JP5561600B2 - 合成樹脂製カップ容器 - Google Patents
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Description
図6は、従来のカップ容器のフランジ近傍の縦断面図で、側周壁102の上端部からフランジ107にかけて周壁が屈曲する部位を示している。この図に見られるように、凹角部111での応力集中に起因するこの凹角部111を起点とした割れの発生を抑制するため、この種の凹角部111では、通常、曲率半径が0.1〜1mm程度の円弧で角取りする。ところが、周壁の薄肉化を進めると今度は、図中符号Stで示す角取りした円弧の終点で、割れが発生し易くなってしまう。
射出成形による、上部開口端に外鍔状に周設されるフランジを有する合成樹脂製のカップ容器において、
カップ容器を形成する周壁が、屈曲する部位あるいは段差状に肉厚が変化する部位に形成され、凹角部を介して180°未満の開き角度に二つの壁面が連結する凹角領域にあって、
一方の壁面に連結する第1円弧と、他方の壁面に連結する第2円弧が交わる仮想交点は凹角領域の内側にあり、且つ第1円弧と第2円弧の双方に内接し、その第1および第2円弧よりも曲率半径の小さい第3円弧が第1円弧と第2円弧を連結して凹角部を角取りするように、凹角部の近傍を、壁面の壁厚が凹角部に向けて漸増する壁厚漸増領域とする、と云うものである。
円弧の曲率半径を大きくし、壁厚漸増領域における漸増の態様を直線状にすることもできる。
凹角部を介して対向位置する、突片の上方に位置する側周壁の内壁面と突片の上端面のうち、内壁面側の側周壁について、凹角部に至る所定範囲を壁厚漸増領域とする、と云うものである。
内鍔状周片から側周壁の上方に屈曲する部位に形成される凹角領域と、下方に屈曲する部位に形成される凹角領域において、
凹角部を介して対向位置する一対の壁面に対応する双方の周壁について凹角部に至る所定範囲を壁厚漸増領域とする、と云うものである。
本発明の主たる構成を有するカップ容器では、一方の壁面を角取りするように凹角部の近傍を周壁の壁厚が前記凹角部に向けて漸増する壁厚漸増領域とすることにより、周壁の厚さを本来の厚さから凹角部に向けて緩やかに漸増させて、薄肉化による軽量化効果を大きく損なうことなく凹角部の近傍の広い範囲を厚肉化することができる。
そして、周壁の撓み変形の支点となる凹角部から周壁の厚さを漸減するようにし、緩やかに周壁の本来の厚さを有する領域に連結することにより、凹角部の近傍領域における応力を広い範囲に分散することができ、落下時の衝撃力や、容器の積載時の座屈変形による、凹角部の近傍領域での割れの発生を効果的に抑制することができる。
図1〜図5は本発明の合成樹脂製カップ容器の一実施例を示すものであり、図1は半縦断正面図、図2は平面図、図3はフランジ7近傍の縦断面図、図4は突片8近傍の縦断面図、図5は底部5近傍の縦断面図である。
このカップ容器はポリプロピレン樹脂製の射出成形品で、全高さは118mmで、円筒状の側周壁2の上端部の径は65mmであり下端部の径51mmまで直線状に緩やかに縮径しており、容量は250mlである。
なお、図3〜5の縦断面図、また図6縦断面図では説明し易いようにハッチングは省略しており、図中R1、R5、R10等は曲率半径を示し、例えばR5は曲率半径が5mmであることを示す。
また、側周壁2の内壁面にはカップ容器を積み重ねた際のスタッキングを防止するための突片8が等中心角度間隔で複数突設されている。
このうち、Rc1は側周壁2の上端部からフランジ7に至る周壁が屈曲する部位、Rc2は突片8の突設により肉厚が段差状に変化する部位、底部5近傍に位置するRc3、Rc4、Rc5は周壁が屈曲部する部位に係る凹角領域である。
一方の壁面12a側のフランジ7の、図中の開始点Spaから凹角部11に至る範囲には曲率半径が5mmの円弧に沿って、壁厚を凹角領域Rc1側に漸増させるようにした壁厚漸増領域Rtaを配設し、壁面12aが、曲率半径5mmの円弧に沿って凹角部11を角取りするようにしている。
すなわち、この凹角領域Rc1では、凹角部11が双方の壁面12a、12bにより円弧状に二重に角取りされている。また、両円弧の交点Cp近傍で曲率半径が1mmの円弧で、曲率半径が5mmと10mmの両円弧を連結している。
図6に示した、従来のカップ容器のフランジ近傍の凹角部111近傍でみられる、凹角部111近傍での応力集中に起因する落下時の衝撃力や、容器の積載時の座屈変形による、凹角部の近傍領域での割れの発生を効果的に抑制することができるようになった。
なお、この例では双方の周壁に壁厚漸増領域を配設する構成としたが、作用する外力の作用態様等を考慮して、一方の周壁にだけ壁厚漸増領域を配設する構成とすることもできる。
また、この曲率半径が10mmの円弧と壁面12bの交点Cp近傍では曲率半径が0.15mmの円弧で曲率半径が10mmの円弧と壁面12bを連結するようにしている。
