JP5561512B2 - 炭化硼素焼結体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭化硼素焼結体及び炭化硼素焼結体の製造方法に関する。
炭化硼素焼結体は、高い硬度と弾性率を有し、密度が低く、軽量で耐摩耗性に優れた材料として知られている。
また、炭化硼素焼結体は、難焼結性であるため、平均粒径1μm以下の、高価な炭化硼素を使用し、ホットプレス法により製造されている。
但し、ホットプレス法は、生産コストが高く、単純な形状の製品しか製造できず、装甲材料、サンドブラストノズル等に使用されることが多い。
緻密な炭化硼素の焼結体を製造する手法としては、カーボン添加により焼結促進する方法が知られている(非特許文献1参照)。
ここで述べられている炭化硼素焼結体は、炭化硼素の粒体に、熱硬化性のノボラックフェノール樹脂を添加し、焼結によって、添加したフェノール樹脂の質量の、50%がカーボンに変化する。カーボン添加量が、全組成の4〜12質量%に相当するフェノール樹脂の添加により、最大で理論密度の98%を有する焼結体が得られた。
同様に、ノボラックフェノール樹脂とカーボンブラックとを、0.5〜11質量%添加することで、理論密度の90%以上の、炭化硼素焼結体を製造する方法についても提案されている(特許文献1参照)。
米国特許第4195066号明細書
S.L.Dole and S. Prochazka、 "Densification and Microstructure Development in Boron Carbide、" Ceram.Eng. Sci. Proc.、 6[7−8]1151−60(1985)
しかしながら、非特許文献1に示されるものは、ノボラックフェノール樹脂の添加の際に、有機溶剤であるメタノール、へプタンを使用し、混合物の乾燥を室温(25℃)にて自然乾燥させるため、蒸発する有機溶剤の処理と、環境影響が問題になる。
また、特許文献1に記載される製造方法は、有機溶剤であるアセトン又は脂肪族アルコールを使用しているため、同様の問題がある。
本発明は、水溶性のレゾール型フェノール樹脂を使用し、低環境負荷を実現し、緻密で高比剛性の炭化硼素焼結体と、その製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、以下のものに関する。
(1)炭化硼素を主成分とし、これに、レゾール型フェノール樹脂、カーボン粉体、及び、分散剤を混合して、焼結させる炭化硼素焼結体。
(2)項(1)において、更にジルコニアを含有する炭化硼素焼結体。
(3)項(1)又は(2)において、焼結が、常圧焼結である炭化硼素焼結体。
(4)項(1)乃至(3)の何れかにおいて、炭化硼素、レゾール型フェノール樹脂が炭化して生成するカーボン及びカーボン粉体の合計質量を100質量部とした際に、カーボン粉体が、2〜10質量部、レゾール型フェノール樹脂が炭化して生成するカーボンの量で1〜5質量部である炭化硼素焼結体。
(5)項(2)乃至(4)の何れかにおいて、炭化硼素、レゾール型フェノール樹脂が炭化して生成するカーボン及びカーボン粉体の合計質量を100質量部とした際に、ジルコニアが、0.5〜4質量部である炭化硼素焼結体。
(6)項(1)乃至(5)の何れかにおいて、分散剤が、ポリカルボン酸アンモニウム塩である炭化硼素焼結体。
(7)以下の工程により製造される炭化硼素焼結体の製造方法。
(a)炭化硼素、レゾール型フェノール樹脂、カーボン粉体、分散剤及びジルコニアを、混合する工程。
(b)混合物を乾燥させる工程。
(c)乾燥させた混合物を粉体化する工程。
(d)粉体の水分を調整する工程。
(e)水分調整した粉体混合物を成形する工程。
(f)成形体を焼結させる工程。
(8)項(7)において、工程(b)及び(c)が、同時に行われる炭化硼素焼結体の製造方法。
(9)項(7)又は(8)において、カーボン粉体が、予め水中分散されたものである炭化硼素焼結体の製造方法。
(10)項(7)乃至(9)の何れかにおいて、炭化硼素、レゾール型フェノール樹脂、カーボン粉体及び分散剤を水の中で混合する炭化硼素焼結体の製造方法。
