JP5561369B2 - 多孔質中空糸膜の欠陥検査装置および欠陥検査方法、ならびに多孔質中空糸膜の製造方法 - Google Patents

多孔質中空糸膜の欠陥検査装置および欠陥検査方法、ならびに多孔質中空糸膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多孔質中空糸膜の欠陥検査装置および欠陥検査方法、ならびに多孔質中空糸膜およびその製造方法に関する。
本願は、2011年7月19日に、日本に出願された特願2011−157885号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
環境汚染に対する関心の高まりや、規制の強化により、分離性、コンパクト性などに優れた濾過膜を用いた水処理が注目を集めている。水処理における濾過膜としては、中空状の多孔質層を有する多孔質中空糸膜が好適に使用されている。このような多孔質中空糸膜は、割れ、ピンホールなどの欠陥が存在すると、除去すべき物質がその欠陥を通過して効果が充分に得られなくなる。そのため、多孔質中空糸膜は、製造後または製造中に、割れ、ピンホールなどの欠陥の有無が検査される。
多孔質中空糸膜の欠陥検査装置としては、例えば特許文献1に、液体を収容する容器と、前記容器に収容した液体中を通過するように多孔質中空糸膜の走行を規制する規制手段と、前記容器の気相から空気を排気して容器内部を減圧する減圧手段と、多孔質中空糸膜の欠陥から液体中に流出した気泡を検出する気泡検出手段と、を有する欠陥検査装置が示されている。この欠陥検査装置を使用した欠陥検査では、液体を収容した高い密閉性を有する容器における気相の空気を排気することで、該気相の圧力が低下し、それに伴って容器中の液体の圧力が低下するため、多孔質中空糸膜内の空気が欠陥から液体中に流出して気泡が発生する。この多孔質中空糸膜の欠陥から発生した気泡を検出することで、多孔質中空糸膜の欠陥を間接的に検出できる。
特開2007−218859号公報
しかし、前記欠陥検査装置は、容器の構造が複雑になる問題がある。つまり、容器における多孔質中空糸膜の導入部と導出部は、容器との接触で多孔質中空糸膜に損傷が生じることを抑制するため、多孔質中空糸膜と接触しない開放された状態とする必要がある。一方で、容器内部を充分に減圧するためには比較的高い密閉性が要求されるため、前記導入部と前記導出部に、ラビリンスシール構造などの複雑な構造が必要となる。
また、前記欠陥検査装置による欠陥検査は、前記導入部と前記導出部から容器内に気体が流入することを完全には防止できないことから、気相からの排気量が大きくなるので、エネルギーを浪費する。
本発明は、簡便かつ高効率に多孔質中空糸膜の欠陥を検査できる欠陥検査装置および欠陥検査方法の提供を目的とする。また、本発明は、前記欠陥検査方法を利用した多孔質中空糸膜の製造方法、および該製造方法で製造された多孔質中空糸膜の提供を目的とする。
本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法は、多孔質中空糸膜を通過させる中空糸膜走行流路が内部を貫通するように形成された流路部材の前記中空糸膜走行流路の両端の開口を液体中に配置して流路内を前記液体で満たし、前記中空糸膜走行流路内の前記液体中を通過するように多孔質中空糸膜を連続的に走行させ、前記中空糸膜走行流路内の前記液体を流動させることにより、前記中空糸膜走行流路内の前記液体の圧力を低下させ、前記多孔質中空糸膜の欠陥から前記液体中に流出された気泡を検出する方法である。
本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法は、前記中空糸膜走行流路から分岐して一壁面に通じる分岐流路がさらに形成された前記流路部材の前記中空糸膜走行流路の両端の開口を前記液体中に配置して流路内を前記液体で満たし、前記中空糸膜走行流路内の前記液体を前記分岐流路を通じて流動させ、前記中空糸膜走行流路内の前記液体の圧力を低下させることが好ましい。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法は、前記中空糸膜走行流路における前記分岐流路が分岐する部分に、流路の幅が拡張された空間拡大部が設けられており、前記中空糸膜走行流路内の前記液体を前記空間拡大部から前記分岐流路を通じて流動させ、前記中空糸膜走行流路内の前記液体の圧力を低下させることが好ましい。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法は、前記気泡を前記液体と共に流動させることにより、気泡を検出する気泡検出手段へと前記気泡を導くことが好ましい。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法は、前記流路内を満たす前記液体を、該液体中の泡および溶存気体を除去した後に供給することが好ましい。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法は、前記中空糸膜走行流路内から吸引して流動させている前記液体中の気泡を検出することが好ましい。
本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、液体が収容された容器と、多孔質中空糸膜を連続的に通過させる中空糸膜走行流路が内部を貫通するように形成され、かつ前記中空糸膜走行流路の両端の開口が前記液体中に配置されて流路内が前記液体で満たされる流路部材と、前記流路部材の前記中空糸膜走行流路内の前記液体中を通過するように、前記多孔質中空糸膜の走行を規制する規制手段と、前記流路部材の前記中空糸膜走行流路内の前記液体を流動させ、前記中空糸膜走行流路内の前記液体の圧力を低下させる液体吸引手段と、前記多孔質中空糸膜の欠陥から前記液体中に流出された気泡を検出する気泡検出手段と、を有する装置である。
本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、前記流路部材が、前記中空糸膜走行流路から分岐して一壁面に通じる分岐流路がさらに形成され、かつ前記中空糸膜走行流路の両端の開口が前記液体中に配置されて流路内が前記液体で満たされる流路部材であり、前記流路部材の前記中空糸膜走行流路内の前記液体を前記分岐流路を通じて流動させ、前記中空糸膜走行流路内の前記液体の圧力を低下させることが好ましい。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、前記流路部材の前記中空糸膜走行流路における前記分岐流路が分岐する部分に、流路の幅が拡張された空間拡大部が設けられ、前記液体吸引手段により、前記流路部材の前記中空糸膜走行流路内の前記液体を前記空間拡大部から前記分岐流路を通じて流動させ、前記中空糸膜走行流路内の前記液体の圧力を低下させることが好ましい。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、前記気泡が、流動する前記液体と共に前記気泡検出手段へ導かれることが好ましい。
前記気泡検出手段は、前記中空糸膜走行流路と前記液体吸引手段の間に設置されていることが好ましい。
前記気泡検出手段は、前記液体中に検査光を入射する出光部と、前記液体中を透過した検査光を受光する受光部とを有することが好ましい。
前記出光部と前記受光部は互いに向かい合うように設置されていることが好ましい。
前記出光部と前記受光部は、それらの先端部分が前記中空糸膜走行流路内から吸引されて流動している前記液体中に位置するように設置されていることが好ましい。
本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、さらに、前記容器に前記液体が流入する液体流入ラインを有し、前記液体流入ラインに、流入する前記液体に含まれる泡を除去する脱泡手段が設けられていることが好ましい。
前記液体流入ラインには、流入する前記液体中の溶存気体を除去する脱気手段が設けられていることが好ましい。
前記液体流入ラインは、液体供給源から前記容器に前記液体が流入する液体供給ラインを有することが好ましい。
前記液体流入ラインは、前記流路部材から吸い出された前記液体が前記容器に流入して循環される液体循環ラインを有することが好ましい。
本発明の多孔質中空糸膜の製造方法は、疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて多孔質中空糸膜前駆体を形成する凝固工程と、前記多孔質中空糸膜前駆体を洗浄して該多孔質中空糸膜前駆体中に残存する溶媒を除去する洗浄工程と、前記多孔質中空糸膜前駆体中に残存する親水性ポリマーを除去して多孔質中空糸膜を得る除去工程と、前記多孔質中空糸膜を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程後の前記多孔質中空糸膜に対して、本発明の欠陥検査方法を用いて欠陥を検査する欠陥検査工程と、を有する方法である。
本発明の多孔質中空糸膜は、疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて多孔質中空糸膜前駆体を形成する凝固工程と、前記多孔質中空糸膜前駆体を洗浄して該多孔質中空糸膜前駆体中に残存する溶媒を除去する洗浄工程と、前記多孔質中空糸膜前駆体中に残存する親水性ポリマーを除去して多孔質中空糸膜を得る除去工程と、前記多孔質中空糸膜を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程後の前記多孔質中空糸膜に対して、請求項1〜6のいずれか一項に記載の欠陥検査方法を用いて欠陥を検査する欠陥検査工程と、を有する多孔質中空糸膜の製造方法を用いて製造された多孔質中空糸膜である。
本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、複雑な密閉構造を必要とせず、簡便かつ高効率に多孔質中空糸膜の欠陥を検査できる。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法によれば、簡便かつ高効率に多孔質中空糸膜の欠陥を検査できる。
また、本発明の多孔質中空糸膜の製造方法によれば、欠陥のない多孔質中空糸膜を簡便かつ高効率に得られる。
また、本発明の多孔質中空糸膜は、簡便かつ高効率に欠陥検査が行われている。
