JP5564839B2 - スタンピング成形品 - Google Patents
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また、強化繊維の長さ分布をブロードにして短繊維分率を上げることが特許文献1に、また繊維長の短い強化繊維を併用して複合材の流動性を上げることも特許文献2に開示されているが、強化繊維の短化は、強度や衝撃強さが低下する問題があった。
また高い強化材含有量であるにもかかわらず、複合材が高い流動性を有する本発明のプリプレグは、スタンピング成形時のプリプレグの配置パターンの自由度が高く、成形が容易になることや、不良品率が小さくなる効果も有する。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
2.5mm以下のリブやボス根元厚さ(amm)と高さ(bmm)が(1)式の関係にあるリブおよび/またはボスを有する成形品において、そのリブやボス部に、平均繊維長が7.5〜75mmである繊維状強化材を15〜60容量%含有することを特徴とするスタンピング成形品である。
100>b>5a + 10 (1)
また成形品のリブおよび/またはボスの末端と末端から2mmの範囲の繊維状強化材容量%(c)と基板部のその容量%(d)が(2)式の関係にあることが好ましい態様であるスタンピング成形品
0.9c < d <1.1c (2)
さらに熱可塑性樹脂がポリプロピレンまたはポリアミドであることが好ましい態様であるスタンピング成形品である。
特に、幅wに対して、長さがw〜10wであり、かつ厚さが0.001w〜0.05wであるテープ状プリプレグがシート状に予備成形され、強化繊維がランダム配向していることが好ましい態様であるスタンピング成形品用プリプレグである。テープ状のプリプレグを前躯体とすることで、繊維が絡み合わず、金型内でテープが滑るように流動することにより、高い流動性と強化材の分配が均一に配分されやすいためと考察される。またテープ表面には、コア部に比較して強化材の分率の低い樹脂層が形成されていることからテープ界面の流動性が高くなっていると推察される。
また繊維強化材の容量%(e)に対して、(3)式の関係にある成形圧力(MPa)(f)にて圧縮成形されたことが好ましい態様であるスタンピング成形品である。
0.1<f/e<2 (3)
本発明の成形品は、一般のプリプレグより、f/eが非常に低く特定範囲の場合により優れた成型品が得られる。
強度や剛性の高いリブやボスを有し、広い底面積や空間容積を有する、より軽い成形品を提供することが可能となる。製品の剛性が高くなることと強化繊維を含有した状態で高い流動性を有することから、成形品の基板の薄肉化が可能となる。成形品の軽量化が成される。
本発明のスタンピング成形品は、流動性が高い長繊維強化熱可塑性複合材料によって可能となる。一般的に相反する高い流動性と高い補強性を両立したスタンピング成形品を提供できる理由は、未だ明確ではないが、適正な粘度と強化繊維と樹脂の優れた濡れ性を有する樹脂を使用したことと、複合材料を低い圧力で流動させることにより、樹脂分と繊維の分離が殆ど起こらないこと、予め繊維を一軸配向した状態のテープ状のプリプレグを使用するか、このテープ状プリプレグを適当な長さにカットし、テープをランダム配向シートとして予備成形したプリプレグを使用することで、長繊維が絡み合わず、先ず繊維束として流動することが相乗効果として組み合わさり、繊維と樹脂が分離することなく高流動が達成されたものと考察される。
本発明には、成形品中の平均繊維長が7.5〜75mmである繊維状強化材を15〜60容量%含有する熱可塑性樹脂が使用される。好ましくは、平均繊維長が10mm〜50mm強化材を、30〜55容量%、更に好ましくは、平均繊維長が20mm〜50mm強化材を、35〜55容量%含有する熱可塑性樹脂が使用される。平均繊維長が7.5mm未満では、補強効果が低く成形品の剛性が低く好ましくない。また平均繊維長が75mmを超えると、流動性が低下して、本発明の達成は困難であり好ましくない。繊維状強化材は、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、PBO繊維、スチール繊維などである。これらの中では、本発明の目的達成にはガラス繊維や炭素繊維や黒鉛繊維が好ましい。繊維状強化材が、15容量%未満では、剛性が低く好ましくない。また60容量%を超えると、繊維への樹脂含浸性が低く、複合材料中のボイド率が高くなり、強度や剛性が期待値に未達となり好ましくない。
100>b>5a + 10
