JP5564497B2 - カルバミン酸アンモニウム水溶液の分析方法および未反応ガス吸収槽の運転方法 - Google Patents

カルバミン酸アンモニウム水溶液の分析方法および未反応ガス吸収槽の運転方法 Download PDF

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Description

本発明は、尿素製造プロセスにおける未反応ガス吸収槽出口液であるカルバミン酸アンモニウム水溶液の組成を分析する分析方法に関する。
本発明はまた、このカルバミン酸アンモニウム水溶液の分析方法を用いた、尿素製造プラントにおける未反応ガス吸収槽の運転方法に関する。
尿素、メラミン等の製造プラントにおいては、プラント内でアンモニア、二酸化炭素、水等を取扱うので、カルバミン酸アンモニウム水溶液が未反応物の循環流体、副産物および/または原料として存在する場合が多い。従って、これらのプラントでは操業上、カルバミン酸アンモニウム水溶液中の成分組成を簡便な装置で、時間遅れなく、迅速に同時測定することが望まれている。
以下に、尿素製造プラントについて、図4を用いて概要を説明する。
図4に示すように、合成工程31、分解工程32、濃縮工程33、製品化工程34の各工程を経て尿素が製品化される。合成工程31にて二酸化炭素とアンモニアを反応させ尿素を合成して尿素合成液が得られる。この合成液に含まれる未反応のアンモニア、カルバミン酸アンモニウムは、分解工程32で、アンモニア、二酸化炭素、水の混合ガスとして分離される。吸収工程35には水(濃縮工程33で分離された凝縮水であってよい)が吸収溶媒として供給され、分解工程で分離された混合ガスがこの吸収溶媒に吸収される。この吸収のために、吸収槽(未反応ガス吸収槽と呼ばれる)が用いられる。吸収工程出口液(未反応ガス吸収槽出口液)は回収液として合成工程31に返送される。
尿素の製造プラントでは、この分解工程で分離される混合ガスを全て吸収溶媒に吸収させ、吸収液として合成工程に回収することで、アンモニアおよび二酸化炭素の尿素製造プラント外への損失をなくすことが望まれる。この混合ガスを全て吸収溶媒に吸収させる為には、運転温度を常に平衡温度より低く運転する必要がある。逆に、運転温度が、この平衡温度より高い場合には、混合ガスを全て吸収させる事ができない。ここでいう平衡温度とは、吸収させる必要のある混合ガスが吸収溶媒(水)により吸収されたときの液組成が、制御された運転圧力において丁度、気液平衡状態となる温度の事である。この平衡温度は、アンモニア、二酸化炭素、水の濃度で決定される。
例えば、吸収工程に過剰に吸収溶媒(水)を供給すると、平衡温度が上がり、混合ガスの吸収に有利となる。しかし一方で、吸収工程出口回収液中の水の量が多くなり、この回収液を受け入れる尿素反応器(合成工程に備わる)中の水の量が増加するので、尿素合成反応における尿素合成率が低下し、尿素合成液中の未反応物が増加する。その結果、これらを除去するために必要な熱量が増加し尿素プラントでのスチーム消費量が増加するだけでなく、分離された未反応ガスを回収するのに必要な吸収溶媒(水)の量がさらに増加するという悪循環が起こる。従い、吸収工程中にある吸収槽に供給する水の量は必要最低限にすることが運転上、重要である。しかし、不用意に吸収槽に供給する水の量を減らすと吸収工程出口液の平衡温度が運転温度より低くなり、吸収性能が低下しアンモニア、二酸化炭素のロスを招くことがある。この時、吸収槽に供給する水の量を制限し吸収性能を上げるため運転温度を下げ過ぎると、固結温度(カルバミン酸アンモニウムが回収液に溶け込めずに結晶塩を析出する温度)より運転温度が低くなり、回収液が固化し、運転継続不能に陥ることがある。この固結温度も、アンモニア、二酸化炭素、水の濃度から決定される。つまり、吸収工程の運転温度を常に回収液の平衡温度より低くし、回収液の固結温度をより高くし、かつ平衡温度と固結温度の差を小さくすることが望ましい。
この回収液の平衡温度と固結温度は、アンモニア、二酸化炭素、水の3成分の濃度により決定され、水の量と二酸化炭素との比、あるいはアンモニアと二酸化炭素との比だけでは、決定されない。回収液の平衡温度と固結温度を特定するためには、3成分の濃度を正確に、時間遅れなく同時に測定することが求められる。
ところで、尿素合成法として、合成工程内の合成管からの尿素合成液が直接分解工程へと送られる溶液循環法が知られている。また、合成管からの尿素合成液が合成工程内のストリッパーに送られ、尿素合成液に含まれるアンモニアと二酸化炭素を、合成圧にて二酸化炭素をストリッピング剤としてストリッピングして、ある程度の濃度まで除去するストリッピング法が知られている。
特にストリッピング法においては、使用するストリッパーの出口液中のアンモニアと二酸化炭素濃度は、ストリッパーの運転温度、二酸化炭素の供給量、供給液量等によって変化し、回収液の組成に影響する。つまりストリッパーのストリッピング性能により、未反応ガス吸収槽に送られるアンモニアおよび二酸化炭素の量が容易に変動するため、未反応ガス吸収槽に供給する水の量を未反応ガス吸収槽内のカルバミン酸アンモニウム水溶液の平衡温度・固結温度を考慮して最適量に制御することは難しい。そのため、安定した運転を継続するために吸収溶媒としての水の供給量は一般的に多めに入れられている。
従って回収液の組成が時間遅れなく同時に特定されると、その組成から回収液(カルバミン酸アンモニウム水溶液)の平衡温度・固結温度を正確に求め、両方を考慮して、最適な運転温度を決めること及び回収液中の水の量を必要最小限の量に制御して運転することが可能となる。
未反応ガス吸収槽出口液の物性を分析するために様々な技術が提案されている。
特許文献1(特開平6−184085)には未反応ガス吸収槽出口液の電導度を測定し二酸化炭素濃度(カルバミン酸アンモニウム濃度)を特定する方法が開示されている。しかし、この方法では、回収液中のアンモニアおよび水の濃度を特定できず、したがって運転の最適点を厳密に求めることができない。
特許文献2(特開昭59−133451)には振動型密度計及びフォトメータ(結晶析出温度の測定)から密度、飽和温度を求める事によりアンモニア及び二酸化炭素の濃度を特定する方法が開示されている。しかしこの方法では、フォトメータにて結晶析出温度を求めており、未反応ガス吸収槽出口液のサンプルを実際に結晶析出させるために、未反応ガス吸収槽出口液を温度調整し、冷却する必要があり、時間遅れがあり、運転制御に不向きであった。
特許文献3(US327050)には、尿素合成法の一種である溶液循環法において、粘度計を利用して、吸収溶媒として供給する水の量を変える事で、未反応ガス吸収槽出口液の濃度を一定に保つ事が提案されている。しかしこの方法は粘度を用いて濃度の変動を監視しているだけで、未反応ガス吸収槽出口液組成を特定する方法ではない。また、同文献における発明者自身が、特許文献4(特開昭47−10226)において、特許文献3に従う方法ではフリーアンモニアの影響があり、粘度は吸収溶媒として供給する水の量の制御には不向きであると認めており、代わりに特許文献4において屈折計を用いることを提案している。このように、特許文献3記載の方法では、3つの組成を特定できないことは明白である。この点からも、特許文献3記載の方法では濃度を特定できないと言える。さらには、特許文献4記載の方法においても、屈折計による測定ではカルバミン酸アンモニウムの濃度を測定するのみに留まり、特許文献3と同様に未反応ガス吸収槽出口液の組成全てを特定することはできない。
