JP5560100B2 - シングル記録方式に用いる磁気ヘッドおよび磁気ディスクドライブ - Google Patents

シングル記録方式に用いる磁気ヘッドおよび磁気ディスクドライブ Download PDF

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Description

本発明は、磁気ヘッドおよび磁気ディスクドライブに関し、特に、シングル記録方式に用いる磁気ヘッドおよび磁気ディスクドライブに関するものである。
ハードディスク装置に代表される磁気記録装置の記憶容量を増加させるために、記録媒体に記録される情報の記録密度を向上させることが必須である。記録密度を高めるためには、媒体に記録された記録トラック幅を狭くしてトラック密度を増加させる、あるいは記録トラックのビット長さを短くする、すなわち線記録密度を増加させるというアプローチがなされる。しかしながら、トラック密度を増加させる、すなわち記録トラック幅を狭くするために記録ヘッドの磁極幅を狭くすると、一般的には記録ヘッドから生じる記録磁界の強度が低下してしまい、記録媒体への十分な書き込み能力が得られなくなってしまう。
この問題を解決するひとつの手段として、シングル記録方式(Shingled recording)と呼ばれる方式があげられる。シングル記録方式では、あるトラックを記録する際、既に記録されているその隣接記録パターンの片側を上書きしながら記録する。順次、記録パターンの常に同じ側を上書きしながら記録トラックを形成していく。その結果、シングル記録方式における実効的な記録トラック幅は、記録ヘッドが形成する記録パターンの幅から、隣接トラックによって上書きされ消去された部分の幅を差し引いた値になる。したがって、シングル記録方式では記録ヘッドの磁極幅は記録トラック幅に合わせる必要がなく、実効的な記録トラック幅に比べて広い磁極幅の記録ヘッドを用いることができる。そのため、実効記録トラック幅を狭くしても、十分な書き込み能力を得ることができる。結果、高いトラック密度を実現でき、高い面記録密度を得ることができる。
ところで、ハードディスク装置に代表される磁気記録装置では、ヘッドと記録媒体の磨耗を防ぐために、ヘッドと記録媒体の間には空隙が設けられる。記録ヘッドの磁極から発生する記録磁界は、記録媒体と記録ヘッドの間に空隙がある限り空間的に広がってしまうために、記録トラックのダウントラック方向(記録トラックの長手方向 = ヘッド進行方向)のビット間の転移は、記録ヘッドの形状に沿って一直線に形成されず、必ず湾曲してしまう。これは転移湾曲と呼ばれている。
シングル記録方式では、一旦記録された記録パターンの片側端部を隣接トラックで上書きして実効的な記録トラックを形成する、つまり上書きされなかった部分を残す記録方式であるから、従来の記録パターンを上書きしない方式に比べると、実効記録トラック幅に占める湾曲量が大きくなってしまう。また、常に転移湾曲の形状は非対称になる。
一般的な再生ヘッドは、記録媒体からの信号磁界を感知するセンサと、センサを挟むように形成される一対の磁気シールドから構成される。再生ヘッドにおいて、シールド間のギャップは、記録トラックのクロストラック方向(トラックを横切る方向 = ダウントラック方向に垂直な方向)に平行になるように形成されている。
このような再生ヘッドでシングル記録された記録トラックを再生すると、シールド間ギャップの形状が、転移湾曲と片側が上書きされることによる、ビット間転移が非対称に曲がったビット形状とずれるため、ダウントラック方向の信号分解能および信号対ノイズ比が低下して、ビット誤り率が増加してしまうという問題点がある。
特許文献1および特許文献2に開示されている、記録ヘッドのトレーリングエッジを凹ませる方法は湾曲低減に有効ではあるが、記録ヘッドの作製プロセスにおいて、微細な記録ヘッドに局所的な凹みを形成し、その深さを制御するのは実現困難である。また、トレーリングエッジの形状の工夫によって転移湾曲を低減できたとしても、記録ヘッドと媒体の記録層の間に空隙がある限り記録ヘッドから発生した磁界は空間的に広がりをもつために、原理的に転移湾曲がなくなることはなく、転移湾曲によるビット誤り率の増加の問題は残る。
特開 2002-279606号公報 特開 2005-293693号公報
本発明は、シングル記録方式において、非対称なビット間転移湾曲によって、信号分解能が劣化ならびに信号対ノイズ比が低下することを防ぎ、低いビット誤り率を実現できる磁気ヘッドおよび磁気ディスクドライブを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では以下の手段を用いる。
本発明の磁気ヘッドは、記録パターンの片側を上書きしながら記録トラックを形成していくシングル記録方式に用いる磁気ヘッドにおいて、前記磁気ヘッドは記録ヘッドと再生ヘッドにより構成されており、前記再生ヘッドは、一対の磁気シールドと、該一対の磁気シールド間に挟まれたセンサ部を有し、前記磁気シールド間のギャップの長手方向が、記録媒体上に記録された記録パターンの実効記録トラックにおけるビット間転移の湾曲形状に沿って、クロストラック方向から傾斜して形成されていることを特徴とする。
このとき、センサ部の膜面方向は、磁気シールド間のギャップと同方向に傾斜して形成されていても良いし、クロストラック方向に形成されていても良い。
