JP5555657B2 - 内燃機関のピストン - Google Patents

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Description

本発明は、マグネシウム合金材を基材(母材)とした内燃機関のピストンに関する。
周知のように、内燃機関のピストンは、振動や振動騒音の低減化、さらに燃費の向上などの要求から十分な軽量化が望まれており、この要求を満足するためにピストンの基材としてマグネシウム合金材を用いたものが種々提供されている。
しかしながら、マグネシウム合金材は、通常のピストン基材であるアルミニウム合金材(Al−Si)と比較すると摩耗性や強度が著しく劣り、そのままではピストンへの適用が困難である。
そこで、例えば以下の特許文献1に記載されているピストンのように、耐熱マグネシウム合金材の一部にセラミック短繊維で形成された繊維成形体を鋳込んで摩耗性や強度などを高めるものも提供されている。
特開平5−78764号公報
しかしながら、前記公報記載の従来のピストンは、マグネシウム合金材の一部に鋳込まれたセラミック短繊維によって摩耗性や強度をある程度は確保できるものの、マグネシウム合金材の材料特性からして十分な熱的強度が得られず、耐久性に乏しいといった技術的課題がある。
本発明は、マグネシウム合金材を基材としたピストンであっても耐摩耗性と高温疲労強度が得られる内燃機関のピストンを提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、円筒部と該円筒部の軸方向端部に一体に形成された冠部とを有し、6%≦Y≦10%、1%≦Gd≦6%、0.5%≦Zn≦4%で、残りがMgと不可避的な不純物のマグネシウム合金材からなる内燃機関のピストンにおいて、少なくとも前記冠部の結晶粒径を80μm以上に設定したことを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、円筒部と該円筒部の軸方向端部に一体に形成された冠部とを有し、6%≦Y≦10%、1%≦Gd≦6%、0.5%≦Zn≦4%、0.3%≦Zr≦0.9%で、残りがMgと不可避的な不純物のマグネシウム合金材からなる内燃機関のピストンにおいて、少なくとも前記冠部の結晶粒度を80μm以上に設定したことを特徴としている。
本発明によれば、マグネシウム合金材を基材としたピストンであっても、耐摩耗性と高温疲労高強度を得ることができる。
本発明に係る内燃機関のピストンの実施形態を示し、Aはピストンの俯瞰図、Bはピストンの下方からみた斜視図である。 本実施形態のピストンが鋳造される鋳造用金型を示す縦断面図である。 第1実施例に係るピストンの冠部におけるMg合金の結晶粒径と疲労強度との関係を示す特性図である。 図3の特性図に対応した結晶粒径と疲労強度との関係を示した表である。 第1実施例におけるMg合金のそれぞれ結晶粒径の顕微鏡写真であって、Aは結晶粒径が77μmの場合、Bは107μmの場合、Cは138μmの場合を示している。
以下、本発明に係る内燃機関のピストンの実施形態を図面に基づいて詳述する。なお、本実施形態に供されるピストンは、4サイクル・ディーゼルエンジンに適用したものである。
ピストン1は、図外のシリンダブロックに形成されたほぼ円柱状のシリンダ壁面に摺動自在に設けられ、該シリンダ壁面とシリンダヘッドとの間に燃焼室を形成するようになっていると共に、ピストンピンに連結されたコンロッドを介してクランクシャフトに連結されている。
また、このピストン1は、図1A,Bに示すように、ピストン基材2が後述する重力鋳造により全体がマグネシウム合金材(Mg合金材)によって有蓋円筒状に一体に形成され、冠面4上に前記燃焼室を画成する冠部3と、該冠部3の下端外周縁に一体に有する円筒部5とから構成されている。
