JP5566418B2 - 冷却器付き発熱装置 - Google Patents

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この発明は、冷却器に発熱源が中継部材を介して取付けられた冷却器付き発熱装置に関する。
例えば、コイルがボビンを介して磁性体のコア周りに巻かれている構成となっている電磁機器は、動作中ではコアとコイルがそれぞれ発熱し、それらの温度が許容値を超えると電磁機器の動作が不安定となる。
従来、コア、コイルの温度上昇を抑制するものとして、コイルの外周面に沿って対向しコイルからの熱を奪うコイル対向面を有するコイル冷却部、及びコアの短手部の側面に沿って対向しコアからの熱を奪うコア対向面を有するコア冷却部を具備する側部ハウジングを備えた電磁機器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
そして、この電磁機器では、側部ハウジングが、ヒートシンクに固定されており、コイル及びコアから奪った熱は、側部ハウジングを通じてこのヒートシンクに伝達されている。
特開2002-50527号公報(図4)
しかしながら、上記の電磁機器は、互いに対向した一対の側部ハウジングを通じてコイル及びコアから奪った熱が側部ハウジングを通じてヒートシンクに伝達されており、部品点数が多く、構造が複雑であるという問題点があった。
また、各側部ハウジングは、ヒートシンクに対して立設されており、各側部ハウジングとヒートシンクとの接触面積が小さく、冷却効率が悪いという問題点もあった。
この発明は、かかる問題点を解決することを課題とするものであって、部材点数が削減されるとともに、構造が簡単であり、また冷却効率が向上した冷却器付き発熱装置を得ることを目的とする。
この発明に係る冷却器付き発熱装置は、冷却器に、第1の発熱源及び第2の発熱源を有する発熱体が熱伝導性の中継部材を介して取付けられた冷却器付き発熱装置であって、
前記中継部材は、前記発熱体を収納した有底筒状であって、前記第1の発熱源と対向した第1の発熱対向面部と、この第1の発熱対向面部と一体であって前記第2の発熱源と対向した第2の発熱対向面部とを有しており、
またその底面部の全面が前記冷却器の冷却器面と面接触しており、
前記発熱体は、電磁機器であり、前記第1の発熱源は、コアであり、前記第2の発熱源は、前記コアにボビンを介して導線が巻回されたコイルであり、
前記中継部材は、底壁面部と、この底壁面部の各周縁部から垂直方向に延びた側壁面部と、この側壁面部と前記底壁面部とが交差する角部に互いに対向して形成された一対の段差部とを有し、
前記第1の発熱対向面部は、前記段差部の一面のコア冷却面部であり、
前記第2の発熱対向面部は、前記底壁面部の中間部位のコイル冷却面部であり、
前記側壁面部及び前記段差部からなる前記中継部材の縁部には、縁部に沿って間隔を空けて複数の凹部が形成されることで、前記凹部間に複数のリブが設けられており、
前記中継部材は、鋳造冷却部材である
この発明に係る冷却器付き発熱装置によれば、第1の発熱源及び第2の発熱源の熱は、一部材である有底筒状の中継部材を通じて冷却器に伝達されており、部材点数を削減することができ、また構造が簡単である。
また、中継部材の底面部の全面が冷却器面と面接触しているので、第1の発熱源及び第2の発熱源の熱は、効率良く冷却器に伝達され、冷却効率が向上する。
この発明の実施の形態1の冷却器付きトランス装置を示す斜視図である。 図1の冷却器付きトランス装置を示す分解斜視図である。 図1の断面斜視図である。 図3の矢印Aに沿って視たときの断面図である。 図1の鋳造冷却部材を示す斜視図である。 この発明の実施の形態2の冷却器付きトランス装置の鋳造冷却部材を示す斜視図である。 この発明の実施の形態3の冷却装置付きトランスの鋳造冷却部材を示す斜視図である。
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明するが、各図において同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の冷却器付きトランス装置を示す斜視図、図2は図1の冷却器付きトランス装置を示す分解斜視図、図3は図1の断面斜視図、図4は図3の矢印Aに沿って視たときの断面図、図5は図1の鋳造冷却部材10を示す斜視図である。
この実施の形態の冷却器付きトランス装置では、発熱体であって電磁機器であるトランス1が、水冷の冷却器7に熱伝導性の中継部材である鋳造冷却部材10を介して取付けられている。