また、測定対象は未反応ガス吸収槽出口液とは異なるが、特許文献5(特開昭58−90544)では、合成管の合成液の組成について、滴定によりアンモニウム濃度を、電導度により二酸化炭素濃度を、そして、比色法により尿素濃度を特定する方法を開示しているが、それらは従来の手分析と変わらず、測定結果の入手に時間がかかり、運転制御には、不適切であった。その目的も、合成管に供給する原料アンモニアと二酸化炭素の量の調整であり、吸収工程の最適化には利用できない。
特許文献6(特開平10−182586)、特許文献7(特開2006−335653)にはストリッピング法合成系の合成管の出口液もしくはカーバメートコンデンサー出口液のN/C比(アンモニア/二酸化炭素比)を密度で測定することを開示している。これら文献記載の方法は、合成液中の、尿素とカルバミン酸と未反応アンモニアとの全体のアンモニアと二酸化炭素の比を特定するもので、合成液の組成は特定できない。またその目的も合成管に供給する原料アンモニアと二酸化炭素の量の調整であり、吸収工程の最適化には利用できない。
特開平6−184085号公報 特開昭59−133451号公報 US3270050号公報 特開昭47−10226号公報 特開昭58−90544号公報 特開平10−182586号公報 特開2006−335653号公報
このように、従来技術では、未反応ガス吸収槽出口液であるカルバミン酸アンモニウム水溶液中のアンモニア、二酸化炭素および水の濃度を特定することができないか、あるいはこれらの濃度を特定するためには晶析や滴定といった分析が必要であり、カルバミン酸アンモニウム水溶液の組成をリアルタイムで特定できる、プラント制御に適した方法は知られていなかった。
本発明の目的は、未反応ガス吸収槽出口液の組成をリアルタイムで特定することのできるカルバミン酸アンモニウム水溶液の分析法およびそれを用いた未反応ガス吸収槽の運転方法を提供することである。
本発明者らは、尿素製造プロセスにおける吸収槽の出口液であるカルバミン酸アンモニウム水溶液の代表的な組成は、アンモニア成分が20〜40質量%、二酸化炭素成分が20〜42質量%、尿素が微量(0〜2質量%)、残部は水であり、その水溶液の粘度は水溶液中の二酸化炭素成分の濃度に対して鋭敏であり、アンモニア成分の濃度に対しては鈍感であること、又水溶液の密度がアンモニア成分の濃度に鋭敏であること、ならびに、振動型測定センサーが、その水溶液をそのままの状態(冷却しない、希釈しない)で、粘度、密度および温度を同時に時間遅れなく連続で測定できることに着目し、鋭意検討した結果本発明に至った。また、吸収槽の出口液中に含まれる尿素濃度は充分に低く、粘度・密度に対して与える影響は小さく無視できる。
ただし、カルバミン酸アンモニウムとしての当量アンモニアと遊離アンモニアの両方をあわせて「アンモニア成分」という。カルバミン酸アンモニウム(NH2COONH4)1分子中にはアンモニア2分子が含まれるため、質量基準で、カルバミン酸アンモニウムの量を1としたとき、カルバミン酸アンモニウムとしての当量アンモニアの量は0.44となる。よって液体中にカルバミン酸アンモニウムがC1質量%含まれ、遊離アンモニアがC2質量%含まれているとき、アンモニア成分の濃度は(0.44×C1+C2)質量%と
なる。
また、「二酸化炭素成分」は、カルバミン酸アンモニウムとしての当量二酸化炭素を意味している。したがって、液体中にカルバミン酸アンモニウムがC3質量%含まれているとき、二酸化炭素成分の濃度は(0.56×C3)質量%である。
本発明により以下の方法が提供される。
1)
尿素製造プロセスにおける未反応ガス吸収槽出口液であるカルバミン酸アンモニウム水溶液のアンモニア成分の濃度、二酸化炭素成分の濃度および水の濃度を、
該水溶液の粘度と温度と二酸化炭素成分の濃度との相関である第一の相関、ならびに、該水溶液の密度と温度とアンモニア成分の濃度と二酸化炭素成分の濃度との相関である第二の相関を用いて決定し、
ただし、該アンモニア成分の濃度は、該水溶液に含まれる遊離アンモニアとカルバミン酸アンモニウムとしての当量アンモニアとの合計の濃度であり、
該二酸化炭素成分の濃度は、該水溶液に含まれるカルバミン酸アンモニウムとしての当量二酸化炭素の濃度である、
カルバミン酸アンモニウム水溶液の組成分析方法。
2)
a)前記水溶液の粘度、密度および温度を同時にリアルタイムに測定する工程、
b)工程aで測定した粘度および温度から、前記第一の相関を用いて、前記水溶液の二酸化炭素成分の濃度を決定する工程、
c)工程aで測定した密度および温度と、工程bで決定した二酸化炭素成分の濃度とから、前記第二の相関を用いて、前記水溶液のアンモニア成分の濃度を決定する工程、
d)工程bで決定した二酸化炭素成分の濃度と、工程cで決定したアンモニア成分の濃度とから、水の濃度を決定する工程
を含む1)に記載の方法。
3)
工程aにおいて、粘度、密度および温度を測定可能な振動型計装品を用いる2)記載の方法。
4)
尿素製造プロセスにおいて用いられる未反応ガス吸収槽を1)記載の組成分析方法を利用して運転する未反応ガス吸収槽の運転方法であって、
i)未反応ガス吸収槽出口液の粘度、密度、温度および流量を測定する工程、
ii)工程iで測定した粘度および温度から、前記第一の相関を用いて、未反応ガス吸収槽出口液の二酸化炭素成分の濃度を決定する工程、
iii)工程iで測定した密度および温度と、工程iiで決定した二酸化炭素成分の濃度とから、前記第二の相関を用いて、未反応ガス吸収槽出口液のアンモニア成分の濃度を決定する工程、
iv)工程iiで決定した二酸化炭素成分の濃度と、工程iiiで決定したアンモニア成分の濃度とから、未反応ガス吸収槽出口液の水の濃度を決定する工程、
v)工程iで測定した流量と、工程ii〜ivでそれぞれ決定した二酸化炭素成分濃度、アンモニア成分濃度および水濃度とから、未反応ガス吸収槽出口液における二酸化炭素成分流量、アンモニア成分流量および水流量を求め、
未反応ガス吸収槽出口液の水流量のみを変化させて、式1および式2が成り立つ範囲で水濃度が最小になる水流量Fmin.waterを求める工程、
Figure 0005564497
(式1中、平衡温度は、前記水流量のみを変化させたときの未反応ガス吸収槽出口液の二酸化炭素成分濃度、アンモニア成分濃度および水濃度に対応する、未反応ガス吸収槽出口液の平衡温度であり、
式2中、固結温度は、前記水流量のみを変化させたときの未反応ガス吸収槽出口液の二酸化炭素成分濃度、アンモニア成分濃度および水濃度に対応する、未反応ガス吸収槽出口液の固結温度であり、
式1および2中、第一および第二の余裕温度はいずれも予め定められた正の値を有する。)
