JP5559767B2 - ルテニウムヒドリド錯体 - Google Patents
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trans−RuH(η1−BH4)[(R)−tolbinap][(R,R)−dpen]の合成を行った。まず、trans−RuCl2[(R)−tolbinap][(R,R)−dpen]を合成した。すなわち、ポリテトラフルオロエチレンでコートした撹拌子を備えた50mLのシュレンク型反応管に[RuCl2(benzene)]2(129mg,0.258mmol)(アルドリッチ(Aldrich)社製)と(R)−TolBINAP(373mg,0.55mmol)(アヅマックス(AZmax)社製)を量り取り、容器内を減圧にして空気を除いた後にアルゴンを導入した。DMF(9mL)を注射器で加えたあと、アルゴン雰囲気下、100℃の油浴中で10分間加熱した。反応溶液を室温まで冷却した後、この赤褐色のRuCl2[(R)−tolbinap](dmf)n溶液に、アルゴン気流下、(R、R)−DPEN(117mg,0.55mmol)(環境科学センター製)を加え、25℃で3時間撹拌した。減圧下(1mmHg)でDMFを留去して得られた緑色の粗精製物に塩化メチレン(10mL)を加え、黄色の生成物をできるだけ溶かした後、ろ過により緑色の不純物を除去した。ろ過して得られた黄色の溶液を約1mLまで濃縮したところに、ジエチルエーテル(5mL)を加えて固形物を析出させた。得られた固形物をろ別し、減圧下(1mmHg)で乾燥してtrans−RuCl2[(R)−tolbinap][(R,R)−dpen](340mg,0.32mmol,収率58%)を黄色の粉体として得た。なお、「TolBINAP」及び「tolbinap」は2,2’−ビス(ジ−4−トリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルの略であり、「DMF」及び「dmf」はN,N−ジメチルホルムアミドの略であり、「DPEN」及び「dpen」は1,2−ジフェニルエチレンジアミンの略である。
trans−RuH(η1−BH4)[(S)−xylbinap][(S,S)−dpen]の合成を行った。まず、trans−RuCl2[(S)−xylbinap][(S,S)−dpen]を合成した。すなわち、ポリテトラフルオロエチレンでコートした撹拌子を備えた75mLのシュレンク型反応管に[RuCl2(benzene)]2(62.5mg,0.125mmol)(アルドリッチ(Aldrich)社製)と(R)−XylBINAP(183.5mg,0.25mmol)を量り取り、容器内を減圧にして空気を除いた後にアルゴンを導入した。DMF(3mL)を注射器で加えたあと、アルゴン雰囲気下、100℃の油浴中で10分間加熱した。反応溶液を室温まで冷却した後、減圧下(1mmHg)でDMFを留去した。このようにして得られた赤褐色のRuCl2[(S)−xylbinap](dmf)n溶液に、アルゴン気流下、(S,S)−DPEN(53.0mg,0.25mmol)(環境科学センター製)と塩化メチレン(3mL)を加え、25℃で1時間撹拌した。減圧下(1mmHg)で塩化メチレンを留去して得られた緑色の粗精製物を体積比1:1の塩化メチレン−ジエチルエーテル(2mL)に溶かした後、このものを、シリカゲル(5g)を充填した体積比1:1のジエチルエーテル−ヘキサン溶液を溶離液とするカラムに通して不純物を除去した。先行物として得られた黄色の溶液を錯体が析出するまで濃縮して固形物をろ別し、減圧下(1mmHg)で乾燥してtrans−RuCl2[(S)−xylbinap][(S,S)−dpen](214.8mg,0.192mmol,収率77%)を黄色の粉体として得た。なお、「XylBINAP」及び「xylbinap」は2,2’−ビス(ジ−3,5−キシリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルの略である。