また、磁気シールド間のギャップは湾曲させて形成されても良いが、直線的に傾斜させて形成されても良い。
磁気シールド間のギャップが実効記録トラックにおけるビット間転移の湾曲形状に近づくことによって、磁気シールド間のギャップがクロストラック方向に平行な従来の再生ヘッドに比べて、シングル記録における非対称な転移湾曲による信号分解能の劣化やSN比の低下を抑制することができ、ビット誤り率を低下させることができる。
また、本発明の磁気ヘッドは、記録パターンの片側を上書きしながら記録トラックを形成していくシングル記録方式に用いる磁気ヘッドにおいて、前記磁気ヘッドは記録ヘッドと再生ヘッドにより構成されており、前記再生ヘッドは、ダウントラック方向に並べて配置された、媒体からの信号磁界を感知する2つの磁界感知層と、それらに挟まれた差動中間層からなる差動型センサであり、前記2つの磁界感知層と差動中間層の長手方向が、記録パターンの実効記録トラックにおけるビット間転移の湾曲形状に沿って、クロストラック方向から傾斜して形成されていることを特徴とする。
本発明の磁気ディスクドライブは、記録パターンの片側を上書きしながら記録トラックを形成していくシングル記録方式に用いる磁気ディスクドライブにおいて、記録ヘッドと再生ヘッドにより構成される磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを搭載するヘッドスライダーと、前記磁気ヘッドを傾斜させるアクチュエーターを備えており、再生時において、前記アクチュエーターを制御することにより、前記再生ヘッドのシールド間のギャップの長手方向が、記録パターンの実効記録トラックにおけるビット間転移の湾曲形状に沿って、クロストラック方向から傾斜するように構成したことを特徴とする。
本発明の磁気ディスクドライブにおいて、前記磁気ヘッドを傾斜させるアクチュエーターは、圧電素子からなり、前記磁気ヘッドは、前記圧電素子を介して、ヘッドスライダーに取り付けられており、再生時において、前記圧電素子に電圧を印加して寸法を変化させることにより、前記再生ヘッドのシールド間のギャップの長手方向が、クロストラック方向から傾斜するように構成してもよい。
また、本発明の磁気ディスクドライブにおいて、前記磁気ヘッドを傾斜させるアクチュエーターは、圧電素子からなり、前記ヘッドスライダーはヘッドサスペンションに搭載されており、前記ヘッドサスペンションは、前記圧電素子を介して、取り付けられており、再生時において、前記圧電素子に電圧を印加して寸法を変化させることにより、前記再生ヘッドのシールド間のギャップの長手方向が、クロストラック方向から傾斜するように構成してもよい。
この場合も、転移湾曲による信号分解能の低減やSN比の低減を抑制することができビット誤り率を低下させることができる。
本発明において、磁気シールド間のギャップの傾斜角度θ、或いは2つの磁界感知層と差動中間層の傾斜角度θが、記録パターンのビット間の転移湾曲の平均角度αの0倍より大きく2.5倍以下の範囲になるようにすることによって、従来の磁気シールドギャップがクロストラック方向に平行な構造に比べて、低いビット誤り率を実現することができる。
また、特にθを転移湾曲の平均角度αの1.0倍から1.6倍とするときに、従来構造に比べて、最もビット誤り率の低減の効果が高くなる。
本発明によると、シングル記録方式において、非対称なビット間の転移湾曲による、信号分解能の劣化ならびに信号対ノイズ比の低下を防ぎ、低いビット誤り率を実現することができる。
本発明の実施例1の再生ヘッドの構成を示す図である。 シングル記録方式による記録パターンを示す図である。 本発明の実施例1の特性例である。 転移湾曲の平均角度の説明図である。 本発明の実施例1の特性例である。 本発明の実施例1の特性例である。 本発明の実施例1の特性例である。 本発明の実施例1の特性例である。 本発明の実施例2の再生ヘッドの構成を示す図である。 本発明の実施例3の再生ヘッドの構成を示す図である。 本発明の実施例4の磁気ドライブを構成するヘッドスライダーの構成を示す図である。 本発明の実施例4の磁気ドライブを構成する再生ヘッドの構成を示す図である。 本発明の実施例5の磁気ドライブを構成するヘッドサスペンションの構成を示す図である。 本発明が適用される磁気記録再生装置の構成例を示す図である。
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ、説明する。
先ず、シングル記録方式により記録された記録トラックの模式図を図2に示す。なお、単一記録パターンにおける転移湾曲Cの大きさを図2に示すように、上書き前の記録パターンにおいて、記録パターン中央と端部における記録ダウントラック方向の転移位置の差分として定義する。片側が上書きされる前の単一記録パターンの記録トラック幅MWWに対して、片側が上書きされた後の記録幅を実効的な記録トラック幅MWWsと呼ぶことにする。図2では、記録パターンの左側を順次上書きしているが、右側を順次上書きするものでもよい。図2に示すようにシングル記録方式により、片側が上書きされるために媒体上における実効的な記録トラックでは、ダウントラック方向のビット間の転移はトラックの片側においてビット間の転移湾曲が大きくなる。