vi)未反応ガス吸収槽に供給する水の流量を、未反応ガス吸収槽出口液中の水流量が工程vで求めたFmin.water以上となる範囲で、最小の値に制御する工程、
を含む未反応ガス吸収槽の運転方法。
5)
工程iにおいて、粘度、密度および温度を測定可能な振動型計装品を用いる4)記載の方法。
6)
前記未反応ガス吸収槽が、吸収溶媒として水が供給される低圧未反応ガス吸収槽と、吸収溶媒として低圧未反応ガス吸収槽出口液が供給される高圧未反応ガス吸収槽と、を含み、低圧未反応ガス吸収槽および高圧未反応ガス吸収槽のそれぞれについて工程i〜vを行うことにより、低圧未反応ガス吸収槽についての前記Fmin.waterであるFL min.waterと、高圧未反応ガス吸収槽についての前記Fmin.waterであるFH min.waterとを求め、
工程viにおいて、低圧未反応ガス吸収槽に供給する水の流量を、低圧未反応ガス吸収槽出口液中の水流量がFL min.water以上となり且つ高圧未反応ガス吸収槽出口液中の水流量がFH min.water以上となる範囲で、最小の値に制御する
4)または5)記載の方法。
本発明により、未反応ガス吸収槽出口液の組成をリアルタイムで特定することのできるカルバミン酸アンモニウム水溶液の分析法およびそれを用いた未反応ガス吸収槽の運転方法が提供される。
カルバミン酸アンモニウム水溶液の粘度と温度と二酸化炭素成分濃度との相関を示すグラフである。 カルバミン酸アンモニウム水溶液の密度と温度とアンモニア成分濃度と二酸化炭素成分濃度との相関を説明するためのグラフであって、(a)〜(e)はそれぞれ二酸化炭素成分が20、25、35、40および42質量%の場合のグラフである。 尿素製造プロセスの吸収工程を説明するためのフロー図である。 尿素製造プロセスを説明するためのブロック図である。 実施例で用いた測定装置を説明するための模式図である。
本発明は、尿素製造プロセスにおける未反応ガス吸収槽出口液であるカルバミン酸アンモニウム水溶液の組成を特定可能とする。その結果を用いれば、この溶液の平衡温度及び固結温度を求め、最適な運転温度、未反応ガス吸収槽に導入する水の量を必要最小限にするように制御する事が可能となる。
このような制御の結果、ストリッピング法において、尿素合成管に供給される総水分量とストリッパーのストリッピング性能を制御し、尿素プラントのエネルギー消費量を削減する事も可能となる。
カルバミン酸アンモニウム水溶液の組成特定は次の方法による。カルバミン酸アンモニウム、アンモニアおよび水分を主成分とする溶液の粘度と温度と二酸化炭素成分の濃度との相関からこの溶液中に含まれる二酸化炭素成分の濃度を知ることができる。そして、このようにして知った二酸化炭素成分の濃度と、密度および温度とアンモニア成分の濃度と二酸化炭素成分の濃度との相関からアンモニア成分濃度を特定することができる。ここで前述のように尿素濃度は充分に低いため、無視し得る。従って吸収槽出口液であるカルバミン酸アンモニウム水溶液中の水の量は、アンモニア成分の濃度と二酸化炭素成分の濃度を全体から減ずることで算出する。
〔分析対象〕
尿素製造プロセスは、図4を用いて先に説明したように、
二酸化炭素とアンモニアを反応させ尿素を合成して尿素合成液を得る合成工程31、
この合成液に含まれる未反応のアンモニア、カルバミン酸アンモニウムを、アンモニア、二酸化炭素、水の混合ガスとして分離する分解工程32、および、
水を吸収溶媒として未反応ガス吸収槽に供給し、分解工程で分離された混合ガスをこの吸収溶媒に吸収させ、未反応ガス吸収槽出口液を回収液として合成工程31に返送する吸収工程35を有する。
そして尿素製造プロセスは、通例さらに、
分解工程で前記混合ガスを分離した残りの液相(尿素水溶液)から水分を除去して溶融尿素とする濃縮工程33、および、
溶融尿素を冷却固化して、例えば粒状の製品尿素を得る製品化工程34を有する。
なお、吸収溶媒として、濃縮工程33で分離された凝縮水を用いることができる。また吸収を二段階で行なう場合には、1段目の未反応ガス吸収槽出口液を、二段目の未反応ガス吸収槽において吸収溶媒として用いることができる。
本発明では、このような尿素製造プロセスにおける未反応ガス吸収槽出口液であるカルバミン酸アンモニウム水溶液を分析対象とする。通常運転中の尿素製造プロセスにおける未反応ガス吸収槽出口液の代表的な組成は、アンモニア成分(合成工程に過剰に供給されるアンモニアとカルバミン酸アンモニウム中の当量アンモニアを含む)は20〜40質量%、二酸化炭素成分(カルバミン酸アンモニウム中の当量二酸化炭素)は20〜42質量%、尿素は微量(0〜2質量%)で、残りは水分という範囲にある。
本発明によって、アンモニア成分の濃度が20〜40質量%、二酸化炭素成分の濃度が20〜42質量%、尿素濃度が0〜2質量%、残りは水分であるカルバミン酸アンモニウム水溶液の、アンモニア成分の濃度、二酸化炭素成分の濃度および水分濃度を特定することができる。尿素濃度に関しては充分に低いため、尿素濃度の変化が与える粘度・密度への影響、および平衡温度・固結温度への影響は充分に小さく、無視し得る。また、温度に関しては通常の運転範囲である30〜120℃の範囲で分析が可能である。
本発明は、特にストリッピング法と呼ばれる尿素製造プロセスにおいて有効である。ストリッピング法では、上記合成工程において、合成管(二酸化炭素とアンモニアを反応させ尿素を合成する)からの尿素合成液が合成工程内のストリッパーに送られる。このストリッパーにおいて、尿素合成液に含まれるアンモニアと二酸化炭素を、合成圧にて二酸化炭素をストリッピング剤とするストリッピングにより除去する。
〔組成分析方法〕
本発明の未反応ガス吸収槽出口液の組成分析方法においては、尿素製造プロセスにおける未反応ガス吸収槽出口液であるカルバミン酸アンモニウム水溶液の組成、すなわちアンモニア成分の濃度、二酸化炭素成分の濃度および水濃度を、第一の相関および第二の相関を用いて決定する。
第一の相関:カルバミン酸アンモニウム水溶液の、粘度と温度と二酸化炭素成分の濃度との相関。
第二の相関:カルバミン酸アンモニウム水溶液の、密度と温度とアンモニア成分の濃度と二酸化炭素成分の濃度との相関。
特には、次の工程a〜dを行なうことができる。
(a)未反応ガス吸収槽出口液の粘度、密度および温度を同時に、プロセスとの時間遅れなく測定する。
(b)工程aで得た粘度測定値と温度測定値から、第一の相関を用いて、未反応ガス吸収槽出口液の二酸化炭素成分の濃度を決定する。
(c)工程aで得た密度および温度と、工程bで決定した二酸化炭素成分の濃度とから、第二の相関を用いて、アンモニア成分の濃度を決定する。
(d)工程bで決定した二酸化炭素成分の濃度と、工程cで決定したアンモニア成分の濃度からから水の濃度を決定する。
図1はカルバミン酸アンモニウム水溶液の、粘度(mPa・s)と温度と二酸化炭素成分の濃度(質量%)との相関(第一の相関)を示すグラフである。カルバミン酸アンモニウム水溶液の粘度は、二酸化炭素成分の濃度に対して鋭敏であり、アンモニア成分の濃度による影響は無視し得る。したがって、粘度と温度とを知れば、第一の相関から精度良く二酸化炭素成分の濃度を決定することができる。