リブ高さが100mmを超えると、リブ部のソリ変形が大きくなり実用的に好ましくない。
また(5a+10)未満の場合、組み立て成形品の空間が高い場合、リブによる空間仕切り性や剛性改善効果が小さく好ましくない。
本発明に使用される熱可塑性樹脂は、繊維との接着性を高めるために、変性されているものが好ましい。例えば、ポリプロピレンやポリメチルペンテンやシンジオタクチックポリスチレンの場合、無水マレイン酸やイタコン酸のような不飽和酸やグリシジルメタクリレートのような不飽和エポキシによる変性されたものが好ましい。
0.1<f/e<2 (3)
本発明の成形品は、繊維含有率あたり流動性が非常に高く、強化材の高含有率の場合も低い圧力で成形可能であり、細いリブやボス部にも高含有率の複合材料が充填されることが特徴である。特開2004−143226には、繊維含有率40容量%のプリプレグを2MPaの圧力で成形することが開示されているが、本発明のリブ成形品には、f/eが0.1、好ましくは0.2を超えることが好ましい。0.1未満では、成形品表面に繊維が露出することがあり好ましくない。またf/eは、2未満、好ましくは1.7未満が好ましい。f/eが2を超えると、強化繊維と樹脂が分離して流動し、流動末端に近いリブやボス部には強化材の分配が不十分になり好ましくない。平均繊維長が7.5mm以上の繊維がランダムに配合されたプリプレグを厚さ1〜3mmのリブやボスを有する成形品をスタンピング成形により、充填するには、通常5以上のf/eが必要である。また充填されても流動と共に繊維含有率は低下し、先端まで繊維が均一に分配されない。連続繊維のマットやクロスにおいては、f/eが5以上でも強化繊維をリブやボスに充填することは困難である。本発明の好ましい態様であるf/eが2未満で成形可能となるには、前躯体の構成や形状が特定の場合のみ可能となる。
本発明の(3)を満足する方法としては、〔0015〕に記載したメルトフローレートを選定すると共に〔0021〕に記載のテープの形状を選定すれば良い。
繊維の絡み合いが殆どないように、プリプレグが作製されることが本発明の特徴のひとつである。
100>b>10a + 10 (1)
本発明の成形品のリブ高さbは、リブの根元厚さに依存する。根元厚さが厚くなるとリブ高さが高くすることが可能であり、また高い程、剛性改善や空間拡大で好ましい。高さbが(10a+10)以下では、リブやボスによる剛性改善効果が低く好ましくない。また、100以上にあるとスタンピング成形後、リブやボス部の離型抵抗が大変高くなり、脱型時破損することがあるので好ましくない。
0.9c < d <1.1c (2)
dが、0.9c以下では、先端の強度や剛性が低く、外力で破損しやすく好ましくない。また、1.1c以上では、繊維が浮き出し表面平滑性が低下し、外観がわるくなることや離型性が低下して好ましくない。高い圧縮力でスタンピング成形すると、流動末端のdは、0.9より低下し、好ましくない。これは、複合材料中の樹脂分が繊維分より多く偏在していることを示している。これは、含水した布から脱水する作用に類似した機構によると考察される。
本発明の複合材から得られた成形部品は、自動車のフレーム、2輪車のフレーム、農機具のフレーム、OA機器のフレーム、機械部品など高い強度と剛性の必要な部品に利用される。
実施例 1〜15
また強化繊維のロービングを100質量部になる速度で拡張開繊して含浸台のダイヘッドに供給した。表1に示した無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂を融点より40〜70℃高い温度に温度調節されたスクリュー式押し出し機のホッパーに投入し、溶融樹脂をギアポンプにより計量して含浸台のダイヘッドに供給した。含浸台で加圧含浸、脱泡後、幅10mm・高さ0.2mmのダイから含浸被覆されたテープ状プリプレグを押し出し、空冷固化した後、枷に巻き取った。
7.5mmから100mmにカットされたテープ状プリプレグを300mm×300mm×6mmの平板状の型内にランダムにばらまき供給する。型を熱可塑性樹脂の融点より20〜100℃程加熱した後、圧縮し、型を高温結晶化温度より、50〜120℃低温まで冷却して、強化繊維がランダム配向したシート状プリプレグを得た。
得られた強化材がランダム配向したプリプレグシートから40mm×40mm×6mm切り出した。これをIRヒータで、融点より20℃低い温度まで加熱した後、図1に示したようにいろいろな形状のリブを有する金型キャビティの中央部に置いた。金型は予め融点より約40℃高く温度調節しておき、表1に示した圧力でスタンピング成形した後、表1に示した温度まで冷却して、脱型した。