本発明の再生ヘッドの第一の構成例の媒体対向面からみた形状の模式図を、図1に示す、本発明の再生ヘッドは、記録媒体からの信号磁界を感知するセンサ1と、それを挟み込む一対の磁気シールド(下部磁気シールド2、上部磁気シールド3)から構成される。磁気シールドのギャップは、実効的な記録パターンの転移湾曲にあわせて、クロストラック方向から角度θほど傾斜させて形成する。上部磁気シールド2および下部磁気シールド3は、透磁率の高いNiFe合金に代表される軟磁性材料で形成される。
センサ1は、反強磁性層4 / 磁化固定層5 / 非磁性中間層6 / 磁化自由層7 / 保護層8 からなる。
磁化固定層5 および 磁化自由層7 は、CoFe合金やNiFe合金の積層膜から形成しているが、CoFeB合金やCoMnGeホイスラー合金、CoMnSiホイスラー合金、CoCrAlホイスラー合金、CoFeAl合金の単層膜、あるいはこれらを組み合わせた積層膜を用いてもよい。
非磁性中間層6は、トンネル磁気抵抗効果発生させるためにMgOを用いたが、アルミナ、チタン酸化物を用いてもよい。あるいは巨大磁気抵抗効果を発生させるために、CuやAu、Ag、あるいはこれらの合金を用いてもよい。
また、磁化固定層5は、1層の磁性層からなる構成でもよいし、磁化を反平行に結合させる結合層を挟んだ複数の磁性層からなる構成でも、本発明の主旨に反するものではない。
ここで反強磁性層4は、磁化固定層5の磁化を実質的に固定するための交換結合バイアスを印加するものであって、直接磁化固定層に密着して形成するか、あるいは間接的に磁気的結合を経て効果をもたらしてもよい。あるいは反強磁性層の替わりに他のバイアス印加手段、例えば、硬磁性膜の残留磁化を用いたり、電流バイアスを用いたりしてもよい。
センサのクロストラック方向の両側には、バイアス層9が設けられている。バイアス層9と磁化自由層7との間には、非磁性体10を形成する。バイアス層9から印加される磁場によって磁化自由層7は磁区制御され、感知すべき磁場に対して所望の利用率で動作する。
記録媒体からの信号磁界の向きによって磁化自由層7の磁化方向が変化して磁化固定層5の磁化との相対角度が変化すると、トンネル磁気抵抗効果によりセンサ1の抵抗が変化することによって、記録媒体に記録されている情報を再生することができる。
実施例1の形態では、磁化自由層の膜面が磁気シールドのギャップに略平行になるようにセンサが形成されており、磁気シールドのギャップおよび磁化自由層の膜面がともに、実効的な記録パターンの転移湾曲に合わせて、クロストラック方向から傾斜されている。なお、磁気シールドギャップを傾斜させる範囲は、記録トラックの再生に関与する範囲だけ傾ければよく、図に示すようにそれを越える範囲は、クロストラック方向に平行とされている。
図3に、再生ヘッドの磁気シールドギャップの傾斜角度θに対する、ビット誤り率の向上効果の実験結果の一例を示す。ビット誤り率は、磁気ディスクドライブが実際に使用される状態を模して、ランダムなビット長が入り混じった信号を再生したときに、再生誤りがあったビット数を再生された全ビットで割った値で定義される。
図3の縦軸は、ある磁気シールドギャップの傾斜角度θにおけるビット誤り率と、傾斜角度0度(=従来の構造)におけるビット誤り率の差分を対数表示で示したものである。負に大きいほどビット誤り率は低く、性能が良いことを示している。例えば、-0.1というのは10-0.1だけビット誤り率が低いことを意味している。ここでは、一例として、単一の記録パターンの幅MWWが100 nmで、その記録パターンのうち、端部の25 nmを隣接トラックで上書きし、実効的な記録トラック幅MWWsが75nmの場合の結果を示している。また、単一の記録パターンの転移湾曲の大きさCは10 nmである。また、実効記録トラックの転移湾曲の平均角度αは10度である。
磁気シールドの傾斜角度θを0度(従来構造)から、転移湾曲に沿った方向に傾斜させていくと、ビット誤り率は低下していき、およそ12度で極小値をとる。そこからさらに傾斜させると誤り率は次第に劣化し、22度以上になると、従来構造(傾斜角度0度)よりも劣化する。
このように、シングル記録方式において再生ヘッドの磁気シールドを傾斜させる、すなわち磁気シールド間のギャップの角度を媒体上の記録パターンに近づけることによって、ビット誤り率を低減することが可能である。ただし、図3に示すように、傾斜角度0度の従来構造に比べてビット誤り率が低下する傾斜角度の範囲θgainが存在し、ある角度以上傾斜させるとビット誤り率は増加してしまう。
本発明では、実効記録トラックの転移湾曲の平均角度αを次のように定義する。
図4に示すように、記録媒体面内において、ダウントラック方向(記録トラックの長手方向 = ヘッド進行方向)をy、クロストラック方向(トラックを横切る方向 = ダウントラック方向に垂直な方向)をxとする。ダウントラック方向のビットの転移位置は湾曲している。
記録トラック幅をクロストラック方向に十分に細かくn等分し、そのときのx方向の位置をそれぞれ、x1、x2、・・・、xi、・・・、xnとし、各xに対応するy方向の位置をy1、y2、・・・、yi、・・・ynとする。あるクロストラック位置xiにおける転移位置yiにおいて転移湾曲に沿った接線を引き、その接線とy = 0の直線とのなす角を角度αiとする。記録トラック幅の端から端まで(i = 1からnまで) 角度αiを算出して、それらを平均したものを転移湾曲の平均角度αとする。