カルバミン酸アンモニウム水溶液の密度(kg/m3)と温度(℃)とアンモニア成分の濃度(質量%)と二酸化炭素成分の濃度(質量%)との相関(第二の相関)について説明する。図2(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、二酸化炭素成分の濃度がそれぞれ20、25、35、40および42質量%である場合の、密度と温度とアンモニア成分の濃度との相関を示すグラフである。水溶液の密度は、アンモニア成分の濃度と二酸化炭素成分の濃度に対して鋭敏であり、水の濃度による影響は無視しうる。したがって、粘度と温度を知り、上述のように二酸化炭素成分の濃度を決定すれば、第二の相関から、アンモニア成分の濃度を決定することができる。
なお、図1には温度が離散的な値(40、60、80、100および120℃)の場合の線が示されている。温度が、直接図示されない中間的な値(例えば50℃)である場合には、内挿法や外挿法を用いて二酸化炭素成分の濃度を決定することができる。また図2を使用する際にも、温度や二酸化炭素成分濃度が直接図示されない値であれば、内挿法や外挿法を用いればよい。
また、各成分の濃度範囲(アンモニア成分:20〜40質量%、二酸化炭素成分:20〜42質量%、尿素濃度0〜2質量%)および適用可能温度範囲(30〜120℃)は通常の尿素プラントでの運転条件を含んでいるため、どの尿素プラントにおいても図1、2に示した相関を用いることが可能である。
本発明において、未反応ガス吸収槽出口液であるカルバミン酸アンモニウム水溶液組成を測定するために必要な機器は、粘度計、密度計および温度計のみである。粘度、密度および温度をそれぞれリアルタイムに測定できる粘度計、密度計および温度計は市販されており、これらを用いて粘度、密度および温度を同時に測定することが可能である。
また、粘度計、密度計および温度計の測定器が一体となった振動型計装品を用いることが、分析装置の簡便さの観点から好ましい。このような振動型計装品によって、粘度、密度および温度を同時にリアルタイムに測定できる。振動型計装品は、市販されており、容易に入手可能である。粘度計、密度計および温度計のそれぞれあるいは振動型計装品は、未反応ガス吸収液槽内もしくは、配管(特には、未反応ガス吸収槽出口配管)内に取り付けるだけで測定を行なうことができ、サンプル液を希釈することや、冷却して結晶を析出させること等の処理などは不要であるため、吸収槽出口液の組成をリアルタイムに測定が可能である。
〔未反応ガス吸収槽の運転方法〕
本発明において実際のプラントを制御する方法、特には未反応ガス吸収槽の運転方法として、次の三つが挙げられるがいずれを用いても良い。
第一の方法は、他の計器と同様に、単に粘度、密度および温度の測定値を、中央制御室に連続的に表示し、運転者が未反応ガス吸収槽出口液の組成をもとに、平衡温度、固結温度の相関図などから未反応ガス吸収槽出口液の組成を求め、必要に応じて、未反応ガス吸収槽への水供給量と未反応ガス吸収槽の運転条件の最適化を図る方法である。この場合、未反応ガス吸収槽出口液の定期分析が不要になることによる合理化の効果と、時間遅れのない適切な運転条件の修正による操業原単位の向上が期待できる。
第二の方法は、後述の実施例1に示されるような粘度、密度、温度の測定結果と回収液組成の相関を数式化し、プログラム化する事により、中央制御室の分散型制御システム(以下DCSと称す)コンソール上に回収液組成をリアルタイムに表示する方法である。また組成が明らかになれば平衡温度と固結温度は簡単な数式により推定できるので、その演算機能を加えれば、運転者にとってより有用な情報をリアルタイムに提供することもできる。また、吸収槽への水供給量、回収液流量などの、他の計器からの情報を取り込む事により、未反応ガス吸収槽廻りのリアルタイムの物質収支も表示できる。また、現状の平衡蒸気圧、飽和温度、物質収支から、次に設定すべき水供給量、運転温度、圧力などをルール化し、DCSコンソールに表示する事もできる。この場合、運転者は、DCSコンソールに表示されたインストラクションに従って上記のコントローラの設定値を設定する事になる。これにより、尿素工場の吸収槽の運転には、熟練した運転者は必要なくなる。
第三の方法は、上記の第二の方法を、完全自動化した場合である。即ち、吸収槽の運転温度、圧力及び水供給量の設定値または、それらの制御弁の開度を、自動設定する方法である。この場合、第二の方法でDCSコンソール上に表示される設定値をそのまま必要なコントローラに返してやれば良い。これにより、未反応ガス回収系へのさまざまな外乱に対して、系を自動的に最適な状態に制御できるシステムができ上がる。
以上、尿素プラント制御の実施形態を三つ挙げたが、いずれも粘度計、密度計および温度計を設置するだけで、また必要に応じてソフトウエアを付加する事により実施できる。上の説明においては、第二、第三の方法の実施にはDCSを用いることを想定しているが、一般的に市販されるパーソナルコンピュータでも必要とするソフトウエア部分を機能させるに十分である。
次に図3によって、尿素製造プロセスの吸収工程の例について詳細に説明する。この図は低圧未反応ガス吸収槽1(図3において、また以下場合により、「低圧吸収槽」と称す。)および高圧未反応ガス吸収槽2(図3において、また以下場合により、「高圧吸収槽」と称す。)を用いた二段吸収によるカルバミン酸アンモニウム水溶液回収(吸収工程)を行なうための装置のフロー図である。高圧未反応ガス吸収槽出口液は、合成工程で用いられる尿素含成管(不図示)への回収循環液として利用される。
尿素製造プロセスの分解工程で用いられる低圧分解塔(不図示)からの未反応ガス流26は、1〜3kg/cm2G(0.1〜0.3MPaG)で運転される低圧未反応ガス吸収槽1へ供給される。低圧未反応ガス吸収槽1には、流量コントローラ8によって流量制御された水が、流量制御弁17を通して供給され、吸収溶媒として未反応ガス流26と接触し、アンモニアと二酸化炭素を吸収する。吸収されたアンモニアと二酸化炭素は、遊離アンモニアとカルバミン酸アンモニウムとして液中に存在する。なお、圧力単位におけるGはゲージ圧を意味する。
低圧吸収槽1は例えばシェルアンドチューブ式の熱交換器の構造を有し、吸収に伴う反応熱と吸収熱は管内を通る冷却水により除去される。冷却水の流量は、低圧吸収槽内液温度をおおむね30℃〜60℃の範囲における一定値に保つべく、温度コントローラ11および温度制御弁19にて制御される。
低圧未反応ガス吸収槽1の圧力は、圧力コントローラ9によって圧力制御弁18から放出されるガス量が加減されることにより一定に保たれる。
未反応ガスを吸収した低圧回収液(低圧未反応ガス吸収槽出口液)は、ポンプ20によって昇圧され、流量制御弁21を通して高圧未反応ガス吸収槽2へ供給される。この低圧回収液流量を流量制御弁21で加減することにより、低圧未反応ガス吸収槽1の液面は液面コントローラ10から流量コントローラ12のセット値を決定するカスケード制御にて制御される。
この低圧回収液の粘度、密度および温度は、粘度・密度・温度計28にて測定され、これらの測定値が制御システム7へ送られる。粘度・密度・温度計28としては、温度計を備えた振動型計装品が好ましく用いられる。
