JP5543879B2 - エポキシ樹脂用硬化剤組成物及び一液性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂用硬化剤組成物及び一液性エポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、エポキシ樹脂用硬化剤組成物、一液性エポキシ樹脂組成物、及びそれらの加工品に関する。
に関する。
エポキシ樹脂は、その硬化物が、機械的特性、電気的特性、熱的特性、耐薬品性、及び接着強度等の点で優れた性能を有することから、塗料、電気電子用絶縁材料、接着剤等の幅広い用途に利用されている。このような用途に利用されるエポキシ樹脂としては、従来使用時にエポキシ樹脂と硬化剤の二成分を混合して硬化させる、いわゆる二成分系エポキシ樹脂組成物(「二液性エポキシ樹脂組成物」と記載することがある。)があった。しかしながら、その後更なる改良を重ね、種々の一成分系エポキシ樹脂組成物(「一液性エポキシ樹脂組成物」と記載することもある。)が提案されている。
しかし、これらの一液性エポキシ樹脂組成物は、貯蔵安定性に優れているものは硬化性に劣る傾向となり(その結果、硬化のために高温又は長時間での加熱することが必要とされる)、硬化性に優れるものは貯蔵安定性に劣る傾向となる(その結果、−20℃といった低温で貯蔵することが必要とされる)等といったことがあり、硬化性と貯蔵安定性を両立させることは困難である。
そこで、耐熱性を付与できる高温硬化タイプの硬化剤を使用しながらも、低温での硬化を実現させるために、アミン系化合物及びエポキシ樹脂の付加物と、イミダゾール系化合物及びエポキシ樹脂の付加物とを混合してエポキシ樹脂硬化剤とする技術が提案されている(特許文献1参照)。
特許第3060452号公報
しかしながら、特許文献1記載の技術によれば硬化性と貯蔵安定性の両立はある程度達成できるものの、接着強度が低下するといった問題がある。近年、回路の高密度化や接続信頼性の向上、モバイル機器の軽量化、生産性の大幅な改善等といった観点から、接続材料の一つとして用いられる一液性エポキシ樹脂組成物については、貯蔵安定性を損なわずに低温硬化での接着強度を一層向上させることが望まれている。特に電子機器分野において、一液性エポキシ樹脂組成物とした際の貯蔵安定性及び低温硬化における接着強度(低温硬化性)との両立が、より高度な次元で求められている。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、貯蔵安定性及び低温硬化における接着強度(低温硬化性)に優れるエポキシ樹脂組成物とすることができるエポキシ樹脂用硬化剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、コアと、前記コアを被覆するシェルとを有するマイクロカプセル型硬化剤(a)、及びエポキシ樹脂(b)を含むエポキシ樹脂用硬化剤組成物であって、(a)成分としてコアの成分が異なる2種類以上の硬化剤を含むことで、優れた貯蔵安定性と低温硬化性を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は以下のとおりである。
[1]
コアと、前記コアを被覆するシェルとを有するマイクロカプセル型硬化剤(a)、及びエポキシ樹脂(b)を含むエポキシ樹脂用硬化剤組成物であって、
前記(a)成分として前記コアの成分が異なる2種以上の硬化剤を含む、エポキシ樹脂用硬化剤組成物。
[2]
前記(a)成分として、イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤及びアミン系マイクロカプセル型硬化剤を含む、[1]に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
[3]
前記イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤と前記アミン系マイクロカプセル型硬化剤の質量比が、1:99〜99:1である、[2]に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
[4]
前記イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤と前記アミン系マイクロカプセル型硬化剤の質量比が、10:90〜50:50である、[2]に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
[5]
前記イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤と前記アミン系マイクロカプセル型硬化剤の質量比が、15:85〜22:78である、[2]に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
[6]
前記(b)成分が、3官能以上の多官能エポキシ樹脂を含む、[1]〜[5]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
[7]
前記(b)成分が、平均官能基数が2より大きい多官能エポキシ樹脂を含む、[1]〜[6]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
[8]
前記多官能エポキシ樹脂が、グリシジルアミン化合物に由来する構造を含む、[6]又は[7]に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
[9]
前記(b)成分が、4官能以上の多官能エポキシ樹脂を含む、[6]〜[8]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
[10]
前記アミン系マイクロカプセル型硬化剤が、ジエチレントリアミン又はトリエチレンテトラミンから得られる硬化剤である、[2]〜[9]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
[11]
前記アミン系マイクロカプセル型硬化剤が、剛直骨格を有している、[2]〜[10]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
[12]
前記剛直骨格が、ベンゼン構造、ナフタレン構造、ビフェニル構造、トリフェニル構造、アントラセン構造、ジシクロペンタジエン構造、ノルボルネン構造、アセナフチレン構造、アダマンタン構造、フルオレン構造、ベンゾフラン構造、ベンゾオキサジン構造、インデン構造、インダン構造、ヒダントイン構造、オキサゾリン構造、環状カーボネート構造、芳香族環式イミド構造、脂環式イミド構造、オキサジアゾール構造、チアジアゾール構造、ベンゾオキサジアゾール構造、ベンゾチアジアゾール構造、カルバゾール構造、アゾメチン構造、オキサゾリドン構造、トリアジン構造、イソシアヌレート構造、キサンテン構造、及び下記群Gのいずれか一つで表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を有する、[1]〜[11]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
Figure 0005543879
[13]
[1]〜[12]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物と、前記(b)成分以外のエポキシ樹脂(c)とを含み、
前記エポキシ樹脂用硬化剤組成物と前記エポキシ樹脂(c)の質量比が100:10〜100:10000である、一液性エポキシ樹脂組成物。
[14]
[1]〜[12]のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物、又は[13]に記載の一液性エポキシ樹脂組成物より得られる加工品。
[15]
前記加工品は、ペースト状組成物、フィルム状組成物、接着剤、接合用ペースト、接合用フィルム、導電性材料、異方導電性材料、絶縁性材料、封止材料、コーティング用材料、塗料組成物、プリプレグ、熱伝導性材料、燃料電池用セパレータ材、及びフレキシブル配線基板用オーバーコート材からなる群より選択される、[14]に記載の加工品。
本発明のエポキシ樹脂用硬化剤組成物は、貯蔵安定性及び低温硬化における接着強度(低温硬化性)に優れるエポキシ樹脂組成物とすることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態のエポキシ樹脂用硬化剤組成物は、コアと、前記コアを被覆するシェルとを有するマイクロカプセル型硬化剤(a)、及びエポキシ樹脂(b)を含むエポキシ樹脂用硬化剤組成物であって、前記(a)成分として前記コアの成分が異なる2種以上の硬化剤を含むものである。
マイクロカプセル型硬化剤(a)としてコアの成分が異なる2種類以上の硬化剤を含むことで、低温硬化性を得ることができる。その作用は定かではないが、エポキシ樹脂用硬化剤組成物を加熱した際に、溶融したいずれかの硬化剤が、他の硬化剤の硬化作用を更に促進させるためだと考えられる。加熱により温度上昇することにより、(a)成分として含有される複数種類の硬化剤の各々が軟化してその後硬化していくが、各々の硬化剤の軟化速度及び硬化速度が異なるため、最初に軟化する硬化剤の硬化時の発熱により、続いて軟化を開始した硬化剤がエポキシ環の開環を促進する。その結果、最初に軟化する硬化剤が触媒的な働きをすることにより、続く他の硬化剤の硬化作用を早めることができるので、全体として低温で硬化完了させることができるからだと考えられる。すなわち、硬化剤のBステージ(半硬化状態)への移行が低温化する(ただし、本実施の形態の作用はこれに限定されない)。
さらに、マイクロカプセル型硬化剤(a)としてコアの成分が異なる2種類以上の硬化剤を含むことで、組成物中における硬化剤の分散性も向上する。
以下、マイクロカプセル型硬化剤(a)のコアの組成について具体的に説明する。マイクロカプセル型硬化剤(a)のコアは、アミンアダクトを含むことが好ましい。ここでいう、アミンアダクトとは、少なくともアミン構造を有するアダクトであればよい。したがって、後述する、イミダゾールアダクトもここでいうアミンアダクトに包含される。そして、本実施の形態では、イミダゾールアダクト及びそれ以外のアミンアダクトを用いることがより好ましい。ここで、「アダクト」とは2つ以上の分子の付加によって得られる生成物を意味する。例えば、エポキシ樹脂とアミン性活性水素化合物とを反応させ、エポキシ基を消費させると、残留活性水素を持つアミンアダクトを得ることができる。通常、アミンアダクトはある程度分子量が大きいので、低揮発性成分による臭いが少なく、樹脂への配合量を多くすることができ、秤量誤差が少ないといった利点がある。なお、アミンアダクトの原料は上記したエポキシ樹脂に限定されず、種々の化合物を用いることができる。アミンアダクトの原料としては、例えば、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、イソシアネート化合物、尿素化合物及びエポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。アミンアダクトの原料として用いられる、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、イソシアネート化合物、尿素化合物及びエポキシ樹脂を以下に示す。
カルボン酸化合物としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、
ダイマー酸等が挙げられる。