本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置の一例を示した正面模式図である。 図1の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置における流路部材の斜視図である。 図2の流路部材のI−I’断面図である。 図2の流路部材のII−II’断面図である。 上蓋部裏面に空間拡大部を形成する拡大溝が形成された他の例の流路部材を図4と同様に切断した断面図である。 図4の流路部材のIII−III’断面図である。 図4の流路部材のIV−IV’断面図である。 本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置における他の例の流路部材を図7と同様に切断した断面図である。 図8の流路部材を図4と同様に切断した断面図である。 本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置の他の例を示した正面模式図である。 本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置の他の例を示した正面模式図である。 本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置における流路部材の他の例を図4と同様に切断した断面図である。 本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置における流路部材の他の例を示した斜視図である。 図13の流路部材のV−V’断面図である。 実施例1の多孔質中空糸膜の欠陥検査に用いた装置構成の正面模式図である。 多孔質中空糸膜における欠陥のない部分の光電センサーアンプの気泡検出パターンである。 多孔質中空糸膜における欠陥があった部分の光電センサーアンプの気泡検出パターンである。 実施例1の欠陥検査での光電センサーアンプの気泡検出結果である。
<多孔質中空糸膜の欠陥検査装置>
本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、多孔質中空糸膜の欠陥を検査する装置である。以下、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置の一例を示して詳細に説明する。
本実施形態の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置1(以下、単に「欠陥検査装置1」という。)は、図1〜4に示すように、液体Lが収容された容器10と、多孔質中空糸膜Mを通過させる中空糸膜走行流路21が内部を貫通するように形成され、中空糸膜走行流路21から分岐して一壁面に通じる分岐流路23がさらに形成され、それら流路内に液体Lが満たされる流路部材20と、流路部材20の中空糸膜走行流路21内を通過するように、多孔質中空糸膜Mの走行を規制する規制手段30と、流路部材20の中空糸膜走行流路21内に満たされる液体Lを分岐流路23を通じて流動させ、中空糸膜走行流路21内の液体Lの圧力を低下させる液体吸引手段40と、多孔質中空糸膜Mの欠陥から液体L中に流出された気泡を検出する気泡検出手段50と、を有している。
また、欠陥検査装置1は、容器10に液体Lが流入する液体流入ライン60を有している。液体流入ライン60は、一端が液体供給源(図示せず)と接続され、他端が容器10に接続され、前記液体供給源から液体が流入する液体供給ライン61と、一端が流路部材20の分岐流路23と接続され、他端が容器10に接続され、流路部材20の分岐流路23から吸い出された液体Lが容器10に流入して循環される液体循環ライン63と、を有している。
液体吸引手段40は、液体循環ライン63の途中に設けられており、分岐流路23、液体循環ライン63を通じて、中空糸膜走行流路21内の液体Lを流動させることができるようになっている。
容器10は、液体Lが収容される容器である。この例では、容器10内に収容した液体L中に流路部材20が浸漬される。
容器10の材質は、湿気や液体Lで腐食したり、液体Lに侵されたりしない素材であれば特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリアセタールなどの樹脂、鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、ニッケル、チタンなどの金属もしくは合金類、または、これらの複合材料などが挙げられる。
容器10の形状および大きさは、流路部材20を浸漬でき、流路部材20の両端の開口21a,21bから容器10内の液体Lが吸い込まれる際、渦が発生して液面から空気を吸引しないような液深を確保できるものであればよい。
容器10は、液体供給ライン61によって液体供給源(図示せず)と接続されている。液体供給ライン61の途中には脱泡手段64および脱気手段65が設けられている。容器10には、液体供給源から液体供給ライン61を通じて液体Lが供給される。また、供給される液体L中の気泡は脱泡手段64により除去される。これにより、供給される液体Lに含まれる気泡による誤検知を抑制できるので、多孔質中空糸膜Mの欠陥から流出された気泡の検出の信頼性が向上する。また、液体供給ライン61内の液体L中の溶存気体は脱気手段65により除去される。これにより、多孔質中空糸膜Mの欠陥から流出した気泡の検出の信頼性がさらに向上する。
脱泡手段64および脱気手段65としては、容器10に供給する液体L中の気泡や溶存気体を除去できるものであればよい。脱泡手段64としては、例えば、ろ過精度が0.1μm程度の分離膜などを用いた濾過モジュールなど、液体L中の気泡と液体を分離できるものが挙げられる。また、脱気手段65としては、例えば、ガス分離用多孔質中空糸膜を用いた脱気モジュールに減圧手段66を組み合わせたものなど、液体L中の溶存気体を脱気できるものが挙げられる。
また、容器10には、オーバーフロー用の排液口が形成されており、容器10に収容された液体Lが液体排出ライン62を通じてオーバーフローされ、容器10内の液体Lの液面が一定に保たれるようになっている。
本発明の欠陥検査装置では、この例のように、液体循環ライン63の途中に脱泡手段67を設置することが好ましい。これにより、容器10内を循環する液体Lに混入した異物や、流路部材20および液体吸引手段40内で液体L中から脱気されて気泡となった溶存気体を効率よく除去することができ、循環される液体Lに含まれる気泡による誤検知を抑制できる。液体供給ライン61に設けた脱泡手段64による信頼性の向上効果よりも、液体循環ライン63に設けた脱泡手段67による信頼性の向上効果の方が大きい。また、脱泡手段67は、分離した気泡が蓄積する部分に排水口を設け、常時適量の液体Lを容器10外に流出させることで、気泡が脱泡手段67内に溜まって液体濾過面積が減少することを防ぐことができる。脱泡手段67としては、脱泡手段64で挙げたものと同じものが挙げられる。
また、気泡の検出の信頼性をさらに向上させるために、液体循環ライン63に脱気手段を設けてもよい。
液体Lとしては、例えば、水や、ぬれ張力試験試薬として用いられるメタノール、エタノール、ホルムアミド、もしくはこれらと水の混合液などが挙げられる。なかでも、表面張力の大きさが検出できる欠陥の大きさに影響することから、表面張力特性が正確に知られている液体が好ましく、取り扱いや排水処理の面から水(28℃における表面張力73.0mN/m程度)が特に好ましい。また、温度や、水とメタノールとの混合比などを調節して、表面張力を調節した液体Lを使用してもよい。また、多孔質中空糸膜の製造ライン中に欠陥検査装置を組み込み、多孔質中空糸膜の製造ライン上で連続的に欠陥を検出する場合は、例えば、多孔質中空糸膜の洗浄に使用する液体(例えば、純水)を液体Lとして使用してもよい。つまり、容器10が、紡糸後の多孔質中空糸膜を洗浄する洗浄装置における、洗浄液を収容する容器であってもよい。
なお、検査中に多孔質中空糸膜から液体Lの表面張力を低下させる物質が流出し、液体Lの表面張力が低下するような場合、欠陥検査装置は、液体Lの表面張力をモニターし、容器10への水の供給量を制御することで液体Lの表面張力を一定に保つような機構を有することが好ましい。
流路部材20には、図1〜4に示すように、多孔質中空糸膜Mを通過させる中空糸膜走行流路21が内部を貫通するように形成されている。中空糸膜走行流路21においては、多孔質中空糸膜Mの周りが全て壁面で囲まれた状態になっている。さらに、流路部材20には、中空糸膜走行流路21から分岐して流路部材20の下壁面に通じる分岐流路23が形成されている。中空糸膜走行流路21の中央部分には、流路の幅が拡張された空間拡大部22が設けられており、空間拡大部22の部分で分岐流路23が中空糸膜走行流路21から分岐している。この例では、流路部材20が容器10に収容された液体L中に浸漬されることで、中空糸膜走行流路21の両端の開口21a,21bが液体L中に配置される。これにより、中空糸膜走行流路21の両端の開口21a,21bから中空糸膜走行流路21内に液体Lが流入して、空間拡大部22を含む中空糸膜走行流路21全体と分岐流路23の内部が液体Lで満たされる。
分岐流路23は液体循環ライン63を通じて液体吸引手段40と接続されており、液体吸引手段40によって、中空糸膜走行流路21内の液体Lを空間拡大部22から分岐流路23を通じて吸引して流動させられるようになっている。これにより、中空糸膜走行流路21内における、多孔質中空糸膜Mの外周部と中空糸膜走行流路21の壁面の間を流動する液体Lの流動圧力損失によって、中空糸膜走行流路21内の内部の液体Lの圧力を低下させることができる。中空糸膜走行流路21内の液体Lの圧力は、空間拡大部22における分岐流路23との接続部分で最も低くなる。欠陥検査装置1は、このように流路部材20の流路内が液体Lで満たされ、かつ中空糸膜走行流路21内の液体Lが空間拡大部22から分岐流路23に向かって流動され続けて減圧状態に維持されている中空糸膜走行流路21内に、多孔質中空糸膜Mを連続的に走行させるようになっている。
この例の流路部材20は、図2〜4、図6および図7に示すように、中央に空間拡大部22を有する中空糸膜走行流路21を形成する溝と、分岐流路23が形成された流路部材本体20aの上部が、上蓋部20bによって閉じられることで形成されている。流路部材本体20aと上蓋部20bは、互いを密着固定するための特別な機構を有していなくてもよい。該特別な機構がなくても、液体吸引手段40による吸引で液体Lが流動し、中空糸膜走行流路21および分岐流路23内の液体Lの圧力が低下することで、流路部材本体20aと上蓋部20bが互いに密着固定される。このような構成を採用すると、もし多孔質中空糸膜Mが中空糸膜走行流路21の内部に詰まった場合でも、上蓋部20bを開放することで多孔質中空糸膜Mを流路部材本体20aから容易に取り除くことができる。
ただし、流路部材本体20aと上蓋部20bに、それらを閉じるための機構を設けてもよい。また、中空糸膜走行流路21を形成する溝と分岐流路23が形成された流路部材本体20aの上部が、上蓋部20bによって閉じられることで流路部材20を形成する場合、流路部材本体20aと上蓋部20bの合わせ面から僅かでも外気が吸引されて液体Lに混入すると、その気泡を欠陥と誤検知してしまう場合がある。この問題を防ぐ方法としては、流路部材本体20aと上蓋部20bの合わせ面の気密性を充分に確保する方法(1)と、流路部材本体20aと上蓋部20bの合わせ面の接合線全体を液体L中に浸漬させ、たとえ流路部材本体20aと上蓋部20bの合わせ面の気密性が損なわれても液体Lが吸引され、外気が吸引されない構造とする方法(2)が挙げられる。なかでも、方法(2)が簡便で信頼性が高く好ましい。
空間拡大部22を有する中空糸膜走行流路21を形成する溝が形成された流路部材本体20aの上部が、上蓋部20bによって閉じられることで形成される場合、中空糸膜走行流路21の中心軸に垂直な断面形状は、流路の形成が容易な点から、図6に示すように、矩形が好ましい。また、中空糸膜走行流路21の中心軸に垂直な断面形状が矩形であれば、該断面形状が円形の場合に比べて、多孔質中空糸膜Mが流路の壁面と接触したとしてもその接触面積がより小さく、損傷が生じ難い点でも有利である。
