JP5558118B2 - マイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤、及びそれを含むマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物 - Google Patents
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Description
〔1〕
コア(C)と、前記コア(C)を被覆するシェル(S)と、を少なくとも有するマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤であって、
前記コア(C)が円形度0.93以上の球状であり、
前記コア(C)に対する分散安定剤の含有量が8質量%以下である、マイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
〔2〕
前記シェル(S)は、波数1630〜1680cm-1の赤外線を吸収する結合基(x)、波数1680〜1725cm-1の赤外線を吸収する結合基(y)、及び、波数1730〜1755cm-1の赤外線を吸収する結合基(z)を有し、前記結合基(x)の濃度(Cx)の前記結合基(x)、(y)、及び(z)の合計の濃度(Cx+Cy+Cz)に対する比(Cx/(Cx+Cy+Cz))が、0.50以上0.75未満である第一シェル(S1)を含む、前記〔1〕のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
〔3〕
前記シェル(S)は、前記第一シェル(S1)の表面に、前記第一シェル(S1)とエポキシ樹脂との反応生成物からなる第二シェル(S2)をさらに含む、前記〔1〕又は〔2〕のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
〔4〕
前記コア(C)の重量平均分子量が50以上50000以下である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
〔5〕
前記コア(C)が、以下の条件(1)〜(3)を満たす粒子を出発材料として形成される、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤;
(1) アミン系硬化剤を主成分とし、
(2) 水を前記アミン系硬化剤100質量部に対し0.05〜3質量部含み、
(3) メジアン径で定義される平均粒径が0.3μmを超えて12μm以下である。
〔6〕
前記シェル(S)が、ウレア基、ビュレット基、及びウレタン基を有し、且つ、エステル基を有さない、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
〔7〕
前記シェル(S)は、イソシアネート化合物と活性水素化合物の反応生成物をさらに含む、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
〔8〕
前記コア(C)は、不定形の粒子を100℃以上400℃以下の熱風で処理して得られる、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
〔9〕
エポキシ樹脂(e3)と、前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤と、を含むマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物であって、
前記エポキシ樹脂(e3)と前記マイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤の質量比が100:0.1〜100:1000であるマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物。
〔10〕
エポキシ樹脂(e4)と、前記〔9〕のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物と、を含む一液性エポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂(e4)と前記マスターバッチ型エポキシ樹脂用性硬化剤組成物の質量比が100:0.001〜100:1000である一液性エポキシ樹脂組成物。
〔11〕
酸無水物類、フェノール類、ヒドラジド類、及びグアニジン類よりなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂用硬化剤(h3)をさらに含む、前記〔10〕の一液性エポキシ樹脂組成物。
〔12〕
前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有するペースト状組成物。
〔13〕
前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有するフィルム状組成物。
〔14〕
前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する接着剤。
〔15〕
前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する接合用ペースト。
〔16〕
前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する接合用フィルム。
〔17〕
前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する導電性材料。
〔18〕
前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する異方導電性材料。
〔19〕
前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する異方導電性フィルム。
〔20〕
前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する絶縁性材料。
〔21〕
前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する封止材料。
〔22〕
前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有するコーティング用材料。
〔23〕
前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する塗料組成物。
〔24〕
前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有するプリプレグ。
〔25〕
前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1つのマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する熱伝導性材料。
〔26〕
円形度が0.93未満であり、重量平均分子量が50以上50000以下の不定形粒子を、100℃以上400℃以下の熱風で処理する工程を含む、球状コアの製造方法。
本実施の形態におけるマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤は、
コア(C)と、前記コア(C)を被覆するシェル(S)と、を少なくとも有するマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤であって、
前記コア(C)が円形度0.93以上の球状であり、
前記コア(C)に対する分散安定剤の含有量が8質量%以下である。
本実施の形態におけるコア(C)は、以下の条件(1)〜(3)を満たす粒子を出発材料として形成されることが好ましい。
(1) アミン系硬化剤を主成分とし、
(2) 水を前記アミン系硬化剤100質量部に対し0.05〜3質量部含み、
(3) メジアン径で定義される平均粒径が0.3μmを超えて12μm以下である。
アミン系硬化剤としては、アミンアダクト系、変性ポリアミン系、脂肪族ポリアミン系、複素環式ポリアミン系、脂環式ポリアミン系、芳香族アミン系、ポリアミドアミン系、ケチミン系、ウレタンアミン系等、通常使用されるアミン系硬化剤が挙げられる。中でも、適度な反応性を有する観点から、低分子アミン化合物(a1)とアミンアダクトとからなるアミン系硬化剤が好ましい。
ビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,2,2,−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;フェノールノボラッ
