JP5552872B2 - プラズマ光源とプラズマ光発生方法 - Google Patents

プラズマ光源とプラズマ光発生方法 Download PDF

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Description

本発明は、EUV放射のためのプラズマ光源とプラズマ光発生方法に関する。
次世代半導体の微細加工のために極端紫外光源を用いるリソグラフィが期待されている。リソグラフィとは回路パターンの描かれたマスクを通して光やビームをシリコン基盤上に縮小投影し、レジスト材料を感光させることで電子回路を形成する技術である。光リソグラフィで形成される回路の最小加工寸法は基本的には光源の波長に依存している。従って、次世代の半導体開発には光源の短波長化が必須であり、この光源開発に向けた研究が進められている。
次世代リソグラフィ光源として最も有力視されているのが、極端紫外光源(EUV:Extreme Ultra Violet)であり、およそ1〜100nmの波長領域の光を意味する。この領域の光はあらゆる物質に対し吸収率が高く、レンズ等の透過型光学系を利用することができないので、反射型光学系を用いることになる。また極端紫外光領域の光学系は非常に開発が困難で、限られた波長にしか反射特性を示さない。
現在、13.5nmに感度を有するMo/Si多層膜反射鏡が開発されており、この波長の光と反射鏡を組み合わせたリソグラフィ技術が開発されれば30nm以下の加工寸法を実現できると予測されている。さらなる微細加工技術の実現のために、波長13.5nmのリソグラフィ光源の開発が急務であり、高エネルギー密度プラズマからの輻射光が注目されている。
光源プラズマ生成はレーザー照射方式(LPP:Laser Produced Plasma)とパルスパワー技術によって駆動されるガス放電方式(DPP:Discharge Produced Plasma)に大別できる。DPPは、投入した電力が直接プラズマエネルギーに変換されるので、LPPに比べて変換効率で優位であるうえに、装置が小型で低コストという利点がある。
プラズマから有効波長領域(in−band)の放射光への変換効率(Plasma Conversion E.ciency:P.C.E)は次式(1)のように表される。
P.C.E=(Pinband×τ)/E・・・(1)
ここで、Pinbandは有効波長領域のEUV放射光出力、τは放射持続時間、Eはプラズマに投入されたエネルギーである。
有効波長領域に放射スペクトルを持つ元素としては、Xe,Sn,Li等が代表的であり、実験の容易さ、取り扱いやすさから開発初期はXeを中心に研究が進められてきた。しかし、近年では高出力、高効率を理由にSnが注目を浴び研究が進められている。また、有効波長領域にちょうどLyman−α共鳴線を有する水素様Liイオン(Li2+)に対する期待も高まってきている。
高温高密度プラズマからの放射スペクトルは、基本的にはターゲット物質の温度と密度によって決まり、プラズマの原子過程を計算した結果によると、EUV放射領域のプラズマにするにはXe,Snの場合で電子温度、電子密度がそれぞれ数10eV、1018cm−3程度,Liの場合で20eV、1018cm−3程度が最適とされている。
なお、上述したプラズマ光源は、非特許文献1,2および特許文献1,2に開示されている。
佐藤弘人、他、「リソグラフィ用放電プラズマEUV光源」、OQD−08−28 Jeroen Jonkers,"High power extreme ultra−violet(EUV) light sources for future lithography",Plasma Sources Science and Technology, 15(2006) S8−S16
特表2000−509190号公報、「X線放射線または極紫外線放射線を発生するための方法および装置」 特開2004−226244号公報、「極端紫外光源および半導体露光装置」