また、流路部材本体20aと上蓋部20bの合わせ面の両方に半円形の溝を形成し、それらを閉じ合わせることで円形流路を形成した場合に比べ、中空糸膜走行流路21の中心軸に垂直な断面形状を矩形とし、その一辺を上蓋部20bの底部によって形成すると、流路を形成する溝の形成は流路部材本体20a側のみでよく、上蓋部20bの合わせ面をフラットにすることができる。このようにすると、流路加工が容易で、流路部材本体20aと上蓋部20bの精密な位置合わせは不要である。また、流路内に多孔質中空糸膜Mを配置する際、多孔質中空糸膜Mを流路部材本体20aに形成した溝内に完全に入り込ませることができるため、上蓋部20bを閉じる際に合わせ面に多孔質中空糸膜Mを挟みこんでしまうおそれがなくなる。中空糸膜走行流路21の中心軸に垂直な断面形状が三角形の場合も、その一辺を上蓋部20bの底部によって形成すると、前記のような矩形の場合と同じ効果が得られる。
ただし、中空糸膜走行流路21の中心軸に垂直な断面形状は、矩形、三角形には限定されず、五角形以上の多角形や円形などであってもよい。
中空糸膜走行流路21の壁面と多孔質中空糸膜Mの隙間の距離は、多孔質中空糸膜Mの直径の5%〜40%が好ましく、10%〜20%がより好ましい。中空糸膜走行流路21の隙間の距離が前記下限値以上であれば、中空糸膜走行流路21の壁面との接触による多孔質中空糸膜Mの表面損傷や、多孔質中空糸膜Mの走行抵抗の増大を抑制しやすい。中空糸膜走行流路21の隙間の距離が前記上限値以下であれば、中空糸膜走行流路21内において、液体Lの流動によって多孔質中空糸膜Mに振動や屈曲が起こって多孔質中空糸膜Mの走行抵抗が増大することを防ぐことができ、また多孔質中空糸膜Mが走行する中空糸膜走行流路21内の液体Lの圧力を、所定の圧力に低下させるのに必要な液体吸引手段40での液体Lの吸引量を低減しやすい。
中空糸膜走行流路21の空間拡大部22以外の部分の幅d(図3、図6)は、多孔質中空糸膜Mの直径の110%〜180%が好ましく、120%〜140%がより好ましい。中空糸膜走行流路21の空間拡大部22以外の部分の高さd(図6)も同様に、多孔質中空糸膜Mの直径の110%〜180%が好ましく、120%〜140%がより好ましい。
また、中空糸膜走行流路21の内壁面は、多孔質中空糸膜Mが接触した場合でも多孔質中空糸膜Mの表面が損傷しないように、精密研削仕上げや研磨仕上げによって滑らかに仕上げることが好ましい。またそれに加え、中空糸膜走行流路21の内壁面には、多孔質中空糸膜Mとの摩擦抵抗を低減させるフッ素系コーティングやダイヤモンドライクカーボンコーティングなどを施すのが更に好ましい。
なお、中空糸膜走行流路21の中心軸に垂直な断面形状は、矩形の場合は正方形、三角形の場合は正三角形が好ましい。
中空糸膜走行流路21の中心軸に垂直な断面形状を正多角形にすると、中空糸膜走行流路21内の多孔質中空糸膜Mの周囲を流動する液体Lの流動状態が、多孔質中空糸膜Mの中心軸に対して軸対称状態となり、中空糸膜走行流路21内の多孔質中空糸膜Mの走行状態が安定になりやすい。
中空糸膜走行流路21の長さD(図3)は、検査速度(多孔質中空糸膜Mの走行速度)などによっても異なるが、100mm〜2000mmが好ましく、300mm〜1000mmがより好ましい。中空糸膜走行流路21の長さDが前記下限値以上であれば、多孔質中空糸膜Mの欠陥から流出された気泡の検出が容易になる。中空糸膜走行流路21の長さDが前記上限値以下であれば、多孔質中空糸膜Mの走行抵抗が上昇することや、欠陥検査装置1が過大になることを抑制しやすい。
開口21b、開口21aから分岐流路23までの距離はそれぞれ等しく、開口21b、開口21aから分岐流路23までの流路の構造は、分岐流路23に対して対称構造であることが好ましい。このような構造とすると、液体吸引手段40によって、中空糸膜走行流路21内の液体Lを分岐流路23を通じて吸引して流動させた際、開口21b、開口21aから分岐流路23までの液体Lの圧力分布が分岐流路23に対して対称となる。そのため、中空糸膜走行流路21および空間拡大部22内において、多孔質中空糸膜Mの欠陥から気泡が出始める位置と、気泡が出なくなる位置が分岐流路23を挟んで対称となる。これにより、走行する多孔質中空糸膜Mの欠陥から液体L中に流出された気泡を検出する気泡検出手段50によって測定した、気泡が検出され始めた時間および気泡が検出されなくなった時間と、多孔質中空糸膜Mの走行速度とから、多孔質中空糸膜Mの欠陥位置を精度良く同定することができる。
空間拡大部22の幅w(図3)および高さh(図7)は、中空糸膜走行流路21の空間拡大部22以外の部分の幅dおよび高さdよりも広い。
中空糸膜走行流路21における空間拡大部22とそれ以外の接続部分は鋭角部がないよう滑らかに仕上げられていることが好ましい。鋭角部をなくすことで、その部分を液体Lが流動する際に渦やキャビテーションの発生源となることが防がれ、減圧泡の発生や多孔質中空糸膜Mの振動などが発生することを抑制しやすくなる。同様の理由で、分岐流路23と空間拡大部22の接続部分も鋭角部がないよう滑らかに仕上げられていることが好ましい。
開口21a,21bから中空糸膜走行流路21内に流入した液体Lは、多孔質中空糸膜Mの周囲を分岐流路23に向かって流動し、多孔質中空糸膜Mの周囲から空間拡大部22内に流入する。このとき、空間拡大部22内において、多孔質中空糸膜Mよりも分岐流路23側に流入してきた液体Lは、空間拡大部22内を分岐流路23に向かって障害なく流動する。一方、空間拡大部22内において、多孔質中空糸膜Mの分岐流路23側と反対側に流入してきた液体Lは、分岐流路23へと流動するためには多孔質中空糸膜Mと空間拡大部22の壁面との隙間を通過しなければならない。多孔質中空糸膜Mと空間拡大部22の隙間を液体Lが流動する際に流動圧損が生じると、多孔質中空糸膜Mの分岐流路23側に対して、その反対側の液体Lの圧力が上昇する。この圧力上昇が大きいほど、空間拡大部22内で多孔質中空糸膜Mは分岐流路23側に向かって大きく屈曲することになり、多孔質中空糸膜Mの走行抵抗の上昇や、中空糸膜走行流路21と空間拡大部22の接続部分での多孔質中空糸膜Mの表面損傷の原因となり得る。
このような現象を抑制する方法としては、例えば、空間拡大部22の幅w(図3)を中空糸膜走行流路21の空間拡大部22以外の部分の幅dより大きくする方法、空間拡大部22の長さf(図3)を長くする方法などが挙げられる。
空間拡大部22の幅wは、中空糸膜走行流路21の空間拡大部22以外の部分の幅dに対して2倍以上が好ましい。これにより、多孔質中空糸膜Mと空間拡大部22の隙間の断面積が拡大し、液体Lが流動する際の流動圧損を大きく減少させることができる。
空間拡大部22の長さfは、多孔質中空糸膜Mの直径の2倍〜10倍程度が好ましく、4倍〜8倍程度がより好ましい。空間拡大部22の長さfが下限値以上であれば、多孔質中空糸膜Mと空間拡大部22の隙間の断面積が拡大し、流動圧損が低下する。空間拡大部22の長さfが上限値以下であれば、規制手段30による多孔質中空糸膜Mの支持間隔がより狭くなるので、多孔質中空糸膜Mが分岐流路23側に屈曲することを抑制しやすい。
空間拡大部22の幅wが前記下限値以上で、かつ空間拡大部22の長さfが前記上限値以下であれば、多孔質中空糸膜Mと空間拡大部22の隙間の液体Lが流動する際の流動圧損を減少させ、かつ多孔質中空糸膜Mが空間拡大部22内で分岐流路23側に向かって大きく屈曲することを防ぐことが容易になり、中空糸膜走行流路21および空間拡大部22内での多孔質中空糸膜Mの走行状態をより良好に維持できる。
また、本発明の欠陥検査装置は、流路部材20の代わりに、図5に例示した流路部材20Aを有するものであってもよい。流路部材20Aは、流路部材本体20aに中空糸膜走行流路21を形成する溝が形成され、上蓋部20bの合わせ面の空間拡大部22に相当する部分に、流路部材本体20aに形成した空間拡大部22の溝と同じ平面形状で深さが多孔質中空糸膜Mの直径の2倍程度の拡大溝22bが形成されている以外は、流路部材20と同じである。このように、空間拡大部22における分岐流路23側と反対側の空間容積を増やすと、多孔質中空糸膜Mと空間拡大部22の隙間を流動する液体Lの流速分布がより均一になり、発生する流動圧損を低減することもできる。
中空糸膜走行流路21内の液体Lの圧力は、両方の開口21a,21bの部分から流路の内部に向かうほど低下し、中空糸膜走行流路21における空間拡大部22の流路が分岐している部分、すなわち液体Lが吸引される分岐流路23の入口部分で最も低くなる。
空間拡大部22の幅wおよび高さhが大きいほど、空間拡大部22内の液体Lの流動圧損が小さくなり、長さf方向での圧力変化量が少なくなるうえ、空間拡大部22の内部をより高い減圧度にすることができる。そのため、多孔質中空糸膜Mの欠陥から流出する気泡を検出する際、高い減圧度でしか気泡が発生しない欠陥からも充分な気泡を発生させることが容易になり、気泡検知時間を長く取ることができることで、欠陥検出の分解能が向上する。
空間拡大部22の高さhは、空間拡大部22の幅wの2〜10倍が好ましい。空間拡大部22の高さhが下限値以上であれば、空間拡大部22内の長さf方向での圧力変化量がより少なくなる。空間拡大部22の高さhが上限値以下であれば、空間拡大部22内の容積増加による液体Lの置換時間の増加や、滞留部の増大に起因する気泡の検知精度や検査速度の低下を抑制しやすい。
分岐流路23の中心軸に垂直な断面形状は、分岐流路23の内部を流動する液体Lの断面流速分布が分岐流路23の中心軸回りに回転対称となり、液体Lに混入した気泡の流動位置がより安定する点から、円形が好ましい。ただし、分岐流路23の中心軸に垂直な断面形状は円形には限定されず、矩形などであってもよい。
流路部材20の材質としては、液体Lで腐食したり、液体Lに侵されたりしない素材であれば特に制限はなく、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリアセタールなどの樹脂、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、チタンなどの金属若しくは合金類、またはこれらの複合材料などが挙げられる。
規制手段30は、4つのガイドロール31〜34から構成されている。多孔質中空糸膜Mは、これらガイドロール31〜34によって走行を規制される。多孔質中空糸膜Mは、図1に示すように、ガイドロール31〜34によって、連続的に、容器10に収容された液体L中に引き込まれ、開口21aから流路部材20の中空糸膜走行流路21内に導入され、中空糸膜走行流路21内の液体L中を通過して開口21bから導出された後、液体Lの外部へと引き出される。
規制手段30におけるガイドロール31〜34としては、多孔質中空糸膜の製造に通常使用されるガイドロールが使用できる。
液体吸引手段40は、中空糸膜走行流路21内の液体Lを空間拡大部22から分岐流路23を通じて吸引して流動させ、中空糸膜走行流路21内の液体Lの圧力を低下させるものである。この例では、液体吸引手段40が液体循環ライン63を通じて分岐流路23と接続されている。液体吸引手段40によって、中空糸膜走行流路21の空間拡大部22内から、分岐流路23、液体循環ライン63を通じて液体Lを吸引して流動させることができる。また、流路部材20から吸い出された液体Lは、液体循環ライン63を通じて容器10内に戻されるようになっている。なお、本発明の欠陥検査装置はこの形態には限定されず、液体吸引手段によって流路部材から吸い出した液体を廃棄する形態であってもよい。