本発明では、水を溶剤として用いることができるので、有機溶剤の揮発、及び、この揮発した物質の処理が不要となり、低環境負荷の炭化硼素焼結体及びこの焼結体の製造方法を提供することができる。
更に、ジルコニアを添加した場合は、より相対密度の高い焼結体を製造することができる。
常圧焼結させた場合は、複雑形状の焼結体の製造方法を提供することができる。
カーボン粉体が、2〜10質量部、レゾール型フェノール樹脂が炭化して生成するカーボンの量で1〜5質量部であるようにした場合は、混合工程、又は、この混合物を乾燥、粉体化する工程において、フェノールの硬化によって、樹脂が作業機器に付着し、取りにくくなる問題を解決することができる。更に、このような割合である場合は、より相対成形密度が高く、且つ強度の高い成形体を作ることができ、成形体をより軽量化できるリブ構造(例えば、リブの厚み:3.0mm、長さ:52mm、深さ:49mm)を持つ部品の加工ができるだけの、強度を持つことが可能になる。
また、ジルコニアの量を、0.5〜4質量部とすると、特に焼結体の相対密度を上げることができる。
分散剤が、ポリカルボン酸アンモニウム塩である場合は、混合工程において、レゾール型フェノール樹脂、カーボン粉体を、均一に炭化硼素粒子の表面に分散することが可能になる。
乾燥工程と粉体化工程を同時に行う場合は、作業工程を短くして効率を上げることができ、カーボン粉体を予め水中分散させたものを使用する場合は、後の混合にてより均一にカーボン粉体を分散させることができる。
本発明にて述べる炭化硼素焼結体は、理論密度に対する相対密度が、約90%以上、好ましくは93%以上とすることができる緻密体である。このような高い密度は、炭化硼素焼結体の、高い強度を得るためであり、更に、炭化硼素焼結体の気孔率を下げるためでもある。理論密度に対する相対密度が、約90%未満では、強度が低下してしまうので、使用できる箇所(用途)が限られる。
炭化硼素焼結体の弾性率(25℃)は、350GPa以上とすることが好ましく、より好ましくは400GPa以上である。このような弾性率を有するものは、機械装置の構造部品、具体的には、精度が要求される計測部品又は、軽量化と剛性の両方の性能を要求される移動部品、位置決め部品に適用できる。
本発明にて述べる原料としての炭化硼素は、特に限定されるものではないが、平均粒径(D50)が、5μm以下、好ましくは3μm以下で、硼素:Bと炭素:Cのモル比(B/C比)が3.7〜4.9で、より好ましくは3.9〜4.2の粉体を用いる。平均粒径が5μmを超えて大きくなると、焼結性が徐々に低下し、それに伴い焼結密度も徐々に低下する。市販される炭化硼素原料粉体のB/C比は、化学量論比4のものだけでなく、B/C比が3.7〜4.9の製品が多く、B/C比が3.9〜4.2の製品がより多く販売されている。
尚、本明細書にて述べる平均粒径(D50)とは、体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積カーブにおいて、その累積カーブが50%となる点の粒径、即ち、体積基準累積50%径を意味する。平均粒径(D50)は、レーザ回折・散乱法を測定原理とする、レーザ回折・散乱法粒度分布測定装置で測定した、頻度分布及び累積体積分布曲線で求められる(例えば、スペクトリス株式会社製の商品名:MASTERSIZER2000等を用いることができる)。
本発明にて述べる分散剤は、カルボン酸系共重合体、カルボキシル基を持つ水溶性有機物を用いることができ、より具体的には、ポリカルボン酸アンモニウム塩等を用いることができる。分散剤は、炭化硼素及びカーボン粒子表面に吸着し、イオン同士の反発及び分散剤分子の立体障害によって、粒子の凝集を防ぎ、混合物を均一に分散させる。
本発明にて述べるカーボン粉体は、平均粒径(D50)が、1μm以下のものを好ましく用いることができ、より好ましくは0.4μm以下であるものを用いることができる。カーボン粉体は、炭化硼素粒子に均一に分散されることによって、焼結工程における炭化硼素粒子の異常な粒成長を抑制し、炭化硼素焼結体の緻密化を促進する。カーボン粉体の平均粒径が、1μmを超えて大きくなると、その分散効果が、徐々に低下し、焼結工程における炭化硼素粒子の異常成長の抑制効果、炭化硼素焼結体の緻密化促進効果が、徐々に低下する。
