JP2005168190A - 可変エアーギャップ式永久磁石モータ - Google Patents

可変エアーギャップ式永久磁石モータ Download PDF

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【課題】永久磁石量を肥大化させずに高トルクを実現でき低コストとすることができるとともに、磁性体を磁石へ押し付ける等の手段を用いずに磁石磁束を弱めることのできる可変エアーギャップ式永久磁石モータを提供する。
【解決手段】永久磁石2を備える円盤型のロータ1と、このロータ1に対向して配置された、コアにコイルを巻回した電機子コイル13から構成されたステータ3と、からなる永久磁石モータにおいて、ステータ3とロータ1との間のエアーギャップ長を可変にできる機構を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、永久磁石を備える円盤型のロータと、このロータに対向して配置された、コアにコイルを巻回した電機子コイルから構成されたステータと、からなる永久磁石モータに関するものである。
従来、永久磁石を備える円盤型のロータと、このロータに対向して配置された、コアにコイルを巻回した電機子コイルからなるステータと、からなる永久磁石式同期モータは種々の構成のものが知られている。このような永久磁石式同期モータにおいて、高トルクを実現しようとした場合、大きな磁束が必要であり、この時高回転域で電圧が肥大化してしまい高回転を実現できないという問題があった。
このような問題を解決するために、永久磁石の磁束を磁性体で短絡する永久磁石式モータが知られている(例えば、特許文献1)。このモータでは、円盤型の永久磁石埋込式ロータとコアにコイルを巻回した電機子コイルからなるステータとを有しており、ロータ側に埋め込まれた永久磁石のN極、S極間に可動できる磁性体を有している。磁石磁束を弱めるときは、磁性体を磁石へ押し付け漏れ磁束を増加させ、電機子コイルへ鎖交する磁束を低減させるものである。
特開平9−308200号公報
しかしながら、上述した従来のモータでは、ロータ側に可動部を設けてあるので、一般にロータのバランシングがとりにくくなる問題があった。また、電機子コイルによる磁束が短絡磁性体を通過してしまい、渦電流損失が大きくなる問題もあった。加えて、磁石磁束を短絡させた場合、無負荷磁束の歪率が悪化し、見掛けの磁束は大きく低下してしまう問題もあった。
本発明の目的は上述した問題点を解消して、永久磁石量を肥大化させずに高トルクを実現でき低コストとすることができるとともに、磁性体を磁石へ押し付ける等の手段を用いずに磁石磁束を弱めることのできる可変エアーギャップ式永久磁石モータを提供しようとするものである。
本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータは、永久磁石を備える円盤型のロータと、このロータに対向して配置された、コアにコイルを巻回した電機子コイルから構成されたステータと、からなる永久磁石モータにおいて、ステータとロータとの間のエアーギャップ長を可変にできる機構を備えることを特徴とするものである。
本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータにあっては、ステータとロータとの間のエアーギャップ長を可変にできる機構を備えることで、エアーギャップ長を回転中のある時点で必要な最短の長さに常に保つことができ、永久磁石量を肥大化させず高トルクを実現することができ、その結果低コスト化を達成できる。また、効率よく弱め界磁を実現することができる。
また、本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータの好適例では、エアーギャップ長を可変にできる機構を、ステータの位置をロータに対して可変にすることで構成することができる。このように構成することで、ステータ側を可動にするために、機械的な強度(回転強度)に関係なく本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータを実現することができる。
さらに、本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータの好適例では、ロータ回転数に応じてエアーギャップ長を設定し、ステータとロータとの間のエアーギャップ長が設定したエアーギャップ長になるように、ステータに設けた油圧ピストンに油圧源から油を供給/吸引することで、ステータの位置をロータに対して制御することができる。このように構成することで、ステータとロータとの間のエアーギャップ長をより好適に可変にすることが可能となる。
さらにまた、本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータの好適例では、モータフェール時に、エアーギャップが最も大きくなるよう制御することができる。このように構成することで、ロータ過回転などの状況が発生しても、エアーギャップ長を最長にすることで、種々の耐電圧を超過することなく、誘起電圧によるパワーデバイス等の機器の破損や致命的な故障の発生を防止することができる。
