JP5557059B2 - 非水系二次電池用負極活物質およびその製造方法 - Google Patents
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Description
酸化珪素を含有する酸化珪素系粉末およびカルシウムと珪素とを含む珪素化合物を含有する珪素化合物系粉末を反応させて複合化した複合粉末を含み、
前記複合粉末は、少なくとも珪素相およびCaSiO 3 相を含むことを特徴とする。
少なくとも、酸化珪素を含有する酸化珪素系粉末と、カルシウムおよび珪素を含む珪素化合物を含有する珪素化合物系粉末と、を含む混合原料を調製する原料調製工程と、
前記混合原料を反応させて複合粉末を得る反応工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明の非水系二次電池用負極活物質の製造方法は、少なくとも珪素相およびCaSiO 3 相を含む非水系二次電池用負極活物質の製造方法である。本製造方法は、混合原料を調製する原料調製工程と、その混合原料を反応させて複合粉末を得る反応工程と、を主として含む。以下に、それぞれの工程を説明する。
上記の非水系二次電池用負極活物質を用い、非水系二次電池用負極が作製される。非水系二次電池用負極は、主として、負極活物質と、導電助材と、負極活物質および導電助材を結着する結着剤と、を含む。
正極と、上記の非水系二次電池用負極と、電解質材料を有機溶媒に溶解した非水電解液と、で非水系二次電池が構成される。この非水系二次電池は、一般の二次電池と同様、正極および負極の他に、正極と負極の間に挟装されるセパレータおよび非水電解液を備える。
熱処理SiO粉末およびCaSi2粉末(株式会社高純度化学研究所)を準備した。なお、熱処理SiO粉末は、非晶質SiO粉末(シグマ・アルドリッチ・ジャパン株式会社)を1100℃×5時間真空中で熱処理して不均化させて得た。
熱処理SiO粉末を31μm以下、CaSi2粉末を15μm以下にそれぞれ分級した後、熱処理SiO粉末を3.81g、CaSi2粉末を1.19g秤量し、熱処理SiO粉末とCaSi2粉末とを7:1(モル比)で含む原料粉末を得た。
原料粉末5gをZrO2製でφ12mmのボールが100個入ったZrO2製容器(容量:45cc)に投入し、遊星型ボールミル(フリッチュ・ジャパン株式会社製P−7)を用いてミリングして、複合粉末(負極活物質#11)を得た。ミリングは、アルゴンガス雰囲気において容器の回転数700rpmで10時間行った。
熱処理SiO粉末のかわりに、不均化処理を施さない未処理の非晶質SiO粉末を用いたほかは実施例1−1と同様にして、複合粉末(負極活物質#12)を得た。
上記の熱処理SiO粉末を負極活物質#C1とした。
上記の熱処理SiO粉末(5g)のみを実施例1−1と同様のミリング条件でミリングして、負極活物質#C2を得た。
実施例1−1で得られた複合粉末(負極活物質#11)に対してCVD処理を行った粉末について、CuKαを使用したXRD測定を行った。また、ミリング前の原料粉末と比較するために、原料として用いた熱処理SiO粉末#C1についても、同様の測定を行った。結果を図1および図2に示した。なお、図1および図2に示した●、▲および△は、ASTMカードに記載の面間隔dから算出したSiおよびCaSiO3、SiO2のピーク位置を示す。
(実施例1−1)
3.5Si+3.5SiO2+CaSi2→5Si+CaSiO3+2SiO2
(実施例1−2)
7SiO+CaSi2→4Si+4SiO+CaSiO3
上記のいずれかの負極活物質を用いて電極(負極)を作製した。
負極活物質(複合粉末)と、導電助材としてのケッチェンブラック(KB)とを混合して混合粉末を得た。また、N-メチルピロリドン(NMP)に結着剤としてのポリアミドイミド−シリカハイブリッド樹脂(荒川化学工業製、溶剤組成:NMP/キシレン=4/1、硬化残分30.0%、硬化残分中のシリカ:2%(割合は全て質量比)、粘度8700mPa・S/25℃)を溶解させた。この溶液と、複合粉末とKBとの混合粉末と、を混合してスラリーを調製した。負極活物質、KBおよび結着剤(固形分)の配合比は、質量比で80.75:4.25:15であった。調製したスラリーを、厚さ18μmの電解銅箔(集電体)の表面にドクターブレードを用いて塗布し、銅箔上に負極活物質層を形成した。その後、80℃で20分間乾燥し、負極活物質層からNMPを揮発させて除去した。乾燥後、ロールプレス機により、集電体と負極活物質層を強固に密着接合させた。