一方、尿素製造プロセスの分解工程で用いられる高圧分解塔(不図示)からの未反応ガス流27は、15〜20kg/cm2G(1.5〜2.0MPaG)で運転される高圧未
反応ガス吸収槽2へ送られる。高圧未反応ガス吸収槽2では、低圧未反応ガス吸収槽からポンプ20で昇圧された回収液が吸収溶媒として未反応ガス流27と接触し、アンモニアと二酸化炭素を吸収する。吸収されたアンモニアと二酸化炭素は高圧回収液(高圧未反応ガス吸収槽出口液)中では遊離アンモニアと、カルバミン酸アンモニウムとして存在する。
高圧未反応ガス吸収槽2は例えばシェルアンドチューブ式の熱交換器の構造を有し、吸収に伴う反応熱と吸収熱は管内を通る冷却水により除去される。冷却水の流量は高圧吸収槽内温度を80℃〜120℃の範囲における一定値に保つべく、温度コントローラ15および温度制御弁23により制御される。
高圧未反応ガス吸収槽2の圧力は圧力コントローラ13によって、圧力制御弁22から放出されるガス量が加減されることにより一定に保たれる。
未反応ガスを吸収した高圧回収液はポンプ25によって昇圧され、流量制御弁24を通して、合成工程で用いられる尿素合成管へ送られる。高圧吸収槽2の液面は、液面コントローラ14によって流量コントローラ16のセット値を決定するカスケード制御により制御される。
高圧未反応ガス吸収槽2から得られる高圧回収液(高圧未反応ガス吸収槽出口液)の粘度・密度・温度は、粘度・密度・温度計29にて測定され制御システム7へ送られる。粘度・密度・温度計29としては、温度計を備えた振動型計装品が好ましく用いられる。
制御システム7は高圧未反応ガス吸収槽2と低圧未反応ガス吸収槽1に関係する変数のうち、それぞれの吸収槽について、圧力、吸収溶媒としての水の供給量、回収液の粘度・密度・温度を取り込み、各回収液の組成を決定する。さらに、それぞれの吸収槽について、決定した組成と圧力から平衡温度および固結温度を算出する。このとき、回収液の組成は、測定した粘度・温度と二酸化炭素成分濃度の相関から二酸化炭素濃度を特定し、密度・温度・二酸化炭素成分濃度・アンモニア成分濃度の相関からアンモニア成分濃度を特定する。また制御システム7は、高圧未反応ガス吸収槽2と低圧未反応ガス吸収槽1のそれぞれについて、このようにして特定した回収液組成と、平衡温度・固結温度、温度、圧力、吸収溶媒としての水の供給量に基づき、新たな吸収溶媒としての水の量に対する最適な設定値を決定して出力し、コントローラへフィードバックする。
ここでは、分解工程から二つの未反応ガス流が低圧および高圧の未反応ガス吸収槽に供給され、吸収工程において低圧・高圧吸収槽の二段階で吸収を行なう例を示したが、その限りではない。分解工程から未反応ガス流が一つだけ吸収工程に送られ、吸収工程において一段階で吸収を行なうこともある。また、プラントの生産量が大きいことや改造により吸収槽のサイズに限界が有る場合には吸収槽を同じ段でも並列に設置することも可能である。また二段ではなく三段以上設けることも可能である。
〔実施例1〕
まず、未反応ガス吸収槽出口液の粘度と温度と同液中の二酸化炭素成分の濃度との相関、及び密度と温度と同液中のアンモニア成分の濃度及び二酸化炭素成分の濃度の相関を求める方法について説明する。図5に示した装置を用い、未反応ガス吸収槽出口液を模擬した水溶液について、粘度、密度、温度、アンモニア成分の濃度、二酸化炭素成分の濃度、水濃度を測定した。測定は以下の手順によって行った。なお、図5において破線で囲まれた部分は、電気ヒーターにより温度調節された部分である。
・オートクレーブ104内に水、炭酸水素アンモニウム、アンモニアの順で、それぞれを目的とする組成に対して必要量導入する。
・オートクレーブの入口および出口のバルブを完全に閉じて縁切りし、オートクレーブ外部に設置した電気ヒーターによってオートクレーブを加熱する。その後、オートクレーブ内部温度が目的とする温度で定常状態となるまで、オートクレーブ内容物を攪拌する。このとき温度上昇に伴い、アンモニアおよび二酸化炭素が気化し、オートクレーブ内の圧力は自然に上昇する。また、オートクレーブ内部液高が充分に高くなるように液量を決定することで、気化する量を最小限とし、気化による液組成の変化を防ぐ。オートクレーブには圧力計(PG)および温度計(TT)が備わる。
・オートクレーブ104およびフロースルーチャンバー105のそれぞれを窒素によって加圧し、移液時のアンモニアおよび二酸化炭素の気化を防ぐ。
・バルブ101を空け、フロースルーチャンバー内に液を導入する。このときバルブ103は閉じておく。
・バルブ102を操作し、フロースルーチャンバー内の気体を排出し、粘度・密度・温度計106を完全に液に浸す。
・粘度・密度・温度計106の指示が安定するのを待ち、粘度、密度および温度を測定する。
・測定後、ヒーターの強度を変更し、再度目的とする温度で定常状態となるまで放置する。
・粘度・密度・温度計106の指示が安定するのを待ち、粘度、密度および温度を測定する。液組成は変更せず、昇温と定常状態を繰り返し、各温度において測定を行う。
・バルブ101を閉じ、バルブ103を開け、溶液を採取し、化学分析によってアンモニア成分、二酸化炭素成分および水の濃度を定量する。
なお、粘度・密度・温度計としては、振動型計装品「エマーソンソラトロン プロセス密度・粘度計」(商品名)を用いた。アンモニア成分濃度は硫酸および水酸化ナトリウムを用いて逆滴定によって特定する。また、二酸化炭素成分濃度は塩酸および水酸化ナトリウムを用いて逆滴定によって特定する。
また、フロースルーチャンバーから排出される流体は、排気アンモニア吸収槽107に導かれ、ここで流体中のアンモニアが吸収される。
上記の方法において、尿素製造プロセスにおける吸収槽出口液の代表的な組成である、アンモニア成分の濃度が20〜40質量%、二酸化炭素成分の濃度が20〜42質量%、尿素の濃度が0〜2質量%で残りは水である水溶液を調製した。
調製した各水溶液について、上記のようにして測定した粘度と温度と二酸化炭素成分濃度の相関(第一の相関)を図1に示す。図1の縦軸は粘度(mPa・s)、横軸は二酸化炭素成分の濃度(質量%)を示している。また、各水溶液について、上記のようにして測定した密度と温度とアンモニア成分の濃度との相関を、二酸化炭素成分濃度ごとに、図2(a)〜(e)に示す。図2の縦軸は密度(kg/cm3)、横軸はアンモニア成分の濃度(質量%)を示している。
実際の尿素製造プラントの未反応ガス吸収槽の出口液をサンプリングして測定したところ温度100℃にて粘度は4.4mPa・sであり、密度は1150kg/m3であった。
図1の相関から、二酸化炭素成分の濃度は35.0質量%であると決定した。一方同じサンプル溶液中の二酸化炭素成分の濃度を化学分析にて定量したところ35.1質量%であり、前記決定値と良く一致した。
図2(c)に示される相関および上記のようにして決定した二酸化炭素成分の濃度から、アンモニア成分の濃度は32.0質量%であると決定できた。一方同じサンプル溶液中のアンモニア成分の濃度を化学分析にて定量したところ32.2質量%であり、前記決定値と良く一致した。