ク、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等;多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸をグリシジル化したエーテルエステル型エポキシ樹脂;フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂;4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物のグリシジル化物やトリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂等のグリシジル型エポキシ樹脂と、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキサイド等が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物を、キシレンを用いて、エポキシ樹脂が無くなるまで洗浄と濾過を繰り返す。次に、ろ液を100℃以下で減圧留去し、エポキシ樹脂を得る。得られたエポキシ樹脂試料1〜10gを、滴定量が3〜7mLになるよう精秤し、25mLのエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解し、これに1規定KOHのプロピレングリコール溶液25mLを加えて20分間煮沸した後、硝酸銀水溶液で滴定した滴定量より計算する。
試料3gを50mLのトルエンに溶解し、これに0.1規定KOHのメタノール溶液20mLを加えて15分間煮沸した後、硝酸銀水溶液で滴定した滴定量より計算する。
コア(C)を形成するための出発材料となる粒子は、水を、その主成分であるアミン系硬化剤100質量部に対し0.05〜3質量部含むことが好ましい。水の含有量は、電量滴定を利用するカールフィッシャー法により測定できる。
コア(C)を形成するための出発材料粒子の粒径は、メジアン径で定義される平均粒径が0.3μmを超えて12μm以下であることが好ましく、1μm〜10μmであることがより好ましく、1.5μm〜5μmであることがより好ましい。ここで、出発材料粒子の粒径とは、レーザー回析・光散乱法で測定されるストークス径をいう。出発材料粒子の粒径は、後述する実施例に記載された方法に準じて測定することができる。
本実施の形態におけるシェル(S)は、前記コア(C)を被覆するものであり、少なくとも第一シェル(S1)を含む。
第一シェル(S1)はコア(C)の表面を直接被覆しており、波数1630〜1680cm-1の赤外線を吸収する結合基(x)、波数1680〜1725cm-1の赤外線を吸収する結合基(y)、及び波数1730〜1755cm-1の赤外線を吸収する結合基(z)を有し、かつ、結合基(x)、(y)及び(z)の合計の濃度(Cx+Cy+Cz)に対する前記結合基(x)の濃度Cxの比(Cx/(Cx+Cy+Cz))が、0.50以上0.75未満であることが好ましい。ここで、Cxはシェル(S1)中における前記結合基(x)の濃度を表し、Cyはシェル(S1)中における前記結合基(y)の濃度を表し、Czはシェル(S1)中における前記結合基(z)の濃度を表す。
本実施の形態におけるシェル(S)は、上述した第一シェル(S1)の表面に、第一シェル(S1)とエポキシ樹脂(e2)との反応生成物からなる第二シェル(S2)を含むことが好ましい。
基、カルボキシル基、一級又は二級アミノ基、メルカプト基を有する化合物との反応により得られる二級水酸基を1分子中に2個以上有する化合物も、多価アルコール類として挙げられる。これらのアルコール化合物は、第一、第二、又は第三アルコールのいずれでもよい。
本実施の形態におけるマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物は、エポキシ樹脂(e3)と本実施の形態のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤とを含み、その質量比(エポキシ樹脂:マイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤)が、100:0.1〜100:1000であり、好ましくは100:1〜100:500であり、より好ましくは100:10〜100:100である。
(II−1)エポキシ樹脂(e3)
エポキシ樹脂(e3)としては、上述のコア(C)に含まれるアミンアダクトの原料となるエポキシ樹脂(e1)の例として挙げた多価エポキシ化合物が使用できる。これらのエポキシ樹脂は単独で使用してもよいし、併用してもよい。これらの中でも、得られる硬化物の接着性や耐熱性の観点から、多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノール型エポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールAのグリシジル化物とビスフェノールFのグリシジル化物がさらに好ましい。
本実施の形態におけるマスターバッチ型エポキシ樹脂硬化剤組成物を製造する方法としては、特に限定されないが、マイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を、三本ロール等を用いてエポキシ樹脂(e3)中に分散させる方法や、エポキシ樹脂(e3)の中でマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤の生成反応を行い、マイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を得ると同時に、マスターバッチ型エポキシ樹脂硬化剤組成物を得る方法等が挙げられる。上記の中でも、後者の方法が、生産性が高くなる傾向にあるため、好ましい。
本実施の形態におけるマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物は、これをさらにエポキシ樹脂で希釈して、一液性エポキシ樹脂組成物とすることができる。このような一液性エポキシ樹脂組成物として好ましいものは、エポキシ樹脂(e4)と、本実施の形態のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を含み、その質量比(エポキシ樹脂(e4):マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物)が100:0.01〜100:1000の範囲にあるものである。
また、一液性エポキシ樹脂組成物の製造方法としては、上述のマスターバッチ型エポキシ樹脂硬化剤組成物の製造方法の例として挙げた方法が利用できる。
本実施の形態におけるマスターバッチ型エポキシ樹脂用性硬化剤組成物や一液性エポキシ樹脂組成物には、その機能を低下させない範囲で、増量剤、補強材、充填材、顔料、有機溶剤等、その他の添加剤を含有することができる。その他の添加剤の含有量は、好ましくは30質量%未満である。
以下の実施列及び比較例における各種物性の測定及び評価は次のようにして行った。
(1)エポキシ当量
1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量(g)であり、JIS K−7236に従って求めた。
試料1gを25mLのエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解し、これに1規定KOHのプロピレングリコール溶液25mLを加えて20分間煮沸した後、硝酸銀水溶液で滴定した。
マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を、キシレンを用いて、エポキシ樹脂が無くなるまで洗浄と濾過を繰り返した。次に濾液を100℃以下で減圧留去し、エポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂試料1〜10gを滴定量が3〜7mLになるよう精秤し、25mLのエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解し、これに1規定KOHのプロピレングリコール溶液25mLを加えて20分間煮沸したのち、硝酸銀水溶液で滴定した。
