JP5566138B2 - 多孔構造体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、多孔構造体の製造方法に関する。
多孔構造体は、ダイカスト成形などの射出成形時に溶融成形材料中に含まれるガスを排出するガス抜きピン、原子力発電所の冷却管内の圧力が所定値よりも高くならないようにするための圧力逃がしフィルター、自動車の排気ガスなどからパティキュレート、窒素酸化物などを除去する排気ガス浄化用の触媒担持用フィルター、燃料電池の陽極又は陰極に用いられ触媒を担持可能な電極材料、生体内から血栓、異物などを除去するための異物フィルターなど様々な用途に用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
図20は、ガス抜きピン900を説明するために示す図である。図20(a)はガス抜きピン900の断面図であり、図20(b)はガス抜きピン900の正面図である。
ガス抜きピン900の先端には、図20に示すように、多孔構造体901が形成されている。従来の多孔構造体901は、中空状の筐体部材910の内側に、外周面に略V字状の溝が形成されているキャップ状のプラグ部材920が圧入された構造を有し、筐体部材910とプラグ部材920との間に複数の貫通孔922が形成されてなる。
従来の多孔構造体901によれば、溶融成形材料中に含まれるガスを貫通孔を介して排出することが可能となるため、ガス混入量の少ない高品質な成形製品を製造することが可能となる。
特開2005−81397号公報
しかしながら、従来の多孔構造体901においては、貫通孔が筐体部材910とプラグ部材920との間にのみ形成されているため、多数の貫通孔を形成することができないという問題がある。
また、従来の多孔構造体901においては、キャップ状のプラグ部材920を用いているため、機械的強度を高くすることが困難であるという問題がある。その結果、従来の多孔構造体901は、高圧力環境下で使用することが困難となる。
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、従来の多孔構造体901の場合よりも多数の貫通孔を形成することが可能で、かつ、従来の多孔構造体901の場合よりも機械的強度を高くすることが可能な多孔構造体を製造することが可能な多孔構造体の製造方法を提供することを目的とする。
[1]本発明の多孔構造体の製造方法は、筒状外周部材の内側に、少なくとも1以上の円筒状内周部材と、円柱状最内周部材とが順次挿入された構造を有し、かつ、前記筒状外周部材、前記円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材のうち、径方向に隣接する2つの部材間に複数の貫通孔が形成されてなる多孔構造体を製造するための多孔構造体の製造方法であって、「前記筒状外周部材」、「前記円筒状内周部材」及び「前記円柱状最内周部材」として、「軸方向に延在する円形孔を有する前記筒状外周部材」、「『軸方向に延在する円形孔を有し』、かつ『外周側に配置される部材における円形孔の直径(以下、第1外周側内径という。)よりも小さな第1内周側外径を有し軸方向基端側に位置する円筒状内周部材基端部と、軸方向先端側に向かって外径が、前記第1外周側内径よりも小さな前記第1内周側外径から前記第1外周側内径よりも大きな第2内周側外径まで徐々に大きくなるようなテーパー形状を有し軸方向先端側に位置する円筒状内周部材先端部とに区画され』、かつ、『前記円筒状内周部材基端部から前記円筒状内周部材先端部にかけて連続する複数の溝が外周面に形成された円筒状内周部材』」及び「『外周側に配置される部材における円形孔の直径(以下、第2外周側内径という。)よりも小さな第3内周側外径を有し軸方向基端側に位置する円柱状最内周部材基端部と、軸方向先端側に向かって外径が、前記第2外周側内径よりも小さな前記第3内周側外径から前記第2外周側内径よりも大きな第4内周側外径まで徐々に大きくなるようなテーパー形状を有し軸方向先端側に位置する円柱状最内周部材先端部とに区画され』、かつ、『前記円柱状最内周部材基端部から前記円柱状最内周部材先端部にかけて連続する複数の溝が外周面に形成された円柱状最内周部材』」とを準備する部材準備工程と、前記筒状外周部材の内側に、前記少なくとも1以上の円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材がそれぞれ、前記円筒状内周部材基端部側及び前記円柱状最内周部材基端部側から順次挿入された構造を有する仮組立体を作製する仮組立体作製工程と、前記筒状外周部材に対して、前記少なくとも1以上の円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材を軸方向に沿って圧入することにより、前記筒状外周部材、前記少なくとも1以上の円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材が一体化された多孔構造体を作製する圧入工程とをこの順序で含むことを特徴とする。
本発明の多孔構造体の製造方法によれば、径方向に隣接する2つの部材間に複数の貫通孔が形成されている、すなわち、少なくとも、筒状外周部材と円筒状内周部材との間及び円筒状内周部材と円柱状最内周部材との間の2周にわたって複数の貫通孔が形成されているため、従来の多孔構造体901の場合よりも多数の貫通孔を形成することが可能となる。
また、本発明の多孔構造体の製造方法によれば、筒状外周部材の内側に、少なくとも1以上の円筒状内周部材と、円柱状最内周部材とが順次挿入された構造を有するため、円筒状内周部材及び円柱状最内周部材としてある程度厚さ寸法の大きいものを用いることにより、従来の多孔構造体901の場合よりも機械的強度を高くすることが可能となる。
また、本発明の多孔構造体の製造方法によれば、筒状外周部材に対して、ともに所定のテーパー形状を有する円筒状内周部材及び円柱状最内周部材を軸方向に沿って圧入することにより多孔構造体を作製する圧入工程を含むため、筒状外周部材、少なくとも1以上の円筒状内周部材及び円柱状最内周部材が高い機械的強度で一体化された多孔構造体を製造することが可能となり、この観点からも、従来の多孔構造体901の場合よりも機械的強度を高くすることが可能となる。
その結果、本発明の多孔構造体の製造方法によれば、従来の多孔構造体901の場合よりも多数の微細貫通孔を形成することが可能で、かつ、従来の多孔構造体901の場合よりも機械的強度を高くすることが可能な多孔構造体を製造することが可能となる。
また、本発明の多孔構造体の製造方法によれば、第1外周側内径、第1内周側外径、第2内周側外径、第2外周側内径、第3内周側外径及び第4内周側外径の値を適切な値に設定しておけば、圧入による貫通孔断面積の矮小化を所定範囲に収めながら、圧入による機械的強度の増大を図ることが可能となるため、多孔構造体の性能(例えば、貫通孔の断面積、貫通孔を通過する流体の圧力損失、貫通孔の総表面積、貫通孔の触媒担持能力など。)と多孔構造体の機械的強度とを両立させることが可能となる。
さらにまた、本発明の多孔構造体の製造方法によれば、筒状外周部材及び少なくとも1以上の円筒状内周部材としてそれぞれ複数種類の部材を準備するとともに1種類の円柱状最内周部材を準備しておけば、様々な種類の多孔構造体を製造することが可能となる。このため、少なくとも1以上の円筒状内周部材及び円柱状最内周部材については部材の共通化を図ることができ、また、製品毎に多孔構造体を一から設計して製造するのではなく上記した部材を適宜組み合わせるだけで種々の多孔構造体を柔軟に製造できるため、多孔構造体の製造コストを大幅に低減することが可能となる。
例えば、筒状外周部材として8種類の筒状外周部材(例えば、外径7mm内径3mm、外径8mm内径4mm、外径9mm内径5mm、外径10mm内径6mm、外径11mm内径7mm、外径12mm内径8mm、外径13mm内径9mm及び外径14mm内径10mmの筒状外周部材)を準備し、少なくとも1以上の円筒状内周部材として8種類の円筒状内周部材(例えば、外径3mm内径2mm、外径4mm内径3mm、外径5mm内径4mm、外径6mm内径5mm、外径7mm内径6mm、外径8mm内径7mm、外径9mm内径8mm及び外径10mm内径9mmの円柱状最内周部材)を準備し、円柱状最内周部材として1種類の円柱状最内周部材(例えば、外径約2mmの円柱状最内周部材)を準備しておけば、これらを組み合わせて8種類の多孔構造体(例えば、外径が、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm及び14mmの8種類の多孔構造体)を製造することができる。
