JP5564839B2 - スタンピング成形品 - Google Patents

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本発明は、高流動性を有する長繊維強化熱可塑性樹脂からなる複合材料をスタンピング成形した特定形状の成形品に関する。更に詳しくは、特定圧力下で一体成形された特定の薄くて高いリブやボス構造を有し、その先端部分まで均一に複合材料が充填し、かつその繊維含有率や物性が基板部と均一であるスタンピング成形品に関する。
長繊維強化熱可塑性樹脂をスタンピング成形した成形品は、工業的に広く使用されていた(例えば、文献1参照)。高いリブやボスを有する成形品は剛性が高くなり、繊維強化による剛性向上の効果を相乗的に発揮できることから、高いリブやボス構造を有する成形品の一体成形は、製品設計の上から強い要求があった。またリブやボス構造は、成形品内部の仕切り板としてや、部品の接合にも有用であることからも、高いリブやボス構造の一体成形の高い要求があった。
しかし、従来技術では、強化材である繊維が長繊維であるため、成形用金型内での複合材料の流動性が低く、高いリブやボス部の成形が、特に薄くて高いリブやボス部の成形は困難であった。強化材がランダム配合した等方性に近い成形品は、通常、強化材のマットやクロスから作製されたプリプレグから成形される。しかし、強化材マットや強化材クロスに樹脂を含浸したプリプレグは、繊維がからみあっており、流動性は低く、特に強化繊維の流動は困難であった。金型の表面と平行な面方向には、成形に提供されるプリプレグを広範囲に配置することで流動性はカバーされてきたが、金型面に対して垂直方向のリブやフランジ部にはプリプレグを配置することが困難なことから、高いリブやボス構造を有する成形品には制限があった。また、高い圧力や高い温度で圧縮成形すると流動性は高くなるが、樹脂分のみ流れ、強化繊維が流動の先端まで流れず、成形品中の強化繊維の分布が偏った成形品となる問題があった。また、溶融粘度の低い熱可塑性樹脂を母相として、流動性を高めることも開示されたが、金型を使用してスタンピング成形する時、強化材である繊維と熱可塑性樹脂が金型内で分離して流れ、流動末端や細いリブやボス構造部まで繊維は流れこまず、繊維補強効果が極度に低下し、リブの強度が低いという問題があった。このように、複合材料においては、樹脂の流れにより強化繊維を流す必要があり、成形条件における樹脂の粘度の設計は試行錯誤されていた。
リブやボス部への強化繊維の流動性を高める為に、リブの根元厚さを3mm以上としてリブやボスのテーパーを大きくとる方法も取られているが、テーパーを大きくとると、リブやボスの根元部が大変厚くなり、成形品内部の空間や底面積が小さくなることや、成形品が重くなるという問題点があった。
また、強化繊維の長さ分布をブロードにして短繊維分率を上げることが特許文献1に、また繊維長の短い強化繊維を併用して複合材の流動性を上げることも特許文献2に開示されているが、強化繊維の短化は、強度や衝撃強さが低下する問題があった。
本発明は、スタンピング成形により、長繊維強化熱可塑性樹脂の高い強度や耐衝撃性をリブやボス部においても保持して、広い底面積や空間を有し、成形品の剛性が非常に高くなる、高いリブやボス構造を有する成形品を提供することにある。
また高い強化材含有量であるにもかかわらず、複合材が高い流動性を有する本発明のプリプレグは、スタンピング成形時のプリプレグの配置パターンの自由度が高く、成形が容易になることや、不良品率が小さくなる効果も有する。
工業材料、37(1)、53〜57(1989)
特開平9−216966号公報 特許第3993292号公報
本発明の課題は、一体成形された特定の薄くて高いリブやボス構造を有し、その先端部分まで均一に複合材料が充填し、かつその繊維含有率や物性が基板部と均一であるスタンピング成形品を提供することである。
本発明者らは、薄くて高いリブやボスの先端まで強化繊維が十分充填する成形品を得るべき鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
2.5mm以下のリブやボス根元厚さ(amm)と高さ(bmm)が(1)式の関係にあるリブおよび/またはボスを有する成形品において、そのリブやボス部に、平均繊維長が7.5〜75mmである繊維状強化材を15〜60容量%含有することを特徴とするスタンピング成形品である。
100>b>5a + 10 (1)
また成形品のリブおよび/またはボスの末端と末端から2mmの範囲の繊維状強化材容量%(c)と基板部のその容量%(d)が(2)式の関係にあることが好ましい態様であるスタンピング成形品
