以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各図内に「左」「右」「上」「下」の注記がある場合は、明細書中内の説明における、左方、右方、上方、下方とは、その注記された方向を指す。
図1は、本実施形態の画像読取装置の全体概略構成を表す縦断面図である。
図1においては、画像読取装置1は、いわゆるFlat Bed(FB)方式、及び、いわゆるAutomatic Document Feeder(ADF)方式、の両方式により、例えば用紙や書籍等の原稿MS(MS:ManuScriptの略称。後述の図3等参照)に形成された文字、図形、写真等の画像を読み取ることが可能な画像読取装置である。この画像読取装置1は、筐体2と、給紙トレイ4と、原稿ガイド6と、ADF3(原稿搬送装置)とを有している。
筐体2は、上部が開口された略直方体形状に形成されており、その開口された上部のうち右側にFB用読み取り面10(第1読み取り面)を、その開口された上部のうち左側にADF用読み取り面11(第2読み取り面)を、その開口された上部のうち上記FB用読み取り面10及びADF用読み取り面11の間に白基準板14を、備えている。
FB用読み取り面10は、FB方式で原稿MSに形成された画像を読み取るときに用いられる。FB方式で原稿MSに形成された画像を読み取る場合には、原稿MSがFB用読み取り面10に載置された状態で、当該原稿MSに形成された画像が一括して読み取られる(詳細は後述の図4参照)。FB用読み取り面10に対応する位置には、無色透明なガラス板からなるプラテンガラス12が設けられている。このプラテンガラス12の上面が、実質的にはFB用読み取り面10となる。
ADF用読み取り面11は、ADF方式で原稿MSに形成された画像を読み取るときに用いられる。ADF方式で原稿MSに形成された画像を読み取る場合には、原稿MSがADF用読み取り面11を通過する際に、当該原稿MSに形成された画像が1ラインずつ順次読み取られる(詳細は後述の図5参照)。ADF用読み取り面11に対応する位置には、無色透明なガラス板からなるプラテンガラス13が設けられている。このプラテンガラス13の上面が、実質的にはADF用読み取り面11となる。
また、筐体2の内部には、魚眼レンズ16と、エリアセンサ15と、2つのFB用光源17,17(第1発光手段)と、ADF用光源18(第2発光手段)と、分離板19(遮光板)とが設けられている。
魚眼レンズ16は、筐体2の下部に固定されており、上記FB用読み取り面10、白基準板14、及びADF用読み取り面11に対応した視野角θ1を介して光を入射可能に構成されている。
エリアセンサ15は、上記魚眼レンズ16の下部に固定されており、原稿MSでの反射光が魚眼レンズ16を介して受光(集光)された受光結果(言い換えれば魚眼レンズ16による結像結果)に基づき、対応する読み取り画像信号を出力する。具体的には、FB方式で原稿MSに形成された画像を読み取る場合には、FB用読み取り面10(言い換えればプラテンガラス12の上面)に載置された原稿MSからの反射光が魚眼レンズ16を介して受光された受光結果に基づき、対応する読み取り画像信号を一括して出力する。ADF方式で原稿MSに形成された画像を読み取る場合には、ADF3の後述のローラ20,21,22により搬送された原稿MSがADF用読み取り面11(言い換えればプラテンガラス13の上面)を通過する際に、当該原稿MSからの反射光が魚眼レンズ16を介して受光された受光結果に基づき、対応する読み取り画像信号を順次出力する。なお、上記魚眼レンズ16介した受光結果に基づく読み取り画像信号で表される画像は、当該魚眼レンズ16の広い視野角に起因して、全体的に扇上に歪曲した画像となる。
FB用光源17,17は、それぞれ、上記FB用読み取り面10の下方に設けられており、当該FB用読み取り面10へ向けて、この例では白色の光を発光する。
ADF用光源18は、上記ADF用読み取り面11の下方に設けられており、当該ADF用読み取り面11へ向けて、この例では白色の光を発光する。