[2]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記多孔構造体は、前記少なくとも1以上の円筒状内周部材として、単一の円筒状内周部材を備えることが好ましい。
このような方法とすることにより、比較的細い多孔構造体を製造することができる。この場合であっても、筒状外周部材と円筒状内周部材との間及び円筒状内周部材と円柱状最内周部材との間の2周にわたって複数の貫通孔を形成することが可能となる。それほど大きな貫通孔総断面積を必要としない用途に適した方法と言える。
[3]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記多孔構造体は、前記少なくとも1以上の円筒状内周部材として、少なくとも2以上の円筒状内周部材を備えることが好ましい。
このような方法とすることにより、比較的太い多孔構造体を製造することができる。また、貫通孔総断面積の比較的大きな多孔構造体を製造することができる。この場合には、少なくとも、筒状外周部材と円筒状内周部材との間、円筒状内周部材と円筒状内周部材との間及び円筒状内周部材と円柱状最内周部材との間の3周にわたって複数の貫通孔を形成することが可能となる。円筒状内周部材を多数用いることによって、さらに多数の貫通孔を形成することも可能となる。大きな貫通孔総断面積を必要とする用途に適した方法と言える。
[4]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記部材準備工程において準備する前記円筒状内周部材は、前記円筒状内周部材に対応する外径及び内径を有する管材を準備する管材準備工程と、前記円筒状内周部材における前記複数の溝に対応する複数の溝を切削加工により前記管材の外周面に形成する溝形成工程と、前記管材の外周面が前記円筒状内周部材の外周面と同一の形状となるように前記管材の外周面に切削加工を施す外周面整形工程とをこの順序で実施することにより作製されたものであることが好ましい。
このような方法とすることにより、通常の切削加工を用いて、管材から円筒状内周部材を作製することができる。
なお、部材準備工程において準備する円筒状内周部材は、上記した外周面整形工程を実施した後、管材を所定の長さで切断して作製された円筒状内周部材を回収する回収工程を実施することにより、1本の管材から多数の円筒状内周部材を高い生産性で作製することが可能となる。
[5]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記部材準備工程において準備する前記円柱状最内周部材は、前記円柱状最内周部材に対応する外径を有する丸棒を準備する丸棒準備工程と、前記円柱状最内周部材における前記複数の溝に対応する複数の溝を切削加工により前記丸棒の外周面に形成する溝形成工程と、前記丸棒の外周面が前記円柱状最内周部材の外周面と同一の形状となるように前記丸棒の外周面に切削加工を施す外周面整形工程とをこの順序で実施することにより作製されたものであることが好ましい。
このような方法とすることにより、通常の切削加工を用いて、丸棒から円柱状最内周部材を作製することができる。
なお、部材準備工程において準備する円柱状最内周部材は、上記した外周面整形工程を実施した後、丸棒を所定の長さで切断して作製された円柱状最内周部材を回収する回収工程を実施することにより、1本の丸棒から多数の円柱状最内周部材を高い生産性で作製することが可能となる。
[6]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記部材準備工程において準備する前記円筒状内周部材は、前記第1内周側外径をOD1、前記第2内周側外径をOD2とし、前記第1外周側内径をID1としたとき、「ID1−0.04mm≦OD1<ID1」及び「ID1+0.005mm≦OD2≦ID1+0.04mm」の関係を満たすように設定され、前記部材準備工程において準備する前記円柱状最内周部材は、前記第3内周側外径をOD3、前記第4内周側外径をOD4とし、前記前記第2外周側内径をID2としたとき、「ID2−0.04mm≦OD3<ID2」及び「ID2+0.005mm≦OD4≦ID2+0.06mm」の関係を満たすように設定されていることが好ましい。
このような方法とすることにより、適切な圧力範囲で圧入工程を実施することが可能となる。その結果、圧入による貫通孔断面積の矮小化を所定範囲に収めながら、圧入による機械的強度の増大を図ることが可能となる。
[7]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記部材準備工程において準備する前記円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材における前記複数の溝は、溝の壁面同士のなす角が略90°のV字状溝であることが好ましい。
本発明においては、V字状溝、U字状溝、四角形状溝等、種々の形状の溝を用いることが可能であるが、このような方法とすることにより、通常の切削工具を用いて容易に複数の溝を形成することができる。
[8]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記圧入工程実施前における前記円筒状内周部材を前記軸方向先端側から見たときの溝の断面積をS1とし、前記圧入工程実施後における前記円筒状内周部材を前記軸方向先端側から見たときの溝の断面積をS2としたとき、「0.8≦(S2/S1)≦0.95」の条件を満たすことが好ましい。
このように、圧入工程実施前における溝の断面積に対する圧入工程実施後における溝の断面積の比率を0.8(80%)〜0.95(95%)の値に制御することにより、高い機械的強度及び大きい貫通孔総断面積を両立させることができる。すなわち、(S2/S1)を95%以下とすれば、貫通孔の少なくとも5%はつぶれるような圧力をもって圧入されることになるから、高い機械的強度を確保することができる。また、(S2/S1)を80%以上とすれば、大きい貫通孔総断面積を確保することができる。
なお、溝の断面積S1及びS2については、実施形態で定義する。
[9]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記圧入工程実施前における前記円柱状最内周部材を前記軸方向先端側から見たときの溝の断面積をS3とし、前記圧入工程実施後における前記円柱状最内周部材を前記軸方向先端側から見たときの溝の断面積をS4としたとき、「0.4≦(S4/S3)≦0.80」の条件を満たすことが好ましい。
このように、圧入工程実施前における溝の断面積に対する圧入工程実施後における溝の断面積の比率を0.4(40%)〜0.80(80%)の値に制御することにより、高い機械的強度及び大きい貫通孔総断面積を両立させることができる。すなわち、(S4/S3)を80%以下とすれば、貫通孔の少なくとも20%はつぶれるような圧力をもって圧入されることになるから、円柱状最内周部材が抜け止めピンとして働き、より一層高い機械的強度を確保することができる。また、(S4/S3)を40%以上とすれば、円柱状最内周部材を抜け止め部材として機能させた場合であっても、所定の貫通孔断面積を確保することができる。
[10]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記部材準備工程において準備する前記円筒状内周部材における溝の深さd及び数nは、前記軸方向先端側における前記第2内周側外径をOD2としたとき、「0.5≦((20.5×d×n)/(π×OD2))≦0.8」の条件を満たすように設定されていることが好ましい。
このような方法とすることにより、後述する実施形態からも分かるように、高い機械的強度及び高い貫通孔総断面積比率を両立させることができる。
なお、この条件の意味は、第2内周側外径を有する先端部における「『全外周長さ』に対する『非接触面の長さ』の比率」が0.5(50%)〜0.8(80%)となることであり、この値が大きいと機械的強度が低くなり、この値が小さいと貫通孔が小さくなる。
[11]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記部材準備工程において準備する前記円柱状最内周部材における溝の深さd及び数nは、前記軸方向先端側における前記第4内周側外径をOD4としたとき、「0.2≦((20.5×d×n)/(π×OD4))≦0.8」の条件を満たすように設定されていることが好ましい。