これを200℃で2時間加熱硬化させて、活物質層の厚さが15μm程度の電極とした。
上記の手順で作製した電極を評価極として用い、リチウム二次電池(ハーフセル)を作製した。対極は、金属リチウム箔(厚さ500μm)とした。対極をφ13mm、評価極をφ11mmに裁断し、セパレータ(ヘキストセラニーズ社製ガラスフィルターおよびcelgard2400)を両者の間に挟装して電極体電池とした。この電極体電池を電池ケース(宝泉株式会社製CR2032コインセル)に収容した。また、電池ケースには、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1(体積比)で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解した非水電解質を注入した。電池ケースを密閉して、リチウム二次電池(C1、C2、A1およびA2)を得た。
作製した四種類のリチウム二次電池に対して充放電試験を行い、初期充放電効率およびサイクル特性を評価した。
充放電試験は、25℃の温度環境のもと、金属Li基準で充電終止電圧0.01Vまで0.05mAの定電流で充電を行った後、放電終止電圧2Vまで0.05mAの定電流で放電を行った。「充電」は評価極の活物質がLiを吸蔵する方向、「放電」は評価極の活物質がLiを放出する方向、である。
充放電曲線を図3に示した。図3より、初期充電容量、1Vでの初期放電容量および2Vでの初期放電容量を読み取り、初期充放電効率を算出した。なお、初期充放電効率は、初期放電容量を初期充電容量で除した値の百分率((初期放電容量)/(初期充電容量)×100)で求められる値である。
各サイクルにおける放電容量を図4に、各サイクルにおける放電容量維持率を図5に、それぞれ示した。なお、放電容量維持率は、Nサイクル目の放電容量を初回の放電容量で除した値の百分率((Nサイクル目の放電容量)/(1サイクル目の放電容量)×100)で求められる値である。Nは1〜20の整数である。
SiO粉末(シグマ・アルドリッチ・ジャパン株式会社)およびCaSi2粉末(株式会社高純度化学研究所)を準備した。SiO粉末を45μm以下、CaSi2粉末を425μm以下にそれぞれ分級した後、SiO粉末を2.89g(0.066mol)、CaSi2粉末を2.11g(0.022mol)秤量し、遊星型ボールミル(フリッチュ・ジャパン株式会社製P−7)を用い回転数700rpmで50時間混合し、混合原料を調製した。
SiO粉末とCaSi2粉末とをさらに反応させるため、得られた混合原料をアルゴンガス雰囲気中で900℃に2時間保った。その後、加熱した混合原料を放冷し、反応生成物を得た。この反応生成物を#21とした。
混合条件を700rpm74時間、反応条件を900℃6時間とした他は、実施例2−1と同様にして反応生成物#22を得た。この反応生成物を上記の遊星型ボールミルを用い回転数700rpm10時間で粉砕した。
上記SiO粉末を3.23g(0.073mol)、上記CaSi2粉末を1.77g(0.018mol)秤量し、遊星型ボールミル(フリッチュ・ジャパン株式会社製P−7)を用い回転数700rpmで50時間混合し、混合原料を調製した。
SiO粉末とCaSi2粉末とをさらに反応させるため、得られた混合原料をアルゴンガス雰囲気中で900℃に6時間保った。その後、加熱した混合原料を放冷し、反応生成物を得た。この反応生成物を#23とした。この反応生成物を上記の遊星型ボールミルを用い回転数700rpm10時間で粉砕した。
混合原料の混合割合を変更(SiO粉末:2.39g(0.054mol)、CaSi2粉末:2.61g(0.027mol))した他は、実施例2−3と同様にして反応生成物#24を得た。この反応生成物を上記の遊星型ボールミルを用い回転数700rpm10時間で粉砕した。
上記SiO粉末のみを900℃で2時間熱処理し、#C3の反応生成物を得た。