また、前述の通り吸収工程における尿素濃度に関しては充分に低いため、尿素濃度の変化が与える粘度・密度への影響、および平衡温度・固結温度への影響は充分に小さく、無視し得る。全体からアンモニア成分濃度および二酸化炭素成分濃度を減ずることで水濃度を算出することができる。すなわち、水濃度は33.0(=100−35.0−32.0)質量%と特定される。
〔実施例2〕
図3は低圧・高圧2段の吸収槽を設置した場合の図であり、吸収溶媒として濃縮工程で分離された水が低圧吸収槽に供給され、高圧吸収槽に供給する吸収溶媒としては低圧吸収槽出口液が用いられるフローを示している。吸収槽は上述のように1段にされる場合と2段にされる場合とがある。本実施例では尿素製造プラントの低圧吸収槽のみ設置した場合の吸収工程の運転条件最適化を試みた。すなわち低圧吸収工程においては、図3に示した構成のうちのバルブ21の後からバルブ24までの間の高圧吸収槽周りの構成を除く構成(バルブ21は含むが、バルブ24は含まない)を有する、低圧吸収槽1段の設備を用いた。低圧吸収槽を1段で用いた場合には吸収工程では吸収溶媒として用いる水に、アンモニアおよび二酸化炭素を吸収させ、高圧吸収槽が無いため、バルブ21からの回収液を直接合成工程へと戻している。ここで使用する吸収溶媒は濃縮工程で分離された水を使用するため、微量の尿素が含まれる。
ある時刻における低圧未反応ガス吸収槽1廻りのプロセス変数が以下のようであった。運転圧力(圧力コントローラ9指示値):2.4kg/cm2G(0.24MPaG)、
運転温度(粘度・密度・温度計28の温度指示値):46℃、
吸収溶媒供給量(流量コントローラ8設定値):10.3t/h、
粘度(粘度・密度・温度計28の粘度指示値):3.9mPa・s、
密度(粘度・密度・温度計28の密度指示値):1065kg/m3
低圧未反応ガス吸収槽出口液(回収液)流量:38.6t/h。
粘度・密度・温度計として、振動型計装品「エマーソンソラトロン プロセス密度・粘度計」(商品名)を用いており、低圧未反応ガス吸収槽出口液の粘度、密度および温度は同時にリアルタイムに測定される。そして低圧未反応ガス吸収槽出口液の流量も流量計によりこれらの測定と同時に測定される(工程aもしくはi)。
低圧未反応ガス吸収槽出口液中のカルバミン酸アンモニウムの二酸化炭素組成と粘度と温度の相関(図1)から二酸化炭素成分の濃度を決定した(工程bもしくはii)。次にこの二酸化炭素成分の濃度と、アンモニア成分の濃度と二酸化炭素成分の濃度と密度と温度の相関(図2(b))とから、アンモニア成分の濃度を求めた(工程cもしくはiii)。吸収工程における尿素濃度に関しては充分に低いため、尿素濃度の変化が与える粘度・密度への影響、および平衡温度・固結温度への影響は充分に小さく、無視し得る。全体からアンモニア成分濃度および二酸化炭素成分濃度を減ずることで水濃度を算出することができる(工程dもしくはiv)。その結果回収液組成は下表の通りであった。
表1〜4において、NH3はアンモニア成分を、CO2は二酸化炭素成分を意味し、成分流量の単位はt/hである。
なお、工程vにおいて、工程iで測定した低圧未反応ガス吸収槽出口液の流量と、工程ii〜ivでそれぞれ決定した二酸化炭素成分濃度、アンモニア成分濃度および水濃度とから、各成分流量(二酸化炭素成分流量、アンモニア成分流量および水流量)を求めるが、表1に各成分流量をあわせて示した。
Figure 0005564497
上記組成のカルバミン酸アンモニウム水溶液の平衡温度と固結温度を求めると、それぞれ54℃、29℃である(ここで平衡温度および固結温度を求めることにより、水の流量調整が必要かどうかを判断することができる)。ここで、組成・圧力が求まっているため、ギブズの相律の法則の通り、平衡温度が決定される。同様に既知の組成から固結温度が決定される。
平衡温度に注目すると、運転温度(46℃)と平衡温度(54℃)に8℃の差があるため、低圧未反応ガス吸収槽出口液中の吸収溶媒としての水の量は過剰であると判断できる。一方固結温度に注目すると、運転温度(46℃)と固結温度(29℃)に17℃の差が有るため、低圧未反応ガス吸収槽出口液中の水の量は減らすことができると判断できる。
運転温度からの差を確保したままできる限り水分濃度を減らすのが好ましいので、運転圧力を変更せずに平衡温度51℃以上(運転温度からの余裕5℃)、固結温度41℃以下(運転温度からの余裕5℃)となるように水の量のみを変えた(減らした)組成および成分流量を決定すると、下表の通りであった。このとき平衡温度は51℃となり、固結温度は34℃である。
つまり、表1に示した成分流量から、低圧未反応ガス吸収槽出口液の水流量のみを変えて、式1および式2の両者が成り立つ範囲で水濃度が最小になる水流量Fmin.waterを求めたところ、14.50t/hとなった(工程v)。
Figure 0005564497
式1中、平衡温度は、前記水流量のみを変化させたときの未反応ガス吸収槽出口液の二酸化炭素成分濃度、アンモニア成分濃度および水濃度に対応する、未反応ガス吸収槽出口液の平衡温度であり、
式2中、固結温度は、前記水流量のみを変化させたときの未反応ガス吸収槽出口液の二酸化炭素成分濃度、アンモニア成分濃度および水濃度に対応する、未反応ガス吸収槽出口液の固結温度であり、
式1および2中、第一および第二の余裕温度はいずれも予め定められた正の値を有する。
なお、第一および第二の余裕温度はいずれも、計器の測定精度および運転条件の急激な変化を吸収するために用いられる。これら余裕温度は、実際の運転状況を見ながら設定し直すことはあるが、通常は5℃程度とすることができる。これは、低圧か高圧かを問わず、一般的に未反応ガス吸収槽の運転に関して言えることである。
Figure 0005564497
この組成とするためには回収液中の水分流量を14.50t/hとすれば良いので、新たに設定すべき流量コントローラ8の設定値は、10.3−(16.06−14.50)=8.74t/hとなる。つまり、低圧未反応ガス吸収槽出口液中の水流量が前記Fmin.water(14.50t/h)以上となる範囲で最小となる低圧未反応ガス吸収槽への供給水流量は、8.74t/hとなるので、低圧未反応ガス吸収槽に供給する水の流量をこの値に制御する(工程vi)。
尿素の合成反応は系内の水の量が少ないほど反応が進むため、1.56t/hの水の供給量の削減により、例えば合成工程内での尿素合成率が1.0%向上し、尿素生産量1tあたりに対する尿素プラント全体での蒸気消費量が、1.5%削減される効果が期待できる。
ここで示すようなロジックによって、粘度、密度および温度の測定値に基づき尿素製造プロセスの未反応ガス吸収槽の運転条件最適化を図ることができた。
〔実施例3〕
本実施例では尿素製造プラントの高圧吸収槽のみを設置した場合の吸収工程の運転条件最適化を試みた。吸収工程においては図3に示した構成のうちのバルブ17より後からバルブ21の間の低圧吸収槽周りの構成を除く構成(バルブ17は含むが、バルブ21は含まない)を有する高圧吸収槽1段の設備を用いた。高圧吸収槽を1段で用いた場合には低圧吸収槽が無いため、バルブ17を通して濃縮系から直接高圧吸収槽に供給される吸収溶媒として用いる水に、アンモニアおよび二酸化炭素を吸収させ合成工程へと戻している。ここで使用する吸収溶媒は濃縮工程で分離された水を使用するため、微量の尿素が含まれる。