このような方法とすることにより、後述する実施形態からも分かるように、所定の貫通孔総断面積比率を確保しながら、円柱状最内周部材を抜け止めピンとして働かせることができ、より一層高い機械的強度を実現することができる。
なお、この条件の意味は、第4内周側外径を有する先端部における「『全外周長さ』に対する『非接触面の長さ』の比率」が0.2(20%)〜0.8(80%)となることであり、この値が大きいと抜け止め部ピンとしての働きが弱くなり、この値が小さいと貫通孔が小さくなり過ぎる。
[12]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記部材準備工程において準備する前記円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材における前記複数の溝の深さは、10μm〜1000μmの範囲内にあることを特徴とすることが好ましい。
本発明の多孔構造体の製造方法によれば、このように溝の深さが10μm〜1000μmの範囲内にあるような比較的浅い溝を用いて貫通孔が形成されてなる多孔構造体を製造することが可能となる。
[13]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記部材準備工程において準備する前記円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材における前記複数の溝の断面積は、75μm〜1000000μmの範囲内にあることが好ましい。
本発明の多孔構造体の製造方法によれば、このように溝の断面積が75μm〜1000000μmの範囲内にあるような比較的小さな断面積を有する多孔構造体を製造することが可能となる。
[14]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記貫通孔のうち最も大きい貫通孔の断面積をSとし、前記貫通孔の長さをLとしたとき、「L×(S−0.5)」で定義されるアスペクト比Aは、10以上であることが好ましい。
本発明の多孔構造体の製造方法によれば、上記したアスペクト比Aが10以上であるような深孔からなる貫通孔(例えば、直径100μmの円形の断面を有し長さ1mmの貫通孔の場合、アスペクト比Aは11.3となる。)が形成された多孔構造体を製造することが可能となる。
[15]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記圧入工程においては、前記筒状外周部材における軸方向基端側に圧力受部材を配置した状態で、前記少なくとも1以上の円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材を軸方向に沿って圧入することが好ましい。
このような方法とすることにより、少なくとも1以上の円筒状内周部材及び円柱状最内周部材を所定の深さまで圧入することが可能となる。また、少なくとも1以上の円筒状内周部材及び円柱状最内周部材を所定の圧力条件下で圧入することが可能となる。
[16]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記筒状外周部材、前記少なくとも1以上の円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材は、すべて金属素材(例えば、熱間金型鋼、ステンレス鋼などの鉄鋼、その他の鉄合金、金、銀、白金などの貴金属、チタン、タンタルなどのレアメタル、アルミニウム、銅、これらの金属を含む合金など。)からなることが好ましい。
このような方法とすることにより、種々の用途に使用可能な多孔構造体を製造することが可能となる。
[17]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記筒状外周部材、前記少なくとも1以上の円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材のうち少なくとも1つの部材は、他の部材とは異なる金属素材からなることが好ましい。
このような方法とすることにより、種々の用途に使用可能な多孔構造体を製造することが可能となる。例えば、軟磁性金属材料からなる筒状外周部材を用いた場合は、筒状外周部材が磁石に引き寄せられる多孔構造体、筒状外周部材よりも内側への磁気シールドが可能な多孔構造体を製造することが可能となる。また、例えば、筒状外周部材、円筒状内周部材及び円柱状最内周部材としてそれぞれ異なる触媒効果を有する金属素材を用いた場合は、2以上の異なる触媒効果を有する多孔構造体を製造することが可能となる。
[18]本発明の多孔構造体の製造方法においては、前記多孔構造体は、射出成形時に溶融成形材料中に含まれるガスを排出するガス抜きピン又はその先端部であることが好ましい。
このような方法とすることにより、本発明の多孔構造体の製造方法を用いて、射出成形時に溶融成形材料中に含まれるガスを排出するガス抜きピン又はその先端部を製造することができる。
以上に説明した本発明の多孔構造体の製造方法によれば、ダイカスト成形などの射出成形時に溶融成形材料中に含まれるガスを排出するガス抜きピン、原子力発電所の冷却管内の圧力が所定値よりも高くならないようにするための圧力逃がしフィルター、自動車の排気ガスなどからパティキュレート、窒素酸化物などを除去する排気ガス浄化用の触媒担持用フィルター、燃料電池の陽極又は陰極に用いられ触媒を担持可能な電極材料、生体内から血栓、異物などを除去するための異物フィルターなど様々な用途に用いる多孔構造体を製造することができる。
実施形態に係る多孔構造体の製造方法によって製造された多孔構造体1を説明するために示す図である。 筒状外周部材10を説明するために示す図である。 円筒状内周部材20aを説明するために示す図である。 円筒状内周部材20bを説明するために示す図である。 円柱状最内周部材30を説明するために示す図である。 筒状外周部材10の製造工程を説明するために示す図である。 円筒状内周部材20aの製造工程を説明するために示す図である。 円筒状内周部材20bの製造工程を説明するために示す図である。 円柱状最内周部材30の製造工程を説明するために示す図である。 仮組立体40を説明するために示す図である。 圧入工程を説明するために示す図である。 変形例1に係る多孔構造体の製造方法によって製造された多孔構造体2を説明するために示す図である。 変形例2に係る多孔構造体の製造方法によって製造された多孔構造体3を説明するために示す図である。 変形例3に係る多孔構造体の製造方法によって製造された多孔構造体4を説明するために示す図である。 変形例4に係る多孔構造体の製造方法における仮組立体41を示す図である。 変形例5に係る多孔構造体の製造方法によって製造された多孔構造体6を説明するために示す図である。 変形例6に係る多孔構造体の製造方法における各部材20a,20b,30を説明するために示す図である。 変形例7に係る多孔構造体の製造方法によって製造された多孔構造体を説明するために示す図である。 変形例8に係る多孔構造体の製造方法によって製造された多孔構造体を説明するために示す図である。 従来の内蔵型チルベント900を説明するために示す図である。
以下、本発明の多孔構造体の製造方法について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
[実施形態]
図1は、実施形態に係る多孔構造体の製造方法によって製造される多孔構造体1を説明するために示す図である。図1(a)は多孔構造体1の斜視図であり、図1(b)は多孔構造体1の平面図であり、図1(c)は多孔構造体1の縦断面図であり、図1(d)はガス抜きピン100の縦断面図である。
図2は、筒状外周部材10を説明するために示す図である。図2(a)は筒状外周部材10の斜視図であり、図2(b)は筒状外周部材10の平面図であり、図2(b)は筒状外周部材10の縦断面図である。
図3は、円筒状内周部材20aを説明するために示す図である。図3(a)は円筒状内周部材20aの斜視図であり、図3(b)は軸方向先端側から円筒状内周部材20aを見た図であり、図3(c)は軸方向基端側から円筒状内周部材20aを見た図であり、図3(d)は円筒状内周部材20aの縦断面図であり、図3(e)は図3(c)の符号Rを拡大して示す図である。
図4は、円筒状内周部材20bを説明するために示す図である。図4(a)は円筒状内周部材20bの斜視図であり、図4(b)は軸方向先端側から円筒状内周部材20bを見た図であり、図4(c)は軸方向基端側から円筒状内周部材20bを見た図であり、図4(d)は円筒状内周部材20bの縦断面図であり、図4(e)は図4(c)の符号Rを拡大して示す図である。