分離板19は、筐体2の内部を、上記FB用光源17側の領域(分離板19よりも右側の領域)と、上記ADF用光源18側の領域(分離板19よりも左側の領域)とに仕切るように、上記白基準板14の下方に立設されている。この分離板19は、その上端部がADF用光源18の上端部よりも上方に位置するように、所定の上下方向の寸法を備えている。
白基準板14は、その下面(エリアセンサ15により読み取り可能な面)全域が白色である。なお、白基準板14は、白色の樹脂等により構成してもよいし、適当な色の素材を白色に塗装して構成してもよい。
一方、ADF方式で原稿MSから画像を読み取るときに、その原稿MSを保持する給紙トレイ4は、ヒンジ5を備えており、ヒンジ5の部分で略90度の範囲で、上方へ回転可能な構造である。すなわち、ADF方式で原稿MSから画像を読み取るときは、給紙トレイ4を原稿MSを積載可能な姿勢(図1に示す給紙トレイ4の姿勢)にして、上記ADF3の内部へ送り込むための原稿MSを保持させることができる。一方、FB方式で原稿MSから画像を読み取るときは、給紙トレイ4をヒンジ5の部分で略90度上方へ回転させた姿勢(図4に示す給紙トレイ4の姿勢)にして、FB読み取り面10に原稿MSを置く邪魔にならないように、当該FB読み取り面10の上方に広く空間を開けることができる。
また、原稿ガイド6は、上記給紙トレイ4の上部に配設されており、当該給紙トレイ4に載置される原稿MSの幅方向の両端部をガイドする。
また、ADF3は、上記ADF用読み取り面11の上方に設けられており、ADFカバー7と、複数の(この例では3つの)ローラ20,21,22とを備えている。
ローラ20,21,22は、駆動用モータ35(後述の図2参照)からの駆動力が伝達されることによって、それぞれ回転駆動される。これらローラ20,21,22は、互いに協働して、上記ADFカバー7の内側に形成された所定の搬送経路(矢印ア、イ、ウを参照)に沿って、上記給紙トレイ4に載置された原稿MSを1枚ずつ搬送する。具体的には、給紙トレイ4に載置された原稿MSを、上記ADF用読み取り面11へと1枚ずつ搬送し、当該ADF用読み取り面11を通過させた後、上記FB用読み取り面10側へ排出する。
また、ADFカバー7の内側には、上記搬送経路の上流側に配設されたローラ20の近傍に、原稿センサ23が配設されている。原稿センサ23は、上記給紙トレイ4上の原稿MSの有無を検出するセンサである。
図2は、画像読取装置1の機能的構成を表すブロック図である。
図2において、画像読取装置1は、CPU30と、RAM31と、ROM32と、インターフェース(図中では「I/F」と略記している)33と、上記エリアセンサ15と、上記原稿センサ23と、上記ローラ20,21,22を駆動する駆動用モータ35と、上記FB用光源17と、上記ADF用光源18と、原稿MSに形成された画像の読み取りを開始させるスタートボタン36とを有している。
CPU30は、RAM31の一時記憶機能を利用しつつ、ROM32に記憶されたプログラムを実行することにより、画像読取装置1全体の動作を制御する。
ROM32には、画像読取装置1の制御上必要な各種プログラムが格納されている。例えば、FB用歪み補正プログラム、ADF用歪み補正プログラム、FB用光源制御プログラム、ADF用光源制御プログラム、ADF用モータ制御プログラム、白補正プログラム、画像処理プログラム、インターフェース制御プログラム等が格納されている。
インターフェース33は、原稿MSから読み取られた画像を、パーソナルコンピュータやプリンタ等の外部機器100に提供するためのインターフェースである。このインターフェース33は、例えば、Universal Serial Bus(USB)接続のためのUSBインターフェースや、SDカードなどのメモリカードスロットや、無線又は有線のネットワークインターフェースなどから構成される。
エリアセンサ15は、例えばフォトダイオード等から構成される光電変換素子34(受光手段)を備えている。光電変換素子34は、上記FB用読み取り面10に載置された原稿MSからの反射光、若しくは、上記ADF用読み取り面11を通過する原稿MSからの反射光を、魚眼レンズ16を介して受光する。そして、その受光結果を光電変換して、対応する読み取り画像信号を生成する。