液体吸引手段40としては、中空糸膜走行流路21の空間拡大部22内の液体Lを分岐流路23を通じて吸引して流動させることができるものであればよく、例えば、ギヤポンプやカスケードポンプなどが挙げられる。特にマグネットカップリングのようなシールレスタイプのポンプは、ポンプ回転軸が外気と遮断されているため、高減圧状態の液体Lにシール部から外気が漏入して、液体L中に微細な気泡となって容器10に流入するおそれがない点で特に好ましい。液体吸引手段40は、インバーターにより制御できるようになっていることが好ましい。また、図1に示すように、液体循環ライン63における液体吸引手段40の上流に圧力計68を設け、該圧力計68の出力をインバーターにフィードバックして液体吸引手段40のポンプ回転速度などを自動制御できるようにすることがより好ましい。圧力計を使用する場合は、できるだけ中空糸膜走行流路の近くに圧力計を設置して圧力のモニタリングを行うことが好ましい。
気泡検出手段50は、多孔質中空糸膜Mから液体L中に流出された気泡を検出する手段である。多孔質中空糸膜Mの欠陥から液体L中に流出された気泡を検出することで、多孔質中空糸膜Mの欠陥を間接的に検出できる。
気泡検出手段50としては、気泡を検出できるものであればよく、例えば、光電センサー、超音波による気泡検出器、画像処理装置などが挙げられる。なかでも、光電センサーが好ましい。
光電センサーとしては、例えば、アンプ内蔵型のオムロン製(型式E3X−DA11AN−S)やキーエンス製(型式FS−N11N(FS−N10シリーズ))のファイバーセンサーなどが挙げられる。
本発明では、気泡検出手段が、中空糸膜走行流路と液体吸引手段の間に設置されていることが好ましい。具体的には、この例では、分岐流路23における空間拡大部22側の開口端と分岐流路23の外壁面側の開口端の間、または分岐流路23の外壁面側の開口端から液体吸引手段までの配管の途中に気泡検出手段が設置されていることが好ましい。中空糸膜走行流路の部分に気泡検出手段を設けて、多孔質中空糸膜から流出される気泡を検出してもよいが、中空糸膜走行流路において多孔質中空糸膜の欠陥から気泡が流出される位置は欠陥の大きさ、液体の減圧の程度などによって異なる。また、特に生産性を高めるために多孔質中空糸膜の走行速度が高い場合には、気泡が多孔質中空糸膜から離れるまで、該気泡が多孔質中空糸膜と共に高速で移動することになる。そのため、この場合、中空糸膜走行流路内で多孔質中空糸膜から発生する気泡を安定して検出するには、中空糸膜走行流路の流路軸に沿って複数の気泡検出手段を設ける必要がある。一方、中空糸膜走行流路を通過している多孔質中空糸膜の欠陥から流出された気泡は、吸引によって流動する液体と共に移動し、分岐流路23における空間拡大部22側の開口端と分岐流路23の外壁面側の開口端の間、および分岐流路23の外壁面側の開口端から液体吸引手段までの配管を通過する。そのため、前述のように、これらの部分に気泡検出手段を設置しておけば、多孔質中空糸膜Mの内部空間の空気が欠陥を通じて流出されて生じた気泡を、1つの気泡検出手段でも安定して検出できる。
気泡検出手段50は、図4、図5および後述する図7〜9の例では、流路部材20の分岐流路23の部分に設置されている。多孔質中空糸膜Mの欠陥から流出した気泡は、中空糸膜走行流路21において開口21a,21bから分岐流路23に向かって流れる液体Lと共に分岐流路23へと流入し、気泡検出手段50で検出される。
また、本発明では、図11に示すように、液体循環ライン63における分岐流路23と液体吸引手段40の間に気泡検出手段を設ける形態も好ましい。その他、空間拡大部22内における多孔質中空糸膜Mと分岐流路23の入口の間において、分岐流路23の中心軸の延長線上に気泡検出手段を設ける形態も好ましい。
気泡検出手段50は、液体L中に検査光を入射する出光部51と、液体L中からの検査光を受光する受光部52とを有している。気泡検出手段50における出光部51と受光部52は、それらの先端部分が中空糸膜走行流路21から吸引されて流動している液体L中に位置するように設置されていることが好ましい。この例では、出光部51と受光部52が、分岐流路23の壁面から分岐流路23内に突き出した形態で設置されていることが好ましい。これにより、分岐流路23の壁面に付着した汚れや気泡を誤検出することを防止しやすくなる。
ただし、流路部材20の分岐流路23周辺の一部や、液体循環ライン63の内壁面に、汚れや気泡が付着することを抑制するような処理が行われている場合などは、吸引されて流動している液体L中に出光部と受光部の先端部分が突き出された形態とせずに、出光部と受光部の先端部分が壁面と同一面なるように設置される形態であってもよい。また、分岐流路23周辺の一部や、液体循環ライン63が光を透過する樹脂材料などにより形成されている場合は、分岐流路23や液体循環ライン63の外側に出光部と受光部が設置される形態であってもよい。
気泡検出手段50の出光部51と受光部52は、出光部51から出射された光を効率良く受光部52に取り込み、気泡が通過した際の光量変化を敏感に検出する点から、互いに向かい合うように設置されていることが好ましい。この気泡検出手段50では、分岐流路23における出光部51と受光部52の間を気泡が通過すると、出光部51から液体L中に入射された検査光が該気泡によって屈折、散乱し、受光部52に到達する検査光の量が減少するので、この光量変化によって気泡を検出することができる。
また、本発明においては、気泡検出手段50は、出光部51の光軸と受光部52の光軸が、分岐流路23内の液体L中で交差するように設置されていてもよい。出光部51と受光部52をこのように設置した場合、気泡が無い場合には出光部51から発せられた光は受光部52に届かず、気泡が通過した場合に出光部51から発せられた光が該気泡によって反射または散乱され、その反射光または散乱光が受光部52に到達するので、この光量変化によって気泡を検出することができる。気泡による反射光または散乱光を受光して気泡を検出する方式は、気泡による遮光により気泡を検出する方式に比べて外乱光の影響を受けやすく、また液体L中の出光部51の光軸と受光部52の光軸それぞれの光軸方向に重なった気泡によって受光部52が受け取る光量が減少する。そのため、気泡による反射光または散乱光を受光して気泡を検出する方式では、外乱光を遮光して影響を低減する、または出光部51から出射される検査光強度を高めるといった手段を採用することが好ましい。
また、出光部51と受光部52は、出光部51の光軸と受光部52の光軸が、分岐流路23内を流れる流動液体における流速が最大の部分を通過するように設けられていることが好ましい。分岐流路23内を通過する気泡は、流動液体における流速が最大の部分を通過する確率が高いので、出光部51と受光部52の光軸がこの部分を通過するようにすることで、より安定して気泡を検出できる。具体的には、出光部51と受光部52の光軸が、分岐流路23の中心軸と交わる形態が好ましい。
また、出光部51と受光部52の光軸は、分岐流路23の流路軸と直交していても、分岐流路23の流路軸に対して傾斜していてもよい。
欠陥検査装置1では、容器10に収容された液体L中に流路部材20が浸漬されることで、流路部材20の開口21a,21bから中空糸膜走行流路21および分岐流路23内に液体Lが流入し、それら流路が液体Lで満たされる。また、中空糸膜走行流路21内の液体Lは、液体吸引手段40によって、空間拡大部22から分岐流路23、液体循環ライン63を通じて吸引によって流動させられており、流動圧力損失によって圧力が低下している。そして、この状態で中空糸膜走行流路21内の液体L中を通過するように多孔質中空糸膜Mを走行させることで、中空糸膜走行流路21内において、多孔質中空糸膜M内の空気が欠陥部分から流出されて(吸い出されて)気泡が発生する。この気泡を気泡検出手段50で検出することで、多孔質中空糸膜Mの欠陥が検出される。本発明の欠陥検査装置では、多孔質中空糸膜の欠陥から流出された気泡を、流動する液体と共に気泡検出手段へと導くことができるため、この気泡をすべて検出することができる。
本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、例えば、製造中の多孔質中空糸膜の欠陥検出に使用できる。また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、多孔質中空糸膜の多孔質層を均一な湿潤状態とし、中空部が空気で満たされるようにすれば、製造後の多孔質中空糸膜の欠陥検出に使用することもできる。また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、多孔質中空糸膜が多孔質層の内側に中空状の補強支持体を有する場合も、多孔質層と補強支持体の両方を均一な湿潤状態とし、中空部が空気で満たされるようにすれば、製造後の多孔質中空糸膜の欠陥検出に使用することができる。
本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置を、製造中の多孔質中空糸膜の欠陥検出に使用する形態としては、例えば、多孔質中空糸膜を紡糸する紡糸装置、多孔質中空糸膜を洗浄する洗浄装置、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置、多孔質中空糸膜を熱風などで乾燥する乾燥装置、多孔質中空糸膜をボビンなどに引き取る引取装置の各装置を順に設置し、多孔質中空糸膜の製造ライン上で欠陥を検出する形態が挙げられる。このような形態は、欠陥検査において欠陥から流出される気体を、乾燥装置において乾燥された膜面から多孔質中空糸膜の中空部に容易に供給できる点で好ましい。
特許文献1に記載の従来の欠陥検査装置は、前述したように、多孔質中空糸膜の導入部と導出部において、容器内を減圧するための高い密閉性を実現するために複雑な密閉構造を必要とする。また、該欠陥検査装置は、多孔質中空糸膜の導入部と導出部から容器内に空気が流入することを完全には防げないため、気相からの排気量が大きくなる傾向がある。
これに対し、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置では、流路部材を液体中に浸漬して、中空糸膜走行流路の両端の開口が液体中に配置された状態で、該中空糸膜走行流路内の液体を流動させることで、中空糸膜走行流路内の液体の圧力を低下させる。このように、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置では、中空糸膜走行流路の両端の開口が液体中に位置していることで、中空糸膜走行流路内への空気の流入が防止された状態になっている。そのため、液体を収容する容器や流路部材に複雑な密閉構造を採用する必要がなく、また空気の流入によって液体吸引手段の吸引量が増大することも防止できる。また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置では、気相の空気を排気する場合に比べて少ない吸引量で液体の減圧の程度を高くできるので、より小さい欠陥も容易に検出できる。以上のように、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置を用いれば、簡便かつ高効率に多孔質中空糸膜の欠陥を検査できる。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置では、中空糸膜走行流路や分岐流路内で液体が流動しているので、流路の壁面に気泡が滞留し難く、多孔質中空糸膜の欠陥から流出した気泡を効率良く安定して検出し、多孔質中空糸膜の欠陥を検出できる。
