイホン作用を損なうことなく向上させて、少ない水で汚物を排出することのできる排水ソケットの出現が望まれていた。
本発明は、少ない水で汚物を良好に排出することのできる排水ソケットを提供することを目的とし、この目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明の排水ソケットは、上部の流入口側に便器の排水口が接続され、下部の流出口側が排水管に挿着されて床面に固定されるとともに、前記流出口側には、サイホン起動用の絞り部が形成されてなる排水ソケットにおいて、
前記絞り部の下流に、前記排水管の径より小径のガイド流路を前記床面に対し傾斜させて前記絞り部から下方に連続形成させ、前記絞り部の下方に連続形成される前記ガイド流路は、前記ガイド流路内を流れる水が前記ガイド流路の内壁面に当たって抵抗が生じる曲面形状としたことを要旨とする。
本発明では、絞り部の下流にガイド流路を設け、このガイド流路は、排水管の径より小径で床面に対し傾斜させて絞り部から下方に連続形成させたものであるため、絞り部でサイホンが起こった後に、ガイド流路を通り排水がスムーズに抜けて、サイホン流速が速くなる効果を有し、また、ガイド流路は床面に対し傾いているため、ガイド流路内で排水が流路内壁面に当たって抵抗が生じ、この抵抗により、絞り部よりも下流側でサイホンを起こすことができ、そのため水頭圧が上がり、サイホン力が向上するものとなる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、第1実施例の排水ソケットの縦断面拡大構成図である。
排水ソケット1は、その本体部2の上部に、上面が開放されたお椀状に接続椀部2aが一体形成されており、本体部2の下端側には、外側へ突出して排水管固定部2bが一体形成されている。
この本体部2の下端側には、円筒部材3が接着剤で接着されて一体化されており、円筒部材3の下部は、下方へ垂下状に延びる排水管差込部3aとなっており、さらに排水管差込部3aから下方へ向かって連続してガイド部3bが垂下状に一体形成されている。
前記接続椀部2aの上面側には、ゴムパッキン7が嵌め込まれており、このゴムパッキン7内に、上方より大便器の排水口8が差し込まれて、水密状に大便器の排水口8が排水ソケット1に接続されるものである。
また、排水ソケット1は、排水管固定部2bにボルト等を締め付けて床面Fに固定されるものであり、床面Fに埋設状に立ち上げられている排水管9に対し、排水管9内に排水管差込部3aを挿着させて排水ソケット1の下部が排水管9に接続されるものである。
排水ソケット1の本体部2内には偏心流路4が形成されており、この偏心流路4の上端の流入口4aに対し、偏心流路4の下端の流出口4bは、その中心が図示左方向にずれて偏心されている。
また、偏心流路4の内壁は緩やかに傾斜して、その上部部位には図示右側から左側に向かって上方から下方に下傾する傾斜状の排水受け面4cが形成されており、この排水受け面4cから下方に連続して、ほぼ垂直に排水案内面4dが偏心流路4内に形成されている。また、排水案内面4dの下端側、即ち流出口4b側はラッパ状に拡径されている。
この流出口4bの下方に、排水管差込部3aの下端が配置されており、排水管差込部3aの下端に、内径を狭めたオリフィス状の絞り部5が形成され、この絞り部5から垂下状にガイド部3bが連続して一体形成されて、ガイド部3b内のガイド流路6は、上方から下方に向かって図示右側へ傾いた曲面形状に形成されている。
なお、絞り部5の上面に、床面Fに平行なリング状の受け面5a,受け面5bが形成されており、この受け面5a,5bに排水が当たるものである。
このように、排水ソケット1の本体部2内に形成されている偏心流路4は、上方から下方へ向かって図示左側方向に偏心されており、流入口4aと流出口4bの中心を結ぶ中心軸線Pは左側へ傾いており、また本例では、その下方のガイド流路6の中心軸線P1は、偏心流路4の中心軸線Pに対し交差するように右側へ傾いたものとなっている。
次に、このような排水ソケット1内での排水の流れを説明する。
大便器の排水口8を通り、汚物とともに排水が排水ソケット1の偏心流路4内に流れ落ちてくるが、最初は排水の流速は遅く、排水は偏心流路4の内周面である排水受け面4cに当たり、この排水受け面4cから排水案内面4dに沿って流下する。即ち、最初は図中aで示す矢印の流れで排水は流下する。この流下する排水は、絞り部5の受け面5a,5bに当たり、受け面5a,5bの上方に排水が溜まり、偏心流路4内が排水で満たされることでサイホンが起動することとなる。