図3は、上記エリアセンサ15について説明する概念的説明図である。
図3において、エリアセンサ15は、原稿MSでの反射光を赤色成分に分離する赤フィルタ24Rが装着されたエリアセンサ15R、原稿MSでの反射光を緑色成分に分離する緑フィルタ24Gが装着されたエリアセンサ15G、及び、原稿MSでの反射光を青色成分に分離する青フィルタ24Bが装着されたエリアセンサ15Bから構成されている。
エリアセンサ15Rは、上記原稿MSでの反射光を、上記魚眼レンズ16及び赤色フィルタ24Rを介して受光し、その受光した赤色成分の受光結果に基づく読み取り画像信号を出力する。エリアセンサ15Gは、上記原稿MSでの反射光を、上記魚眼レンズ16及び緑色フィルタ24Gを介して受光し、その受光した緑色成分の受光結果に基づく読み取り画像信号を出力する。エリアセンサ15Bは、上記原稿MSでの反射光を、上記魚眼レンズ16及び青色フィルタ24Bを介して受光し、その受光した青色成分の受光結果に基づく読み取り画像信号を出力する。本実施形態においては、上記のように、光源17,18による白色の光を原稿MSに照射し、その白色の光の原稿MSでの反射光を、フィルタ24R,24G,24Bを介して赤色、緑色、青色の各成分に分離した後に、エリアセンサ15(詳細にはエリアセンサ15R,15G,15B)で受光することにより、カラー読み取りを行う。これにより、カラー読み取りの際に、1回の読み取りで、赤、緑、青の3色のデータを読み取ることができる。
上記構成である本実施形態の最大の特徴は、原稿MSがFB用読み取り面10に載置された際に、魚眼レンズ16のFB用視野角θ3(後述の図4参照)を介した受光結果に基づき、エリアセンサ15から一括して出力される読み取り画像信号により、当該原稿MSに形成された画像を読み取ること、ADF3により搬送された原稿MSがADF用読み取り面11を通過する際に、魚眼レンズ16のADF用視野角θ4(後述)を介した受光結果に基づき、エリアセンサ15から順次出力される読み取り画像信号により、当該原稿MSに形成された画像を読み取ること、及び、読み取られた画像の歪みを補正処理すること、にある。以下、それらの詳細を説明する。
図4は、FB方式での画像の読み取りについて説明する説明図である。
図4において、FB方式で画像の読み取りが行われるときは、給紙トレイ4が上記ヒンジ5の部分で略90度上方へ回転させた姿勢とされ、原稿MS(図4に示す例では書籍)がFB用読み取り面10に載置される。そして、上記スタートボタン36が押下されると、FB用読み取り面10に載置された原稿MSに形成された画像の読み取りが開始される。
FB方式での画像の読み取りでは、FB用光源17が点灯し、そのFB用光源17からの発光が、FB用読み取り面10に載置された原稿MSにおいて反射される。このため、FB用光源17からの発光の、FB用読み取り面10に載置された原稿MSでの反射光は、当該FB用読み取り面10に対応したFB用視野角θ3(第1視野角)を介して魚眼レンズ16に入射される。したがって、エリアセンサ15は、原稿MSがFB用読み取り面10に載置された際に、魚眼レンズ16の視野角θ1を介した受光結果のうち、上記FB用視野角θ3を介した受光結果に基づき、対応する読み取り画像信号を一括して生成し、CPU30に一括して出力する。なお、FB用光源17からの発光の、白基準板14での反射光は、当該白基準板14に対応した白基準用視野角θ2を介して魚眼レンズ16に入射される。本実施形態では、上記FB用視野角θ3を介した受光結果に基づく読み取り画像信号を一括して生成して出力する前に、白基準を読み取るため、魚眼レンズ16の視野角θ1を介した受光結果のうち、上記白基準用視野角θ2を介した受光結果に基づき、対応する読み取り画像信号が生成され、CPU30に出力される。