エポキシ樹脂を、以下の方法で分析して定量した。すなわち東ソー社製、高速液体クロマトグラフィ(AS−8021、検出器UV−8020、以下、HPLCという。)で、カラムはミリポア社製のノバパックC−18を使用した。移動相は水/アセトニトリル=70/30〜0/100にグラジェントをかけた。なお、検出波長を254nmとした。HPLC分析して両方の末端構造の違いによる分離条件を選定して、分離液について切り替え弁を使用して分取した。分取した分離液をフラクションごとに減圧、留去し残渣をMSで分析した。MSスペクトルにより、基準ピークの質量数に18の差があるもの同士について、18小さいものを基本構造成分、18大きいものをジオール末端不純成分とした。HPLC分析チャート上のジオール末端不純成分ピークの強度を示す面積と、基本構造成分を示すピーク強度の面積比でエポキシ樹脂中の基本構造成分に対する、ジオール末端不純成分の含有量を求めた。
粒子粉末として4mgを0.1質量%界面活性剤(三井サイテック社製、エアロゾルOT−75)のシクロヘキサン溶液32gに入れ、超音波洗浄器(本田電子社製、MODEL W−211)で5分超音波照射して分散した。このときの超音波洗浄器内の水温は19±2℃に調整した。得られる分散液を一部取り、HORIBA LA−920(堀場製作所社製、粒度分布計 HORIBA LA−920)にて粒度分布測定を行い、これに基づき平均粒径を求めた。
下記条件においてGPCにより測定した。
カラム名:TSKgelG4000H
移動相:100mMエチレンジアミンを含有するN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)
検出器:RI
分子量マーカー:ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール
マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤を、キシレンを用いて、エポキシ樹脂が無くなるまで洗浄と濾過を繰り返した後、キシレンが無くなるまでシクロヘキサンで洗浄と濾過を繰り返した。その後、シクロヘキサンを濾別し、50℃以下の温度でシクロヘキサンを完全に除去乾燥して、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物からマイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤を分離した。
このようにして得られたマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤の表面に対して、日本分光社製、FT/IR−410を使用し、吸光度を測定した。
予め、次の手順で検量線を作成した。波数1630〜1680cm-1の赤外線を吸収する結合基(x)を有するモデル化合物(1)、波数1680〜1725cm-1の赤外線を吸収する結合基(y)を有するモデル化合物(2)、及び、波数1730〜1755cm-1の赤外線を吸収する結合基(z)を有するモデル化合物(3)として以下のものを用いた。
なお、モデル化合物(1)、(2)、(3)及び標準物質であるテトラメチルこはく酸ニトリルは、いずれも東京化成の試薬グレードを用いた。
次に、(6)と同様にしてマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物から分離したマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を40℃で真空乾燥してその質量を求めた。
そして、このマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を、メタノールを用いて、エポキシ樹脂硬化剤がなくなるまで洗浄とろ過を繰り返し、50℃以下の温度でメタノールを完全に除去乾燥して、シェルだけを分離した。このシェルを40℃で真空乾燥して、質量を測定し、結合基の濃度比測定用サンプルを得た。
このサンプル3gに、標準物質であるテトラメチルこはく酸ニトリルを10mg加えて、メノウ乳鉢で粉砕混合後、その混合物2mgとKBr粉末50mgとをともに粉砕し、錠剤成型機を用いてFT−IR測定用錠剤を作成した。この錠剤を用いて、日本分光(株)社製、FT/IR−410により赤外線スペクトルを得た。
得られたスペクトルチャートの面積と予め作成した検量線より、結合基(x)、(y)、(z)のサンプル中の濃度を求めて、マイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤1kg当たりの結合基量とその濃度比を求めた。
(7)と同様にして分離したシェルに対して、Bruker社製DSX400(磁場:400MHz)を使用し、観測測定核種13C、パルスプログラムCPSELTICS、パルス条件(繰り返し時間5秒、プロトンの90度パルス5.2マイクロ秒、コンタクト時間1ミリ秒)、マジックアングルスピニング5000Hzの条件で、C13核磁気共鳴スペクトルを測定した。メタクリル酸メチルポリマーのC13核磁気共鳴スペクトルをモデル合成物として、165〜175ppmに現れるエステル基のカルボニル炭素によるピーク高さと、28〜38ppmに現れるメチレン鎖によるピーク高さの比が、モデル化合物と比較して10分の1以下である場合、エステル基のカルボニル炭素がないと判定し、これに基づいてエステル結合の有無を判定した。
マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を40℃で1週間保存した前後の粘度を測定し、その粘度上昇倍率を評価した。保存後の粘度上昇率が10倍以上又はゲル化した場合を「×」、5倍以上10倍未満の場合を「△」、2倍以上5倍未満の場合を「○」、2倍未満の場合を「◎」と判定した。なお、粘度は、25℃でBM型粘度計を使用して測定した。
マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物80質量部をトルエン15質量部、MIBK5質量部と混合したサンプルを調製し、40℃で6時間加温し、加温後のサンプルの粘度を測定した。粘度が200mPa・s以下のものを「◎」、200〜1000mPa・sのものを「○」、1000〜20000mPa・sのものを「△」、20000〜2000000mPa・sのものを「×」、2000000mPa・s以上のものを「××」と判定した。
マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を30℃湿度85%の恒湿状態で6時間保持した後、40℃で1週間保存した前後の粘度を測定し、その粘度上昇倍率を評価した。保存後の粘度上昇率が10倍以上又はゲル化した場合を「×」、5倍以上10倍未満の場合を「△」、2倍以上5倍未満の場合を「○」、2倍未満の場合を「◎」とした。なお、粘度は、25℃でBM型粘度計を使用した。
JIS C−6521に準拠したゲル化試験機によるゲル化までの時間について、次のように測定して評価した。
ゲル板を130℃に保ち、その板上に0.4mLの一液性エポキシ樹脂組成物の試料を載置し、載置後かきまぜ棒でかき混ぜ、糸が引かなくなるまでの時間、すなわちゲル化までの時間(秒)を測定した。ゲル化時間が90秒以下の場合を「◎」、90秒から120秒までの場合を「○」、120秒から180秒までの場合を「△」、180秒以上の場合を「×」と判定した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、AER2603)50質量部、硬化剤としてメチル無水フタル酸を主成分とするHN−2200(日立化成工業社製)を40質量部、及び平均粒径5μmの球状溶融シリカ60質量部を、均一に分散、配合した。これにマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を5質量部加えて一液性エポキシ樹脂組成物を得た。
得られた一液性エポキシ樹脂組成物を40℃で1週間保存した前後の粘度を測定し、粘度上昇倍率を評価した。保存後の粘度上昇率が10倍以上又はゲル化した場合を「×」、5倍以上10倍未満の場合を「△」、2倍以上5倍未満の場合を「○」、2倍未満の場合を「◎」と判定した。なお、粘度は、25℃でBM型粘度計を使用して測定した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、AER2603)50質量部、硬化剤としてメチル無水フタル酸を主成分とするHN−2200(日立化成工業社製)40質量部、及び平均粒径5μmの球状溶融シリカ60質量部を、均一に分散、配合した。これにマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を5質量部加えて得られた一液性エポキシ樹脂組成物をシリンジに充填した。20ミクロンスペーサーを2枚の50mm四方のガラス板で10mmずらしてはさみ固定して水平に置いた。ガラス板間のギャップに一液性エポキシ樹脂組成物を0.1g滴下して室温でのエポキシ樹脂組成物の浸透状況を観察した。エポキシ樹脂組成物を滴下した端面から3cmの距離を浸透するまでの時間が30分未満の場合を「◎」、30分以上60分未満の場合を「△」、60分以上の場合を「×」と判定した。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185g/当量、全塩素量1400ppm、以下「エポキシ樹脂e1−1」という。)(旭化成ケミカルズ社製、AER250)1.5当量と、2−エチル−4−メチルイミダゾール1当量(活性水素換算)とを、n−ブタノールとトルエンの1/1混合溶媒中(樹脂分50%)で、80℃で反応させた。その後、減圧下で、2−エチル−4−メチルイミダゾールを、その含有量が10ppm未満になるまで溶媒と共に留去し、25℃で固体のアミンアダクトを得た。得られたアミンアダクト99.1質量部を溶融し、これに0.9質量部の2−エチル−4−メチルイミダゾールを均一に混合し、アミン系硬化剤1を得た。アミン系硬化剤1をGPCで測定した結果、ポリエチレングリコール換算での重量平均分子量は2200であった。