上記の反応生成物#21〜23および#C3について、CuKαを使用したXRD測定を行った。結果を図6〜図9に示す。#C3からは、Si相の存在を示す回折ピークが確認できた(図6)。一方、#21〜23からは、Si相の存在を示す回折ピークとともにCaSiO3相の存在を示す回折ピークが確認できた(図7〜図9)。特に、反応条件のうち反応時間が異なる#21の回折ピーク(図7)と#23の回折ピーク(図9)とを比較すると、#23の回折ピークの方の幅が広かった。反応時間を長くしたことで、微細なSi相およびCaSiO3相が生成されたからであると考えられる。
(比較例3)2SiO→Si+SiO2
(実施例2−1および2−2)
3SiO+CaSi2→4Si+CaSiO3
(実施例2−3)
4SiO+CaSi2→4.5Si+CaSiO3+0.5SiO2
(実施例2−4)
2SiO+CaSi2→2/3CaSiO3+1/3CaSi2+8/3Si
上記の反応生成物#21〜24および#C3のうちのいずれかを負極活物質として用いた電極(負極)を備えるリチウム二次電池を作製した。
いずれかの反応生成物(負極活物質)と、導電助材としてのケッチェンブラック(KB)とを混合して混合粉末を得た。また、N-メチルピロリドン(NMP)に結着剤としてのアルコキシ含有シラン変性ポリアミック酸樹脂(荒川化学工業製、溶剤組成:N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、硬化残分15.1%、粘度5100mmPa・s/25℃、硬化残分中のシリカ、2wt%)を溶解させた。この溶液と、反応生成物とKBとの混合粉末と、を混合してスラリーを調製した。負極活物質、KBおよび結着剤(固形分)の配合比は、質量比で80:5:15であった。調製したスラリーを、厚さ18μmの電解銅箔(集電体)の表面にドクターブレードを用いて塗布し、銅箔上に負極活物質層を形成した。その後、80℃で20分間乾燥し、負極活物質層からNMPを揮発させて除去した。乾燥後、ロールプレス機により、集電体と負極活物質層を強固に密着接合させた。
これを350℃で10分間加熱硬化させて、活物質層の厚さが15μm程度の電極とした。
上記の手順で作製した電極を、それぞれ評価極として用い、五種類のリチウム二次電池C3およびB1〜B4を作製した。対極は、金属リチウム箔(厚さ500μm)とした。対極をφ13mm、評価極をφ11mmに裁断し、セパレータ(ヘキストセラニーズ社製ガラスフィルター,celgard2400)を両者の間に挟装して電極体電池とした。この電極体電池を電池ケース(宝泉株式会社製CR2032コインセル)に収容した。また、電池ケースには、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1(体積比)で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解した非水電解質を注入した。電池ケースを密閉して、リチウム二次電池(電池C3および電池B1〜B4)を得た。
作製した五種類のリチウム二次電池に対して充放電試験を行い、充放電特性を評価した。はじめに、初期充放電特性を評価した。充放電試験は、25℃の温度環境のもと、電池C3およびB1については、金属Li基準で充電終止電圧0.01Vまで0.2mAの定電流で充電を行った後、放電終止電圧1.2Vまで0.2mAの定電流で放電を行い、初期充放電効率を求めた。電池B2〜B4については、金属Li基準で充電終止電圧0.01Vまで0.05mAの定電流で充電を行った後、放電終止電圧2Vまで0.05mAの定電流で放電を行い、初期充放電効率を求めた。初期充放電効率は、初回の放電容量を初回の充電容量で除した値の百分率((初回の放電容量)/(初回の充電容量)×100)で求められる値である。なお、充放電試験の条件と、初回の放電容量、初回の充電容量および初期充放電効率を表5に示す。
電池B2〜B4は、同じ条件で充放電試験を行った。これらのうちで、初期効率が最も高かったのは、負極活物質として#22を用いた電池B2であった。これは、不可逆容量の原因であるSiO2相がなく、Si相およびCaSiO3相のみが存在したためであると考えられる。
また、負極活物質として#24を用いた電池B4は、電池B2およびB3と同程度の初期効率であった。そのため、#24の負極活物質も、SiO2相の生成が抑えられ、Si相およびCaSiO3相を含むと考えられる。