そして、エリアセンサ15から一括して出力される上記読み取り画像信号を用いて、FB用読み取り面10に載置された原稿MSに形成された画像が読み取られる。なお、この読み取り画像には、魚眼レンズ16のFB用視野角θ3に起因する歪みが含まれているので、その歪みに対し所定の補正処理が行われる(詳細は後述)。
図5は、ADF方式での画像の読み取りについて説明する説明図である。
図5において、ADF方式で画像の読み取りが行われるときは、給紙トレイ4が上記原稿MSを積載可能な姿勢とされ、当該給紙トレイ4に原稿MS(図4に示す例では複数の用紙)が載置される。そして、FB方式の場合と同様、上記スタートボタン36が押下されると、給紙トレイ4に載置された原稿MSに形成された画像の読み取りが開始される。
ADF方式での画像の読み取りでは、ADF用光源18が点灯し、その後、給紙トレイ4に載置された原稿MSが、ADF3のローラ20,21,22によってADF用読み取り面11へと搬送され、ADF用読み取り面11を通過する。このとき、ADF用光源18からの発光が、ADF用読み取り面11を通過する原稿MSにおいて反射される。このため、ADF用光源18からの発光の、ADF用読み取り面11を通過する原稿MSでの反射光は、上記FB用視野角θ3と異なる位置の、当該ADF用読み取り面11に対応したADF用視野角θ4(第2視野角)を介して魚眼レンズ16に入射される。したがって、エリアセンサ15は、原稿MSがADF用読み取り面11を通過する際に、魚眼レンズ16の視野角θ1を介した受光結果のうち、上記ADF用視野角θ4を介した受光結果に基づき、対応する読み取り画像信号を1ラインずつ順次生成し、CPU30に順次出力する。なお、ADF用光源18からの発光の、白基準板14での反射光は、上記白基準用視野角θ2を介して魚眼レンズ16に入射される。本実施形態では、上記ADF用視野角θ4を介した受光結果に基づく読み取り画像信号を順次生成して出力する前に、白基準を読み取るため、魚眼レンズ16の視野角θ1を介した受光結果のうち、上記白基準用視野角θ2を介した受光結果に基づき、対応する読み取り画像信号が生成され、CPU30に出力される。
そして、エリアセンサ15から順次出力される上記読み取り画像信号を用いて、給紙トレイ4に載置された原稿MSに形成された画像が読み取られる。なお、この読み取り画像には、魚眼レンズ16のADF用視野角θ4に起因する歪みが含まれているので、その歪みに対し所定の補正処理が行われる(詳細は後述)。
図6は、ROM32に記憶されたプログラムに基づいてCPU30によって実行される制御内容を表すフローチャートである。
図6において、この処理は、例えばユーザにより上記スタートボタン36が押下されることによって開始される。
まずステップS10で、CPU30は、上記原稿センサ23からの出力信号に基づき、画像の読み取りのモードを判定する。原稿センサ23からの出力信号が給紙トレイ4に原稿MSが載置されていない旨の信号であった場合には、FB方式で画像の読み取りを行うFBモードであるとみなされ、ステップS20に移る。
ステップS20では、CPU30は、FB用光源17を点灯させる。
その後、ステップS30で、CPU30は、白基準の読み取りを行う。すなわち、CPU30は、エリアセンサ15の光電変換素子34に、FB用光源17からの発光の反射光を、魚眼レンズ16の視野角θ1を介して受光させる。そして、その受光結果のうち、魚眼レンズ16の白基準用視野角θ2を介した受光結果に基づき、対応する読み取り画像信号を生成させる。その後、エリアセンサ15に、その生成された読み取り画像信号を、CPU40に出力させる。そして、CPU30は、上記エリアセンサ15から出力される読み取り画像信号を用いて、原稿MSに形成された画像の読み取り結果を補正するための基準データを生成し、RAM31に記憶させる。あるいは、上記エリアセンサ15から出力される読み取り画像信号を用いて、当該読み取り画像信号が所定レベルになるように、FB用光源17による発光量を調整するようにしてもよい。