通常の記録方式では一旦記録したトラックの片側のみを上書きするといったことがないために、転移湾曲は左右対称であり、αは略0度となるが、シングル記録方式では一旦記録した記録パターンの片側端部は上書きされて消えるため、残された実効的な記録トラックでは左右どちらかの湾曲の方が大きくなり、αは有限の値となる。
そして、同一の記録パターンに対して、上書きする幅を増やしていくと、重ね書き後の実効的な記録トラックにおける転移湾曲の平均角度αは大きくなっていく。また、同じ単一記録パターン幅MWW、同じ上書き幅の場合、単一記録パターンの転移湾曲Cが大きいほど重ね書き後の実効的な記録トラックにおける転移湾曲の平均角度αは大きくなる。
実際に、実効記録トラックの転移湾曲の平均角度αを求める方法の代表的な例を挙げると、磁気力顕微鏡によって記録パターンを直接観察する方法や、再生ヘッドをクロストラック方向にオフセットさせながら信号波形を複数取得し、それらを合成し、再生ヘッドの感度分布を逆畳み込みすることによって記録パターンを観察する方法等がある。
また、同様にシールドギャップの傾斜の平均角度θをy = 0の直線となす角であると定義する。
図5に、従来構造(傾斜角度0度)に比べてビット誤り率の低減に有効な傾斜角度の範囲θgain(図3における、ビット誤り率の差分が0以下となる、磁気シールドギャップの傾斜角度θの範囲)と、実効記録トラックにおけるビット間の転移湾曲の平均角度αの関係を示す。
ここでは、単一の記録パターンの幅MWWを50 〜 150 nm、その記録パターンに対して上書きする幅を単一の記録パターンの10 〜 80%(すなわち実効的な記録トラック幅MWWsをMWWの20〜90%)に、単一記録パターンの転移湾曲の大きさCを単一記録パターンの幅MWWの5 〜 20%に、それぞれ様々に変化させた条件において、図3に示すようなビット誤り率が低下する傾斜角度の範囲θgainを求め、その最大角度を縦軸としている。
ここで重要なことは、図3が示すように、従来構造に比較してビット誤り率の低減に有効な磁気シールドギャップの傾斜角度の範囲θgainは、重ね書き後の実効的な記録トラックの転移湾曲の平均角度αだけで決まり、上書き前の単一記録トラックの記録幅MWWや単一記録トラックの転移湾曲の大きさC、上書きする幅、実効的な記録トラック幅MWWsに依存しないということである。なお、従来構造に比較してビット誤り率の低減に有効な磁気シールドギャップの傾斜角度の範囲θgainは、実効記録トラックの転移湾曲の平均角度αの略2.5倍である。つまり、磁気シールドギャップのクロストラック方向からの傾斜角度を0度より大きく2.5×α度以下の範囲にすれば、従来構造の再生ヘッドを用いる場合に比べて、低いビット誤り率を達成することができる。
図6に、ビット誤り率が最も低くなる磁気シールドギャップの傾斜角度θと転移湾曲の平均角度αの関係を示す。ここでは、単一の記録パターンの幅MWWを50 〜 150 nm、その記録パターンに対して上書きする幅を単一の記録パターンの10 〜 80%、単一記録パターンの転移湾曲の大きさCを単一記録パターンの幅MWWの5 〜 20%に、それぞれ様々に変化させた条件において、図3に示すようなビット誤り率と磁気シールドギャップの角度依存性から、ビット誤り率が最も低下する傾斜角度θmaxを求め、その傾斜角度を縦軸としている。
図6が示すように、ビット誤り率の低減に最も効果のある磁気シールドギャップの傾斜角度θmaxは、上書き前の単一記録トラックの記録幅MWWや単一記録パターンの転移湾曲の大きさC、上書きする幅、実効記録トラック幅MWWsに依存せず、実効的な記録トラックの転移湾曲の平均角度αだけで決まり、1.0×αから1.6×α度の範囲である。
実効的な記録トラックの転移湾曲の平均角度αと磁気シールドギャップの傾斜角度θが一致した場合、すなわちθ=αとなる場合が最もビット誤り率の低減効果がありそうではあるが、実際には磁気シールドの傾斜角度は、αの1.0〜1.6倍まで傾けた方がビット誤り率を低減できる。
実効的な記録トラックの転移湾曲の平均角度αとシールドギャップの傾斜の角度θが一致したところで最も効果が高くならない理由は次の通りである。
ダウントラック方向の記録密度(線記録密度)が高い場合、すなわちトラックの長手方向にビット転移の数が多い場合には、センサが感知するノイズのうち、ビットの転移位置が微小に揺らぐことによって生じるノイズが占める割合が大きい。図7に高線記録密度におけるSN比の磁気シールドギャップの傾斜角度に対する依存性を示す。この場合は、実効的な記録トラックの転移湾曲の平均角度αと磁気シールドギャップの傾斜角度θが一致する場合において、高線記録密度でのSN比が最も高くなる。
一方、線記録密度が低い場合、すなわちビット転移の数が少ない場合には、センサが感知するノイズのうち、ビット転移位置が微小に揺らぐことによって生じるノイズの割合は少ない。図8に低記録密度におけるSN比の、磁気シールドギャップの傾斜角度θに対する依存性の一例を示す。図8に示すように、低線記録密度の場合、磁気シールドギャップの傾斜角度θを大きくするほどSN比は向上する。これは、トラック端部が揺らぐことによって生じるトラック端部に発生するエッジノイズに起因している。磁気シールドギャップの傾斜角度θが大きくなると、再生ヘッドの感度分布も傾斜し、その分再生感度分布はトラックエッジから遠ざかる、つまりトラックエッジノイズの部分を再生しなくなる。その結果、低記録密度では、センサが感知するノイズのうちビット転移から生じるノイズの割合が小さいため、磁気シールドギャップを傾斜させるほど、トラックエッジノイズが小さくなる効果によってSN比が向上するのである。