なお、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、前記欠陥検査装置1には限定されない。
具体的には、流路部材の中空糸膜走行流路は1本には限定されない。例えば、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、図8および図9に例示した流路部材20Bを有する装置であってもよい。流路部材20Bは、各々の中央部分に空間拡大部22が設けられた、液体Lが満たされた状態で多孔質中空糸膜Mを通過させる4本の中空糸膜走行流路21と、各々の空間拡大部22の部分で中空糸膜走行流路21から分岐する4本の分岐流路23と、それら分岐流路23が合流する合流部24と、合流部24から液体Lを流出させる流出路25と、が内部に形成されている。流路部材20Bを有する欠陥検査装置では、流路部材20Bのそれぞれの中空糸膜走行流路21内の液体Lが、それぞれの空間拡大部22から分岐流路23、合流部24、流出路25を通じて液体吸引手段によって吸引されて流動し、それぞれの中空糸膜走行流路21内の液体Lが減圧される。この欠陥検査装置を使用すれば、4本の多孔質中空糸膜Mの欠陥を同時に検出できる。また、この場合、それぞれの中空糸膜走行流路21内を走行する多孔質中空糸膜Mの欠陥から生じた気泡を別々に検出するため、4本それぞれの分岐流路23または空間拡大部22の部分に気泡検出手段が設けられることが好ましい。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、中空糸膜走行流路の両端の開口が液体中に配置されて流路内が該液体で満たされるものであれば、前記流路部材20を全て液体中に浸漬する形態には限定されない。例えば、図10に例示した多孔質中空糸膜の欠陥検査装置2(以下、単に「欠陥検査装置2」という。)であってもよい。欠陥検査装置2における欠陥検査装置1と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。
欠陥検査装置2では、液体Lを収容する容器10の底面の一部が流路部材20で構成されている。欠陥検査装置2における気泡検出手段50は、気泡検出手段50の先端が流路部材20の分岐流路23内を流れる液体L中には突き出されないように配置されている。また、欠陥検査装置2では、液体循環ライン63における脱泡手段67の下流に、循環させる液体L中の溶存酸素を除去する脱気手段69aが設けられている。これにより、気泡の検出の信頼性が向上する。脱気手段69aとしては、例えば、ガス分離用多孔質中空糸膜を用いた脱気モジュールに減圧手段69bを組み合わせたものなど、液体L中の溶存気体を脱気できるものが挙げられる。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、例えば、図11に例示した多孔質中空糸膜の欠陥検査装置3(以下、単に「欠陥検査装置3」という。)であってもよい。欠陥検査装置3における欠陥検査装置1と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。
欠陥検査装置3は、液体Lを収容する2つの容器10A,10Bを有し、流路部材20の両端がそれら容器10A,10Bの側面と連結されており、中空糸膜走行流路21の開口21aが容器10Aに収容された液体L中に配置され、開口21bが容器10Bに収容された液体L中に配置される以外は、欠陥検査装置1と同様の形態の装置である。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、空間拡大部を有さない中空糸膜走行流路と分岐流路が形成された流路部材を有する欠陥検査装置であってもよい。本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、中空糸膜走行流路における分岐流路が分岐する部分に、流路の幅だけが拡張された空間拡大部が設けられた流路部材を有する欠陥検査装置であってもよい。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、中空糸膜走行流路から分岐する分岐流路が、流路部材の下壁面以外の壁面に通じている流路部材を有する欠陥検査装置であってもよい。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、中空糸膜走行流路から分岐する分岐流路を有さない流路部材を有する欠陥検査装置であってもよい。具体的には、例えば、図12に例示した、中空糸膜走行流路21から分岐する分岐流路を有さない流路部材20Cを有する欠陥検査装置であってもよい。流路部材20Cは、分岐流路23を有さず、中空糸膜走行流路21に空間拡大部22が設けられていない以外は、流路部材20と同じである。
流路部材20Cを有する欠陥検査装置の場合は、流路部材20Cにおける中空糸膜走行流路21の開口21b側から、液体Lを吸引して流動させて中空糸膜走行流路21内の液体Lの圧力を低下させること、すなわち液体Lの流動方向と多孔質中空糸膜Mの走行方向とが同一方向となるように、液体Lを吸引して中空糸膜走行流路21内の液体Lの圧力を低下させることが好ましい。なお、液体Lの流動方向と多孔質中空糸膜Mの走行方向とが逆方向となるように、流路部材20Cにおける中空糸膜走行流路21の開口21a側から液体Lを吸引して流動させ、中空糸膜走行流路21内の液体Lの圧力を低下させてもよい。また、流路部材20Cを有する欠陥検査装置の場合、気泡検出手段は、中空糸膜走行流路21においてできるだけ開口21b側、すなわち多孔質中空糸膜Mの走行方向における下流側に設置されることが好ましい。これにより、より安定して気泡を検出することができる。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、流路部材の中空糸膜走行流路内に満たされた液体を吸引することで、該液体の圧力を低下させることができれば、走行する多孔質中空糸膜の周りが全て壁面で囲まれていない中空糸膜走行流路を有する流路部材を備えた欠陥検査装置であってもよい。例えば、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、2つの平板状の部材を一定の隙間ができるように平行にして固定し、該隙間を中空糸膜走行流路とした流路部材を有する欠陥検査装置であってもよい。また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、前記隙間を中空糸膜走行流路とし、さらに該中空糸膜走行流路から分岐する分岐流路を形成した流路部材を有する欠陥検査装置としてもよく、前記中空糸膜走行流路における前記分岐流路が分岐する部分に、前記中空糸膜走行流路の幅や高さが拡張された空間拡大部が設けられた流路部材を有する欠陥検査装置としてもよい。
具体的には、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、例えば、図13および図14に例示した流路部材20Dを有する欠陥検査装置であってもよい。
流路部材20Dでは、長尺の矩形の平板状の上側板部材20cと、長尺の矩形の平板状の下側板部材20dとが、互いの間に一定の隙間ができるように平行に固定され、該隙間が、多孔質中空糸膜Mを走行させる中空糸膜走行流路21Aとなっている。中空糸膜走行流路21Aは、上側板部材20cと下側板部材20dとの隙間の長手方向に沿って多孔質中空糸膜Mが走行するようになっている。また、上側板部材20cの中央部分には、上側板部材20cと下側板部材20dの間の中空糸膜走行流路21Aから分岐して、中空糸膜走行流路21A内の液体Lを上側板部材20cの上壁面側に吸引するための分岐流路23Aが形成されている。
流路部材20Dを有する欠陥検査装置では、流路部材20Dを液体中に浸漬し、中空糸膜走行流路21A内を液体Lで満たし、分岐流路23Aを通じて中空糸膜走行流路21A内の液体Lを吸引することで、中空糸膜走行流路21A内の液体Lの圧力を低下させる。そして、中空糸膜走行流路21A内の液体L中に多孔質中空糸膜Mを走行させ、多孔質中空糸膜Mから流出した気泡を気泡検出手段によって検出することで、多孔質中空糸膜Mの欠陥を検出する。
流路部材20Dを有する欠陥検査装置の場合でも、気泡検出手段は、中空糸膜走行流路と液体吸引手段の間に設置されていることが好ましい。具体的には、この例では、分岐流路23Aにおける中空糸膜走行流路21A側の開口端と分岐流路23Aの上壁面側の開口端の間、または分岐流路23Aの上壁面側の開口端から液体吸引手段までの配管の途中に気泡検出手段が設置されていることが好ましい。
流路部材20Dにおける中空糸膜走行流路21Aの隙間の距離(高さ)d(図13)は、多孔質中空糸膜Mの直径の110%〜180%が好ましく、120%〜140%がより好ましい。
流路部材20Dにおける中空糸膜走行流路21Aの長さの好ましい範囲は、流路部材20における中空糸膜走行流路21の長さDの好ましい範囲と同じである。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、液体供給ラインまたは液体循環ラインのいずれか一方のみを有する液体流入ラインを備えた欠陥検査装置であってもよく、液体流入ラインを備えていない欠陥検査装置であってもよい。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置は、前述した各部分における他の実施形態例を任意に組み合わせた形態としてもよい。
<多孔質中空糸膜の欠陥検査方法>
以下、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法の一例として、前記欠陥検査装置1を使用した欠陥検査方法について説明する。
欠陥を検査する多孔質中空糸膜Mは、材質、分画特性などに制限はなく、濾過膜として使用できるものであればよい。多孔質中空糸膜Mの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリスルフォン、ポリフッ化ビニルデン、セルロースなどが挙げられる。また、多孔質中空糸膜Mのサイズも限定されず、例えば、外径が0.5〜5mm程度、内径が0.3〜4.9mm程度、また、分画特性が0.05〜0.5μm程度のものが挙げられる。
容器10内に収容した液体L中に、流路部材20を浸漬する。これにより、流路部材20の開口21a,21bから、空間拡大部22を有する中空糸膜走行流路21、分岐流路23内に液体Lが流入し、それら流路内が液体Lで満たされた状態となる。液体Lで満たされた中空糸膜走行流路21内を通過するように、多孔質中空糸膜Mを連続的に走行させる。