そして、ステップS40に移り、CPU30は、FB用読み取り面10に載置された原稿MSに形成された画像の読み取りを行う。すなわち、CPU30は、エリアセンサ15の光電変換素子34に、FB用光源17からの発光の反射光を、魚眼レンズ16の視野角θ1を介して受光させる。その後、その受光結果のうち、魚眼レンズ16のFB用視野角θ3を介した受光結果に基づき、対応する読み取り画像信号を生成させる。そして、エリアセンサ15に、その生成された読み取り画像信号を、CPU40に一括して出力させる。その後、CPU30は、上記エリアセンサ15から一括して出力される読み取り画像信号を用いて、上記原稿MSに形成された画像を読み取る。なお、このステップS40の手順が、各請求項記載の第1読み取り手段として機能する。
その後、ステップS50で、CPU30は、FB用光源17を消灯させる。
そして、ステップS60に移り、CPU30は、公知の適宜の手法により、上記ステップS40で読み取られた画像の歪みを補正処理する。
その後、ステップS70で、CPU30は、上記ステップS60で補正処理された画像データに対して、上記ステップS30で生成されRAM31に記憶された基準データを用いて、周知のシェーディング補正、ホワイトバランス補正、ガンマ補正等の画像処理を行う。
そして、ステップS80に移り、CPU30は、上記ステップS70で画像処理された画像データを、上記インターフェース33を介し外部機器100に出力する。その後、このフローを終了する。
一方、ステップS10において、原稿センサ23からの出力信号が給紙トレイ4に原稿MSが載置されている旨の信号であった場合には、ADF方式で画像の読み取りを行うADFモードであるとみなされ、ステップS90に移る。
ステップS90では、CPU30は、ADF光源18を点灯させる。
その後、ステップS100で、CPU30は、白基準の読み取りを行う。すなわち、CPU30は、エリアセンサ15の光電変換素子34に、ADF用光源18からの発光の反射光を、魚眼レンズ16の視野角θ1を介して受光させる。そして、その受光結果のうち、魚眼レンズ16の白基準用視野角θ2を介した受光結果に基づき、対応する読み取り画像信号を生成させる。その後、エリアセンサ15に、その生成された読み取り画像信号を、CPU40に出力させる。そして、CPU30は、上記エリアセンサ15から出力される読み取り画像信号を用いて、原稿MSに形成された画像の読み取り結果を補正するための基準データを生成し、RAM31に記憶させる。あるいは、上記エリアセンサ15から出力される読み取り画像信号を用いて、当該読み取り画像信号が所定レベルになるように、ADF用光源18による発光量を調整するようにしてもよい。
そして、ステップS110に移り、CPU30は、上記原稿センサ23からの出力信号に基づき、給紙トレイ4に原稿MSが載置されているかどうかを判定する。給紙トレイ4に原稿MSが載置されている場合には、ステップS110の判定が満たされて、ステップS120に移る。
ステップS120では、CPU30は、駆動用モータ35を駆動し、ADF3のローラ20,21,22を回転させ、給紙トレイ4に載置された原稿MSの搬送を開始させる。なお、前述したように、給紙トレイ4に載置された原稿MSは、ローラ20,21,22により1枚ずつ搬送される。
その後、ステップS130で、CPU30は、給紙トレイ4に載置された後、ADF3のローラ20,21,22により搬送され、ADF用読み取り面11を通過する原稿MSに形成された画像の読み取りを行う。すなわち、CPU30は、ローラ20,21,22により搬送された原稿MSの先端がADF用読み取り面11に到達したら、エリアセンサ15の光電変換素子34に、ADF用光源18からの発光の反射光を、魚眼レンズ16の視野角θ1を介して受光させる。そして、その受光結果のうち、魚眼レンズ16のADF用視野角θ4を介した受光結果に基づき、対応する読み取り画像信号を生成させる。その後、エリアセンサ15に、その生成された読み取り画像信号を、CPU40に出力させる。そして、ローラ20,21,22による原稿MSの搬送に合わせて、上記魚眼レンズ16のADF用視野角θ4を介した受光結果に基づく読み取り画像信号の生成及び出力を、当該原稿MSがFB用読み取り面10側へ排出されるまで、順次繰り返し実行させる。その後、CPU30は、公知の適宜の手法により、上記エリアセンサ15から順次出力される読み取り画像信号を合成処理する。これにより、上記原稿MSに形成された画像を読み取る。なお、このステップS130の手順が、各請求項記載の第2読み取り手段として機能する。