EUVリソグラフィ光源には、高い平均出力、微小な光源サイズ、飛散粒子(デブリ)が少ないこと等が要求される。現状では、EUV発光量が要求出力に対して極めて低く、高出力化が大きな課題の一つであるが、一方で高出力化のために入力エネルギーを大きくすると熱負荷によるダメージがプラズマ生成装置や光学系の寿命の低下を招いてしまう。従って、高EUV出力と低い熱負荷の双方を満たすためには、高いエネルギー変換効率が必要不可欠である。
プラズマ形成初期には加熱や電離に多くのエネルギーを消費するうえに、EUVを放射するような高温高密度状態のプラズマは一般的に急速に膨張してしまうため、放射持続時間τが極端に短い。従って、変換効率を改善するためには、プラズマをEUV放射のために適した高温高密度状態で長時間(μsecオーダーで)維持することが重要になる。
SnやLi等の常温固体の媒体はスペクトル変換効率が高い反面、プラズマ生成に溶融、蒸発等の相変化を伴うため、中性粒子等のデブリ(放電に伴う派生物)による装置内汚染の影響が大きくなる。そのため、ターゲット供給、回収システム強化も同様に要求される。
現在の一般的なEUVプラズマ光源の放射時間は100nsec程度であり出力が極端に足りない。産業応用のため高変換効率と高平均出力を両立させる為には1ショットで数μsec(少なくとも1μsec以上)のEUV放射時間を達成する必要がある。つまり、高い変換効率を持つプラズマ光源を開発するためには、それぞれのターゲットに適した温度密度状態のプラズマを1μsec以上拘束し、安定したEUV放射を達成する必要がある。
また、プラズマ媒質としてLi(リチウム)を用いる場合、Liプラズマにおける有効波長領域(13.5nm近傍)のEUV光を発する励起準位の輻射冷却時間(すなわち発光寿命)が比較的長い(例えば、0.5〜5μsec)。そのため、Liの励起からEUV光を発するまでの時間(発光寿命)が長いため、高出力化が困難という問題点があった。
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、EUV放射のためのプラズマ光を長時間(μsecオーダーで)安定して発生させることができ、有効波長領域(13.5nm近傍)のEUV光を発する励起準位の輻射冷却時間を実質的に短縮し、EUV光の高出力化を達成できるプラズマ光源とプラズマ光発生方法を提供することにある。
本発明によれば、単一の軸線上に延びる棒状の中心電極と、該中心電極を一定の間隔を隔てて囲む管状のガイド電極と、中心電極とガイド電極の間に位置しその間を絶縁するリング状の絶縁体とからなり、対向配置された1対の同軸状電極と、
各同軸状電極内をプラズマ発生に適した温度及び圧力に保持する放電環境保持装置と、
各同軸状電極に極性を反転させた放電電圧を印加する電圧印加装置と、を備え、
13.5nm近傍に発光ラインを持つプラズマ媒体と、13.5nm近傍に発光ラインを有しかつ前記プラズマ媒体より輻射冷却時間が短い添加物とを同軸状電極間に供給し、
1対の同軸状電極間に管状放電を形成してプラズマを軸方向に封じ込め、 該プラズマ内において励起されたプラズマ媒体のイオンと励起していない添加物のイオンとの間で共鳴エネルギー移転を生じさせ、プラズマ媒体と添加物の両方から13.5nm近傍のEUV光を発光させる、ことを特徴とするプラズマ光源が提供される。
本発明の実施形態によれば、前記絶縁体は、前記プラズマ媒体を主成分とする常温で固体の絶縁化合物と添加物とからなり、
前記中心電極とガイド電極間の面状放電により、前記絶縁化合物の表面を気化してプラズマ媒体及び前記添加物を同軸状電極間に供給する。
また本発明の別の実施形態によれば、前記絶縁体は、前記プラズマ媒体を主成分とする常温で固体の絶縁化合物からなり、
さらに、前記添加物を前記同軸状電極間に供給する添加物供給装置を備え、
前記中心電極とガイド電極間の面状放電により、前記絶縁化合物の表面を気化してプラズマ媒体を同軸状電極間に供給し、同時に前記添加物を前記同軸状電極間に供給する。
前記プラズマ媒体はリチウムであり、前記絶縁化合物は、水素化リチウム、塩化リチウム、酸化リチウム、又は窒化リチウムの粉体である、ことが好ましい。
また本発明の別の実施形態によれば、前記プラズマ媒体と前記添加物の混合液を加熱して液化維持あるいは気化して前記同軸状電極間に供給するプラズマ媒体加熱装置を備える。
