JP5041312B2 - 炭素材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、射出成形、射出圧縮成形あるいはトランスファ成形によって作製した成形体を焼成する炭素材料の製造方法に関し、特に、焼成時の収縮異方性が小さく、炭素材料の物性の異方性を低減化した炭素材料の製造方法に関する。
また、目標とする最終製品形状に近似した炭素材料を製造することができ、例えば、異形、複雑形状の炭素材料を製造する際にも、後処理的に機械加工する部分を極力少なくできる炭素材料の製造方法に関する。更に、焼成時に発生する膨れや割れなどの現象を抑制することのできる炭素材料の製造方法に関する。
炭素材料は、非酸化性雰囲気において優れた耐熱性や高温強度を有し、また導電性、熱伝導性および化学的安定性も高く、このような特異な性質から電気、電子、機械、冶金、化学などの幅広い分野で広く使用されている。この炭素材料は、従来からコークス粉末などの炭素質粉末を骨材として、ピッチやタールなどの結合材を配合して加熱混練したのち混練物を粉砕して原料粉を作製し、原料粉を押出し成形や冷間静水圧プレスなどによって成形し、成形体を焼成し、更にピッチ含浸、再焼成を繰り返し、必要に応じ黒鉛化することにより製造されている。
この製造プロセスにおいて、特に焼成過程では主に結合材に由来する多量の揮発性ガスが発生し、発生したガスが成形体から円滑に揮散、排出されないと、膨れなどの変形や割れが生じ易い。そのため、焼成過程における昇温速度を極めて緩やかに加熱する必要があり、通常、焼成サイクルは1ヶ月以上もの長期間を要している。また、立体形状の最終製品を得るためにはブロック状の炭素材から所望の形状に機械加工するので、高価なものとなるなどの難点がある。
一方、黒鉛などの炭素粉末と比較的炭化率の高い熱硬化性樹脂を結合材として混合、混練した後、乾燥、粉砕して成形粉とし、この成形粉を所望形状に成形した成形体を焼成、炭化する方法がある。
そして、成形法として、比較的に複雑形状の成形体を作製することのできる射出成形、射出圧縮成形、トランスファ成形などの成形方法があり、特に、複雑形状の成形体を作製することができ、成形サイクル時間の短い射出成形法が有用されている。例えば、特許文献1には炭素微粉末と熱硬化性樹脂を混合する際に、高い機械的エネルギーを加えてメカノケミカル現象により炭素微粉末の粒子表面に樹脂が高度に結合したペースト状組成物を得、この組成物を注型成形または射出成形して、焼成する製造方法が開示されている。
しかし、成形時にペースト状組成物の流動性が重要であり、特に射出成形では流動性を高く保持する必要があるため熱硬化性樹脂量が多くならざるを得ない。例えば、上記特許文献1では、炭素粉末の平均粒径が100μm以下の微粉末であることもあって、結合材である熱硬化性樹脂量も多くなり、特に肉厚の厚い炭素製品では焼成時に膨れや割れが生じ易く、肉厚の厚い炭素製品を製造することは困難である。
そこで、特許文献2では炭素粉末100重量部にベンジリックエーテル型フェノール樹脂10〜50重量部を添加混練し、この混練物を射出成形または押出成形して成形体をつくり、これを非酸化性雰囲気下、600℃以上の温度で熱処理する炭素成形体の製造法が提案されている。
特許文献2は樹脂の添加量が少なくても流動性のよい混練物が得られるベンジリックエーテル型フェノール樹脂を使用するもので、射出成形により複雑形状の成形体を効率よく作製できるとするものであるが、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂は離形性が悪いので離形剤を添加する必要があり、更に、焼成炭化時に発生する揮発性ガスがフェノール樹脂などと比べて多い難点もあり、肉厚成形体を製造することが困難である。