エポキシ樹脂e1−1 1当量、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量470g/当量、全塩素量1300ppm、以下「エポキシ樹脂e1−2」という。)(旭化成ケミカルズ製 AER6071)1当量と、トリエチレンテトラミン2当量を、2−プロパノールとトルエンの1/2混合溶媒中(樹脂分50%)で、80℃で反応させた。その後、減圧下で溶媒を留去した。得られたアミン系硬化剤2は、25℃で固体であり、アミンアダクトを主成分とし、トリエチレンテトラミンを0.3質量%含有していた。
エポキシ樹脂e1−2 0.5当量、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215g/当量、全塩素量1500ppm)1当量と、N―メチルピペラジン1.8当量を、2−プロパノール/トルエン/プロピレングリコールモノメチルエーテルを1/1/1混合溶媒中(樹脂分50%)で、80℃で反応させた。その後、減圧下で溶媒を留去した。得られたアミン系硬化剤3は、25℃で固体であり、アミンアダクトを主成分とし、N―メチルピペラジンを0.8質量%含有していた。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂e1−1 1.5当量と、2−メチルイミダゾール1.2当量を、n−ブタノールとトルエンの1/1混合溶媒中(樹脂分50%)で、80℃で反応させた。その後、減圧下で溶媒を留去した。得られたアミン系硬化剤4は、25℃で固体であり、アミンアダクトを主成分とし、2―メチルイミダゾールを0.4質量%含有していた。
2−エチル−4−メチルイミダゾールを0.75当量(活性水素換算)としたこと以外はアミン系硬化剤1の製造と同様にしてアミン系硬化剤5を得た。GPCで測定したポリエチレングリコール換算での重量平均分子量は60000であった。
アミン系硬化剤1を粉砕して、25℃で固体の平均粒径2.5μmの粒子c−1を得た。c−1の円形度は0.91であった。日本ニューマチック社製メテオレインボ−MR−10を使用し、下記条件で熱風処理することにより球形のc−1gを得た。
処理速度:4kg/hr
熱風温度:250℃
円形度:0.97
平均粒径:2.6μm
粒子c−1中の水分含有量は、粒子c−1 100質量部に対して、0.6質量部であった。
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量175g/当量、ジオール末端不純成分/基本構造成分=0.08、全塩素量1400ppm、以下「エポキシ樹脂e3−1」という。)200質量部に、前記粒子c−1g 100質量部、水1.5質量部、トリレンジイソシアネート(TDI)5質量部を加え、40℃で攪拌しながら3時間反応を続けた。その後、50℃で8時間反応させ、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を得た。そして、その貯蔵安定性・耐溶剤性・耐湿性を評価し、結果を表1に示した。
次に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量189g/当量、全塩素量1200ppm、以下「エポキシ樹脂e4−1」という。)100質量部に、得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を30質量部配合し、一液性エポキシ樹脂組成物を得た。そして、その硬化性、耐フィラー性、浸透性を評価し、結果を表1に示した。
なお、得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物中のシェル(S)を分析した結果、1630〜1680cm-1と波数1680〜1725cm-1、1730〜1755cm-1に吸収を有することが確認された。
また、モデル化合物(1)、(2)、(3)の分析チャート、及び標準物質とモデル化合物より作成した検量線を用いて、シェル中の結合基(x)、(y)、(z)の含有量及び濃度比を測定した。その結果を表1に示した。
また、分離したシェル(S)のC13核磁気共鳴スペクトル測定を行い、シェルに含まれる樹脂がエステル結合を有さないことを確認した。
アミン系硬化剤2を粉砕して、平均粒径2.0μmの粒子c−2を得た。c−2の円形度は0.92であった。日本ニューマチック社製、メテオレインボ−MR−10を使用し、下記条件で熱風処理することにより球形のc−2gを得た。
処理速度:4kg/hr
熱風温度:250℃
円形度:0.98
平均粒径:2.2μm
粒子c−2中の水分含有量は粒子c−2 100質量部に対して、1.2質量部であった。
実施例1で用いたものと同じエポキシ樹脂e3−1 200質量部に、エポキシ樹脂用硬化剤粒子c−2g 100質量部、水1.5質量部、及びポリメチレンフェニレンポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製、MR−200)5質量部を加え、実施例1と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を得、その貯蔵安定性・耐溶剤性・耐湿性を評価した。その結果を表1に示した。
次に、得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤を用いて、実施例1と同様にして、一液性エポキシ樹脂組成物を得、その硬化性を評価した。その結果を表1に示した。なお、得られたマイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤は、その表面が波数1630〜1680cm-1と波数1680〜1725cm-1、1730〜1755cm-1に吸収を有し、シェルにエステル結合を有さないことが確認された。また、シェルの結合基(x)、(y)、(z)の含有量と、その濃度比は表1に示すとおりであった。
アミン系硬化剤3を粉砕して、平均粒径1.9μmの粒子c−3を得た。c−3の円形度は0.91であった。日本ニューマチック社製メテオレインボ−MR−10を使用し、下記条件で熱風処理することにより球形のc−3gを得た。
処理速度:4kg/hr
熱風温度:250℃
円形度:0.97
平均粒径:2.0μm
この粒子c−3中の水分含有量は粒子c−3 100質量部に対して、0.7質量部であった。
実施例1で用いたものと同じエポキシ樹脂e3−1 200質量部に、エポキシ樹脂用硬化剤粒子c−3g 100質量部、水1.0質量部、及び4、4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)5質量部加え、40℃で攪拌しながら3時間反応を続けた。その後、環状ホウ酸エステル化合物(L)を0.5質量部加え、さらに50℃で8時間反応させ、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤を得た。そして、その貯蔵安定性・耐溶剤性・耐湿性を評価した。その結果を表1に示した。
次に、得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤を用いて、実施例1と同様にして、一液性エポキシ樹脂組成物を得、その硬化性を評価し、結果を表1に示した。
なお、得られたマイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤は、その表面が波数1630〜1680cm-1と波数1680〜1725cm-1、1730〜1755cm-1に吸収を有し、シェルにエステル結合を有しないことが確認された。また、シェルの結合基(x)、(y)、(z)の含有量と、その濃度比は表1に示すとおりであった。
