JPH06184085A - カルバミン酸アンモニウム溶液の分析法およびそれを用いた尿素プラントの制御方法 - Google Patents

カルバミン酸アンモニウム溶液の分析法およびそれを用いた尿素プラントの制御方法

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JPH06184085A
JPH06184085A JP34267292A JP34267292A JPH06184085A JP H06184085 A JPH06184085 A JP H06184085A JP 34267292 A JP34267292 A JP 34267292A JP 34267292 A JP34267292 A JP 34267292A JP H06184085 A JPH06184085 A JP H06184085A
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absorption tank
ammonium carbamate
unreacted gas
liquid
ammonia
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Yasuhiko Kojima
保彦 小嶋
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Toyo Engineering Corp
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  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Electric Means (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、迅速かつ精度の良いカルバミン酸
アンモニウム溶液の分析法、これを用いた尿素プラント
の制御方法を提供する。 【構成】 カルバミン酸アンモニウム溶液中のNH3
CO2 濃度を、該溶液の電気伝導度値の相関により定め
る事を特徴とする分析法であり、尿素製造工程中の未反
応ガス吸収槽出口液のカルバミン酸アンモニウム溶液の
組成を前記分析法で測定し、その結果を用いて未反応ガ
ス吸収工程の運転条件を制御する、特にこれにより尿素
合成管に供給される総水分量を制御する事を特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】尿素、メラミン等の製造工業等、
カルバミン酸アンモニウム溶液を、未反応物の循環媒
体、副産物および/または原料とするプラントにおける
前記溶液の分析法およびそれを用いた尿素プラントの制
御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】尿素、メラミン等の製造プラントにおい
ては、系内にアンモニア、二酸化炭素、水等を取扱うの
で、カルバミン酸アンモニウム溶液を未反応物の循環媒
体、副産物および/または原料として用いる場が多く存
在する。従って、これらのプラントでは操業上、カルバ
ミン酸アンモニウム溶液中の成分を迅速に測定する必要
が望まれる。
【0003】以下に、尿素製造プラントを例にして、図
3により概要を説明する。
【0004】図3は尿素製造工程のブロック図である。
【0005】図3に示すように、31は合成工程、32
は分解工程、33は濃縮工程、34は製品化工程の諸工
程をへて尿素が製品化される。一方未反応のアンモニア
及び二酸化炭素は32の分解工程から回収されて35の
吸収工程に導入され、ここで濃縮工程33から回収され
た吸収液または水に吸収されてその出口液が合成工程3
1に循環回収される。
【0006】尿素は合成工程31の尿素合成管中で圧力
140−250kg/cm2 G、温度180〜200℃
の高温高圧下において、アンモニアと二酸化炭素を反応
させる事によって得られる。
【0007】尿素合成条件下では、アンモニアと二酸化
炭素は直ちに且つ完全に反応してカルバミン酸アンモニ
ウムを生成する。カルバミン酸アンモニウムは尿素と水
に転化する。この尿素への転化を促進するため、通常は