図5は、円柱状最内周部材30を説明するために示す図である。図5(a)は円柱状最内周部材30の斜視図であり、図5(b)は軸方向先端側から円柱状最内周部材30を見た図であり、図5(c)は軸方向基端側から円柱状最内周部材30を見た図であり、図5(d)は円柱状最内周部材30の縦断面図であり、図5(e)は図5(c)の符号Rを拡大して示す図である。
なお、図2〜図5のうち、図3〜図5は、図2よりも図示対象を拡大して示している。
図6は、筒状外周部材10の製造工程を説明するために示す図である。図6(a)〜図6(d)は各工程図である。
図7は、円筒状内周部材20aの製造工程を説明するために示す図である。図7(a)〜図7(d)は各工程図である。
図8は、円筒状内周部材20bの製造工程を説明するために示す図である。図8(a)〜図8(d)は各工程図である。
図9は、円柱状最内周部材30の製造工程を説明するために示す図である。図9(a)〜図9(d)は各工程図である。
図10は、仮組立体40を説明するために示す図である。図10(a)は仮組立体40の斜視図であり、図10(b)は仮組立体40の縦断面図である。
図11は、圧入工程を説明するために示す図である。図11(a)〜図11(c)は各工程図である。
1.多孔構造体1の構成
実施形態における多孔構造体1は、図1(a)〜図1(c)に示すように、筒状外周部材10の内側に、2つの円筒状内周部材20a,20bと、円柱状最内周部材30とが順次挿入された構造を有し、かつ、筒状外周部材10、円筒状内周部材20a,20b及び円柱状最内周部材30のうち、径方向に隣接する2つの部材間(「筒状外周部材10と円筒状内周部材20aとの間」、「円筒状内周部材20aと円筒状内周部材20bとの間」及び「円筒状内周部材20bと円柱状最内周部材30との間」)に複数の貫通孔Hが形成されてなる。複数の貫通孔Hは、多孔構造体1の軸方向に沿って形成されている。
複数の貫通孔Hの長さLは、3mmである。また、詳細は後述するが、貫通孔のうち最も大きい貫通孔の断面積Sは、0.0104mm〜0.0123mmであり、「L×(S−0.5)」で定義されるアスペクト比Aは、約27〜約29となる。
多孔構造体1は、図1(d)に示すように、射出成形加工時に溶融成形材料中に含まれるガスを排出するガス抜きピン100の先端部である。
ガス抜きピン100は、長手方向に沿ってガス抜き孔112が形成されているピン本体部110と、多孔構造体1とを有する。
詳しい説明は省略するが、ピン本体部110の先端部には、多孔構造体1を取り付けるための本体側ネジ部と、本体側ネジ部の基端側に位置する軸合わせ用円柱部とが形成されている。
多孔構造体1の基端部には、図1(c)に示すように、軸合わせ用円柱部と嵌合する形状を有する軸合わせ用凹部18と、軸合わせ用凹部18の先端側に位置し、本体側ネジ部に対応する構造を有する多孔構造体側ネジ部19とが形成されている。
多孔構造体1は、軸合わせ用円柱部及び軸合わせ用凹部18によって軸合わせされた状態で、本体側ネジ部及び多孔構造体側ネジ部19によって、ピン本体部110の先端部に取り付けられている。
2.多孔構造体1を構成する各部材の構成
(1)筒状外周部材10
筒状外周部材10は、図2に示すように、円筒形状を有し、軸方向に延在する円形孔11を有する。また、筒状外周部材10には、図2(c)に示すように、軸合わせ用凹部18と、多孔構造体側ネジ部19とが形成されている。筒状外周部材は、ステンレス鋼の一種であるSUS303からなる。筒状外周部材の外径は、8.00mmである。円形孔11の直径は、4.00mmである。
(2)円筒状内周部材20a
円筒状内周部材20aは、図3に示すように、軸方向に延在する円形孔21aを有し、軸方向基端側に位置する円筒状内周部材基端部22aと軸方向先端側に位置する円筒状内周部材先端部23aとに区画され、かつ、円筒状内周部材基端部22aから円筒状内周部材先端部23aにかけて連続する複数の溝24aが外周面に形成されている。当該複数の溝24aは、後述する圧入工程の後には、他の部材における複数の溝とともに複数の貫通孔Hを構成する。円筒状内周部材20aは、ステンレス鋼の一種であるSUS303からなる。
円形孔21aの直径は、3.00mmである。
円筒状内周部材基端部22aは、図3(d)に示すように、筒状外周部材10における円形孔11の直径である第1外周側内径ID1(4.00mm)よりも小さな第1内周側外径OD1(3.98mm)を有する。
円筒状内周部材先端部23aは、軸方向先端側に向かって外径が、「第1内周側外径OD1(3.98mm)」から「第1外周側内径ID1(4.00mm)よりも大きな第2内周側外径OD2(4.02mm)」まで徐々に大きくなるようなテーパー形状を有する。なお、当該テーパー形状は、直線的に外径が大きくなるような形状であり、後述する円筒状内周部材20b及び円柱状最内周部材30におけるテーパー形状も同様の形状である。
つまり、円筒状内周部材20aは、「ID1−0.04mm≦OD1<ID1」及び「ID1+0.005mm≦OD2≦ID1+0.04mm」の関係を満たすように設定されている。
複数の溝24aは、溝の壁面同士のなす角が略90°のV字状溝である。複数の溝24aは、軸方向に沿って形成されている。
複数の溝24aの深さdは、0.13mm(130μm)であり、複数の溝24aの数nは、45個である。つまり、円筒状内周部材20aにおいては、「(20.5×d×n)/(π×OD2)=約0.66」となり、円筒状内周部材20aは「0.5≦((20.5×d×n)/(π×OD2))≦0.8」の条件を満たすように設定されている。
また、複数の溝24aの断面積は、それぞれ約0.013mm(約13000μm)である。
なお、本発明において、溝の深さとは、図3(e)に示すように、部材先端部における溝の壁面の長さのことをいう。
円筒状内周部材20aは、図示による詳しい説明は省略するが、後述する圧入工程実施前における円筒状内周部材20aを軸方向先端側から見たときの溝の断面積をS1とし、圧入工程実施後における円筒状内周部材20aを軸方向先端側から見たときの溝の断面積をS2としたとき、「0.8≦(S2/S1)≦0.95」の条件を満たす。
なお、圧入工程実施前における円筒状内周部材を軸方向先端側から見たときの溝の断面積とは、第2内周側外径を構成する弧と、溝の壁面とが構成する略扇形の面積をいう。また、圧入工程実施後における円筒状内周部材を軸方向先端側から見たときの溝の断面積は、多孔構造体1を軸方向先端側から見たときにおける各貫通孔Hの開口面積と等しい。
(3)円筒状内周部材20b
円筒状内周部材20bは、図4に示すように、軸方向に延在する円形孔21bを有し、軸方向基端側に位置する円筒状内周部材基端部22bと軸方向先端側に位置する円筒状内周部材先端部23bとに区画され、かつ、円筒状内周部材基端部22bから円筒状内周部材先端部23bにかけて連続する複数の溝24bが外周面に形成されている。当該複数の溝24bは、後述する圧入工程の後には、他の部材における複数の溝とともに複数の貫通孔Hを構成する。円筒状内周部材20bは、ステンレス鋼の一種であるSUS303からなる。
円形孔21bの直径は、2.00mmである。
円筒状内周部材基端部22bは、円筒状内周部材20aにおける円形孔21aの直径である第1外周側内径ID1(3.00mm)よりも小さな第1内周側外径OD1(2.98mm)を有する。
円筒状内周部材先端部23bは、軸方向先端側に向かって外径が、「第1内周側外径OD1(2.98mm)」から「第1外周側内径ID1(3.00mm)よりも大きな第2内周側外径OD2(3.02mm)」まで徐々に大きくなるようなテーパー形状を有する。
つまり、円筒状内周部材20bは、「ID1−0.04mm≦OD1<ID1」及び「ID1+0.005mm≦OD2≦ID1+0.04mm」の関係を満たすように設定されている。
複数の溝24bは、溝の壁面同士のなす角が略90°のV字状溝である。複数の溝24bは、軸方向に沿って形成されている。
複数の溝24bの深さdは、0.13mm(130μm)であり、複数の溝20bの数nは、36個である。つまり、円筒状内周部材20bにおいては、「(20.5×d×n)/(π×OD2)=約0.70」となり、円筒状内周部材20bは「0.5≦((20.5×d×n)/(π×OD2))≦0.8」の条件を満たすように設定されている。
また、複数の溝24bの断面積は、それぞれ約0.013mm(約13000μm)である。
