以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。以下では、回転電機として、ステータと、永久磁石ロータと、巻線ロータとを備え、永久磁石と巻線ロータとの間にクラッチが設けられ、巻線ロータの回転軸の一方側がエンジンに接続され、永久磁石ロータが変速機に接続される動力伝達機構を説明するが、これ以外の構造であっても、スリップリングとブラシとが用いられる回転電機であればよい。また、以下で述べる材質、形状、寸法等は説明のための例示であり、回転電機の仕様等に適合するように適宜変更が可能である。
以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
図1は、スリップリングとブラシが用いられるハイブリッド駆動システム10の構成を説明する図である。このハイブリッド駆動システム10は車両の駆動に用いられるもので、エンジン12と変速機14との間に動力伝達機構としての回転電機20が設けられる。変速機14の先は、車輪16に接続される。
回転電機20は、3相信号で作動し、回転軸22と、ロータ巻線25が巻回され回転軸22周りに回転可能な巻線ロータ24と、永久磁石が取り付けられ回転軸22周りに回転可能な永久磁石ロータ26と、永久磁石ロータ26の外周側に配置され回転電機筐体部に固定されるステータ28とを含む。そして、回転軸22には、スリップリング30が取り付けられ、このスリップリング30に押し付けられるようにブラシ部32が設けられる。スリップリング30とブラシ部32は、3相信号のそれぞれに対応し、3つの電気的に分離された部分を有する構成となっている。3相に対応する3つのスリップリング30のそれぞれは、巻線ロータ24の巻線であるロータ巻線25における3相巻線のそれぞれに接続される。
ハイブリッド駆動システム10は、電源回路部として、ブラシ部32から取り出される3相信号を直流に整流する整流器60と、整流器60の出力を昇圧するDC/DCコンバータ62と、DC/DCコンバータ62の正極母線と負極母線に両端子が接続されるものとして、バッテリ64と、インバータ66と、クランキング用インバータ68を含んで構成される。また、図1には図示されていないが、ハイブリッド駆動システム10を構成する各要素の作動を全体として制御する制御部を含んで構成される。
かかるハイブリッド駆動システム10の動作は以下の通りである。図1の構成において、エンジン12の動力により回転軸22を介して巻線ロータ24が回転駆動され、巻線ロータ24の回転速度が永久磁石ロータ26の回転速度よりも高くなると、巻線ロータ24の巻線であるロータ巻線25に誘起起電力が発生する。ここで、DC/DCコンバータ62の出力電圧がバッテリ64の電圧よりも高くなるようにDC/DCコンバータ62の昇圧比を制御することで、ロータ巻線25に誘導電流が流れ、巻線ロータ24と永久磁石ロータ26との間にトルクが作用して永久磁石ロータ26が回転駆動される。
このパワー伝達経路は、エンジン12の機械的動力によるものであるので、これを機械パスと呼ぶことができる。巻線ロータ24と永久磁石ロータ26との間に作用するトルクは、DC/DCコンバータ62の昇圧比、すなわち、DC/DCコンバータ62を構成するスイッチング素子のデューティ比により制御可能である。上記構成によって、巻線ロータ24と永久磁石ロータ26との回転差を許容できるため、車輪16の回転が停止してもエンジン12がストールすることがなく、いわゆるトルクコンバータとしての機能を実現できる。
さらに、ロータ巻線25に発生した3相交流電力は、スリップリング30とブラシ部32を介して取り出される。取り出された交流電力は、整流器60で直流に整流され、整流された直流電力はDC/DCコンバータ62で昇圧される。そしてDC/DCコンバータ62からの直流電力がインバータ66によって再び3相交流に変換されてからステータ28の巻線であるステータ巻線29に供給されることで、ステータ28と永久磁石ロータ26との間にトルクが作用する。このパワー経路は、電力によるものであるので、これを電気パスと呼ぶことができる。
また、バッテリ64からステータ巻線29へ電力供給を行うようにインバータ66のスイッチング動作を制御して、ステータ28と永久磁石ロータ26との間にトルクを作用させることで、エンジン12が動力を発生していなくても、永久磁石ロータ26を回転駆動させることができる。すなわち、いわゆるEV(Electrical Vehicle)走行を行うことができる。
また、バッテリ64からの電力を用いてクランキング用インバータ68によって3相信号を生成し、ブラシ部32とスリップリング30を介して巻線ロータ24のロータ巻線25に駆動電流を供給することができる。これによって永久磁石ロータ26と巻線ロータ24との間にトルクを発生させ、エンジン12を起動させることができる。すなわち、クランキング機能を持たせることができる。さらに、クラッチ18を切断することで、巻線ロータ24のロータ巻線25に発生する電力を取り出すことができる。すなわち、発電機としての機能を持たせることができる。