スルホン酸化合物としては、例えば、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂肪族トリイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。脂環式ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、4−4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、1,4−イソシアナトシクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、1,3−ビス(2−イソシアナトプロピル−2−イル)−シクロヘキサン等が挙げられる。芳香族ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。脂肪族トリイソシアネートとしては、1,3,6−トリイソシアネートメチルヘキサン、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸−2−イソシアナトエチル等が挙げられる。ポリイソシアネートとしては、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートや上記ジイソシアネート化合物より誘導されるポリイソシアネート等が挙げられる。上記ジイソシアネート化合物より誘導されるポリイソシアネートとしては、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、ウレタン型ポリイソシアネート、アロハネート型ポリイソシアネート、カルボジイミド型ポリイソシアネート等が挙げられる。
尿素化合物としては、例えば、尿素、メチル尿素、ジメチル尿素、エチル尿素、t−ブ
チル尿素等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、モノエポキシ化合物、多価エポキシ化合物、又はそれらの混合物等が挙げられる。
モノエポキシ化合物としては、例えば、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、パラ−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、パラキシリルグリシジルエーテル、グリシジルアセテート、グリシジルブチレート、グリシジルヘキソエート、グリシジルベンゾエート等が挙げられる。
多価エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;1,1,2,2,−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂;フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等;多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールをグリシジル化した脂肪族エーテル型エポキシ樹脂;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸をグリシジル化したエーテルエステル型エポキシ樹脂;フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸をグリシジル化したエステル型エポキシ樹脂;4,4−ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノール等のアミン化合物のグリシジル化物やトリグリシジルイソシアヌレート等のアミン型エポキシ樹脂等のグリシジル型エポキシ樹脂と、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環族エポキサイド等が挙げられる。
上記したアミンアダクトの原料として用いられる、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、イソシアネート化合物、尿素化合物及びエポキシ樹脂の中でも、硬化性及び貯蔵安定性に優れるという観点から、エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂の中でも、エポキシ樹脂組成物の貯蔵安定性をより高める観点から、多価エポキシ化合物がより好ましい。多価エポキシ化合物の中でも、アミン化合物の生産性が高いという観点から、グリシジル型エポキシ樹脂が更に好ましく、硬化剤組成物の接着性や硬化物の耐熱性に優れるという観点から、多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂がより更に好ましく、ビスフェノール型エポキシ樹脂がより一層好ましく、ビスフェノールAをグリシジル化したエポキシ樹脂、ビスフェノールFをグリシジル化したエポキシ樹脂がより一層更に好ましく、ビスフェノールAをグリシジル化したエポキシ樹脂がより一層更に好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
マイクロカプセル型硬化剤(a)として、イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤及び/又はイミダゾール系以外のアミン系マイクロカプセル型硬化剤(以下、「アミン系マイクロカプセル型硬化剤」という)を含むことが好ましく、これらを両方含むことがより好ましい。マイクロカプセル型硬化剤イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤及びアミン系マイクロカプセル型硬化剤はいずれも塩基性であるので、(a)成分としてこれらの硬化剤を含有することでマイクロカプセル同士の凝集を効果的に抑制することができ、かつ硬化温度も近傍であるため硬化ムラを一層効果的に抑制することができる。硬化温度は、特に限定されないが、上記効果が一層顕著になるという観点から、イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤の硬化温度が、アミン系マイクロカプセル型硬化剤の硬化温度よりも高いほうが好ましい。
イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤とアミン系マイクロカプセル型硬化剤の質量比は、特に限定されないが、低温硬化性の観点から、好ましくは1:99〜99:1、更に好ましくは5:95〜90:10、より更に好ましくは10:90〜50:50、より一層好ましくは12:88〜35:65、より一層更に好ましくは15:85〜22:78である。上記範囲とすることで、アミン系マイクロカプセル型硬化剤に含まれるアミン系硬化剤がまず硬化を開始し、イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤に含まれるイミダゾール化合物が促進剤として働く。すなわち、後から軟化を開始したイミダゾール系マイクロカプセル硬化剤が触媒的な働きをすることで、本実施の形態の硬化剤組成物全体の硬化が低温で完了できると考えられる(ただし、本実施の形態の作用はこれに限定されない)。
イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤を得るためのアミンアダクト(イミダゾールアダクト)の出発物質としては、例えば、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物単体;2−メチルイミダゾールとビスフェノールA型エポキシ樹脂との反応生成物;2−エチル−4−メチルイミダゾールとビスフェノールA型エポキシ樹脂との反応生成物等が挙げられる。これらの中でも、アダクトの安定性と反応性に優れるという観点から、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾールが好ましく、活性点に対する立体障害が少ないという観点から、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾールがより好ましい。
アミン系マイクロカプセル型硬化剤を得る場合、そのアミンアダクトは、例えば、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、イソシアネート化合物、尿素化合物及びエポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、アミン化合物との反応により得られる。イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤を得る場合、そのアミンアダクトは、例えば、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、イソシアネート化合物、尿素化合物及びエポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、イミダゾール系化合物との反応により得られる。
アミン系マイクロカプセル型硬化剤を得るためのアミンアダクトの出発物質としては、例えば、脂肪族又は脂環式の炭化水素基に、1つ以上の第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有するアミン化合物等が挙げられる。
脂肪族の炭化水素基に1つ以上の第1級アミノ基を有するアミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、テトラメチレンアミン、1,5−ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリエチルヘキサメチルジアミン、1,2−ジアミノプロパン等が挙げられる。直鎖状の脂肪族炭化水素基に1つ以上の第1級アミノ基と1つ以上の第2級アミノ基を有するアミン化合物としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等が挙げられる。
脂環式の炭化水素基に1つ以上の第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有するアミン化合物としては、例えば、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、アミノエチルピペラジン、ジエチルアミノプロピルアミン等が挙げられる。
脂肪族又は脂環式の炭化水素基に1つ以上の第2級アミノ基を有するアミン化合物のとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペラジン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記アミン化合物は、脂肪族又は脂環式の炭化水素基に、1つ以上の第1級アミノ基、及び/又は第2級アミノ基を有していればよい。例えば、(a)成分がエポキシ樹脂(b)と反応する前に、アミン化合物が、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、尿素化合物、イソシアネート化合物、チオール化合物等と反応していてもよい。
上記アミン化合物としては、貯蔵安定性と低温硬化性のバランスにより優れるアミンアダクトを得る観点から、直鎖状の脂肪族炭化水素基に1つ以上の第1級アミノ基と1つ以上の第2級アミノ基を有するアミン化合物が好ましい。これらの中でも、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンがより好ましく、1分子あたりのアミン量が多いという観点から、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンが更に好ましい。
また、アミン系マイクロカプセル型硬化剤のアミンアダクト(イミダゾール系アダクト以外のアミンアダクト)におけるアミン量は、低温速硬化性と吸湿性のバランスの観点から、3質量%〜50質量%が好ましく、4質量%〜45質量%がより好ましく、5質量%〜40質量%が更に好ましい。ここでいう「アミン量」は、JIS K7245:2000の全アミノ基窒素含有量を意味する。
本実施の形態で使用するアミン系マイクロカプセル型硬化剤は、剛直な骨格構造(剛直骨格)を有していることが好ましい。アミン系マイクロカプセル型硬化剤が剛直な骨格構造を有することで、エポキシ樹脂組成物の接着力を一層向上させることができる。そして、得られる硬化物のガラス転移温度等といった各種物性も一層優れたものになる。特に、剛直骨格は、アミン系マイクロカプセル型硬化剤のコアに含まれていることがより好ましい。剛直骨格としては、例えば、ベンゼン構造、ナフタレン構造、ビフェニル構造、トリフェニル構造、アントラセン構造、ジシクロペンタジエン構造、ノルボルネン構造、アセナフチレン構造、アダマンタン構造、フルオレン構造、ベンゾフラン構造、ベンゾオキサジン構造、インデン構造、インダン構造、ヒダントイン構造、オキサゾリン構造、環状カーボネート構造、芳香族環式イミド構造、脂環式イミド構造、オキサジアゾール構造、チアジアゾール構造、ベンゾオキサジアゾール構造、ベンゾチアジアゾール構造、カルバゾール構造、アゾメチン構造、オキサゾリドン骨格、イソシアヌレート構造、トリアジン構造、キサンテン構造、及び下記一般式G1で表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造が挙げられる。これらの中でも、骨格形成に用いる化合物の入手容易性の観点から、オキサゾリン構造、ナフタレン構造が好ましく、ナフタレン構造がより好ましい。