0.9c < d <1.1c (2)
さらに熱可塑性樹脂がポリプロピレンまたはポリアミドであることが好ましい態様であるスタンピング成形品である。
特に、幅wに対して、長さがw〜10wであり、かつ厚さが0.001w〜0.05wであるテープ状プリプレグがシート状に予備成形され、強化繊維がランダム配向していることが好ましい態様であるスタンピング成形品用プリプレグである。テープ状のプリプレグを前躯体とすることで、繊維が絡み合わず、金型内でテープが滑るように流動することにより、高い流動性と強化材の分配が均一に配分されやすいためと考察される。またテープ表面には、コア部に比較して強化材の分率の低い樹脂層が形成されていることからテープ界面の流動性が高くなっていると推察される。
また繊維強化材の容量%(e)に対して、(3)式の関係にある成形圧力(MPa)(f)にて圧縮成形されたことが好ましい態様であるスタンピング成形品である。
0.1<f/e<2 (3)
本発明の成形品は、一般のプリプレグより、f/eが非常に低く特定範囲の場合により優れた成型品が得られる。
本発明により、強度や剛性が飛躍的に高く、高いリブやボス構造を有する一体成形されたスタンピング成形品を提供することができる。
強度や剛性の高いリブやボスを有し、広い底面積や空間容積を有する、より軽い成形品を提供することが可能となる。製品の剛性が高くなることと強化繊維を含有した状態で高い流動性を有することから、成形品の基板の薄肉化が可能となる。成形品の軽量化が成される。
本発明のスタンピング成形品は、流動性が高い長繊維強化熱可塑性複合材料によって可能となる。一般的に相反する高い流動性と高い補強性を両立したスタンピング成形品を提供できる理由は、未だ明確ではないが、適正な粘度と強化繊維と樹脂の優れた濡れ性を有する樹脂を使用したことと、複合材料を低い圧力で流動させることにより、樹脂分と繊維の分離が殆ど起こらないこと、予め繊維を一軸配向した状態のテープ状のプリプレグを使用するか、このテープ状プリプレグを適当な長さにカットし、テープをランダム配向シートとして予備成形したプリプレグを使用することで、長繊維が絡み合わず、先ず繊維束として流動することが相乗効果として組み合わさり、繊維と樹脂が分離することなく高流動が達成されたものと考察される。
図1はリブ付成形品形状を示したものである。
以下、本発明を詳述する。
本発明には、成形品中の平均繊維長が7.5〜75mmである繊維状強化材を15〜60容量%含有する熱可塑性樹脂が使用される。好ましくは、平均繊維長が10mm〜50mm強化材を、30〜55容量%、更に好ましくは、平均繊維長が20mm〜50mm強化材を、35〜55容量%含有する熱可塑性樹脂が使用される。平均繊維長が7.5mm未満では、補強効果が低く成形品の剛性が低く好ましくない。また平均繊維長が75mmを超えると、流動性が低下して、本発明の達成は困難であり好ましくない。繊維状強化材は、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、PBO繊維、スチール繊維などである。これらの中では、本発明の目的達成にはガラス繊維や炭素繊維や黒鉛繊維が好ましい。繊維状強化材が、15容量%未満では、剛性が低く好ましくない。また60容量%を超えると、繊維への樹脂含浸性が低く、複合材料中のボイド率が高くなり、強度や剛性が期待値に未達となり好ましくない。
本発明のスタンピング成形品は、2.5mm以下のリブ根元厚さ(amm)と高さ(bmm)が(1)式の関係にあるリブおよび/またはボスを有することを特徴とするスタンピング成形品である。
100>b>5a + 10
リブ高さが100mmを超えると、リブ部のソリ変形が大きくなり実用的に好ましくない。
また(5a+10)未満の場合、組み立て成形品の空間が高い場合、リブによる空間仕切り性や剛性改善効果が小さく好ましくない。
本発明に使用されるガラス繊維としては、EガラスかSガラスが好ましく、特に単繊維径が3〜22μmが好ましく、さらに5〜20μmが特に好ましい。3μm未満では、含浸や脱泡が難しく、20μmを超えると、比表面積が小さくなり、複合化の効果が小さくなり好ましくない。本発明に使用されるガラス繊維は、界面接着性改良のために、シラン系カップリング剤かチタン系カップリング剤で表面処理されていることが好ましい。作業工程の取り扱い性から、120℃以下で軟化する収束剤により収束されていることが好ましい。収束フィラメント数には特に制限ないが、500〜20000フィラメント、好ましくは、1000〜10000フィラメントが好ましい。ロービングは10〜50ストランドからなり、各ストランドは100〜200フィラメントからなるものが好ましい。