アミン系硬化剤4を粉砕して、平均粒径2.5μmの粒子c−4を得た。c−4の円形度は0.92であった。日本ニューマチック社製、メテオレインボ−MR−10を使用し、下記条件で熱風処理することにより球形のc−4gを得た。
処理速度:4kg/hr
熱風温度:250℃
円形度:0.98
平均粒径:2.5μm
粒子c−4中の水分含有量は、粒子c−4 100質量部に対して、1.0質量部であった。
実施例1で用いたものと同じエポキシ樹脂e3−1 200質量部に、エポキシ樹脂用硬化剤粒子c−4g 100質量部、水0.5質量部、ポリメチレンフェニレンポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製MR−200)5質量部加え、実施例1と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を得、その貯蔵安定性・耐溶剤性・耐湿性を評価した。その結果を表1に示した。
次に、得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用系硬化剤を用いて、実施例1と同様にして、一液性エポキシ樹脂組成物を得、その硬化性を評価し、結果を表1に示した。
なお、得られたマイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤は、その表面が波数1630〜1680cm-1と波数1680〜1725cm-1、1730〜1755cm-1に吸収を有し、シェルにエステル結合を有さないことが確認された。また、シェルの結合基(x)、(y)、(z)の含有量と、その濃度比は表1に示すとおりであった。
アミン系硬化剤4に分散安定剤の固形分濃度が8質量%になるように、メチルメタクリレートをグラフト共重合したメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体の32.3%MIBK溶液(東亜合成社製、レゼダGP101S)を加え、MIBKを留去後、粉砕して、平均粒径2.6μmの粒子c−aを得た。c−aの円形度は0.93であった。日本ニューマチック社製、メテオレインボ−MR−10を使用し、下記条件で熱風処理することにより球形のc−agを得た。
処理速度:4kg/hr
熱風温度:250℃
円形度:0.97
平均粒径:2.5μm
粒子c−ag中の水分含有量は、粒子c−ag 100質量部に対して、1.0質量部であった。
実施例1で用いたものと同じエポキシ樹脂e3−1 200質量部に、エポキシ樹脂用硬化剤粒子c−ag 100質量部、水0.5質量部、ポリメチレンフェニレンポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製、MR−200)5質量部加え、実施例1と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を得、その貯蔵安定性・耐溶剤性・耐湿性を評価し、結果を表1に示した。
得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物から、キシレンを用いて、マイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤を分離し、IRの1740cm-1の吸収強度により分散安定剤を定量した結果、レゼダGP101S換算で8質量%の分散安定剤が含有されていた。
次に、得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用系硬化剤を用いて、実施例1と同様にして、一液性エポキシ樹脂組成物を得、その硬化性を評価し、結果を表1に示した。
なお、得られたマイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤は、その表面が波数1630〜1680cm-1と波数1680〜1725cm-1、1730〜1755cm-1に吸収を有し、シェルの結合基(x)、(y)、(z)の含有量と、その濃度比は表1に示すとおりであった。
アミン系硬化剤4に分散安定剤の固形分濃度が5質量%になるように、メチルメタクリレートをグラフト共重合したメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体の32.3%MIBK溶液(東亜合成株式会社製、レゼダGP101S)を加え、MIBKを留去後、粉砕して、平均粒径2.6μmの粒子c−bを得た。c−bの円形度は0.93であった。日本ニューマチック社製、メテオレインボ−MR−10を使用し、下記条件で熱風処理することにより球形のc−bgを得た。
処理速度:4kg/hr
熱風温度:250℃
円形度:0.97
平均粒径:2.5μm
粒子c−bg中の水分含有量は、粒子c−bg 100質量部に対して、1.0質量部であった。
実施例1で用いたものと同じエポキシ樹脂e3−1 200質量部に、エポキシ樹脂用硬化剤粒子c−bg 100質量部、水0.5質量部、ポリメチレンフェニレンポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製、MR−200)5質量部加え、実施例1と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を得、その貯蔵安定性、耐溶剤性、及び耐湿性を評価した。その結果を表1に示した。
得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物から、キシレンを用いて、マイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤を分離し、IRの1740cm-1の吸収強度により分散安定剤を定量した結果、レゼダGP101S換算で5質量%の分散安定剤が含有されていた。
次に、得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用系硬化剤を用いて、実施例1と同様にして、一液性エポキシ樹脂組成物を得、その硬化性を評価した。その結果を表1に示した。
なお、得られたマイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤は、その表面が波数1630〜1680cm-1と波数1680〜1725cm-1、1730〜1755cm-1に吸収を有し、シェルの結合基(x)、(y)、(z)の含有量と、その濃度比は表1に示すとおりであった。
熱風処理せずに、アミン系硬化剤1を粉砕して得られる粒子c−1をそのまま用いたこと以外は実施例1と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤c−1を作製し、これからマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を得、その特性を評価した。その結果を表1に示した。
次に、得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、一液性エポキシ樹脂組成物を得、その硬化性を評価した。その結果を表1に示した。
温度計、還流冷却器及びガラス製半月型攪拌装置を備えた丸底三つ口フラスコに、MIBKを2805質量部仕込み、これに、2−メチルイミダゾール150質量部と、分散安定剤としてメチルメタクリレートをグラフト共重合したスチレン/グリシジルメタクリレート(東亜合成社製、レゼタGP300)24.3質量部と、メチルメタクリレートをグラフト共重合したメチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体の32.3%MIBK溶液(東亜合成社製、レゼダGP101S)150.5質量部とを加えた。その後、温度を70℃に上げてこれらを完全に溶解させた。次いで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂e1−1の50質量%溶液864質量部を加え、内容物を400rpmの速度で攪拌しながら、70℃で9時間反応させた。当初ごく薄く濁った反応液は、反応時間が経過するにつれて、次第に乳白色、不透明な液に変化し、反応終期においてはクリーム色を帯びた乳白色液となった。
70℃で9時間の反応により反応率100%に達した後、室温に冷却し、スプレードライヤー(ヤマト科学社製、有機溶剤系用スプレードライヤー、GS−31型)で噴霧乾燥して、乾燥硬化剤粒子を回収した。噴霧乾燥の条件は、次の通りであった。
噴霧ノズル径:0.4mm
乾燥チャンバー入口温度:110℃
乾燥チャンバー出口温度:75℃
熱風流量:0.53m3/min.
噴霧圧力:1.0kg/cm2
送液速度:7.9g/min.