カーボン粉体を均一分散させるためには、このカーボン粉体に分散剤を添加し、予め水の中に十分分散してから、添加することが好ましい。
本発明にて述べるレゾール型フェノール樹脂は、水溶性で、水の中に均一に溶解、分散できるものを意味する。このレゾール型フェノール樹脂を使用することにより、有機溶剤ではなく水を溶媒とし、炭化硼素、レゾール型フェノール樹脂、カーボン粉体、分散剤の均一混合が可能となる。
レゾール型フェノール樹脂は、混合工程において、炭化硼素粒子の表面にコーティングされ、焼結の過程でレゾール型フェノール樹脂が熱分解してカーボンとなり、炭化硼素粒子表面に、均一なカーボンコーティング膜を形成し、焼結工程における炭化硼素粒子の異常な粒成長を抑制し、炭化硼素焼結体の緻密化を促進する。
このレゾール型フェノール樹脂は、混合物を成形後、150℃、好ましくは135℃まで加熱させて硬化させ、成形体の強度を高め、成形体の形状を維持させる。
尚、成形体の強度を高めるために、ポリビニルアルコール樹脂(以下、「PVA樹脂」と言う。)を、成形助剤として添加することもできる。強度を高めた成形体は、削り出し等により所定の複雑形状に加工することが可能になる。PVA樹脂は、炭化硼素、レゾール型フェノール樹脂が炭化して生成するカーボン及びカーボン粉体の合計質量を100質量部とした際に、0.5〜2質量部を添加することができ、より好ましくは0.5〜1質量部を添加することができる。
炭化硼素、レゾール型フェノール樹脂、カーボン粉体及び分散剤を、混合する場合は、次の順番と方法で実施することが好ましい。
<粉体及び分散剤の混合>
混合は、炭化硼素粉体、カーボン粉体及び分散剤に水を加えて、1時間以上、好ましくは4時間以上攪拌、又は、ボールミル等による攪拌混合を行う。カーボン粉体は、分散剤と水とで予め混合してから、炭化硼素粉体及び分散剤に添加することが好ましい。このようにすることで、均一混合し難いカーボン粉体が、均一混合し易くなる。
<樹脂の添加>
炭化硼素粉体、カーボン粉体及び分散剤を、水の中で混合した溶液の中に、レゾール型フェノール樹脂を添加し、攪拌して均一に分散させる。
レゾール型フェノール樹脂を後から入れるのは、レゾール型フェノール樹脂が、炭化硼素粉体及びカーボン粉体と長時間混合されると、溶液の粘度が高くなると共に、熱発生が生じ、この熱によりレゾール型フェノール樹脂の重合が開始され、レゾール型フェノール樹脂が、混合容器内に付着して取りにくくなり、分散効果が得にくくなるためである。
<乾燥>
混合物の乾燥は、100℃以下の環境、好ましくは65℃程度の環境の中で、乾燥物の水分が、2〜5質量%、好ましくは3〜4質量%になるように行われる。温度が100℃を超えると、レゾール型フェノール樹脂が硬化し、乾燥物が硬くなり、後の工程にて乾燥物の粉体化がしにくくなる。水分が5質量%より多い場合は、乾燥物に粘りが残り、やはり粉体化しにくくなる。乾燥物の水分が2質量%より少ない場合は、乾燥物が硬くなり、これも乾燥物の粉体化がしにくくなり、更に、この乾燥物を粉体化したもので成形した成形体の、成形密度が低くなる。
尚、乾燥は、乾燥物の水分量を、一旦1質量%前後に迄乾燥させた後に、加水して2〜5質量%になるよう調整することもできる。
<粉体化>
乾燥物の粉体化は、乾燥物に振動、圧縮、ミル等の衝撃を与え、乾燥物を粉体に砕く工程である。
この粉体は、50〜100メッシュの篩、好ましくは60〜80メッシュの篩を通過したものを用い、篩上の粉は除去し、再粉砕して使用することが出来る。50メッシュより小さい番号の篩を使用する場合は、粉体に大きな粒子が残存する為、粉体の流動性が悪化し易く、成形密度が低くなる傾向にある。100メッシュより大きい番号の篩を使用する場合は、篩い分け工程に時間がかかり、更には、粉体の収率が悪くなる。
また、上記乾燥及び粉体化は、噴霧乾燥法で同時に行うこともできる。噴霧乾燥法にて行う場合は、噴霧乾燥機の出口温度を、90〜150℃、好ましくは105〜120℃とする。出口温度が90℃未満では、混合液が十分乾燥できず、乾燥容器の壁に付着し易くなり、粉体の収率が悪化し易い。出口温度が150℃を超えて高い場合は、樹脂分の硬化が進むことで粉体が硬くなり、成形密度が低くなる。