Figure 0005543879
アミン系マイクロカプセル型硬化剤が剛直骨格を有することにより接着力が向上することについてのメカニズムは明らかでないが、ガラス転移温度(Tg)の向上及び弾性率の向上が被着体の機械的強度を高めることにより、接着力が向上するものと考えられる。すなわち、エポキシ樹脂がアミン化合物と反応することでアミンアダクトを形成し、これを主成分とするコアを用いることで、得られる硬化物の網目架橋中に上記エポキシ樹脂が含まれることになる。これにより、エポキシ樹脂の基本構造式の単量体分子量の大きさが、硬化物の網目架橋中の架橋点間分子量に影響を与えるからではないかと考えられる。アミン系マイクロカプセル型硬化剤が剛直骨格を有することにより、架橋密度が不用意に向上して脆弱な構造となってしまうことを効果的に抑制でき、単位化合物内のガラス転移温度(Tg)も向上させることができ、その結果、硬化物とした際にそのガラス転移温度(Tg)以上の温度領域における硬化物の弾性率(E’)を大きくすることができるからではないかと考えられる(ただし、本実施形態の作用はこれに限定されない。)。
本実施の形態に用いられるアミンアダクトにおけるアミン化合物の添加量は特に限定されないが、例えばエポキシ樹脂とアミン化合物のアミンアダクトの場合、エポキシ樹脂1モルに対して、アミン化合物が好ましくは0.02〜20倍モル当量、より好ましくは0.1〜15倍モル当量、更に好ましくは0.2〜10倍モル当量の範囲である。エポキシ樹脂に対するアミン化合物の添加量を0.02倍モル当量以上にすることで、分子量分布が7以下のアダクトを得るのに有利であり、該分子量分布においてはエポキシ樹脂の硬化性が良好となる。エポキシ樹脂に対するアミン化合物の添加量を20倍モル当量以下にすることで、未反応のアミン化合物の回収を効率よく行うことができ、経済的である。
エポキシ樹脂とアミン化合物の反応条件は特に限定されず、例えば、必要に応じて溶剤の存在下において、50〜250℃の温度で0.1〜10時間反応させることで得ることができる。上記反応温度及び反応時間であれば安定的に反応が進行するので、所望の生成物を得るのに有利である。
エポキシ樹脂と、アミン化合物又はイミダゾール化合物とからアミンアダクトを得る反応において、必要に応じて用いられる溶剤としては、特別に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類、水等が挙げられる。これらの溶剤は1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。反応終了後、溶剤は蒸留等により除去されていることが好ましい。
なお、本実施の形態では、上記したマイクロカプセル型硬化剤(a)以外にも、種々のエポキシ樹脂用硬化剤を更に添加することもできる。このようなエポキシ樹脂用硬化剤としては、マイクロカプセル型であってもよいし、そうでなくてもよく、その種類は特に限定されず、公知の硬化剤を用いることもできるが、得られるエポキシ樹脂組成物の接着強度、ガラス転移点(Tg)、及び配合容易性等の観点から、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤、グアニジン系硬化剤、チオール系硬化剤、及びイミダゾリン系硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種のエポキシ樹脂用硬化剤が好ましい。
上記酸無水物系硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水−3−クロロフタル酸、無水−4−クロロフタル酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水ジメチルコハク酸、無水ジクロールコハク酸、メチルナジック酸、ドテシルコハク酸、無水クロレンデック酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
上記フェノール系硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック等が挙げられる。
上記ヒドラジド系硬化剤としては、例えば、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドテレフタル酸ジヒドラジド、p−オキシ安息香酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、フェニルアミノプロピオン酸ヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
上記グアニジン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、メチルグアニジン、エチルグアニジン、プロピルグアニジン、ブチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、フェニルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トルイルグアニジン等が挙げられる。
上記チオール系硬化剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、ジペンタエリスリトールポリ(β−チオプロピオネート)等のポリオールとメルカプト有機酸のエステル化反応によって得られるチオール化合物や、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,10−デカンジチオール等のアルキルポリチオール化合物、末端チオール基含有ポリエーテル、末端チオール基含有ポリチオエーテル、エポキシ化合物と硫化水素の反応によって得られるチオール化合物、ポリチオールとエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物等が挙げられる。
上記イミダゾリン系硬化剤としては、例えば、1−(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル)−2−フェニルイミダゾリン、1−(2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピル)−2−メチルイミダゾリン、2−メチルイミダゾリン、2,4−ジメチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ベンジルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−(o−トリル)−イミダゾリン、テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−イミダゾリン、1,1,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,3,3−トリメチル−1,4−テトラメチレン−ビス−4−メチルイミダゾリン、1,2−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,3−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−イミダゾリン、1,4−フェニレン−ビス−4−メチルイミダゾリン等が挙げられる。
また、マイクロカプセル型硬化剤(a)のコアとしては、例えばアミンアダクトを主成分とするコアを用いることができる。アミンアダクトを主成分とする塊状のコアを適宜粉砕する等して得ることができる。ここでいう主成分とは、60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは99%以上を意味する。この範囲であればマイクロカプセル型硬化剤のコアとして効果を奏する。かかるコアの製造方法としては、例えば、アミンアダクトを主成分とする塊状のコアを適宜粉砕する方法等が挙げられる。
マイクロカプセル型硬化剤(a)のコアとしてアミンアダクトを含む場合、アミンアダクトのメジアン径で定義される平均粒径は、特に限定されないが、好ましくは0.25μmを超えて12μm以下であり、より好ましくは1μm〜10μmであり、更に好ましくは1.5μm〜5μmである。
平均粒径を12μm以下とすることで、エポキシ樹脂組成物を硬化させた際に均質な硬化物を得られ易くなる傾向にある。また、エポキシ樹脂組成物とした際に、大粒径の凝集物が生成し難くなり、硬化物の物性の低下を防止できる。平均粒径を0.25μmよりも大きくすることで、出発材料粒子間での凝集を効果的に防止でき、低温速硬化性に寄与するシェルの形成が容易となる傾向にある。その結果、カプセル膜を均一かつ完全に形成することができ、エポキシ樹脂用硬化剤組成物の貯蔵安定性や耐溶剤性を一層向上できる傾向となる。
シェルを含めたマイクロカプセル型硬化剤(a)全体の大きさは特に限定されないが、シェルを含めたマイクロカプセル型硬化剤(a)全体のメジアン径で定義される平均粒径は、好ましくは0.3μmを超えて13μm以下であり、より好ましくは1μm〜11μmであり、更に好ましくは1.5μm〜6μmである。平均粒径を13μm以下とすることで、均質な硬化物を得られ易くなる傾向にある。また、組成物に配合する際に、大粒径の凝集物が生成し難くなり、硬化物の物性を損なうことを防止できる。平均粒径を0.3μm以上とすることで、粒子の凝集を効果的に防止でき、エポキシ樹脂用硬化剤組成物の貯蔵安定性や耐溶剤性を一層向上できる傾向となる。
ここで、マイクロカプセル型硬化剤のコアの平均粒径を調整する方法としては、特に限定されず、公知の方法を採用することもできる。例えば、塊状のコアについて、粉砕の精密な制御を行う方法、粉砕として粗粉砕と微粉砕を行い、さらに精密な分級装置により所望の範囲のものを得る方法、溶解させたコアを噴霧乾燥させる条件を制御する方法等が挙げられる。
粉砕に用いる粉砕装置としては、必要に応じて、ボールミル、アトライタ、ビーズミル、ジェットミル等を使用できるが、衝撃式粉砕装置を用いることが好ましい。衝撃式粉砕装置としては、例えば、旋回式流粉体衝突型ジェットミル、粉体衝突型カウンタージェットミル等のジェットミルが挙げられる。ジェットミルは、空気等を媒体とした高速のジェット流により、固体材料同士を衝突させて微粒子化する装置である。粉砕の精密な制御方法としては、粉砕時の温度、湿度、単位時間当たりの粉砕量等を制御することが挙げられる。
粉砕品の精密な分級方法としては、塊状のコアを粉砕した後に、分級により所定サイズの粉粒体を得るため、篩(例えば、325メッシュや250メッシュ等の標準篩)や分級機を用いて分級する方法、その粒子の比重に応じて、風力による分級を行う方法等が挙げられる。このような微粒子除去の目的として使用できる分級機としては、一般には乾式分級機が好ましい。かかる乾燥分級機としては、例えば、日鉄鉱業社製「エルボージェット」、ホソカワミクロン社製「ファインシャープセパレーター」、三協電業社製「バリアブルインパクタ」、セイシン企業社製「スペディッククラシファイア」、日本ドナルドソン社製「ドナセレック」、安川商事社製「ワイエムマイクロカセット」、日清エンジニアリング社製「ターボクラシファイア」、その他各種エアーセパレータ、ミクロンセパレーター、ミクロブレックス、アキュカット等が使用できるが、これらに限定されない。噴霧乾燥装置としては、例えば、通常のスプレードライ装置等が使用できる。
また、マイクロカプセル型硬化剤(a)のコアの平均粒径を調整する別の方法としては、特定の平均粒径と特定の粒径含有率とを有するコアを複数種個別に形成し、それらを適宜混合する方法等が挙げられる。混合されたコアは、必要に応じて、更に分級してもよい。
このような目的で使用する混合機としては、混合する粉体の入った容器本体を回転させる容器回転型、粉体の入った容器本体は回転させず機械攪拌や気流攪拌で混合を行う容器固定型、粉体の入った容器を回転させ、他の外力も使用して混合を行う複合型が挙げられる。
本実施の形態において「平均粒径」とは、メジアン径で定義される平均粒径を意味する。より具体的には、粒度分布計(堀場製作所社製、商品名「HORIBA LA−920」)を用いて、レーザー回析・光散乱法により測定されるストークス径を指す。