上記のように、図1で説明した回転電機20は、トルク増幅機能を有するトルクコンバータとしての機能、エンジン直結駆動機能、モータとして用いてハイブリッド走行とEV走行を可能とする機能、エンジン始動のクランキング機能、発電機としての機能等を車両の運転状況に合わせ選択的に用いることができる多機能の動力伝達機構である。
次に、この回転電機20におけるスリップリング30とブラシ部32の詳細について説明する。ここで、ブラシ部32は、上記のように、スリップリング30と接触することで、例えばロータ巻線25に発生した3相交流信号を取り出して整流器60に供給する作用を行い、あるいは、クランキング用インバータ68によって生成された3相信号を巻線ロータ24のロータ巻線25に供給する作用を行う。すなわち、回転電機20の駆動時には、ブラシ部32はスリップリング30と接触して電気信号を伝達する機能を有する。
ブラシ部32は、スリップリング30との接触に関し、2つの機能を有することが好ましい。1つは、回転するスリップリング30に接触することでブラシ部32は摩耗するが、摩耗してもスリップリング30との間の電気的接触を十分に行えることが好ましい。換言すれば、摩耗してもスリップリング30に対する押付力の変化が小さいことが好ましい。もう1つは、不必要に摩耗しないように、ハイブリッド駆動システム10の制御においてブラシ部32とスリップリング30との間が非通電時であるときは、スリップリング30に対する押付力を小さくすることが好ましい。
以下で述べる構成は、この2つの機能を効果的に有するブラシ部に関するものである。すなわち、駆動時においてブラシ部32が摩耗してもスリップリング30に対する押付力の変化を小さく抑制でき、また、非通電時には、駆動時における押付力よりも小さな押付力でスリップリング30に接触を維持する。
図2は、スリップリング30とブラシ部32の様子を示す図である。なお、スリップリング30は、3相信号に対応して3つ並列に回転軸に設けられ、それらの間は絶縁材料の環状部材で仕切られており、ブラシ部32もそれぞれのスリップリング30に対応して設けられる。これらは各相について、いずれも同様の構成であるので、以下ではその中の1つに代表させて、スリップリング30とブラシ部32について説明する。
スリップリング30は、回転電機20の回転軸22に回転止めされて固定され、回転軸22と一体的に回転する金属製のリングである。スリップリング30は図示されていない引出配線によって、回転電機20の巻線ロータ24の対応する相のロータ巻線25のそれぞれに接続される。
かかるスリップリング30としては、例えば、純銅製の材料を加工してリング状としたものを用いることができる。なお、3つのリングを互いに電気的に絶縁して並列に整列配置するには、絶縁材料と一体成形する方法を用いることができる。
ブラシ部32は、ブラシ33と、押付機構40と、ブラシ筐体部36と、外部リング37とを含んで構成される。ブラシ筐体部36は、図2に示されるように円環状の部材で、回転電機20の筐体に固定して取り付けられ、外部リング37はブラシ筐体部36の外周に回転可能に設けられる。ブラシ筐体部36と外部リング37は、ブラシ33と押付機構40とを保持する機能を有する。また、ブラシ筐体部36と外部リング37の相対的な回転によって、ブラシ33のスリップリング30への押付力を変更する機能を有するが、その詳細については後述する。
ブラシ33は、回転軸22と共に回転するスリップリング30に押し付けられて電気的に接触する導電性の摺動部材である。ブラシ33は、上記のように、3つのスリップリング30のそれぞれに対応して3系統に電気的に分離して設けられる。図2では、1つの相のスリップリング30に対応して4つのブラシ33が設けられる様子が示されているが、勿論1つでもよく、2つ、あるいは4以上であってもよい。1つのスリップリング30に対して複数のブラシを周方向に沿って均等間隔で配置することで、スリップリング30に対する摺動負荷を均等化することができる。
複数のブラシ33は、適当な引出線を用いて各相ごとにまとめられ、図1で説明したように、整流器60、クランキング用インバータ68に接続される。かかるブラシ33としては、例えば銅入りのカーボンを材料として、金型等を用いて所定の形状に成形したものを用いることができる。
ブラシ33は、スリップリング30と摺動することで次第に摩耗するので、回転電機20の設計寿命を考慮して、その寿命の最後のときでも十分な高さ寸法となるように、初期高さ寸法が設定される。例えば、設計寿命の期間において、約15mm程度摩耗することが予測されるときは、スリップリング30に接触するときの回転軸22を中心として径方向に沿った寸法を高さ寸法として、初期高さ寸法を約20mm程度とすることができる。図2で示すブラシ33は、摩耗がまだ始まっていない状態の初期高さ寸法を有するものとして示されている。摩耗が進んでくると、この初期高さ寸法から高さが低くなってくるが、この摩耗が進んできた状態については、後述のように、ブラシ34として符号によって区別するものとする。