そして、ステップS140に移り、CPU30は、駆動用モータ35を停止し、ADF3のローラ20,21,22による原稿MSの搬送を停止させる。
その後、ステップS150で、CPU30は、公知の適宜の手法により、上記ステップS130で読み取られた画像の歪みを補正処理する。なお、このステップS150の手順と、上記ステップS60の手順とが、各請求項記載の補正処理手段として機能する。
そして、ステップS160に移り、CPU30は、上記ステップS150で補正処理された画像データに対して、上記ステップS100で生成されRAM31に記憶された基準データを用いて、周知のシェーディング補正、ホワイトバランス補正、ガンマ補正等の画像処理を行う。
その後、ステップS170で、CPU30は、上記ステップS160で画像処理された画像データを、上記インターフェース33を介し外部機器100に出力する。その後、上記ステップS110に戻り同様の手順を繰り返す。
一方、ステップS110において、給紙トレイ4に原稿MSが載置されていなかった場合には、ステップS110の判定が満たされず、ステップS180に移る。
ステップS180では、CPU30は、ADF光源18を消灯させる。その後、このフローを終了する。
なお、上記フローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。例えば、ステップS30及びステップS100の手順を省略し、ステップS40及びステップS130の手順で画像の読み取りと同時に白基準の読み取りを行うようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態においては、FB方式及びADF方式のいずれの場合も、筐体2の内部に固定的に配置された魚眼レンズ16及びエリアセンサ15を用いて、原稿MSに形成された画像の読み取りを行う。したがって、両方式において別々のセンサ(読み取り素子)を用いていた場合に比べ、センサ数を低減することができ、制御機構を簡素化することもできる。また、FB方式で画像の読み取りを行うときに従来構造において必要であったラインセンサ(又はミラー)を移動させるための移動機構が不要になる。この結果、当該移動機構を設けるスペースが不要となって装置全体を小型化できる。また、当該移動機構による騒音やノイズの発生も防止できる。
さらに、FB方式で画像の読み取りを行う際には、FB用読み取り面10に載置された原稿MSに形成された画像に対してエリアセンサ15が一括して読み取りを行い、対応する読み取り画像信号を出力する。これにより、上記移動機構を用いた従来構造において必要であった移動機構の移動に要する時間や、画像信号の合成処理に要する時間が不要となり、画像の読み取りを迅速化することができる。
また、ADF方式で画像の読み取りを行う際には、ADF3のローラ20,21,22により、筐体2の上部にFB用読み取り面10とは別に設けられたADF用読み取り面11に対して原稿MSを搬送する。そして、従来と同様、ADF用読み取り面11を通過する際の原稿MSに対する上記魚眼レンズ16を介したエリアセンサ15の受光結果に基づき、画像の読み取りが行われる。したがって、従来構造のADF3をそのまま活用して、画像の読み取りを行うことができる。また、ADF3のローラ20,21,22が、原稿MSを、ADF用読み取り面11へと搬送した後、FB用読み取り面10側へ排出するようにすることで、排紙トレイを別途設ける必要がなくなり、搬送機構を簡略化できる効果もある。
