実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1を示す空気調和機の室外ユニット100の外観斜視図であり、図2は、その室外ユニット100の箱体の一部を取り外して内部構成を示すようにした斜視図である。また、図3は、室外ユニット100を後方から見た外観斜視図であり、図4は、室外ユニット100の横断面図である。この室外ユニット100は屋外に設置され、図示されない屋内の室内ユニットと冷媒配管で接続され、冷凍サイクルを構成する。また、室内ユニットとは冷凍サイクルの運転制御のために電源線や信号線でも接続されている。室外ユニット100と室内ユニットとで、所謂セパレート型の空気調和機を構成している。これらの図において、電気配線類は省略してある。
室外ユニット100の外郭を成す箱体は、複数の板状板金部品が組み合わさって構成されており、その箱体の底部を担う底板1(図2参照)には、室外ユニット100の内部(箱体内部)を左右に区切る仕切板20が直立状に設置されている。この仕切板20によって、送風ファン3と熱交換器2を有するファン室Fと、圧縮機4や冷媒配管、電気品ユニット90が配置される機械室Mとに分けられている。図2に示すとおり、ファン室Fにおいては、略L字状の熱交換器2の長辺部位が室外ユニット100の背面側に位置し、送風ファン3がその正面側に位置する。そして、室外ユニット100を正面から見て、左側にファン室Fが、右側に機械室Mが位置する。
室外ユニット100の箱体は、室外ユニット100を支える脚部1aを底面に有する底板1の他、ファン室Fの正面を覆う左正面パネル6、正面壁と側面壁を有して機械室Mの正面と右側面前方部分を覆うL字状の右正面パネル7、正面壁と側面壁を有して機械室Mの背面と右側面後方部分を覆うL字状のリアパネル8、ファン室Fの左側面を覆う左側面パネル9、ファン室Fと機械室Mとに跨って室外ユニット100の上面を覆う天面パネル5により構成されており、これらのパネルはいずれも板金製である。なお、これらのパネルは、個々が分離しておらず、いくつかが一体的に成形されていても構わない。
ここで、図1に示すように、この実施の形態の説明においては、左正面パネル6が外部に面する方向を正面側として、その反対方向を背面側とする。そして、正面側と背面側を結ぶ方向を前後方向と呼ぶ。また、その正面から見て機械室Mが位置する方向を右側、ファン室Fが位置する方向を左側とする。また、正面側を前方、背面側を後方、右側を右方向、左側を左方向と説明する場合もある。
左正面パネル6には、内側に円筒状に突出して送風ファン3からの吹出空気をガイドするベルマウス6a(図4参照)を有して開口する円形の吹出口(図示せず)が形成されており、その吹出口を、所定の間隔を空けて並ぶ桟で構成され格子状に開口する吹出グリル6bが覆っている。左側面パネル9は、略L字状の熱交換器2の短辺部位に対向しており、熱交換器2へ向かう空気流を通すために、格子状の開口(図示せず)が形成されている。
図3に示すように、リアパネル8の下部には、電気品ユニット90を冷却するための空気流の入口となる吸込グリル8aが設けられている。ここで吸込グリル8aは、リアパネル8の背面壁に設けられているが、側面壁に設けられていてもよい。吸込グリル8aは、ルーバー加工でリアパネル8に一体成形されるもので、機械室M内部に面する内向面側では、左右方向に細長い横穴が上下方向に複数並んでいて、屋外に面する外向面側では、それら横穴を個々に覆うようにカバー体が膨らんでおり、このカバー体はそれぞれ下方にのみ開口している。カバー体を切った後で絞って膨らませないで、折り曲げたランス加工により吸込グリル8aを一体的に形成してもよい。
図2は、室外ユニット100の内部構成を説明するために、板金製の箱体のうち、天面パネル5と左正面パネル6、右正面パネル7を取り外した状態の斜視図であり、図示されるように、室外ユニット100の内部は、仕切板20を境にして、右側に機械室M、左側にファン室Fが位置している。底板1上に直立する仕切板20によって、室外ユニット100の内部は、左右方向にファン室Fと機械室Mとに隔てられている。
底板1は、板金製で、全周に渡って上方に折り曲がけられたフランジ部1bが形成されている。仕切板20も板金製で、底板1の上面に接してねじ固定されている。正面側では底板1のフランジ部1bにねじ止めされ、背面側では、熱交換器2の機械室側端部(右端部)に取り付けられている端板にねじ止めされている。仕切板20は、このように室外ユニット100内部で正面と背面とをつなぐように設置される。
この室外ユニット100では、図4で示すように、熱交換器2の右端部が電気品ユニット90の背面側で電気品ユニット90の左側部分と前後方向に重なっているので、この仕切板20は、正面側から背面側へ進んで電気品ユニット90の背面側で一旦右方向に折り曲がって、熱交換器2と電気品ユニット90の間を進み、熱交換器2の右端部近傍で再び後方へ折り曲がって、熱交換器2の右端部の端板へと至る、折れ曲がった形状を呈している。
ファン室Fの正面側中央には、送風ファン3が設置され、その後方には、送風ファン3を回転駆動するファンモータ3a(図4参照)が位置する。このファンモータ3aは、底板1上に固定される支柱10(図2参照)に支持される。支柱10は略L字状で、その長辺部位は熱交換器2の内側に対向し、短辺部位は天面パネル5の内面に対向して天面パネル5を上下方向に支える役を担っている。なお、この室内ユニット100の送風ファン3はプロペラファンである。
図2で示すとおり、機械室Mは、下部に冷媒を圧縮して吐出し、冷凍サイクルに冷媒を循環させる圧縮機4が配置される。圧縮機4は、防振ゴムを介して底板1上に固定される。機械室Mの上部には、電気品ユニット90が配置される。電気品ユニット90下方や圧縮機4側方の機械室M内の空間には、冷凍サイクルを構成する膨張弁や四方弁、冷凍サイクルをつなぐ冷媒配管、室内ユニットへの接続冷媒配管をつなぐ接続バルブなどが配置される。
次に電気品ユニット90について説明する。図5は、電気ユニット90の全体構成を示す斜視図であり、図6は、電気品ユニット90を背面側から見た斜視図である。電気ユニット90は、電装基板30、リアクタ40、このリアクタ40が据え付けられリアクタ40を支持するリアクタ取付部材70、端子台85、これらを固定支持し電気品ユニット90の外枠を成す板金製のフレーム50を備える。また、ところどころに種々の電気配線を留める配線クリップ91が取り付けられている。図5において、斜めに直線的に伸びる配線クリップ91は、これを丸めて電気配線を留めるものである。ここでは、丸める前の状態が示されている。
以下、電気品ユニット90を説明する際に用いる方向の定義については、室外ユニット100に電気品ユニット90が設置された状態を基準として、室外ユニット100に用いる定義と同じとする。すなわち、図5に示すように、室外ユニット100に設置した状態で、室外ユニット100の正面側となる方向を、正面側もしくは前方もしくは手前側とし、その反対方向であり、室外ユニット100の背面側となる方向を、背面側もしくは後方もしくは奥側とする。また、電気品ユニット90の正面に向かって、右の方向を右側、左の方向を左側とする。
当該空気調和機の運転制御のための電気電子部品が実装された電装基板30が、フレーム50の奥側(背面側寄り)に、主たる電気電子部品の実装面が手前側(正面側)を向いて縦置き状態に設置される。ここで縦置き状態とは、電装基板30の電気電子部品が実装されるプリント基板が、鉛直方向に略平行である状態をいう。またここでは、電装基板30は、プリント基板のことだけを指すのではなく、プリント基板上に各種電気電子部品が実装されている状態を指しており、プリント基板とその基板上に実装された電気電子部品まで含めて電装基板30と称している。
入力される交流電源の力率を改善するためのリアクタ40が、電装基板30の前方に空間を介して配置される。リアクタ40は、電磁鋼板が積層されたコア41と、コア41に巻き付けられた銅線などのコイル42と、コア41の端面に溶接固定された金属製のベース板43から構成される。ベース板43が板金製のリアクタ取付部材70に固定されることで、リアクタ40はリアクタ取付部材70を介してフレーム50に固定される。