また、本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータの好適例では、ステータが、電機子コイルと外部機器との接続に使用する給電端子を備えているよう構成することができる。このように構成することで、ステータを可動にする場合、従来のまま電機子コイルからの配線を直接外へ取り出すとギャップストロークに応じて電機子コイルまたはコイル固定部が繰り返し変位をするため、機械的な寿命に悪影響を与える問題を、電機子コイルからの配線を外部へ取り出すための給電端子を設け、これへ変形吸収性を持たすことで解決することができる。
さらに、本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータの好適例では、ロータ回転数がN(rpm)の時の無負荷誘起電圧が電源側素子耐圧を超える場合、無負荷誘起電圧が素子耐圧以下になるように、エアーギャップ長を大きくするよう制御することができる。このように構成することで、モータ各運転点で、無負荷電圧を素子耐圧以下とすることが可能になり、モータの信頼性が向上する。
さらにまた、本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータの好適例では、素子耐圧に基づくエアーギャップ長の制御に加えて、モータ効率が最も高くなるエアーギャップ長を演算またはルックアップテーブルにより検索し制御することができる。このように構成することで、特に高回転域の鉄損を抑えるために、エアーギャップ長を広げて磁束を下げることで効率を向上することができる。これにより冷却に関わるコストを低減できる。
以下に、この発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータの一例の構成を示す図である。図1に示す例において、本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータは、円盤型のロータ1と、円盤型ロータ1に埋め込まれた永久磁石2と、円盤型ロータ1に対向して配置された円盤型ステータ3と、円盤型ステータ3においてコアにコイルを巻回して設けられた電機子コイル13と、モータを被うケース4と、ステータ3の前後ストローク時の反力を発生させる皿バネ5と、ステータ3に設けた電機子コイル13の配線を外部へ取り出すための給電端子6と、ストロークを制御する油圧ピストン7と、エアーギャップ長検出手段の位置センサー8と、ロータ位置検出手段のセンサー9と、モータコントローラ10と、油圧源11と、インバータ12とから構成されている。そして、ロータ1の表面とステータ3の表面との間隔がエアーギャップgとなる。
上述した構成の本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータでは、円盤型ロータ1の中心軸14をベアリング15−1、15−2を介してケース4に固定して設けることで、円盤型ロータ1はケース4内で回転可能に構成されている。また、円盤型ステータ3をケース4とケース4に設けたガイド16との間に設けるとともに、円盤型ステータ3の軸方向の両端を皿バネ5と油圧ピストン7で固定して設けることで、円盤型ステータ3はケース4内で軸方向に移動可能に構成されている。さらに、ステータ3に設けた電機子コイル13の給電端子17とケース4に設けた給電端子6との間を、変形吸収性を有する可とう性部材18で電気的に接続することで、ステータ3が軸方向に移動してもストロークに応じて可とう性部材18が変位でき、機械的な寿命に悪影響を与えることはないよう構成されている。
上述した構成の本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータでは、モータの任意の回転数及びトルクを実現するために、モータコントローラ10でエアーギャップ長を制御する信号を油圧源11へ送り、送られた信号に応じて油圧源11から油圧ピストン7に油を供給/吸引することで、皿バネ5の反力と相まって、ステータ3がロータ1に対してストロークする。同時に、現時点のエアーギャップ長を位置センサー8で検出し、現エアーギャップに適した電流目標値を演算し、演算結果に基づきインバータ12を制御し、ステータ3の電機子コイル13に所定の電流を通電する。以上の動作を一定の時間間隔で繰り返し実行することで、本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータの回転を制御している。
次に、本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータにおけるエアーギャップ長の制御の方法について説明する。
図2は本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータにおける回転数と無負荷誘起電圧との関係を示すグラフである。図2に示すように、ロータ回転数が高回転になるほど誘起電圧は高くなり、例えば、高回転状態で電流制御が不能になったとき、または、フェールが発生したときを考慮して、パワーデバイス等の素子耐圧以下で駆動する必要がある。このために、図2に示した回転数と無負荷誘起電圧との関係から、素子耐圧以下で駆動するために必要なロータ回転数とエアーギャップ長との関係を求め、求めたロータ回転数とエアーギャップ長との関係をモータコントローラ10に記憶し、実際の回転数からその時点で最適なエアーギャップ長を決める。これにより全ての状態で、パワーデバイスやコンデンサ等の素子の耐圧を超えることなく駆動することが可能となる。