マイクロカプセル型硬化剤(a)のコアの形状は、特に限定されず、例えば、球状、顆粒状、粉末状、不定形のいずれであってもよい。これらの中でも、後述する一液性エポキシ樹脂組成物の低粘度化の観点から、球状であることが好ましい。なお「球状」とは、真球は勿論のこと、不定形の角が丸みを帯びた形状をも包含する。
マイクロカプセル型硬化剤(a)のコアの軟化点は、特に限定されず、好ましくは50〜120℃、より好ましくは55〜105℃、更に好ましくは60〜110℃である。コアの軟化点を上記範囲とすることで、所望の粒径の粒子を一層経済的に得ることができ、低温硬化性が一層優れ、貯蔵安定性が一層高いエポキシ樹脂組成物を得ることができる。コアの軟化点を50℃以上とすることで、該コアの平均粒径を制御することが容易となる。コアの軟化点を120℃以下とすることで、本実施の形態のエポキシ樹脂用マイクロカプセル型硬化剤組成物、及び一液性エポキシ樹脂組成物の低温硬化性を一層優れたものにすることができる。
マイクロカプセル型硬化剤(a)のコアの120℃溶融粘度は、好ましくは500Pa・s以下であり好ましくは400Pa・s以下であり、より好ましくは300Pa・s以下である。120℃溶融粘度を500Pa・s以下とすることで、低温速硬化性に一層優れるエポキシ樹脂用硬化剤組成物、及び一液性エポキシ樹脂組成物を得ることができる。120℃溶融粘度を0.1mPa・s以上とすることで、貯蔵安定性に一層優れるエポキシ樹脂用硬化剤組成物、及び一液性エポキシ樹脂組成物を得ることができる。ここで、120℃溶融粘度は、ディスクプレート上に上記サンプル約0.5gを載せ、ローターとプレートとの間隔を0.1mmとして回転させ、測定雰囲気温度が120℃で安定となる粘度を測定することによって測定することができる。
マイクロカプセル型硬化剤(a)のコアの赤外線吸収スペクトルにおいて、脂肪族炭化水素基に結合したアミノ基のうち、C−N伸縮振動に由来する1050〜1150cm-1の間のピーク高さ(P1)に対する、1655cm-1のピーク高さ(P2)の比(P2/P1)が1.0以上3.0未満にあることが好ましい。ここで、赤外線吸収は、赤外分光光度計を用いて測定することができ、例えば、フーリエ変換式赤外分光光度計(以下「FT−IR」という場合がある。)を用いることができる。ピーク高さの比(P2/P1)を1.0以上とすることで、低温速硬化性を一層優れたものにすることができる。ピーク高さの比(P2/P1)を3.0未満とすることで、マイクロカプセル型硬化剤のコアをシェルが効率よく被覆することができるという観点や、形成されるシェル(膜)の質及び緻密さを制御する観点から好適であり、エポキシ樹脂用硬化剤組成物をエポキシ樹脂に配合してエポキシ樹脂組成物等とする際に粒径が大きい2次粒子が生成することを防止することもできる。その結果、貯蔵安定性、耐溶剤性に極めて優れたエポキシ樹脂用硬化剤組成物を実現することができる。
[シェル]
本実施の形態におけるマイクロカプセル型硬化剤(a)において、コアを被覆するようにシェルを形成する方法としては、特に限定されず、公知の方法を採用することもできる。例えば、以下の方法を採用することができる。
(i)シェル成分を分散媒である溶剤に溶解し、シェル成分の粒子を分散媒に分散させて、シェル成分の溶解度を下げることで、コアの表面にシェルを析出させる方法。
(ii)コアの出発材料である塊状のコアを分散媒に分散させ、この分散媒にシェルを形成する材料の原料を添加して、塊状のコア粒子上にシェルを析出させるとともにコアをシェルで被覆する方法。
(iii)シェルを形成する材料の原料を分散媒に添加し、コアとなる粒子の表面を反応の場として、そこでシェルを形成する材料を生成させるとともにコアをシェルで被覆する方法。
ここで、上記(ii)、(iii)の方法は、シェル形成反応と被覆を同時に行うことができ、緻密な膜が形成しやすくなるので好ましい。なお、分散媒としては、溶媒、可塑剤、樹脂等が挙げられる。また、溶媒、可塑剤、樹脂としては、上記反応生成物を得る際に使用できる溶媒、可塑剤、樹脂の具体例として挙げたものも使用できる。
また、分散媒としてエポキシ樹脂を用いるとエポキシ樹脂(b)として機能することもできるので、シェル形成と同時に、エポキシ樹脂用硬化剤組成物を得ることができるため好適である。
なお、シェルの形成反応は、通常、−10℃〜150℃、好ましくは0℃〜100℃の温度範囲で、10分間〜72時間、好ましくは30分間〜24時間の反応時間で行われる。
マイクロカプセル型硬化剤(a)の表面に官能基が存在する場合、その官能基については、メジアン径で定義される平均粒径が0.3μmを超えて12μm以下である粒子を出発材料としてコアが形成され、前記シェルが、波数1630〜1680cm-1の赤外線を吸収する結合基(x)と波数1680〜1725cm-1の赤外線を吸収する結合基(y)及び波数1730〜1755cm-1の赤外線を吸収する結合基(z)を少なくとも表面に有することが好ましい。
かかる結合基(x)の中で、好ましいものとして、ウレア結合、アミド結合が挙げられる。結合基(y)の中で、好ましいものとして、ビュレット結合、イミド結合が挙げられる。結合基(z)の中で、好ましいものとしては、ウレタン結合が挙げられる。
結合基(x)、(y)及び(z)がマイクロカプセル型硬化剤(a)のコアの表面に少なくとも存在していることは、顕微FT−IRを用いて確認することができる。
ここで、上記シェルが有する、波数1630〜1680cm-1の赤外線を吸収する結合基(x)、波数1680〜1725cm-1の赤外線を吸収する結合基(y)、波数1730〜1755cm-1の赤外線を吸収する結合基(z)は、それぞれ1〜1000meq/kg、1〜1000meq/kg及び1〜200meq/kgの範囲の濃度を有していることが好ましい。ここでいう濃度とは、マイクロカプセル型硬化剤(a)1kgに対する値である。
結合基(x)の濃度が1meq/kg以上の場合、機械的剪断力に対して高い耐性を有するカプセル型硬化剤を得るのに有利である。また、1000meq/kg以下の場合、高い硬化性を得るのに有利である。より好ましい結合基(x)の濃度範囲は10〜300meq/kgである。
結合基(y)の濃度が1meq/kg以上の場合、機械的剪断力に対して高い耐性を有するカプセル型硬化剤を得るのに有利である。また、1000meq/kg以下の場合、高い硬化性を得るのに有利である。より好ましい結合基(y)の範囲は10〜200meq/kgである。
結合基(z)の濃度が1meq/kg以上の場合、機械的剪断力に対して高い耐性を有するシェルを形成するのに有利である。また、200meq/kg以下の場合、高い硬化性を得るのに有利である。より好ましい結合基(z)の濃度範囲は、5〜100meq/kgである。
シェルが有する結合基(x)、(y)、(z)が、それぞれ、ウレア基、ビュレット基、ウレタン基であり、かつ、結合基(x)、(y)、(z)の合計の濃度(Cx+Cy+Cz)に対する結合基(x)の濃度(Cx)の比(Cx/(Cx+Cy+Cz))が、0.50以上0.75未満であることが更に好ましい。結合基(x)の上記濃度比を0.50以上とすることで、耐溶剤性を一層優れたものにできる。また、結合基(x)の上記濃度比を0.75未満とすることで、シェル形成反応において、マイクロカプセル型硬化剤のコアの粒子同士の融着・凝集を効果的に防止することができ、コアを安定した品質で管理することが容易になる。
結合基(x)、結合基(y)及び結合基(z)の濃度の定量、及び結合基の濃度比の定量は、以下に示す方法にて定量することができる。まず、結合基(x)、(y)、(z)を定量する検量線の作成方法として、日本分光社製FT/IR−410を使用して、標準物質としてテトラメチルこはく酸ニトリル
Figure 0005543879
を準備する。さらに1630〜1680cm-1の吸収帯を持つ結合基(x)を有するが、結合基(y)及び(z)を有しないモデル化合物(1)、
Figure 0005543879
同様に、1680〜1725cm-1の吸収帯を持つ結合基(y)を有するが、結合基(x)及び(z)を有しないモデル化合物(2)、
Figure 0005543879
1730〜1755cm-1の吸収帯を持つ結合基(z)を有するが、結合基(x)及び(y)を有しないモデル化合物(3)
Figure 0005543879
を準備する。そして、標準物質とモデル化合物(1)、(2)、(3)のそれぞれを、任意の割合で、精密に秤量して混合した混合物を、例えば、臭化カリウム(KBr)粉末とともに粉砕して錠剤成形機を用いてFT/IR測定用検量サンプル錠剤を調製する。標準物質のテトラメチルこはく酸ニトリルの2240〜2260cm-1の吸収帯の面積に対して、モデル化合物(1)の1630〜1680cm-1の吸収帯の面積比を求める。即ち、縦軸にモデル化合物(1)と標準物質との混合物である検量サンプルにおける質量比を、横軸にモデル化合物(1)における1630〜1680cm-1の吸収帯の面積と標準物質のテトラメチルこはく酸ニトリルの2240〜2260cm-1の吸収帯の面積比として、赤外線吸収帯の面積比と含有物の質量比の関係を直線回帰することにより検量線を作成する。同様に、モデル化合物(2)及び(3)についても、それぞれの実測値より、赤外線吸収帯の面積比と含有物の質量比の関係を直線回帰することにより検量線を作成する。
結合基(x)、(y)、(z)の濃度比は以下の方法で求めることができる。まず、マイクロカプセル型硬化剤を40℃で真空乾燥してその質量を求める。さらにマイクロカプセル型硬化剤より分離したシェルを40℃で真空乾燥して、マイクロカプセル型硬化剤より得られるカプセル膜の質量を測定する。マイクロカプセル型硬化剤よりカプセル膜を分離する方法は、マイクロカプセル型硬化剤を、メタノールを用いて、コアがなくなるまで洗浄と、ろ過を繰り返し、50℃以下の温度でメタノールを完全に除去乾燥する。このサンプル3gに、標準物質であるテトラメチルこはく酸ニトリルを10mg加えて、メノウ乳鉢で粉砕混合後、その混合物を2mgとKBr粉末50mgとともに粉砕して錠剤成形機を用いてFT/IR測定用錠剤を作製する。測定用錠剤を用いて、日本分光社製、「FT/IR−410」により赤外線スペクトルを得る。得られた赤外線スペクトルと検量線より、結合基(x)、(y)、(z)のサンプル中の濃度を求めて、マイクロカプセル型硬化剤1kg当たりの結合基の濃度と、その濃度比を求めることができる。
本実施の形態において、シェルが有する結合基(x)、(y)、(z)の合計の濃度比=(Cx/(Cx+Cy+Cz))の値を所望の範囲にする方法としては、特に限定されず、例えば、シェルの形成反応において、イソシアネート化合物、活性水素化合物、マイクロカプセル型硬化剤のコア、エポキシ樹脂、アミン化合物等の仕込み量を制御する方法、各原材料の配合比率を制御する方法、シェルの形成反応の反応温度及び/又は反応時間を制御する方法等が挙げられる。特に、ウレア結合、ビュレット結合を生成するために用いられるイソシアネート化合物、ウレタン結合を生成するために用いられる1分子中に1個以上の水酸基を有する化合物の仕込み量を制御することが効果的である。
また、分散媒としてエポキシ樹脂を用いると、シェル形成と同時に、エポキシ樹脂硬化剤組成物を得ることができるため好適である。
シェルが有する結合基(x)の厚さと、結合基(y)の厚さと、結合基(z)の厚さとの合計(合計厚み)は、平均層厚で5〜1000nmが好ましい。5nm以上で貯蔵安定性を得ることができ、1000nm以下で実用的な硬化性を得ることができる。なお、ここでいう層の厚みは、透過型電子顕微鏡により測定することができる。特に好ましい結合基の合計厚みは、平均層厚で10〜100nmである。なお、これらの結合基の合計厚みが、好ましくは、シェル自体の厚みとなる。
また、コアの直径/シェルの厚さの比は、好ましくは2400〜0.3、より好ましくは2000〜1.0、更に好ましくは1000〜1.5である。この範囲とすることで、貯蔵安定性、耐溶剤性のバランスが一層よい傾向にある。
ここで、イソシアネート化合物としては、アミンアダクトの説明において、アミン化合物と反応させることができるイソシアネート化合物として説明したものが使用できる。
上記活性水素化合物としては、例えば、水、少なくとも1個の第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有する化合物、少なくとも1個の水酸基を有する化合物等が挙げられる。