なお、ベース板43は上下方向の長さがコア41の上下方向幅よりも長く、上部にコア41の上端より上方に突出する平面部を、下部にコア41の下端より下方に突出する平面部を有しており、その突出した平面部の手前側に上下それぞれにボルト穴(図示せず)が形成されている。ベース板43の前後方向の長さはコア41と同等である。また、フレーム50の下部前方には、室内ユニットからの電源線や通信制御のための信号線(図示せず)を実装基板30へと中継接続する端子台85が前方斜め上を向いて設置される。
図7は、電気品ユニット90における電装基板30の取り付け状態までの分解斜視図である。図7に示すように、電装基板30は、各種電気電子部品が装着されるプリント基板の周囲とそのプリント基板の実装面の反対側となる面(反実装面でここでは背面側を向く)を、樹脂製の基板カバー31に覆われており、その状態で樹脂製の基板ホルダー32を介してフレーム50の奥側で、フレーム50に縦置き状態にて固定される。基板カバー31に設けられたツメが電装基板30に係り合うことで電装基板30に基板カバー31が装着される。この基板カバー31は、主に電装基板30の実装面の反対面側である半田面へ屋外からヤモリ等の小動物が侵入するのを防止するために取り付けており、侵入した小動物による短絡の発生を未然に防ぐものである。
図7が示すように、電装基板30が基板ホルダー32を介してフレーム50に装着されるときには、すでにフレーム50の仕切板20側に位置する側壁(第1側壁53、図8参照)には、リアクタ取付部材70が固定されている。しかし、基板ホルダー32、基板カバー31まで含めた電装基板30とリアクタ取付部材70とが、前後方向に重なることはない位置関係であるので、電装基板30のフレーム50への装着に際し、電装基板30とリアクタ取付部材70とが接触してしまうことはない。なお、リアクタ取付部材70についての詳細は後述する。
次に、電気品ユニット90の筐体であるフレーム50について説明する。図8と図9は、それぞれフレーム50の単体斜視図であり、見ている方向が異なっている。図8は左方向から、図9は右方向から見た斜視図である。フレーム50は、複数の板状板金部品が、スポット溶接されたり、ツメが係り合ったりして組み合わされて構成されている。
底面を成すボトム部51の左右端に沿って、それぞれ板状の第1側壁53、第2側壁52が直立する。第1側壁53は左側に、すなわち仕切板20側に位置し、第2側壁は52は右側に、すなわち第1側壁53とは左右方向に所定の距離を空けた仕切板20の反対側(反仕切板側)に位置する。以降、第2側壁52を右側壁52、第1側壁53を左側壁53と称する。電装基板30は、右側壁52と左側壁53との間で、縦置き状態で設置されている。
右側壁52の正面側の端位置は、電装基板30に実装される電気電子部品の中で最も高さがあって正面側に最も突出する平滑コンデンサ33(圧縮機4のインバータ回路に使用)の正面側の端位置(前端の位置)と同等、もしくは少しばかり前方となる。右側壁52の前縁には、外方すなわち右方向へ略直角に折れ曲がり、上下方向に細長く伸びて正面側を向く平面を有したフランジ54が形成されている。
このフランジ54のすぐ後方には、右側壁52を左右方向に貫通する多数の穴から成る通風孔55が形成される。上下方向に所定の間隔を空けて並ぶ複数の穴(直径5mm程度)の列を、前後方向に隣り合う列の穴の位置が上下にずれるように複数列配置して通風孔55を構成する。このように複数の穴を互いに間隔を空けて配置して通風孔55を形成することで、必要な空気流が十分に流通可能となる通風面積の確保と、フレーム50の剛性確保との両立を果たしている。この通風孔55の作用については後述する。
また、右側壁52の上部には、例えば熱交換器2に取り付けられた温度センサーのリード線など電気品ユニット90の外部から電装基板30へ接続される電気配線が通る配線通過切欠き64が形成されている。この切欠き64には、別部品である樹脂製の配線保護カバー13が嵌め込まれる(図6参照)。
ボトム部51の正面側端部は一旦斜め下方へ折れ曲がっており、その折り曲がった部分に、前方斜め上方を向く傾斜面56が形成されている。そして、その傾斜面56の左右方向の略中央に、端子台85を取り付け固定するための端子台設置面57が形成されている。端子台設置面57は、略45度上方を向くように傾斜している。
左側壁53は、正面側の端位置がボトム部51の傾斜面56の後端部(下方への傾斜が始まる位置)付近となっており、右側壁52よりも前後方向の幅が長い。この左側壁53には、後述するリアクタ取付部材70が内向面に固定されるとともに、外向面は仕切板20と対向し接する。左側壁53にも、右側壁52に形成される通風孔55と同様な構成の通気孔58が形成される。ここで通気孔58は、通風孔55と名称を異にしてはいるが、説明の明瞭化のために異なる名称としただけであり、構成は同じであり、また上記したような構成とすることで、必要な空気流が十分に流通可能となる通風面積の確保と、フレーム50の剛性確保との両立を果たしている点も同じである。
また、左側壁53の上部と下部には、それぞれ前後方向に所定の距離ずれて位置決め突起63が2箇所設けられている。これは後述するリアクタ取付部材70の位置決め用であり、フレーム50の内方である右方向に凸となっている。さらに左側壁53の手前側(正面側)には、上下方向に離れて、上底が下底よりも短い略台形状の係止穴55が2ヶ所で打ち抜かれて形成されている。
フレーム50の奥側には、フレーム50の後方を塞ぐ背面部59が形成されており、この背面部59は、左右の端がそれぞれ左側壁53と右側壁52の後端と接しており、下端がボトム部51の後端と接している。そして、右側壁52と左側壁53の奥側部分に跨り、右側壁52と左側壁53それぞれの奥側部分の上端と背面部59の上端に接するルーフ部60が設けられている。
このルーフ部60と背面部59、左側壁53、右側壁52、ボトム部51により、前方が開放されている箱状空間が形成され、この箱状空間に電装基板30を支える基板ホルダー32が収納される。ルーフ部60を設けることで、背面部59、左側壁53、右側壁52が下端を支点とする倒れを防ぐことができ、フレーム50の剛性が高められる。電気品ユニット90の上方は天面パネル5が覆うため、ルーフ部60には、電気品ユニット90の上方をすべて塞ぐ機能は必要としない。
フレーム50は、背面部59、左側壁53、右側壁52、ボトム部51、ルーフ部60が個々に板金成形され、それらが互いに組み合わされることで構成されてもよいが、いくつかの部品が一体的に板金成形されていてもよい。ボトム部51の前端(正面側の端面で傾斜面56と端子台設置面57の下方に位置する)と、右端で右側壁フランジ54より手前側の部分(傾斜面56の右端を含む)とには、発泡樹脂製の弾性部材61が連続的に貼り付けられている。弾性部材61が貼り付けられるボトム部51の縁部には、下方に略直角に折れ曲がったフランジが形成され、このフランジの外向面に弾性部材61が接着剤等により貼り付けられる。
ボトム部51の前端の左右方向中央には、他の前縁よりも後方へ窪んだ凹部62形成されている。この凹部62は前後方向に端子台設置面57とほぼ重なるように、端子台設置面57と同等な左右方向幅を有して設けられている。この凹部62の前端も上記の弾性部材61が連続的に貼り付けられている。
続いてフレーム50の左側壁53の内向面に固定されるリアクタ取付部材70について説明する。なお、左側壁53の内向面とは、左側壁53の左右両面のうち、右側壁52に対向している方の面であり、その反対側で仕切板20に向き合って接する方の面が外向面である。図10と図11は、それぞれリアクタ取付部材70の単体斜視図であり、見ている方向が異なっている。図10は正面側から、図11は背面側から見た斜視図である。また、図12はリアクタ取付部材70の上面図である。
このリアクタ取付部材70は、板金加工による一体成形品である。上部には曲げ加工により、リアクタ取付部材70を懸架可能とするフック71が前後方向に2ヶ所形成されている。フック71は、電気品ユニット90の外方となる左方向へ伸びている。そしてリアクタ取付部材70の上下方向の途中に(ここでは略中央に)、フック71が伸びる方向と反対方向、すなわち電気品ユニット90(フレーム50)の内方となる右方向に突出して膨らむ膨出部72が形成され、この膨出部72の頂部に、リアクタ40を固定支持する平面状のリアクタ取付面73が形成される。膨出部72は、背面側の端部を含んで膨らんでおり、上側、下側と手前側(正面側)の3方向はそれぞれ起立壁74により閉じている。すなわち、リアクタ取付部材70は、リアクタ取付部材70の上下方向の途中に、上側、下側と正面側の3方向に起立壁74を有して背面側端部を含んでフレーム50の内方に突出する膨出部72と、その膨張部72の頂部に平面状に形成されるリアクタ取付面73を有している。