実際にディスクドライブを使用する場合には、記録媒体上には様々なビット長(= 様々な線記録密度)の信号がランダムに記録される。したがって、実際にディスクドライブを使用する条件化では、磁気シールドギャップの傾斜角度θを実効記録トラックのビット転移湾曲の平均角度αと一致させるよりも1.0〜1.6×αとすることで、低線記録密度から高線記録密度までの様々な記録密度を含んだランダムパターンのトータルでのSN比を最適化することができ、その結果、最も効果的にビット誤り率を低減することができるのである。
図9は、本発明の再生ヘッドの第二の構成例の、媒体対向面の模式図である。
再生ヘッドは、記録媒体からの信号磁界を感知するセンサ11と、一対の磁気シールド(上部磁気シールド12、下部磁気シールド13)、センサ11と上部磁気シールド12間に設置される上部平坦化層14、センサ11と下部磁気シールド13間に設置される下部平坦化層15から構成される。磁気シールドのギャップは、実効的な記録パターンの転移湾曲にあわせてクロストラック方向から傾斜させて形成する。上部磁気シールド12および下部磁気シールド13は、透磁率の高いNiFe合金に代表される軟磁性材料で形成される。上部平坦化層14および下部平坦化層15は、センサ11を平坦に形成するための層で、磁気シールドの傾斜に対応させてクロストラック方向に厚さが変化している。上部平坦化層14ならびに下部平坦化層15にはアルミナを用いたが、Ta、Ruなど非磁性層であれば良い。
センサ11は、反強磁性層16 / 磁化固定層17 / 非磁性中間層18 / 磁化自由層19 / 保護層20 からなる。これらの層は、実施例1と同様に構成することができる。
記録媒体からの信号磁界の向きによって磁化自由層19の磁化方向が変化して磁化固定層17の磁化との相対角度が変化すると、トンネル磁気抵抗効果によりセンサ11の抵抗が変化することによって、記録媒体に記録されている情報を再生することができる。
実施例2は、磁気シールドのギャップのみをクロストラック方向から傾斜させて、上部平坦化層14および下部平坦化層15によって、センサ11はクロストラック方向に平行に形成する構造である。
再生ヘッドの感度分布の形状は、磁気シールドギャップの形状に基づいて決定される。つまり、センサの長手方向がクロストラック方向に略平行に形成されていたとしても、磁気シールドのギャップの傾きに沿った記録媒体からの信号磁界がセンサに印加されることになる。したがって、センサを傾斜させなくても磁気シールドのギャップをクロストラック方向から傾斜させることによって、転移湾曲に起因するビット誤り率の増加を防ぎ、実施例1と同様に従来構造に比べてビット誤り率を低減することができる。
この実施例の場合、上部平坦化層14および下部平坦化層15により、平らな面の上にセンサ11を形成することが可能になり、センサの形成プロセスは実施例1に比べて容易になる。
実施例1で示した構造と同様に、実効記録トラックにおけるビット転移湾曲の平均角度をαとすると、磁気シールドの傾斜角度θを0度より大きく2.5×α度以下とすることにより、従来構造に比べて低いビット誤り率を実現することができる。
また、傾斜角度θが1.0×αから1.6×α度において、ビット誤り率の低減効果が最も大きくなる。
実施例3は、2つのセンサを適切な間隔をあけてダウントラック方向に並べて配置する差動型再生ヘッドに用いたものである。差動型再生ヘッドでは、構成する2つのセンサのそれぞれが媒体からの信号磁界を感知して、2つのセンサの出力の差分が最終的な再生ヘッドの出力として得られる。たとえば、2つのセンサがダウントラック方向の同一ビット上にある場合には、2つのセンサが正負反対の出力を発生させるように形成する。その結果、2つのセンサがダウントラック方向の同一ビット上にある場合には、その出力の差分はゼロであり全体として再生ヘッドの出力はゼロとなる。一方、2つのセンサがダウントラック方向の異なるビットを跨ぐ瞬間には、2つのセンサの出力の正負が等しくなるため、2つのセンサの出力の差分がゼロでなくなり、全体として再生ヘッドの出力が観察される。差動型再生ヘッドでは、このように記録パターンを再生することができる。差動型再生ヘッドでは、2つのセンサの間隔が信号分解能と強い相関があり、センサの間隔を小さくするほど信号分解能を高めることができる。したがって、シングル記録方式の再生ヘッドとして差動型再生ヘッドを用いる場合、2つのセンサの信号を感知する部分および2つの信号を感知する部分に挟まれたギャップを転移湾曲にあわせて傾斜することで、信号分解能の劣化およびSN比の低下を抑制することができ、ビット誤り率を低下させることができる。
図10は、差動型再生ヘッドに適用した、本発明の第三の構成例の、媒体対向面の形状の模式図である。
センサ31は、記録媒体からの信号磁界を感知する第一のセンサ32と第二のセンサ33を差動中間層34を挟んでダウントラック方向に並べた、差動型再生ヘッドである。
