JP4525026B2 - 回転電機 - Google Patents
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Description
また、ロータが複数個で構成され、回転速度の変化に応じて複数個のロータのうち、少なくとも1個を他のロータの磁極に対して回転方向にずらして、ステータ磁極との対向面積を増減して、高速回転を可能とすることが示されている(例えば、特許文献3)。
さらに特許文献3に示されたものは、回転中にロータを相対的に回転移動させるものであり、高速回転中に物体を移動させることは、高度な技術を必要とするばかりでなく、回転バランスがとりにくく、振動や騒音発生の原因となるという問題点がある。
モータにおける主要な損失は、一次銅損と鉄損であり、それらを簡略に記載すると以下の式4のとおりである。
(1)可変速運転用インバータ装置などは、使用最大定格電圧が定められており、それを越えると故障発生の原因となる。このため、回転電機の速度(回転数)上限が前記最大電圧によって規定される。
(2)回転電機の最高温度上昇限度は、コイル絶縁などによって制限されるものであり、それを越えると絶縁不良の原因となる。このため、速度(回転数)の上限が前記損失によって規定される。
(3)回転速度範囲を広く設定しようとすると、最低速度の電流(最大電流)と、最高速度の電圧(最大電圧)を定格とするモータ駆動電源を必要とする。これは一定速度で運転されるモータと比較すると、電源が大きくなることがわかる。
以下、この発明の実施の形態1を図に基づいて説明する。
図2において、回転電機100はシャフト5に固定されたロータ3に対向して、軸方向に2分割された第1のステータ11と第2のステータ12を備えている。この第1、第2のステータ11、12は図3に示すように、それぞれコイル4dが設けられており、軸方向外部にコイルエンド4aが存在している。
このステータ11、12の側面図を図3(a)(b)に示す。図3において、ステータ11、12はそれぞれ外周側ステータ11a、12aと内周側ステータ11b、12bに分割されていて、内周側ステータ11b、12bは外周側ステータ11a、12aに対して円周方向に移動可能な図示省略の機構を備えた構成としている。図3(b)は図3(a)に相対して、内周側ステータ12bが外周側ステータ12aに対して円周方向に移動した図を示している。
また、前記内周側ステータ11b、12bにはコイル4dがそれぞれ設けられている。なお、内周側ステータ11b、12bは、図3に示すように複数のティース(歯)11e、12eより構成され、図示省略した連結環により前記複数のティース11e、12eが一体となって、外周側ステータ11a、12aに対して円周方向に移動可能である。なお、外周側ステータ11a、12aはヨークに相当するものであり、前記内周側ステータ11b、12bのティースと移動可能にかつ密に接する凸部11c、12cと、凹部11d、12dが設けられている。
このように、内周側ステータ11b、12bが円周方向に移動する構成を有しているので、第1のステータ11と第2のステータ12とでは後述する位相角度のα、βを互いに変化させることができる。前記ステータ11、12コイル4dは、直列結線かまたは並列結線される。
以下に回転電機100をモータを例として述べる。
ステータ11に生じる電圧をV1とすると、V1は以下の式5のとおり表される。
このようにこの実施の形態1によると、最大電圧を調整可能としているので、回転電機の速度上限の制限が緩和され、広い速度範囲に使用可能な回転電機となる。
回転速度によらず電圧が一定である方がモータとしては望ましい。通常のモータでは、運転速度範囲の低速側では大きな電流値を必要となるが、回転速度によらず電圧を一定に保つことができれば、低速での電流も少なくてすむ。回転速度によらず電圧を一定に保つには、ステータ11、12の位相差である相対角度θを以下に示す式9のとおりにコントロールすればよい。
複数個のステータを有する回転電機100を構成する場合、各ステータに設けられたコイル4dのコイルエンド4aが、ステータ11、12間に介在して回転電機100の小型化の妨げとなる。コイルエンド4aの軸方向長さはできる限り短い方が望ましい。そのために、コイル4dはトロイダル状または集中巻きの巻線を施したステータ11、12を用いることによってコイルエンド4aの軸方向長さを短くし、回転電機の小型化を達成できる。
また、ステータ11、12は互いに同じ軸長であってもよく、異なった軸長であってもよい。なおステータは、軸方向に2分割の例を示したが2分割に限らず、2分割以上の複数個であってもよいことはいうまでもない。
前述した実施の形態1の軸方向および、外、内周側に複数個に分割されたステータを備えた回転電機において、ロータに永久磁石を備えた永久磁石式モータに適用してもよい。
通常の永久磁石式モータの場合に、ステータに通電をしなくてもロータの永久磁石によって回転するだけで誘起電圧が発生する。この実施の形態1のステータ構成を適用することによって、前記誘起電圧を低減することが可能となる。このことにより、電源停止時に何らかの原因により永久磁石モータが回転して誘起電圧を発生したとしても、低減した誘起電圧であるので、電源の故障発生を容易に防止することが可能となる。