膨出部72の周囲3方(上方、下方、正面側)には、平面状の固定部75がそれら3方工に跨って連続的に形成されている。起立壁74は、その根元74aでこれら固定部75と、そして先端側で取付面73とに3方向で接続している。ここで、起立壁74の根元74aとは、突出する膨出部72の基点となる辺である(図10参照)。そして、起立壁74は、取付面73から固定部75へ向けて広がるように傾斜している。膨出部72は、3方向の起立壁74と頂部である取付面73を有する。また、固定部75には膨出部72の突出方向へと出っ張るリブ76が複数形成される。また、取付面73にも膨出部72の突出方向とは反対の方向へ出っ張るリブ77が形成される。これらのリブ76、77は、リアクタ取付部材70の剛性を高めるためのものである。
取付面73には、奥側の上部に断面L字状をなして正面側へと伸びる上ツメ78、下部中央に断面L字状をなして上方へと伸びる下ツメ79がそれぞれ取付面73から突出して形成され、これらはリアクタ40のコア41の端面に溶接固定されたベース板43と係り合う。そして、手前側の上下それぞれに、上記のベース板43に形成されるボルト穴と重なるねじ穴80が形成されている。また、リアクタ40が取り付けられた際のガタツキを防止するための突起81がリブ77の後方に設けられる。突起81は取付面73に対して凸状である。
固定部75には、スポット溶接箇所を報知するマーク82が4箇所に、また、位置決め穴83が膨出部72を挟んで上下に1ヶ所ずつ設けられている。そして、図12に示すように、リアクタ取付面73は、固定部75に対して平行となっておらず、後端(背面側)に向かうほど固定部75から離れていくように、時計回りに所定の鋭角で傾いている。この取付部材70では、取付面73を固定部75に対して時計回りに約20度傾斜させている。
このリアクタ取付部材70は、電気品ユニット90の組み立ての際に、電装基板30や端子台85の装着に先立って、フレーム50の左側壁53に取り付け固定される。フレーム左側壁53の内向面へ固定部75が接した状態で、マーク82がある4箇所にてスポット溶接が行われることで固定される。このスポット溶接は、前もって略対角線上の2つの位置決め穴83を、フレーム左側壁53の位置決め突起63に嵌め込むことでフレーム左側壁53に対するリアクタ取付部材70の位置決めが行われる。なお、フレーム50の弾性部材61は、リアクタ取付部材70の固定以前にボトム部51に貼り付けられている。
図13は、スポット溶接してリアクタ取付部材70がフレーム左側壁53に取り付け固定された状態の斜視図である。リアクタ取付部材70の膨出部72は、電気品ユニット90内部、すなわちフレーム50の内方に突出することになる。この状態において、フレーム左側壁53の通気孔58は、全域に渡ってリアクタ取付部材70の膨出部72に覆われることとなり、リアクタ取付面73の背面は通気孔58と対向する。
図14は、リアクタ取付部材70がフレーム左側壁53に取り付け固定された状態で、リアクタ取付部材70を背面側から見た断面斜視図(左側壁53が断面となる)である。ただし、図14は、後述する電気品ユニット90が機械室Mの上部に装着された状態での断面図であり、仕切板20の断面までも含まれている。図14に示すように、リアクタ取付部材70の膨出部72の凹側(取付面73の反対側になる)に、膨出部72とフレーム左側壁53とで囲まれ、膨出部72の背面側端部が背面側に向かって開口した箱状の空間11が形成される。すなわち、膨出部72とフレーム左側壁53とが協働して箱状の空間11を形成している。この空間11は、左右方向の断面形状が、上底をリアクタ取付部材70の取付面73側、下底をフレーム左側壁53側とする略台形形状であり、背面側に向かって開口している。
さらに、取付面73が、固定部75と接触しているフレーム左側壁53に対して、手前(正面側)から奥側(背面側)に向けて右方向へ所定の鋭角(ここでは20度)傾斜しているので、上記した略台形の断面形状の高さ(空間11の左右方向幅となる)は、奥側から手前に向かうにつれて小さくなっている。なお、膨出部72の奥端の開口部が、この空間11への入口12となる。なお、膨出部72は、左側壁53の通気孔58全域を覆っているので、膨出部72の凹側に形成される箱状空間11には、入口12だけでなく、左側壁53に形成される通気孔58全域が連通する。
図13に示されるような状態になってから、すなわちフレーム50にリアクタ取付部材70がスポット溶接にて固定された後で、フレーム50の奥側に電装基板30が縦置きに固定される。図7に示すように、電装基板30のフレーム50への固定は、まず基板ホルダー32をフレーム50の背面部59にボルト固定し、その基板ホルダー32に対して、電装基板30の周囲に装着された基板カバー31をボルト固定することで達せられる。このように電装基板30は、フレーム50の右側壁52と左側壁53の間で、背面部59に縦置き状態に支持される。この背面部59が電装基板30を支持する支持部となる。
電気品ユニット90の組み立ての次工程は、リアクタ40の取り付け、もしくは端子台85の取り付けであるが、どちらが先であっても構わない。端子台85の取り付け固定は、フレームボトム部50の前方に形成された端子台設置面57に端子台85をボルト固定することで完了する。端子台設置面57が正面側斜め上方45度を向いているので、端子台85も、配線を接続する面が前方斜め上方45度を向くことになる。
リアクタ40は、リアクタ取付部材70に固定されることで、フレーム50に保持されることとなる。リアクタ40のリアクタ取付部材70への固定は、以下の手順で行われる。リアクタ40を正しい向きにして、ベース板43の反コア側の面の後縁(背面側の縁)をリアクタ取付面73の前縁(正面側の縁)に接触させ、そのまま両者を接触させながらリアクタ40を奥側へとスライドさせる。
スライド移動させると、ベース板43の後端面(背面側の端面)の下部(コア41より下方に突出している部分)が、まず上方へ伸びる下ツメ79を横から右方向に押し上げてベース板43の下部が下ツメ78に入り込む。ベース板43の下部を下ツメ78に入り込ませながらスライド移動を継続させると、ベース板43の後端面上部(コア41より上方に突出している部分)が、今度は取付面73奥側にある正面側へと伸びる上ツメ78をツメ先端(前端)側から右方向に押し上げて上ツメ78に入り込み、上ツメ78の根元(L字状の短辺部分)内側に突き当たる。突き当たったところでスライド移動を終了させる。
このとき、ベース板43は下部中央が下ツメ79に、奥側上部が上ツメ78に入り込んでいて、下ツメ79、上ツメ78のそれぞれによるベース板43をリアクタ取付面73へと押し付ける弾性力(バネ力)を受けている。また、下ツメ79の根元L字状の短辺部分)内側にはベース板43の下端面が接触し、下ツメ79の根元によってもリアクタ40の自重が支持される。こうして、上ツメ78と下ツメ79により、リアクタ40は、リアクタ取付部材70のリアクタ取付面73に仮固定される。少なくとも下ツメ79の根元には、リアクタ40の自重が作用するので、下ツメの79の方が上ツメ78よりも、ツメ幅(ツメが伸びる方向に垂直な方向の長さ)が長い。
仮固定状態で、下ツメ79の根元にベース板43の下端面中央が接触し、かつ上ツメ78の根元にベース板43の後端面上部が接触している状態において、ベース板43の上下2つのボルト穴が、リアクタ取付部材70のリアクタ取付面73の手前側に形成される2つのねじ穴80と重なり合う。そこで、仮固定状態にあるリアクタ40に対して、この上下2ヶ所のボルト穴にボルト44(図5参照)を通し、そのボルト44をリアクタ取付部材70のねじ穴80にねじ込んで、ベース板43とリアクタ取付部材70とを締結させる。これにより仮固定が解除される。こうしてリアクタ40が、リアクタ取付部材70に固定され、リアクタ取付部材70を介してフレーム50に固定されることとなる。