また、本実施形態では特に、FB方式で画像の読み取りが行われるときには、FB用読み取り面10の下方に設けられたFB用光源17からの発光が、当該FB用読み取り面10に載置された原稿MSにおいて反射し、その反射光を魚眼レンズ16のFB用視野角θ3を介してエリアセンサ15の光電変換素子34が一括して受光し、対応する画像読み取り信号を出力する。一方、ADF方式で画像の読み取りが行われるときには、ADF用読み取り面11の下方に設けられたADF用光源18からの発光が、ADF3のローラ20,21,22による搬送により当該ADF用読み取り面11を通過する原稿MSにおいて反射し、その反射光を魚眼レンズ16のADF用視野角θ4を介してエリアセンサ15の光電変換素子34が順次受光し、対応する画像読み取り信号を順次出力する。このようにして、FB方式であってもADF方式であっても円滑に発光及び受光を行い、原稿MSに形成された画像の読み取りを行うことができる。
また、本実施形態では特に、筐体2の上部のうちFB用読み取り面10とADF用読み取り面11との間に設けられ、FB用光源17及びADF用光源18による発光量を調整するための白基準となる白基準板14を有する。これにより、FB方式及びADF方式において共通の白基準板14を用いて、光源17,18からの発光の明るさ調整や、読み取られた画像のホワイトバランスの調整ができる。この結果、FB方式で読み取られた画像の色合いや明るさと、ADF方式で読み取られた画像の色合いや明るさとの、ずれを抑えることができる。
また、本実施形態では特に、筐体2の内部を、上記FB用光源17側の領域と、上記ADF用光源18側の領域とに仕切るように、白基準板14の下方に設けられた、分離板19を有する。これにより、ADF方式で画像の読み取りが行われるときに、ADF用読み取り面11の下方に設けられたADF用光源18からの発光が、FB用読み取り面10側及びFB用光源17側に漏れにくくすることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順次説明する。
(1)ADF用読み取り面にプリズムレンズを設ける場合
上記実施形態においては、ADF用読み取り面11に、プラテンガラス13が設けられていたが、これに限られず、ADF用読み取り面11を通過する原稿MSでの反射光を拡大及び屈折可能なプリズムレンズを設けるようにしてもよい。
図7は、本変形例の画像読取装置1の全体概略構成を表す縦断面図である。図8は、プリズムレンズを表す斜視図である。なお、図7は、前述の図1に対応する図である。図1と同等の部分には同符号を付し、説明を適宜省略する。
図7及び図8において、ADF用読み取り面11に対応する位置には、前述のようにしてADF用読み取り面11を通過する原稿MSにおいて反射した反射光を拡大及び屈折可能な、一面が凸状となった透明なプリズムレンズ25(光学制御部材)が設けられている。
プリズムレンズ25には、その内部に(具体的にはADF用読み取り面11の下方、かつ、ADF用読み取り面11を通過する原稿MSの近傍位置に)、棒状のADF用光源26(第2発光手段)が埋設されている。
ADF用光源26は、少なくとも一端に発光体を備え、当該発光体の中間が導光部材で構成されている。ADF用光源26の発光体は、ADF用読み取り面11に向けて、この例では白色の光を発光する。このADF用光源26においては、発光体による光の放射がADF用読み取り面11に向かうように、導光部材の一部が発光体からの発光を遮蔽又は反射する構造となっている。
すなわち、本変形例においては、ADF方式で画像の読み取りが行われる際には、ADF用光源26の発光体が点灯し、その後、給紙トレイ4に載置された原稿MSが、前述のADF3のローラ20,21,22によってADF用読み取り面11へと搬送され、ADF用読み取り面11を通過する。このとき、ADF用光源26の発光体からの発光が、ADF用読み取り面11を通過する原稿MSにおいて反射される。このため、ADF用光源26の発光体からの発光の、ADF用読み取り面11を通過する原稿MSでの反射光は、プリズムレンズ25により拡大及び屈折された後、前述のFB用視野角θ3と異なる位置であると共に、前述のADF用視野角θ4よりも広い、ADF用視野角θ4′(第2視野角)を介して前述の魚眼レンズ16に入射される。したがって、前述のエリアセンサ15は、原稿MSがADF用読み取り面11を通過する際に、魚眼レンズ16の視野角θ1を介した受光結果のうち、上記ADF用視野角θ4′を介した受光結果に基づき、対応する読み取り画像信号を1ラインずつ順次生成し、CPU30に順次出力する。そして、エリアセンサ15から順次出力される上記読み取り画像信号を用いて、給紙トレイ4に載置された原稿MSに形成された画像が読み取られる。