押付機構40は、上記のようにブラシ筐体部36と外部リングとに取り付けられ、スリップリング30に対するブラシ33の押付力を与える機構である。ブラシ33の押付力は、スリップリング30とブラシ33の材料、回転電機20の回転軸22の回転速度等によって適当に設定されるが、一例を上げると、全部のスリップリング30に対する全体の押付力の合計が約数10N程度となるように設定することができる。
押付機構40は、揺動部材42と、押付付勢体52と、外部リング37とを含んで構成されている。ここで、揺動部材42は、ブラシ筐体部36に取り付けられ、押付付勢体52は外部リング37に取り付けられる。
揺動部材42は、回転中心48周りに揺動してブラシ33に一方端が接触する細長いアーム状部材である。図2ではブラシ33に接触する作用点46が示されている。この作用点46において、揺動部材42がブラシ33に押し付けられて、ブラシ33のスリップリング30に対する押付力が供給される。回転中心48は、例えば、揺動部材42に回転穴を設け、ブラシ筐体部36に固定された軸に回転自在に回転穴を挿入する構成とすることができる。勿論、揺動部材42に軸を設け、ブラシ筐体部36に軸受穴を設けるものとしてもよい。
押付付勢体52は、適当な形状に形成された板バネであって、先端部57が揺動部材42に接触し、根元部58が外部リング37に固定されることで、揺動部材42に力を与える弾性付勢部材である。すなわち、揺動部材42の一方端の作用点46と回転中心48との間に設定された力点50に先端部57が接触し、力点50の位置に応じて揺動部材42の一方端の作用点46においてブラシ33に対する押付力を与える機能を有する。
外部リング37は、円環状部材であるブラシ筐体部36の外周に回転自在に設けられるリング部材である。外部リング37は、ハイブリッド駆動システム10の制御において、駆動時と非通電時との区別に応じて、ブラシ筐体部36に対し、回転位置が変更される。
ブラシ筐体部36には、ブラシ33と揺動部材42とが取り付けられるので、外部リング37をブラシ筐体部36に対し回転することで、ブラシ33の位置に対し、外部リング37はその相対位置が変更される。その変更は、駆動時と非通電時の区別の検出に応じて自動的に行うものとすることができる。外部リング37のブラシ筐体部36に対する相対的移動の駆動は、適当なアクチュエータによって行うものとできる。
上記のように、押付付勢体52の根元部58は外部リング37に固定されるので、外部リング37をブラシ筐体部36に対し回転することで、押付付勢体52をブラシ33および揺動部材42に対し相対的に移動させることができる。これによって、非通電時に、押付付勢体52をブラシ33および揺動部材42に対し相対的に移動させ、揺動部材42上の力点50の位置を変更して、変更前に比較してブラシ33に対する押付力をより小さく変更することができる。その意味で、外部リング37は、力点変更手段である。
上記のように、図2は、ブラシ33が摩耗していない初期高さを有している初期状態で、駆動時のときの様子を示しているが、図3は、駆動によって初期状態が経過して、摩耗したブラシ34となった経時状態のときの様子を示す図である。図4は、図2の初期高さの状態に対応して、非通電時のときの様子を示し、図5は、図3の摩耗が進展した経時状態に対応して、非通電時のときの様子を示す図である。
図3に示されるように、摩耗が進展した経時状態における駆動時では、外部リング37は駆動時に対応した回転位置のままであるので、図2に対し、力点50は変更されない。摩耗したブラシ34の高さに応じて、押付付勢体52の先端部57の位置が径方向に移動するだけである。
図4、図5では非通電時であるので、外部リング37がブラシ筐体部36に対し駆動時の状態から回転する。図4、図5の例では、この回転がθとして紙面上で反時計方向回転として示されている。したがって、押付付勢体52の先端部57が揺動部材42の回転中心48の側に移動し、力点51が揺動部材42上で変更される。回転中心48を支点とする揺動部材42における力についてのレバー比を考えると、(力点51−回転中心48)/(作用点46−回転中心48)の値が(力点50−回転中心48)/(作用点46−回転中心48)の値よりも小さくなる。これによって、力点51の変更前に比較して、ブラシ33に対する押付力をより小さく変更することができる。
図4と図5とは、初期高さのブラシ33と、摩耗したブラシ34の相違があるが、これらについて、力点51は同じである。摩耗したブラシ34の高さに応じて、押付付勢体52の先端部57の位置が径方向に移動するだけである。
図6、図7は、図2から図5におけるブラシ押付力の様子を説明するための模式図である。図6は、駆動時において、初期高さのブラシ33と、摩耗したブラシ34のそれぞれについての押付力の様子を示し、図7は、非通電時において、初期高さのブラシ33と、摩耗したブラシ34のそれぞれについての押付力の様子を示す。