ある時間における高圧吸収槽2廻りのプロセス変数が以下のようであった。
運転圧力(圧力コントローラ13指示値):15.8kg/cm2G(1.55MPaG)、
運転温度(粘度・密度・温度計29の温度指示値):106℃、
吸収液供給量(流量コントローラ8設定値):10.39t/h、
粘度(粘度・密度・温度計29の粘度指示値):5.5mPa・s、
密度(粘度・密度・温度計29の密度指示値):1150kg/m3
高圧未反応ガス吸収槽出口液流量(流量コントローラ16指示値):81.31t/h。
粘度・密度・温度計として、振動型計装品「エマーソンソラトロン プロセス密度・粘度計」(商品名)を用いており、高圧未反応ガス吸収槽出口液の粘度、密度および温度は同時にリアルタイムに測定される。そして高圧未反応ガス吸収槽出口液の流量も流量計によりこれらの測定と同時に測定される(工程aもしくはi)。
一方、高圧未反応ガス吸収槽出口液(高圧回収液)中の二酸化炭素成分の濃度と粘度の相関(図1)から二酸化炭素成分の濃度を決定した(工程bもしくはii)。次にこの二酸化炭素成分の濃度と、アンモニア成分の濃度と二酸化炭素成分の濃度と密度と温度の相関(図2(d))からアンモニア成分の濃度を求めた(工程cもしくはiii)。吸収工程における尿素濃度に関しては充分に低いため、尿素濃度の変化が与える粘度・密度への影響、および平衡温度・固結温度への影響は充分に小さく、無視し得る。全体からアンモニア成分濃度および二酸化炭素成分濃度を減ずることで水濃度を算出することができる(工程dもしくはiv)。その結果、高圧未反応ガス吸収槽出口液の組成は下表の通りであった。
なお、工程vにおいて、工程iで測定した高圧未反応ガス吸収槽出口液の流量と、工程ii〜ivでそれぞれ決定した二酸化炭素成分濃度、アンモニア成分濃度および水濃度とから、各成分流量(二酸化炭素成分流量、アンモニア成分流量および水流量)を求めるが、表3に各成分流量をあわせて示した。
Figure 0005564497
また上記組成のカルバミン酸アンモニウム水溶液の平衡温度と固結温度を求めると、それぞれ112℃、92℃である(ここで平衡温度および固結温度を求めることにより、水の流量調整が必要かどうかを判断することができる)。運転温度(106℃)と平衡温度(112℃)に6℃の差があり、運転温度(106℃)と固結温度(92℃)に14℃の差があるため、高圧未反応ガス吸収槽出口液中の水の量は減らすことができると判断できる。
できるだけ水分濃度を減らすのが好ましいので、運転圧力を変更せずに平衡温度111℃以上(運転温度からの余裕5℃)、固結温度101℃以下(運転温度からの余裕5℃)となるように水の量のみを減らした組成とする決定すると、下表の通りであった。このとき平衡温度は111℃となり、固結温度は100℃である。
つまり、表3に示した成分流量から、高圧未反応ガス吸収槽出口液の水流量のみを変えて、前述の式1および式2の両者が成り立つ範囲で水濃度が最小になる水流量Fmin.waterを求めたところ、18.40t/hとなった(工程v)。
Figure 0005564497
この組成とするためには高圧未反応ガス吸収槽出口液中の水分流量を18.40t/hとすれば良いので、新たに設定すべき流量コントローラ8の設定値は、10.39−(20.25−18.40)=8.54t/hとなる。つまり、高圧未反応ガス吸収槽出口液中の水流量が前記Fmin.water(18.40t/h)以上となる範囲で最小となる高圧未反応ガス吸収槽への供給水流量は、8.54t/hとなるので、高圧未反応ガス吸収槽に供給する水の流量をこの値に制御する(工程vi)。
ここで示すようなロジックによって、粘度・密度・温度の測定値に基づき尿素製造プロセスの未反応ガス吸収槽の運転条件最適化を図ることができた。
尿素の合成反応は系内の水の量が少ないほど反応が進むため、1.85t/hの水の供給量の削減により、例えば合成工程内での尿素合成率が1.0%向上し、尿素プラント全体の尿素生産量1tあたりに対する蒸気消費量が、1.5%削減される効果が期待できる。
以上説明したように本発明によれば、カルバミン酸アンモニウム水溶液の粘度・密度・温度を測定する事により、その組成が迅速に測定できる。つまり、密度、温度、粘度から、未反応ガス吸収槽出口液の組成を直接、リアルタイムに特定できる。その結果、以下に述べる効果も得られる。
〔実施例4〕
尿素製造プラントの低圧吸収槽と高圧吸収槽を連続に設置し2段とした場合の吸収工程の運転条件最適化を試みた。吸収工程では図3に示した構成を有する吸収設備を用いた。濃縮系から供給される吸収溶媒として用いる水に、アンモニアおよび二酸化炭素を吸収させ合成工程へと戻している。ここで使用する吸収溶媒は濃縮工程で分離された水を使用するため、微量の尿素が含まれる。吸収槽を2段にした場合には、吸収溶媒として、水が低圧吸収槽に供給され、低圧吸収槽出口液が高圧吸収槽へ供給される。従って、吸収溶媒として供給される水の量は低圧吸収槽および高圧吸収槽から要求される量を比較し、これらのうちの小さくない方を選択し、流量コントローラ8によって必要量が供給される。
ある時刻における低圧未反応ガス吸収槽1および高圧未反応ガス吸収槽2廻りのプロセス変数がそれぞれ実施例2および3と同様であった。ただし、吸収工程への水の供給量は低圧未反応ガス吸収槽のみに行われるため、実施例2と同様に10.3t/hであった。
実施例3、4で求めた通り、低圧未反応ガス吸収槽出口液中の水分流量を14.50t/h、高圧未反応ガス吸収槽出口液中の水分流量を18.40t/hとすれば良い。それぞれの吸収槽にとって必要となる水の供給量は、低圧未反応ガス吸収槽には10.3−(16.06−14.50)=8.74t/h,高圧未反応ガス吸収槽には10.3−(20.25−18.40)=8.45t/hとなる。新たに設定すべき流量コントローラ8の設定値は、これらのうちの小さくない方、すなわち8.74t/hとなる。
ここで示すようなロジックによって、粘度、密度および温度の測定値に基づき尿素製造プロセスの未反応ガス吸収槽の運転条件最適化を図ることができた。
尿素の合成反応は系内の水の量が少ないほど反応が進むため、1.6t/hの水の供給量の削減により、例えば合成工程内での尿素合成率が1.0%向上し、尿素生産量1tあたりに対する尿素プラント全体での蒸気消費量が、1.5%削減される効果が期待できる。
前述のような分析方法を用いる結果として、以下のような効果が期待できる。
未反応ガス吸収槽出口液(回収液)組成がリアルタイムにわかるので、従来のサンプル採取による分析に比べ運転へのフィードバックが格段に早くなり、その結果最適運転条件からのずれの積算値も格段に小さくなり、回収液中の水分を最小により近い値に制御でき、尿素合成管の尿素転化率を改善し、尿素製造プラントのエネルギー消費量の削減につながる。