多孔質中空糸膜Mの走行速度は、適宜設定できる。
また、液体吸引手段40により、中空糸膜走行流路21内の液体Lを空間拡大部22から分岐流路23、液体循環ライン63を通じて吸引して流動させ、中空糸膜走行流路21内の液体Lの圧力を流動による圧力損失により低下させる。中空糸膜走行流路21内の液体Lの圧力は、少なくとも多孔質中空糸膜Mの内部の圧力よりも低くなるように減圧する。これにより、中空糸膜走行流路21内において、多孔質中空糸膜Mの欠陥から気泡を流出させることが可能となる。また、中空糸膜走行流路21内の液体Lの減圧の程度が大きいほど、すなわち多孔質中空糸膜Mに加わる液体Lの圧力が低いほど、多孔質中空糸膜Mにおけるより小さい欠陥の検出が可能となる。さらに、多孔質中空糸膜Mの欠陥から流出した気泡が流動する液体Lと共に流動し、気泡検出手段50へ導かれるため、すべての欠陥を検出することができる。
多孔質中空糸膜における細孔を適切な液で充分に濡らした状態において、一方の膜表面側を空気などで満たし、他方の膜表面側を減圧した液体で満たして、細孔を通じて気泡を発生させるとき、最初に気泡が発生する時点の液体の圧力は、液体の表面張力に比例し、細孔径に反比例する。
中空糸膜走行流路21内の液体Lの減圧度は、使用する液体の表面張力、検出したい多孔質中空糸膜Mの欠陥の大きさによって適宜選択できる。例えば、同じ大きさの欠陥を検出する場合、液体Lの表面張力を1/2にすれば、必要な減圧度は1/2となる。
純水を主成分とする液体Lの場合、空間拡大部22内の圧力は、−90kPa以上が好ましく、−80kPa以上がより好ましい。前記液体Lの圧力が前記下限値よりも低いと、液体L中に溶解していた気体が微細気泡として液体L中に現れたり、液体の減圧沸騰により大きな泡が発生するおそれがある。そのような気泡が気泡検出手段50で気泡として検知されてしまうと、欠陥からの気泡とそれらの気泡とを分離検知することはできず、欠陥の誤検知が発生する。
中空糸膜走行流路21内の液体Lの圧力は、分岐流路23を通じた空間拡大部22からの液体Lの吸引量により制御できる。
中空糸膜走行流路21内を走行する多孔質中空糸膜Mに欠陥があった場合、中空糸膜走行流路21内の液体Lの圧力が多孔質中空糸膜Mの内部の圧力よりも低いために、多孔質中空糸膜Mの内部の空気が欠陥から液体L中に気泡として流出される。この液体L中に流出した気泡は、空間拡大部22に向かって流れ、分岐流路23、液体循環ライン63を通じて吸引される液体Lと共に移動する。この流動する液体L中の気泡を、分岐流路23の部分で気泡検出手段50によって検出する。このように、中空糸膜走行流路21内において液体Lに流出した気泡を検出することで、多孔質中空糸膜Mの欠陥が検出できる。
特許文献1に記載の従来の欠陥検査装置を用いる欠陥検査方法では、前述したように、多孔質中空糸膜の導入部と導出部において、容器内を減圧するための高い密閉性を実現するために複雑な密閉構造を必要とする。また、該欠陥検査方法では、多孔質中空糸膜の導入部と導出部から容器内に空気が流入することを完全には防げないため、気相からの排気量が大きくなる傾向がある。
これに対し、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法では、中空糸膜走行流路の両端の開口が液体中に配置し、流路内を液体で満たした状態で、中空糸膜走行流路内の液体を流動させることで、該中空糸膜走行流路内の液体の圧力を低下させる。このように、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法では、中空糸膜走行流路の両端の開口が液体中に位置していることで、中空糸膜走行流路内への空気の流入が防止された状態である。そのため、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法では、液体を収容する容器や流路部材に複雑な密閉構造を採用する必要がなく、また空気の流入によって液体吸引手段の吸引量が増大することも防止できる。また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法では、気相の空気を排気する場合に比べて液体の減圧の程度を高くしやすいので、より小さい欠陥も容易に検出できる。以上のように、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法では、簡便かつ高効率に多孔質中空糸膜の欠陥を検査できる。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法では、中空糸膜走行流路内で液体を流動させるので、流路の壁面に気泡が滞留し難く、多孔質中空糸膜の欠陥から流出したすべての気泡を気泡検出手段へ導くことができる。そのため、多孔質中空糸膜の欠陥から流出した(吸い出された)気泡を安定して検出し、多孔質中空糸膜の欠陥を検出できる。
多孔質中空糸膜における欠陥が検出された部分は、欠陥検査装置の外に導出された後にマーキングすることが好ましい。このマーキングは、気泡検出手段による測定における、気泡が検出され始めた時間および気泡が検出されなくなった時間と、多孔質中空糸膜の走行速度とを考慮して欠陥位置を特定して行えばよい。これにより、多孔質中空糸膜の欠陥部分を補修したり、切断除去したりすることが容易に行える。
本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法は、多孔質中空糸膜の製造ライン上で行ってもよく、製造後の多孔質中空糸膜に対して行ってもよい。
以上説明した本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法によれば、簡便かつ高効率に多孔質中空糸膜の欠陥を検査できる。
なお、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法は、前記欠陥検査装置1を使用する方法には限定されない。例えば、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法は、分岐流路を有さない流路部材を用いる方法であってもよい。
また、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法は、例えば、前述した流路部材20Aを有する欠陥検査装置、流路部材20Bを有する欠陥検査装置、流路部材20Cを有する欠陥検査装置、流路部材20Dを有する欠陥検査装置、欠陥検査装置2,3などを使用する方法など、前記したような欠陥検査装置1以外の様々な形態の欠陥検査装置を使用する方法であってもよい。
<多孔質中空糸膜の製造方法>
本発明の多孔質中空糸膜の製造方法は、下記の凝固工程と、洗浄工程と、除去工程と、乾燥工程と、欠陥検査工程と、を有する。
凝固工程:疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて多孔質中空糸膜前駆体を形成する工程。
洗浄工程:前記多孔質中空糸膜前駆体を洗浄して該多孔質中空糸膜前駆体中に残存する溶媒を除去する工程。
除去工程:前記多孔質中空糸膜前駆体中に残存する親水性ポリマーを除去して多孔質中空糸膜を得る工程。
乾燥工程:前記多孔質中空糸膜を乾燥する工程。
欠陥検査工程:前記乾燥工程後の前記多孔質中空糸膜に対して、本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法を用いて欠陥を検査する工程。
(凝固工程)
まず、疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を調製する。ついで、例えば、該製膜原液を環状の吐出口が形成された紡糸ノズルから凝固液中に吐出し、凝固液中で凝固させて、多孔質中空糸膜前駆体を形成する。
製膜原液中に凝固液が拡散するにしたがって、凝固液によって疎水性ポリマーが凝固され、疎水性ポリマーと親水性ポリマーがそれぞれ相分離を起こす。このように、相分離が進行しつつ凝固が進行することにより、疎水性ポリマーと親水性ポリマーとが相互に入り組んだ三次元網目構造の多孔質中空糸膜前駆体が得られる。多孔質中空糸膜前駆体においては、親水性ポリマーは、ゲル状態で疎水性ポリマーと三次元的に絡みあっているものと推察される。多孔質中空糸膜前駆体は、後述する除去工程において親水性ポリマーが除去されることで、その親水性ポリマーが除去された部分が空孔となり、多孔質中空糸膜となる。
凝固工程においては、紡糸ノズルから製膜原液を吐出させた後、該製膜原液が凝固液に至るまでの間に空走区間を設ける乾湿式紡糸を採用してもよく、空走区間を設けずに、紡糸ノズルから凝固液中に製膜原液を直接吐出する湿式紡糸を採用してもよい。
疎水性ポリマーは、凝固工程において多孔質中空糸膜前駆体を形成し得るものであれば特に制限なく使用できる。疎水性ポリマーとしては、例えば、ポリスルホンやポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル、セルロース誘導体、ポリアミド、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリアクリレートなどが挙げられる。また、疎水性ポリマーとしては、前記した樹脂の共重合体を使用してもよく、これらの樹脂や共重合体の一部に置換基を導入したものを使用してもよい。また、疎水性ポリマーとしては、分子量などが異なる同種のポリマーをブレンドして用いてもよく、2種以上の異なる種類の樹脂を混合して使用してもよい。
フッ素系樹脂、なかでも、ポリフッ化ビニリデンおよびフッ化ビニリデンの両方または一方と、ポリフッ化ビニリデンおよびフッ化ビニリデン以外の他の単量体とからなる共重合体は、次亜塩素酸などの酸化剤に対する耐久性が優れている。よって、例えば後述の除去工程などで、多孔質中空糸膜前駆体を酸化剤により処理して多孔質中空糸膜を得る場合には、疎水性ポリマーとしてフッ素系樹脂を選択することが好適である。
親水性ポリマーは、製膜原液の粘度を多孔質中空糸膜前駆体の形成に好適な範囲に調整し、製膜状態の安定化を図るために添加されるものである。親水性ポリマーとしては、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンが好ましい。これらの中でも、多孔質中空糸膜の孔径の制御や多孔質中空糸膜の強度の点から、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドンの両方または一方と、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルピロリドン以外の他の単量体とが共重合した共重合体が好ましい。
親水性ポリマーには、2種以上の樹脂を混合して使用してもよい。より高分子量の親水性ポリマーを用いると、膜構造の良好な多孔質中空糸膜を形成しやすい。一方、より低分子量の親水性ポリマーを用いると、後述の除去工程において多孔質中空糸膜前駆体から親水性ポリマーがより除去されやすい。よって、目的に応じて、分子量が異なる同種の親水性ポリマーを適宜ブレンドして用いてもよい。
前記した疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーを、これらが可溶な溶媒(良溶媒)に混合することにより、製膜原液を調製することができる。