トランス1は、磁性体であるコア3と、このコア3に絶縁物である一次ボビン9aを介して導線である銅線が巻回された一次コイル2aと、この一次コイル2aの外側に絶縁物である二次ボビン9bを介して導線である銅線が巻回された二次コイル2bとから構成されている。
コア3は、U字形状の対向した一対のコア部で構成されており、コア部間の継ぎ目にはギャップが生じている。第1の発熱源であるコア3は、主にヒステリアス損失と渦電流損失により発熱する。
一次コイル2a、二次コイル2bは、通電することで磁束を発生させ、コア3は磁路を形成する。第2の発熱源である、一次コイル2a及び二次コイル2bは、導通損失より発熱する。
有底四角筒状の鋳造冷却部材10は、鋳造品であり、高熱伝導率であるアルミダイキャストで成形されている。
鋳造冷却部材10は、底壁面部14と、この底壁面部14の各周縁部から垂直方向に延びた、それぞれ一対の第1の側壁面部12a,第2の側壁面部12bと、第1の側壁面部12aと底壁面部14とが交差する角部に、互いに対向して形成された一対の段差部15と、一対の段差部15の表面の両端部に設けられたボビン固定台13とを有している。
段差部15の表面は、コア3の底面の両側部と対向した第1の発熱対向面部である、コア冷却面部14aである。
底壁面部14の中間部位は、二次コイル2bの全面と対向した第2の発熱対向面部であって、コイル冷却面部14bである。
側壁面部12a及び段差部15からなる鋳造冷却部材10両縁部には、それぞれ縁部に沿って間隔を空けて複数の凹部が形成されている。この凹部を形成することで、凹部間に複数のリブ5aが設けられている。
このリブ5aは、鋳造時に第1の側壁面部12aから鋳抜くことによって形成される。
鋳巣は、鋳物の厚みが急激に変化する箇所で発生し易いため、リブ5aの隣接した凹部間の厚みは、底壁面部14の厚みと同程度である。
ボビン固定台13には、二次ボビン9bの固定部20が載置され、固定手段を用いて、ボビン固定台13に二次ボビン9bの固定部20を締付けることで、トランス1は、鋳造冷却部材10に固定される。
このとき、コア3とコア冷却面部14aとの間、二次コイル2bとコイル冷却面部14bとの間にはそれぞれ、1mmの隙間が設けられる。
トランス1を鋳造冷却部材10に収納後は、鋳造冷却部材10とトランス1との間の隙間にウレタン樹脂であるポッティング剤6が注入される。ポッティング剤6の熱伝導率が高い程冷却効率は高くなる。確実にポッティング剤6を隙間に流し込むためには、真空引きすることが望ましい。
その結果として、トランス1と鋳造冷却部材10との間の熱交換が活発になり、放熱効率が向上する。
冷却器7は、内部に水路7aが形成されている。この水路7aには、入口配管21からの冷却水が流入し、出口配管22から外部に流出するようになっている。
トランス1を収納した鋳造冷却部材10は、その底面部にグリスが塗布された後、冷却器7の冷却器面8に載置し、ボルト(図示せず)を用いて鋳造冷却部材10は冷却器7に固定される。
上記構成の冷却器付きトランス装置では、トランス1の安定的な動作を確保するために、コイル2a,2b及びコア3の熱は外部に放出し、これらの温度を許容値まで冷却しなければならない。
ところで、この冷却器付きトランス装置は、電気的絶縁性を確保するために、コア3と、一次コイル2a及び二次コイル2bとの間には、絶縁物の一次ボビン9a、二次ボビン9bが介在している。そして、一次ボビン9a、二次ボビン9bは、熱伝導率が小さいこと、さらにコア3と一次ボビン9aとの間と、一次コイル2aと二次ボビン9bとの間には空気層を挟むために、コイル2a,2bとコア3との間では熱交換がほとんど行われない。よって、コイル2a,2bとコア3とを別個に冷却する必要がある。
この冷却器付きトランス装置では、コア3の熱は、主に第1の側壁面部12a及び段差部15の表面であるコア冷却面部14aを介してリブ5aから冷却器7へ熱伝達される。
また、コイル2の熱は、コイル冷却面部14bから冷却器7へ熱伝達される。
冷却器7に伝達されたそれぞれの熱は、冷却器7と冷媒液である水との間で熱交換され、循環している水によって熱輸送される。
さらに、コア3の熱は、鋳造冷却部材10のリブ5aを通じて外気に放出される。
以上説明したように、この実施の形態の冷却器付きトランス装置によれば、第1の発熱源であるコア3及び第2の発熱源であるコイル2a,2bの熱は、一部材である有底筒状の鋳造冷却部材10を通じて冷却器7に伝達されており、部材点数を削減することができ、また構造が簡単である。