少なくとも1個の第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有する化合物としては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミンを使用することができる。
脂肪族アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアルキルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキレンポリアミン;ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のポリオキシアルキレンポリアミン類等が挙げられる。
脂環式アミンとしては、例えば、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、トルイジン、べンジルアミン、ナフチルアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
少なくとも1個の水酸基を有する化合物としては、例えば、アルコール化合物、フェノール化合物等が挙げられる。
アルコール化合物としては、例えば、メチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ドテシルアルコール、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパルギルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、べンジルアルコール、シンナミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチル等のモノアルコール類;エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、水添ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物と、少なくとも1個の水酸基、カルボキシル基、第1級又は第2級アミノ基、メルカプト基を有する化合物との反応により得られる、第2級水酸基を1分子中に2個以上有する化合物等の多価アルコール類;等が挙げられる。これらのアルコール化合物においては、第1級、第2級、又は第3級アルコールのいずれでもよい。
フェノール化合物としては、例えば、石炭酸、クレゾール、キシレノール、カルバクロール、モチール、ナフトール等のモノフェノール類、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ピロガロール、フロログルシン等の多価フェノール類を挙げられる。
これら少なくとも1個の水酸基を有する化合物としては、潜在性や耐溶剤性の観点から、多価アルコール類や多価フェノール類等が好ましく、多価アルコール類が特に好ましい。
上記エポキシ樹脂用硬化剤としては、上述したエポキシ樹脂とアミン化合物との反応により得られるアミンアダクトを主成分とするエポキシ樹脂用硬化剤と同一であっても、異なっていてもよいが、生産性の観点から同一であることが好ましい。
本実施の形態のエポキシ樹脂用硬化剤組成物は流動性等の取り扱い性と硬化性の観点から、エポキシ樹脂用硬化剤組成物におけるマイクロカプセル型硬化剤(a)の含有量は、5〜70質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましい。
本実施の形態のエポキシ樹脂用硬化剤組成物は、室温で液状、又は25℃での粘度が50mPa・s以上1000万mPa・s以下のペースト状が好ましい。粘度が低いほど作業性が高く、容器への付着量を下げて廃棄物の低減が可能であり好ましい。
上記エポキシ樹脂としては、上述したエポキシ樹脂や多官能エポキシ化合物を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、これらの中で、エポキシ樹脂組成物の接着強度や硬化物の耐熱性の観点から、多価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノール型エポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールAのグリシジル化物とビスフェノールFのグリシジル化物が更に好ましい。
上記エポキシ樹脂用硬化剤組成物は、環状ホウ酸エステル化合物を更に含有することが好ましい。環状ホウ酸エステル化合物を含有することにより、一液性エポキシ樹脂組成物とした際の貯蔵安定性を一層向上させることができる。
ここで、環状ホウ酸エステル化合物とは、ホウ素が環式構造に含まれているものを意味する。このような環状ホウ酸エステル化合物としては、例えば、2,2’−オキシビス[5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン]、1,3−プロパンジオールホウ酸エステル、1,2−プロパンジオールホウ酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、2,2’−オキシビス[5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン]が好ましい。エポキシ樹脂用硬化剤組成物における環状ホウ酸エステル化合物の含有量は、特に限定されないが、貯蔵安定性と硬化性の観点から、0.5〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。
本実施の形態のエポキシ樹脂用硬化剤組成物を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、マイクロカプセル型硬化剤(a)を、三本ロール等を用いてエポキシ樹脂(b)中に分散させる方法や、エポキシ樹脂(b)の中でエポキシ樹脂用性硬化剤のコア表面にシェルを形成させる反応を行うことでマイクロカプセル型硬化剤(a)を得ると同時に、エポキシ樹脂用硬化剤組成物を得る方法等が挙げられる。これらの中でも、生産性の観点から、後者が好ましい。
(b)成分は3官能以上の多官能エポキシ樹脂を含むことが好ましい。多官能型エポキシ樹脂とは、その分子中の官能基数が少なくとも3以上であるエポキシ樹脂のことをいう。官能基数の下限値は3以上が好ましく、4以上がより好ましく、上限値は10以下が好ましく、6以下がより好ましい。接着強度の観点から官能基数が3以上6以下であるものが好ましい。官能基数を3以上とすることにより、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化物が三次元的に緻密なネットワークを形成しやすく、被着体の強度が向上し、その結果、接着強度が向上するものと考えられる。また、官能基数を10以下とすることにより、三次元的な緻密なネットワークの形成が進みすぎて、構造が密になりすぎて硬化物が脆弱になることを効果的に防ぐことができる。官能基数を6以下とすることにより、エポキシ樹脂用硬化剤組成物の保存中にゲル化することを効果的に防ぐことができる。
(b)成分は平均官能基数が2より大きい多官能エポキシ樹脂を含むことが好ましい。平均官能基数は、好ましくは2より大きく、より好ましくは3以上であり、更に好ましくは2より大きく10以下であり、より更に好ましくは2より大きく6以下であることが好ましい。これらの中でも、接着強度が向上する観点から、平均官能基数が2より大きく6以下のものが好ましい。平均官能基数が2官能より大きい場合には、エポキシ樹脂用硬化剤組成物の硬化物が三次元的に緻密なネットワークを形成しやすく、被着体の強度が向上するため接着強度が向上する。また、三次元的な緻密なネットワークの形成が進み、構造が密になりすぎて硬化物が脆弱になることを防ぐという観点から、10官能以下が好ましい。ここでいう平均官能基数は、例えば、官能基数aの化合物がxモル、官能基数bの化合物がyモル存在する化合物の場合、(ax+by)/(x+y)で求めることができ、小数点以下も含まれる。
さらに、硬化性の観点から、上記多官能エポキシ樹脂がグリシジルアミン化合物由来の構造を含むことが好ましい。その理由としては明らかでないが、マスターバッチ硬化剤中で比較的安定なグリシジルアミンの窒素が、硬化時にエポキシ樹脂に対して触媒反応的又は付加反応的に働くことで、接着界面での硬化を促進し接着力が向上するものと考えられる(ただし、本実施の形態の作用はこれに限定されない)。
なお、ここでいう多官能エポキシ樹脂とは、1分子中に2個より大きい数のエポキシ基を持ったエポキシ樹脂のことをいう。例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン/フェノールエポキシ樹脂、脂環式アミンエポキシ樹脂、脂肪族アミンエポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
3官能エポキシ樹脂としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,o−トリグリシジル−4−アミノ−m−クレゾール、N,N,O−トリグリシジル−5−アミノ−o−クレゾール、1,1,1−(トリグリシジルオキシフェニル)メタン等が挙げられる。
4官能エポキシ樹脂としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−4,4−(4−アミノフェニル)−p−ジイソピルベンゼン、1,1,2,2−(テトラグリシジルオキシフェニル)エタン、1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,1,2,2−テトラビス(ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、トリフェニルグリシジルエーテルメタン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、分散性の観点から、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンが好ましい。
上記以外の多官能エポキシ樹脂としては、例えば、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチルプロパノールグリシジルエーテル、ペンタエリストールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
エポキシ樹脂用硬化剤組成物における多官能エポキシ樹脂の含有量は、合計で、好ましくは0.1〜99質量%であり、より好ましくは0.5〜95%質量であり、更に好ましくは1.0〜90質量%であり、より更に好ましくは5.0〜80質量%であることが好ましい。多官能エポキシ樹脂の含有量を0.1質量%以上とすることにより、硬化物とした際に十分な強度が得られるので接着強度が一層向上する。多官能エポキシ樹脂の含有量を99質量%以下とすることにより、貯蔵安定性が一層向上する。エポキシ樹脂組成物の硬化性や接着強度の観点から、多官能エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜1000eq/g、より好ましくは60〜900eq/g、更に好ましくは70〜800eq/gである。
本実施の形態のエポキシ樹脂用硬化剤組成物は、上記した(b)成分以外のエポキシ樹脂(c)を更に含むことにより一液性エポキシ樹脂組成物とすることができる。このエポキシ樹脂(c)は、エポキシ樹脂用硬化剤組成物を希釈するために用いることができる。一液性エポキシ樹脂組成物とするために用いられるエポキシ樹脂(c)としては、好ましくは、Bis−A型、Bis−F型、アルコール型等のグリシジルエーテル;芳香族アミン型、フェノール型等のグリシジルアミン;ヒドロフタル酸型、ダイマー型等のグリシジルエステル等が挙げられる。さらに、希釈性の観点から、エポキシ樹脂(c)は、分子内に1〜2官能のグリシジル基を有するものがより好ましい。
エポキシ樹脂(c)の粘度は、特に限定されないが、希釈性の観点から、25℃で0.1〜1000Pa・sであることが好ましい。エポキシ樹脂(c)の重量平均分子量は、特に限定されないが、希釈性の観点から、1000以下であることが好ましい。