センサ31は、第一の反強磁性層35 / 第一の磁化固定層36 / 第一の非磁性中間層37 / 第一の磁化自由層38 / 差動中間層34 / 第二の磁化自由層39 / 第二の非磁性中間層40 / 第二の磁化固定層41 / 第二の反強磁性層42 からなる。
実施例3の形態では、第一の磁化自由層38、差動中間層34、第二の磁化自由層39が、実効的な記録パターンの転移湾曲にあわせてクロストラック方向から傾斜させて形成する。
第一の磁化固定層36 、第二の磁化固定層41 、および第一の磁化自由層38、第二の磁化自由層39は、CoFe合金やNiFe合金の積層膜から形成されているが、CoFeB合金やCoMnGeホイスラー合金、CoMnSiホイスラー合金、CoCrAlホイスラー合金、CoFeAl合金の単層膜、あるいはこれらを組み合わせた積層膜を用いてもよい。
第一の非磁性中間層37ならびに第二の非磁性中間層40はトンネル磁気抵抗効果を発生させるためにMgOを用いたが、アルミナ、チタン酸化物を用いてもよい。あるいは巨大磁気抵抗効果を発生させるためにCuやAu、Ag、あるいはこれらの合金を用いてもよい。
第一の磁化固定層36の磁化と第二の磁化固定層41の磁化が略反平行になるように、それぞれ第一の反強磁性層35、第二の反強磁性層42によって磁化方向が固定されている。
また、第一の磁化固定層36および第二の磁化固定層41はそれぞれ1層の磁性層からなる構成でもよいし、磁化を反平行に結合させる結合層を挟んだ複数の磁性層からなる構成でも本発明の主旨に反するものではない。複数の磁性層で構成される場合、第一の磁化自由層38に最も近い第一の固定層36を形成する磁性層と第二の磁化自由層39に最も近い第二の磁化固定層41を形成する磁性層の磁化方向が略反平行に固定される。
センサのクロストラック方向の両側にはバイアス層43が設けられている。バイアス層43と第一の磁化自由層38および第二の磁化自由層39との間には非磁性体44を形成する。バイアス層43から印加される磁場によって第一の磁化自由層38および第二の磁化自由層39は磁区制御され、感知すべき磁場に対して所望の利用率で動作する。図10では1層からなるバイアス層で第一の磁化自由層38および第二の磁化自由層39の双方を磁区制御しているが、バイアス層を非磁性層で2層に分けて、第一の磁化自由層と第二の磁化自由層に各個に磁区制御磁界を印加する構造でもよい。
例えば、第一の磁化固定層36の磁化方向が媒体対向面からヘッドの奥行き方向であり、第二の磁化固定層41の磁化方向が第一の磁化固定層の磁化と反平行である場合を考える。第一の磁化自由層38と第二の磁化自由層39が同じビット上にあり、このビットからの信号磁界が媒体表面からヘッドの奥行き方向である場合、第一の磁化自由層38の磁化方向は第一の磁化固定層36の磁化方向に対して平行になるように近づき、第一のセンサ32の抵抗が低くなる、一方、第二の磁化自由層39の磁化方向は第二の磁化固定層41の磁化方向に対して反平行になるように近づき、第二のセンサ33の抵抗が高くなる。第一のセンサ32と第二のセンサ33の抵抗変化は正負反対であり、再生ヘッド全体の抵抗変化は0となる。第一の磁化自由層38と第二の磁化自由層39がビット転移を跨ぐ場合、第一の磁化自由層38と第二の磁化自由層39の記録媒体から印加される信号磁界の方向が異なり、第一のセンサ32、第二のセンサ33ともに抵抗が高く(あるいは低く)なる。このようにして、差動型再生ヘッドは記録パターンを再生することができる。
したがって、ひとつのセンサとそれを挟む磁気シールドで構成された再生ヘッドと同様に、シングル記録に差動型再生ヘッドを用いる場合にも、非対称な転移湾曲による信号分解能およびSN比の劣化、ビット誤り率の劣化が生じてしまう。
実施例1および2に示した再生ヘッドの場合、再生ヘッドの感度分布の形状は磁気シールドのギャップの形状によって決められる。一方、差動型再生ヘッドの場合、差動中間層34を挟んだ第一の磁化自由層38と第二の磁化自由層41のそれぞれの感度分布の差分の形状が差動型再生ヘッドの感度分布に相当する。
したがって、第一の磁化自由層38 / 差動中間層 34 / 第二の磁化自由層39 を実効的な記録パターンの転移湾曲にあわせてクロストラック方向から傾斜させることによって、信号分解能およびSN比が向上し、ビット誤り率を低減できる。
差動型再生ヘッドの場合も、実施例1および2と同じ理由で、実効記録トラックにおけるビット転移湾曲の平均角度をαとするとき、第一の磁化自由層38 / 差動中間層34 / 第二の磁化自由層39の傾斜角度θを0度より大きく2.5×α度以下とすることにより、従来構造に比べて低いビット誤り率を実現することができる。
また、傾斜角度が1.0×αから1.6×α度において、ビット誤り率の低減効果が最も大きくなる。
なお、センサの積層の順序を変えて、第一の反強磁性層/ 第一の磁化固定層 / 第一の非磁性中間層 / 第一の磁化自由層 / 差動中間層 / 第二の反強磁性層 / 第二の磁化固定層 / 第二の非磁性中間層 / 第二の磁化自由層 としても、本発明の主旨に反するものではない。
図11は、本発明の磁気ディスクドライブを構成するヘッドスライダーの媒体対向面の形状の模式図である。
図11に示すように、記録ヘッドと再生ヘッドが搭載されているヘッド部51に加えて、ヘッドスライダー52にクロストラック方向に並ぶように2つの圧電素子53を備える構造である。なお、圧電素子は、本発明の磁気ヘッドを傾斜させるアクチュエーターの一例に該当する。