化学量論よりも過剰のアンモニアを尿素合成管に送入す
る。尿素合成管から排出される尿素合成液中には、通
常、尿素、水、過剰のアンモニアおよび尿素に未転化の
カルバミン酸アンモニウムが含まれる。この尿素合成液
から、尿素とそれ以外の過剰アンモニアおよび未転化の
カルバミン酸アンモニウムを分離するため、尿素合成液
は、分解工程中の分解塔にて合成圧力より低い圧力下に
加熱される。分解塔にて尿素合成液中の未転化のカルバ
ミン酸アンモニウムはアンモニアと二酸化炭素に分解さ
れ、水分と共に蒸発分離される。
【0008】ここで分離されたアンモニアと二酸化炭素
は水蒸気と共に、水または吸収液により、未反応ガスの
吸収工程35中の吸収槽にて吸収され、カルバミン酸ア
ンモニウムのアンモニア水溶液を生成する。このカルバ
ミン酸アンモニウム水溶液は昇圧され、尿素合成管に戻
される。
【0009】通常、前記分解塔は合成圧力より減じた圧
力において1乃至2以上の分解塔(例えば高圧分解塔、
低圧分解塔)とし、各分解塔に対応してそれぞれ高圧吸
収槽、低圧吸収槽が設置される。そして前記未反応ガス
は低圧吸収槽で吸収され、次いで高圧吸収槽で吸収され
る。尿素の平衡合成率は、系に含まれる水分が少ないほ
ど高くなるので、この吸収槽出口液であるカルバミン酸
アンモニウム水溶液中の水分が少なければ少ないほど反
応を尿素生成側に移すので良い。一方、吸収槽での吸収
を完全に行うためには、その平衡蒸気圧を十分低く保つ
だけの水分が必要である。同時に、その運転温度で、カ
ルバミン酸アンモニウムの結晶が析出しないだけの水分
が必要である。従って、尿素合成管での尿素合成率を最
大に保ちつつ、吸収槽の運転をトラブル無く行うために
は、このカルバミン酸アンモニウム水溶液の組成をし
り、尿素合成管中の水分量を最適に保つ事が必要であ
る。
【0010】ところで、通常運転中の尿素製造工程にお
ける吸収槽出口液の代表的な組成は、過剰に供給される
アンモニアとカルバミン酸アンモニウム中の当量アンモ
ニアを含めてアンモニアは20〜40重量%、カルバミ
ン酸アンモニウム中の当量二酸化炭素は13〜40重量
%、尿素は0〜40重量%で、残りは水分という組成範
囲である。
【0011】尿素プラントのスタートアップ時は別とし
て尿素プラント安定運転状態にはいると、吸収槽出口液
中の、遊離アンモニアとカルバミン酸アンモニウムの濃
度比はほぼ一定である。言い替えれば、カルバミン酸ア
ンモニウムの濃度が上昇しているときは、遊離アンモニ
アの濃度も上昇している。従って、溶液中のカルバミン
酸アンモニウムの濃度が判れば、残りの遊離アンモニア
と水分濃度も運転管理上十分な精度で推定することがで
きる。一方、尿素を含む液を吸収液として用いる場合に
は、当該吸収液中の尿素濃度と流量、および吸収槽出口
液の流量が既知であれば、同じ理由で、吸収槽出口液の
組成を推定できる。実際、従来の尿素工場における吸収
槽出口液の濃度管理は、出口液を定期的にサンプリング
して当該液中のカルバミン酸アンモニウムの当量二酸化
炭素濃度のみを化学分析する事により行なわれている。
【0012】先に述べたように、水分は、尿素合成管に
おけるカルバミン酸アンモニウムから尿素への転化反応
にとって有害であるので、外部から合成管に供給される
水分は、吸収槽が安定運転できる範囲内でできるだけ少
ない方がよい。尿素合成管に供給される水分は、吸収槽
出口液、即ちカルバミン酸アンモニウム循環液の組成と
流量に依存するが、この流量は、前述の分解塔で分離さ
れたアンモニアガスと二酸化炭素ガスを完全に吸収し、
なおかつその結果液中に生成するカルバミン酸アンモニ
ウムの結晶を析出しないだけの必要最小限の水分を補給
できる流量である事が重要である。そこで、運転管理上
吸収槽出口液の組成を迅速に知る事が必要となる。
【0013】従来行われている、または提案されている
吸収槽出口液の組成を知る方法を以下に説明する。 (1)カルバミン酸アンモニウム溶液(吸収槽出口液)
のサンプルを取り、分析室で当量二酸化炭素として表示
されるカルバミン酸アンモニウム、カルバミン酸アンモ
ニウムとしての当量アンモニア及び水中に溶解している
遊離アンモニアの両者を全体のアンモニアとして分析す
る方法。 (2)液状の水、液体アンモニアと固体カルバミン酸ア
