JP5560701B2 - ラニチジン含有医薬固形製剤及びラニチジン担持粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
[1].水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び水酸化カルシウムから選ばれる1種又は2種以上の無機化合物に、ラニチジンを担持させ、マグネシウム及びカルシウム/ラニチジンで表される、含有モル比が10以上であるラニチジン担持粒子を含有することを特徴とするラニチジン含有医薬固形製剤。
[2].ラニチジン担持粒子が、上記無機化合物にラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を含浸させ、乾燥して得られたラニチジン担持粒子である[1]記載のラニチジン含有医薬固形製剤。
[3].水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び水酸化カルシウムから選ばれる1種又は2種以上の無機化合物に、ラニチジンを担持させ、マグネシウム及びカルシウム/ラニチジンで表される、含有モル比が10以上であるラニチジン担持粒子の製造方法であって、
上記無機化合物に、ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を含浸させ、乾燥することを特徴とするラニチジン担持粒子の製造方法。
[4].水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び水酸化カルシウムから選ばれる1種又は2種以上の無機化合物に、ラニチジンを担持させ、マグネシウム及びカルシウム/ラニチジンで表される、含有モル比が10以上であるラニチジン担持粒子の製造方法であって、
上記無機化合物に、ラニチジン又はその塩の濃度10〜75質量%のラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を噴霧し、流動層造粒して乾燥することを特徴とするラニチジン担持粒子の製造方法。
[5].ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルファ化でんぷん及びゼラチンから選ばれる結合剤1〜20質量%を含有する[3]又は[4]記載のラニチジン担持粒子の製造方法。
[6].水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び水酸化カルシウムから選ばれる1種又は2種以上の無機化合物に、ラニチジンを担持させ、マグネシウム及びカルシウム/ラニチジンで表される、含有モル比が10以上であるラニチジン担持粒子の製造方法であって、
上記無機化合物に、ラニチジン又はその塩の濃度10〜75質量%のラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を噴霧した後、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルファ化でんぷん及びゼラチンから選ばれる結合剤の濃度1〜20質量%の結合剤溶液又は分散液を噴霧して、乾燥することを特徴とするラニチジン担持粒子の製造方法。
本発明のラニチジン含有医薬固形製剤は、日本薬局方(第15局)の制酸力試験法によって求められる制酸力が200mL以上で、かつマグネシウム及び/又はカルシウム含有量が20質量%以上である無機化合物に、ラニチジンを担持させたラニチジン担持粒子を含有することを特徴とするラニチジン含有医薬固形製剤である。
本発明のラニチジン担持粒子に使用されるラニチジンとしては、ラニチジン及びその薬学的に許容される塩が利用できる。具体的にはラニチジン塩酸塩が好ましく、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ラニチジン含有医薬固形製剤に対するラニチジンの含有量は、ラニチジン塩酸塩として通常治療で用いられる範囲となるように適宜選定される。例えば、1日量50〜300mg程度、好ましくは150〜300mgとなるように適宜選定される。
本発明のラニチジン担持粒子に使用されるマグネシウム及び/又はカルシウムを含有する無機化合物は、第十五改正日本薬局方(以下第15局)の制酸力試験法によって求められる制酸力が200mL以上であり、好適には200mLを超え、かつマグネシウム及び/又はカルシウム含有量が20質量%以上のものである。第15局の制酸力試験法によって求められる制酸力とは、1g当たりの0.1mol/L塩酸の消費量(mL)で示され、本発明においては200mL以上、好ましくは260mL以上、より好ましくは290mL以上のものである。上限は特に限定されないが、700mL以下が好ましく、より好ましくは600mL以下である。具体的な例としては水酸化マグネシウム(340mL)、酸化マグネシウム(480mL)、水酸化アルミナマグネシウム(300mL)、合成ヒドロタルサイト(290mL)、炭酸マグネシウム(210mL)、炭酸カルシウム(200mL)、水酸化カルシウム(260mL)が挙げられる。マグネシウム及び/又はカルシウム含有量は、無機化合物中20質量%以上であり、好ましくは23質量%以上、より好ましくは24質量%以上である。上限は、マグネシウム又はカルシウム含有無機化合物であれば特に限定されない。具体的には水酸化マグネシウム(42質量%)、酸化マグネシウム(60質量%)、水酸化アルミナマグネシウム(21質量%)、合成ヒドロタルサイト(24質量%)、炭酸マグネシウム(28質量%)、炭酸カルシウム(40質量%)、水酸化カルシウム(54質量%)等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムが好ましく、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、合成ヒドロタルサイト及び水酸化カルシウムがより好ましい。上記第15局制酸力試験法によって求められる制酸力が200mL以上で、かつマグネシウム及び/又はカルシウム含有量が20質量%以上である無機化合物を用いることで、目的とするラニチジンの変色抑制効果が得られる。