特許文献3にはメソカーボン粉末と有機バインダーとの均一混合物を加熱し、射出成形するメソカーボン粉末成形体の製造方法が開示されている。しかし、使用するメソカーボン粉末の粒径が1〜80μmと小さく、成形時の流動性を改善するために可塑剤を配合するので、焼成過程で発生するガス量も多くなりカーボン焼結体の密度や強度が低くなる欠点がある。
また、特許文献4にはオルト位結合/パラ位結合存在比が3以上のノボラック系フェノール樹脂50〜95質量%と、炭素質材料50〜5質量%とを主成分とする樹脂組成物を射出成形した成形体を炭化焼成したアモルファスカーボン成形体が開示されているが、炭素質材料の粒径が100μm以下の微粉を用いるので、樹脂組成物の樹脂量比が高く、焼成時に発生するガス量が多くなる難点がある。
特開昭59−195515号公報 特開平01−115869号公報 特開平08−113668号公報 特開2004−131527号公報
そこで、発明者は上記の問題を解決すべく射出成形材料である樹脂組成物について種々検討を行い、炭素粉末とバインダーである熱硬化性樹脂とを混合した樹脂組成物を射出成形などした成形体は、その表層面に樹脂分がリッチな層が形成され、この樹脂リッチ層が焼成炭化時に緻密な炭素層となって、樹脂成分の分解炭化時に発生するガスの排出が阻害されることを見出した。
この傾向は、炭素粉末の平均粒子径が小さく、熱硬化性樹脂の混合量比が大きく、また成形体の肉厚が厚い場合に顕著となり、熱硬化性樹脂から発生する揮発性の分解ガスの排出が円滑に進まず、焼成炭化時に膨れや割れが発生することとなる。更に、成形体の焼成時には炭素粉末と熱硬化性樹脂の結合力が低下するので、分解ガスの圧力に耐えきれず、膨れや割れの発生が助長されることになる。
また、射出成形、射出圧縮成形、トランスファ成形などでは成形材料が金型キャビティに入り込む際に、成形材料が広がりながら空気をまきこんで充填され、さらに後から充填されてくる成形材料によってまきこんだ空気を押しつぶすように充填されるので、成形体および焼成した炭素成形体には射出方向に物性の異方性が生じ易い。
例えば、焼成後の炭素成形体の物性には射出する成形粉の流れ方向(X方向)に強度が低く、電気抵抗が高く、逆に、流れ方向と直角方向(Y方向)の物性には強度が高い、電気抵抗が低いという特性異方性が現れる。
また、射出成形体には大きな残留応力が残存するので、硬化処理、焼成処理する過程で残留応力が開放されてスプリングバックにより射出方向に大きく膨張し、硬化、焼成時に歪みが生じ、割損する場合もある。
そこで、発明者らはこれらの問題点を解決すべく、炭素粉末の粒度、樹脂配合量、成形助剤などを中心として、射出成形材料について鋭意検討を加えた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、射出成形時などにおいて成形材料の流動に伴う成形体の異方性を低減し、また焼成時の収縮による歪みを抑制して焼成時の収縮異方性が小さく、炭素材料の物性の異方性を低減化した炭素材料の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、異形、複雑形状の炭素材料を製造する際にも、後処理的に機械加工する部分が極力少ない最終製品形状に近似した炭素材料の製造方法、更に、焼成時に発生する膨れや割れなどの現象を低減化することのできる炭素材料の製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明による炭素材料の製造方法は、平均粒子径が100μm以上の炭素粉末Aを30〜97%、平均粒子径が100μm未満の炭素粉末Bを3〜70%に粒度調整した炭素粉末100重量部に、残炭率が40%以上の熱硬化性樹脂を樹脂固形分として10〜40重量部、および、融点が40〜150℃の成形助剤を0.1〜5重量部、の割合で混合した原料を混練し、混練物を乾燥、粉砕して成形粉を作製し、成形粉を射出成形、射出圧縮成形あるいはトランスファ成形により成形し、得られた成形体の表層面の一部を除去して成形体の表層面に形成される樹脂リッチ層を除去した後、180〜280℃の温度で硬化処理し、次いで、非酸化性雰囲気下800℃以上の温度で焼成処理することを構成上の特徴とする。