また、リアクタ40が固定された状態においては、リアクタ取付面73から凸となっている突起81が、上ツメ78と下ツメ79の弾性力とボルト44の締結力とにより、ベース板43に反凸方向(空間11の方向)へと押されることで、リアクタ取付面73を有する膨出部72が、空間11の方へ弾性変形し、リアクタ40の方向へ戻ろうとする弾性力(バネ力)を生じさせる。この膨出部72の弾性力が、リアクタ取付部材70を常にリアクタ40に押し付けるように作用するため、リアクタ40はリアクタ取付部材70に対してがたつくことがなく接し、両者のしっかりとした堅固な固定が得られる。
この後、複数の配線クリップ91をそれぞれ所定の位置に固定することで、電気品ユニット90が完成する。図5が、組み立てが完了した状態の電気品ユニット90を示している。この電気品ユニット90は室外ユニット100の機械室M上部に取り付け固定される。電気品ユニット90は、仕切板20やリアパネル8に複数のツメ固定やボルト固定をされることにより機械室M上部に取り付けられる。電気品ユニット90を装着する際には、仕切板20および機械室Mの下部の圧縮機4や冷媒配管類は装着済みとなっており、また箱体のうち、リアパネル8と左側面パネル9は底板1上に設置されている。
図15と図16は、それぞれ仕切板20の上部を示す単体斜視図であり、見ている方向が異なっている。図15は機械室Mの方向から、図16はファン室Fの方向から見ている。熱交換器2の長辺部位と略垂直状態で前後方向に伸びる中央仕切部21の機械室M側の面に、電気品ユニット90のフレーム左側壁53の外向面が接する。また、熱交換器2の長辺部位と略平行状態で左右方向に伸びる奥側仕切部22の機械室M側の面に、電気品ユニット90のフレーム背面部59の外向面が接している。
中央仕切部21の上端は、ファン室F側に折れ曲がって、所定の幅(左右方向)を有する上フランジ23が形成されている。その幅は、リアクタ取付部材70のフック71の懸架幅より少しだけ短い大きさである。そして中央仕切部21の前後方向略中央には、上下方向に細長い略矩形状の連通孔24が設けられている。連通孔24は機械室Mとファン室Fとの流通を可能とする。連通孔24の手前側には、機械室M側に突出し上方へと伸びるツメ25が、上下方向に所定の間隔を空けて形成されている。
図16に示すように、中央仕切部21のファン室F側には、ファン室F側に突出して連通孔24を覆う第1カバー26が設けられている。この第1カバー26は正面側に向かってのみ開口27が存在する。この仕切板20の第1カバー26は、ルーバー加工により、開口27を除く連通孔24の3方向の周縁に沿って膨らむように、すなわちその3方向の周縁に接して、仕切板20に一体的に形成される。開口27となる部分を切った後でファン室F側に突出するように膨らませることで、連通孔24と第1カバー26および正面開口27がほぼ同時に形成される。なお、第1カバー26をルーバー加工で一体的に形成せず、正面側に向かってのみ開口して連通孔24を覆う別体のカバー部品を、ボルト固定やツメ固定にて、仕切板20のファン室F側に取り付けて第1カバーとしてもよい。
電気品ユニット90の機械室Mへの装着の際は、機械室Mの上方より電気品ユニット90を下降させるようにして、例えば、仕切板20に上方に伸びて形成されるツメ25をフレーム左側壁53の係止穴65に差し込むなどして、複数のツメと穴とを係わり合わせて固定状態とする。ツメ固定は、上記のフレーム左側壁53以外にも、フレーム背面部59やフレーム右側壁52のフランジ54においても行われる。フレーム左側壁53の外向面は、ツメ25の弾性力(バネ力)により、仕切板20に押し付けられている。なお、上記したツメ固定では、フレーム左側壁53に係止穴65、仕切板20にツメ25を設けているが、ツメをフレーム50の方に、係止穴を仕切板20の方に設けるようにしてもよい。このように、電気品ユニット90は、少なくとも仕切板20に取り付けられている。
ツメの弾性力(バネ力)によるツメ固定だけでは、特にツメが差し込まれる方向への移動をしっかりと抑制できないため、ボルト固定を追加して電気品ユニット90の機械室M上部への装着をより強固なものとする。この室外ユニット100では、フレーム右側壁52のフランジ54を、リアパネル8の正面側端部に内側(機械室Mの側)に折り曲げられて形成されたリアパネルフランジに、上下方向に所定の距離を離して2つのボルトで締結されることにより成し得ている。
フレーム右側壁52とリアパネル8は、その前縁で互いに前後方向に重なるように左右方向に折り曲げられたフランジ同士が重なってボルト固定されているので、それら重なったフランジ同士の後方のフレーム右側壁52とリアパネル8の右側面壁との間には、所定の左右方向幅を有した空間M1が形成される(図4参照)。この空間M1は機械室Mの一部であり、電気品ユニット90のフレーム右側壁52の通風孔55は、この機械室Mの空間M1部分に面して開口している。そして、配線通過切欠き64も空間M1に面している。
なお、電気品ユニット90の装着作業において、例えばツメの係止穴への係り具合が不十分で、電気品ユニット90が落下しそうになったとしても、フック71が仕切板20の上端の上フランジ23に引っ掛かり、電気品ユニット90が懸架されることとなるので、落下を防止することができる。
電気品ユニット90の装着が完了すれば、電気品ユニット90への電気配線類の接続が行われる。電気配線類の電気品ユニット90内の取り回しには、配線クリップ91が活用される。電気品ユニット90の装着と電気配線類の取りまわしと接続が完了すれば、右正面パネル7が装着できる。なお、リアクタ40のリアクタ取付部材70への取付固定を、先に述べたような機械室Mに装着前の電気品ユニット90で行わずに、機械室Mの上部に装着完了後の電気品ユニット90に対して行うようにしてもよい。
図17は、電気品ユニット90と右正面パネル7が装着された状態で、仕切板20の上部をファン室F側(正面寄り)の上方から見た斜視図である。図17に示すように、仕切板20の連通孔24からフレーム左側壁53の通気孔58が臨んでいる。連通孔24は通気孔58よりも上下方向、前後方向ともに大きく、通気孔58は全域が連通孔24の領域に収まっている。この状態において、通気孔58は、連通孔24を通してファン室Fへと通じている。このように、仕切板20の連通孔24は、その領域内にフレーム左側壁53の通気孔58の全域を収めるような大きさの1つの略矩形状の貫通穴となっている。
そして、仕切板20のファン室F側の面には、第1カバー26を覆うように、上下と正面側の3方が壁面で仕切られ、背面側のみが開口した第2カバー15が装着される。図18は、第2カバー15が装着された状態の仕切板20を図17と同様にファン室F側(正面寄り)から見た斜視図であり、図19は、図18とは違った方向で背面寄りから見た斜視図である。
第2カバー15は、第1カバー26とは異なり、仕切板20とは別体に製作されたものを、仕切板20に例えばツメ固定などで固定される。第2カバー15は上下方向に第1カバー26よりも長く、前後方向には少なくとも第1カバー26の正面側から半分以上を覆う大きさである。第2カバー15は、第1カバー26の正面開口27の前方に、所定の距離を隔てて正面開口27と対向する浸水防止壁16を有しており、この浸水防止壁16は3方の壁面の1つであって、第2カバー15の正面側を閉ざしている。また、第1カバー26の下端から所定の距離を隔てて3方の壁面の1つとなる底壁17を有しており、第2カバー26の下側を閉ざしている。
第2カバー15は左右方向に所定の距離を空けて、すなわち第1カバー26より所定距離を隔てた左側から第1カバー26を覆っている。第2カバー15の背面側は背面開口18により全面が開口している。第1カバー26の正面開口27と第2カバー15の背面開口18とは開口方向が互いに180度ずれている。言い換えれば、第2カバー15の背面開口18は、第1カバー26の正面開口27とは反対側の方向に開口している。また、浸水防止壁16は、第2カバー15の背面開口18の反対側を閉ざす壁面となっている。
図20は、この室外ユニット100の電気品ユニット90周辺の横断面図(図4における要部横断面図)である。図20に示すように、電気品ユニット90内で開口する入口12を有する空間11(リアクタ取付部材70の膨出部72によって形成される)は、通気孔58、連通孔24、第1カバー26の正面開口27、その180度反対側に開口する背面開口18を経て、ファン室Fと連通する。これにより、電気品ユニット90とファン室Fとの空気流路が確保される。なお、連通孔24から通気孔58を臨ませるように、連通孔24の領域を仕切板20側へ凸となるように突出させ、その凸状領域を連通孔24内に収めるようにしてもよい。すなわち、通気孔58と連通孔24とを左右方向に略同じ位置とするのである。