この方法で粉体化した粉体の水分は、1質量%以下であるため、粉体の水分が2〜5質量%、好ましくは3〜4質量%になるように水分を加えて調整する。粉体の水分が2質量%より少ない場合は、粉体の顆粒が硬くなり、この粉体で成形した成形体の成形密度が低くなる。粉体の水分が5質量%を超えて多い場合は、この粉体で成形した成形体の乾燥時に、成形体に亀裂が発生し易くなる、又は乾燥時間が長くなる。
<成形>
粉体化された混合物を成形する工程は、粉体化された混合物を、金型によるプレス成形、又は、静水圧によるCIP成形(コールド・アイソスタティック・プレス成形)法で成形することができる。成形圧力は、100MPa以上、好ましくは120MPa以上で行われる。100MPa未満の場合は、理論密度に対して成形体の相対密度が、50%以下となり、焼結体の密度が低く、更に、成形体の強度も低く、用途が限られてくる。また、成形体は、成形後に105〜150℃、好ましくは120〜135℃に加熱し、乾燥硬化させることができる。成形体を加熱硬化させることよって、成形体の強度が高くなり、所定の形状に加工することが可能になる。105℃未満では、成形体の強度が徐々に低くなり、所定の形状に加工することが困難となってくる。150℃を超えて高い場合は、成形体が脆くなり、加工時に欠け易くなる。
<焼結>
次に、焼結する工程を行う。必要に応じて形状加工を施された成形体は、2000〜2300℃、好ましくは2100〜2250℃、更に好ましくは2200〜2230℃に加熱処理し、焼結させる。この焼結工程は、真空、又は、不活性ガス雰囲気、特にアルゴンガス中にて焼結することが好ましい。真空、又は、不活性ガス雰囲気中で焼結することにより、カーボン及び炭化硼素の高温酸化を発生させないことができる。真空中で焼結させる場合は、25MPa以下であることが好ましい。不活性ガス雰囲気中で焼結させる場合は大気圧(常圧)で行うことができる。
以下、本発明の実施例について、詳細に説明する。
<材料>
(炭化硼素)
本実施例では、以下の表1に示すA1〜A3の炭化硼素粉体を用いた。A1〜A3は、平均粒径が異なった粉体であり、A1は2.6μm、A2は1.4μm、A3は0.6μmのものを、使用した。
Figure 0005561512
(レゾール型フェノール樹脂)
レゾール型フェノール樹脂は、VP−231N(日立化成工業株式会社製、商品名)を、40質量%水溶液として用いた。
(カーボン粉体)
カーボン粉体は、平均粒径が38nmのカーボンブラック(C1)(シースト116MAF:東海カーボン株式会社製、商品名)と、平均粒径が140nmのカーボンブラックを水中に分散させた、20質量%水溶液(C2)「Aqua−Black001(Aqua−Blackは東海カーボン株式会社の登録商標):東海カーボン株式会社製、商品名」とを用いた。
(ジルコニア)
ジルコニアは、平均粒径(D50)が、1〜2.5μmのEP酸化ジルコニウム(第一稀元素化学工業株式会社製、商品名)を用いた。
(分散剤)
分散剤は、ポリカルボン酸アンモニウム塩(アロンA−6114:東亜合成株式会社製、商品名)を用いた。
(成形助剤)
成形助剤は、PVA樹脂(PVA−205−20:有限会社内藤糊店製、商品名)の、20質量%水溶液を用いた。
<ボールミル>
鉄芯の周囲をナイロン樹脂で覆ったボール(直径15mmボール:2400g(約380個)、直径20mmボール:1000g(約65個)、直径25mmボール:670g(約24個))と、ナイロン製円筒容器(直径:182mm、深さ:195mm)とを用いた。
混合は、混合物を入れて70回転/分の回転速度で、4時間行った。
<粉体化>
噴霧乾燥機(ニロジャパン株式会社製、商品名:モービルマイナー型スプレードライヤー)にて、入口温度:115〜130℃、出口温度:110〜120℃、乾燥粉体:5〜15g/分の処理速度で、噴霧乾燥させた。
<水分調整>
水分の測定は、電子式水分計(MOC−120H:株式会社島津製作所製、商品名)を用いて、120℃、5分間保持で行った。
測定後、容器内にある粉体に水を噴霧しながら粉体をかき混ぜ、目的の水分量となるように調整した。
<成形>