溶媒の種類には特に制限はないが、乾湿式紡糸で凝固工程を行う場合には、空走部において製膜原液を吸湿させることによって多孔質中空糸膜の孔径を調整するため、水と均一に混合しやすい溶媒を選択することが好ましい。このような溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルモルホリン−N−オキシドなどが挙げられる。溶媒は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、溶媒は、溶媒への疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーの溶解性を損なわない範囲であれば、疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーの貧溶媒を混合してもよい。
また、製膜原液には、必要に応じて他の添加成分を加えてもよい。
製膜原液の温度は、特に制限されず、20〜40℃が好ましい。
製膜原液中における疎水性ポリマーの濃度は、薄すぎても濃すぎても製膜時の安定性が低下し、好適な多孔質中空糸膜構造が形成されに難くなる傾向にある。そのため、製膜原液中における疎水性ポリマーの濃度の下限は、10質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。また、製膜原液中における疎水性ポリマーの濃度の上限は、30質量%が好ましく、25質量%がより好ましい。
製膜原液中における親水性ポリマーの濃度の下限は、多孔質中空糸膜前駆体をより形成しやすい点から、1質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。製膜原液中における親水性ポリマーの濃度の上限は、製膜原液の取扱性の点から、20質量%が好ましく、12質量%がより好ましい。
凝固液は、疎水性ポリマーが溶解しない非溶媒で、親水性ポリマーの良溶媒である必要がある。具体的には、凝固液としては、水、エタノール、メタノールなどや、これらの混合液などが挙げられる。なかでも、凝固液としては、安全性、運転管理の面から、製膜原液に用いた溶媒と水との混合液が好ましい。
紡糸ノズルは、目的の多孔質中空糸膜の形態に応じた環状のノズルを選択することができる。例えば、強度に優れた多孔質中空糸膜を得たい場合、中空状の補強支持体を通過させる支持体通路の外側に、製膜原液を吐出させる環状の流路を備えた紡糸ノズルを採用できる。これにより、疎水性ポリマーによって形成される多孔質層の内部に中空状の補強支持体を配した多孔質中空糸膜が得られる。中空状の補強支持体としては、各種の繊維で製紐された中空状の編紐や組紐などが挙げられる。中空状の網紐や組紐は、各種素材を単独または組み合わせて用いることができる。中空状の編紐や組紐に使用される繊維としては、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維などが挙げられる。また中空状の編紐や組紐に使用される繊維の形態としては、モノフィラメント、マルチフィラメント、紡績糸のいずれであってもよい。中空状の補強支持体を用いる場合、例えば、紡糸ノズルを通過する補強支持体の表面に、該紡糸ノズルから同時に吐出される製膜原液を塗布し、凝固液中に投入すればよい。また、環状複合紡糸ノズルを用いて、ノズル内で補強支持体表面に製膜原液を塗布した後、直接凝固液に吐出してもよい。
(除去工程)
除去工程では、例えば、酸化剤による親水性ポリマーの酸化分解を行った後、低分子量化された親水性ポリマーを除去する。多孔質中空糸膜前駆体中の親水性ポリマーが除去されることで、多孔質中空糸膜が得られる。
多孔質中空糸膜前駆体中の親水性ポリマーを低分子量化する方法としては、多孔質中空糸膜前駆体を酸化剤を含む薬液に浸漬して該薬液を保持させ、ついで、薬液を保持した多孔質中空糸膜前駆体を気相中で加熱する方法が好ましい。
酸化剤としては、オゾン、過酸化水素、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過硫酸塩などが使用できる。なかでも、酸化剤としては、酸化力が強く親水性ポリマーの分解性能に優れること、取扱性に優れること、安価なことなどの点から、次亜塩素酸塩が特に好ましい。次亜塩素酸塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウムなどが挙げられる。なかでも、次亜塩素酸塩としては、次亜塩素酸ナトリウムが特に好ましい。
薬液の温度は、50℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。薬液の温度が50℃より高温であると、多孔質中空糸膜前駆体の浸漬中に薬液中に脱落した親水性ポリマーがさらに酸化分解し、酸化剤の浪費が進みやすい。薬液の温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。薬液の温度が0℃以上であれば、親水性ポリマーの酸化分解の効率が良く、また低温に温度制御するためのコストを抑制できる。
多孔質中空糸膜前駆体に薬液を保持させた後は、該多孔質中空糸膜前駆体を気相中で加熱することにより、親水性ポリマーを酸化分解することが好ましい。気相中で多孔質中空糸膜前駆体を加熱すれば、多孔質中空糸膜前駆体中に保持された薬液が大きく希釈されたり、薬液が加熱媒体中へ脱落溶出したりすることがほとんどない。そのため、薬液中の酸化剤が多孔質中空糸膜前駆体中に残存する親水性ポリマーの分解に効率よく使用される。
具体的な多孔質中空糸膜前駆体の加熱方法としては、大気圧下で加熱流体を用いて多孔質中空糸膜前駆体を加熱する方法が好ましい。加熱流体としては、酸化剤の乾燥が抑制され、効率的な分解処理が可能となる点から、相対湿度の高い流体が好ましい。すなわち、薬液を保持させた多孔質中空糸膜前駆体を湿熱条件で加熱することが好ましい。流体の相対湿度としては、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、100%近傍が最も好ましい。
加熱温度の下限は、連続処理を行う場合に処理時間を短くできることから、50℃が好ましく、80℃がより好ましい。加熱温度の上限は、大気圧状態では、100℃が好ましい。
低分子量化された親水性ポリマーを多孔質中空糸膜前駆体から除去する方法としては、多孔質中空糸膜前駆体を洗浄する方法が好ましい。洗浄方法としては特に制限されず、洗浄液で満たされた洗浄槽中に多孔質中空糸膜前駆体を走行させる方法でもよく、洗浄液中に多孔質中空糸膜前駆体を浸漬させる方法でもよい。
洗浄液としては、例えば、水、水と製膜原液に用いた溶媒との混合溶液などが挙げられる。
洗浄液の温度は、特に制限はなく、30〜80℃が好ましい。洗浄液の温度が30℃以上であれば、親水性ポリマーが洗浄液に分散・溶解しやすくなる。洗浄液の温度が80℃以下であれば、高い減圧度を確保しやすく、洗浄後の多孔質中空糸膜から水分を引き抜きやすくなる。また、洗浄液の温度が80℃を超えると、洗浄液の蒸発が多くなるため、洗浄液が取り扱い難くなる。
(乾燥工程)
親水性ポリマーを除去して得られた多孔質中空糸膜を乾燥する。
多孔質中空糸膜を乾燥する方法としては、特に制限はなく、多孔質中空糸膜を熱風乾燥機などの乾燥装置に導入する方法などが挙げられる。
(欠陥検査工程)
乾燥後の多孔質中空糸膜に対して、前述した本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法によって、欠陥の検査を行う。
乾燥工程後に欠陥検査工程を実施することにより、製造中の全ての多孔質中空糸膜についてインラインで欠陥検査を行うことができるため、歩留まりが向上する。
また、欠陥検査工程で多孔質中空糸膜の欠陥を発見した場合は、その欠陥部分にマーキングなど記録を残しておくことが好ましい。これにより、得られた多孔質中空糸膜を用いてエレメントの組み立て加工を行う時に、多孔質中空糸膜における欠陥部分が該エレメントに混入しないように該欠陥部分を除去することが容易になり、歩留まりが向上する。
<多孔質中空糸膜>
本発明の多孔質中空糸膜は、前記した本発明の多孔質中空糸膜の製造方法を用いて製造した多孔質中空糸膜である。本発明の多孔質中空糸膜は、簡便かつ高効率に欠陥検査が行われているため、水処理などの様々な分野に好適に使用できる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
(多孔質中空糸膜)
多孔質中空糸膜としては、ポリエステル繊維製の外径約2.5mm、内径約1.5mmの中空紐に、ポリフッ化ビニリデン樹脂の多孔質層が厚み約0.15mm被覆された構造で、乾燥後にボビンに巻かれたものを、ボビンより巻き出し、親水化処理を行った後、後述する中空部加圧欠陥検査法で予め欠陥位置を確認した湿潤状態ものを用いた。
(親水化処理)
乾燥された多孔質中空糸膜を、親水化剤(日信化学工業(株)製:オルフィンEXP4036)の0.3質量%水溶液(以下、「親水化液」という。)に約30分沈め、多孔質層に親水化液を充分充満させて親水化した。該多孔質中空糸膜を親水化液から引き上げ、中空部の親水化液を充分流出させた後に流水中(室温純水)で約30分洗浄し、多孔質層の親水化液を純水に置換した。
(中空部加圧欠陥検査法)
親水化された多孔質中空糸膜約30mを、純水を約50mmの深さに張った長さ2000mm、幅300mm、深さ150mmの水槽に、多孔質中空糸膜ができるだけ重ならないように広げ、多孔質中空糸膜の両端の中空部に加圧ノズルを装着し、精密減圧弁で80kPaに圧力調圧した圧縮空気を供給した。
該多孔質中空糸膜を、その一端から他端に向けて約300mmずつ水面下に沈め、表面から気泡が発生している欠陥部に赤色糸を結び、多孔質中空糸膜全長にわたって表面から気泡が発生している欠陥部を同定した。その後、中空部の加圧を停止し、圧力を開放して、加圧ノズルを取り外した。
多孔質中空糸膜の一端から5mの点に黒色の顔料系インクでマーキングを行った後、そのマーキング点から各欠陥部の目印の赤色糸までの距離を記録した。中空部加圧欠陥検査を行った多孔質中空糸膜は、マーキング端の反対端からボビンに巻き取り、乾燥しないようにポリエチレン製の袋でボビンごと覆った。
(欠陥検査装置)
多孔質中空糸膜の連続欠陥検査には、図15に示すように、トルクモーターでボビンにバックテンションを付与可能な供給装置70と、欠陥検査装置1と、ネルソンロール式の引取装置80を有する構成の装置を用いた。
(流路部材20)
多孔質中空糸膜が通過する流路部材20は、流路部材本体20aに、空間拡大部22を有する中空糸膜走行流路21を形成する溝が形成され、上蓋部20bによって閉じる構造で、中空糸膜走行流路21の中心軸に垂直な断面形状は正方形、上蓋部20bの流路部材本体20aとの合わせ面は平らな、図2〜4、図6および図7に例示した構造のものを用いた。また、分岐流路23の下流に取り付けた圧力計68で液体Lの減圧度をモニターした。
流路部材20の各部寸法および欠陥検査装置の各構成機器の仕様を表1および表2に示す。
Figure 0005561369
Figure 0005561369