炭素繊維としては、製造法に特に制限されないが、ポリアクリロニトル繊維やセルロース繊維などの繊維を空気中で200〜300℃にて処理した後、不活性ガス中で1000〜3000℃以上で焼成され炭化製造された引っ張り強度20t/cm以上、引っ張り弾性率200GPa以上の炭素繊維が好ましい。本発明に使用される単繊維径は、特に制限されないが、複合化の製造ライン工程から3〜20μmが好ましく、特に4〜15μm好ましい。3μm未満では、含浸や脱泡が難しく、20μmを超えると、比表面積が小さくなり、複合化の効果が小さくなり好ましくない。本発明に使用される炭素繊維は、空気や硝酸による湿式酸化、乾式酸化、ヒートクリーニング、ウイスカライジングなどによる接着性改良のための処理されたものが好ましい。また本発明の複合材料製造に使用される炭素繊維は、作業工程の取り扱い性から、120℃以下で軟化する収束剤により収束されていることが好ましい。収束フィラメント数には特に制限ないが、1000〜30000フィラメント、好ましくは、3000〜25000フィラメントが好ましい。
本発明に使用される熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリアミド6、ポリアミドMXD6,ポリアミド12、ポリアミド11、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリメチルペンテン、シンジオタクチックポリスチレンやこれらの共重合体やポリマーアロイ体などが挙げられる。これらの中では、ポリプロピレン、ポリアミド6、ポリアミドMXD6、ポリブチレンテレフタレートが、成形加工性と物性のバランスからして好ましい。特に、ポリプロピレンとポリアミドが好ましい。
本発明に使用される熱可塑性樹脂は、繊維との接着性を高めるために、変性されているものが好ましい。例えば、ポリプロピレンやポリメチルペンテンやシンジオタクチックポリスチレンの場合、無水マレイン酸やイタコン酸のような不飽和酸やグリシジルメタクリレートのような不飽和エポキシによる変性されたものが好ましい。
ポリプロピレンとしては、アイソタクチックポリプロピレンのホモタイプ、ブロックタイプ、シンジオタクチックポリプロピレンなどが使用される。結晶性の低いアタクチックポリプロピレンは、複合材の成形加工性に劣るので本発明には好ましくない。ポリプロピレンにポリエチレンやポリブテンなど他のポリオレフィンがブロック共重合されたブロックタイプポリプロピレンも本発明に使用される。特に、耐衝撃性が要求される構造材用複合材料には好ましい態様である。本発明の複合材料においては、さらに未変性ポリプロピレンを配合することでも本発明の目的は達成される。特に、使用される無水マレイン酸変性ポリプロピレンのメルトフローレートが100g/10minを越える場合、より高分子量の未変性ポリプロピレンをブレンドすることにより、混合体のメルトフローレートを30〜120g/10minに、好ましくは40〜100g/10minに調節することが好ましい。工業的に好ましい態様である。 変性体と未変性体の合計質量に対して、無水マレイン酸変性量は、0.01〜4質量%、好ましくは0.02〜3質量%であり、変性体と未変性体の比率は、4:6〜0.5:9.5が、さらに好ましくは、2:8〜0.7:9.3である。変性体に対する未変性体の比が4:6未満では経済的効果が小さく、0.5:9.5を超えると炭素繊維とポリプロピレンの界面に対して変性体が不足して欠陥点となることがあり好ましくない。
本発明に使用される熱可塑性樹脂は、融点より30℃高い温度における21.2N荷重下のメルトフローレートが、30〜150g/10minが好ましく、50〜140g/10minが特に好ましい。30g/10min未満では、繊維への含浸性が低く、空隙率が高くなり好ましくない。また150g/10minを超えると、複合材料の溶融加工時、樹脂と繊維が分離しやすく好ましくない。
ポリアミド樹脂としては、ポリアミド6、ポリミド66、ポリアミド46、ポリアミド11.ポリアミド12、ポリアミドMXD6、ポリアミド6T系共重合体、ポリアミド9T、ポリアミド612やこれらの共重合体などが例示される。これらの中では、融点が250℃以下のものが複合材の製造工程上好ましく、ポリアミド6、ポリアミドMXD6,ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド612が好ましい。