水分調整した混合粉末6gを、一軸プレス成形機(7t、理研精機株式会社製)を用いて、120MPaの圧力で、直径:25mm、厚み:8mmの成形体を作製した。
<乾燥及び硬化処理>
作製した成形体を、高温乾燥器(DN−61−2:ヤマト科学株式会社製、商品名)を用いて、135℃で1時間乾燥、硬化させた。
<焼結>
焼結用の焼結炉は、高周波誘電雰囲気焼結炉(FVS−1−330/550:富士電波工業株式会社製、商品名)を用いた。
焼結温度の測定は、携帯型デジタル放射温度計(IR−AH:株式会社チノー製、商品名)にて測定した。
尚、焼結は、アルゴンガス雰囲気で行った。焼結温度は、20〜1230℃は10℃/分で昇温させ、1230〜1600℃は5℃/分で昇温させ、1600℃にて20分間温度保持し、1600〜2205℃は5℃/分で昇温させ、2205〜2230℃は1℃/分で昇温させ、2230℃にて15分間温度保持してから、炉の中で自然冷却させた。
<実施例1>
下記表2に示すように、炭化硼素(A1):186.0g、カーボン粉体水溶液(C2):55.0g、分散剤:4.0g、水:196gを、先に述べたボールミルを用いて混合し、更に、レゾール型フェノール樹脂溶液:15.0g、成形助剤であるPVA樹脂溶液:5.0g、水:250gを添加し、この混合したスラリ状の混合物を先に述べた方法で粉体化させた。
粉体は、0.85質量%の水分を含み、これを先に述べた成形条件で成形し、乾燥及び硬化させた。
成形体は、先に述べた焼結条件で焼結させ、表2の試料番号T11に示す焼結体を得た。
また、先に述べた0.85質量%の水分を含んだ粉体を、水分調整して3.46質量%としたものを、同一条件で成形、乾燥、硬化及び焼結させ、表3の試料番号T12に示す焼結体を得た。
尚、成形体の相対密度は、D/Dthとする。Dは成形体の成形密度で、成形体を乾燥硬化した後の質量と体積で計算した密度である。Dthは焼結体の理論密度で、混合物が焼結によって、炭化硼素粉体、カーボン粉体、及びジルコニアが100%残存し、フェノール樹脂が高温分解によって、その50質量%分がカーボンとして残存したものとして、混合物質量割合で計算した理論密度である。ここで、炭化硼素の密度を2.52g/cm、カーボンの密度を2.37g/cm、ジルコニアの密度を5.8g/cmとした。
更に、焼結体の相対密度TDは、TD=D/Dthとする。Dは焼結体の密度で、アルキメデス法により測定した。Dthは、先に述べた焼結体の理論密度である。
<実施例2>
下記表2に示すように、炭化硼素(A2):186.0g、カーボン粉体水溶液(C2):55.0g、分散剤:4.0g、水:196gを、先に述べたボールミルを用いて混合し更に、レゾール型フェノール樹脂溶液:15.0g、成形助剤であるPVA樹脂溶液:5.0g、水:250gを添加し、この混合したスラリ状の混合物を先に述べた方法で粉体化させた。
粉体は、0.82質量%の水分を含み、これを先に述べた成形条件で成形し、乾燥及び硬化させた。
成形体は、先に述べた焼結条件で焼結させ、表2の試料番号T21に示す焼結体を得た。
また、先に述べた0.82質量%の水分を含んだ粉体を、水分調整して3.61質量%としたものを、同一条件で成形、乾燥、硬化及び焼結させ、表3の試料番号T22に示す焼結体を得た。
<実施例3>
下記表2に示すように、炭化硼素(A3):186.0g、カーボン粉体水溶液(C2):55.0g、分散剤:4.0g、水:196gを、先に述べたボールミルを用いて混合し更に、レゾール型フェノール樹脂溶液:15.0g、成形助剤であるPVA樹脂溶液:5.0g、水:250gを添加し、この混合したスラリ状の混合物を先に述べた方法で粉体化させた。
粉体は、0.88質量%の水分を含み、これを先に述べた成形条件で成形し、乾燥及び硬化させた。
成形体は、先に述べた焼結条件で焼結させ、表2の試料番号T31に示す焼結体を得た。
また、先に述べた0.88質量%の水分を含んだ粉体を、水分調整して3.48質量%としたものを、同一条件で成形、乾燥、硬化及び焼結させ、表3の試料番号T32に示す焼結体を得た。
<実施例4>