なお、第2カバー15は予め、底板1に設置される以前の仕切板20に、例えばスポット溶接などにより固定されていてもよい。この場合では、室外ユニット100の組み立て途中で、図17のような状態となることはなく、図17は、予め固定された第2カバー15を取り除いた仮想状態を示すことになる。続いて、左正面パネル6(吹出グリル6b含む)が取り付けられ、その後に天面パネル5が被せられて底板1を除く他の箱体を構成するパネル上縁にボルト固定される。
なお、この室外ユニット100が現地(設置場所)に据え付けされる際に、端子台85に接続される室内ユニットからの電源線や信号線は、機械室Mの下部(最終的にその位置は右正面パネル7下部に設けられた配管接続口となる)から接続配管とともに機械室M内へと取り込まれ、圧縮機4の前方を(現地据え付けにあたって一旦取り外された右正面パネル7が取り付けられれば、右正面パネル7と圧縮機4の間を)通るように取り回される。そして、フレームボトム部51前端の凹部62を通過して端子台85へと達し、端子台85に接続固定される。すなわち、室内ユニットからの電源線や信号線は、端子台85の下方から端子台85に向かって上昇してきて、凹部62を通過して端子台85に接続される。
図20に示すように、リアクタ取付部材70の空間11の入口12は、左右方向に電装基板30とは重なっておらず、縦置きの電装基板30の左端よりも左側の位置で、前後方向には、プリント基板とその基板上に実装された電気電子部品を含む電装基板30の途中となる位置で背面側を向いて開口している。すなわち、リアクタ取付部材70の空間11の背面側を向く開口である入口12は、電装基板30の仕切板側となる一端よりも左右方向に仕切板20へ近づく位置、言い換えれば、電装基板30の仕切板側となる一端と仕切板20との間で、かつ前後方向には、プリント基板とその基板上に実装された電気電子部品を含む電装基板30の途中となる位置、換言すると、前後方向には上記電装基板30と重なる位置にあり、空間11はその位置で背面側を向いて開口しているのである。また、入口12は、上下方向においも電装基板30の途中に位置している(図5参照)。そして、リアクタ取付部材70の取付面73に取り付けられているリアクタ40は、電装基板30の左側部分の前方に位置することとなる。
図21は、天面パネル5を裏側、すなわち室内ユニット100内部から見た斜視図である。図21に示すように、天面パネル5の背面(室外ユニット100内部に面する側)の機械室M上方に位置する部分には、四角形の四辺に対応するように発泡樹脂製の弾性部材であるシール14が貼り付けられている。ここでは、シール14の歩留まり向上のために直線状の4つのシールを個別に貼り付けているが、これらは一体的に成形されていてもよい。
天面パネル5の四方全周の縁に下方に折り曲げられて形成された四方壁5aが、左正面パネル6、右正面パネル7、リアパネル8、左側面パネル9それぞれの内側へ一段凹んで先端(上端)が内側に折り返された上縁に、上被せ(四方壁5bが外側に位置する状態)に嵌められボルト固定されると、すなわち天面パネル5が正常に装着されると、裏側に貼り付けられた弾性変形可能な四辺のシール14が、右正面パネル7とリアパネル8の上端面、そして仕切板20の上端面(リアクタ取付部材70のフック71上面含む)とフレームルーフ部60の上面、フレーム右側壁52の上面に接して、天面パネル5との上下方向の隙間を埋める。
ここで、右正面パネル7とリアパネル8の上端面は、機械室M側に折り曲げられて所定の幅を有しており、シール14はその所定の幅の面に接触する。また仕切板20では、ファン室F側に折れ曲がった上フランジ23にシール14が接触する。これらにシール14とルーフ部60との接触、シール14とフレーム右側壁52の上面との接触があって、電気品ユニット90の上方の隙間は、四方向すべてを天面パネル5のシール14によって封じられており、そのため電気品ユニット90内への機械室M上方からの空気の流入、その逆方向となる空気の流出は阻止される。
そして、フレームボトム部51の前端や右端に貼り付けられた弾性部材61が、右正面パネル7の背面や仕切板20と接する。また、凹部62には、右正面パネル7背面の凹部62と対向する位置に、凹部62の深さや長さと略同等の厚さと長さを有する弾性部材(図示せず)が貼り付いており、その弾性部材が凹部62を埋めるように作用する。すなわち、凹部62を通過する電源線や信号線を、弾性部材が前後から弾性変形しながら挟み込むようになっている。このため、電気品ユニット90内への機械室M下方からの空気の流入、その逆方向となる空気の流出も阻止される。
フレーム左側壁53はツメ固定によるツメ25の弾性力(バネ力)で、仕切板20に押し付けられており、また、フレーム右側壁52の前端のフランジ54がリアパネル8の内側に折り曲げられたフランジに、上下2本のボルトで締結されて両フランジが圧接している。そのため、機械室Mからフレーム左側壁53の左側を経由しその前方を回りこんで電気品ユニット90内へと流入する空気の流れとその逆方向の流れ、そして、フレーム右側壁52の右側を経由してその前方を回りこんで電気品ユニット90内へと流入する空気の流れとその逆方向の流れは発生しない。
このように機械室Mの上部に位置し、その機械室Mに対して上下方向からの空気の流出入および左右方向から前方を回りこむ空気の流出入を阻んでいる電気品ユニット90は、フレーム右側壁25に設けられた通風孔55を介して、その内部を機械室Mと連通させている。すなわち、通風孔55を通過することで、機械室Mと電気品ユニット90内の空気の流出入が可能となっているのである。
この室外ユニット100の電気品ユニット90は上記のとおり、通風孔55を介することで、機械室M(空間M1)と連通し、両者間の空気流路が確保される。言い換えれば、電装基板30の右側に位置する通風孔55だけが電気品ユニット90の機械室Mとの空気の流通を可能としているのである。
機械室Mと電気品ユニット90内との流通を可能としているフレーム右側壁52の通風孔55は、縦置きの電装基板30の右端よりも右側の位置で、前後方向には、プリント基板とその基板上に実装された電気電子部品を含む電装基板30の途中となる位置で両者間を連通させている。すなわち、電気品ユニット90外枠の仕切板側とは左右方向に反対側に位置する壁面(ここではフレーム右側壁52)に、電装基板30の反仕切板側となる他端よりも左右方向に仕切板20から遠ざかる位置、言い換えれば、電装基板30の反仕切板側となる他端とこの室内ユニット100の箱体の側面壁(ここではリアパネル8の側面壁もしくは右正面パネル7の側面壁)との間で、かつ前後方向には、プリント基板とその基板上に実装された電気電子部品を含む電装基板30の途中となる位置、換言すると、前後方向には上記電装基板30と重なる位置に、電気品ユニット90内と機械室Mとを連通させる通路(ここでは通風孔55)を設けているのである。ただし、通風孔55と箱体の側面壁(ここではリアパネル8の側面壁もしくは右正面パネル7の側面壁)の間には、機械室Mの一部である空間M1が存在する。
この室外ユニット100では、フレーム右側壁52の配線通過切欠き64に嵌め込まれる保護カバー13を、例えば伸縮性の高い発泡樹脂で成形し通過する電気配線類を包み込むようにして、保護カバー13とそこを通過する電気配線類との隙間が生じないようにしている。もし、保護カバー13と電気配線類に隙間が存在する場合は、その隙間からも機械室Mと電気品ユニット90内との空気の流通も可能となる。しかしこの場合でも、その隙間は通風孔55と同じく右側壁52に形成されるものであり、通風孔55の範囲内に含まれ、通風孔55の一部とみなすことができる。
ここで、以上のような構成を有するこの室外ユニット100の電気品ユニット90内のリアクタ40と電装基板30の冷却作用について説明する。室内ユニットからの運転指令信号に基づき室外ユニット100が稼働状態となると、圧縮機4の運転(冷凍サイクルの冷媒を吸い込み圧縮して吐出する)が開始され、また送風ファン3が正規な回転方向(正転方向)に回転する。プロペラファンである送風ファン3が正転方向に回転(正回転)することで、送風ファン3の背面や側面方向から吸引され、正面の吹出口(吹出グリル6b)から吹き出される空気の流れ(空気流)が生じる。