前述した実施の形態1の回転電機では、軸方向および外、内周側に分割されたステータを備えたものであったが、この実施の形態5による回転電機のステータは、軸方向に分割されてなく、外周側と内周側とに分割された外周側ステータ11aと、内周側ステータ11bとを備えたものである。この場合ロータに永久磁石を備えた永久磁石式モータに適用してもよい。この実施の形態5のステータの側面図は、図3(a)(b)に示したものと同様であるが、実施の形態1に述べた図2に相当する概念図は、この実施の形態5では図示省略している。
ここでこの実施の形態5を採用する理由を述べる。
最大電圧Vmは先に記したようにn・Φm・ωで示される。ここで磁束量Φは磁気抵抗Pmに反比例する。Pmは1/μ・l/Sで示され、よって磁束量Φはμに比例、磁気回路長lに反比例、磁気回路断面積Sに比例する。前記した図3(a)の状態から図3(b)に示すように、内周側ステータ11bが外周側ステータ11aに対して円周方向に移動した場合、前記μが小さくなりΦが少なくなる。
また、電源停止時に外部から予期しない何らかの原因によって駆動(回転)させられた場合でも、誘起電圧が発生せず、その誘起電圧が原因となる関連機器の損傷を防止することができる。
モータの可変速運転を実施する場合、インバータなどの周波数可変電源装置を用いる。この周波数可変電源装置では、モータの回路定数を用いて最適な運転を実施するが、例えば、本実施の形態1に示したような複数個のステータを相対的に回転させることで位相角を変化させると、モータの最適な回路定数が変化する。そのためモータの回路定数を固定して運転すると最適な運転はできない。そこで、複数個のステータの相対角度に応じてモータ定数を変化させることにより、周波数可変電源装置を用いた最適な運転が可能となる。
実施の形態4にて記述したように、ロータに永久磁石を備えた永久磁石式回転電機の場合、ロータが回転するだけで誘起電圧が発生する。そこで電源停止時には、2個に分割されたステータ11、12の位相角の差α−β=(90+180×n)度とした状態で停止させることによって、電圧が発生しない状態となる。このような状態に停止された本実施の形態6による回転電機は、外部から予期しない何らかの原因によって駆動(回転)させられた場合でも、誘起電圧が発生せず、その誘起電圧が原因となる関連機器の損傷を防止することができる。
11a 外周側ステータ、11b 内周側ステータ、12 第2のステータ、
12a 外周側ステータ、12b 内周側ステータ。
Claims (2)
- ステータと、永久磁石式のロータとを備えた回転電機であって、前記ステータは前記ロータと対向する軸方向に複数個に分割され、かつ前記分割されたそれぞれのステータが内周側と外周側に分割されているとともに、前記内周側のステータが前記外周側のステータに対して円周方向に移動可能で、さらに該内周側ステータのそれぞれに設けられたコイルが直列接続されており、
前記回転電機の運転中に、その回転速度に応じて前記複数個の内周側ステータの相対角度を変化させることによって、前記複数個のステータのコイル端子間には、前記相対角度に対応した電圧を生じさせるとともに、前記回転速度が大きくなると前記相対角度も大きくなるよう変化させて、前記回転電機の端子間電圧を調整可能とし、
さらに、前記回転電機には駆動用インバータ装置が備えられているとともに、前記駆動用インバータ装置が用いるモータの回路定数が、前記回転電機の回転速度に応じて変化するとともに、前記駆動用インバータ装置が停止時に、前記回転電機に電圧が発生しないよう前記ステータの前記相対角度が、所定の角度となるようにして前記回転電機を停止させることを特徴とする回転電機。 - ステータと、永久磁石式のロータとを備えた回転電機であって、前記ステータは内周側ステータと外周側ステータとに分割されており、前記内周側ステータには、複数のティースおよびコイルが設けられているとともに、前記外周側ステータに対して円周方向に移動可能とする構成が設けられており、
前記外周側ステータには、前記円周側ステータのティースと密に接する凸部と、前記内周側ステータが円周方向に移動した際に、該内周側ステータのティースと離隔する凹部が設けられており、
前記回転電機の運転中にその回転速度に応じて、前記内周側ステータを前記外周側ステータに対して円周方向に移動させることにより、前記回転電機の端子間電圧を調整可能とし、
さらに、前記回転電機には駆動用インバータ装置が備えられているとともに、前記駆動用インバータ装置が用いるモータの回路定数が、前記回転電機の回転速度に応じて変化するとともに、前記駆動用インバータ装置が停止時に、前記回転電機に電圧が発生しないよう前記内周側ステータと外周側ステータとの相対角度が、所定の角度となるようにして前記回転電機を停止させることを特徴とする回転電機。
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