コンデンサー出口温度:12℃
この噴射乾燥により、ほぼ理論量の乾燥した付加体粒子(z)が回収された。付加体粒子(z)の平均サイズは2.3μm、円形度は0.98であった。
また、付加体粒子(z)をFT−IR測定し、1740cm-1の吸収強度により分散安定剤を定量した結果、レゼダGP101S換算で10質量%の分散安定剤が含有されていた。
得られた付加体粒子(z)100質量部を200質量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂e3−1に加え、簡単に粗練してから3本ロールミルを通して完全に分散させて分散液とした。分散液250質量部を加熱可能な攪拌装置付き反応器に移し、攪拌しながら60℃に加熱した。この温度を保ちながら、約1時間にわたって5質量部のポリメチレンフェニレンポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製、MR−200)を加え、6時間加熱して、添加したポリメチレンフェニレンポリイソシアネートを完全に反応させて、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を得た。得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の特性を表1に示す。
さらに、得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物から、キシレンを用いて、マイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤を分離し、IRの1740cm-1の吸収強度により分散安定剤を定量した結果、レゼダGP101S換算で9質量%の分散安定剤が含有されていた。
なお、得られたマイクロカプセル型エポキシ樹脂硬化剤は、FT−IR測定してその表面を分析した結果、表1に示す割合で1630〜1680cm-1と波数1680〜1725cm-1、1730〜1755cm-1に吸収を有することが確認された。
次に、得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用系硬化剤組成物を用いて、実施例4と同様にして、一液性エポキシ樹脂組成物を得、その硬化性を評価した。その結果を表1に示した。
熱風処理せずに、アミン系硬化剤2を粉砕して得られた粒子c−2をそのまま用いたこと以外は実施例2と同様にして、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤c−2を作製し、これからマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を得、その特性を評価した。その結果を表1に示した。
次に、得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を用いて、実施例2と同様にして、一液性エポキシ樹脂組成物を得、その硬化性を評価した。その結果を表1に示した。
アミン系硬化剤5を粉砕して粒子c−5を得た。粒子c−5の円形度は0.90であった。実施例1と同様の条件で熱風処理しても円形度は0.91までしか高まらなかった。
分散安定剤としてレゼタGP300とレゼダGP101Sを使用しなかったこと以外は比較例2と同様にして、2−メチルイミダゾールとエポキシ樹脂e1−1の反応生成物を得た。比較例2とは異なり、反応終期において乳白色液とならず樹脂が析出した不均一な混合物を得た。比較例2と同様にして室温に冷却し、スプレードライヤーで噴霧乾燥すると、機器が詰まり安定な運転ができなかった。得られた粒子の平均サイズは100μm以上であった。分散安定剤を使用しないとフリーズドライ方式で球状のコアが得られなかった。
[導電性フィルムの作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、AER−2603)15質量部、フェノールノボラック樹脂(昭和高分子社製、BRG−558)6質量部、合成ゴム(日本ゼオン社製、ニポール1072、質量平均分子量30万)4質量部を、メチルエチルケトンとブチルセロソルブアセテートの1:1(質量比)混合溶剤20質量部に溶解した。この溶液に銀粉末74質量部を混合し、さらに三本ロールにより混練した。これに実施例2で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤を30質量部加えて、さらに均一に混合させて、導電性接着剤を得た。得られた導電性接着剤を用いて、厚さ40μmのポリプロピレンフィルム上にキャストして、80℃で60分間、乾燥半硬化させ、厚さ35μmの導電性接着剤層を有する導電性フィルムを得た。この導電性フィルムを用い、80℃のヒートブロック上でシリコンウェハー裏面に導電性接着剤層を導電性フィルムに転写させた。さらに、シリコンウェハーをフルダイシングし、ヒートブロック上でリードフレームに導電性接着剤付半導体チップを、200℃、2分間の条件で接着硬化させると、チップの導電性に問題がないことが確認された。
[導電性ペーストの作製]
100質量部のエポキシ樹脂(M)に、実施例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤30質量部、平均粒子径が14μm、アスペクト比が11の鱗片状銀粉(徳力化学研究所社製)150g及び平均粒子径が10μm、アスペクト比が9の鱗片状ニッケル粉(高純度化学社製、NI110104)60質量部を添加し、均一になるまで撹拌後、三本ロールで均一に分散して導電性ペーストを得た。得られた導電性ペーストを、厚さ1.4mmのポリイミドフィルム基板上にスクリーン印刷した後、200℃で1時間、加熱硬化させた。得られた配線板の導電性を測定し、導電性ペーストとして有用なものであることが確認された。
[異方導電性フィルムの作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、AER6097、エポキシ当量42500g/eq)10質量部、フェノキシ樹脂(東都化成社製、YP−50)30質量部を酢酸エチル30質量部に溶解させ、これに実施例2で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤を30質量部、粒径8μmの導電粒子(金メッキを施した架橋ポリスチレン)5質量部を加え均一に混合し、一液性エポキシ樹脂組成物を得た。これをポリエステルフィルム上に塗布し、70℃で酢酸エチルを乾燥除去し、異方導電性フィルムを得た。
得られた異方導電性フィルムをICチップと電極間に挟み、180℃のホットプレート上で30kg/cm2、20秒間熱圧着を行い、電極間が接合したところ、導通がとれ、異方導電性材料として有用であることが確認された。
[異方導電性フィルムの作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、AER6097、エポキシ当量42500g/eq)10質量部、フェノキシ樹脂(東都化成社製、YP−50)30質量部を酢酸エチル30質量部に溶解させ、これに比較例2で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤を30質量部、粒径8μmの導電粒子(金メッキを施した架橋ポリスチレン)5質量部を加え均一に混合し、一液性エポキシ樹脂組成物を得た。これをポリエステルフィルム上に塗布し、70℃で酢酸エチルを乾燥除去し、異方導電性フィルムを得た。
得られた異方導電性フィルムをICチップと電極間に挟み、180℃のホットプレート上で30kg/cm2、20秒間熱圧着を行ったところ、50%のICチップで電極間に接合しない箇所があり、導通がとれなかった。また、接合のとれたICチップを85℃、85RH%の環境試験を行った後に動作確認を行うと、初期状態で正常動作したICチップの50%に導通がとれなかった。チップを剥離すると電極に腐食が観察された。
以上のことから、比較例2のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤を用いると異方導電性材料として有用なものとはならないことが分かった。
[異方導電性フィルムの作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、AER6097、エポキシ当量42500g/eq)10質量部、フェノキシ樹脂(東都化成社製、YP−50)30質量部を酢酸エチル30質量部に溶解させ、これに比較例3で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤を30質量部に、粒径8μmの導電粒子(金メッキを施した架橋ポリスチレン)5質量部を加え均一に混合し、一液性エポキシ樹脂組成物を得た。これをポリエステルフィルム上に塗布し、70℃で酢酸エチルを乾燥除去し、異方導電性フィルムを得た。得られた異方導電性フィルムの表面には凝集物が存在し平滑性が低かった。
得られた異方導電性フィルムをICチップと電極間に挟み、180℃のホットプレート上で30kg/cm2、20秒間熱圧着を行うと、電極間が接合しないため導通がとれず、異方導電性材料として有用なものとはならなかった。