ンモニウムの屈折率の違いを利用して、カルバミン酸ア
ンモニウム濃度を、溶媒アンモニア水に対する割合とし
て表現し、未反応物分解塔の圧力を、カルバミン酸アン
モニウムと水との比率の関数として制御する方法(特公
昭56−13709)等が実施または提案されており、
他に多くの提案がなされている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術には下記
の問題がある。
【0015】上記(1)の方法は、分析室での分析結果
が出るまでに数時間が必要であり、ために運転員にとっ
て効果的なコントロールがむずかしい。また分析要員を
必要とするため人件費がかかり、加えて、得られた分析
結果から、プラントの状態を判断し、必要に応じて操業
条件の修正ができるような、熟練した運転員を必要とす
るなどの問題がある。
【0016】上記(2)の方法は、屈折率計という高価
な分析機器を必要とする事、屈折率という微妙な物性を
測定するための精密な自動サンプリング機構を必要とす
る事、本来非常に腐食性の強い液体を扱うため検出端が
腐食される事、及び上記の精密機械の保守に高度の技術
を要求されるなどの技術的問題がある。
【0017】本発明は上記の問題を解決するカルバミン
酸アンモニウム溶液の分析法およびそれを用いた尿素プ
ラントの制御方法を提供するものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、尿素製造
工程における吸収槽の出口液であるカルバミン酸アンモ
ニウム水溶液の代表的な組成は、アンモニア20ー40
重量%、二酸化炭素13ー40重量%、尿素0ー40重
量%であり、その水溶液を100倍に希釈した希釈水溶
液の電気伝導度は水溶液中のカルバミン酸イオン濃度に
対して鋭敏である事、アンモニウムイオンに対しては鈍
感である事、また尿素濃度に対してもほぼ無視できるほ
ど鈍感である事、即ち、水溶液の電気伝導度を測定する
ことによりカルバミン酸アンモニウム水溶液中の二酸化
炭素濃度を精度良く測定できる事を利用し鋭意検討の結
果本発明に至ったものである。
【0019】本発明は、尿素製造工程における未反応ガ
ス吸収槽出口液であるカルバミン酸アンモニウム溶液の
組成を測定し、その結果を用いて前記未反応ガス吸収槽
に導入する吸収液の量を制御する事によって尿素合成管
に供給される総水分量を制御する事を特徴とする尿素プ
ラントの制御方法であり、前記カルバミン酸アンモニウ
ム溶液の組成測定は次の方法による。
【0020】カルバミン酸アンモニウム、アンモニア、
および水分を主成分とする溶液の電気伝導度とカルバミ
ン酸アンモニウムの二酸化炭素当量との相関から該溶液
中に含まれるアンモニア、二酸化炭素の量を測定する。
【0021】そして、未反応ガス吸収槽の運転制御方法
は下記の(1)〜(5)の手段による。 (1)低圧未反応ガス吸収槽および高圧未反応ガス吸収
槽出口液希釈液の電気伝導度を測定する手段、(2)低
圧未反応ガス吸収槽および高圧未反応ガス吸収槽の入口
および出口流量を測定し設定する手段、(3)前記
(1)によって得られた電気伝導度により前記未反応ガ
ス吸収槽出口溶液の組成である当量アンモニア、二酸化
炭素、水の量を決定する手段、(4)前記(3)によっ
て決定された組成から、該組成に対応する低圧未反応ガ
ス吸収槽回収液および高圧未反応ガス吸収槽回収液の平
衡蒸気圧と飽和温度を定め、カルバミン酸アンモニウム
の析出が抑えられる各回収液の平衡蒸気圧、飽和温度を
再設定しその条件での組成に含まれる水分量を定める手
段、(5)前記(4)によって定められた組成となるよ
うに低圧未反応ガス吸収槽入口流量をカスケード制御す
る手段。
【0022】上記(3)に記載の電気伝導度により未反
応ガス吸収槽出口溶液の組成を決定する手段は次の
(a)、(b)およびcからなる。 (a)カルバミン酸アンモニウム溶液の電気伝導度と二
酸化炭素当量値との相関から該電気伝導度によりカルバ
ミン酸アンモニウム濃度と二酸化炭素当量値を決定し、
(b)カルバミン酸アンモニウム濃度とアンモニア比よ
りアンモニア量を決定し、(c)カルバミン酸アンモニ
ウム、アンモニア量から残りの水分量を決定する。
【0023】図1はカルバミン酸アンモニウム水溶液の