図6の駆動時においては、初期高さのブラシ33と、摩耗したブラシ34のそれぞれに対応して、揺動部材43,44と、押付付勢体53,54の様子が示されている。いずれの場合でも、力点50は変更されない。ここでは、初期高さのブラシ33に揺動部材43が作用点46で接触し、その揺動部材43の力点50に押付付勢体53の先端部57が接触し、これによって、ブラシ33に押付力F1が印加される。同様に、摩耗したブラシ34に揺動部材44が作用点46で接触し、その揺動部材44の力点50に押付付勢体54の先端部57が接触し、これによって、ブラシ33に押付力F2が印加される。
揺動部材43,44において、作用点46と力点50の実際の位置はほとんど変化せず、回転中心48は一定である。相違するのは、ブラシ33,34の高さの相違に応じて
、力点50に接触する押付付勢体53,54の撓み量が異なることである。この撓み量の相違によって、押付勢体53,54がその先端部57において発生する付勢力が異なってくる。
初期高さのブラシ33と、摩耗したブラシ34について、スリップリング30に対する押付力F1,F2の変化を少なくするには、押付勢体53,54がその先端部57において発生する付勢力の相違を少なくするように、初期状態の押付付勢体54の形状等を工夫する。例えば、押付付勢体54の根元部58から先端部57までの距離を、ブラシ33の想定摩耗量に比して十分大きく設定する。また、押付付勢体54のバネ定数を想定摩耗量に対応する適当な値に設定する。
例えば、(力点50−回転中心48)/(作用点46−回転中心48)の値を1/2とし、押付付勢体53の先端部57に発生する付勢力を9.8Nと設定すると、初期高さのブラシ33のときのスリップリング30に対する押付力F1を4.9Nとできる。そして、想定摩耗量=5mmとすると、押付付勢体54の先端部57は2.5mm撓み量が少なくなる。このとき、スリップリング30に対する押付力F2を4.9Nから10%減の4.4Nに収めたいとすると、押付付勢体の先端部57に発生する付勢力を8.8Nとなるように、押付付勢体54の寸法、形状、バネ定数を設定すればよい。このようにして、初期高さのブラシ33と、摩耗したブラシ34について、スリップリング30に対する押付力F1,F2の変化を少なくすることができる。
図7の非通電時においては、初期高さのブラシ33と、摩耗したブラシ34のそれぞれに対応して、揺動部材43,44と、押付付勢体55,56の様子が示されている。揺動部材43,44は図6で説明した状態と同じであるが、押付付勢体55,56は、その先端部57が揺動部材43,44と接触する力点51が、図6の場合の力点50に比較して、より回転中心48の方に移動されている。この力点51の変更は、押付付勢体55,56の根元部58が外部リング37の回転移動に応じて行われる。
初期高さのブラシ33と、摩耗したブラシ34のいずれの場合でも、力点51は変更されない。ここでは、初期高さのブラシ33に揺動部材43が作用点46で接触し、その揺動部材43の力点51に押付付勢体53の先端部57が接触し、これによって、ブラシ33に押付力F3が印加される。同様に、摩耗したブラシ34に揺動部材44が作用点46で接触し、その揺動部材44の力点51に押付付勢体54の先端部57が接触し、これによって、ブラシ33に押付力F4が印加される。
図6で説明したのと同様に、揺動部材43,44において、作用点46と力点51の実際の位置はほとんど変化せず、回転中心48は一定である。相違するのは、ブラシ33,34の高さの相違に応じて、力点51に接触する押付付勢体55,56の撓み量が異なることである。この撓み量の相違によって、押付勢体53,54がその先端部57において発生する付勢力が異なり、押付力F3,F4が相違してくるが、図6で説明したように、その相違を小さく抑制することができる。
図7では、力点51が回転中心48の側に移動するので、(力点51−回転中心48)/(作用点46−回転中心48)の値を、(力点50−回転中心48)/(作用点46−回転中心48)の値より小さくできる。上記の例で、(力点50−回転中心48)/(作用点46−回転中心48)の値を1/2としたが、(力点51−回転中心48)/(作用点46−回転中心48)の値を1/10程度に小さくすることができる。
これによって、例えば、非通電時の押付力F3,F4を、図6で説明した駆動時の押付力F1,F2に比べ、1/5の大きさにすることができる。すなわち、上記の例で、駆動時の押付力F1を4.9N、F2を4.4Nとすれば、非通電時の押付力F3を0.98N、F4を0.88Nとできる。このように、外部リング37をブラシ筐体部36に対し移動することで、非通電時において、ブラシ33,34を小さな押付力の状態でスリップリング30に接触したままとできる。これによって、不必要なブラシ摩耗を抑制でき、また、ブラシ33,34とスリップリング30とを完全に離すことで生じ得る放電損傷、再接触の際の衝撃損傷等を防止することができる。
図8、図9は、板バネである押付付勢体の取付方向を対向させることで、バネ反力の回転方向成分を相殺する構成の例を説明する図である。図8は、駆動時の状態について、1つの図を分けて、初期高さのブラシ33の初期状態と、摩耗したブラシ34の経時状態とを示した図である。図9は、非通電時の状態について、図8と同様に、1つの図を分けて、初期高さのブラシ33の初期状態と、摩耗したブラシ34の経時状態とを示した図である。