前記冠部3は、比較的肉厚に形成された円盤状を呈し、前記冠面4の中央位置には燃焼室の一部を構成するほぼ円柱状の凹部4aが形成されていると共に、外周部にプレッシャリングやオイルリングなどの3つのピストンリングを保持するリング溝3a、3b、3cが形成されている。
前記円筒部5は、円弧状の一対のスラスト側スカート部6及び反スラスト側スカート7と、該各スカート部6、7の円周方向の両側端に連結された一対のエプロン部8、9と、を備えている。
前記両スカート部6,7は、ピストン1の軸心を中心とした左右の対称位置に配置されて、横断面ほぼ円弧状に形成されていると共に、それぞれの肉厚はほぼ全体が比較的薄肉に形成されている。前記スラスト側スカート部6は、膨張行程時などにピストン1が下死点方向へストロークした際に、前記コンロッドの角度との関係で前記シリンダ壁面に傾きながら圧接するようになっている一方、反スラスト側のスカート部7は、圧縮行程時などにピストン1が上昇ストロークした際に、シリンダ壁面に反対に傾きながら圧接するようになっている。
〔ピストンのMg合金材料及び製造方法〕
そして、前記ピストン1のMg合金材は、以下の中国特許CN100545286Cに記載されているものである。
〔第1実施例〕
すなわち、この中国特許のMg合金材は、6%≦Y≦10%、1%≦Gd≦6%、0.5%≦Zn≦4%で、残りがMgと不可避的な不純物のマグネシウム合金材から構成されている。
具体的に説明すると、前記Y(イットリウム)は固体溶度が高いため、固体溶化の効果が良く、時効を強化できる。また、稀土類元素の中で密度が低く、合金の燃焼阻止と耐酸化能力を増やせるため、Yを第一次の元素として添加する。良好な固溶強化と時効析出強化効果が得られるため、Yの添加量は6%以上でなければならない。また、合金の塑性低下を避けるため、また鋳放し状態のもと、多量の低熔点共晶体は、高温下のクリープ性能に影響するため、Yの添加量は10%以下でなければならない。
Gd(ガドリニウム)を第二次の元素として添加する。軽稀土類Yよりも重稀土類元素Gdの添加はより耐クリープ性能が得られ、また、Gdの固体溶度と時効強化効果を期待できるため、Yの添加により時効硬化ピーク値温度が遅れることが改善される。但し、過度な量のGdは密度を増加させるため、含有量は1〜6%の間に控える。
Zn(亜鉛)を第三次の元素として添加する。一方、Znがリッチな稀土類化合物が結晶粒界において、変形を防ぎ、高温性能を改善する他、Znの添加によって結晶粒内の長周期規則配列を助長する。この構造とMg母体と共格界面を有するため、高温の下で母体の変形を抑制し、合金の耐熱性を改善する。勿論、Znの添加はコストダウンにも繋がる。但し、含有量が多すぎると、Mgと融点の化合物を生成する可能性があり、したがって、Znの含有量は0.5〜4%の間に控える。その他、合金の中に適量のZr(ジルコニウム)を添加して、結晶を微細化し、材料の強度と塑性を改善して優れた総合性能が得られる。
以上の説明によって、本発明は、一種の高強度耐クリープマグネシウム合金を提供し、含有した各成分及び重量%は、
6%≦Y≦10%、1%≦Gd≦6%、0.5%≦Zn≦4%、残りはMgと不可避的な微量不純物である。なお、含有不純物はFe<0.005%、Cu<0.015%、Ni<0.002%である。各不純物の含有量を越えると、合金の耐食性が低下するとの影響がある。
前記Mg合金材の製造プロセスは二段階に分かれ、すなわち、溶解処理と重力鋳造で、その中で、溶解の過程はSF6/CO2気体保護の条件の下で行い、具体的には以下の通りである。
〔溶解処理〕
(1)Mg溶解:溶解炉の中に予熱した工業用の純マグネシウムを入れて、加熱溶解する。