trans−RuH(η1−BH4)[(S)−xylbinap][(R,R)−dpen]の合成を行った。まず、trans−RuCl2[(S)−xylbinap][(R,R)−dpen]の合成を行った。すなわち、ポリテトラフルオロエチレンでコートした撹拌子を備えた75mLのシュレンク型反応管に[RuCl2(benzene)]2(25.0mg,0.05mmol)(アルドリッチ(Aldrich)社製)と(R)−XylBINAP(73.4mg,0.1mmol)を量り取り、容器内を減圧にして空気を除いた後にアルゴンを導入した。DMF(2mL)を注射器で加えたあと、アルゴン雰囲気下、100℃の油浴中で10分間加熱した。反応溶液を室温まで冷却した後、減圧下(1mmHg)でDMFを留去した。このようにして得られた赤褐色のRuCl2[(S)−xylbinap](dmf)n溶液に、アルゴン気流下、(R,R)−DPEN(53.0mg,0.25mmol)と塩化メチレン(1.5mL)を加え、25℃で1時間撹拌した。減圧下(1mmHg)で塩化メチレンを留去して得られた緑色の粗精製物を体積比1:1の塩化メチレン−ジエチルエーテル(2mL)に溶かした後、このものを、シリカゲル(5g)を充填した体積比1:1のジエチルエーテル−ヘキサン溶液を溶離液とするカラムに通して不純物を除去した。先行物として得られた黄色の溶液を錯体が析出するまで濃縮して固形物をろ別し、減圧下(1mmHg)で乾燥してtrans−RuCl2[(S)−xylbinap][(R,R)−dpen](74.9mg,0.067mmol,収率67%)を黄色の粉体として得た。
アセトフェノンの不斉水素化を行った(一般的操作方法、図2参照)。まず、ポリテトラフルオロエチレンでコートした撹拌子を備えた100mLのガラス製オートクレーブに、実施例2で合成した(S,SS)−ルテニウムヒドリド錯体(1.5mg,0.00125mmol)を量り取り、容器内を減圧にして空気を除いた後に、アルゴンを導入した。ここにあらかじめアルゴンバブリングにより脱気したアセトフェノン(600mg,5.0mmol)(ナカライ社製)および2−プロパノール(2.5mL)をアルゴン気流下、注射器を用いて加えた。得られた溶液を撹拌しながら減圧−アルゴン注入の操作を5回繰り返して脱気した。水素導入管を用いてオートクレーブに水素ボンベを接続し、導入管内の空気を2気圧の水素で5回置換した。続いてオートクレーブ内の圧力を5気圧とし、注意深く1気圧になるまで水素を開放した。この操作を10回繰り返した後、水素圧を8気圧とし、25℃で12時間激しく撹拌した。反応終了後、得られた溶液を減圧濃縮した。この粗精製物を減圧下(1mmHg)、簡易蒸留することにより、99%eeの(R)−1−フェニルエタノール(582mg,4.75mmol,収率95%)を無色の油状物として得た。ガスクロマトグラフ分析による変換率および鏡像体過剰率はともに99%であった:GC(カラム、Chirasil−DEX CB:内径(df)、0.25mm,サイズ、0.32mmx25m,CHROMPACK社製;カラム温度、105℃;インジェクションおよびディテクションの温度、200℃;ヘリウム圧、41kPa;(R)−1−フェニルエタノールの保持時間(tR)、21.7分(99.56%);(S)−1−フェニルエタノールのtR、23.5分(0.43%);アセトフェノンのtR、9.5分(0.01%));1HNMR(400MHz,CDCl3)δ1.50(d,3,J=6.6Hz,CH3),4.90(dq,1,J=3.3and6.6Hz,CHOH),7.21−7.41(m,5,aromatics);[α]28 D+51.8°(c0.984,CH2Cl2);絶対構造、R;文献値、[α]23 D+48.6°(c0.9−1.1,CH2Cl2),96%ee(R)。