また、鋳造冷却部材10の底面部の全面が冷却器7の冷却器面8と面接触しているので、コア3及びコイル2a,2bの熱は、効率良く冷却器7に伝達され、冷却効率が向上する。
また、底壁面部14の冷却器面8に対する接触面が大きいために安定したグリス塗布が可能である。
また、コア冷却面部14aとコイル冷却面部14bとはフラットな段状であり、コア3及びコイル2の大きさに応じて、コア冷却面部14a及びコイル冷却面部14bのそれぞれの最適な冷却面積を簡単に設定することができる。
また、コア3からの熱は、主に段差部15、第1の側壁面部12aを通じて底壁面部14に伝達され、コイル2a、2bからの熱は、底壁面部14に直接伝達され、熱の伝達経路が短く、それだけ熱抵抗が小さい。
また、第1の側壁面部12a及び段差部15からなる鋳造冷却部材10の縁部には、縁部に沿って間隔を空けて複数の凹部が形成されることで、凹部間に複数のリブ5aが設けられているので、温度バラツキを引き起こす鋳巣の発生が防止され、鋳造冷却部材10は、各部位とも均等な熱伝導性が確保される。
また、リブ5aにより、鋳造冷却部材10の縁部での空気との接触面積が増大し、自然対流による高い空冷効果を得ることができる。
また、二次ボビン9bは、固定手段によりコア3をコア冷却面部14aとの間で空隙を有して保持、固定するための固定部20を有しているので、鋳造冷却部材10にトランス1を固定する際に、コア冷却面部14aからのU字状のコア部間のコア3の継ぎ目でのストレスによる破損を防止することができ、固定時のコア3の割れの発生を懸念することなく、コア3は冷却される。
また、鋳造冷却部材10は、鋳抜きのみで製造でき、製造が容易である。
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2の冷却器付きトランス装置の鋳造冷却部材10Aを示す斜視図である。
この実施の形態では、第1の側壁面部12a、底壁面部14及び段差部15からなる鋳造冷却部材10Aの縁部には、縁部に沿って間隔を空けて複数の切り欠き部が形成されることで、切り欠き部間に複数のリブ5aが設けられている。
他の構成は、実施の形態2の冷却器付きトランス装置の構成と同じである。
この実施の形態では、リブ5aは、第1の側壁面部12a及び底壁面部14の二面方向からの鋳抜きで形成されるので、実施の形態1に比べて製造コストが低減される。
他の作用、効果は、実施の形態1の冷却器付きトランス装置と同じである。
実施の形態3.
図7はこの発明の実施の形態3の冷却器付きトランス装置の鋳造冷却部材10Bを示す斜視図である。
この実施の形態では、段差部15Aは、間隔を空けて配置された板状の複数のリブ5cで構成されている。
他の構成は、実施の形態1の冷却器付きトランス装置の構成と同じである。
この実施の形態では、リブ5cは、鋳造冷却部材10Bの開口部の方向から鋳抜くことで形成される。
他の作用、効果は、実施の形態1の冷却器付きトランス装置と同じである。
なお、上記各実施の形態では、中継部材は、アルミダイキャストで成形された鋳造冷却部材10,10A,10Bであったが、アルミニウム以外の素材であってもよいし、また鋳造以外の成形で中継部材を成形してもよい。
また、中継部材は、トランスの形状に合わせて有底四角筒状であったが、収納される発熱体に応じて例えば有底円筒状であってもよい。
また、各実施の形態では、発熱体は電磁機器であるトランスであるが、トランス以外の例えばリアクトルにもこの発明は適用することができる。
また、発熱源は、コア、コイル以外のものでもよいのは勿論である。
また、冷却器7は、水以外の液冷媒を用いてもよいし、空冷であってもよい。
また、冷却器7と底壁面部14との間にグリスの代りに放熱シートを介在させるようにしてもよい。
また、ボビン固定台13は、円形に限らない。また、ボビン固定台13を設ける位置は、コイル冷却面部14bまたは冷却器7の冷却器面8でも構わない。
また、ポッティング剤6は、ウレタン樹脂以外に、エポキシ樹脂、シリコーン等でもよい。
また、実施の形態3において、隣接したリブ5c間の第1の側壁面部12aの部位を貫通孔を形成し、リブ5cでの表面積を増大させ、リブ5cでの放熱性を向上させるようにしてもよい。
1 トランス(発熱体)、2a 一次コイル(第2の発熱源)、2b 二次コイル(第2の発熱源)、3 コア(第1の発熱源)、5a,5b,5c リブ、6 ポッティング剤、7 冷却器、7a 水路、8 冷却器面、9a 一次ボビン、9b 二次ボビン、10,10A,10B 鋳造冷却部材、12a 第1の側壁面部、12b 第2の側壁面部、13 ボビン固定台、14 底壁面部、14a コア冷却面部(第1の発熱対向面部)、14b コイル冷却面部(第2の発熱対向面部)、15,15A 段差部、20 固定部、21 入口配管、22 出口配管。