図12には、圧電素子に電圧を印加していない状態の再生ヘッドの媒体対向面からの模式図を示す。本構成では、センサ61とそれを挟む一対の磁気シールド(上部磁気シールド62、下部磁気シールド63)から構成され、磁気シールドギャップは従来構造と同様にクロストラック方向に対して傾斜していない構造である。なお、センサ61を構成する各層は、図1のものと同様である。
本実施例では再生時において、左右の圧電素子にそれぞれ正負の異なる電圧印加することにより、一方の圧電素子が伸び、他方の圧電素子が縮む。その結果、ヘッド部51はクロストラック方向から傾斜するため、磁気シールド62,63のギャップを実効的な記録パターンの転移湾曲にあわせて記録トラックのクロストラック方向から傾斜させることができる。
実施例1と同様の理由で、実効記録トラックにおけるビット転移湾曲の平均角度をαとするとき、磁気シールドギャップの傾斜角度θを0度より大きく2.5×α度以下とすることにより、従来構造に比べて低いビット誤り率を実現することができる。
また、傾斜角度θが1.0×αから1.6×α度において、ビット誤り率の低減効果が最も大きくなる。
図13は、本発明の磁気ディスクドライブを構成するヘッドサスペンションの形状の模式図である。
図13に示すように、ヘッドスライダー71を搭載したヘッドサスペンション72に左右2つの圧電素子73を備えている。なお、圧電素子は、本発明の磁気ヘッドを傾斜させるアクチュエーターの一例に該当する。
圧電素子に電圧を印加していない状態の再生ヘッドの媒体対向面からの模式図は、図12で示したものと同様であり、センサ61とそれを挟む一対の磁気シールド(上部磁気シールド62、下部磁気シールド63)から構成され、磁気シールドギャップは従来構造と同様にクロストラック方向に対して傾斜していない構造である。
本実施例では再生時において、サスペンションに搭載された左右の圧電素子73にそれぞれ正負の異なる電圧印加することにより、一方の圧電素子が伸び、他方の圧電素子が縮む。その結果、ヘッドスライダーは記録トラックのクロストラック方向から傾斜するため、磁気シールドのギャップを実効的な記録パターンの転移湾曲にあわせてクロストラック方向から傾斜させることができる。
実施例1と同様の理由で、実効記録トラックにおけるビット転移湾曲の平均角度をαとするとき、磁気シールドギャップの傾斜角度θを0度より大きく2.5×α度以下とすることにより、従来構造に比べて低いビット誤り率を実現することができる。
また、傾斜角度θが1.0×αから1.6×α度において、ビット誤り率の低減効果が最も大きくなる。
図14は、本発明が適用される垂直磁気記録を用いた磁気記録再生装置の構成例を示す。
磁気的に情報を記録する記録媒体95を保持するディスク91をスピンドルモーター93にて回転させ、アクチュエーター92によってヘッドスライダー90をディスク91のトラック上に誘導する。即ち磁気ディスク装置においてはヘッドスライダー90上に形成した再生ヘッド、及び記録ヘッドがこの機構に依ってディスク91上の所定の記録位置に近接して相対運動し、信号を順次書き込み、また読み取るのである。アクチュエーター92は、ロータリーアクチュエーターであることが望ましい。記録信号は信号処理系94を通じて記録ヘッドにて媒体上に記録し、再生ヘッドの出力を、信号処理系94を経て信号として得る。さらに再生ヘッドを所望の記録トラック上へ移動せしめるに際して、本再生ヘッドからの高感度な出力を用いてトラック上の位置を検出し、アクチュエーター92を制御して、ヘッドスライダー90の位置決めを行うことができる。本図ではヘッドスライダー90、ディスク91を各1個示したが、これらは複数であっても構わない。またディスク91は両面に記録媒体95を有して情報を記録してもよい。情報の記録がディスク両面の場合ヘッドスライダー90はディスクの両面に配置する。
上述したような磁気記録再生装置について、本発明の磁気ヘッドおよび磁気ディスクドライブを試験した結果、分解能の劣化ならびに信号対ノイズ比の低下を防ぎ、低いビット誤り率を実現することができた。
本発明は、シングル記録方式による磁気ディスク装置に搭載される、巨大磁気抵抗効果を用いた面内電流型、あるいは垂直電流型の磁気センサや磁気ヘッド、及びトンネル磁気抵抗効果の磁気センサや磁気ヘッドに利用できる。
1・・・センサ、2・・・上部磁気シールド、3・・・下部磁気シールド、4・・・反強磁性層、5・・・磁化固定層、6・・・非磁性中間層、7・・・磁化自由層、8・・・保護層、9・・・バイアス層、10・・・非磁性層、
11・・・センサ、12・・・上部磁気シールド、13・・・下部磁気シールド、14・・・上部平坦層、15・・・下部平坦層、16・・・反強磁性層、17・・・磁化固定層、18・・・非磁性中間層、19・・・磁化自由層、20・・・保護層、21・・・バイアス層、22・・・非磁性層、
31・・・センサ、32・・・第一のセンサ、33・・・第二のセンサ、34・・・差動中間層、35・・・第一の反強磁性層、36・・・第一の磁化固定層、37・・・第一の非磁性中間層、38・・・第一の磁化自由層、39・・・第二の磁化自由層、40・・・第二の非磁性中間層、41・・・第二の磁化固定層、42・・・第二の反強磁性層、43・・・バイアス層、44・・・非磁性層、45・・・上部シールド、46・・・下部シールド、