これらの図に示されるように、2つのブラシを1組とし、各組に対応する2つの押付付勢体のそれぞれを回転軸の周方向に沿って向かい合わせて配置することで、2つの押付付勢体の周方向付勢力を相殺することができる。例えば、図8においては、押付付勢体80は、図2、図3で説明した押付付勢体52と、これと根元部58を共通にして、周方向に反対側に延びる別の押付付勢体82とが1組とされている。周方向、つまり回転方向に対し、相互に反対方向に延びる押付付勢体52と押付付勢体82とは、それぞれの根元部58が外部リング37に共通固定されるので、これらの付勢力の周方向成分は、互いに逆方向となる。これによって、外部リング37に対するバネ反力の周方向成分を相殺することができる。
図8と図9とは、揺動部材42上の力点の位置が相違するが、上記のバネ反力の周方向成分の相殺効果は同様に発揮される。
上記では、押付付勢体を板バネとして説明したが、これをコイルバネ等の他の弾性付勢手段に代えることもできる。図10から図13は、押付付勢体をコイルバネとしたときの構成の例を説明する図である。図10、図11は、揺動部材42を介してブラシ33,34と反対側に向かい合うようにコイルバネである押付付勢体84を配置した構成例である。図12、図13は、揺動部材に対してブラシ33,34と同じ側にコイルバネである押付付勢体92を配置した構成例である。これらにおいて、押付付勢体84,92は、それぞれ外部リング37に取り付けられる。
図8、図9と同様に、図10、図12においても、駆動時の状態について、1つの図を分けて、初期高さのブラシ33の初期状態と、摩耗したブラシ34の経時状態とが示されている。図11、図13も同様に、非通電時の状態について、1つの図を分けて、初期高さのブラシ33の初期状態と、摩耗したブラシ34の経時状態とが示されている。
図10の駆動時においては、揺動部材42を介してブラシ33,34と反対側に向かい合うようにコイルバネである押付付勢体84が配置されるので、力点50が揺動部材42の作用点46と一致している。もっとも、図6で説明したように、力点50と作用点46とを異なる位置として、(力点50−回転中心48)/(作用点46−回転中心48)の値を適当に設定するものとしてもよい。
これに対し、図11の非通電時においては、力点51が、揺動部材42の回転中心48の側に移動される。したがって、図7で説明したのと同様に、(力点51−回転中心48)/(作用点46−回転中心48)の値を適当に小さな値とすることで、非通電時におけるブラシ33,34のスリップリング30に対する押付力を駆動時の押付力に比較して小さな値とすることができる。
図12、図13は、揺動部材に対してブラシ33,34と同じ側にコイルバネである押付付勢体92を配置する場合の構成例を説明する図であるが、ここでは、揺動部材86として、図10、図11と同様の揺動部材42と、回転中心48を介して揺動部材42と反対側に延びる別の揺動部材88とが一体化したものが用いられる。そして、押付付勢体92は、この揺動部材88のブラシ33,34と同じ側に配置される。
図12に示される駆動時においては、押付付勢体92の力点90は揺動部材88上に設定される。ブラシ33,34に対する作用点46は揺動部材42上である。したがって、(力点90−回転中心48)/(回転中心48−作用点46)の値によって、ブラシ33,34のスリップリング30に対する押付力を定めることができる。そして、図6で説明したのと同様に、押付付勢体92のバネ定数等を適当に設定することで、初期高さのブラシ33の場合の押付力と摩耗したブラシ34の場合の押付力との差を小さくすることができる。
図13に示される非通電時においては、外部リング37をブラシ筐体部36に対し回転することで、力点91を回転中心48の側に移動させる。これによって、非通電時におけるブラシ33,34のスリップリング30に対する押付力を駆動時における押付力よりも小さくすることができる。すなわち、(力点91−回転中心48)/(回転中心48−作用点46)の値を、(力点90−回転中心48)/(回転中心48−作用点46)の値に比べ小さく設定することで、非通電時の押付力を駆動時における押付力よりも小さくすることができる。
上記の図2から図13の構成においては、ブラシに揺動部材を介して押付付勢体によって付勢力を与えている。そして、揺動部材上の押付付勢体の力点の位置を変更することで、ブラシのスリップリングに対する押付力を変更するものとして説明した。次に説明する構成は、付勢力の異なる2つの付勢手段を共にブラシに作用するように配置し、2つの付勢手段の間に配置された中間部材によって、2つの付勢手段の中のいずれか一方を剛体状態化させて、他の一方が主としてブラシの押付力を供給するものである。