[異方導電性ペーストの作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、AER6091、エポキシ当量480g/eq)50質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、AER2603)50質量部と、導電粒子としてミクロパールAu−205(積水化学社製、比重2.67)5質量部を混合後、実施例2で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を30質量部加えて、さらに均一に混合させて、異方導電性ペーストを得た。得られた異方導電性ペーストを、ITO電極を有する低アルカリガラス上に塗布した。230℃のセラミックツールで、30秒間、2MPaの圧力にて、試験用TAB(Tape Automated Bonding)フィルムと圧着し貼り合わせを行った。ガラス上のITO電極とTAB上との配線間の導通が確認され、また隣接するITO電極間に十分な絶縁性が確認され、異方導電性ペーストとして有用であることが確認された。
[絶縁性ペーストの作製]
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、YL983U)100質量部、ジシアンジアミド4質量部、シリカ粉末100質量部、希釈剤としてフェニルグリシジルエーテル10質量部、及び有機リン酸エステル(日本化薬社製、PM−2)1質量部を十分混合した後、三本ロールで混練した。さらに、実施例2で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を30質量部加えて、均一に混合し、減圧脱泡及び遠心脱泡処理を行い、絶縁性ペーストを作製した。得られた絶縁性ペーストを200℃で1時間加熱硬化させることで、半導体チップを樹脂基板上に接着させた。その結果、絶縁性ペーストとして有用であることが分かった。
[絶縁性フィルムの作製]
フェノキシ樹脂(東都化成社製、YP−50)180質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量200g/eq、日本化薬社製、EOCN−1020−80)40質量部、球状シリカ(平均粒径:2μm、アドマテック社製、SE−5101)300質量部、メチルエチルケトン200質量部を調合し均一分散させた後、これに実施例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を250質量部加えて、さらに攪拌・混合してエポキシ樹脂組成物を含む溶液を得た。得られた溶液を、離型処理を施したポリエチレンテレフタレート上に、乾燥後の厚さが50μmになるように塗布し、熱風循環式乾燥機の中で加熱乾燥を行い、半導体接着用の絶縁性フィルムを得た。得られた半導体接着用の絶縁性フィルムを5インチのウェハサイズよりも大きく支持基材ごと切断し、バンプ電極付きウェハの電極部側に樹脂フィルムを合わせた。次に、離型処理付き支持基材を上に挟み、70℃、1MPa、加圧時間10秒で真空中加熱圧着し、接着樹脂付きウェハを得た。続いて、ダイシングソー(DISCO社製、DAD−2H6M)を用いてスピンドル回転数30,000rpm、カッティングスピード20mm/secで切断分離した個片の接着フィルム付き半導体素子の樹脂剥がれがないことを観察した。得られたフィルムは絶縁性フィルムとして有用なものであった。
[封止材の作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、AER6091、エポキシ当量480g/eq)50質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、AER2603)50質量部、硬化剤としてメチル無水フタル酸を主成分とするHN−2200(日立化成工業社製)40質量部、及び平均粒径16μmの球状溶融シリカ80質量部を、均一に分散、配合した。これに実施例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を5質量部加えて、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物をプリント配線基板上に厚さ60μmになるように1cm角に塗布し、110℃で10分、オーブンで加熱して半硬化させた。その後、厚さ370μm、1cm角のシリコンチップを半硬化させたエポキシ樹脂組成物の上に乗せ、荷重を加えてバンプとチップの電極を接触・保持しつつ、220℃で1時間、完全硬化処理を行った。得られたエポキシ樹脂組成物からなる封止材は、外観及びチップの導通に問題のない有用なものであった。
[アンダーフィル材の作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ製、AER2603)50質量部、硬化剤としてメチル無水フタル酸を主成分とするHN−2200(日立化成工業社製)40質量部、及び平均粒径5μmの球状溶融シリカ60質量部を、均一に分散、配合した。これに実施例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を5質量部加えて、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物をシリンジに充填し、プリント配線基板上に半田接合された10mm四方のフリップチップとプリント基板の間の20ミクロンギャップに室温で1時間かけて浸透させ、150℃、5時間で硬化させ、封止した。得られたチップは85℃、85RH%500時間の環境試験を行っても動作に異常がなかった。試験後、断面のSEM観察を行うと、チップの配線間に封止材が充填されていることが確認された。
[アンダーフィル材の作製2]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ製、AER2603)50質量部、硬化剤としてメチル無水フタル酸を主成分とするHN−2200(日立化成工業社製)を40質量部、及び平均粒径5μmの球状溶融シリカ60質量部を、均一に分散、配合した。これに実施例5で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を5質量部加えて、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物をシリンジに充填し、プリント配線基板上に半田接合された10mm四方のフリップチップとプリント基板の間の20ミクロンギャップに室温で1時間かけて浸透させ、150℃、5時間で硬化させ、封止した。得られたチップは85℃、85RH%500時間の環境試験を行っても動作に異常がなかった。試験後、断面のSEM観察を行うと、チップの配線間に封止材が充填されていることが確認された。
[アンダーフィル材の作製]
比較例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤を用いたこと以外は実施例13と同様にして、エポキシ樹脂組成物を得、チップを封止した。得られたチップを85℃、85RH%500時間の信頼性試験を行い、その動作確認を行ったところ、約10%のチップが正常に作動しなかった。試験後、断面のSEM観察を行うと、チップの配線間に部分的に封止材が充填されていない箇所があり、チップ配線に腐食が観察された。
[アンダーフィル材の作製]
比較例2で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤を用いたこと以外は実施例13と同様にして、エポキシ樹脂組成物を得、チップを封止した。得られたチップを85℃、85RH500時間の信頼性試験を行い、その動作確認を行ったところ、約50%のチップが正常に作動しなかった。試験後、断面のSEM観察を行うと、チップとプリント配線プリント基板間にアンダーフィル材が充填されていない箇所があり、チップ配線の腐食と半田接続の断線が観察された。
[コーティング材の作製]
エポキシ樹脂(M)30質量部、フェノキシ樹脂としてYP−50を30質量部(東都化成社製)、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のメチルエチルケトン溶液(荒川化学工業社製、コンポセランE103)50質量部を混合し、これに実施例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を30質量部加えて、メチルエチルケトンで50質量%に希釈・混合させた溶液を調製した。調製した溶液を、剥離PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(パナック社製、SG―1)上に、ロールコーターを用いて塗布し、150℃で15分間、乾燥、硬化させ、剥離フィルム付き半硬化樹脂(ドライフィルム)膜厚100μmを作製した。これらのドライフィルムを、先の銅張り積層板上に120℃で10分間、6MPaで加熱圧着した後、室温に戻して剥離フィルムを除去し、200℃で2時間硬化させた。この結果、層間絶縁用のコーティング材として有用なものが得られることが分かった。