即ち、最初は図中aで示す矢印の流れで排水は流下するが、サイホン起動後は、排水の流速は高まり、図中bで示すように偏心流路4の偏心方向に傾斜して排水が流れ、偏心流路4内を排水で満たされた状態で、偏心方向に曲げられながら流れてゆくこととなり、排水はガイド流路6の内壁に図中cで示すような流れで当たり、ここで若干の抵抗が生じて、絞り部5よりも下方のガイド流路6内でもサイホンが起こることとなる。
これにより、ガイド流路6から上方の排水の高さ、即ち水頭圧が上がり、これにより従来よりもサイホン力が向上することとなる。
また、排水はガイド流路6に沿って下流側へ排水されるため、排水が絞り部5の下方で飛び散って乱れることが少なくなり、そのぶんサイホン流速が速くなり、排水をスムーズに抜くことができるものとなる。
なお、絞り部5の高さ位置は従来と同じに設定しておけば、絞り部5よりも上方に溜まる排水の体積は従来の排水ソケットと同じであるため、サイホン起動速度は従来と同じにすることができ、本例では、さらに、水頭圧を上げてサイホン力を高めることができ、また、絞り部5の下流において排水を良好にガイド流路6でガイドしてスムーズに抜けさせ、サイホン流速を速めることができるものとなる。このため、少ない水でも良好に汚物を排水することができるものとなる。
なお、排水ソケット1の本体部2内が偏心のないほぼ垂直な流路である場合でも、ガイド流路6を床面Fに対し傾かせておけば、傾いたガイド流路6内で排水は抵抗を受け、絞り部5よりも下流側でサイホンを起こすことができ、水頭圧を上げてサイホン力を高めることができるものとなる。
また、ガイド流路6内を通し排水をスムーズに抜けさせて、サイホン流速を速めることができるものとなる。
次に、図2は第1実施例の変更例を示すものである。
図2では、絞り部5よりも下流側のガイド部3b内に形成されたガイド流路6を、上方から下方側に向かって図示左方向に中心軸線P1を偏心させて形成したものである。
即ち、図2では、ガイド流路6の中心軸線P1の傾き方向は、排水ソケット1の本体部2内の偏心流路4の中心軸線Pと同方向にされ、ガイド流路6の傾き方向が排水ソケット1の偏心流路4の偏心方向と同じに設定されたものである。その他の構成は、図1のものと同様である。
このように構成した場合は、ガイド流路6内を流れ落ちる排水の抵抗が図1のものよりも小さくなり、サイホン流速の低下を防ぐことができるものとなる。そのため、図1のものよりも絞り部5の下方での水の飛び散りなどの乱れを少なくして、排水をスムーズに抜けさせることができるものとなる。
即ち、偏心流路4内で偏心方向に排水が曲げられて、排水は床面に垂直な方向に落ちずに偏心方向に向かって落ちてゆくため、偏心流路4の偏心方向とガイド流路6の傾き方向が同じであれば、ガイド流路6内をスムーズに排水が通過することとなる。
なお、この場合でも、ガイド流路6内で若干の抵抗を受けて絞り部5の下方でサイホンを起こすことができ、水頭圧を上げてサイホン力を従来よりも高めることができるものである。
次に、図3では、本発明の第2実施例を説明する。
排水ソケット1は、その本体部2の上部に、上面が開放されたお椀状に接続椀部2aが一体形成されており、本体部2の下端側には、外側へ突出して排水管固定部2bが一体形成されている。
この本体部2の下端側には、円筒部材3が接着剤で接着されて一体化されており、円筒部材3の下部は、下方へ垂下状に延びる排水管差込部3aとなっている。
前記接続椀部2aの上面側には、ゴムパッキン7が嵌め込まれており、このゴムパッキン7内に、上方より大便器の排水口8が差し込まれて、水密状に大便器の排水口8が排水ソケット1に接続されるものである。
また、排水ソケット1は、排水管固定部2bにボルト等を締め付けて床面Fに固定されるものであり、床面Fに埋設状に立ち上げられている排水管9に対し、排水管9内に排水管差込部3aを挿着させて排水ソケット1の下部が排水管9に接続されるものである。
排水ソケット1の本体部2内には偏心流路4が形成されており、この偏心流路4の上端の流入口4aに対し、偏心流路4の下端の流出口4bは、その中心が図示左方向にずれて偏心されている。