円筒状内周部材20bは、図示による詳しい説明は省略するが、後述する圧入工程実施前における円筒状内周部材20bを軸方向先端側から見たときの溝の断面積をS1とし、圧入工程実施後における円筒状内周部材20bを軸方向先端側から見たときの溝の断面積をS2としたとき、「0.8≦(S2/S1)≦0.95」の条件を満たす。
(4)円柱状最内周部材30
円柱状最内周部材30は、図5に示すように、円柱状最内周部材基端部32と円柱状最内周部材先端部33とに区画され、円柱状最内周部材基端部32から円柱状最内周部材先端部33にかけて連続する複数の溝34が外周面に形成されている。当該複数の溝34は、後述する圧入工程の後には、他の部材における複数の溝とともに複数の貫通孔Hを構成する。円柱状最内周部材30は、ステンレス鋼の一種であるSUS303からなる。
円柱状最内周部材基端部32は、円筒状内周部材20bにおける円形孔21bの直径、つまり第2外周側内径ID2(2.00mm)よりも小さな第3内周側外径OD3(1.98mm)を有する。
円柱状最内周部材先端部33は、軸方向先端側に向かって外径が、「第3内周側外径OD3(1.98mm)」から「第2外周側内径ID2(2.00mm)よりも大きな第4内周側外径OD4(2.03mm)」まで徐々に大きくなるようなテーパー形状を有する。
つまり、円柱状最内周部材30は、「ID2−0.04mm≦OD3<ID2」及び「ID2+0.005mm≦OD4≦ID2+0.06mm」の関係を満たすように設定されている。
複数の溝34は、溝の壁面同士のなす角が略90°のV字状溝である。複数の溝34は、軸方向に沿って形成されている。
複数の溝34の深さdは、0.13mm(130μm)であり、複数の溝34の数nは、24個である。つまり、円柱状最内周部材30においては、「(20.5×d×n)/(π×OD4)=約0.69」となり、円柱状最内周部材30は「0.2≦((20.5×d×n)/(π×OD4))≦0.8」の条件を満たす。
また、複数の溝30の断面積は、それぞれ約0.013mm(約13000μm)である。
円柱状最内周部材30は、後述する圧入工程実施前における円柱状最内周部材30を軸方向先端側から見たときの溝の断面積をS3とし、圧入工程実施後における円柱状最内周部材30を軸方向先端側から見たときの溝の断面積をS4としたとき、「0.4≦(S4/S3)≦0.80」の条件を満たす。
なお、圧入工程実施前における円柱状最内周部材を軸方向先端側から見たときの溝の断面積とは、第4内周側外径を構成する弧と、溝の壁面とが構成する略扇形の面積をいう。また、圧入工程実施後における円柱状最内周部材を軸方向先端側から見たときの溝の断面積は、多孔構造体1を軸方向先端側から見たときにおける各貫通孔Hの開口面積と等しい。
3.多孔構造体1の製造方法
以下、図6〜図11を用いて、上記した多孔構造体1の製造方法を説明する。
(1)部材準備工程
当該部材準備工程は、上記「2.多孔構造体1を構成する各部材の構成」で説明した筒状外周部材10、円筒状内周部材20a,20b及び円柱状最内周部材30を準備する工程である。
まず、円筒状内周部材10に対応する外径(例えば、8.00mm)及び内径(例えば、4.00mm)を有する管材200を準備する管材準備工程(図6(a)参照。)と、管材200から筒状外周部材10の基材202を切断により形成する切断工程(図6(b)参照。)と、基材202の内部に軸合わせ用凹部18及び多孔構造体側ネジ部19を形成して基材202を筒状外周部材10とする内部構造形成工程(図6(c)及び図6(d)参照。)とをこの順序で実施することにより、筒状外周部材10を作製する。
次に、円筒状内周部材20aに対応する外径(例えば、4.10mm)及び内径(例えば、3.00mm)を有する管材210aを準備する管材準備工程(図7(a)参照。)と、円筒状内周部材20aにおける複数の溝24aに対応する複数の溝を切削加工により管材210aの外周面に形成する溝形成工程(図7(b)参照。)と、管材210aの外周面が円筒状内周部材20aの外周面と同一の形状となるように管材210aの外周面に切削加工を施す外周面整形工程(図7(c)参照。)と、管材210aを所定の長さで切断して作製された円筒状内周部材20aを回収する回収工程(図7(d)参照。)とをこの順序で実施することにより、円筒状内周部材20aを作製する。
次に、円筒状内周部材20bに対応する外径(例えば、3.10mm)及び内径(例えば、2.00mm)を有する管材210bを準備する管材準備工程(図8(a)参照。)と、円筒状内周部材20bにおける複数の溝24bに対応する複数の溝を切削加工により管材210bの外周面に形成する溝形成工程(図8(b)参照。)と、管材210bの外周面が円筒状内周部材20bの外周面と同一の形状となるように管材210bの外周面に切削加工を施す外周面整形工程(図8(c)参照。)と、管材210bを所定の長さで切断して作製された円筒状内周部材20bを回収する回収工程(図8(d)参照。)とをこの順序で実施することにより、円筒状内周部材20bを作製する。
最後に、円柱状最内周部材30に対応する外径(例えば、2.10mm)を有する丸棒220を準備する丸棒準備工程(図9(a)参照。)と、円柱状最内周部材30における複数の溝34に対応する複数の溝を切削加工により丸棒220の外周面に形成する溝形成工程(図9(b)参照。)と、丸棒220の外周面が円柱状最内周部材30の外周面と同一の形状となるように丸棒220の外周面に切削加工を施す外周面整形工程(図9(c)参照。)と、丸棒220を所定の長さで切断して作製された円柱状最内周部材30を回収する回収工程(図9(d)参照。)とをこの順序で実施することにより、円柱状最内周部材30を作製する。
以上のようにして、筒状外周部材10、円筒状内周部材20a,20b及び円柱状最内周部材30を準備する。
なお、上記部材準備工程の説明においては、筒状外周部材10、円筒状内周部材20a、円筒状内周部材20b、円柱状最内周部材30の順番で各部材を作製するように説明したが、本発明はこれに限られず、任意の順番で各部材を作製してもよいし、同時に各部材を作製してもよい。
(2)仮組立体作製工程
部材準備工程の次に、仮組立体作成工程を実施する。
具体的には、図10に示すように、筒状外周部材10の内側に、円筒状内周部材20a,20b及び円柱状最内周部材30がそれぞれ、円筒状内周部材基端部22a,22b側及び円柱状最内周部材基端部32側から順次挿入された構造を有する仮組立体40を作製する。このとき、図10(b)に示すように、円筒状内周部材20a,20bは円筒状内周部材基端部22a,22bと円筒状内周部材先端部23a,23bとの境界まで挿入され、円柱状最内周部材30は円柱状最内周部材基端部32と円柱状最内周部材先端部33との境界まで挿入され、それぞれ正しい姿勢で安定に保持される。
(3)圧入工程
仮組立体作製工程の次に、圧入工程を実施する。
具体的には、図11に示すように、筒状外周部材10に対して、円筒状内周部材20a,20b及び円柱状最内周部材30を軸方向に沿って圧入することにより、筒状外周部材10、円筒状内周部材20a,20b及び円柱状最内周部材30が一体化された多孔構造体1を作製する。圧入は、パンチ310によって行う。
当該圧入工程においては、筒状外周部材10における軸方向基端側に圧力受部材300を配置した状態で、円筒状内周部材20a,20b及び円柱状最内周部材30を軸方向に沿って圧入する。
4.実施形態に係る多孔構造体の製造方法の効果
以下、実施形態に係る多孔構造体の製造方法の効果を記載する。
実施形態に係る多孔構造体の製造方法によれば、「筒状外周部材10と円筒状内周部材20aとの間」、「円筒状内周部材20aと円筒状内周部材20bとの間」及び「円筒状内周部材20bと円柱状最内周部材30との間」の3周にわたって複数の貫通孔Hが形成されているため、従来の多孔構造体901の場合よりも多数の貫通孔を形成することが可能となる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法によれば、筒状外周部材10の内側に、円筒状内周部材20a,20bと、円柱状最内周部材30とが順次挿入された構造を有するため、円筒状内周部材20a,20b及び円柱状最内周部材30としてある程度厚さ寸法の大きいものを用いて、従来の多孔構造体901の場合よりも機械的強度を高くすることが可能となる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法によれば、筒状外周部材10に対して、ともに所定のテーパー形状を有する円筒状内周部材20a,20b及び円柱状最内周部材30を軸方向に沿って圧入することにより多孔構造体1を作製する圧入工程を含むため、筒状外周部材10、円筒状内周部材20a,20b及び円柱状最内周部材30が高い機械的強度で一体化された多孔構造体1を製造することが可能となり、この観点からも、従来の多孔構造体901の場合よりも機械的強度を高くすることが可能となる。