供給装置70より、中空部加圧欠陥検査を行った多孔質中空糸膜Mを、マーキング端から定張力を付与しながら引き出し、ガイドロール31、32を経て、流路部材20内を通過させ、ガイドロール33、34を経て、引取装置80に5回のクロス掛けを行ったところで停止した。
約20℃の純水を約1L/分で脱泡手段64に供給し、脱泡手段64の空気抜きから、気泡を含んだ純水を約0.1L/分で排出した。脱泡手段64を出た純水を脱気手段65に供給し、脱気手段65の吸気口に減圧手段66を接続し、約−92kPaに保持した。脱泡手段64および脱気手段65により液体Lを脱泡、脱気した純水を容器10に供給した。容器水深は流路部材20の上蓋から容器液面までの深さが約50mmになるようにオーバーフロー部の位置を調整した。
流路部材20内を多孔質中空糸膜が通った状態で液体吸引手段40を起動させ、圧力計68の圧力が約−80±2kPaになるように、インバーターで液体吸引手段40の回転速度を調整した。このときのポンプ吸引量は約4.2L/分であった。液体循環ライン63に設置した脱泡手段67の空気抜きからは、気泡を含んだ純水を約0.1L/分で排出し、循環する容器10内の純水中の気泡および混入異物の除去を行った。ついで、ロール周速度を20m/分に設定し、多孔質中空糸膜を導膜した状態で停止させてあったACサーボ駆動の引取装置80を起動し、多孔質中空糸膜を20m/分で流路部材20内を通過させ、多孔質中空糸膜の連続欠陥検査を行った。
引取装置80の起動後、直ちに光電センサーのアンプからの電圧信号をデーターロガーでサンプリング周期10msecで記録を開始し、また記録開始から黒色の顔料系インクでマーキングした膜部が流路部材20の中央を通過した瞬間までの時間を記録した。
多孔質中空糸膜における欠陥がない部分のデーターロガー記録結果を、横軸に経過時間、縦軸に出力電圧としてグラフ化したものを図16に示す。また、多孔質中空糸膜における欠陥があった部分のデーターロガー記録結果を、横軸に経過時間、縦軸に出力電圧としてグラフ化したものを図17に示す。また、連続検査を行った多孔質中空糸膜における流路部材20を通過した部分についてのデーターロガー記録結果を、横軸に経過時間、縦軸に出力電圧としてグラフ化したものを図18に示す。
中空部加圧欠陥検査法で同定した欠陥のマーキング点からの位置と、図18に示した連続欠陥検査の測定結果と膜走行速度から算出したマーキング点からの欠陥位置を比較したものを表3に示す。
Figure 0005561369
表3に示すように、中空部加圧欠陥検査法で同定されていた欠陥は実施例1における連続欠陥検査において全て検出され、それらのマーキング点からの位置もほぼ一致していた。
また、実施例1の連続欠陥検査の測定において、中空部加圧欠陥検査法では検出されなかった欠陥が新たに検出された。実施例1における連続欠陥検査後の多孔質中空糸膜について、再度中空部加圧欠陥検査を行ったところ、実施例1の連続欠陥検査で新たに見つかった位置に気泡が発生する欠陥が見つかり、中空部加圧欠陥検査後の多孔質中空糸膜の膜取り扱いによって生じた損傷であることが確認された。
本発明の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置および欠陥検査方法は、複雑な密閉構造を必要とせず、簡便かつ高効率に多孔質中空糸膜の欠陥を検査できるため、水処理などに使用される様々な多孔質中空糸膜の欠陥検査に好適に使用できる。
1〜3 多孔質中空糸膜の欠陥検査装置
10,10A,10B 容器
20,20A〜20D 流路部材
21,21A 中空糸膜走行流路
22 空間拡大部
23,23A 分岐流路
30 規制手段
31〜34 ガイドロール
40 液体吸引手段
50 気泡検出手段
51 出光部
52 受光部
60 液体流入ライン
61 液体供給ライン
62 液体排出ライン
63 液体循環ライン
64,67 脱泡手段
65 脱気手段
66 減圧手段
68 圧力計
70 供給装置
80 引取装置
D 中空糸膜走行流路長
中空糸膜走行流路断面幅
中空糸膜走行流路断面高さ
中空糸膜走行流路の隙間の距離
空間拡大部幅
f 空間拡大部長
h 空間拡大部高さ

Claims (19)

  1. 多孔質中空糸膜を通過させる中空糸膜走行流路が内部を貫通するように形成された流路部材の前記中空糸膜走行流路の両端の開口を液体中に配置して流路内を前記液体で満たし、
    前記中空糸膜走行流路内の前記液体中を通過するように多孔質中空糸膜を連続的に走行させ、
    前記中空糸膜走行流路内の前記液体を流動させることにより、前記中空糸膜走行流路内の前記液体の圧力を低下させ、
    前記多孔質中空糸膜の欠陥から前記液体中に流出された気泡を検出する、多孔質中空糸膜の欠陥検査方法。
  2. 前記中空糸膜走行流路から分岐して一壁面に通じる分岐流路がさらに形成された前記流路部材の前記中空糸膜走行流路の両端の開口を前記液体中に配置して流路内を前記液体で満たし、
    前記中空糸膜走行流路内の前記液体を前記分岐流路を通じて流動させ、前記中空糸膜走行流路内の前記液体の圧力を低下させる、請求項1に記載の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法。
  3. 前記中空糸膜走行流路における前記分岐流路が分岐する部分に、流路の幅が拡張された空間拡大部が設けられており、
    前記中空糸膜走行流路内の前記液体を前記空間拡大部から前記分岐流路を通じて流動させ、前記中空糸膜走行流路内の前記液体の圧力を低下させる、請求項2に記載の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法。
  4. 前記気泡を前記液体と共に流動させることにより、気泡を検出する気泡検出手段へと前記気泡を導く、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法。
  5. 前記流路内を満たす前記液体を、該液体中の泡および溶存気体を除去した後に供給する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法。
  6. 前記中空糸膜走行流路内から吸引して流動させている前記液体中の気泡を検出する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多孔質中空糸膜の欠陥検査方法。
  7. 液体が収容された容器と、
    多孔質中空糸膜を連続的に通過させる中空糸膜走行流路が内部を貫通するように形成され、かつ前記中空糸膜走行流路の両端の開口が前記液体中に配置されて流路内が前記液体で満たされる流路部材と、
    前記流路部材の前記中空糸膜走行流路内の前記液体中を通過するように、前記多孔質中空糸膜の走行を規制する規制手段と、
    前記流路部材の前記中空糸膜走行流路内の前記液体を流動させ、前記中空糸膜走行流路内の前記液体の圧力を低下させる液体吸引手段と、
    前記多孔質中空糸膜の欠陥から前記液体中に流出された気泡を検出する気泡検出手段と、
    を有する、多孔質中空糸膜の欠陥検査装置。
  8. 前記流路部材が、前記中空糸膜走行流路から分岐して一壁面に通じる分岐流路がさらに形成され、かつ前記中空糸膜走行流路の両端の開口が前記液体中に配置されて流路内が前記液体で満たされる流路部材であり、
    前記流路部材の前記中空糸膜走行流路内の前記液体を前記分岐流路を通じて流動させ、前記中空糸膜走行流路内の前記液体の圧力を低下させる、請求項7に記載の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置。
  9. 前記流路部材の前記中空糸膜走行流路における前記分岐流路が分岐する部分に、流路の幅が拡張された空間拡大部が設けられ、
    前記液体吸引手段により、前記流路部材の前記中空糸膜走行流路内の前記液体を前記空間拡大部から前記分岐流路を通じて流動させ、前記中空糸膜走行流路内の前記液体の圧力を低下させる、請求項8に記載の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置。
  10. 前記気泡が、流動する前記液体と共に前記気泡検出手段へ導かれる、請求項7〜9のいずれか一項に記載の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置。
  11. 前記気泡検出手段が、前記中空糸膜走行流路と前記液体吸引手段の間に設置されている、請求項7〜10のいずれか一項に記載の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置。
  12. 前記気泡検出手段が、前記液体中に検査光を入射する出光部と、前記液体中を透過した検査光を受光する受光部とを有する、請求項7〜11のいずれか一項に記載の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置。
  13. 前記出光部と前記受光部が互いに向かい合うように設置されている、請求項12に記載の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置。
  14. 前記出光部と前記受光部が、それらの先端部分が前記中空糸膜走行流路内から吸引されて流動している前記液体中に位置するように設置されている、請求項12または13に記載の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置。
  15. さらに、前記容器に前記液体が流入する液体流入ラインを有し、前記液体流入ラインに、流入する前記液体に含まれる泡を除去する脱泡手段が設けられている、請求項7〜14のいずれか一項に記載の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置。
  16. 前記液体流入ラインに、流入する前記液体中の溶存気体を除去する脱気手段が設けられている、請求項15に記載の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置。
  17. 前記液体流入ラインが、液体供給源から前記容器に前記液体が流入する液体供給ラインを有する、請求項15または16に記載の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置。
  18. 前記液体流入ラインが、前記流路部材から吸い出された前記液体が前記容器に流入して循環される液体循環ラインを有する、請求項15〜17のいずれか一項に記載の多孔質中空糸膜の欠陥検査装置。
  19. 疎水性ポリマーと親水性ポリマーと溶媒とを含む製膜原液を凝固液により凝固させて多孔質中空糸膜前駆体を形成する凝固工程と、
    前記多孔質中空糸膜前駆体を洗浄して該多孔質中空糸膜前駆体中に残存する溶媒を除去する洗浄工程と、
    前記多孔質中空糸膜前駆体中に残存する親水性ポリマーを除去して多孔質中空糸膜を得る除去工程と、
    前記多孔質中空糸膜を乾燥する乾燥工程と、
    前記乾燥工程後の前記多孔質中空糸膜に対して、請求項1〜6のいずれか一項に記載の欠陥検査方法を用いて欠陥を検査する欠陥検査工程と、
    を有する多孔質中空糸膜の製造方法。
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