なお、成形助剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸塩、オレイン酸、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、有機リン酸エステル、架橋ポリオレフィンなどの化合物、もしくは、これらの2種以上の混合物が好ましく、更に、原料に、セルロース繊維、レーヨン繊維、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、コーンスターチ、クルミ粉などの焼成助剤を0〜10重量部添加することが好適である。
本発明によれば、成形粉を射出成形、射出圧縮成形あるいはトランスファ成形により成形した成形体の異方性を低減し、また焼成時の収縮による歪みを抑制して焼成時の収縮異方性が小さい、すなわち、物性の異方性を低減化し、更に、目的とする最終製品形状に近似した炭素材料を製造することが可能となる。
そして、これらの炭素材料は、例えば、帯電防止材、電磁波シールド材、摺動部材、放熱基盤、遠赤外線放射体、発熱体、電磁誘導などの発熱体などの分野で使用することができる。
原料の炭素粉末には樹脂を炭化した炭素やコークスを仮焼した炭素の粉砕品など各種の炭素質粉末が用いられるが、黒鉛化度の高い黒鉛粉末が射出時の流動性が高く、ノズル詰まりやショートショットが少ないので、成形性の観点から人造黒鉛粉末や天然黒鉛粉末が好適である。
炭素粉末には粒度調整した炭素粉末が用いられ、平均粒子径100μm以上の炭素粉末Aを30〜97%、平均粒子径100μm未満の炭素粉末Bを3〜70%の重量比に混合して粒度調整した混合粉末を使用する。なお、好ましくは、炭素粉末Aを50〜90%、炭素粉末Bを10〜50%の重量比に混合する。
炭素粉末Aの重量比が30%未満、炭素粉末Bの重量比が70%を越えると、混練物を粉砕した成形粉の流動性が低下し、焼成時の収縮異方性も大きくなり、炭素成形体の物性の異方性が増大し、更には、焼成時に割損する場合も起こる。また、炭素粉末Aの重量比が97%を上回り、炭素粉末Bの重量比が3%を下回ると、射出成形時に空気のまきこみを十分に抑えることができないので成形体の物性に異方性が生じ易く、収縮異方性も大きくなるので焼成時に割損する場合も生じる。
なお、炭素粉末Aと炭素粉末Bは、適宜な混合機、例えば万能混合攪拌機、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダーなどの混合機で、予めよく混合して粒度調整することが好ましい。
原料となる炭素粉末として上記のように粒度調整した混合粉末を用いることにより、平均粒子径100μm以上の炭素粉末Aの粒子間空隙に、平均粒子径100μm未満の炭素粉末Bの粒子が侵入して空隙を埋めるようになり、炭素粉末粒子間の距離が短くなる。その結果、局部的な樹脂バインダーの収縮を抑えることができ、焼成時の収縮異方性が抑制され、炭素材料の物性異方性を改善することができる。
このように粒度調整した炭素粉末100重量部に、残炭率が40%以上の熱硬化性樹脂を樹脂固形分として10〜40重量部、および、融点が40〜150℃の成形助剤を0.1〜5重量部、の割合で混合して原料とする。なお、残炭率は、磁製ルツボにサンプルを入れ、135℃で1時間加熱、さらに250℃で5時間加熱後、磁製ルツボに蓋をして非酸化性雰囲気中でさらに1000℃で30分間加熱し、1000℃で30分間加熱後のサンプルの重量を、磁製ルツボに投入したサンプルの重量で除することにより測定される。
残炭率(%)=(1000℃で30分間加熱後のサンプルの重量)/(磁製ルツボに投入したサンプルの重量)×100
熱硬化性樹脂の混合割合は、炭素粉末100重量部に対して樹脂固形分が10〜40重量部の割合で混合する。樹脂固形分が10重量部未満では成形粉を射出成形する際に流動性が低くなり、均質な成形体を得ることが難しい。一方、樹脂固形分が40重量部を越えると成形性は良いが、射出成形時にガス抜けが悪化して膨れが生じ易く、焼成時に膨れ、割れが発生し易くなる。