本発明のラニチジン担持粒子は、上記マグネシウム及び/又はカルシウムを含有する無機化合物に、ラニチジンを担持させたものである。これは、第15局の制酸力試験法によって求められる制酸力が200mL以上で、かつ化合物中のマグネシウム及び/又はカルシウム含有量が20質量%以上である無機化合物に、ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を含浸させ、乾燥することにより得ることができる。含浸の方法としては、マグネシウム及び/又はカルシウム含有無機化合物に、ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を噴霧し、乾燥する方法が挙げられ、噴霧後に乾燥してもよく、噴霧と同時に乾燥してもよい。ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液に用いる溶媒としては、水、エタノール、水−エタノール混合溶液等が挙げられる。また、上記ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液中には、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルファ化でんぷん又はゼラチン等を配合し、造粒してもよい。ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液中のラニチジン又はその塩の濃度は、10〜75質量%が好ましく、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルファ化でんぷん又はゼラチン等の結合剤濃度は1〜20質量%が好ましい。なお、上記結合剤を用いる場合は、ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液と、結合剤の溶液又は分散液(この場合の結合剤濃度は1〜20質量%が好ましい)とを別々に調製し、無機化合物にラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を噴霧して、必要に応じ乾燥した後、結合剤の溶液又は分散液を噴霧すると、変色を抑制する効果がより向上する。
ラニチジン含有医薬固形製剤は、前記ラニチジン担持粒子を含有するものであり、この粒子を配合することにより得ることができ、胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎又は胃炎治療剤として好適である。剤型は特に限定されないが、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、チュアブル剤、発泡剤、口腔内崩壊剤等の経口投与形態の製剤に調製することができる。そのうち、錠剤、粒状剤(顆粒剤、細粒剤、散剤)又はカプセル剤に調製するのが好ましく、錠剤、顆粒剤、細粒剤がより好ましい。錠剤の場合は、ラニチジン担持粒子をそのままあるいは他の錠剤成分と造粒して配合し、圧縮成型することにより得ることができる。圧縮成型の方法は常法であれば特に限定されず、例えば、ロータリー式打錠機、単発打錠機での圧縮成型が使用可能である。また、粒状剤(顆粒剤、細粒剤、散剤)に関しては、ラニチジン担持粒子をそのまま他の成分と混合して得ることが出来る。または、ラニチジン担持粒子と他の成分の一部または全部とを、公知の造粒法を用いて造粒し、得ることができる。造粒は、流動層造粒法、攪拌造粒法、押出造粒法、転動造粒法、乾式造粒法又はこれらを組み合わせた方法が使用可能である。本発明のラニチジン含有医薬固形製剤は、長期保存によるラニチジンの変色を抑制できることから、糖衣や顔料含有コーティングを有しない構造とすることも可能である。ラニチジン担持粒子以外の、ラニチジン含有医薬固形製剤に配合される成分としては、胃腸薬に使用される各種有効成分、添加物が挙げられる。有効成分としては、粘膜修復剤を配合することが好ましい。
表1〜3に示す組成の錠剤(成人1日服用量)を下記方法で得た。
流動層造粒機MP−01(パウレック製)に担体粒子を入れ、各担体粒子に所定量となるように50質量%ラニチジン塩酸塩水溶液を噴霧して含浸させ、造粒・乾燥し造粒粒子を得た。造粒条件としては、給気温度:80℃、アトマイズエアー量:50.0L/min.[20℃、1atm]、噴霧液速:20g/min.とし、乾燥工程は排風温度が50℃に至るまでとした。造粒粒子の平均粒径は100〜300μmであった。
次に、得られた造粒粒子とステアリン酸マグネシウムを除くその他成分とを、ボーレコンテナミキサー(24rpm 寿工業(株)製20型)を用いて充分に混合した。得られた混合粉体にステアリン酸マグネシウムを加え、ボーレコンテナミキサー(24rpm 寿工業(株)製20型)を用いて5分間混合した後、φ8mm、2段R(R=9.5mm、3.2mm)の杵と臼を備えたロータリー打錠機(リブラ打錠機:菊水製作所製)を用いて、打錠圧力1000kgfで打錠し、1錠310mgの錠剤を得た。なお、表1の「*」は、ストマクシン1180mg中:スクラルファート1000mg、ポリエチレングリコール6000を40mg、水分を140mg含むことを示し、表2,3のストマクシンも組成自体は同じである。