アセトフェノンの不斉水素化を行った(図3参照)。すなわち、実施例2で合成した(S,SS)−ルテニウムヒドリド錯体(1.5mg,0.00125mmol)、基質としてアセトフェノン(150mg,1.25mmol)、溶媒として2−プロパノール(1.5mL)を用いて、実施例4に準じて反応を行った。但し、水素圧を1気圧とし、反応温度を25℃とし、反応時間を12時間とした。その結果、(R)−1−フェニルエタノールが変換率99%、単離収率95%(293mg,1.19mmol)、鏡像体過剰率97%で得られた。
アセトフェノンの不斉水素化を行った(図4参照)。すなわち、実施例1で合成した(R,RR)−ルテニウムヒドリド錯体(45.3mg,0.0425mmol)、基質としてアセトフェノン(102.1g,0.85mol)、溶媒として2−プロパノール(100mL)を用いて、実施例4に準じて反応を行った。但し、水素圧を10気圧とし、反応温度を22〜41℃とし、反応時間を14時間とした。その結果、(S)−1−フェニルエタノールが変換率99.8%、単離収率97%(100.7g,0.82mol)、鏡像体過剰率81%で得られた。
4−アセチル安息香酸エチルの不斉水素化を行った(図5参照)。すなわち、実施例2で合成した(S,SS)−ルテニウムヒドリド錯体(1.5mg,0.00125mmol)、基質として4−アセチル安息香酸エチル(961mg,5.0mmol)(和光社製)、溶媒として2−プロパノール(5mL)を用いて、実施例4に準じて反応を行った。但し、水素圧を8気圧とし、反応温度を25℃とし、反応時間を15時間とした。その結果、(R)−4−(1−ヒドロキシエチル)安息香酸エチルが変換率100%、単離収率98%(951mg,4.9mmol)、鏡像体過剰率99%で得られた。GC(カラム、Chirasil−DEX CB;カラム温度、150℃;インジェクションおよびディテクションの温度、250℃;ヘリウム圧、49kPa;(R)−4−(1−ヒドロキシエチル)安息香酸エチルのtR、32.2分(99.4%);(S)−4−(1−ヒドロキシエチル)安息香酸エチルのtR、35.1分(0.6%);4−アセチル安息香酸エチルのtR、35.5分(0%);[α]26 D+32.0°(c0.912,CH3OH);絶対構造、R;文献値、[α]21 D+32.6°(c0.873,CH3OH),98.6%ee,(R)。
4−アセチル安息香酸(R)−アセトングリセリルの不斉水素化を行った(図6参照)。すなわち、実施例2で合成した(S,SS)−ルテニウムヒドリド錯体(1.5mg,0.00125mmol)、基質として4−アセチル安息香酸(R)−アセトングリセリル(696mg,2.5mmol)、溶媒として2−プロパノール(2.5mL)を用いて、実施例4に準じて反応を行った。但し、水素圧を8気圧とし、反応温度を25℃とし、反応時間を16時間とした。その結果、(R)−4−(1−ヒドロキシエチル)安息香酸(R)−アセトングリセリルが変換率100%、単離収率98%(686mg,2.45mmol)、鏡像体過剰率99%で得られた。HPLC(カラム、CHIRALCEL OB−H:サイズ、4.6mm×250mm,ダイセル化学社製;溶媒、9:1ヘキサン/2−プロパノール;温度、30℃;UV波長、254nm;流量、0.5mL/分;(R)−4−(1−ヒドロキシエチル)安息香酸(R)−アセトングリセリルのtR、24.6分(98.3%);S,RアルコールのtR、18.9分(1.7%));[α]29 D+34.2°(c1.085,CHCl3);絶対構造、R。絶対構造は対応するエチルエステルへ変換した後、GC分析により決定した。