その結果、実施形態に係る多孔構造体の製造方法によれば、従来の多孔構造体901の場合よりも多数の微細貫通孔を形成することが可能で、かつ、従来の多孔構造体901の場合よりも機械的強度を高くすることが可能な多孔構造体を製造することが可能となる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法によれば、第1外周側内径、第1内周側外径、第2内周側外径、第2外周側内径、第3内周側外径及び第4内周側外径の値を適切な値に設定しているので、圧入による貫通孔断面積の矮小化を所定範囲に収めながら、圧入による機械的強度の増大を図ることが可能となるため、多孔構造体の性能と多孔構造体の機械的強度とを両立させることが可能となる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、多孔構造体1が2つの円筒状内周部材20a,20bを備えるため、比較的太い多孔構造体1を製造することができる。また、貫通孔総断面積の比較的大きな多孔構造体を製造することができる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、部材準備工程において準備する円筒状内周部材20a,20bは、上記したような管材準備工程と、溝形成工程と、外周面整形工程とをこの順序で実施することにより作製されたものであるため、通常の切削加工を用いて、管材210a,210bから円筒状内周部材を作製することができる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、管材210a,210bを所定の長さで切断して作製された円筒状内周部材20a,20bを回収する回収工程を実施するため、1本の管材210a,210bから多数の円筒状内周部材20a,20bを高い生産性で作製することが可能となる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、部材準備工程において準備する円柱状最内周部材30は、上記したような丸棒準備工程と、溝形成工程と、外周面整形工程とをこの順序で実施することにより作製されたものであるため、通常の切削加工を用いて、丸棒220から円柱状最内周部材30を作製することができる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、丸棒220を所定の長さで切断して作製された円柱状最内周部材30を回収する回収工程を実施するため、1本の丸棒220から多数の円柱状最内周部材30を高い生産性で作製することが可能となる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、円筒状内周部材20a,20bが「ID1−0.04mm≦OD1<ID1」及び「ID1+0.005mm≦OD2≦ID1+0.04mm」の関係を満たすように設定され、円柱状最内周部材30が「ID2−0.04mm≦OD3<ID2」及び「ID2+0.005mm≦OD4≦ID2+0.06mm」の関係を満たすように設定されているため、適切な圧力範囲で圧入工程を実施することが可能となり、その結果、圧入による貫通孔断面積の矮小化を所定範囲に収めながら、圧入による機械的強度の増大を図ることが可能となる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、部材準備工程において準備する円筒状内周部材20a,20b及び円柱状最内周部材30における各複数の溝24a,24b,34は、溝の壁面同士のなす角が略90°のV字状溝であるため、通常の切削工具を用いて容易に複数の溝を形成することができる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、「0.8≦(S2/S1)≦0.95」の条件を満たすため、高い機械的強度及び大きい貫通孔総断面積を両立させることができる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、「0.4≦(S4/S3)≦0.80」の条件を満たすため、高い機械的強度及び大きい貫通孔総断面積を両立させることができる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、円筒状内周部材20a,20bが「0.5≦((20.5×d×n)/(π×OD2))≦0.8」の条件を満たすように設定されているため、高い機械的強度及び高い貫通孔総断面積比率を両立させることができる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、円柱状最内周部材30が「0.2≦((20.5×d×n)/(π×OD4))≦0.8」の条件を満たすように設定されているため、所定の貫通孔総断面積比率を確保しながら、円柱状最内周部材30を抜け止めピンとして働かせることができ、より一層高い機械的強度を実現することができる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、各複数の溝24a,24b,34の深さは、300μmであるため、比較的浅い溝を用いて貫通孔Hが形成されてなる多孔構造体を製造することが可能となる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、各溝24a,24b,34の断面積が約13000μmであるため、比較的小さな断面積を有する多孔構造体を製造することが可能となる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、「L×(S−0.5)」で定義されるアスペクト比Aが約27〜約29となるため、深孔からなる貫通孔が形成された多孔構造体を製造することが可能となる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、圧入工程において、筒状外周部材10における軸方向基端側に圧力受部材300を配置した状態で、円筒状内周部材20a,20b及び円柱状最内周部材30を軸方向に沿って圧入するため、円筒状内周部材20a,20b及び円柱状最内周部材30を所定の深さまで圧入することが可能となる。また、円筒状内周部材20a,20b及び円柱状最内周部材30を所定の圧力条件下で圧入することが可能となる。
また、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、筒状外周部材10、円筒状内周部材20a,20b及び円柱状最内周部材30がすべて金属素材(SUS303)からなるため、ガス抜きピンの先端部をはじめ種々の用途に使用可能な多孔構造体を製造することが可能となる。
さらにまた、実施形態に係る多孔構造体の製造方法においては、多孔構造体1は、射出成形時に溶融成形材料中に含まれるガスを排出するガス抜きピン100の先端部を構成するため、実施形態に係る多孔構造体の製造方法を用いて、射出成形時に溶融成形材料中に含まれるガスを排出するガス抜きピン100を製造することができる。
以上、本発明の多孔構造体の製造方法を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
(1)上記実施形態においては、2つの円筒状内周部材20a,20bを用いて多孔構造体1を製造したが、本発明はこれに限定されるものではない。図12は、変形例1に係る多孔構造体の製造方法によって製造された多孔構造体2を説明するために示す図である。図13は、変形例2に係る多孔構造体の製造方法によって製造された多孔構造体3を説明するために示す図である。図12に示すように、1つの円筒状内周部材を用いて多孔構造体を製造してもよい。このような方法とすることにより、比較的細い多孔構造体を製造することができる。また、図13に示すように、8つの円筒状内周部材を用いて多孔構造体を製造してもよい。このような方法とすることにより、比較的太い多孔構造体を製造することができる。