電気伝導度μs/cmと二酸化炭素濃度wt%ppmと
の相関を示す図である。カルバミン酸アンモニウムと、
その中の当量二酸化炭素とはモル比で1:1で対応して
おり、水溶液の電気伝導度はカルバミン酸イオン濃度に
対して、鋭敏であることにより精度良く二酸化炭素濃度
を測定することができる。
【0024】本発明において、吸収槽出口液であるカル
バミン酸アンモニウム水溶液組成を測定するために必要
な機器は、水による定量希釈機能を持った連続式または
回分式の定量サンブラー、および電気伝導度計であり、
何れも一般的に市販されているもので十分である。ま
た、電気伝導度の測定に必要な回収液サンプルの量は後
述のように極微量で十分でありサンプリングによる原料
のロスや工場の運転への影響が問題となる事はない。
【0025】本発明において実際の工場を制御する方法
として、次の三つが挙げられるがいずれを用いても良
い。
【0026】第一の方法は、他の計器と同様に、単に電
気伝導度の測定値を、中央制御室に連続的に表示し、運
転者が回収液の電気伝導度と水分濃度の相関図などから
判断し、未反応ガス吸収槽への水供給量と吸収槽の運転
条件を必要に応じて調節する方法である。この場合、回
収液の工程分析が不要になる事の合理化の効果と、時間
遅れのない適切な運転条件の修正による操業原単位の向
上ができる。
【0027】第二の方法は、後述の実施例1に示される
ような電気伝導度と回収液組成の相関を数式化し、プロ
グラム化する事により、中央制御室の分散型制御システ
ム(以下DCSと称す)コンソール上に回収液組成をリ
アルタイムに表示する方法である。また組成が明らかに
なれば平衡蒸気圧と飽和温度は簡単な数式により推定で
きるので、その演算機能を加えれば、運転者にとってよ
り有用な情報をリアルタイムに提供することもできる。
また、吸収槽への水供給量、回収液流量などの、他の計
器からの情報を取り込む事により、未反応ガス吸収槽廻
りのリアルタイムの物質収支も表示できる。また、現状
の平衡蒸気圧、飽和温度、物質収支から、次に設定すべ
き水供給量、運転温度、圧力などをルール化し、DCS
コンソールに表示する事もできる。この場合、運転者
は、DCSコンソールに表示されたインストラクション
に従って上記のコントローラの設定値を設定する事にな
る。これにより、尿素工場の吸収槽の運転には、熟練し
た運転者は必要なくなる。
【0028】第三の方法は、上記の第二の方法を、完全
自動化した場合である。即ち、吸収槽の運転温度、圧力
及び水供給量の設定値または、それらの制御弁の開度
を、自動設定する方法である。この場合、第二の方法で
DCSコンソール上に表示される設定値をそのまま必要
なコントローラに返してやれば良い。これにより、未反
応ガス回収系へのさまざまな外乱に対して、系を自動的
に最適な状態に制御できるシステムができ上がる。
【0029】以上、本発明の実施の方法として三つ挙げ
たが、いずれも電気伝導度計と定量サンプラを設置する
だけで、また必要に応じてソフトウエアを付加する事に
より実施できる。第二、第三の方法の実施にはDCSを
想定しているが、一般的に市販されるパーソナルコンピ
ュータでも本発明が必要とするソフトウエア部分を機能
させるに十分である。
【0030】次にこの発明の特徴を示す図2によって、
詳細に説明する。図2は1の低圧回収槽、2の高圧回収
槽による二段吸収によるカルバミン酸アンモニウム溶液
回収(尿素含成管への回収循環液)のフローを示してい
る。尿素製造工程における低圧分解塔からの未反応ガス
流26は、1〜3kg/cm2 Gで運転される低圧吸収
槽1へ供給される。低圧吸収槽1には、流量コントロー
ラ8によって流量制御された水(吸収液)が、流量制御
弁17を通して供給され、溶媒として未反応ガス流26
と接触し、アンモニアと炭酸ガスを吸収する。吸収され
たアンモニアと炭酸ガスは、遊離アンモニアとカルバミ
ン酸アンモニウムとして液中に存在する。低圧吸収槽1
は例えばシェルアンドチューブ式の熱交換器であり、吸
収に伴う反応熱と吸収熱は管内を通る冷却水により除去
される。冷却水の流量は、凝縮液温度をおおむね30℃
〜60℃の範囲における一定位置に保つべく、温度コン
トトローラ11にて制御される。低圧吸収槽1の圧力