また繊維強化材の容量%(e)に対して、(3)式の関係にある成形圧力(MPa)(f)にて圧縮成形されたことが好ましい態様であるスタンピング成形品である。
0.1<f/e<2 (3)
本発明の成形品は、繊維含有率あたり流動性が非常に高く、強化材の高含有率の場合も低い圧力で成形可能であり、細いリブやボス部にも高含有率の複合材料が充填されることが特徴である。特開2004−143226には、繊維含有率40容量%のプリプレグを2MPaの圧力で成形することが開示されているが、本発明のリブ成形品には、f/eが0.1、好ましくは0.2を超えることが好ましい。0.1未満では、成形品表面に繊維が露出することがあり好ましくない。またf/eは、2未満、好ましくは1.7未満が好ましい。f/eが2を超えると、強化繊維と樹脂が分離して流動し、流動末端に近いリブやボス部には強化材の分配が不十分になり好ましくない。平均繊維長が7.5mm以上の繊維がランダムに配合されたプリプレグを厚さ1〜3mmのリブやボスを有する成形品をスタンピング成形により、充填するには、通常5以上のf/eが必要である。また充填されても流動と共に繊維含有率は低下し、先端まで繊維が均一に分配されない。連続繊維のマットやクロスにおいては、f/eが5以上でも強化繊維をリブやボスに充填することは困難である。本発明の好ましい態様であるf/eが2未満で成形可能となるには、前躯体の構成や形状が特定の場合のみ可能となる。
本発明の(3)を満足する方法としては、〔0015〕に記載したメルトフローレートを選定すると共に〔0021〕に記載のテープの形状を選定すれば良い。
本発明でいう成形圧力とは、スタンピング成形品の圧縮方向の投影面積当りの成形時の型締め荷重である。リブやボス部を有する成形品のリブやボス部分は、複合材の繊維含有率より、繊維含有率が極度に低下して、強度不足となり、成形時や使用時、破損しやすい。本発明の成形圧力範囲内で繊維含有率が均一に流動する理由は、未だ不明であるが、樹脂が繊維と分離せずに、流動するために最適なせん断力となるためと考えられる。
繊維の絡み合いが殆どないように、プリプレグが作製されることが本発明の特徴のひとつである。
本発明の成形品は、リブ根元厚さ2.5mm以下のリブ根元厚さaに対して(1)式で表されるリブ高さbを有することが必要である。
100>b>10a + 10 (1)
本発明の成形品のリブ高さbは、リブの根元厚さに依存する。根元厚さが厚くなるとリブ高さが高くすることが可能であり、また高い程、剛性改善や空間拡大で好ましい。高さbが(10a+10)以下では、リブやボスによる剛性改善効果が低く好ましくない。また、100以上にあるとスタンピング成形後、リブやボス部の離型抵抗が大変高くなり、脱型時破損することがあるので好ましくない。
本発明の成形品は、成形品のリブおよび/またはボスの先端と先端から2mmの範囲の繊維状強化材容量%(c)と基板部のその容量%(d)が(2)式の関係にあることが好ましい態様である。
0.9c < d <1.1c (2)
dが、0.9c以下では、先端の強度や剛性が低く、外力で破損しやすく好ましくない。また、1.1c以上では、繊維が浮き出し表面平滑性が低下し、外観がわるくなることや離型性が低下して好ましくない。高い圧縮力でスタンピング成形すると、流動末端のdは、0.9より低下し、好ましくない。これは、複合材料中の樹脂分が繊維分より多く偏在していることを示している。これは、含水した布から脱水する作用に類似した機構によると考察される。
本発明のスタンピング成形品は、幅wに対して、長さがw〜10wであり、かつ厚さが0.001w〜0.05wであるテープ状プリプレグを予備成形した強化繊維がランダム配向したシート状プリプレグを圧縮成形して得られることが好ましい態様である。特定のテープ状プリプレグを予備成形した強化繊維のランダム配向したプリプレグは、大部分の繊維が1軸方向に配向した繊維束の形態が残存するため、繊維の絡み合いが少なく、テープ界面の流動性が高いことによるものであると考察される。複合材料が高い流動性を有するから、成形時の必要成形圧力が低くてよいことになり、成形品中の繊維含有率が均一になるものと考察される。テープ状プリプレグは、幅wに対して、長さがw〜10W,厚さは0.001w〜0.05Wが好ましい。長さがw未満や、厚さが0.001w未満の場合、繊維のからみ合い効果が現れて好ましくない。また長さが10wを超えることや厚さが0.05wを超えるとスタンピング成形時の流動単位が大きくなり、流動抵抗が高くなり好ましくない。このように、特定形状のテープ状プリプレグを成形の前駆体とすることが複合材料の高流動につながったものと考察される。マット状やクロス状強化材を積層したプリプレグや、よりを掛けた紡績糸からなるプリプレグではリブやボス部への充填は大変困難である。