(2)本発明の多孔構造体の製造方法によれば、筒状外周部材及び少なくとも1以上の円筒状内周部材としてそれぞれ複数種類の部材を準備するとともに1種類の円柱状最内周部材を準備しておけば、上記実施形態、変形例1及び変形例2における各多孔構造体1,2,3のように様々な種類の多孔構造体を製造することが可能となる。このため、少なくとも1以上の円筒状内周部材及び円柱状最内周部材30については部材の共通化を図ることができ、また、製品毎に多孔構造体を一から設計して製造するのではなく上記した部材を適宜組み合わせるだけで種々の多孔構造体を柔軟に製造できるため、多孔構造体の製造コストを大幅に低減することが可能となる。
(3)上記変形例1及び変形例2においては、上記実施形態の場合と同じ肉厚(0.5mm)の円筒状内周部材を用いて各多孔構造体1,2,3を製造したが、本発明はこれに限定されるものではない。図14は、変形例3に係る多孔構造体の製造方法によって製造された多孔構造体4を説明するために示す図である。図14に示すように、上記実施形態の場合よりも薄い肉厚(0.25mm)を有する円筒状部材を用いて多孔構造体を製造してもよい。また、上記実施形態の場合よりも厚い肉厚を有する円筒状部材を用いて多孔構造体を製造してもよい。
(4)上記実施形態においては、複数の溝24a,24b,34が軸方向に沿って直線的に形成されている各部材20a,20b,30を用いて多孔構造体1を製造したが、本発明はこれに限定されるものではない。図15は、変形例4に係る多孔構造体の製造方法における仮組立体41を示す図である。図15に示すように、複数の溝がらせん状に形成されている各部材を用いて多孔構造体を製造してもよい。
(5)上記実施形態においては、貫通孔Hの長さが3mmの多孔構造体1を製造したが、本発明はこれに限定されるものではない。図16は、変形例5に係る多孔構造体の製造方法によって製造された多孔構造体6を説明するために示す図である。図16に示すように、貫通孔の長さが実施形態の場合よりも長い多孔構造体を製造してもよい。
(6)上記実施形態及び各変形例に係る多孔構造体の製造方法においては、圧入工程の後に曲げ加工工程をさらに実施することにより、曲線状の多孔構造体を製造することができる。なお、ここで言う曲げ加工工程とは、貫通孔を維持したまま多孔構造体を曲げ加工する工程をいう。
(7)上記実施形態においては、単調に外径が大きくなるようなテーパー形状の円筒状内周部材先端部23a,23b及び円柱状最内周部材先端部33を有する各部材20a,20b,30を用いて多孔構造体1を製造したが、本発明はこれに限定されるものではない。図17は、変形例6に係る多孔構造体の製造方法における各部材20a,20b,30を説明するために示す図である。例えば、図17に示すように、途中まで単調に外径が大きくなり(符号23a−1,23b−1,33−1)、その後は外径の変化のない(符号23a−2,23b−2,33−2)テーパー形状の円筒状内周部材先端部及び円柱状最内周部材先端部を有する各部材を用いて多孔構造体を製造してもよい。また、曲線的に外径が大きくなるようなテーパー形状の円筒状内周部材先端部及び円柱状最内周部材先端部を有する各部材を用いて多孔構造体を製造してもよい。
(8)上記実施形態においては、全て同形状の複数の溝24a,24b,34を用いて貫通孔Hを形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。図18は、変形例7に係る多孔構造体の製造方法によって製造された多孔構造体8の上面図である。図19は変形例8に係る多孔構造体の製造方法によって製造された多孔構造体9の上面図である。例えば、図18に示すように、同一周に位置する溝のサイズ(又は形状)が一定でないような貫通孔を形成してもよいし、図19に示すように、異なる部材間で溝のサイズ(又は形状)が異なるような貫通孔を形成してもよい。また、軸方向に沿ってサイズ(又は形状)が変化する(分岐する、段々太くなる等)溝を用いて貫通孔を形成してもよい。
(9)上記実施形態においては、SUS303からなる各部材10,20a,20b,30を用いて多孔構造体を製造したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、熱間金型鋼、SUS303以外のステンレス鋼などの鉄鋼、その他の鉄合金、金、銀、白金などの貴金属、チタン、タンタルなどのレアメタル、アルミニウム、銅、これらの金属の合金などからなる各部材を用いて多孔構造体を製造してもよい。
(10)上記実施形態においては、全て同様の金属素材(SUS303)からなる各部材10,20a,20b,30を用いて多孔構造体を製造したが、本発明はこれに限定されるものではない。少なくとも1つの部材が他の部材とは異なる金属素材からなる各部材を用いて多孔構造体を製造してもよい。
(11)上記実施形態においては、ガス抜きピン100の先端部である多孔構造体1を製造したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ガス抜きピンである多孔構造体を製造してもよい。また、原子力発電所の冷却管内の圧力が所定値よりも高くならないようにするための圧力逃がしフィルター、自動車の排気ガスなどからパティキュレート、窒素酸化物などを除去する排気ガス浄化用の触媒担持用フィルター、燃料電池の陽極又は陰極に用いられ触媒を担持可能な電極材料、生体内から血栓、異物などを除去するための異物フィルターなどに用いる多孔構造体を製造してもよい。
(12)上記実施形態において設定した各寸法は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。各寸法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更することができる。
1,2,3,4,6,8,9,901…多孔構造体、10…筒状外周部材、20,20a,20b,20c,20d,20e,20f,20g,20h,20i,20j,20k,20l,20m,20n,20o,20p…円筒状内周部材、21,21a,21b…第2円形孔、22,22a,22b…円筒状内周部材基端部、23,23a,23b…円筒状内周部材先端部、24,24a,24b…溝、30…円柱状最内周部材、32…円柱状最内周部材基端部、33…円柱状最内周部材先端部、34…溝、100,900…ガス抜きピン、110…ピン本体部、112…ガス抜き孔、910…筐体部材、920…プラグ部材、922,H…貫通孔

Claims (18)

  1. 筒状外周部材の内側に、少なくとも1以上の円筒状内周部材と、円柱状最内周部材とが順次挿入された構造を有し、かつ、前記筒状外周部材、前記円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材のうち、径方向に隣接する2つの部材間に複数の貫通孔が形成されてなる多孔構造体を製造するための多孔構造体の製造方法であって、
    「前記筒状外周部材」、「前記円筒状内周部材」及び「前記円柱状最内周部材」として、「軸方向に延在する円形孔を有する前記筒状外周部材」、「『軸方向に延在する円形孔を有し』、かつ『外周側に配置される部材における円形孔の直径(以下、第1外周側内径という。)よりも小さな第1内周側外径を有し軸方向基端側に位置する円筒状内周部材基端部と、軸方向先端側に向かって外径が、前記第1外周側内径よりも小さな前記第1内周側外径から前記第1外周側内径よりも大きな第2内周側外径まで徐々に大きくなるようなテーパー形状を有し軸方向先端側に位置する円筒状内周部材先端部とに区画され』、かつ、『前記円筒状内周部材基端部から前記円筒状内周部材先端部にかけて連続する複数の溝が外周面に形成された円筒状内周部材』」及び「『外周側に配置される部材における円形孔の直径(以下、第2外周側内径という。)よりも小さな第3内周側外径を有し軸方向基端側に位置する円柱状最内周部材基端部と、軸方向先端側に向かって外径が、前記第2外周側内径よりも小さな前記第3内周側外径から前記第2外周側内径よりも大きな第4内周側外径まで徐々に大きくなるようなテーパー形状を有し軸方向先端側に位置する円柱状最内周部材先端部とに区画され』、かつ、『前記円柱状最内周部材基端部から前記円柱状最内周部材先端部にかけて連続する複数の溝が外周面に形成された円柱状最内周部材』」とを準備する部材準備工程と、
    前記筒状外周部材の内側に、前記少なくとも1以上の円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材がそれぞれ、前記円筒状内周部材基端部側及び前記円柱状最内周部材基端部側から順次挿入された構造を有する仮組立体を作製する仮組立体作製工程と、