(2)Znの添加:マグネシウムが完全に溶け落ちた後に、600から700℃で工業用純Znを添加する。
(3)YとGd添加:700〜740℃でマグネシウム溶液にMg−Y、MgーGd中間合金を添加する。
(4)Zn添加:マグネシウム溶湯の温度を780〜800℃まで上げた後、Mg−Zr中間合金を添加し、十分溶解するために2〜5分間攪拌する。
(5)溶解:マグネシウム溶湯の温度を780〜800℃まで上げて、20〜30分間保温した後、750〜755℃まで低下し、6〜10分間連続して溶湯処理をする。その後、処理後の静置時間が25〜40分間に控え、マグネシウム溶液を700〜720°まで冷却して表面に浮いているスラグを除去する。
〔重力鋳造〕
その後、200〜250℃まで予熱した図2に示す重力型の鋳造用金型11(スチール金型)によって溶湯鋳造を行う。
前記鋳造用金型11は、基台12上に固定され、中央に中子14を有するモールド型13と、該モールド型13の上方位置に上下動可能に設けられた可動型であるトップコア15と、前記トップコア15の上下動及び可動タイミングなどを制御する制御機構である図外のコントロールユニットと、から主として構成されている。
前記モールド型13は、上端に溶湯注入用の湯口16aを有する湯道16が一側部に形成されていると共に、前記基台12と中子14及びトップコア15との間にピストン成形用のキャビティ17が形成されている。前記湯道16は、キャビティ17の下端側に連通している。
また、このモールド型13には、前記キャビティ17内に注湯された溶湯が冷却・凝縮するときの体積収縮を補うための図外の押し湯キャビティが前記キャビティ17に連通して備えており、前記押し湯キャビティの周囲には、保温性の高い材料よりなる押し湯入子が設けられている。
前記トップコア15は、前記中子14と上下方向から対向する内トップコア18と、該内トップコア18の上端外周側に配置され、内側に空間部19を形成したほぼ円環状の外トップコア20と、該外トップコア20の上端面に載置され、前記空間部19の上部開口を閉塞するアダプター21と、から構成されている。
前記内トップコア18は、例えばステンレス材(SUS材)などの鉄系金属粉末を焼結してなる多孔質ステンレス材料によって一体に形成され、中子14と対向した冠面形成面18aの中央には、前記ピストン1の冠面凹部4aを形成する円環状の凸部18bを有している。この冠面形成面18aは、前記湯口16からマグネシウム合金の溶湯を注湯してピストン基材2を成形するときに、ピストン1の冠面4全体を形成するようになっている。
また、この内トップコア18は、前述のように鉄系金属粉末であるステンレス粉によって多孔質金型素材として成形されているが、この成形方法は熱間等方圧プレス(HIP)によって成形処理と焼結処理を同時に行って成形されていると共に、その粉末粒度が250メッシュ〜1000メッシュに形成されている。
また、前記冠面形成面18aは、形彫放電加工機における放電加工条件の仕上げ領域を用いて、後工程として、例えば仕上げ加工やバフ加工が不要となるように、予めピストン基材2の仕上げ面粗さに対応した表面粗さの仕上げ面に形成してある。つまり、前記冠面形成面18aは、切削加工や研磨加工によることなく、放電加工によって仕上げ面に加工してあるので表面粗度が悪化しない。
前記内トップコア18の粉末粒度を250〜1000メッシュとした理由は、この粒度に設定することによって、前記ピストン基材2の冠部3の表面粗さを12μmRa以下に設定するためである。
表1は種々の粒径の金属粉を用いて多孔質金型(内トップコア)の焼結処理を行い、放電加工によって仕上げ加工を行った後の表面粗さと気孔率の関係を実験によって示したものである。