7−オキソ−7−フェニルヘプタン酸メチルの不斉水素化を行った(図7参照)。すなわち、実施例2で合成した(S,SS)−ルテニウムヒドリド錯体(1.5mg,0.00125mmol)、基質として7−オキソ−7−フェニルヘプタン酸メチル(587mg,2.5mmol)、溶媒として2−プロパノール(2.5mL)を用いて、実施例4に準じて反応を行った。但し、水素圧を8気圧とし、反応温度を25℃とし、反応時間を12時間とした。その結果、(R)−7−ヒドロキシ−7−フェニルヘプタン酸メチルが変換率100%、単離収率98%(588mg,2.48mmol)、鏡像体過剰率95%で得られた。なお、鏡像体過剰率は対応する安息香酸エステルのHPLC分析により決定した。HPLC(カラム、CHIRALPAC AD:サイズ、4.6mm×250mm,ダイセル化学社製;溶媒、ヘキサン:2−プロパノール=19:1;温度、30℃;UV波長、254nm;流量、0.5mL/分;(R)−7−ベンゾイロキシ−7−フェニルヘプタン酸メチルのtR、20.8分(97.6%);S異性体のtR、25.9分(2.4%));[α]28 D+29.1°(c1.09,CHCl3);絶対構造、R。絶対構造は1−フェニルヘプタノールへ変換したものの旋光度の値により決定した。
(R)−グリシジル 3−アセチルフェニルエーテルの不斉水素化を行った(図8参照)。すなわち、実施例2で合成した(S,SS)−ルテニウムヒドリド錯体(1.5mg,0.00125mmol)、基質として(R)−グリシジル3−アセチルフェニルエーテル(481mg,2.5mmol)、溶媒として2−プロパノール(2.5mL)を用いて、実施例4に準じて反応を行った。但し、水素圧を8気圧、反応温度を25℃、反応時間を14時間とした。その結果、(R)−グリシジル 3−(1−ヒドロキシエチル)フェニルエーテルの一方の立体異性体が変換率99%、単離収率98%(475mg,2.45mmol)、鏡像体過剰率99%で得られた。GC(カラム、Chirasil−DEXCB;カラム温度、135℃;インジェクションおよびディテクションの温度、250℃;ヘリウム圧、60kPa;(R)−グリシジル (R)あるいは(S)−3−(1−ヒドロキシエチル)フェニルエーテルのtR、94.9分(98.6%);立体異性体のtR、109.6分(0.5%);(R)−グリシジル 3−アセチルフェニルエーテルのtR、46.5分(0.9%);[α]29 D+32.0°(c1.36,CHCl3);絶対構造は未決定である。
3−(ジメチルアミノ)プロピオフェノンの不斉水素化を行った(図9参照)。すなわち、実施例2で合成した(S,SS)−ルテニウムヒドリド錯体、基質として3−(ジメチルアミノ)プロピオフェノン(886mg,5.0mmol)、溶媒として2−プロパノール(5mL)を用いて、実施例4に準じて反応を行った。但し、水素圧を8気圧、反応温度を25℃、反応時間を12時間とした。その結果、(R)−1−フェニル−3−(ジメチルアミノ)プロパン−1−オールが変換率100%、単離収率89%(796mg,4.45mmol)、鏡像体過剰率97%で得られた。HPLC(カラム、CHIRALCEL OD:サイズ、4.6mm×250mm,ダイセル化学社製;溶媒、9:1ヘキサン−2−プロパノール;温度、30℃;UV波長、254nm;流量、0.5mL/分;(R)−1−フェニル−3−(ジメチルアミノ)プロパン−1−オールのtR、14.4分(98.4%);SアルコールのtR、20.4分(1.6%));[α]26 D+31.8°(c1.67,CH3OH);絶対構造、R;文献値、[α]D+27.6°(c1.61,CH3OH),(R)。