例えば、合成管の合成率を1〜2%上昇させることができ、尿素プラントのエネルギー消費量を1〜2%削減させることができる。また、運転変動を測定結果から瞬時に把握でき、吸収性能を常に最適に近いレベルに保つ事で、アンモニア、二酸化炭素の損失を削減できる。
回収液組成を粘度・密度・温度で常時監視できるので、サンプル採取による分析とその要員が不要となり合理化が図れる。
屈折率計などに比べ、安価で耐久性に優れる工業用粘度・密度・温度の同時測定装置が使えるのでメンテナンス、コストの面で優れる。
このような測定装置として例えば振動型計装品を用いれば、電導度測定を行なう場合に必要となる希釈装置、フォトメータを用いる場合に必要となる冷却装置、比色法による分析を行なう場合に必要な比色分析装置は不要であり、測定装置の複雑化を回避することができる。
簡単なソフトウエアを付加する事により、回収液の組成、平衡温度および固結温度、ならびに未反応ガス吸収槽まわりの物質収支がリアルタイムに表示でき、運転員にとって多くの有用な情報を提供できる。また、それらに基づき、各コントローラの最適な設定値を求めるルールをプログラム化して組み込む事により、運転員へのインストラクションを行うことができる。これにより熟練運転員でなくとも最適な運転が可能となる。また、このルールで求まる設定値を、各コントローラに自動的にフィードバックさせれば、未反応ガス吸収槽への外乱に対し、人間の関与なしで運転の完全自動最適化が達成できる。
ソフトウエアのロジックは単純で、データ量も少ないので、市販のパーソナルコンピュータにも搭載できる。
1 低圧未反応ガス吸収槽
2 高圧未反応ガス吸収槽
7 制御システム
8 流量コントローラ
9 圧力コントローラ
10 液面コントローラ
11 温度コントローラ
12 流量コントローラ
13 圧力コントローラ
14 液面コントローラ
15 温度コントローラ
16 流量コントローラ
17 流量制御弁
18 圧力制御弁
19 温度制御弁
20 ポンプ
21 流量制御弁
22 圧力制御弁
23 温度制御弁
24 流量制御弁
25 ポンプ
26 低圧未反応ガス流(NH3−CO2−H2O混合ガス流)
27 高圧未反応ガス流(NH3−CO2−H2O混合ガス流)
28 粘度・密度・温度計
29 粘度・密度・温度計
31 合成工程
32 分解工程
33 凝縮工程
34 製品化工程
35 吸収工程
101、102、103 バルブ
104 オートクレーブ
105 フロースルーチャンバー
106 粘度計・密度計・温度計
107 排気アンモニア吸収槽

Claims (6)

  1. 尿素製造プロセスにおける未反応ガス吸収槽出口液であるカルバミン酸アンモニウム水溶液のアンモニア成分の濃度、二酸化炭素成分の濃度および水の濃度を、
    該水溶液の粘度と温度と二酸化炭素成分の濃度との相関である第一の相関、ならびに、該水溶液の密度と温度とアンモニア成分の濃度と二酸化炭素成分の濃度との相関である第二の相関を用いて決定し、
    ただし、該アンモニア成分の濃度は、該水溶液に含まれる遊離アンモニアとカルバミン酸アンモニウムとしての当量アンモニアとの合計の濃度であり、
    該二酸化炭素成分の濃度は、該水溶液に含まれるカルバミン酸アンモニウムとしての当量二酸化炭素の濃度である、
    カルバミン酸アンモニウム水溶液の組成分析方法。
  2. a)前記水溶液の粘度、密度および温度を同時にリアルタイムに測定する工程、
    b)工程aで測定した粘度および温度から、前記第一の相関を用いて、前記水溶液の二酸化炭素成分の濃度を決定する工程、
    c)工程aで測定した密度および温度と、工程bで決定した二酸化炭素成分の濃度とから、前記第二の相関を用いて、前記水溶液のアンモニア成分の濃度を決定する工程、
    d)工程bで決定した二酸化炭素成分の濃度と、工程cで決定したアンモニア成分の濃度とから、水の濃度を決定する工程
    を含む請求項1に記載の方法。
  3. 工程aにおいて、粘度、密度および温度を測定可能な振動型計装品を用いる請求項2記載の方法。
  4. 尿素製造プロセスにおいて用いられる未反応ガス吸収槽を請求項1記載の組成分析方法を利用して運転する未反応ガス吸収槽の運転方法であって、
    i)未反応ガス吸収槽出口液の粘度、密度、温度および流量を測定する工程、
    ii)工程iで測定した粘度および温度から、前記第一の相関を用いて、未反応ガス吸収槽出口液の二酸化炭素成分の濃度を決定する工程、
    iii)工程iで測定した密度および温度と、工程iiで決定した二酸化炭素成分の濃度とから、前記第二の相関を用いて、未反応ガス吸収槽出口液のアンモニア成分の濃度を決定する工程、
    iv)工程iiで決定した二酸化炭素成分の濃度と、工程iiiで決定したアンモニア成分の濃度とから、未反応ガス吸収槽出口液の水の濃度を決定する工程、
    v)工程iで測定した流量と、工程ii〜ivでそれぞれ決定した二酸化炭素成分濃度、アンモニア成分濃度および水濃度とから、未反応ガス吸収槽出口液における二酸化炭素成分流量、アンモニア成分流量および水流量を求め、
    未反応ガス吸収槽出口液の水流量のみを変化させて、式1および式2が成り立つ範囲で水濃度が最小になる水流量Fmin.waterを求める工程、
    Figure 0005564497
    (式1中、平衡温度は、前記水流量のみを変化させたときの未反応ガス吸収槽出口液の二酸化炭素成分濃度、アンモニア成分濃度および水濃度に対応する、未反応ガス吸収槽出口液の平衡温度であり、
    式2中、固結温度は、前記水流量のみを変化させたときの未反応ガス吸収槽出口液の二酸化炭素成分濃度、アンモニア成分濃度および水濃度に対応する、未反応ガス吸収槽出口液の固結温度であり、
    式1および2中、第一および第二の余裕温度はいずれも予め定められた正の値を有する。)
    vi)未反応ガス吸収槽に供給する水の流量を、未反応ガス吸収槽出口液中の水流量が工程vで求めたFmin.water以上となる範囲で、最小の値に制御する工程、
    を含む未反応ガス吸収槽の運転方法。
  5. 工程iにおいて、粘度、密度および温度を測定可能な振動型計装品を用いる請求項4記載の方法。
  6. 前記未反応ガス吸収槽が、吸収溶媒として水が供給される低圧未反応ガス吸収槽と、吸収溶媒として低圧未反応ガス吸収槽出口液が供給される高圧未反応ガス吸収槽と、を含み、
    低圧未反応ガス吸収槽および高圧未反応ガス吸収槽のそれぞれについて工程i〜vを行うことにより、低圧未反応ガス吸収槽についての前記Fmin.waterであるFL min.waterと、
    高圧未反応ガス吸収槽についての前記Fmin.waterであるFH min.waterとを求め、
    工程viにおいて、低圧未反応ガス吸収槽に供給する水の流量を、低圧未反応ガス吸収槽出口液中の水流量がFL min.water以上となり且つ高圧未反応ガス吸収槽出口液中の水流量がFH min.water以上となる範囲で、最小の値に制御する
    請求項4または5記載の方法。
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