表1に示すように、気孔率と熱伝導率とは反比例しており、気孔率が大きいほど熱伝導率が小さくなることが明らかである。メッシュが1500では、粒径が10μmと小さくなると共に、気孔率も15%と小さくなるため、熱伝導率は15W/(m・k)と大きくなる。また、メッシュが100では、粒径が150μmと大きくなると共に、気孔率も23%と大きくなるため、熱伝導率は9W/(m・k)と小さくなってしまうことが明らかである。
これに対して、メッシュが250では、粒径が半分の60μmに小さくなると共に、気孔率も21%と小さくなるため、熱伝導率は11W/(m・k)となる。また、メッシュが1000では、粒径がさらに小さな20μmになると共に、気孔率が20%となり、熱伝導率は同じく11W/(m・k)となることが解った。
したがって、表面粗さが12μmRa以下とするためには、メッシュ250以上(粒径60μm以下)で1000以下(粒径20以上)の金属粉末を用いて多孔質の金型、つまり内トップコア18の焼結処理を行うことが望ましい。
よって、本実施例では、メッシュ250以上〜1000以下の金属粉末を選択して焼結処理行って前記内トップコア18を予め成形した。
そして、前記鋳造用金型11を用いて、前記溶解したマグネシウム合金材によってピストン基材2を成形する。すなわち、予め200〜250℃まで加熱した鋳造用金型11に、前述した元素のマグネシウム合金溶液を、注湯口16aから湯道16を介してキャビティ17内に注湯して所定の鋳造条件に基づいて鋳込み成形する。
このとき、前記内トップコア18は、前述のように、多孔質金型になっていると共に、上端側に断熱用空間部19が形成されていることから、熱伝導率が非常に低く、保温性が高くなっている。このため、前記キャビティ17に注湯されたマグネシウム合金の溶湯は、前記内トップコア18の冠面形成面18a全体に接触して、その熱が断熱用空間部19方向へ移動していく。このため、特に、冠部3側のマグネシウム合金溶湯の冷却速度が十分に遅くなる。つまり、通常金型の場合は、冠部3の冷却速度は0.2℃/sec(DAS=27μm)になるが、本実施例では、(DAS=34μm)の鋳造条件を与えたので、0.08℃/secとなり、0.4倍ほど遅くなる。凝固時間が2.5倍となる。
その後、離型後に得られたピストン基材2を520〜540℃で6〜24時間の条件で固溶処理すると共に、225〜300℃で12〜48時間の条件で時効処理を行う。
そして、前記鋳造用金型11によって得られたピストン基材2は、前記冠部3側の溶湯冷却速度が十分に遅くなる結果、結晶粒径が80μm以上となることから高温疲労強度を高くすることができる。
図3及び図4は300℃の高温化において溶湯の冷却時間を漸次遅くなるように変化させて、前記ピストン基材2の結晶粒径(μm)と高温疲労強度(Mpa)との関係を6段階に分けて実験した場合を示し、図5A〜Cは6段階のうち3つの段階の結晶粒径を金属顕微鏡でみた場合を示している。なお、前記結晶粒径(公称粒径)の求め方としては、平均粒面積aからd=√aを求める一般的な求積法によって行った。
結晶粒径が49μmの場合には疲労強度が45Mpaであり、結晶粒径が77μmでは疲労強度が53Mpa(図5A)となって、高い疲労強度が得られないことが明らかである。
しかし、結晶粒径が80μmになると疲労強度が急激に上昇し、結晶粒径が91μmでは80Mpa、107μmでは85Mpa(図5B)となり、120μmでは87Mpa、さらに138μmでは疲労強度が88Mpa(図5C)となることが解った。つまり、鋳造時における冠部3のマグネシウム合金材の冷却速度を十分に遅くするほど結晶粒径を大きくすることができ、これによって高温疲労強度を高くできることが解った。