サイクル特性を評価するために、初期充放電効率が高かった電池B2およびB3に対してさらに充放電試験を行った。初回の充放電試験後の最初の充放電試験を1サイクル目とし、5サイクル目まで同様の充放電を繰り返し行った。引き続き、6〜10サイクル目は0.1mA、11〜15サイクル目までは0.2mA、16〜20サイクル目までは0.05mA、として充放電を繰り返し行った。充放電の終止電圧は、いずれのサイクルも0.01〜2Vであった。
各サイクルで、電圧に対する電極活物質単位質量当たりの放電容量および充電容量を測定した。そして、各サイクルにおける放電容量維持率および充放電効率を算出した。結果を図10および図11に示す。
なお、放電容量維持率は、Nサイクル目の放電容量を初回の放電容量で除した値の百分率((Nサイクル目の放電容量)/(1サイクル目の放電容量)×100)で求められる値である。また、充放電効率は、Nサイクル目の放電容量をNサイクル目の充電容量で除した値の百分率((Nサイクル目の放電容量)/(Nサイクル目の充電容量)×100)で求められる値である。Nは1〜20の整数である。
Claims (13)
- 酸化珪素を含有する酸化珪素系粉末およびカルシウムと珪素とを含む珪素化合物を含有する珪素化合物系粉末を反応させて複合化した複合粉末を含み、
前記複合粉末は、少なくとも珪素相およびCaSiO 3 相を含むことを特徴とする非水系二次電池用負極活物質。 - 前記珪素相は、SiOn(nは0.5≦n≦1.5)で表される一酸化珪素が不均化されて生じた珪素を含む請求項1に記載の非水系二次電池用負極活物質。
- 少なくとも珪素相およびCaSiO3相を含む非水系二次電池用負極活物質の製造方法であって、
少なくとも、酸化珪素を含有する酸化珪素系粉末と、カルシウムおよび珪素を含む珪素化合物を含有する珪素化合物系粉末と、を含む混合原料を調製する原料調製工程と、
前記混合原料を反応させて複合粉末を得る反応工程と、
を含むことを特徴とする非水系二次電池用負極活物質の製造方法。 - 前記反応工程は、前記混合原料をミリングおよび/または加熱して該混合原料を反応させる工程である請求項3記載の非水系二次電池用負極活物質の製造方法。
- 前記原料調製工程および前記反応工程は、不活性雰囲気中でミリングを施して、前記酸化珪素系粉末と、前記珪素化合物系粉末と、を混合すると同時に該酸化珪素系粉末および該珪素化合物系粉末を複合化するミリング工程を含む請求項3または4記載の非水系二次電池用負極活物質の製造方法。
- 前記反応工程は、前記ミリング工程後に行われる熱処理工程を含む請求項5記載の非水系二次電池用負極活物質の製造方法。
- 前記原料調製工程の前に行われ、一酸化珪素粉末を含む原料酸化珪素粉末の一酸化珪素(SiOn:0.5≦n≦1.5)を二酸化珪素相と珪素相とに不均化して前記酸化珪素系粉末を得る不均化工程を含む請求項5または6に記載の非水系二次電池用負極活物質の製造方法。
- 前記混合原料は、前記珪素化合物よりも前記酸化珪素をモル比で多く含む請求項3〜7のいずれかに記載の非水系二次電池用負極活物質の製造方法。
- 前記酸化珪素および前記珪素化合物は、第一原理計算により求めた生成エネルギー(ΔH)が負の値となる組成をもち、かつΔHが負の値となるモル比で混合される請求項3〜8のいずれかに記載の非水系二次電池用負極活物質の製造方法。
- 前記珪素化合物はCaとSiとからなり、前記酸化珪素と該珪素化合物とのモル比が、1.5:1〜8:1である請求項3〜9のいずれかに記載の非水系二次電池用負極活物質の製造方法。
- 前記混合原料において、前記酸化珪素系粉末の平均粒径は、前記珪素化合物系粉末の平均粒径よりも大きい関係にある、請求項3〜10のいずれかに記載の非水系二次電池用負極活物質の製造方法。
- 請求項3〜11のいずれかに記載の製造方法により得られることを特徴とする非水系二次電池用負極活物質。
- 正極と、請求項1、2および12のいずれかに記載の非水系二次電池用負極活物質を含む負極と、非水電解質と、を備えることを特徴とする非水系二次電池。
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