は、圧力コントローラ9により、圧力制御弁18から放
出されるガス量の加減により一定に保たれる。未反応ガ
スを吸収した低圧回収液は、ポンプ20によって昇圧さ
れ、流量制御弁21を通して高圧吸収槽2へ供給され
る。この低圧回収液流量を流量制御弁21で加減するこ
とにより、低圧吸収槽1の液面は液面コントローラ10
と流量コントローラ12のカスケード制御にて制御され
る。この低圧回収液の極く一部は定量サンプラ3にて一
定量サンプリングされ、同時に所望の希釈率になるよ
う、水で希釈される。希釈された液は電気伝導度計5へ
供給され、電気伝導度が測定される。測定された電気伝
導度は電気信号または空気信号によって、制御システム
7へ送られる。高圧分解塔からの未反応ガス流27は、
15〜20kg/cm2 Gで運転される高圧吸収槽2へ
送られる。高圧吸収槽2では、低圧吸収槽からポンプ2
0で昇圧された回収液が溶媒として未反応ガス流27と
接触し、アンモニアと炭酸ガスを吸収する。吸収された
アンモニアと炭酸ガスは低圧回収液中では遊離アンモニ
アと、カルバミン酸アンモニウムとして存在する。高圧
吸収槽2は例えばシェルアンドチューブ式の熱交換器で
あり、吸収に伴う反応熱と吸収熱は管内を通る冷却水に
より除去される。冷却水の流量は凝縮液温度を80℃〜
120℃の範囲における一定値に保つべく、温度コント
ローラ15により制御される。高圧吸収槽2の圧力は圧
力コントローラ13により圧力制御弁22から放出され
るガス量の加減により一定に保たれる。未反応ガスを吸
収した高圧回収液はポンプ25によって昇圧され、制御
弁24を通して、尿素合成管へ送られる。高圧吸収槽2
の液面は、液面コントローラ14と流量コントローラ1
6のカスケード制御により制御される。高圧吸収槽2の
回収液の極く一部が定量サンプラ4にて一定量サンプリ
ングされ、同時に所望の希釈率になるよう水で希釈され
る。希釈液は電気伝導度計6に供給され、電気伝導度が
測定される。測定された電気伝導度は電気信号または空
気信号によって制御システム7に送られる。制御システ
ム7は高圧吸収槽2と低圧吸収槽1に関係する変数のう
ち、それぞれの温度、圧力、供給液量、回収液の電気伝
導度を取り込み、回収液組成、平衡蒸気圧と飽和温度を
算出する。また制御システム7は、この回収液組成と、
蒸気圧・飽和温度、温度、圧力、供給液量に基づき、新
たな温度、圧力、供給液量それぞれの最適な設定値を決
定して出力し、おのおののコントローラへフィードバッ
クする。
【0031】
【実施例1】以下に、実測に基き、回収槽出口液の電気
伝導度値と同液中のカルバミン酸アンモニウム当量の二
酸化炭素の相関を説明する。
【0032】尿素製造工程における吸収槽出口液の代表
的な組成であるアンモニア20−40重量%、二酸化炭
素13−14重量%、尿素0−40重量%水溶液をと
り、その水溶液を100倍に希釈した試料水溶液の電気
伝導度とカルバミン酸アンモニウム当量の二酸化炭素濃
度の実測値を図1に示す。図の縦軸は電気伝導度(μS
/cm)を、横軸は二酸化炭素濃度(重量ppm)を示
している。、ここでいうアンモニアは、カルバミン酸ア
ンモニウムとしての当量アンモニアと遊離アンモニアの
合計を、二酸化炭素は、カルバミン酸アンモニウムとし
ての当量二酸化炭素を意味している。なお、吸収槽の出
口液中のアンモニア濃度は、定常運転中は20重量%か
ら40重量%の範囲を逸脱する事はないので、図1の相
関から実用上十分な精度で二酸化炭素濃度を知る事がで
きる。実際に吸収槽の出口液をサンプリングし、水で1
00倍に希釈した溶液の電気伝導度を測定したところ6
000μS/cmであった。図1の相関から、二酸化炭
素濃度は2330±70重量ppmであると測定でき
た。一方同じ溶液中の二酸化炭素濃度を化学分析にて定
量したところ2300重量ppmであり、前記測定値と
良く一致した。
【0033】
【実施例2】ある時間における低圧吸収槽1廻りのプロ
セス変数が以下のようであった。 運転圧力(圧力コントローラ9指示値)2.3kg/c
2 G 運転温度(温度コントローラ11指示値)50℃ 吸収液供給量(流量コントローラ8設定値)5.0T/
H 電気伝導度(電気伝導度計5指示値)6600μS/c
m 低圧回収液流量(流量コントローラ12指示値)21.