[塗料組成物の作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、AER6091、エポキシ当量480g/eq)50質量部に、二酸化チタン30質量部、タルク70質量部を配合し、混合溶剤としてMIBK/キシレンの1:1混合溶剤140質量部を添加、攪拌、混合して主剤とした。これに実施例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を30質量部添加し、均一に分散させることにより、エポキシ塗料組成物として有用なものが得られることが分かった。
[プリプレグの作製]
130℃のオイルバス中のフラスコ内に、ノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、EPICLON N−740)15質量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(JER社製、エピコート4005)40質量部、及びビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、AER2603)30質量部を、溶解・混合し80℃まで冷却した。さらに実施例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を15質量部加えて、十分、攪拌して混合した。室温に冷ました前記樹脂組成物を離型紙上にドクターナイフを用いて樹脂目付162g/m2で塗布し、樹脂フィルムとした。次に、この樹脂フィルム上に弾性率24トン/mm2の炭素繊維を12.5本/インチで平織りした三菱レイヨン製CFクロス(型番:TR3110、目付200g/m2)を重ねて樹脂組成物を炭素繊維クロスに含浸させた後、ポリプロピレンフィルムを重ねて表面温度90℃のロール対の間を通して、クロスプリプレグを作製した。樹脂の含有率は45質量%であった。得られたプリプレグを、繊維方向を揃えてさらに積層し、硬化条件150℃×1時間で成形を行い、炭素繊維を補強繊維とするFRP成形体を得た。この結果、作製したプリプレグは有用なものであることが分かった。
[熱伝導性ペーストの作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、AER2603)100質量部、エポキシ樹脂用硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(荒川化学工業社製、タマノル759)のメチルエチルケトン50%溶液を40質量部、鱗片状グラファイト粉末(ユニオンカーバイト社製、HOPG)15質量部を均一になるまで攪拌後、3本ロールで均一に分散させた。これに実施例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を15質量部加えて、十分、攪拌して混合した。得られた導電ペーストを用いてCuリードフレーム上に半導体チップ(1.5mm角、厚み0.8mm)をマウントし、かつ、150℃で、30分間加熱硬化させて評価用サンプルを得た。得られたサンプルの熱伝導性についてレーザフラッシュ法により測定した。すなわち、測定した熱拡散率α、比熱Cp、密度σから、以下の式、K=α×Cp×σより熱伝導率Kを求めた。その結果、Kが5×10-3Cal/cm・sec・℃以上あり、熱伝導性ペーストとして有用なものであることが分かった。
Claims (23)
- コア(C)と、前記コア(C)を被覆するシェル(S)と、を少なくとも有するマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤であって、
前記コア(C)が円形度0.93以上の球状であり、
前記コア(C)に対する分散安定剤の含有量が8質量%以下であり、
前記シェル(S)が、ウレア基、ビュレット基、及びウレタン基を有し、且つ、エステル基を有さず、
前記コア(C)は、以下の条件(1)を満たす粒子を出発材料として形成される、マイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤;
(1) アミン系硬化剤を主成分とする。 - 前記シェル(S)は、波数1630〜1680cm-1の赤外線を吸収する結合基(x)、波数1680〜1725cm-1の赤外線を吸収する結合基(y)、及び、波数1730〜1755cm-1の赤外線を吸収する結合基(z)を有し、前記結合基(x)の濃度(Cx)の前記結合基(x)、(y)、及び(z)の合計の濃度(Cx+Cy+Cz)に対する比(Cx/(Cx+Cy+Cz))が、0.50以上0.75未満である第一シェル(S1)を含む、請求項1に記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
- 前記シェル(S)は、前記第一シェル(S1)の表面に、前記第一シェル(S1)とエポキシ樹脂との反応生成物からなる第二シェル(S2)をさらに含む、請求項1又は2記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
- 前記コア(C)の重量平均分子量が50以上50000以下である、請求項1〜3のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
- 前記コア(C)が、以下の条件(2)〜(3)を更に満たす粒子を出発材料として形成される、請求項1〜4のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤;
(2) 水を前記アミン系硬化剤100質量部に対し0.05〜3質量部含み、
(3) メジアン径で定義される平均粒径が0.3μmを超えて12μm以下である。 - 前記シェル(S)は、イソシアネート化合物と活性水素化合物の反応生成物をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
- 前記コア(C)は、不定形の粒子を100℃以上400℃以下の熱風で処理して得られる、請求項1〜6のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤。
- エポキシ樹脂(e3)と、請求項1〜7のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤と、を含むマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物であって、
前記エポキシ樹脂(e3)と前記マイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤の質量比が100:0.1〜100:1000であるマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物。 - エポキシ樹脂(e4)と、請求項8記載のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物と、を含む一液性エポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂(e4)と前記マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の質量比が100:0.001〜100:1000である一液性エポキシ樹脂組成物。
- 酸無水物類、フェノール類、ヒドラジド類、及びグアニジン類よりなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂用硬化剤(h3)をさらに含む、請求項9記載の一液性エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有するペースト状組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する接着剤。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する接合用ペースト。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する接合用フィルム。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する導電性材料。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する異方導電性材料。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する異方導電性フィルム。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する絶縁性材料。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する封止材料。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有するコーティング用材料。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する塗料組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有するプリプレグ。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のマイクロカプセル型エポキシ樹脂用硬化剤を含有する熱伝導性材料。
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