炭素粉末のバインダーとなる熱硬化性樹脂は常用される残炭率が40%以上のフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが用いられ、成形性や価格面からフェノール樹脂あるいはエポキシ樹脂が好適である。
また、炭素粉末および熱硬化性樹脂に、成形時の流動性、成形性および離形性を向上させるために融点が40〜150℃の成形助剤を0.1〜5重量部の割合で混合する。成形助剤は熱硬化性樹脂の分解前の焼成過程で、揮散して消失することが必要であり、成形助剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸塩、オレイン酸、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、有機リン酸エステル、架橋ポリオレフィンなどの化合物、もしくは、これらの2種以上の混合物である有機物が好ましい。
成形助剤の融点が40℃よりも低いと、射出成形時に成形助剤のみが先にキャビティ表面に流れてしまうために、射出成形体表面に成形助剤の薄膜が形成され、金型内で成形材料を硬化させるときに発生するガスの排出ができずに、成形体が膨れてしまう。また、融点が150℃よりも高いと、射出成形時にノズルから成形材料を射出する際、成形助剤がノズル内で溶融しないために成形助剤として機能せず、成形材料の流動性が上がらずショートショットになりやすくなる。なお、成形助剤はその融点が成形に用いる熱硬化性樹脂の軟化点より10℃以上低いことが好ましい。
成形助剤の混合割合が0.1重量部未満では、混合原料の流動性が低下してショートショットになり易く、離形性も悪化する。しかし、混合割合が5重量部を越えると焼成時に成形助剤から発生する分解成分が多いため発生ガス量が多くなり、焼成時に膨れや割れが発生し易くなる。
更に、これらの原料系において焼成助剤を添加することが好ましく、焼成助剤は熱硬化性樹脂を焼成して樹脂成分が炭化される前に分解されて揮散し、樹脂成分の炭化に伴って発生するガスの流出路を形成してガスの揮散放出を容易にするために機能する。焼成助剤としては、セルロース繊維、レーヨン繊維、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、コーンスターチ、クルミ粉などが例示される。
なお、焼成助剤の添加量は上記の混合原料、すなわち、炭素粉末100重量部、熱硬化性樹脂の樹脂固形分10〜40重量部、成形助剤0.5〜1重量部の混合量比に対して、0〜10重量部の量比で添加する。焼成助剤は焼成時に膨れや割れが発生しない場合には必ずしも添加は必要でないが、添加する場合に添加量比が10重量部を越えると炭素材料の物性が不均一化し、強度も低下することとなるので好ましくない。
熱硬化性樹脂は適宜な有機溶剤に溶解して樹脂溶液とした後、炭素粉末、熱硬化性樹脂および成形助剤、更に必要に応じ焼成助剤を上記の重量比となるように混合、混練する。混練はニーダー、加圧型ニーダー、2軸スクリュー混練機など適宜な混練機で十分に混練した後、混練物は真空乾燥や風乾などにより乾燥して有機溶剤分や低温度で揮散する揮発性成分を除去した後、粉砕して成形粉を調製する。
なお、焼成助剤は予め炭素粉末、熱硬化性樹脂、成形助剤とミキサーなどにより混合することができるが、樹脂溶液を作製する際にカッターミキサーなどにより分散させると、均一な混合ができる。
成形粉は5mm以下の粒状に粉砕することが好ましく、成形法は射出成形、射出圧縮成形、トランスファ成形などの成形法が適用されるが、生産性や金型構造を考慮すると射出成形法が好ましい。