3T/H 低圧吸収槽の回収液(出口液)中のカルバミン酸アンモ
ニウムの二酸化炭素当量値と電気伝導度との相関から二
酸化炭素当量値とカルバミン酸アンモニウム濃度を決定
し、一方通常運転では前記回収液中のアンモニアと二酸
化炭素のモル比はおおよそ3.3と一定であるのでカル
バミン酸アンモニウム濃度とアンモニア比よりアンモニ
ア量を決定し、次いで回収液流量と前記カルバミン酸ア
ンモニウム、アンモニア量から残りの水分量を決定す
る。その結果回収液濃度は下記の通りであった。
【0034】 また上記組成のカルバミン酸アンモニウム水溶液の平衡
蒸気圧と飽和温度はそれぞれ2.6kg/cm2 ab
s,27℃である。できるだけ水分濃度を減らすのが好
ましいので、平衡蒸気圧3.0kg/cm2 abs以
下、飽和温度40℃以下となるような組成を求めると、
下記となる。
【0035】 この組成とするためには回収液中の水分流量を7.44
T/Hとすれば良いので、新たに設定すべき流量コント
ローラ8の設定値は、5.0−(8.73−7.44)
=3.71T/Hとなる。
【0036】ここで示すようなロジックによって、電気
伝導度の測定値に基づき尿素製造工程の未反応ガス吸収
槽の運転条件の最適化が達成できた。
【0037】
【実施例3】ある時間における高圧吸収槽2廻りのプロ
セス変数が以下のようであった。流量コントローラ8に
よって供給される吸収液は、約71重量%の尿素を含ん
でいる。 運転圧力(圧力コントローラ13指示値)16.5kg
/cm2 G 運転温度(温度コントローラ15指示値)108℃ 吸収液供給量(流量コントローラ8設定値)16.66
T/H 電気伝導度(電気伝導度計6指示値)8200μS/c
m 高圧回収液流量(流量コントローラ16指示値)77.
8T/H 一方、高圧吸収槽の高圧回収液中のアンモニアと二酸化
炭素のモル比は、通常運転ではおおよそ2.4と一定で
あるので、測定された電気伝導度から図1により実施例
2と同様にしてCO2 →NH3→H2Oの各値を求め、そ
の回収液組成は下記であった。
【0038】 また上記組成のカルバミン酸アンモニウム水溶液の平衡
蒸気圧と飽和温度はそれぞれ13.3kg/cm2 ab
s,77℃である。できるだけ水分濃度を減らすのが好
ましいので、平衡蒸気圧16.0kg/cm2 abs以
下、飽和温度100℃以下となるような組成を求める
と、下記となる。
【0039】 この組成とするためには回収液中の水分流量を13.1
1T/Hとすれば良いので、新たに設定すべき流量コン
トローラ8の設定値は、16.66−(14.59−1
3.11)/(1−0.71)=11.56T/Hとな
る。
【0040】ここで示すようなロジックによって、電気
伝導度の測定値に基づき尿素製造工程の未反応ガス吸収
槽の運転条件の最適化が達成できた。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明の分析法及び
尿素プラントの制御方法は、カルバミン酸アンモニウム
溶液の電気伝導度を測定する事により、その組成が迅速
に測定でき、その分析法を用いるので、以下に述べる効
果がある。
【0042】未反応ガス吸収槽の回収液組成がリアル
タイムにわかるので、従来の工程分析方法に比べ運転へ
のフィードバックが格段に早くなり、その結果最適運転
条件からのずれの積算値も格段に小さくなり、回収液中
の水分を最小に制御でき、尿素合成管の尿素転化率を最
大にできる。
【0043】回収液組成を電気伝導度で常時監視でき
るので、工程分析とその要因が不要となり合理化が図れ
る。
【0044】屈折率計などに比べ、安価で耐久性に優
れる工業用電気伝導度計が使えるのでメンテナンス、コ
ストの面で優れる。、 簡単なソフトウエアを付加する事により、回収液組
成、平衡蒸気圧、飽和温度、物質収支がリアルタイムに
表示でき、運転員にとって多くの有用な情報を提供でき
る。また、それらに基づき、各コントローラの最適な設
定値を求めるルールをプログラム化して組み込む事によ
り、運転員へのインストラクションを行うことができ