<評価基準>
50℃・75%RHを5℃に変更した以外は上記と同様に保存したサンプルと、上記サンプルとの色差(b*)を比較し、その差が2以下のものは「◎」、2を超えて3以下のものは「○」、3を超えて5以下のものは「△」、5を超えるものは「×」とした。
参考例1において、造粒粒子を作製せず、ラニチジン塩酸塩の粉末を合成ヒドロタルサイトと粉体混合したものを用いる以外は、参考例1と同様に錠剤を製造した。比較例8で得られた錠剤中のラニチジン塩酸塩の分散状態を、近赤外イメージング装置「シナジー(マルベルン株式会社製)」により確認した(図3)。塊が点在し、参考例1(図1)と比較すると、濃度が濃い黄〜赤の斑点が大きく、また局在化しており、分散度合いに差が見られる。また、ラニチジン塩酸塩(図3)と担体粒子(図4)の分散状態を比較し、それぞれの存在位置を示す濃度が濃い黄〜赤の斑点が重ならないことで担持、含浸されていないことが確認できた。なお、図3のカラー画像、図4のカラー画像をそれぞれ参考写真3,4として提出する。参考例1と同様に変色抑制評価を行ったところ、結果は「×」であった。
表4に示す組成の細粒剤(成人1日服用量)を下記方法で得た。
流動層造粒機MP−01(パウレック製)に粉体Aを入れ、各粉体に所定量になるように30質量%ラニチジン塩酸塩水溶液を噴霧して含浸させ、その後ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)濃度が7質量%になるように調製した分散液Bを噴霧し、造粒した。得られた造粒物に、必要に応じてアルパルテームを手で十分に混合し、粉体(1)を得た。さらに、流動層造粒機MP−01(パウレック製)にスクラルファート、マンニトールを入れ、所定量になるように7質量%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧して造粒し、粉体(2)を得た。粉体(1)及び(2)の造粒条件としては、給気温度:80℃、アトマイズエアー量:50.0L/min.[20℃、1atm]、噴霧液速:20g/min.とし、乾燥工程は排風温度が50℃に至るまでとした。粉体(1)及び(2)を、ボーレコンテナミキサー(24rpm 寿工業(株)製20型)を用いて充分に混合し、細粒剤を得た。
<評価基準>
50℃・75%RHを5℃に変更した以外は上記と同様に保存したサンプルと、上記サンプルとの色差(b*)を比較し、その差が2以下のものは「◎」、2を超えて3以下のものは「○」、3を超えて5以下のものは「△」、5を超えるものは「×」とした。
Claims (6)
- 水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び水酸化カルシウムから選ばれる1種又は2種以上の無機化合物に、ラニチジンを担持させ、マグネシウム及びカルシウム/ラニチジンで表される、含有モル比が10以上であるラニチジン担持粒子を含有することを特徴とするラニチジン含有医薬固形製剤。
- ラニチジン担持粒子が、上記無機化合物にラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を含浸させ、乾燥して得られたラニチジン担持粒子である請求項1記載のラニチジン含有医薬固形製剤。
- 水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び水酸化カルシウムから選ばれる1種又は2種以上の無機化合物に、ラニチジンを担持させ、マグネシウム及びカルシウム/ラニチジンで表される、含有モル比が10以上であるラニチジン担持粒子の製造方法であって、
上記無機化合物に、ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を含浸させ、乾燥することを特徴とするラニチジン担持粒子の製造方法。 - 水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び水酸化カルシウムから選ばれる1種又は2種以上の無機化合物に、ラニチジンを担持させ、マグネシウム及びカルシウム/ラニチジンで表される、含有モル比が10以上であるラニチジン担持粒子の製造方法であって、
上記無機化合物に、ラニチジン又はその塩の濃度10〜75質量%のラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を噴霧し、流動層造粒して乾燥することを特徴とするラニチジン担持粒子の製造方法。 - ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルファ化でんぷん及びゼラチンから選ばれる結合剤1〜20質量%を含有する請求項3又は4記載のラニチジン担持粒子の製造方法。
- 水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び水酸化カルシウムから選ばれる1種又は2種以上の無機化合物に、ラニチジンを担持させ、マグネシウム及びカルシウム/ラニチジンで表される、含有モル比が10以上であるラニチジン担持粒子の製造方法であって、
上記無機化合物に、ラニチジン又はその塩の濃度10〜75質量%のラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を噴霧した後、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルファ化でんぷん及びゼラチンから選ばれる結合剤の濃度1〜20質量%の結合剤溶液又は分散液を噴霧して、乾燥することを特徴とするラニチジン担持粒子の製造方法。
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