下記表2に示すように、炭化硼素(A2):186.0g、カーボン粉体水溶液(C2):55.0g、ジルコニア:2.0g、分散剤:4.0g、水:196gを、先に述べたボールミルを用いて混合し更に、レゾール型フェノール樹脂溶液:15.0g、成形助剤であるPVA樹脂溶液:5.0g、水:250gを添加し、この混合したスラリ状の混合物を先に述べた方法で粉体化させた。
粉体は、0.83質量%の水分を含み、これを先に述べた成形条件で成形し、乾燥及び硬化させた。
成形体は、先に述べた焼結条件で焼結させ、表2の試料番号T41に示す焼結体を得た。
また、先に述べた0.83質量%の水分を含んだ粉体を、水分調整して3.45質量%としたものを、同一条件で成形、乾燥、硬化及び焼結させ、表3の試料番号T42に示す焼結体を得た。
<比較例1>
下記表2に示すように、炭化硼素(A2):186.0g、カーボン粉体(C1):14.0g、分散剤:4.0g、水:240gを、先に述べたボールミルを用いて混合し更に、成形助剤であるPVA樹脂溶液:5.0g、水:250gを添加し、この混合したスラリ状の混合物を先に述べた方法で粉体化させた。
粉体は、0.63質量%の水分を含み、これを先に述べた成形条件で成形し、乾燥及び硬化させた。
成形体は、先に述べた焼結条件で焼結させ、表2の試料番号T51に示す焼結体を得た。
また、先に述べた0.63質量%の水分を含んだ粉体を、水分調整して3.50質量%としたものを、同一条件で成形、乾燥、硬化及び焼結させ、表3の試料番号T52に示す焼結体を得た。
Figure 0005561512
Figure 0005561512
<レゾール型フェノール樹脂の有無>
上記表2の実施例1乃至4(試料番号:T11〜T41)に示されるように、レゾール型フェノール樹脂を添加したものは、焼結体の相対密度が、89.9〜96.9%であり、比較例1(試料番号:T51)に示す84.3%に比較し、高い相対密度でより緻密な焼結体を得られた。
また、上記表3の実施例1乃至4(試料番号:T12〜T42)では、水分調整を行っており、焼結体の密度を、93.3〜97.9%として、更に高い相対密度を実現している。比較例1(試料番号:T52)では、同様に水分調整を行っているものの、相対密度は87.7%であり、水分調整を行っていない表2の実施例1乃至4にさえ及ばない、低い相対密度となっている。
即ち、焼結体は、レゾール型フェノール樹脂を添加したことにより、より緻密なものとすることができ、適用範囲を広げることができる。
<ジルコニアの添加>
ジルコニアを添加したものは、実施例4にて行っているが、ジルコニアを添加しない以外は、実施例4と同一条件である実施例2と比較すると、明らかにジルコニアを添加した実施例4のものの焼結体における相対密度が高く(T41とT21との比較)、これは水分調整を行ったもの(T42とT22との比較)でも同じである。
即ち、焼結体は、レゾール型フェノール樹脂の添加ばかりでなく、更にジルコニアを添加することで、更に緻密なものとすることができる。
<炭化硼素粉体の平均粒径>
炭化硼素粉体の平均粒径については、平均粒径を変化させた実施例1乃至3を見ると、平均粒径が小さいもの程、焼結体の相対密度が高い傾向にあるように見うけられるが、実施例1と実施例2とでは、相対密度の数値がこの傾向とは逆になっており、本実施例だけからは、結論を導き出すことはできなかった。

Claims (1)

  1. 平均粒径(D 50 )が5μm以下の炭化硼素粉体、レゾール型フェノール樹脂、カーボン粉体、及び、ジルコニアを含む原料を混合して、焼結させる炭化硼素焼結体であり、炭化硼素、レゾール型フェノール樹脂が炭化して生成するカーボン及びカーボン粉体の合計質量を100質量部とした際に、カーボン粉体の量が2〜10質量部、レゾール型フェノール樹脂が炭化して生成するカーボンの量で1〜5質量部、ジルコニアが0.5〜4質量部である炭化硼素焼結体を製造する方法であって、
    炭化硼素、予め水中分散されたカーボン粉体、ポリカルボン酸アンモニウム塩である分散剤及びジルコニアを水中で混合し、更にレゾール型フェノール樹脂を添加混合し、この混合物を乾燥し、乾燥させた混合物を粉体化し、水分調整した粉体混合物を成形し、この成形体を常圧焼結させる炭化硼素焼結体の製造方法。
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