また、偏心流路4の内壁は緩やかに傾斜して、その上部部位には図示右側から左側に向かって上方から下方に下傾する傾斜状の排水受け面4cが形成されており、この排水受け面4cから下方に連続して、ほぼ垂直に排水案内面4dが偏心流路4内に形成されている。また、排水案内面4dの下端側、即ち流出口4b側はラッパ状に拡径されている。
この流出口4bの下方に、排水管差込部3aの下端が配置されており、排水管差込部3aの下端に、内径を狭めたオリフィス状の絞り部5が形成され、この絞り部5は、排水ソケット1の流入口4aから流出口4bに向かって流下する排水に対して略垂直となる方向に傾けられて形成されている。即ち、絞り部5の左側の受け面5aよりも右側の受け面5bは低い位置となっており、偏心流路4の流入口4aと流出口4bの中心を結ぶ中心軸線Pが、絞り部5の受け面5aと受け面5bを結ぶ面に対し略垂直となるように設定されており、絞り部5は床面Fに対して図示左側から右側に向かって下傾した傾きとなっている。
次に、第2実施例の排水の流れを説明する。
大便器の排水口8から汚物とともに排水ソケット1の偏心流路4内に流入される排水は、最初は流速が遅いため偏心流路4の排水受け面4cに当たり、排水案内面4dに沿って図中aで示す方向に流下して、絞り部5の受け面5a,5bに当たり、排水が偏心流路4内に溜められてサイホンが起動されることとなる。サイホン起動後は流速が速く、偏心流路内を排水で満たされた状態で、図中bで示す方向、即ち偏心流路4の偏心方向に排水が曲げられながら流れてゆく。
ここで絞り部5は、流入口4aから流出口4bに向かって流下する排水に対して略垂直となる方向に傾けられているため、排水の流れに対して絞り部5の受け面5a,5bを確保したまま絞り部5内の流路を広げることができ、流れ落ちる排水の抵抗を少なくすることができるものとなり、そのためサイホン起動後の排水の抜けがスムーズとなり、サイホン流速を速くすることができるものとなる。
なお、絞り部5の高さ位置は従来と同じに設定しておけば、絞り部5よりも上方に溜まる排水の体積は従来の排水ソケットと同じであるため、サイホン起動速度は従来と同じにすることができ、本例では、さらに、サイホン起動後の排水の抜けを従来よりも速くすることができるものとなる。
次に、図4には第3実施例の排水ソケットを示し、また図5では、図4のA−A線断面図を示す。
排水ソケット1は、その本体部2の上部に、上面が開放されたお椀状に接続椀部2aが一体形成されており、本体部2の下端側には、外側へ突出して排水管固定部2bが一体形成されている。
この本体部2の下端側には、円筒部材3が接着剤で接着されて一体化されており、円筒部材3の下部は、下方へ垂下状に延びる排水管差込部3aとなっている。
前記接続椀部2aの上面側には、ゴムパッキン7が嵌め込まれており、このゴムパッキン7内に、上方より大便器の排水口8が差し込まれて、水密状に大便器の排水口8が排水ソケット1に接続されるものである。
また、排水ソケット1は、排水管固定部2bにボルト等を締め付けて床面Fに固定されるものであり、床面Fに埋設状に立ち上げられている排水管9に対し、排水管9内に排水管差込部3aを挿着させて排水ソケット1の下部が排水管9に接続されるものである。
排水ソケット1の本体部2内には偏心流路4が形成されており、この偏心流路4の上端の流入口4aに対し、偏心流路4の下端の流出口4bは、その中心が図示左方向にずれて偏心されている。
また、偏心流路4の内壁は緩やかに傾斜して、その上部部位には図示右側から左側に向かって上方から下方に下傾する傾斜状の排水受け面4cが形成されており、この排水受け面4cから下方に連続して、ほぼ垂直に排水案内面4dが偏心流路4内に形成されている。また、排水案内面4dの下端側、即ち流出口4b側はラッパ状に拡径されている。
この流出口4bの下方に、排水管差込部3aの下端が配置されており、排水管差込部3aの下端に、内径を狭めたオリフィス状の絞り部5が形成され、絞り部5は、図示左側の受け面5aの面積が狭く、図示右側の受け面5bの面積が広く設定されている。即ち、絞り部5の中心軸は従来よりも図示左方向に偏心した位置に設定されており、偏心流路4の偏心方向と同じ方向に絞り部5が偏心されている。即ち、流出口4b手前における流路の傾き方向と同じ方向に絞り部5が偏心されている。