上記の空気の流れにおける吸引過程で、屋外空気が熱交換器2を通過し、そこで熱交換器2の配管を流れる冷媒と熱交換が行われ、冷媒が蒸発したり(暖房運転)、凝縮したり(冷房運転)する。送風ファン3の吸引作用は、フレーム左側壁53の通気孔58等を介してファン室Fと連通している(空気流路が形成されている)電気品ユニット90へも働き、電気品ユニット90内の空気は、ファン室Fと電気品ユニット90の空気流路を通って送風ファン3へと吸引される。
ファン室Fへ吸引される空気を補うように、機械室Mと連通する通風孔55から、機械室Mの空気が電気品ユニット90に流入する。さらに機械室Mは、リアパネル8下部の吸込グリル8aにより屋外と連通しており、電気品ユニット90へと流入した空気を補うように、吸込グリル8aを通って、機械室Mに屋外空気が流れ込む。
このように、送風ファン3が通常の回転(正回転)をすることにより、回転中の送風ファン3の吸引作用で、吸込グリル8aから流入し、機械室Mを上昇(機械室Mの最後としては空間M1を通過)し、電気品ユニット90内を左右方向に横断してファン室Fへと流出する空気流(冷却空気流)が生じることとなる。図22は、この空気流を矢印で図示した説明図であり、図20に空気の流れを示す矢印を追加したものである。この空気流は、リアパネル8の吸込グリル8aを通って屋外からの空気が導入されて始まる。第2カバー15の背面開口18からファン室Fへと流れ込んだ空気は、送風ファン3に吸引され、熱交換器2を通過して熱交換された空気とともに、左正面パネル6の吹出口から屋外へと吹き出される。
そして、図22に矢印で示す空気流(冷却空気流)は、機械室Mから電気品ユニット90内への流入口となる通風孔55が、電装基板30よりも右側で前後方向には電装基板30の途中に位置しており、また、電気品ユニット90からファン室Fへの流出経路の入口となる、背面側を向いて開口するリアクタ取付部材70の入口12が、電装基板30よりも左側で前後方向には電装基板30の途中に位置しているので、電装基板30を左右方向へ横切るように通過する。
そのため、この空気流が、電装基板30を左右方向に横切るように通過していくことで、稼働中で発熱している電装基板30の電気電子部品(例えば、平滑コンデンサ33など)から放出されている熱を放散させ、これら発熱する電気電子部品を冷却する。
発熱する電気電子部品を冷却した空気流(冷却空気流)は、電装基板30を通過後、引き続く送風ファン3の吸引作用により、電気品ユニット90とファン室Fとの連通路の電気品ユニット90側の開口となるリアクタ取付部材70の入口12から空間11へと流入し、この空間11を通過して通気孔58と連通孔24を通り抜けてファン室F側へ流れ込む。ここで、リアクタ40はリアクタ取付部材70のリアクタ取付面73に押し付けられているので、稼働状態で発熱中のリアクタ40が放出する熱がリアクタ取付面73を介して膨出部72に伝達されている。
電気品ユニット90を左右方向に横断してファン室Fへ向かう冷却空気流が、リアクタ取付部材70の空間11を通過する過程で、リアクタ40から熱を伝達された膨出部72を内側から放熱させることにより、リアクタ40を冷却することができる。すなわち、リアクタ40から発生する熱を冷却空気流により放散させることができる。膨出部72の内側表面に通過する空気の流れ方向に略平行に多数のフィンを設け、通過する空気流と膨出部72の内側表面との接触面積を増加させれば、リアクタ40の冷却効果はより高められる。
このように、上記の冷却空気流は、電気品ユニット90内を左右方向に横断してファン室F側へと流入する過程で、電装基板30とリアクタ40を順に冷却していく。そして、屋外へ通じている機械室Mから、送風ファン3の正転方向の回転(正回転)による吸引作用により、ファン室Fへと導かれる空気の流れは、この冷却空気流のみである。
空間11を通過してフレーム左側壁53の通気孔58と仕切板20の連通孔24を通り抜けた空気流は、第1カバー26の正面開口27を出て、正面開口27に対向する第2カバー15の浸水防止壁16で流れ方向を折り返されるように曲がって、正面開口27とは反対方向に開口する背面開口18からファン室Fへと流出し、送風ファン3へ吸引されていく。
以上のように、送風ファン3の正転方向の回転で生じる吸引作用により、屋外(外部)に通じている機械室Mから電気品ユニット90を経由してファン室Fへ導かれるような空気流路が、複数の経路に分散していたり分流したりすることがなく設定されているので、複数の流路(例えば、機械室Mから電気品ユニット90に多方向から空気流が入り込んでくるような場合)が設定されていることに比べれば、その空気流路を通過する空気量(流量)が多く、流れが安定している。
そして、その空気流路を流れる流量大なる冷却空気流の大半が、電装基板30を横切って流れるので、電装基板30を冷却する効果が高い。そして、電装基板30を冷却後に、その空気流の全量が空間11を通過し膨出部72を放熱させるので、リアクタ40を冷却する効果も高い。特に、電装基板30を冷却する空気流とリアクタ40を冷却する空気流とが別々に分かれておらず、一連の空気流路を流れる空気流が、それぞれを順に冷却していくことにより、冷却に十分な空気流が得られ、冷却効果が高くなる。よって、電装基板30とリアクタ40を十分に冷却でき、それらの効率的な稼働を確保できる。
一方、この室外ユニット100が運転停止状態においては、送風ファン3は、ファンモータ3aが通電されていないので、ファンモータ3aの駆動による自発的な回転は停止している。しかし、送風ファン3は停止時に回転をロックされているわけではないので、プロペラファンである送風ファン3の羽根が自然の風を受けると、ファンモータ3aが通電されていなくても送風ファン3は回転する。
ここで、送風ファン3へ当たる風が、送風ファン3の正面から背面に向かって進むような方向の風である場合では、送風ファン3を通過する風の向きが、運転時に正回転しているときの送風ファン3を通過する空気流の向きと反対となるので、送風ファン3は、運転時の回転方向(正転方向)とは反対の方向に逆回転することになる。このように、室外ユニット100の運転停止時に、自然界(屋外)の風を受けて、送風ファン3が逆回転することもある。そして、その風が強ければ強いほど、逆回転する送風ファン3の回転数は高くなる。
送風ファン3が逆回転すれば、正回転時とは逆の空気流が生じることになる。このため、逆回転時には、第2カバー15の背面開口18から流入して、ファン室Fから電気品ユニット90内を横断し、通風孔55を経て機械室Mへ達する空気流も発生する。すなわち、正転回転時の送風ファン3の吸引作用で生じる、電装基板30とリアクタ40を順に冷却する冷却空気流とは、反対方向に流れる空気流が、送風ファン3の逆回転時に発生するのである。
正面の吹出口(吹出グリル6b)からファン室Fに吹き込む自然風により送風ファン3が逆回転して、ファン室Fから機械室Mへと進む反対方向の空気流が電気品ユニット90内を通過することとなっても、電気品ユニット90内を空気だけが通過するのであれば問題はない。しかし、例えばそれまでに雨が降っていて吹出グリル6bからファン室F内部に浸入した雨水が送風ファン3に付着していて、風による送風ファン3の逆回転により、その付着した水分が遠心力で飛散して逆回転で生じる空気流に乗って運ばれることが起こり得る。
また、例えば屋外にて風とともに雨も降っており、送風ファン3を逆回転させるような風が吹出グリル6bから入り込むときに、その風とともに雨水もファン室Fに入り込み、入り込んだ雨水が、そのまま送風ファン3の逆回転で生じる空気流に乗って運ばれることも起こり得る。このように、自然風による送風ファン3の逆回転によって生じる空気流が、その空気流に乗せて雨水等の水分を搬送する懸念が生じる。
もし、雨水が送風ファン3の逆回転時に生じる空気流に乗って電気品ユニット90内に入り込んでしまった場合、その空気流が横切る電装基板30に雨水が付着してしまう可能性があり、そうなると電装基板30が短絡してしまう恐れがある。そのため、この逆回転による空気流によって電気品ユニット90内へ雨水が浸入するのを防ぐ必要がある。
先に述べたとおり、電気品ユニット90の上方は天面パネル5のシール14によって封じられているので、天面パネル5側から電気品ユニット90に雨水が浸入してくることはない。また、室外ユニット100の稼働時に、送風ファン3が正転方向に回転するときの吸引作用により流れる冷却空気流は、その始まりが屋外からリアパネル8下部に形成された吸込グリル8aを通って機械室Mに流入するが、この時に雨が降っていても、吸込グリル8aが上記したとおり、ルーバー加工によるカバー体の存在により、リアパネル8の外向面で下方に向かってのみ開口しているので、吸込グリル8aからは雨水が浸入し難い。