エポキシ樹脂用硬化剤組成物と、上述したエポキシ樹脂(c)との質量比(エポキシ樹脂用硬化剤組成物):(エポキシ樹脂)は、特に限定されないが、100:10〜100:10000の配合比で含むことが好ましく、100:50〜100:5000であることがより好ましく、100:100〜100:1000であることが更に好ましい。かかる範囲とすることで、硬化性を一層優れたものにできるだけでなく、硬化物の硬化ムラの更なる抑制やガラス転移温度(Tg)の更なる向上等も実現することができる。
本実施の形態のエポキシ樹脂用硬化剤組成物や一液性エポキシ樹脂組成物は、ペースト状、フィルム状の形態に硬化・成形することができる。本実施の形態のエポキシ樹脂組成物は加工品として種々の材料や部材として用いることができる。具体的には、本実施の形態のエポキシ樹脂組成物は、ペースト状組成物、フィルム状組成物、接着剤、接合用ペースト、接合用フィルム、導電性材料、異方導電性材料、絶縁性材料、封止材料、コーティング用材料、塗料組成物、プリプレグ、熱伝導性材料、燃料電池用セパレータ材、及びフレキシブル配線基板用オーバーコート材等、あらゆる用途(加工品)に利用できる。
本発明を更に詳細に説明するために、以下に、実施例及び比較例を示すが、これらの実施例及び比較例は、本発明を何ら制限するものではない。
(1)全アミン基窒素含有量
JIS K7245:2000に準拠して測定した。
(2)軟化点測定
JIS K7234に準拠し、グリセリン浴を用いて、軟化点測定器(明峰社製作所製、「MEIHOHSHA SOFTNING POINT TETSTER ASP−M2SP」)を用いて、環球法による軟化点測定を行った。なお軟化点は、塊状のエポキシ樹脂用硬化剤の軟化点を測定した。
(3)粉砕性
後述する製造例で得た塊状のエポキシ樹脂用硬化剤を、以下の条件で粗砕・粉砕した。まず、粉砕機(ホソカワミクロン社製、「ロートプレックス」)により、0.1〜2mm程度に粗砕した。次に、得られた粗砕物を、5.0kg/hrの供給量で、気流式ジェットミル(日清エンジニアリング社製、「CJ25型」)に供給し、0.6MPa・sの粉砕圧で粉砕した。
1工程で粉砕可能であったものをA、粉砕に2工程以上を要したものをBと評価した。Bであると所望のメジアン径よりも微粉砕品が過剰になり、分級等の作業が必要となり収率が著しく低下し経済的に好ましくない。Aであれば、貯蔵安定性を奏するのに十分な値と評価した。
(4)メジアン径
試料4mgを界面活性剤(三井サイテック社製、商品名「エアロゾルOT−75」)のシクロヘキサン溶液32g(界面活性剤の濃度:1質量%)に入れ、超音波洗浄器(本田電子社製、「MODEL W−211」)で5分超音波照射した。このときの超音波洗浄器内の水温は19±2℃に調整した。得られた分散液の一部を取り、粒度分布計(堀場製作所社製、「HORIBA LA−920」)にて、平均粒径の測定、及び粒度分布の測定(小粒径含有率の測定)を行なった。
(5)貯蔵安定性
後述するマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を40℃で1週間保存した前後の粘度を測定し、その粘度上昇倍率で評価した。保存後の粘度上昇率が2倍未満をA、2倍以上5倍未満をB、5倍以上10倍未満をC、10倍以上又はゲル化した場合をDと評価した。なお、粘度は、25℃でBM型粘度計を使用して測定した。本実施の形態においてA、Bであれば、硬化性を奏するのに十分な値と評価した。
(6)耐溶剤性
後述するマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物の耐溶剤性の測定について、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物80質量部、トルエン15質量部、酢酸エチル5質量部を混合してサンプルを調製し、得られたサンプルを40℃で6時間加温し、加温後のサンプルの粘度を測定した。粘度が200mPa・s未満のものをA、200mPa・s以上1000mPa・s未満のものをB、1000mPa・s以上20000mPa・s未満のものをC、20000mPa・s以上2000000mPa・s未満のものをD、2000000mPa・s以上のものをEとした。A、B、Cであれば、溶剤希釈した際の貯蔵安定性を奏するのに十分な値と評価した。
(7)接着強度
後述するエポキシ樹脂組成物の接着力測定について、引っ張り剪断接着強さの測定を行った。被着体はJIS G3141の規格の、幅25mm×長さ100mm×厚み1.6mmの銅板を用いた。まず、JIS K6850に準拠して、マスターバッチ型エポキシ樹脂組成物から試験片を作製した。得られた試験片を170℃で15秒加熱することで硬化させ、硬化した試験片が破壊するまでの最大試験力を測定し、剪断接着強度を計算した。
接着強度が13N/mm2以上をA、11N/mm2以上13N/mm2未満をB、9N/mm2以上11N/mm2未満をC、9N/mm2未満をDと評価した。A、B、Cであれば、本願の効果接着用途としての機能を発揮するのに十分な値と評価した。
(8)硬化物外観
後述するマスターバッチ型エポキシ樹脂組成物2gをアルミ皿にとり170℃に加熱したホットプレート上で硬化させ、硬化物の外観を観察した。十分に硬化させた後にアルミ皿中央の外観が気泡を実質上含まず硬化しているものをA、気泡をとりこみ硬化しているものをB、気泡をとりこみ且つ未硬化なものをCとした。本実施の形態においてA、Bであれば、本願の効果を奏するのに十分な値と評価している。
<エポキシ樹脂>
[EP1]
EP1としてエポキシ当量189eq/g、全塩素量1500ppmのビスフェノールA型のエポキシ樹脂(旭化成エポキシ社製、商品名「AER260」)を用いた。なお、全塩素量は、JIS K7243−3によって測定した。
[EP2]
EP2としてエポキシ当量470eq/g、全塩素量1300ppmのビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成エポキシ社製、商品名「AER6061を使用))を用いた。
[EP3]
EP3としてエポキシ当量185eq/g、全塩素量350ppmのビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名「YL980を使用」)を用いた。
[EP5]
EP4としてエポキシ当量175eq/g、全塩素量350ppmのビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名「YL983Uを使用」)を用いた。
[EP6]
エポキシ樹脂EP1(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量185eq/g、全塩素量1500ppm)1kgに、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.5gを投入し、撹拌加熱し、内温を175℃にした。さらに、トリレンジイソシアネート160gを120分かけて投入した。投入終了後、反応温度を175℃に保ち、4時間撹拌し、イソシアネート変性エポキシ樹脂EP6を得た。得られたエポキシ樹脂EP6は、エポキシ当量345eq/g、軟化点70℃、数平均分子量1200、全塩素量1050ppmであった。数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によって測定した。測定条件は以下のとおりである。
・GPC:東ソー社製、「HLC8220GPC」
・カラム:東ソー社製、「TSK−GEL」と「TSKgel SuperH−RC」を直列接続したカラム
・溶媒:エチレンジアミン(0.1mmol/L)を含有するジメチルホルムアミド(DMF)溶液
[EP7]
エポキシ樹脂EP1を極性有機溶媒中で金属アルコキシドにより処理することにより脱塩素した、エポキシ当量195eq/g、全塩素量20ppmのビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた。
得られたエポキシ樹脂の物性を表1に示す。
Figure 0005543879
<アミン系マイクロカプセル型硬化剤の原料となるアミンアダクトの製造>
[AA1]
エポキシ樹脂EP1を1当量及びN−アミノエチルピペラジンを1.0当量(モル比換算)とし、樹脂分が50質量%となるように、n−ブタノールとトルエンの質量比1/1混合溶媒中に投入し、80℃で加熱した。その後、減圧下でN−アミノエチルピペラジンの含有量が0.5質量%になるまで溶剤とともに留去し、25℃で固体状のアミンアダクトAA1を得た。AA1の全アミン基窒素含有量は6.2%であった。
[AA2]
エポキシ樹脂EP1を0.5当量、エポキシ樹脂EP2を0.5当量、及びトリエチレンテトラミンを1.0当量(モル比換算)とし、樹脂分が50質量%となるように、n−ブタノールとトルエンの質量比1/1混合溶媒中に投入し、80℃で加熱した。その後、減圧下でトリエチレンテトラミンの含有量が0.5質量%になるまで溶剤とともに留去し、25℃で固体状のアミンアダクトAA2を得た。AA2の全アミン基窒素含有量は9.0%であった。
[AA3]
エポキシ樹脂EP5を0.6当量、エポキシ樹脂EP5を0.4当量、及びトリエチレンテトラミンを1.2当量(モル比換算)とし、樹脂分が50質量%となるように、n−ブタノールとトルエンの質量比1/1混合溶媒中に投入し、80℃で加熱した。その後、減圧下でトリエチレンテトラミンの含有量が0.5質量%になるまで溶剤とともに留去し、25℃で固体状のアミンアダクトAA3を得た。AA3の全アミン基窒素含有量は12.0%であった。
<イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤の原料となるイミダゾールアダクトの製造>
[IA1]
エポキシ樹脂EP1を1当量及び2−メチルイミダゾール(2MZ)0.7当量(モル比換算)とし、樹脂分が50質量%となるように、n−ブタノールとトルエンの質量比1/1混合溶媒中に投入し、80℃で加熱した。その後、減圧下で2−メチルイミダゾールの含有量が0.5質量%になるまで溶剤とともに留去し、25℃で固体状のイミダゾールアダクトIA1を得た。
[IA2]
2−メチルイミダゾールを2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)に換え、エポキシ樹脂EP1をエポキシ樹脂EP7に換えた点以外はIA1と同様に製造し、25℃で固体状のイミダゾールアダクトIA2を得た。
得られたアダクトの特性を表2に示す。
Figure 0005543879
<粉砕アダクト製造>
上記で得られたアミンアダクト(AA1〜AA3)とイミダゾールアダクト(IA1〜IA2)を粉砕した。得られたアダクトのメジアン径は全て2μmであった。
多官能エポキシ樹脂として以下のものを用いた。
EX−622:(ナガセケムテックス社製、商品名「デナコールEX622」、ソルビトール変性ポリグリシジルエーテル、平均官能基数3.8)
TGAP:(ジャパンエポキシレジン社製、商品名「jER630」、トリグリシジル−p−アミノフェノール、官能基数3)
GAN:(日本化薬社製、商品名「GAN」、ジグリシジルアニリン、官能基数2.0)
TGXDA:(三菱瓦斯化学社製、商品名「TETRAD−X」、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、官能基数4)
非マイクロカプセル型潜在性硬化剤として以下のものを用いた。
「アミキュアPN−23」(味の素ファインテクノ社製、商品名「アミキュアPN−」、イミダゾール系潜在性硬化剤)
「アミキュアMY−24」(味の素ファインテクノ社製、商品名「アミキュアMY−」、脂肪族第3級アミン系潜在性硬化剤)
[製造例1]
エポキシ樹脂EP3を20質量部、エポキシ樹脂EP4を180質量部、アダクトAA1を100質量部、水を1質量部、及びポリメチレンフェニレンポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製、商品名「MR200」)を2質量部混合し、40℃で攪拌しながら3時間反応を続け、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤MB1を得た。なお、得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤MB1がマイクロカプセル化されていることは、示差走査熱量測定(DSC)により確認した。測定は、示差走査熱量測定機(エスアイアイナノテクノロジー社製、示差走査熱量測定システム、商品名「EXSTAR6000」)を用いて、サンプル量10mgを昇温速度10℃/分、40℃から250℃まで昇温させて、窒素気流下にて測定した。アダクトAA1のみの場合のDSC曲線と、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤MB1のDSC曲線とを測定し、MB1のピークがシャープになっていることによりマイクロカプセル化されていることを確認した。以下、同様の方法により、マイクロカプセル化されていることを確認した。