る。これより熟練運転員でなくとも最適な運転が可能と
なる。また、このルールで求まる設定値を、各コントロ
ーラに自動的にフィードバックさせれば、未反応ガス吸
収槽への外乱に対し、人間の関与なしで運転の完全自動
最適化が達成できる。
【0045】ソフトウエアのロジックは単純で、デー
タ量も少ないので、市販のパーソナルコンピュータにも
搭載できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カルバミン酸アンモニウム水溶液の電気伝導度
と二酸化炭素濃度との相関を示す図である。
【図2】尿素プラントのカルバミン酸アンモニウム溶液
回収のフローを示す図である。
【図3】炭素製造工程のブロック図である。
【符号の説明】
1 低圧吸収槽 2 高圧吸収槽 3 定量サンプラ 4 定量サンプラ 5 電気伝導度計 6 電気伝導度計 7 制御システム 8 流量コントローラ 9 圧力コントローラ 10 液面コントローラ 11 温度コントローラ 12 流量コントローラ 13 圧力コントローラ 14 液面コントローラ 15 温度コントローラ 16 流量計 17 流量制御弁 18 圧力制御弁 19 温度制御弁 20 ポンプ 21 流量制御弁 22 圧力制御弁 23 温度制御弁 24 流量制御弁 25 ポンプ 26 NH3−CO2−H2O混合ガス流 27 NH3−CO2−H2O混合ガス流 31 合成工程 32 分解工程 33 凝縮工程 34 製品化工程 35 吸収工程

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 尿素製造工程における未反応ガス吸収槽
    出口液であるカルバミン酸アンモニウム溶液の組成を測
    定し、その結果を用いて前記未反応ガス吸収槽に導入す
    る吸収液の量を制御することによって尿素合成管に供給
    する総水分量を制御する事を特徴とする尿素プラントの
    制御方法。
  2. 【請求項2】 カルバミン酸アンモニウム、アンモニ
    ア、および水分を主成分とする溶液の電気伝導度とカル
    バミン酸アンモニウムの二酸化炭素当量との相関から該
    溶液中に含まれるアンモニア、二酸化炭素の量を測定す
    る方法。
  3. 【請求項3】 下記(1)〜(5)の手段からなる未反
    応ガス吸収槽の運転制御方法。 (1)低圧未反応ガス吸収槽および高圧未反応ガス吸収
    槽出口液希釈液の電気伝導度を測定する手段、(2)低
    圧未反応ガス吸収槽および高圧未反応ガス吸収槽の入口
    および出口流量を測定し設定する手段、(3)前記
    (1)によって得られた電気伝導度により前記未反応ガ
    ス吸収槽出口溶液の組成である当量アンモニア、二酸化
    炭素、水の量を決定する手段、(4)前記(3)によっ
    て決定された組成から、該組成に対応する低圧未反応ガ
    ス吸収槽回収液および高圧未反応ガス吸収槽回収液の平
    衡蒸気圧と飽和温度を定め、カルバミン酸アンモニウム
    の析出が抑えられる各回収液の平衡蒸気圧、飽和温度を
    再設定しその条件での組成に含まれる水分量を定める手
    段、(5)前記(4)によって定められた組成となるよ
    うに低圧未反応ガス吸収槽入口流量をカスケード制御す
    る手段。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の電気伝導度により未反
    応ガス吸収槽出口溶液の組成を決定する手段が次の
    (a)、(b)およびcからなる決定手段。 (a)カルバミン酸アンモニウム溶液の電気伝導度と二
    酸化炭素当量値との相関から該電気伝導度によりカルバ
    ミン酸アンモニウム濃度と二酸化炭素当量値を決定し、
    (b)カルバミン酸アンモニウム濃度とアンモニア比よ
    りアンモニア量を決定し、(c)カルバミン酸アンモニ
    ウム及びアンモニア量から残りの水分量を決定する。
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