このようにして得られた成形体には表層面に樹脂分のリッチな層が形成され易い。この樹脂リッチ層は焼成処理時に樹脂分が炭化して組織が緻密なカーボン層(ガラス状カーボン層)に転化する。このカーボン層は硬化処理および焼成処理、特に焼成処理時に樹脂成分の炭化に伴って発生する樹脂の分解ガス、および成形助剤や焼成助剤から揮散されるガスの透過を妨げ、炭素材料の膨れや割れの原因となる。そこで、これらのガスの揮散を円滑に行うために成形体の表層面の一部を除去して樹脂リッチ層を予め取り除いておく。
樹脂リッチ層の除去量は、成形体の作製条件、成形体の大きさ、硬化処理、焼成処理などの条件にもよるが、通常、表層面を10μm以上、好適には40〜50μm程度除去すればよく、また、樹脂リッチ層の除去はサンドペーパーやサンドブラストなどによる研磨や研削による方法、あるいはバーナーなどで表面樹脂層を焼き飛ばす方法でも行うことができる。
成形体の表層面に形成された樹脂リッチ層を除去した後、常法により180〜280℃の温度に加熱して樹脂成分を硬化処理し、次いで、不活性ガスや窒素ガスなどの非酸化性雰囲気下で800℃以上の温度に加熱して樹脂成分を焼成処理して炭化し、更に、用途目的によっては3000℃程度の温度にまで加熱処理して黒鉛化することにより炭素材料が製造される。
以下、実施例と比較例とを対比して、本発明を具体的に説明する。
実施例1〜6、比較例1〜3
炭素粉末として人造黒鉛を粉砕して平均粒子径の異なる黒鉛粉末を調製し、平均粒子径が100μm以上の炭素粉末Aとして平均粒子径が200、250、500、700μmの黒鉛粉末、および平均粒子径が100μm未満の炭素粉末Bとして平均粒子径が20、50、90μmの黒鉛粉末を調製した。
熱硬化性樹脂には残炭率50%のフェノール樹脂(群栄化学工業 (株) 製、レジトップPG−2411)を用い、アセトンに樹脂固形分が50重量%となるように溶解して樹脂溶液を作製した。この際、フェノール樹脂の硬化剤であるヘキサミンを樹脂固形分に対して10重量%加えた。また、成形助剤にはステアリン酸を用いて樹脂溶液に加え、60分間撹拌して樹脂溶液に完全相溶させた。
比較例4
実施例2と同じ炭素粉末を用いて、熱硬化性樹脂には残炭率35%のエポキシ樹脂(坂本工業薬品株製)を用い、アセトンに樹脂固形分が50重量%となるように溶解して樹脂溶液を作製した。この際、エポキシ樹脂の主剤にはポリエチレングリコールグリシジルエーテル(坂本工業薬品株製)を硬化剤であるフェノール樹脂を樹脂固形分に対して32重量%加えた。また、成形助剤にはステアリン酸1重量部を樹脂溶液に加え、60分間攪拌して樹脂溶液に加えた。
これらの炭素粉末A、炭素粉末B、フェノール樹脂溶液、およびステアリン酸の各原料を異なる重量割合で混合し、2軸ニーダーで60分間混練した後、室温で風乾してアセトンや揮発性成分を除去し、次いで粒径3mm以下に粉砕して成形粉を得た。
なお、実施例5においては焼成助剤として微小極細のセルロース繊維を原料に5重量部添加した。
これらの成形粉を、150t汎用型の射出成形機を用いて、150×150×5tmmの平板1枚取りの射出成形を行った。射出成形条件はシリンダ温度90℃、金型温度170℃、射出圧力および速度は成形粉の原料組成に合わせて最適条件を選択した。また、実施例1〜5では、得られた成形体の表層面を1000番の紙ヤスリで研削して、表層面に形成された樹脂リッチ層を30μm研削除去した。
次いで、250℃の温度で5時間加熱して硬化処理した後、一旦常温に戻し、窒素雰囲気中で1000℃の温度で5時間加熱して焼成処理して炭素材料を製造した。これらの製造条件を表1に示した。
Figure 0005041312
次に、これらの炭素材料について、下記の方法で嵩比重、曲げ強度、固有抵抗および熱伝導率などを測定した。なお、物性の異方性を評価するために1枚の面内から射出方向のテストピースと、射出方向に対して直角方向のテストピースとを切出して、射出方向(X方向)と射出方向と直角方向(Y方向)の物性を測定した。その結果を表2に示した。
嵩比重 ;
アルキメデス法により、試料の乾燥重量および水中での重量を測定(室温25℃)して求めた。