[製造例2〜15]
表3に示す材料を用いた点以外は製造例1と同様に作製し、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物MB2〜MB15を得た。
得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤の組成及び物性を表3に示す。
Figure 0005543879
[実施例1]
MB1を80質量部とMB8を20質量部とを、攪拌・脱泡機AR−250(シンキー社製、脱泡コンディショニングミキサー、商品名「あわとり練太郎」)にて3分間混合・脱泡し、マスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物MB51を得た。
[実施例2〜40]
表4〜7に示す条件でマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(MB52〜MB90)を得た。
実施例1〜40のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(MB51〜MB90)の組成及び評価を表4〜7に示す。
Figure 0005543879
Figure 0005543879
Figure 0005543879
Figure 0005543879
[比較例1〜24]
表8,9に示す材料を用いてマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物(MB91〜114)を製造し、その物性を評価した。
Figure 0005543879
Figure 0005543879
各実施例のマイクロカプセル型のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤は、貯蔵安定性・耐溶剤性、接着性、及び硬化物の外観のいずれにおいても良好であり、そのバランスに優れることが確認された。一方、コア成分が1種類である比較例1〜16や、1種類の非マイクロカプセル型硬化剤と1種類のマイクロカプセル型のマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤の混合組成物である比較例17〜24は、少なくとも貯蔵安定性、耐溶剤性、接着性及び硬化物の外観の少なくともいずれかが不良であることが確認された。
[異方導電性フィルムの作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ製、商品名「AER6097」、エポキシ当量42500eq/g)40質量部、フェノキシ樹脂(東都化成製、商品名「YP−50」)30質量部を酢酸エチル30質量部に溶解し、それに実施例39で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物30質量部に、平均粒径8μmの導電粒子(金メッキを施した架橋ポリスチレン、積水化学工業社製、商品名「ミクロパールAU」)5質量部を加え均一に混合し、一液性エポキシ樹脂組成物を得た。これをポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム社製、商品名「メリネックスS」)上に塗布した後、70℃で乾燥させることで酢酸エチルを除去し、異方導電性フィルムを得た。得られた異方導電性フィルムをICチップと電極間に挟み、200℃のホットプレート上で30kg/cm2、20秒間熱圧着を行った結果、電極間を接合することができた。さらに、電極間において導通がとれることを確認した。
[導電性フィルムの作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、商品名「AER−2603」)15質量部、フェノールノボラック樹脂(昭和高分子社製、商品名「BRG−558」)6質量部、合成ゴム(日本ゼオン社製、商品名「ニポール1072」、質量平均分子量30万)4質量部を、メチルエチルケトンとブチルセロソルブアセテートの1:1(質量比)混合溶剤20質量部に溶解させた。この溶液に銀粉末74質量部を混合し、三本ロールにより混練した。これに実施例39で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を50質量部加えて、さらに均一に混合し、導電性接着剤を得た。得られた導電性接着剤を厚さ30μmのポリプロピレンフィルム(信越フィルム社製、「PT−30H」)上にキャストして、80℃で60分間、乾燥半硬化させ、厚さ35μmの導電性接着剤層を有する導電性フィルムを得た。この導電性フィルムを用い、80℃のヒートブロック上でシリコンウェハー裏面に導電性接着剤層を転写した。さらにシリコンウェハーをフルダイシングし、ヒートブロック上でリードフレームに導電性接着剤付半導体チップを、200℃、2分間の条件で接着硬化させたところ、チップに導電性の問題がなかった。
[導電性ペーストの作製]
50質量部のエポキシ樹脂(EP5)に、実施例39で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物50質量部、二次凝集粒子径が14μm、不定形還元銀粉(徳力化学研究所社製、商品名「シルベストF−20」)150質量部、及び平均粒径が10μm、アスペクト比が9の鱗片状ニッケル粉(高純度化学社製、商品名「NI 110104」)60質量部を添加し、均一になるまで撹拌後、三本ロールで均一に分散させて導電性ペーストとした。得られた導電ペーストを、厚さ1.4mmのポリイミドフィルム基板上にスクリーン印刷した後、200℃で1時間の条件で加熱硬化させて配線板を得た。得られた配線板の導電性を測定した結果、体積抵抗の値が1×10-4Ω・cm未満となり導電性ペーストとして有用であることが確認された。
[絶縁性ペーストの作製]
エポキシ樹脂EP5を70質量部、ジシアンジアミドを4質量部、シリカ粉末(MSR−2212、龍森社製、商品名「MSR」)を100質量部、希釈剤としてフェニルグリシジルエーテル10質量部、及び有機リン酸エステル(日本化薬社製、商品名「PM−2」)1質量部を混合した後、三本ロールで混練した。そこに実施例39で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を50質量部加えて、さらに均一に混合し、減圧脱泡及び遠心脱泡処理を行い、絶縁性ペーストとした。得られた絶縁性ペーストを用いて、半導体チップを樹脂基板に200℃で1時間加熱硬化させて接着したところ、1000Ω以上の高い絶縁性を示し、絶縁性ペーストとして有用であることが確認された。
[異方導電性ペーストの作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ製、商品名「AER6091」、エポキシ当量480eq/g)40質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ製、商品名「AER2603」)15質量部と導電粒子として商品名「ミクロパールAu−205」(積水化学社製、比重2.67)5質量部を混合後、実施例39で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物70質量部を加えて、さらに均一に混合させて、異方導電性ペーストを得た。得られた異方導電性ペーストを、酸化インジウムスズ(ITO)電極を有する低アルカリガラス(松浪硝子工業社製、ディスプレイ用基板ガラス)上に塗布した。230℃のセラミックツールで、30秒間、2MPaの圧力にて試験用TAB(Tape Automated Bonding)フィルムと圧着し貼り合わせを行った。隣接するITO電極間の抵抗値を測定したところ、体積抵抗の値が1×10-4Ω・cm未満となり異方導電性ペーストとして有用であった。
[絶縁性フィルムの作製]
フェノキシ樹脂(東都化成株式会社製、商品名「YP−50」)180質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量200eq/g、日本化薬社製、商品名「EOCN−1020−80」)40質量部、球状シリカ(平均粒径:2μm、アドマテック社製、商品名「SE−5101」)300質量部、メチルエチルケトン200質量部を混合し、均一分散させた。これに実施例39で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を250質量部加え、さらに攪拌・混合して、エポキシ樹脂組成物を含む溶液を得た。得られた溶液を、離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(三菱化学ポリエステルフィルム社製、商品名「MRV100」)上に、乾燥後の厚さが50μmになるように塗布し、熱風循環式乾燥機の中で加熱乾燥を行い、半導体接着用の絶縁性フィルムを得た。得られた半導体接着用の絶縁性フィルムを5インチのウェハサイズよりも大きく支持基材ごとに切断し、バンプ電極付きウェハ(Si基板、ルネサス東日本セミコンダクタ社製)の電極部側に樹脂フィルムを合わせる。次に離型処理された支持基材を上にして熱圧着器を用いてバンプ電極付きウェハで絶縁性フィルムを挟み、70℃、1MPa、加圧時間10秒で真空中加熱圧着し接着樹脂付きウェハを得た。続いて、ダイシングソー(DISCO製、DAD−2H6M)を用いてスピンドル回転数30,000rpm、カッティングスピード20mm/secで切断分離し、個片の接着フィルム付き半導体素子に樹脂剥がれがないか観察した。その結果、剥離速度5cm/分で剥離させたが、接着強度は6N/cm以上であり、十分な接着強度を有していることが確認された。また、1000Ω以上の高い絶縁性を示し、絶縁性フィルムとして有用であることが確認された。
[封止材の作製]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、商品名「AER6091」、エポキシ当量480eq/g)50質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、商品名「AER2603」)30質量部、無水フタル酸を主成分とする硬化剤(日立化成工業社製、商品名「HN−2200」)40質量部、二次凝集粒子径16μmの球状溶融シリカ(電気化学工業社製、商品名「デンカ溶融シリカ(FB)」)80質量部を均一に分散、配合した。これに実施例39で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物20質量部加えてエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物をプリント配線基板上に厚さ60μmになるように1cm角に塗布し、110℃で10分間、オーブンで加熱して半硬化させた。その後、厚さ370μm、1cm角のシリコンチップを半硬化させたエポキシ樹脂組成物の上に乗せ、荷重を加えてバンプとチップの電極を接触・保持しつつ220℃で1時間、完全硬化処理を行った。得られたエポキシ樹脂組成物からなる封止材は、外観及びチップの導通に問題のない有用なものであった。
[コーティング材の作製]
30質量部のエポキシ樹脂(EP4)、フェノキシ樹脂としてYP−50を30質量部(東都化成製)、メトキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のメチルエチルケトン溶液(荒川化学工業社製、商品名「コンポセランE103」)を50質量部、これに実施例39で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を50質量部加えて、メチルエチルケトンで50質量%に希釈・混合させた溶液を調製した。調製した溶液を、離型処理を施し剥離ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(パナック社製、商品名「SG−1」)上に、ロールコーターを用いて塗布し、150℃で15分、乾燥・硬化させ、膜厚100μmの剥離フィルム付き半硬化樹脂膜(ドライフィルム)を作製した。得られたドライフィルムを離型処理に用いた先の銅張り積層板上に120℃で、10分間、6MPaで加熱圧着した後、室温に戻して剥離フィルムを除去し、200℃で2時間硬化させたところ、層間絶縁用のコーティング材として有用なものが得られた。