図14は、2つの付勢手段と中間部材とを用いる構成において、スリップリング30とブラシ部132の様子を示す図である。なお、図14は、ブラシ33が初期高さを有する初期状態であって、ハイブリッド駆動システム10が駆動時のときの様子が示されている。摩耗したブラシ34、ハイブリッド駆動システム10が非通電時のときの様子については、後述の図15から図17において説明する。
ブラシ部132は、ブラシ33と、押付機構140と、ブラシ筐体部136とを含んで構成される。ブラシ筐体部136は、円環状の部材で、回転電機20の筐体に固定して取り付けられる。図14では、ブラシ筐体部136として、特に、付勢手段の取付部が示されている。
押付機構140は、第1付勢手段としてのバネA141と、第2付勢手段としてのバネB146と、バネA141とバネB146との間に設けられる中間部材150とを含んで構成される。
バネAは、大きな付勢力を発生する弾性付勢手段で、他方端がブラシ筐体部136の取付部に固定される固定端で、一方端は中間部材150の他方側の面に接続される。バネA141のバネ定数は、単独で発生できる付勢力が、ブラシ33のスリップリング30に対する駆動時における押付力となるように設定される。
バネBは、小さな付勢力を発生する弾性付勢手段で、一方端がブラシ33に接触し、他方端は中間部材150の一方側の面に接続される。バネB146のバネ定数は、単独で発生できる付勢力が、ブラシ33のスリップリング30に対する非通電時における押付力となるものとして設定される。非通電時における押付力は、例えば、駆動時における押付力の1/5程度とすることができる。もっとも、駆動時における押付力に対する比をこれ以外のものとして設定することもできる。
中間部材150は、バネA141とバネB146との間に配置され、自由状態と切替力印加状態とを取りえるレバー状の部材である。自由状態は、ハイブリッド駆動システム10が駆動時のとき、切替力印加状態は、ハイブリッド駆動システム10が非通電時のときにそれぞれ取られる。自由状態と切替力印加状態との間の切替は、ハイブリッド駆動システム10が駆動時か非通電時かを検出して、自動的に行うものとすることができる。切替力印加は、適当なアクチュエータ等を用いて行うものとすることができる。なお、図14の場合は、ハイブリッド駆動システム10が駆動時であるので、中間部材150は自由状態に設定される。
中間部材150は、切替力が印加される力印加部152と、回転中心154を介して力印加部152と反対側に延びてバネA141とバネB146の間に配置される作用部156とを含んで構成される。回転中心154は、例えば、中間部材150に回転穴を設け、ブラシ筐体部136に固定された軸に回転自在に回転穴を挿入する構成とすることができる。勿論、中間部材150に軸を設け、ブラシ筐体部136に軸受穴を設けるものとしてもよい。
上記のように、バネA141のバネ定数は、単独で発生できる付勢力が、ブラシ33のスリップリング30に対する駆動時における押付力となるように設定され、バネB146のバネ定数は、単独で発生できる付勢力が、ブラシ33のスリップリング30に対する非通電時における押付力となるものとして設定される。そして、非通電時における押付力は、例えば、駆動時における押付力の1/5程度とされるので、中間部材150が自由状態に設定されるときは、バネB146は、バネA141の大きな付勢力によってブラシ33側に押し付けられ、最小長さとなっている。
つまり、中間部材150が自由状態に設定されるときは、バネB146は、事実上、剛体状態化され、ブラシ33には、バネA141の付勢力がバネB146を介してそのまま伝達される。このように、ブラシ33には、主としてバネA141の付勢力が印加される。ここで、上記のように、バネA141の単独での付勢力は、ブラシ33のスリップリング30に対する駆動時における押付力となるように設定されている。このようにして、図14の場合には、押付機構140によって、ブラシ33からスリップリング30に対し、駆動時における押付力が印加されることになる。
図15は、駆動によって初期状態が経過して、摩耗したブラシ34となった経時状態のときの様子を示す図である。ここでは、駆動時のときの様子が示されているので、中間部材150は自由状態に設定されている。ここでは、ブラシ34が摩耗して初期高さから低くなっているので、ブラシ筐体部136の取付部とブラシ34の上面との間の距離が広がる。この場合でも、中間部材150が自由状態に設定されているので、バネB146は、バネA141の大きな付勢力によってブラシ33側に押し付けられ、最小長さとなっている。したがって、ブラシ筐体部136の取付部とブラシ34の上面との間の距離の広がりは、そのまま、全長が伸びたバネA142によって吸収されることになる。
この場合でも、バネB146は、事実上、剛体状態化されているので、ブラシ34には、バネA142の付勢力がそのまま印加される。バネA142は、図14で説明したバネA141よりも全長が長いので、バネA142の付勢力は、バネA141の付勢力よりも小さくなる。その差を小さくする工夫については後述する。