図3は図2に示す回転数と無負荷誘起電圧との関係を考慮したエアーギャップ長の制御の一例を説明するための図である。図3に示す例において、モータコントローラ10でフェールを検出しないフェール信号0の場合は、実際のロータ回転数を測定し、測定したロータ回転数に基づき記憶してあるルックアップテーブルから、ここでは、ロータ回転数とエアーギャップ長との関係を示すグラフから、目標エアーギャップ長となるよう、油圧源11及びインバータ12を制御する。一方、モータコントローラ10でフェールを検出したフェール1の場合は、エアーギャップ長が最大となるよう、油圧源11を制御する。こにより、フェール時にも、電子機器を破損することが無くなる。
また、エアーギャップ長を大きくしていくと、ステータ3に鎖交する磁束が減少し鉄損を小さくできるというメリットがある。この事実から、エアーギャップ長を大きくして磁束を減少させ鉄損を小さくすることで、効率を向上させることができる。実際には、軸トルク推定値に応じてロータ回転数とエアーギャップ長との関係を予め求め、軸トルク推定値とロータ回転数とから最適エアーギャップ長を求め、求めた最適エアーギャップ長となるよう、油圧源11及びインバータ12を制御する。
図4は、図3に示す無負荷誘起電圧に基づくエアーギャップ長の制御に加えて、上述した最適エアーギャップ長の制御を行う場合の一例を説明するための図である。図4に示す例において、無負荷誘起電圧に基づき演算して求めた図3に示すエアーギャップ長と、モータ効率を最大に保つために求めた上述した最適エアーギャップ長とを比較し、どちらか大きい方を最終の目標エアーギャップ長として、油圧源11及びインバータ12を制御する。
本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータは、永久磁石を備える円盤型のロータと、このロータに対向して配置された、コアにコイルを巻回した電機子コイルから構成されたステータと、からなる永久磁石モータにおいて、永久磁石を肥大化させず高トルクを実現でき、また、効率よく弱め界磁を実現する用途に好適に使用することができる。
本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータの一例の構成を示す図である。 本発明の可変エアーギャップ式永久磁石モータにおける回転数と無負荷誘起電圧との関係を示すグラフである。 図2に示す回転数と無負荷誘起電圧との関係を考慮したエアーギャップ長の制御の一例を説明するための図である。 図3に示す無負荷誘起電圧に基づくエアーギャップ長の制御に加えて、上述した最適エアーギャップ長の制御を行う場合の一例を説明するための図である。
符号の説明
1 ロータ
2 永久磁石
3 ステータ
4 ケース
5 皿バネ
6、17 給電端子
7 油圧ピストン
8 位置センサー
9 センサー
10 モータコントローラ
11 油圧源
12 インバータ
13 電機子コイル
14 中心軸
15−1、15−1 ベアリング
16 ガイド
18 可とう性部材

Claims (7)

  1. 永久磁石を備える円盤型のロータと、このロータに対向して配置された、コアにコイルを巻回した電機子コイルから構成されたステータと、からなる永久磁石モータにおいて、ステータとロータとの間のエアーギャップ長を可変にできる機構を備えることを特徴とする可変エアーギャップ式永久磁石モータ。
  2. エアーギャップ長を可変にできる機構を、ステータの位置をロータに対して可変にすることで構成することを特徴とする請求項1記載の可変エアーギャップ式永久磁石モータ。
  3. ロータ回転数に応じてエアーギャップ長を設定し、ステータとロータとの間のエアーギャップ長が設定したエアーギャップ長になるように、ステータに設けた油圧ピストンに油圧源から油を供給/吸引することで、ステータの位置をロータに対して制御することを特徴とする請求項2記載の可変エアーギャップ式永久磁石モータ。
  4. モータフェール時に、エアーギャップが最も大きくなるよう制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の可変エアーギャップ式永久磁石モータ。
  5. ステータが、電機子コイルと外部機器との接続に使用する給電端子を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の可変エアーギャップ式永久磁石モータ。
  6. ロータ回転数がN(rpm)の時の無負荷誘起電圧が電源側素子耐圧を超える場合、無負荷誘起電圧が素子耐圧以下になるように、エアーギャップ長を大きくするよう制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の可変エアーギャップ式永久磁石モータ。
  7. 素子耐圧に基づくエアーギャップ長の制御に加えて、モータ効率が最も高くなるエアーギャップ長を演算またはルックアップテーブルにより検索し制御することを特徴とする請求項6記載の可変エアーギャップ式永久磁石モータ。
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