したがって、本実施例では、前記鋳造時における冠部3のマグネシウム合金材の冷却速度を十分に遅くすることによって結晶粒径を80μm以上で138μm以下に形成したのである。この結果、マグネシウム合金材の冠部3の耐摩耗性の向上が図れることは勿論のこと、高温疲労強度を著しく高めることができると共に、耐久性の向上が図れる。
また、本実施例では、組成成分において、微量のZnの添加によってマイクロ構造を明らかに異なったため、Znがリッチな化合物及び長周期規則配列構造が合金の耐クリープ特性を改善できる。さらに、マグネシウム合金材は、軽量でかつ製造が容易であり、低コストが実現できる。
なお、本実施例のマグネシウム合金材の室温での引っ張り強度と伸び率はそれぞれ251.2Mpaと12.01%であり、200℃での引っ張り強度と伸び率はそれぞれ245.79Mpaと38.1%である。
〔第2実施例〕
第2実施例は、合金成分(重量%)を変えたもので、6%≦Y≦10%、1%≦Gd≦6%、0.5%≦Zn≦4%、0.3≦Zr≦0.9であり、残りはMgと不可避的な微量不純物である。本実施例における具体的な成分配合は、7%Y、4%Gd、0.5%Zn、0.4%Zrで、不純物質は0.02%以下であり、残りはMgである。
〔溶解処理〕
この合金の溶解処理は以下の通りである。
(1)以上のような成分で合金を配置し、溶解炉の中に純マグネシウムを入れて、溶解の過程はSF6/CO2混合気体保護の条件下で行う。
(2)マグネシウムが完全に溶け落ちた後、690℃で工業用純Znを添加する。
(3)マグネシウム溶液の温度は725℃に達した後、Mg−Gd中間合金をマグネシウム溶液に直接添加する。Mg−Gd溶解後、マグネシウム溶液の温度が725℃に戻ったとき、Mg−Y中間合金を添加する。
(4)マグネシウム溶液の温度を760℃まで上げた後、Mg−Zr中間合金を添加し、十分溶解するために2分間攪拌する。
(5)マグネシウム溶液の温度を780℃まで上げて、20分間保温した後、750℃まで下がり、6分間連続して溶湯処理を行う。その後、処理後の静置時間が30分間に控え、マグネシウム溶液を710℃まで冷却して、表面に浮いているスラグを除去する。
〔重力鋳造〕
その後は、予め220℃まで予熱した前述の鋳造用金型11を用いてピストン基材2を鋳造する。この鋳造によって得られたピストン基材2を、535℃、16時間の条件で溶体化処理すると共に、225℃、24時間の条件で時効処理を行う。これによって、前述と同じマグネシウム合金材のピストン基材2が得られる。
〔第3実施例〕
この実施例も合金成分(重量%)を変えたもので、具体的な成分配合は、10%Y、5%Gd、2%Zn、0.4%Zrで、不純物質は0.02%以下であり、残りはMgである。
〔溶解処理〕
この合金の溶解処理は以下の通りである。
(1)以上のような成分で合金を配置し、溶解炉の中に純マグネシウムを入れて、溶解の過程はSF6/CO2混合気体保護の条件下で行う。
(2)マグネシウムが完全に溶け落ちた後、700℃で工業用純Znを添加する。
(3)マグネシウム溶液の温度は730℃に達した後、Mg−Gd中間合金をマグネシウム溶液に直接添加する。Mg−Gd溶解後、マグネシウム溶液の温度が730℃に戻ったとき、Mg−Y中間合金を添加する。
(4)マグネシウム溶液の温度を760℃まで上げた後、Mg−Zr中間合金を添加し、十分溶解するために2分間攪拌する。
(5)マグネシウム溶液の温度を780℃まで上げて、20分間保温した後、750℃まで下がり、6分間連続して溶湯処理を行う。その後、処理後の静置時間が40分間に控え、マグネシウム溶液を710℃まで冷却して、表面に浮いているスラグを除去する。
〔重力鋳造〕
その後は、予め220℃まで予熱した前記鋳造用金型11を用いてピストン基材2を鋳造する。この鋳造によって得られたピストン基材2を、535℃、16時間の条件で溶体化処理すると共に、225℃、24時間の条件で時効処理を行う。これによって、前述と同じマグネシウム合金材のピストン基材2が得られる。