本発明の樹脂複合材料には、上記の必須成分の他に物性改良・成形性改良、耐久性改良を目的として、結晶核剤・離型剤、滑剤、酸化防止剤、難燃剤、耐光剤、耐候剤などが配合できる。
本発明の組成物の製造法は特に限定されない。例えば、樹脂の融点以上に温度調節されたスクリュータイプ押出機のホッパーに熱可塑性樹脂や変性熱可塑性樹脂を所定割合に予備混合して供給する。溶融樹脂をギアポンプの回転数にて計量して、樹脂の融点以上に温度調節された含浸用押出機の上流に供給する。一方、ロービング状のガラス繊維や炭素繊維を拡張開繊し、含浸用押出機の上流に供給する。下流先端に開口部を絞ったスリットダイを備えた含浸用押出機中で樹脂圧により、ロービング繊維に樹脂を含浸・脱泡する。下流開口部から吐出されたテープ状の強化繊維と熱可塑性樹脂からなる複合材料を冷却してかせに巻き取る。さらに、このテープ状複合材料を7.5mmから100mmにカットする。また、樹脂の融点以上に温度調節されたスクリュータイプ押出機の上流ホッパーに熱可塑性樹脂や変性熱可塑性樹脂や強化繊維を供給する。下流の出口ダイにロービング状強化繊維を供給して、繊維の送り速度と樹脂の吐出量を調節して、所定の繊維含有率からなるストランド状の繊維の樹脂被覆材を得る。このストランドを冷却してかせに巻き取る。このストランドを7.5mmから100mmにカットする。7.5mmから100mmにカットされたテープ状プリプレグを平板状の型内にランダムにばらまき供給する。型を熱可塑性樹脂の融点より20〜100℃程加熱した後、圧縮し、型を高温結晶化温度より、10〜120℃低温まで冷却して、強化繊維がランダム配向したシート状プリプレグを得る。このシート状プリプレグをスタンピング成形することで本発明のスタンピング成形品が得られる。
本発明の複合材は、赤外線加熱や高周波加熱して、樹脂を加熱溶融して、圧縮成形機の金型に供給して、賦形冷却後脱型して構造材の部品が成形される。
本発明の複合材から得られた成形部品は、自動車のフレーム、2輪車のフレーム、農機具のフレーム、OA機器のフレーム、機械部品など高い強度と剛性の必要な部品に利用される。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例 1〜15
また強化繊維のロービングを100質量部になる速度で拡張開繊して含浸台のダイヘッドに供給した。表1に示した無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂を融点より40〜70℃高い温度に温度調節されたスクリュー式押し出し機のホッパーに投入し、溶融樹脂をギアポンプにより計量して含浸台のダイヘッドに供給した。含浸台で加圧含浸、脱泡後、幅10mm・高さ0.2mmのダイから含浸被覆されたテープ状プリプレグを押し出し、空冷固化した後、枷に巻き取った。
7.5mmから100mmにカットされたテープ状プリプレグを300mm×300mm×6mmの平板状の型内にランダムにばらまき供給する。型を熱可塑性樹脂の融点より20〜100℃程加熱した後、圧縮し、型を高温結晶化温度より、50〜120℃低温まで冷却して、強化繊維がランダム配向したシート状プリプレグを得た。
得られた強化材がランダム配向したプリプレグシートから40mm×40mm×6mm切り出した。これをIRヒータで、融点より20℃低い温度まで加熱した後、図1に示したようにいろいろな形状のリブを有する金型キャビティの中央部に置いた。金型は予め融点より約40℃高く温度調節しておき、表1に示した圧力でスタンピング成形した後、表1に示した温度まで冷却して、脱型した。
本発明に使用された原料のメルトフローレートは、ISO1133に準じて、ポリプロピレン系は、230℃・21.2N、ポリアミド系は、250℃・21.2Nの条件下で測定した。
本発明に使用された熱可塑性樹脂の融点は、示走査熱量計を使用し、窒素40ml/min流動下で、20℃/minにて昇温して、融解吸熱のピーク温度を融点とした。
リブの根元厚さは、成形収縮率を無視して、入れ子金型の図面上の厚さと同じと仮定した。
充填リブ高さは、図1に示した種々の形状を有する入れ子式リブ付金型にてスタンピング成形した成形品のリブ充填性を目視で判断し、充填―欠肉の境界高さを求めてリブ高さとした。