Claims (5)

  1. 冷却器に、第1の発熱源及び第2の発熱源を有する発熱体が熱伝導性の中継部材を介して取付けられた冷却器付き発熱装置であって、
    前記中継部材は、前記発熱体を収納した有底筒状であって、前記第1の発熱源と対向した第1の発熱対向面部と、この第1の発熱対向面部と一体であって前記第2の発熱源と対向した第2の発熱対向面部とを有しており、
    またその底面部の全面が前記冷却器の冷却器面と面接触しており、
    前記発熱体は、電磁機器であり、前記第1の発熱源は、コアであり、前記第2の発熱源は、前記コアにボビンを介して導線が巻回されたコイルであり、
    前記中継部材は、底壁面部と、この底壁面部の各周縁部から垂直方向に延びた側壁面部と、この側壁面部と前記底壁面部とが交差する角部に互いに対向して形成された一対の段差部とを有し、
    前記第1の発熱対向面部は、前記段差部の一面のコア冷却面部であり、
    前記第2の発熱対向面部は、前記底壁面部の中間部位のコイル冷却面部であり、
    前記側壁面部及び前記段差部からなる前記中継部材の縁部には、縁部に沿って間隔を空けて複数の凹部が形成されることで、前記凹部間に複数のリブが設けられており、
    前記中継部材は、鋳造冷却部材であることを特徴とする冷却器付き発熱装置。
  2. 冷却器に、第1の発熱源及び第2の発熱源を有する発熱体が熱伝導性の中継部材を介して取付けられた冷却器付き発熱装置であって、
    前記中継部材は、前記発熱体を収納した有底筒状であって、前記第1の発熱源と対向した第1の発熱対向面部と、この第1の発熱対向面部と一体であって前記第2の発熱源と対向した第2の発熱対向面部とを有しており、
    またその底面部の全面が前記冷却器の冷却器面と面接触しており、
    前記発熱体は、電磁機器であり、前記第1の発熱源は、コアであり、前記第2の発熱源は、前記コアにボビンを介して導線が巻回されたコイルであり、
    前記中継部材は、底壁面部と、この底壁面部の各周縁部から垂直方向に延びた側壁面部と、この側壁面部と前記底壁面部とが交差する角部に互いに対向して形成された一対の段差部とを有し、
    前記第1の発熱対向面部は、前記段差部の一面のコア冷却面部であり、
    前記第2の発熱対向面部は、前記底壁面部の中間部位のコイル冷却面部であり、
    前記側壁面部、前記底壁面部及び前記段差部からなる中継部材の縁部には、縁部に沿って間隔を空けて複数の切り欠き部が形成されることで、前記切り欠き部間に複数のリブが設けられており、
    前記中継部材は、鋳造冷却部材であることを特徴とする冷却器付き発熱装置。
  3. 冷却器に、第1の発熱源及び第2の発熱源を有する発熱体が熱伝導性の中継部材を介して取付けられた冷却器付き発熱装置であって、
    前記中継部材は、前記発熱体を収納した有底筒状であって、前記第1の発熱源と対向した第1の発熱対向面部と、この第1の発熱対向面部と一体であって前記第2の発熱源と対向した第2の発熱対向面部とを有しており、
    またその底面部の全面が前記冷却器の冷却器面と面接触しており、
    前記発熱体は、電磁機器であり、前記第1の発熱源は、コアであり、前記第2の発熱源は、前記コアにボビンを介して導線が巻回されたコイルであり、
    前記中継部材は、底壁面部と、この底壁面部の各周縁部から垂直方向に延びた側壁面部と、この側壁面部と前記底壁面部とが交差する角部に互いに対向して形成された一対の段差部とを有し、
    前記第1の発熱対向面部は、前記段差部の一面のコア冷却面部であり、
    前記第2の発熱対向面部は、前記底壁面部の中間部位のコイル冷却面部であり、
    前記段差部は、間隔を空けて配置された板状の複数のリブで構成されており、
    前記中継部材は、鋳造冷却部材であることを特徴とする冷却器付き発熱装置。
  4. 前記ボビンは、固定手段により前記コアを前記コア冷却面部との間で空隙を有して保持、固定するための固定部を有していることを特徴とする請求項の何れか1項に記載の冷却器付き発熱装置。
  5. 前記電磁機器は、トランスであることを特徴とする請求項の何れか1項に記載の冷却器付き発熱装置。
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