(E)−3−ノネン−2−オンの不斉水素化を行った(図10参照)。すなわち、実施例2で合成した(S,SS)−ルテニウムヒドリド錯体(1.5mg,0.00125mmol)、基質として(E)−3−ノネン−2−オン(701mg,5.0mmol)(東京化成社製)、溶媒として2−プロパノール(2.5mL)を用いて、実施例4に準じて反応を行った。但し、水素圧を8気圧とし、反応温度を25℃とし、反応時間を16時間とした。その結果、(E)−3−ノネン−2−オールがGC収率95%、単離収率93%(668mg,4.65mmol)、鏡像体過剰率99%で得られた。GC(カラム、Chirasil−DEX CB;カラム温度、65℃;インジェクションおよびディテクションの温度、200℃;ヘリウム圧、41kPa;(R)−(E)−3−ノネン−2−オールのtR、70.5分(99.6%);(S)−(E)−3−ノネン−2−オールのtR、80.7分(0.4%));[α]26 D+21.16°(c1.042,CHCl3);絶対構造、R;文献値、[α]25 D+10.68°(c1.03,CHCl3),97%ee(R)。
ラセミ体2−イソプロピルシクロヘキサノンの速度論的光学分割を行った(一般的操作法、図11参照)。まず、ポリテトラフルオロエチレンでコートした撹拌子を備えた100mLのガラス製オートクレーブに、実施例3で合成した(S,RR)−ルテニウム錯体(1.5mg,0.00125mmol)を量り取り、容器内を減圧にして空気を除いた後に、アルゴンを導入した。ここにあらかじめアルゴンバブリングにより脱気した2−イソプロピルシクロヘキサノン(351mg,2.5mmol)および2−プロパノール(2.5mL)をアルゴン気流下、注射器を用いて加えた。得られた溶液を撹拌しながら減圧−アルゴン注入の操作を5回繰り返して脱気した。水素導入管を用いてオートクレーブに水素ボンベを接続し、導入管内の空気を2気圧の水素で5回置換した。続いてオートクレーブ内の圧力を5気圧とし、注意深く1気圧になるまで水素を開放した。この操作を10回繰り返した後、水素圧を8気圧とし、25℃で、水素が圧力計で約0.4気圧減少するまで(2時間)激しく撹拌した。注意深く水素を開放した後、得られた溶液を減圧濃縮した。この粗精製物をシリカゲルクロマトグラフィ(シリカゲル、18g;溶媒、1:8酢酸エチル−ヘキサン)に供することにより第一分画として(S)−2−イソプロピルシクロヘキサノン(154mg,1.10mmol,収率44%,鏡像体過剰率91%)、第二分画として(1R,2R)−2−イソプロピルシクロヘキサノール(168mg,1.20mmol,収率48%,鏡像体過剰率85%)を得た。GC(カラム、Chirasil−DEX CB;カラム温度、70℃で70minの後5℃/minで100℃まで昇温;インジェクションおよびディテクションの温度、200℃;ヘリウム圧、41kPa;(R)−2−イソプロピルシクロヘキサノンのtR、64.3分(2.0%);SケトンのtR、65.8分(44.9%);(1R,2R)−2−イソプロピルシクロヘキサノールのtR、90.7分(49.1%);1S,2SアルコールのtR、89.4分(4.0%)。ケトンの比旋光度、[α]27 D−71.1°(c0.93,CHCl3);絶対構造は、(S)−2−イソプロピルシクロヘキサノンをK−Selectride還元して得られたものの比旋光度により決定した:[α]25 D+18.9°(c0.35,CHCl3);絶対構造、1S,2S。アルコールの比旋光度、[α]26 D−19.2°(c1.085,CHCl3);絶対構造、1R,2R;文献値、[α]25 D−18.0°(c1.0,CHCl3),93%ee(1R,2R)。