図16、図17は、非通電時における様子を説明する図である。図16は図14に対応し、初期高さを有するブラシ33の場合を説明する図であり、図17は図15に対応し、摩耗したブラシ34の場合を説明する図である。これらにおいては、いずれも中間部材150が切替力印加状態とされる。すなわち、これらにおいて、中間部材150の力印加部152において、切替力Fが印加される。
切替力Fの大きさは、中間部材150の作用部156においてバネA143に働く力が、図14で説明したバネA141の単独での付勢力に対して、十分に大きな値となるように設定される。すなわち、中間部材150に切替力Fが印加されると、作用部156においてバネA143は十分に圧縮されて、最小長さとなって剛体状態化される。バネA143が単独で発生しえる付勢力は、中間部材150の作用部156によって受け止められ、遮断されて、バネB147には影響を及ぼさない。
つまり、中間部材150が切替力印加状態に設定されるときは、バネA143は、事実上、剛体状態化され、ブラシ33には、主としてバネB147の付勢力がそのまま印加される。上記のように、バネB147の単独での付勢力は、ブラシ33のスリップリング30に対する非通電時における押付力となるように設定されている。このようにして、図16の場合には、ブラシ33からスリップリング30に対し、非通電時における押付力が印加されることになる。
図17は、駆動によって初期状態が経過して、摩耗したブラシ34となった経時状態のときの様子を示す図である。ここでは、非通電時のときの様子が示されているので、中間部材150は切替力印加状態に設定されている。ここでは、ブラシ34が摩耗して初期高さから低くなっているので、ブラシ筐体部136の取付部とブラシ34の上面との間の距離が広がる。この場合でも、中間部材150が切替力印加状態に設定されているので、バネA143は、中間部材150の作用部156によってブラシ筐体部136の取付部側に押し付けられ、最小長さとなっている。したがって、ブラシ筐体部136の取付部とブラシ34の上面との間の距離の広がりは、そのまま、全長が伸びたバネB148によって吸収されることになる。
この場合でも、バネA143は、事実上、剛体状態化されているので、ブラシ34には、バネB148の付勢力がそのまま印加される。バネB148は、図16で説明したバネB147よりも全長が長いので、バネB148の付勢力は、バネB147の付勢力よりも小さくなる。その差を小さくする工夫については後述する。
図18は、ブラシ33のスリップリング30に対する押付力発生の様子を説明する模式図である。ここでは、中間部材150について、力印加部152から回転中心154までの長さをL1とし、回転中心154から作用部156のバネA120、バネB122の接続箇所までの距離をL2としてある。そして、作用部156の上面側とブラシ筐体部136の取付部との間においてバネA120が発生する付勢力をFaとし、作用部156の下面側とブラシ33の接触面との間においてバネB122が発生する付勢力をFbとして示してある。
この状態において、バネA120とバネB122が接続される作用部156における力の釣り合いを考えると、Fa=Fb+F(L1/L2)となる。
ここで、バネB122の特性として、バネB122の圧縮ひずみ量とFbとの関係は、図19に示されるようになる。すなわち、バネB122が強制的に圧縮されて最小長さとなるときは剛体状態化されるので、バネB122には、バネA120の大きな押付力がそのまま現れる。この状態は、中間部材150が自由状態、すなわち切替力Fが非印加時のときである。バネB122が強制的に圧縮されないときは、バネB122のバネ定数に応じた圧縮ひずみとFbの関係になる。この状態は中間部材150が切替力印加状態、すなわち、切替力Fが印加時のときである。
つまり、中間部材150が自由状態で、切替力Fが非印加時のときは、F=0であるので、力の釣り合いから、Fa=Fbとなる。すなわち、バネB122には、バネA120の付勢力Faがそのまま伝達されて、ブラシ33にそのFaが印加されることになる。このとき、バネB122は最小長さとなって、大きな付勢力を伝達している。
中間部材150が切替力印加状態、すなわち、切替力Fが印加時には、Fb=Fa−F(L1/L2)となり、さらに、バネB122の付勢力FbがFaに比べ十分に小さい場合には、Faは近似的にF(L1/L2)となる。つまり、Faは、中間部材150の作用部156に発生する力F(L1/L2)によって受け止められバネB122に対し遮断される。このようにして、ブラシ33には、バネB122の小さな力Fbのみが印加されることになる。
図20と図21は、実際の場合に分けて上記の状態を詳細に説明する図である。図20は、ハイブリッド駆動システム10が駆動時で、中間部材150が自由状態に設定されている場合、図21はハイブリッド駆動システム10が非通電時で、中間部材150の力印加部152に切替力Fが印加されている場合をそれぞれ示す図である。これらの図において、初期高さを有するブラシ33と、摩耗したブラシ34について、それぞれ対応する状態が示されている。