成形品の基板部分とリブ先端〜リブ先端から2mmの範囲部分から2〜3gサンプリングして、650℃の電気炉で炭化成分がなくなるまで加熱して、繊維の容量分率を求めた。
比較例1〜9
熱可塑性樹脂の種類や配合比、テープ状プリプレグ形状、およびスタンピング成形条件を表2に示したように変更した以外は、実施例と全く同様にプリプレグを作製した後、リブ付平板を成形した。得られた試験片について,実施例と全く同様に,流動リブ高さ、強化材容量%を測定した。得られた試験データを表2に合わせて示した。
比較例10
繊維径15μmの連続ガラス繊維からなる目付け1g/mのマットとMAH003の0.1mm厚さの押出シート5枚重ねを交互に5層重ね、230℃に加熱したハンドプレスにて、加熱圧縮して変性ポリプロピレンを溶融含浸し、マット強化プリプレグを得た。
繊維含有率は約40容量%であった。得られたプリプレグを使用して、実施例1と全く同様にスタンピング成形を試みた。成形圧力60MPaでは、リブ高さ1mm以上は充填しなかった。
比較例11
目付け1g/m2のマットを目付け12g/m2の平織りのクロスにした以外が比較例7と全く同様にプリプレグを作製し、スタンピング成形を行ったが、根元厚さ2,1mmのリブには、高さ1.2mm以下の充填しかなくリブの成形品が得られなかった。
実験に使用した原料と記号:
MAH003:ポリプロピレンW101(住友化学社製)98.5質量部に、ジクミルパーオキサイド(日本油脂社製パークミルD)0.5質量部、粉末化した無水マレイン酸(ナカライテスク社製)2質量部を予備混合して、190℃に温度調節された二軸押出機のホッパーに供給して、スクリュウ80回転/分にて溶融反応して得たストランドを水槽で冷却固化して得られた無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MFR50g/min)、融点165℃
PP1:未変性ポリプロピレン(プライムポリマー社製、J139、MFR50g/10min、融点166℃)
T840:ポリアミド樹脂 PA6(東洋紡績社製、250℃におけるMFR 73g/10min,融点227℃)
T600:ポリアミド樹脂 PAMXD6(東洋紡績社製、270℃におけるMFR95g/10min,融点243℃)
EMC700:ポリブチレンテレフタレート(東洋紡績社製、250℃におけるMFR60g/10min、融点225℃)
GF−R:ガラス繊維ロービング、(日本電気硝子社製、AR2500H−103,31ストランド)
CF−R:炭素繊維、帝人社製東邦テナックス IMS40(単繊維径6.4μm、6000フィラメント)
本発明により、成形時の流動性に優れ、強度や剛性に優れた複合材料から、繊維含有率が均一で、高いリブ構造を有するスタンピング成形品を得ることが可能となり、プリプレグ製造法や成形法も非常に容易であることからも、構造部材やハウジングの樹脂化が可能となり、軽量化や省エネルギーの面から産業界に大きく寄与することが期待される。
(A):平面図
(B):立面図
a :リブ根元厚さ
b :リブ高さ
c :基板部

Claims (4)

  1. 2.5mm以下のリブやボス根元厚さ(amm)と高さ(bmm)が(1)式の関係にあるリブおよび/またはボスを有する成形品において、そのリブやボス部に、平均繊維長が20〜75mmである繊維状強化材を15〜60容量%含有し、かつ成形品のリブおよび/またはボスの末端と末端から2mmの範囲の繊維状強化材容量%(c)と基板部のその容量%(d)が(2)式の関係にあることを特徴とするスタンピング成形品
    100>b>5a + 10 (1)
    0.9c < d <1.1c(2)
  2. 熱可塑性樹脂がポリプロピレンまたはポリアミドであることを特徴とする請求項1のスタンピング成形品
  3. 幅wに対して、長さがw〜10wであり、かつ厚さが0.001w〜0.05wであるテープ状プリプレグ予備成形した強化繊維がランダム配向したシート状プリプレグを圧縮成形して得られることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスタンピング成形品。
  4. 繊維強化材の容量%(e)に対して、(3)式の関係にある成形圧力(MPa)(f)にて圧縮成形されたことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載のスタンピング成形品
    0.1<f/e<2 (3)
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