また、例えば雨の勢いがとても強く、雨水が地面から跳ね返って吸込グリル8aから機械室Mに浸入してしまったとしても、送風ファン3の正転回転時に生じる冷却空気流は、機械室M上部に位置する電気品ユニット90の通風孔55まで、機械室M内を上昇していくので、上昇過程において雨水は重力により空気流から分離して落下する。このため、跳ね上がって機械室Mに入った雨水が通風孔55を通って電気品ユニット90に浸入することはない。
送風ファン3を逆回転させる正面からの風が弱い、すなわち風速が小さい場合には、逆回転する送風ファン3の回転数も低いため、送風ファン3に付着している水分(雨水)が飛散しなかったり、仮に逆回転で生じる空気流に雨水が混ざったとしても、空気流の流速が小さく、混ざった雨水がファン室F内で重力落下して空気流から分離したりして、電気品ユニット90に雨水が浸入する可能性は低い。しかし、強い風の場合には、送風ファン3の逆回転の回転数も高く、逆回転によって生じる空気流の流速も大きいため、空気流が雨水を電気品ユニット90内に搬送してしまう恐れがあり、その空気流による電気品ユニット90内への雨水の浸入を防止する必要がある。
この室外ユニット100では、そのような雨水の浸入を防止するために、仕切板20のファン室F側の面に、第1カバー26と第2カバー15という、それぞれ開口する向きが前後方向に180度反対となるような二重構造となるカバーを設けている。第2カバー15が第1カバー26を覆う構成で、第1カバー15の下端よりも第2カバー15の下端(底板17)が所定の距離を隔てて下方に位置している(図19参照)。
図23は、送風ファン3の逆回転によって発生し、ファン室Fから電気品ユニット90を通過して機械室Mへと流れる空気の流れを矢印で図示した説明図である。送風ファン3の逆回転で生じた空気流が雨水等の水分を含んだ状態で、第2カバー15の背面開口から第2カバー15内に流入すると、第2カバー15の内面と第1カバー26の外面との間で前後方向に直線状に伸びて形成される空間を、第2カバー15の正面側を閉ざしている壁面である浸水防止壁16に向かって、すなわち正面側へと流れる。なお、この空間をここでは直流路Kと称し、この直流路Kには、第1カバー15の上方および下方における第2カバー15の内面と仕切板20のファン室F側の面との間に形成される空間も含まれるものとする。
この空気流は、直流路Kにて流路が狭められることで、背面開口18より手前でファン室F内を進んでいたときに比べると流速が増す。空気流に乗って搬送されている雨水は相応な重量を有しているため、その流れ方向への慣性力が働く。そのため、空気流が第1カバー26の正面端を通り過ぎ、すなわち直流路Kを通り抜け、第1カバー26の正面開口27に向かって流れ方向を折り返すように曲げられても、空気流に含まれている雨水は、そのまま正面側へと進み、浸水防止壁16の内面に衝突する。
雨水は浸水防止壁16に衝突することで流速がゼロとなり、第1カバー26の正面開口27へ流入しようとする空気流から分離して浸水防止壁16内面に付着する。このように、直流路Kを通過させ浸水防止壁16に雨水を衝突させることで、空気流に乗って搬送されてきた雨水を、第1カバー26より上流側で、すなわちファン室F内で空気流から分離させることができる。第1カバー26の正面開口27からは水分(雨水)が除去された空気流が流入することになるので、そのまま空気流が電気品ユニット90に入り込み、そこを機械室Mへ向けて横断するように流れても、電気品ユニット90に雨水などの水分が浸入することがない。
送風ファン3の正転時の吸引作用で生じる機械室Mから電気品ユニット90内を横断してファン室Fへ流入する電気品ユニット90の冷却空気流が、一連の空気流路を流れることと同じで、送風ファン3の逆回転で生じる逆方向に流れる空気流も一連の空気流路を流れるので、その流れのファン室F内における上流域一箇所の浸水防止壁16で、水分を空気流から分離させるだけで、電気品ユニット90への浸水を確実に防止することができる。
空気流から分離して第2カバー15の浸水防止壁16に付着した水分は、重力によりその壁面を伝って落ち、底壁17へ達する。底壁17上に集水されると、背面開口18からその下縁を伝ってファン室Fの底面である底板1へと重力落下する。底板1はドレンパンを兼ねているので、底板1上に落下した水分は、底板1上にある他の水分とともに、ドレン経路を通って室外ユニット100の外部へ流れ出る。
底壁17上の空気流から分離された水分は、底壁17が上下方向に第1カバー26の正面開口27の下端よりも所定の距離を隔てて位置しているので、正面開口27へと入り込んでしまうことはない。底壁17を浸水防止壁16側よりも背面開口18側が下方に位置するように傾斜させると、空気流から分離させた水分(雨水など)をより早く第2カバー15から底板1へ落下させる(排水させる)ことができる。
なお、底壁17に排水孔を設けて第2カバー15からの排水を早めることも可能だが、その排水孔からも送風ファン3の逆回転で生じる空気流が流入する可能性があり、そうなると分離した水分が排水孔からの空気流に吹き上げられてしまう恐れがあるので、背面開口18の下縁から排水させるのが望ましい。
また、この室外ユニット100では、送風ファン3の逆回転で生じる空気流が搬送する水分がファン室Fから電気品ユニット90へ浸入するのを防止するための二重構造のカバーが、内側に位置するカバー(第1カバー26)の開口(正面開口27)が正面側を向き、外側に位置するカバー(第2カバー15)の開口(背面開口18)が背面側を向いているが、送風ファン3の正転時に、外側に位置するカバーの開口を通して、電気品ユニット90および機械室Mへ送風ファン3の吸引作用が及ぶような開口位置であれば、それぞれのカバーの開口する向きが逆であってもよい。
以上のとおり、この室外ユニット100では、室外ユニット100の稼動時、送風ファン3が通常の回転である正回転すると、その吸引作用で屋外(外部)に連通している機械室Mからファン室Fへと流れ込む冷却空気流を確保できる。この冷却空気流は、一連の空気流路を流れるものであり、機械室Mからファン室Fへ向かう途中で、電装基板30やリアクタ40を有する電気品ユニット90を左右方向に横断する。この空気流の電気品ユニット90への流入口(通風孔55)と流出経路の入口(入口12)の位置から、冷却空気流は電気品ユニット90を横断する際に、電装基板30を横切るように通過して、電装基板30を冷却(空冷)する。
電装基板30を冷却した空気流の全量が、電気品ユニット90からファン室Fへの流出経路を通過中に、リアクタ40から発生する熱を放散させる。このように、一連の空気流路を流れる冷却空気流が、電装基板30とリアクタ40を順に冷却していくことで、冷却に十分な空気流量が確保され、電装基板30とリアクタ40が発する熱を効率よくファン室Fへと放熱するので、両者をしっかりと冷却でき、両者の効率的な稼働を維持することができる。冷却効果が高いので、より電流を大きく流せて、室外ユニット100のよりパワフルな運転も可能となる。
また、電気品ユニット90とファン室Fとの通路(連通孔24)を、ファン室F側にて、開口する向きが前後方向に180度反対となるような二重のカバーで覆うようにして、自然風による送風ファン3の逆回転で発生する正転時の冷却空気流とは逆方向に流れる空気流が雨水などの水分を含んでいても、外側に位置するカバー(第2カバー15)が有するその空気流の進行方向を曲げる壁面(浸水防止壁16)に水分を衝突させて水分の流速をゼロとしてその壁面に付着させるので、空気流から水分が取り除かれ、機械室Mへの浸水を防止することができる。
そのため、例えば雨が降っているときに自然風により送風ファン3が逆回転して、ファン室Fから機械室Mへと流れる空気流が生じたとしても、機械室Mの上部に配置される電気電子制御部品(電気品ユニット90が具備する電装基板30やリアクタ40)が、雨水などの水分に濡れてしまうことはなく、それら部品の信頼性が維持できる。