[塗料組成物の作製の実施例]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ社製、商品名「AER6091」、エポキシ当量480eq/g)50質量部に、二酸化チタン30質量部、タルク70質量部を配合し、混合溶剤としてメチルイソブチルケトン(MIBK)/キシレンの1:1(質量比)混合溶剤140質量部を添加し、攪拌混合して主剤とした。これに実施例39で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物50質量部を添加し、均一に分散させることにより、プライマーなしの鋼板等であっても、塗装が可能であり、充分な防食効果が得られた。塗装方法としては、エアースプレー、エアレススプレー、刷毛塗り、ローラー等従来公知の方法を採用することができ、上記塗料組成物を乾燥膜厚で、150〜500μmになるように塗布することができ、エポキシ塗料組成物として有用であることが確認された。
[プリプレグの作製]
130℃のオイルバス中のフラスコ内にノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、商品名「EPICLON N−740」)15質量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(JER社製、商品名「エピコート4005」)30質量部、エポキシ樹脂(EP5)10質量部を、混合・溶解し80℃まで冷却した。さらに実施例39で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物を50質量部加えて、十分、攪拌して混合し、室温まで冷却し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を離型紙上にドクターナイフを用いて樹脂目付162g/m2で塗布し、樹脂フィルムとした。次に、この樹脂フィルム上に、弾性率24トン/mm2の炭素繊維を12.5本/インチで平織りしたカーボンファイバークロス(三菱レイヨン社製、商品名「TR3110」、目付200g/m2)を重ねて炭素繊維クロスとした。この炭素繊維クロスを上記した樹脂組成物に含浸させた後、ポリプロピレンフィルム(信越フィルム社製、商品名「PT−30H」)を更に重ねて、表面温度90℃のロール対の間を通し、クロスプリプレグを得た。クロスプリプレグにおける樹脂の含有率は45質量%であった。得られたプリプレグを、繊維方向を揃えてさらに積層し、硬化条件150℃×1時間で成形を行い、炭素繊維を補強繊維とする繊維強化樹脂(Fiber Reinforced Plastics、以下「FRP」という。)成形体を得た。カーボンファイバークロスを5.0cm/分の速度で90度方向に剥離させた際の引張り強度は0.47kN/mであり、作製したプリプレグは有用であることが確認された。
[熱伝導性エポキシ樹脂組成物の作製]
エポキシ樹脂(EP5)50質量部、エポキシ樹脂用硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(荒川化学工業社製、商品名「タマノル759」)のメチルエチルケトン50%溶液40質量部、鱗片状グラファイト粉末(ユニオンカーバイト社製、商品名「HOPG」)15質量部を均一になるまで攪拌後、3本ロールで均一に分散させた。これに実施例1で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物50質量部を加えて、十分に攪拌混合して、導電性ペーストを得た。得られた導電性ペーストを用いて、Cuリードフレーム上に半導体チップ(1.5mm角、厚み0.8mm)をマウントし、150℃で30分間加熱硬化させて評価用サンプルを得た。得られたサンプルの熱伝導性はレーザフラッシュ法により測定した。測定した熱拡散率α、比熱Cp、密度σから、式:K=α×Cp×σより熱伝導率Kを求めた。その結果、熱伝導率Kは5×10-3Cal/cm・sec・℃以上あり、熱伝導性ペーストとして有用であることが確認された。
[燃料電池用セパレータ材の作製]
ビフェニル型エポキシ樹脂3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン製、商品名「エピコートYX−4000」、エポキシ当量195eq/g)100質量部、フェノールノボラック樹脂(大日本インキ製、商品名「TD−2131」)60質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成ケミカルズ製、商品名「AER2603」)10質量部、人造黒鉛(エスイーシー社製、商品名「SGP」、平均粒径75μm)800質量部、離型剤(ステアリン酸カルシウム)、滑剤(東亜化成社製、商品名「カルナバワックス」)を配合し、ミキサーで混合した。これに実施例39で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物50質量部を加えて、3本ロールで均一に混合した。得られた材料を、燃料電池用セパレータ材用金型を用いて、成形圧力25MPa、成形温度150℃、成形時間15分で加圧成形して評価用サンプルを得た。得られた燃料電池用セパレータ材の曲げ強さをJIS K7203に準じて測定したところ、50MPaの曲げ強さを示した。また、ガス透過性について、窒素ガスを用いて、JIS K7126Aに準拠して測定したところ、ガス透過率は0.6cm3/m2・24時間・atmであり、燃料電池用セパレータ材として有用なものであった。
[フレキシブル配線基板用オーバーコート材の作製]
α、ω―ポリブタジエンジカルボン酸樹脂(日本曹達社製、商品名「C−1000」)とビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、商品名「エピコート828」)との反応によりエポキシ樹脂変性された樹脂(日本曹達社製、商品名「EPB−13」(エポキシ当量870eq/g、粘度80Pa・s)50質量部、エポキシ基と反応する樹脂として、マレイン化変性ポリブタジエン樹脂(日本曹達社製、「BN−1015」酸当量145eq/g)70質量部、硬化促進剤として実施例39で得られたマスターバッチ型エポキシ樹脂用硬化剤組成物30質量部、ゴム微粒子(JSR製、商品名「EXR−91」)3質量部を配合して、3本ロールで均一に混合した。さらにメチルエチルケトン(MEK)を200質量部加えて、ミキサーで均一になるまで攪拌混合して溶解分散させ、オーバーコート用接着剤溶液を得た。幅35mm×長さ60mm×厚さ65μmのポリイミドフィルムに対して、得られたオーバーコート用接着剤溶液を乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗布し、150℃、20分間乾燥させることにより、フレキシブル配線基板用オーバーコート材を得た。得られたオーバーコート材を180℃で屈曲させ、爪でしごいたときのクラック発生の有無、及び湿度50%、150℃で8時間処理したときのオーバーコート材の反りを測定した。クラックの発生はなく、反りは0.2mmとなり、フレキシブル配線基板用オーバーコート材として有用であることが確認された。
本発明に係るエポキシ樹脂用硬化剤組成物は、接着剤、封止材、充填材、絶縁材料、導電材料、プリプレグ、フィルム状接着剤、異方導電性フィルム、異方導電性ペースト、絶縁接着フィルム、絶縁接着ペースト、アンダーフィル材、ポッティング材、ダイボンディング材、導電ペースト、ソルダーレジスト等をはじめとする幅広い分野で好適に利用できる。

Claims (13)

  1. コアと、前記コアを被覆するシェルとを有するマイクロカプセル型硬化剤(a)、及びエポキシ樹脂(b)を含むエポキシ樹脂用硬化剤組成物であって、
    前記(a)成分として前記コアの成分が異なる2種以上の硬化剤を含み、
    前記(a)成分として、イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤及びアミン系マイクロカプセル型硬化剤を含む、
    エポキシ樹脂用硬化剤組成物。
  2. 前記イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤と前記アミン系マイクロカプセル型硬化剤の質量比が、1:99〜99:1である、請求項1に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
  3. 前記イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤と前記アミン系マイクロカプセル型硬化剤の質量比が、10:90〜50:50である、請求項1に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
  4. 前記イミダゾール系マイクロカプセル型硬化剤と前記アミン系マイクロカプセル型硬化剤の質量比が、15:85〜22:78である、請求項1に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
  5. 前記(b)成分が、3官能以上の多官能エポキシ樹脂を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
  6. 前記(b)成分が、平均官能基数が2より大きい多官能エポキシ樹脂を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
  7. 前記多官能エポキシ樹脂が、グリシジルアミン化合物に由来する構造を含む、請求項5又は6に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
  8. 前記(b)成分が、4官能以上の多官能エポキシ樹脂を含む、請求項5〜7のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
  9. 前記アミン系マイクロカプセル型硬化剤が、ジエチレントリアミン又はトリエチレンテトラミンから得られる硬化剤である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
  10. 前記アミン系マイクロカプセル型硬化剤が、剛直骨格を有している、請求項1〜9のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
  11. 前記剛直骨格が、ベンゼン構造、ナフタレン構造、ビフェニル構造、トリフェニル構造、アントラセン構造、ジシクロペンタジエン構造、ノルボルネン構造、アセナフチレン構造、アダマンタン構造、フルオレン構造、ベンゾフラン構造、ベンゾオキサジン構造、インデン構造、インダン構造、ヒダントイン構造、オキサゾリン構造、環状カーボネート構造、芳香族環式イミド構造、脂環式イミド構造、オキサジアゾール構造、チアジアゾール構造、ベンゾオキサジアゾール構造、ベンゾチアジアゾール構造、カルバゾール構造、アゾメチン構造、オキサゾリドン構造、トリアジン構造、イソシアヌレート構造、キサンテン構造、及び下記群Gのいずれか一つで表される構造からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を有する、請求項10に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物。
    Figure 0005543879
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物と、前記(b)成分以外のエポキシ樹脂(c)とを含み、
    前記エポキシ樹脂用硬化剤組成物と前記エポキシ樹脂(c)の質量比が100:10〜100:10000である、一液性エポキシ樹脂組成物。
  13. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂用硬化剤組成物、又は請求項12に記載の一液性エポキシ樹脂組成物より得られる加工品。
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