次に、第3実施例における排水の流れを説明する。
大便器の排水口8から汚物とともに偏心流路4内に流入される排水は、サイホンが起こる前は流速が遅いために、偏心流路4内の排水受け面4cに排水が当たり、排水はほぼ垂直な排水案内面4dに沿って図中aで示す方向に流下し、絞り部5の右側の受け面5bに当たる。この右側の受け面5bの面積は従来のものよりも大であるために排水が溜まりやすく、良好に上方の偏心流路4内に排水を溜めてサイホンを起動させることができるものとなる。
サイホン起動後には排水の流速は速く、偏心流路4内を排水で満たされた状態で、偏心流路4の偏心方向に排水が曲げられながら、図中bの矢印で示す方向に排水は流れてゆくこととなる。
このように本例の構造では、右側の絞り部5の受け面5bの面積が広いために、速く排水を溜めてサイホンの起動を速めることができ、しかも、絞り部5の受け面5a,5b全体の面積と絞り部5の流路の面積は従来の排水ソケットと同じであるため、サイホン後のサイホン流速を従来と同じにできるものとなる。
なお、図6は第3実施例の変更例を示すものである。
図6の排水ソケット1は、本体部が本体上部2Aと本体下部2Bに分割されており、本体下部2Bの上端に本体上部2Aの下部が接続部Bで接続されて一体化されたものであり、本体上部2Aと本体下部2B内に偏心流路4が形成されており、この偏心流路4は、上端の流入口4aから接続部B間では図示左側へ曲げられて形成され、接続部Bから下端の流出口4b間では図示右側へ曲げられて、偏心流路4は略S字状に曲げられた流路となっている。
また、本例では、流出口4bの位置に絞り部5が形成されており、この絞り部5は中心が図示右側へ偏心されて形成されており、左側の受け面5bの面積が広く、右側の受け面5bの面積が狭く設定されている。
このような構成では、サイホン起動前は排水の流速が遅いために、流入口4aから偏心流路4内に流下する排水は排水受け面4cに当たり、この排水受け面4cに沿って矢印aのように流下して、広い面積の絞り部5の受け面5aに当たり、広い面積の受け面5aで排水を受け止めて排水流路4内に早く水を溜めることができ、サイホンの起動速度を高めることができるものとなる。
また、サイホン起動後は、偏心流路4が排水で満たされた状態で排水が偏心流路4の曲がりに沿って曲げられながら矢印bの方向に流下し、流出口4bから流下する排水の流れ方向は右側に傾いた方向となる。即ち、本体下部2Bの内側に湾曲状に形成されている排水受け面4eに沿って右方向に排水が流下されるものである。
図7は、第4実施例の排水ソケットを示す。
排水ソケット1は、その本体部2の上部に、上面が開放されたお椀状に接続椀部2aが一体形成されており、本体部2の下端側には、外側へ突出して排水管固定部2bが一体形成されている。
この本体部2の下端側には、円筒部材3が接着剤で接着されて一体化されており、円筒部材3の下部は、下方へ垂下状に延びる排水管差込部3aとなっており、さらに排水管差込部3aから下方へ向かって連続してガイド部3bが垂下状に一体形成されている。
前記接続椀部2aの上面側には、ゴムパッキン7が嵌め込まれており、このゴムパッキン7内に、上方より大便器の排水口8が差し込まれて、水密状に大便器の排水口8が排水ソケット1に接続されるものである。
また、排水ソケット1は、排水管固定部2bにボルト等を締め付けて床面Fに固定されるものであり、床面Fに埋設状に立ち上げられている排水管9に対し、排水管9内に排水管差込部3aを挿着させて排水ソケット1の下部が排水管9に接続されるものである。
排水ソケット1の本体部2内には偏心流路4が形成されており、この偏心流路4の上端の流入口4aに対し、偏心流路4の下端の流出口4bは、その中心が図示左方向にずれて偏心されている。
また、偏心流路4の内壁は緩やかに傾斜して、その上部部位には図示右側から左側に向かって上方から下方に下傾する傾斜状の排水受け面4cが形成されており、この排水受け面4cから下方に連続して、ほぼ垂直に排水案内面4dが偏心流路4内に形成されている。また、排水案内面4dの下端側、即ち流出口4b側はラッパ状に拡径されている。