曲げ強度(MPa);
JIS K7203により、試験片サイズ90×10×5t(mm)、支点間距離80mm、クロスヘッドスピード0.5mm/分の条件で3点曲げ試験を行った。
固有抵抗 (Ω.m);
JIS R7202の電圧降下法により、試験片サイズ90×10×5t(mm)の長手方向に直流電流0.5Aを流して、端子間距離67mmの電圧降下を測定(室温25℃)して算出した。
熱伝導率(Wm−1−1);
レーザーフラッシュ法により測定した。測定装置は真空理工株式会社製TC−7000型を用い、試験片サイズ10φ×2t(mm)に所定エネルギーのレーザー光を当て、試験片の温度変化およびレーザー光と投射面の裏面の温度変化より、比熱容量および厚さ方向の熱拡散率を測定し、熱伝導率=比熱容量×熱拡散率×密度より算出した。
Figure 0005041312
表1、2から実施例1〜6では、いずれの場合も成形性が良く、また表面樹脂リッチ層を除去することにより、焼成中に発生するガスの揮散が円滑に行われるので、焼成処理時に膨れや割れ発生が起こらず、また焼成処理した炭素材の物性の異方性も小さいことが分かる。
一方、炭素粉末として平均粒子径100μm未満の黒鉛粉末Bが2%の比較例1は、射出成形時にまきこまれる空気量を少なくすることができず、また平均粒子径100μm以上の黒鉛粉末粒子が充填される際の粒子間の空隙を埋めるのが樹脂バインダーのみとなり焼成時に起こるスプリングバックを樹脂バインダーの収縮によって抑えることが十分でない。そのために焼成中の収縮異方性を抑制できず、物性の異方性が大きくなった。
平均粒子径100μm未満の黒鉛粉末Bを75%配合して射出成形した比較例2では、微粉が多いために混練物の流動性が低下し、ショートショットとなった。また、焼成した炭素材には膨れが発生したので、物性を測定することができなかった。
比較例3では、樹脂量を45重量部と多く配合したため、成形材料の流動性が向上し成形性が良かったが、得られた射出成形体が緻密になり、焼成中に樹脂の分解ガスの透過、揮散が十分に行われなかったために、焼成した炭素材には多くの膨れが発生し、物性を測定することができなかった。
残炭率が35%のエポキシ樹脂を用いた比較例4では、分解ガス発生温度域が熱硬化性樹脂と重なり、その温度域での発生ガスが増加したため焼成時の成形性が悪化し、焼成した炭素材には多くの膨れが発生したので、物性を測定することができなかった。

Claims (3)

  1. 平均粒子径が100μm以上の炭素粉末Aを30〜97%、平均粒子径が100μm未満の炭素粉末Bを3〜70%に粒度調整した炭素粉末100重量部に、残炭率が40%以上の熱硬化性樹脂を樹脂固形分として10〜40重量部、および、融点が40〜150℃の成形助剤を0.1〜5重量部、の割合で混合した原料を混練し、混練物を乾燥、粉砕して成形粉を作製し、成形粉を射出成形、射出圧縮成形あるいはトランスファ成形により成形し、得られた成形体の表層面の一部を除去して成形体の表層面に形成される樹脂リッチ層を除去した後、180〜280℃の温度で硬化処理し、次いで、非酸化性雰囲気下800℃以上の温度で焼成処理することを特徴とする炭素材料の製造方法。
  2. 成形助剤が、ステアリン酸、ステアリン酸塩、オレイン酸、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、有機リン酸エステル、架橋ポリオレフィンなどの化合物、もしくは、これらの2種以上の混合物である請求項1記載の炭素材料の製造方法。
  3. 原料に、セルロース繊維、レーヨン繊維、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、コーンスターチ、クルミ粉などの焼成助剤を0〜10重量部添加する請求項1記載の炭素材料の製造方法。
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