また、リアクタ取付部材70のリアクタ取付面73を、内側に箱状空間が形成されるように膨らむ膨出部72の頂部に設け、その膨出部72の内側の空間内に、機械室Mとファン室Fとの通路(フレーム左側壁53の通気孔58と仕切板20の連通孔24)が位置するので、送風ファン3の正転時の吸引作用で生じる空気流が、リアクタ取付面72の裏側となる空間11を通過してファン室Fへと流れ込む。そのため、リアクタ40から熱を伝達された膨出部72を内側から十分に放熱させることができるので、リアクタ40の冷却効果が高い。
また、送風ファン3の正転時の吸引作用で生じる空気流が電気品ユニット90へ流入する流入口(フレーム右側壁52の通風孔55)を、縦置きの電装基板30に対応させて、上下方向に細長く配置し、電装基板30の右端よりも右側の位置で、前後方向には、プリント基板とその基板上に実装された電気電子部品を含む電装基板30の途中となる位置、言い換えると、上記電装基板30と前後方向に重なるような位置で開口させている。
そして、その空気流が電気品ユニット90から流出する経路の入口となる、リアクタ取付部材70の空間11の入口12を、縦置きの電装基板30の上下方向の途中に位置させ、かつ、電装基板30の左端よりも左側の位置で、前後方向には、プリント基板とその基板上に実装された電気電子部品を含む電装基板30の途中となる位置、言い換えれば、上記電装基板30と前後方向に重なるような位置で、背面側に向けて開口させている。よって、送風ファン3の正転時の吸引作用で生じる空気流が電気品ユニット90を通過する際に、電装基板30を右端から左端へと横切って流れることとなり、電装基板30を広範囲に冷却できるので、電装基板30の冷却効果が高い。
また、リアクタ取付部材70を電気品ユニット90の外枠を成すフレーム50の左側壁53の一方の面である内向面にスポット溶接で固定し、その反対側となる左側壁53の外向面を仕切板20にツメ固定のツメの弾性力で圧接させているので、少なくともリアクタ取付部材70の固定部75の範囲では、取付部材70とフレーム左側壁53と仕切板20の3枚の金属板が密接した3重構造になっている。
このため、仕切板20の連通孔24を、フレーム左側壁53の多数の貫通穴から成る通気孔58が開口範囲内に収まるような開口面積が広い1つの穴で形成したとしても、3重構造となる組み合わせにより、この重ね合う部分の剛性が増加し、連通孔24を形成したことにより剛性低下が懸念される仕切板20の剛性を、板厚を厚くすることなく高く維持することができ、重量物であるリアクタ40がリアクタ取付部材70に取り付け固定されても、仕切板20が撓んでしまうことはない。
3重構造による仕切板20の剛性維持により、仕切板20の連通孔24を、通風孔55や通気孔58のように面積小の多数の貫通穴を組み合わせて構成しなくて済むようになる。もし、仕切板20の剛性確保のために、連通孔24を通気孔58と同様に面積小の多数の貫通穴の組み合わせで構成した場合、通気孔58と連通孔24のそれぞれの貫通穴に位置ずれが生じてしまうと、電気品ユニット90とファン室Fとの連通面積が減少してしまうことになる。
この室内ユニット100では、仕切板20とフレーム左側壁53と少なくともリアクタ取付部材70の固定部75が、互いに押圧された3重構造をなしており、仕切板20の剛性を高めているので、仕切板20の板厚を厚くすることなく、連通孔24を開口面積が大きい1つの穴で形成でき、電気品ユニット90とファン室Fとの連通面積を、通気孔55を構成する多数の貫通穴の合計面積とすることができて、十分な連通面積を確保することができる。なお、仕切板20とフレーム左側壁53とリアクタ取付部材70の固定部75の3重構造に、さらに間隔を空けた複数箇所でのボルト固定を追加し、3者の固定より堅固にして3者密着性を高めてもよい。
また、ファン室Fの領域で連通孔24を覆う第1カバー15を、ルーバー加工により仕切板20と一体成形しているので、連通孔24周辺の剛性が、一体成形の第1カバー26によって高められる。そのため、先に述べた3重構造に加えて、ルーバー加工による一体成形の第1カバー15により、1つの開口面積が大きい連通孔24を開口させた金属製薄板の仕切板20の剛性をより高くすることができる。
また、リアクタ取付部材70のリアクタ取付面73の背面側に箱状の空間11を形成し、フレーム左側壁53の通気孔58を介してその空間11に臨むようにファン室Fへ通ずる仕切板20の連通孔24を開口させ、送風ファン3の正転時に空間11内を冷却空気流が通過するようにして、リアクタ40の発する熱を、通過する空気流にてリアクタ取付部材70を介して放熱するようにしたので、重量だけでなく体積も大きいリアクタ40をその冷却空気流の流路途中に配置しなくても、リアクタ40を十分に冷却することができる。そのため、体積も大なるリアクタ40を、電気品ユニット90内で縦置きの電装基板30の前方に配置することができ、電気品ユニット90内のスペースを効率的に活用できる。
また、リアクタ40を電装基板30の前方に配置していることに加えて、リアクタ取付面73を、フレーム左側壁53と平行とはせずに、正面側よりも背面側の方が左側壁53との左右方向の距離が離れる(遠ざかる)ように、所定の角度で正面側に傾斜(ここでは約20度)させているので、室外ユニット100の現地据え付け後のメンテナンス作業で、作業者がボルト44の位置を確認し易いなど作業する面が見易いことにより、リアクタ40脱着作業の作業性がよく、作業の信頼性も高められる。
メンテナンス作業で、電装基板30の交換が行われる際に、電装基板30の前方にリアクタ40を配置しているため、電装基板30の脱着の際しリアクタ40の脱着作業も必要となるが、上記のとおりリアクタ40の脱着作業の作業性がよいので、電装基板30の交換作業で、電装基板30の前方に位置するリアクタ40の存在が交換作業の障害となることはない。
なお、この室内ユニット100では、送風ファン3の正転時の吸引作用により電気品ユニット90を通過する冷却空気流の空気流路を、電装基板30の正面側(実装面側)を主として横切るように構成したが、電装基板30を実装面が背面側を向くように配置し、電装基板30の背面側を主として横切るように構成してもよい。
また、例えば、電装基板30の反実装面側(ここでは室外ユニット100の背面側に面する面)にヒートシンクや他の電気電子部品を有している場合には、フレーム右側壁52の通風孔55を電装基板30の前後両面に跨るように配置して、冷却空気流が電装基板30の両面の実装部品を横切って流れるようにして、両面それぞれの実装部品を冷却するように構成すればよい。
また、電装基板30の実装面側を通過する冷却空気流路とは別に、反実装面側のヒートシンク等の実装部品を冷却する空気流路を設定し、電気品ユニット90を通過する冷却空気流を電装基板30の前後両面に分かれた別々の空気流路で構成することも可能である。このような場合では、電装基板30の正面側(この室外ユニット100では実装面側)を横切って通過する冷却空気流と、例えばヒートシンクなど電装基板30の背面側に取り付けられた部品を冷却するために背面側を流れる冷却空気流のどちらか一方を、もしくは両方を合流させてから、空間11に流入させてリアクタ40を冷却し、電装基板30とリアクタ40が発する熱をファン室Fへと放散させる。
このように、電装基板30の冷却空気流とリアクタ40の冷却空気流とを別々の流路に分散させずに、電装基板30を冷却した後でリアクタ40を冷却するように流れる一連の空気流路を設定することにより、冷却に十分な空気流量が確保され、電装基板30とリアクタ40が発する熱を効率よくファン室Fへと放散できる。よって、両者をしっかりと冷却して、効率的な稼働を確保することができる。
なお、電装基板30の背面側を通過する冷却空気流を、正面側を通過する空気流とは別の空気流路でファン室Fへと流入させる場合には、その経路の出口となる開口部のファン室F側に、連通孔24を覆う二重構造のカバーと同様な二重構造カバー体を設けて、送風ファン3の逆回転で生じるその流路を逆流する空気流によって雨水などの水分が電気品ユニット90に浸入するのを防止する必要があることは言うまでもない。
以上のように、この室外ユニット100は、電装基板30とリアクタ40をこの順番で冷却する一連の冷却空気流路を確保して、これらを十分に冷却して効率的な稼働を維持しながら、自然風により送風ファン3が逆回転して発生する空気流が、この冷却空気流路を逆流してファン室Fから機械室Mへ雨水等の水分を浸入させてしまうことを防いで、電装基板30やリアクタ40に水分が付着することがない信頼性の高い室外ユニットとすることができる。