図20は、駆動時であって、中間部材150が自由状態である場合である。この場合、中間部材150は回転中心154の周りに自由に回転できる。したがって、中間部材150の作用部156に働くバネA141の付勢力とバネB146の付勢力の大小に応じて、中間部材150は回転中心154の周りに回転することになる。上記のように、バネA141が単独で発生できる付勢力は、バネB146が単独で発生できる付勢力よりも大きく、例えば、5倍以上大きい。この場合には、中間部材150は、その作用部156がブラシ33側に移動するように回転する。
換言すれば、バネB146がバネA141によって圧縮され、最小長さまで短くなって剛体状態化する。このようにして、力印加部152に切替力Fが印加されずに自由状態であるときには、バネB146にはバネA141の付勢力Faが伝達され、主としてバネA141の付勢力がブラシ33に印加される。バネA141が単独で発生する付勢力は、駆動時における押付力に設定されるので、この場合、ブラシ33からスリップリング30に対し、駆動時における押付力が印加されることになる。
摩耗したブラシ34の場合でも、中間部材150が自由状態のときには、バネB146がバネA141によって圧縮され、最小長さまで短くなって剛体状態化する。摩耗によってブラシ34の高さが低くなった分だけ、ブラシ筐体部136の取付部とブラシ34との間の距離は広がるが、その広がった分は、全長が伸びたバネA142によって吸収される。したがって、バネA142とバネA141の全長の差だけ、バネA142の付勢力が小さくなり、その分、ブラシ34からスリップリング30に対する押付力が小さくなる。
この場合に、図6で説明したのと同様に、押付力の変化が予め定めた範囲に入るように、バネA141,142の自然長、バネ定数等を設定することができる。例えば、図6の例のように、ブラシ34が初期高さから5mm摩耗したときに、押付力の変化を10%程度とするように、バネA141,142の自然長、バネ定数等を設定することができる。
図21は、非通電時で、中間部材150の力印加部152に切替力Fが印加される場合である。このとき、作用部156のバネA143、バネB147の接続箇所においては、F(L1/L2)の力が発生する。ここで、F(L1/L2)の大きさは、バネA143が単独で発生する付勢力に比べ十分大きくなるように設定される。この場合には、切替力Fによって、中間部材150は、その作用部156がブラシ筐体部136の取付部側に移動するように、強制的に回転される。
換言すれば、バネA143がF(L1/L2)の力によって圧縮され、最小長さまで短くなって剛体状態化する。このようにして、力印加部152に切替力Fが印加されるときには、バネA143の付勢力が作用部156によって受け止められて遮断され、主としてバネB147の付勢力がブラシ33に印加される。バネB147が単独で発生する付勢力は、非通電時における押付力に設定されるので、この場合、ブラシ33からスリップリング30に対し、非通電時における押付力が印加されることになる。
摩耗したブラシ34の場合でも、中間部材150に切替力Fが印加されるときには、バネA143がF(L1/L2)の力によって圧縮され、最小長さまで短くなって剛体状態化する。摩耗によってブラシ34の高さが低くなった分だけ、ブラシ筐体部136の取付部とブラシ34との間の距離は広がるが、その広がった分は、全長が伸びたバネB148によって吸収される。したがって、バネB147とバネB148の全長の差だけ、バネB148の付勢力が小さくなり、その分、ブラシ34からスリップリング30に対する押付力が小さくなる。
この場合にも、図20で説明したのと同様に、押付力の変化が予め定めた範囲に入るように、バネB147,148の自然長、バネ定数等を設定することができる。すなわち、図20の場合と同様に、ブラシ34が初期高さから5mm摩耗したときに、押付力の変化を10%程度とするように、バネB147,148の自然長、バネ定数等を設定することができる。
図22から図25は、代替的な構成の例を説明する図である。図22は、バネA141を中間部材150の力印加部152の側に配置した構成を示す図である。この構成では、ブラシ33の上に2つのバネを直列的に積み上げる必要がなくなり、スペース的にコンパクトな構成とすることが可能となる。図23は、中間部材151を折り曲げた形状とする構成を示す図である。このように中間部材151の形状を工夫することで、バネの配置、力印加部153の位置等を調整することが可能となる。
図24は、バネA144を圧縮バネでなく引張バネとする構成を示す図である。このようにすることで、引張バネ特有の初期荷重を利用することが可能となり、自然長の短いバネを使用しても摩耗による押付力の減少をより少なくすることが可能となる。
図25は、付勢力の小さいバネB149が最小長さになる前に、付勢力の大きなバネA141の付勢力をブラシ33の側に伝達する構成を示す図である。ある程度バネB149が圧縮された状態で中間部材150を介してバネA141の付勢力が伝達されることにより、バネの選定の自由度を拡大することが可能となる。