    前記筒状外周部材に対して、前記少なくとも1以上の円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材を軸方向に沿って圧入することにより、前記筒状外周部材、前記少なくとも1以上の円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材が一体化された多孔構造体を作製する圧入工程とをこの順序で含むことを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記多孔構造体は、前記少なくとも1以上の円筒状内周部材として、単一の円筒状内周部材を備えることを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  3. 請求項1に記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記多孔構造体は、前記少なくとも1以上の円筒状内周部材として、少なくとも2以上の円筒状内周部材を備えることを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記部材準備工程において準備する前記円筒状内周部材は、
    前記円筒状内周部材に対応する外径及び内径を有する管材を準備する管材準備工程と、
    前記円筒状内周部材における前記複数の溝に対応する複数の溝を切削加工により前記管材の外周面に形成する溝形成工程と、
    前記管材の外周面が前記円筒状内周部材の外周面と同一の形状となるように前記管材の外周面に切削加工を施す外周面整形工程とをこの順序で実施することにより作製されたものであることを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記部材準備工程において準備する前記円柱状最内周部材は、
    前記円柱状最内周部材に対応する外径を有する丸棒を準備する丸棒準備工程と、
    前記円柱状最内周部材における前記複数の溝に対応する複数の溝を切削加工により前記丸棒の外周面に形成する溝形成工程と、
    前記丸棒の外周面が前記円柱状最内周部材の外周面と同一の形状となるように前記丸棒の外周面に切削加工を施す外周面整形工程とをこの順序で実施することにより作製されたものであることを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記部材準備工程において準備する前記円筒状内周部材は、前記第1内周側外径をOD1、前記第2内周側外径をOD2とし、前記第1外周側内径をID1としたとき、「ID1−0.04mm≦OD1<ID1」及び「ID1+0.005mm≦OD2≦ID1+0.04mm」の関係を満たすように設定され、
    前記部材準備工程において準備する前記円柱状最内周部材は、前記第3内周側外径をOD3、前記第4内周側外径をOD4とし、前記前記第2外周側内径をID2としたとき、「ID2−0.04mm≦OD3<ID2」及び「ID2+0.005mm≦OD4≦ID2+0.06mm」の関係を満たすように設定されていることを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記部材準備工程において準備する前記円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材における前記複数の溝は、V字状溝であることを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  8. 請求項7に記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記圧入工程実施前における前記円筒状内周部材を前記軸方向先端側から見たときの溝の断面積をS1とし、前記圧入工程実施後における前記円筒状内周部材を前記軸方向先端側から見たときの溝の断面積をS2としたとき、「0.8≦(S2/S1)≦0.95」の条件を満たすことを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  9. 請求項8に記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記圧入工程実施前における前記円柱状最内周部材を前記軸方向先端側から見たときの溝の断面積をS3とし、前記圧入工程実施後における前記円柱状最内周部材を前記軸方向先端側から見たときの溝の断面積をS4としたとき、「0.4≦(S4/S3)≦0.80」の条件を満たすことを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  10. 請求項7に記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記部材準備工程において準備する前記円筒状内周部材における溝の深さd及び数nは、前記軸方向先端側における前記第2内周側外径をOD2としたとき、「0.5≦((20.5×d×n)/(π×OD2))≦0.8」の条件を満たすように設定されていることを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  11. 請求項10に記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記部材準備工程において準備する前記円柱状最内周部材における溝の深さd及び数nは、前記軸方向先端側における前記第4内周側外径をOD4としたとき、「0.2≦((20.5×d×n)/(π×OD4))≦0.8」の条件を満たすように設定されていることを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  12. 請求項7〜11のいずれかに記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記部材準備工程において準備する前記円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材における前記複数の溝の深さは、10μm〜1000μmの範囲内にあることを特徴とすることを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  13. 請求項7〜12のいずれかに記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記部材準備工程において準備する前記円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材における前記複数の溝の断面積は、75μm〜1000000μmの範囲内にあることを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記貫通孔のうち最も大きい貫通孔の断面積をSとし、前記貫通孔の長さをLとしたとき、「L×(S−0.5)」で定義されるアスペクト比Aは、10以上であることを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記圧入工程においては、前記筒状外周部材における軸方向基端側に圧力受部材を配置した状態で、前記少なくとも1以上の円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材を軸方向に沿って圧入することを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記筒状外周部材、前記少なくとも1以上の円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材は、すべて金属素材からなることを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  17. 請求項16に記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記筒状外周部材、前記少なくとも1以上の円筒状内周部材及び前記円柱状最内周部材のうち少なくとも1つの部材は、他の部材とは異なる金属素材からなることを特徴とする多孔構造体の製造方法。
  18. 請求項1〜17のいずれかに記載の多孔構造体の製造方法において、
    前記多孔構造体は、射出成形加工時に溶融成形材料中に含まれるガスを排出するガス抜きピン又はその先端部であることを特徴とする多孔構造体の製造方法。
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