したがって、前記第2、第3実施例も第1実施例と同様にピストン1の冠部3のマグネシウム合金の結晶粒径が80μm以上とすることによって高温疲労強度を十分に向上させることができる。
本発明は、前記各実施例に限定されるものではなく、各実施例では、鋳造用金型11として、内トップコア18のみを多孔質材で形成した場合を説明したが、たとえば、前記中子14や図外のモールドブッシュなども多孔質材で形成することが望ましい。このようにすると、多孔質材の内部に気体が包含されているので、保温性に優れ、溶湯の流動性を良好にすることができると共に、マグネシウム合金溶湯の冷却速度をさらに遅くすることが可能になる。
また、前記鋳造用金型としては、第1実施例のものの他に、前記空間部19内に電熱ヒータを配置して、前記トップコア15全体を常に高温に保持することもできる。この場合、前記内トップコア18と外トップコア20とを鋼材によって一体に形成することも可能である。
さらに、前記内トップコア18と外トップコア20及びアダプター21を、前記空間部19廃止して中実状にした一体に成形し、この金属材料をオーステナイト系のステンレス鋼かあるいは鋳鉄とすることも可能である。前記ステンレス鋼としては、例えば、SUS304、SUS316とし、鋳鉄としてはニレジスト鋳鉄を選択することも可能である。
また、前記第1実施例の鋳造用金型11の外トップコア20をオーステナイト系ステンレス鋼によって形成することも可能である。
前記実施形態から把握される前記請求項以外の発明の技術的思想について以下に説明する。
〔請求項a〕請求項1に記載の内燃機関のピストンにおいて、
前記ピストン基材を重力型の鋳造用金型によって成形すると共に、
該鋳造用金型の金属材料をオーステナイト系ステンレス鋼か、あるいはオーステナイト系ステンレス鋳鉄によって形成したことを特徴とする金型構造。
〔請求項b〕請求項aに記載の金型構造において、
前記鋳造用金型を、モールド型と、該モールド型の上端部に設けられて、ピストンの冠面を生成する移動可能なトップコアと、を備え、該トップコアの内トップコアを、メッシュが250〜1000の金属粉材によって成形されていることを特徴とする金型構造
〔請求項c〕請求項bに記載の金型構造において、
前記内トップコアを熱間等方圧プレス(HIP)によって成形すると共に焼結し、あるいは放電焼結法により成形した後、前記内トップコアのキャビティ形成面を放電加工によって形成したことを特徴とする金型構造。
1…ピストン
2…ピストン基材
3…冠部
4…冠面
4a…凹部
5…円筒部
11…鋳造用金型
12…基台
13…モールド型
14…中子
15…トップコア
16…湯道
17…キャビティ
18…内トップコア
18a…冠面形成面
19…空間部
20…外トップコア
21…アダプター

Claims (2)

  1. 円筒部と該円筒部の軸方向端部に一体に形成された冠部とを有し、6%≦Y≦10%、1%≦Gd≦6%、0.5%≦Zn≦4%で、残りがMgと不可避的な不純物のマグネシウム合金材からなる内燃機関のピストンにおいて、
    少なくとも前記冠部の結晶粒径を80μm以上に設定したことを特徴とする内燃機関のピストン。
  2. 円筒部と該円筒部の軸方向端部に一体に形成された冠部とを有し、6%≦Y≦10%、1%≦Gd≦6%、0.5%≦Zn≦4%、0.3%≦Zr≦0.9%で、残りがMgと不可避的な不純物のマグネシウム合金材からなる内燃機関のピストンにおいて、
    少なくとも前記冠部の結晶粒度を80μm以上に設定したことを特徴とする内燃機関のピストン。
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