本発明に使用された熱可塑性樹脂の融点は、示走査熱量計を使用し、窒素40ml/min流動下で、20℃/minにて昇温して、融解吸熱のピーク温度を融点とした。
リブの根元厚さは、成形収縮率を無視して、入れ子金型の図面上の厚さと同じと仮定した。
充填リブ高さは、図1に示した種々の形状を有する入れ子式リブ付金型にてスタンピング成形した成形品のリブ充填性を目視で判断し、充填―欠肉の境界高さを求めてリブ高さとした。
成形品の基板部分とリブ先端〜リブ先端から2mmの範囲部分から2〜3gサンプリングして、650℃の電気炉で炭化成分がなくなるまで加熱して、繊維の容量分率を求めた。
熱可塑性樹脂の種類や配合比、テープ状プリプレグ形状、およびスタンピング成形条件を表2に示したように変更した以外は、実施例と全く同様にプリプレグを作製した後、リブ付平板を成形した。得られた試験片について,実施例と全く同様に,流動リブ高さ、強化材容量%を測定した。得られた試験データを表2に合わせて示した。
比較例10
繊維径15μmの連続ガラス繊維からなる目付け1g/m2のマットとMAH003の0.1mm厚さの押出シート5枚重ねを交互に5層重ね、230℃に加熱したハンドプレスにて、加熱圧縮して変性ポリプロピレンを溶融含浸し、マット強化プリプレグを得た。
繊維含有率は約40容量%であった。得られたプリプレグを使用して、実施例1と全く同様にスタンピング成形を試みた。成形圧力60MPaでは、リブ高さ1mm以上は充填しなかった。
比較例11
目付け1g/m2のマットを目付け12g/m2の平織りのクロスにした以外が比較例7と全く同様にプリプレグを作製し、スタンピング成形を行ったが、根元厚さ2,1mmのリブには、高さ1.2mm以下の充填しかなくリブの成形品が得られなかった。
MAH003:ポリプロピレンW101(住友化学社製)98.5質量部に、ジクミルパーオキサイド(日本油脂社製パークミルD)0.5質量部、粉末化した無水マレイン酸(ナカライテスク社製)2質量部を予備混合して、190℃に温度調節された二軸押出機のホッパーに供給して、スクリュウ80回転/分にて溶融反応して得たストランドを水槽で冷却固化して得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MFR50g/min)、融点165℃
PP1:未変性ポリプロピレン(プライムポリマー社製、J139、MFR50g/10min、融点166℃)
T840:ポリアミド樹脂 PA6(東洋紡績社製、250℃におけるMFR 73g/10min,融点227℃)
T600:ポリアミド樹脂 PAMXD6(東洋紡績社製、270℃におけるMFR95g/10min,融点243℃)
EMC700:ポリブチレンテレフタレート(東洋紡績社製、250℃におけるMFR60g/10min、融点225℃)
GF−R:ガラス繊維ロービング、(日本電気硝子社製、AR2500H−103,31ストランド)
CF−R:炭素繊維、帝人社製東邦テナックス IMS40(単繊維径6.4μm、6000フィラメント)
(B):立面図
a :リブ根元厚さ
b :リブ高さ
c :基板部
Claims (4)
- 2.5mm以下のリブやボス根元厚さ(amm)と高さ(bmm)が(1)式の関係にあるリブおよび/またはボスを有する成形品において、そのリブやボス部に、平均繊維長が20〜75mmである繊維状強化材を15〜60容量%含有し、かつ成形品のリブおよび/またはボスの末端と末端から2mmの範囲の繊維状強化材容量%(c)と基板部のその容量%(d)が(2)式の関係にあることを特徴とするスタンピング成形品。
100>b>5a + 10 (1)
0.9c < d <1.1c(2) - 熱可塑性樹脂がポリプロピレンまたはポリアミドであることを特徴とする請求項1のスタンピング成形品。
- 幅wに対して、長さがw〜10wであり、かつ厚さが0.001w〜0.05wであるテープ状プリプレグを予備成形した強化繊維がランダム配向したシート状プリプレグを圧縮成形して得られることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスタンピング成形品。
- 繊維強化材の容量%(e)に対して、(3)式の関係にある成形圧力(MPa)(f)にて圧縮成形されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のスタンピング成形品。
0.1<f/e<2 (3)
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