ラセミ体2−メトキシシクロヘキサノンの速度論的光学分割を行った(図12参照)。すなわち、実施例2で合成した(S,SS)−ルテニウムヒドリド錯体(1.5mg,0.00125mmol)、基質として2−メトキシシクロヘキサノン(320mg,2.5mmol)(東京化成社製)、溶媒として2−プロパノール(2.5mL)を用いて、実施例13に準じて反応を行った。但し、水素圧を8気圧とし、反応温度を25℃とし、反応時間を1時間とした。その結果、(R)−2−メトキシシクロヘキサノンが単離収率42%(134mg,1.05mmol)、(1R,2S)−2−メトキシシクロヘキサノールが単離収率50%(164mg,1.25mmol,鏡像体過剰率91%)で得られた。GC(カラム、Chirasil−DEX CB;カラム温度、90℃;インジェクションおよびディテクションの温度、200℃;ヘリウム圧、25kPa;(1R,2S)−2−メトキシシクロヘキサノールのtR、37.6分(50.8%);1S,2RアルコールのtR、36.5分(2.5%);2−メトキシシクロヘキサノンのtR、27.0分(46.7%))。(R)−2−メトキシシクロヘキサノンの鏡像体過剰率94%:HPLC(カラム、CHIRALCELOB−H;溶媒、200:1ヘキサン−2−プロパノール;温度、30℃;UV波長、290nm;流量、1.0mL/分;(R)−2−メトキシシクロヘキサノンのtR、20.9分(97.2%);SケトンのtR、17.0分(2.8%))。ケトンの比旋光度、[α]29 D+98.8°(c2.61,CH2Cl2);絶対構造、R;文献値、[α]22 D−112.4°(c2.08,CH2Cl2),>99%ee(S)。アルコールの比旋光度、[α]29 D+14.9°(c1.026,CH2Cl2);絶対構造、1R,2S:絶対構造は、(1R,2S)−2−メトキシシクロヘキサノールを酸化して得られたもののHPLC分析により決定した。
まず、塩化ルテニウム錯体を調製した。すなわち、ポリテトラフルオロエチレンでコートした撹拌子を備えた50mLのシュレンク型反応管に、[RuCl2(benzene)]2(407mg,0.814mmol)と(S)−XylBINAP(1.20g,1.63mmol)を量り取り、容器内を減圧にして空気を除いた後にアルゴンを導入した。DMF(12mL)を注射器で加えた後、アルゴン雰囲気下、100℃の油浴中で10分間加熱した。反応溶液を室温まで冷却した後、この赤褐色のRuCl2[(S)−xylbinap](dmf)n溶液に、アルゴン気流下、(S)−1,1−ジ(4−アニシル)−2−イソプロピルエチレンジアミン[(S)−DAIPEN](512mg,1.63mmol)(関東化学社製)を加え、25℃で6時間撹拌した。減圧下(1mmHg)でDMFを留去して得られた黒色の粗精製物にジエチルエーテル(40mL)を加え、黄色の生成物をできるだけ溶かした後、シリカゲル(3.5g)を充填したカラムに通して不純物を除去した。先行物として得られた黄色の溶液を約2mLまで濃縮したところにヘキサン(2mL)を加えて固形物を析出させた。得られた固形物をろ別し、減圧下(1mmHg)で乾燥してtrans−RuCl2[(S)−xylbinap][(S)−daipen](1.25g,1.023mmol,収率53%)を黄色の粉体として得た。
Claims (6)
- 一般式(1)
式(1)中、次式(2)
- アミン配位子は、光学活性なジアミンである請求項1記載のルテニウムヒドリド錯体。
- ホスフィン配位子はR体であり、アミン配位子は光学活性なジアミンであってキラル中心炭素がR,R体である請求項1又は2記載のルテニウムヒドリド錯体。
- ホスフィン配位子はR体であり、アミン配位子は光学活性なジアミンであってキラル中心炭素がS,S体である請求項1又は2記載のルテニウムヒドリド錯体。
- ホスフィン配位子はS体であり、アミン配位子は光学活性なジアミンであってキラル中心炭素がS,S体である請求項1又は2記載のルテニウムヒドリド錯体。
- ホスフィン配位子はS体であり、アミン配位子は光学活性なジアミンであってキラル中心炭素がR,R体である請求項1又は2記載のルテニウムヒドリド錯体。
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