まず、凹角領域Rc3は凹角部11を介して92°の開き角度で側周壁2の壁面12aと内鍔状周片4の上端面に相当する壁面12bが連結する部位であり、壁面12a側の側周壁2の、図中の開始点Spaから凹角部11に至る範囲に曲率半径が10mmの円弧に沿って、壁厚を凹角領域Rc3側に漸増させるようにした、壁厚漸増領域Rtaを配設している。
また、両円弧の交点Cp近傍では曲率半径が1mmの円弧で曲率半径が10mmと7mmの両円弧を連結している。
そして、壁厚漸増領域Rtaの交点Cp位置における厚さの増分ta1は0.21mmで、側周壁2の本来の厚さを有する領域Rabにおける壁厚taである0.7mmの30%である。
また、壁厚漸増領域Rtbの交点Cp位置における壁厚の増分tb1は0.17mmで、内鍔状周片4の本来の厚さを有する領域Rabでの壁厚tbである0.75mmの23%である。
上記実施例ではポリプロピレン樹脂製としたがもちろん使用目的に応じて他の合成樹脂を選択することができる。
また、上記説明ではカップ容器に数多く形成される凹角領域のうち、大きな応力が作用し易いRc1〜Rc5について言及したが、他の凹角領域についても個々の凹角領域への外力の作用態様や、個々の凹角領域での壁面の開き角度や周壁の厚さ等の形状を考慮し、壁厚漸増領域に係る構成を適用するかどうかを決め、適用する際には、その凹角領域の開き角度や周壁の厚等の形状を考慮し、周壁の薄肉化による軽量化効果を損なわない範囲で、壁厚の漸増の態様や、壁厚漸増領域での厚さの増分を決めることができる。
2 ;側周壁
3 ;突出部
4 ;内鍔状周片
5 ;底部
5w;底面壁
6 ;陥没凹部
7 ;フランジ
8 ;突片
11;凹角部
12a、12b、12c、12d;壁面
Raa、Rab;領域
Rc(Rc1、Rc2、Rc3、Rc4、Rc5);凹角領域
Rt(Rta,Rtb);壁厚漸増領域
Spa、Spb;開始点
Claims (7)
- 射出成形による、上部開口端に外鍔状に周設されるフランジ(7)を有する合成樹脂製のカップ容器であって、前記カップ容器を形成する周壁が、屈曲する部位あるいは段差状に肉厚が変化する部位に形成され、凹角部(11)を介して180°未満の開き角度に二つの壁面が連結する凹角領域(Rc)において、一方の壁面に連結する第1円弧と、他方の壁面に連結する第2円弧が交わる仮想交点(Cp)は前記凹角領域(Rc)の内側にあり、且つ前記第1円弧と前記第2円弧の双方に内接する、該第1円弧および該第2円弧よりも曲率半径の小さい第3円弧が該第1円弧と該第2円弧を連結して前記凹角部(11)を角取りするように、該凹角部(11)の近傍を、前記壁面の壁厚が前記凹角部(11)に向けて漸増する壁厚漸増領域(Rt)としたことを特徴とする合成樹脂製カップ容器。
- 少なくとも一方の壁面が、曲率半径が5mm以上の円弧に沿って前記凹角部(11)を角取りするように、前記一方の壁面側の周壁の前記凹角部(11)に至る所定範囲を壁厚漸増領域(Rt)とした請求項1記載の合成樹脂製カップ容器。
- 少なくとも一方の壁面が、曲率半径が異なる複数の円弧を連結した湾曲線に沿って前記凹角部(11)を角取りするように、前記一方の壁面側の周壁の前記凹角部(11)に至る所定範囲を、該凹角部(11)に向けて壁厚が漸増する壁厚漸増領域(Rt)とした請求項1記載の合成樹脂製カップ容器。
- 壁厚漸増領域(Rt)における周壁の厚さの増分を、該壁厚漸増領域(Rt)の開始点(Sp)における厚さの15〜50%分とした請求項1、2または3の合成樹脂製カップ容器。
- 側周壁(2)の上端部からフランジ(7)にかけて周壁が屈曲する部位に形成される凹角領域(Rc1)において、凹角部(11)を介して対向位置する一対の壁面に対応する前記側周壁(2)の上端部とフランジ(7)の双方の周壁について、前記凹角部(11)に至る所定範囲を壁厚漸増領域(Rt)とした請求項1、2、3または4記載の合成樹脂製カップ容器。
- 側周壁(2)の内壁面に、カップ容器を積み重ねた際のスタッキングを防止するための突片(8)が複数突設状に配設される構成とし、前記突片(8)により周壁の厚さが段差状に変化する部位に形成される凹角領域(Rc2)において、凹角部(11)を介して対向位置する、突片(8)の上方に位置する側周壁(2)の内壁面と突片(8)の上端面のうち、前記内壁面側の側周壁(2)について、前記凹角部(11)に至る所定範囲を壁厚漸増領域(Rt)とした請求項1、2、3または4記載の合成樹脂製カップ容器
- 側周壁(2)の下端近傍の高さ位置から内鍔状周片(4)を介して底面壁(5w)を連設し、また前記側周壁(2)の下端部を内鍔状周片(4)より下方に突出させて接地部となる袴状の突出部(3)を形成する構成とし、前記内鍔状周片4から側周壁(2)の上方に屈曲する部位に形成される凹角領域(Rc3)と、下方に屈曲する部位に形成される凹角領域(Rc4)において、それぞれ凹角部(11)を介して対向位置する一対の壁面に対応する双方の周壁について前記凹角部(11)に至る所定範囲を壁厚漸増領域(Rt)とした請求項1、2、3または4記載の合成樹脂製カップ容器。
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