51・・・ヘッド部、52・・・ヘッドスライダー、53・・・圧電素子、
61・・・センサ、62・・・上部磁気シールド、63・・・下部磁気シールド、
71・・・ヘッドスライダー、72・・・ヘッドサスペンション、73・・・圧電素子、
90・・・ヘッドスライダー、91・・・ディスク、92・・・アクチュエーター、93・・・スピンドルモーター、94・・・信号処理回路、95・・・磁気記録媒体。

Claims (10)

  1. 記録パターンの片側を上書きしながら記録トラックを形成していくシングル記録方式に用いる磁気ヘッドにおいて、
    前記磁気ヘッドは記録ヘッドと再生ヘッドにより構成されており、
    前記再生ヘッドは、一対の磁気シールドと、該一対の磁気シールド間に挟まれたセンサ部を有し、
    前記一対の磁気シールドを構成するそれぞれの磁気シールドと前記センサ部との間に平坦化層を備えており、
    前記磁気シールド間のギャップの長手方向が、記録媒体上に記録された記録パターンの実効記録トラックにおけるビット間転移の湾曲形状に沿って、クロストラック方向から傾斜して形成され、
    前記再生ヘッドのセンサ部の膜面方向が、クロストラックに平行に形成されていることを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 請求項1記載の磁気ヘッドにおいて、
    記録媒体上に記録された記録パターンの実効記録トラックにおけるビット間の転移湾曲の平均角度αに対して、前記磁気シールド間のギャップの長手方向の、クロストラック方向からの傾斜角度が、0度より大きくαの2.5倍以下になるように形成されていることを特徴とする磁気ヘッド。
  3. 請求項1記載の磁気ヘッドにおいて、
    記録媒体上に記録された記録パターンの実効記録トラックにおけるビット間の転移湾曲の平均角度αに対して、前記磁気シールド間のギャップの長手方向の、クロストラック方向からの傾斜角度が、αの1.0倍から1.6倍になるように形成されていることを特徴とする磁気ヘッド。
  4. 請求項1乃至請求項の何れか一つに記載の磁気ヘッドにおいて、
    前記再生ヘッドのセンサ部が、磁化固定層と、非磁性中間層と、磁化自由層とからなることを特徴とする磁気ヘッド。
  5. 記録パターンの片側を上書きしながら記録トラックを形成していくシングル記録方式に用いる磁気ディスクドライブにおいて、
    記録ヘッドと再生ヘッドにより構成される磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを搭載するヘッドスライダーと、前記磁気ヘッドを傾斜させる圧電素子からなるアクチュエーターを備えており、
    前記磁気ヘッドは、前記圧電素子を介して、ヘッドスライダーに取り付けられており、
    再生時において、前記圧電素子に電圧を印加して寸法を変化させることにより、前記再生ヘッドのシールド間のギャップの長手方向が、記録パターンの実効記録トラックにおけるビット間転移の湾曲形状に沿って、クロストラック方向から傾斜するように構成したことを特徴とする磁気ディスクドライブ。
  6. 請求項記載の磁気ディスクドライブにおいて、
    前記磁気ヘッドは、クロストラック方向に並ぶ左右2つの圧電素子を介して、ヘッドスライダーに取り付けられていることを特徴とする磁気ディスクドライブ。
  7. 記録パターンの片側を上書きしながら記録トラックを形成していくシングル記録方式に用いる磁気ディスクドライブにおいて、
    記録ヘッドと再生ヘッドにより構成される磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを搭載するヘッドスライダーと、前記磁気ヘッドを傾斜させる圧電素子からなるアクチュエーターを備えており、
    前記ヘッドスライダーを搭載したヘッドサスペンションは、前記圧電素子を介して、取り付けられており、
    再生時において、前記圧電素子に電圧を印加して寸法を変化させることにより、前記ヘッドサスペンションを傾斜させ、前記再生ヘッドのシールド間のギャップの長手方向が、クロストラック方向から傾斜するように構成したことを特徴とする磁気ディスクドライブ。
  8. 請求項記載の磁気ディスクドライブにおいて、
    前記ヘッドサスペンションは、左右2つの圧電素子を介して、取り付けられていることを特徴とする磁気ディスクドライブ。
  9. 請求項乃至の何れか一つに記載の磁気ディスクドライブにおいて、
    記録パターンの実効記録トラックにおけるビット間の転移湾曲の平均角度αに対して、前記再生ヘッドのシールド間のギャップの長手方向の、クロストラック方向からの傾斜角度が0度より大きくαの2.5倍以下になるように、前記圧電素子に電圧を印加して寸法を変化させることを特徴とする磁気ディスクドライブ。
  10. 請求項乃至の何れか一つに記載の磁気ディスクドライブにおいて、
    記録パターンの実効記録トラックにおけるビット間の転移湾曲の平均角度αに対して、前記再生ヘッドのシールド間のギャップの長手方向の、クロストラック方向からの傾斜角度がαの1.0倍から1.6倍になるように、前記圧電素子に電圧を印加して寸法を変化させることを特徴とする磁気ディスクドライブ。
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