この流出口4bの下方に、排水管差込部3aの下端が配置されており、排水管差込部3aの下端に、内径を狭めたオリフィス状の絞り部5が形成され、この絞り部5は、排水ソケット1の流入口4aから流出口4bに向かって流下する排水に対して略垂直となる方向に傾けられて形成されている。即ち、絞り部5の左側の受け面5aよりも右側の受け面5bは低い位置となっており、偏心流路4の流入口4aと流出口4bの中心を結ぶ中心軸線Pが、絞り部5の受け面5aと受け面5bを結ぶ面に対し略垂直となるように設定されており、絞り部5は床面Fに対して図示左側から右側に向かって下傾した傾きとなっている。
この絞り部5から垂下状にガイド部3bが連続して一体形成されて、ガイド部3b内のガイド流路6は、上方から下方に向かって図示左側へ傾いた曲面形状に形成されている。即ち、ガイド流路6の中心軸線P1は、偏心流路4の中心軸線Pと同方向に傾き、ガイド流路6の傾き方向が排水ソケット1の偏心流路4の偏心方向と同じに設定されている。
次に、第4実施例の排水の流れを説明する。
大便器の排水口8から汚物とともに排水ソケット1の偏心流路4内に流入される排水は、最初は流速が遅いため偏心流路4の排水受け面4cに当たり、排水案内面4dに沿って図中aで示す方向に流下して、絞り部5の受け面5a,5bに当たり、排水が偏心流路4内に溜められてサイホンが起動されることとなる。サイホン起動後は流速が速く、偏心流路4内を排水で満たされた状態で、図中bで示す方向、即ち偏心流路4の偏心方向に排水が曲げられて流れてゆく。
ここで絞り部5は、流出口4bから流下する排水の流下方向に対して略垂直となる方向に傾けられているため、排水の流れに対して絞り部5の受け面5a,5bの面積を確保したまま、絞り部5の流路を広げることができ、流れ落ちる排水の抵抗を少なくできる。さらに、偏心流路4の偏心方向とガイド流路6の傾き方向が同じであるため、ガイド流路6内をスムーズに排水が通過することとなる。そのため、サイホン起動後の排水の抜けがスムーズとなり、サイホン流速を速くすることができる。
即ち、絞り部5の高さ位置を従来のものと同じ位置に設定しておけば、サイホン起動速度は従来と同じであり、サイホン起動後の排水の抜けを従来よりも速くすることができるものとなる。
なお、この場合、ガイド流路6内で排水は若干の抵抗を受けて、絞り部5の下方でサイホンを起こすことができ、水頭圧を上げてサイホン力を従来よりも高めることができるものである。
なお、図7の構成において、さらに、絞り部5の中心軸線を図示左方向に偏心させて構成することもできる。即ち、流出口4bから流下する排水の流下方向と同じ方向に絞り部5を偏心させて、ここでは、絞り部の受け面5aの面積を小さくして、右側の受け面5bの面積を大に設定して構成することもでき、このような構成とすれば、サイホン起動前には右側の広い面積の受け面5bで排水を受けて、排水を早く溜めることができてサイホン起動を早めることができるものとなる。
第1実施例の排水ソケットの設置状態の縦断面構成図である。 第1実施例の変更例の排水ソケットの設置状態の縦断面構成図である。 第2実施例の排水ソケットの設置状態の縦断面構成図である。 第3実施例の排水ソケットの設置状態の縦断面構成図である。 図4のA−A線断面構成図である。 第3実施例の変形例の排水ソケットの設置状態の縦断面構成図である。 第4実施例の排水ソケットの設置状態の縦断面構成図である。
1 排水ソケット
2 本体部
2a 接続椀部
2b 排水管固定部
2A 本体上部
2B 本体下部
3 円筒部材
3a 排水管差込部
3b ガイド部
4 偏心流路
4a 流入口
4b 流出口
4c 排水受け面
4d 排水案内面
4e 排水受け面
5 絞り部
5a,5b 受け面
6 ガイド流路
7 ゴムパッキン
8 便器の排水口
9 排水管
B 接続部
F 床面

Claims (1)

  1. 上部の流入口側に便器の排水口が接続され、下部の流出口側が排水管に挿着されて床面に固定されるとともに、前記流出口側には、サイホン起動用の絞り部が形成されてなる排水ソケットにおいて、
    前記絞り部の下流に、前記排水管の径より小径のガイド流路を前記床面に対し傾斜させて前記絞り部から下方に連続形成させ、前記絞り部の下方に連続形成される前記ガイド流路は、前記ガイド流路内を流れる水が前記ガイド流路の内壁面に当たって抵抗が生じる曲面形状とした
    ことを特徴とする排水ソケット。
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