上記以外の構成は、上記実施形態の画像読取装置1と同様であるので、説明を省略する。
本変形例によれば、ADF方式で画像の読み取りが行われるとき、ADF用光源26からの発光がADF用読み取り面11を通過する原稿MSにおいて反射した反射光は、プリズムレンズ25によって拡大及び屈折された後、魚眼レンズ16に入射してエリアセンサ15の光電変換素子34で受光される。これにより、上記入射時において魚眼レンズ16によるADF用視野角を拡大することができる。この結果、ADF用読み取り面11を順次通過する原稿MSの画像の1ラインを、より多くの画素でデータ化できることとなる。したがって、歪みや色の補正を、より高精度に行うことができる。また、プリズムレンズ25の内部にADF用光源26を設けることで、ADF用光源26からの発光時にプリズムレンズ25による影やムラが生じないようにすることができる。
(2)プリズムレンズのバリエーション(その1)
光学制御部材としては、上記(1)の変形例におけるプリズムレンズ25に限られない。
図9は、本変形例におけるプリズムレンズを表す斜視図である。
図9において、本変形例におけるプリズムレンズ25′(光学制御部材)は、一面が凸状となった透明なプリズムレンズであり、上記(1)の変形例におけるプリズムレンズ25(図8参照)の一部が欠損したような形状を備えている。このプリズムレンズ25′の一部(この例では欠損部)には、前述のADF用光源26が設けられている。このプリズムレンズ25′を用いた場合も、上記(1)の変形例と同様の効果を得る。
(3)プリズムレンズのバリエーション(その2)
光学制御部材としては、上記(1)や(2)の変形例におけるプリズムレンズ25,25′に限られない。
図10は、本変形例におけるプリズムレンズを表す斜視図である。
図10において、本変形例におけるプリズムレンズは、前述の魚眼レンズ16を介し結像する位置を複数箇所にし、同じ内容を複数回読み取り、読み取り補正を行って鮮明な画像を得るために、複数の(この例では3つの)のプリズムレンズ25A,25B,25Cから構成されている。すなわち、これらプリズムレンズ25A,25B,25Cが、各請求項記載の光学制御部材に相当する。これらプリズムレンズ25A,25B,25Cは、それぞれ、一面が凸状となった透明なプリズムレンズである。これらプリズムレンズ25A,25B,25Cを用いた場合も、上記(1)の変形例と同様の効果を得る。
(4)赤、緑、青の3色の光源を別個に設ける場合
前述の実施形態においては、光源17,18による白色の光を原稿MSに照射し、その白色の光の原稿MSでの反射光を、フィルタ24R,24G,24Bを介して赤色、緑色、青色の各成分に分離した後に、エリアセンサ15(詳細にはエリアセンサ15R,15G,15B)で受光することにより、カラー読み取りを行っていたが、これに限られない。すなわち、赤色、緑色、青色の光を発光する光源(第1発光手段又は第2発光手段)を別個に設け、これら3色の光源の点灯及び消灯を制御して赤色、緑色、青色の光を交代に原稿MSに照射し、赤色の光の原稿MSでの反射光、緑色の光の原稿MSでの反射光、青色の光の原稿MSでの反射光を、エリアセンサで交代に受光することにより、カラー読み取りを行うようにしてもよい。この場合には、モノクロ読み取り時に、原稿とエリアセンサとの間にフィルタを介さないので、明るい画像を得ることができる。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。