また本発明の別の実施形態によれば、前記プラズマ媒体を気化して前記同軸状電極間に供給するプラズマ媒体加熱装置と、
前記添加物を前記同軸状電極間に供給する添加物供給装置とを備える。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記添加物は、C、Na、F、A、Mg、Ne、F、又はXeである、ことが好ましい。
また本発明によれば、(A) 単一の軸線上に延びる棒状の中心電極と、該中心電極を一定の間隔を隔てて囲む管状のガイド電極と、中心電極とガイド電極の間に位置しその間を絶縁するリング状の絶縁体とからなり、対向配置された1対の同軸状電極を準備し、
(B) 前記1対の同軸状電極内をプラズマ発生に適した温度及び圧力に保持し、
(C) 13.5nm近傍に発光ラインを持つプラズマ媒体と、13.5nm近傍に発光ラインを有しかつ前記プラズマ媒体より輻射冷却時間が短い添加物とを前記同軸状電極間に供給しながら、各同軸状電極の中心電極とガイド電極間に極性を反転させた放電電圧を印加して、1対の同軸状電極にそれぞれ面状放電を発生させ、該面状放電により各同軸状電極の対向する中間位置に単一のプラズマを形成し、
(D) 次いで前記面状放電を1対の同軸状電極間の管状放電に繋ぎ換えて前記プラズマを軸方向に封じ込め、
(E) プラズマ内において励起されたプラズマ媒体のイオンと励起していない添加物のイオンとの間で共鳴エネルギー移転を生じさせ、プラズマ媒体と添加物の両方から13.5nm近傍のEUV光を発光させる、ことを特徴とするプラズマ光発生方法が提供される。
上記本発明の装置と方法によれば、対向配置された1対の同軸状電極を備え、1対の同軸状電極にそれぞれ面状の放電電流(面状放電)を発生させ、該面状放電により各同軸状電極の対向する中間位置に単一のプラズマを形成し、次いで前記面状放電を1対の同軸状電極間の管状放電に繋ぎ換えて前記プラズマを封じ込める磁場(磁気ビン)を形成するので、EUV放射のためのプラズマ光を長時間(μsecオーダーで)安定して発生させることができる。
また本発明の装置及び方法によれば、13.5nm近傍に発光ラインを持つプラズマ媒体と、13.5nm近傍に発光ラインを有しかつ前記プラズマ媒体より輻射冷却時間が短い添加物とを同軸状電極間に供給するので、プラズマ媒体と添加物からなる単一のプラズマが形成される。
このプラズマ内において、励起されたプラズマ媒体のイオンが、励起していない添加物のイオンと衝突すると、プラズマ媒体のイオンと添加物のイオンとの間で共鳴エネルギー移転(共鳴励起)が生じるので、励起していない添加物イオンが励起され、プラズマ媒体は励起されていない状態となる。
添加物イオンの輻射冷却時間(発光寿命)はプラズマ媒体のイオンと比較して短い(例えば50nsec未満)ので、励起された添加物イオンは共鳴励起で得たエネルギーに相当する13.5nm近傍のEUV光を発光して下位準位に戻る。
また、下位準位に戻った添加物イオンは、励起されたプラズマ媒体のイオンと衝突し、共鳴励起、EUV光の発光を繰り返す。
従って、上記発光サイクルにより、プラズマ媒体自体の発光寿命が非常に長い(例えば0.5〜5μsec)場合でも、それに加えて添加物が共鳴励起で得たエネルギーに相当する13.5nm近傍のEUV光を発光するので、発光サイクルにエネルギー移転のプロセスが増えるが、総合的にはプラズマ媒体の励起からEUV発光までの時間が短縮され、高出力化が達成できる。
本発明によるプラズマ光源の原理図である。 本発明によるプラズマ光源の第1実施形態図である。 本発明によるプラズマ光源の第2実施形態図である。 本発明によるプラズマ光源の第3実施形態図である。 本発明によるプラズマ光源の第4実施形態図である。 本発明による共鳴エネルギー移転(共鳴励起)の説明図である。 本発明によるプラズマ光源の作動説明図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明によるプラズマ光源の原理図である。
この図において、本発明のプラズマ光源10は、1対の同軸状電極11、放電環境保持装置20、及び電圧印加装置30を備える。
1対の同軸状電極11は、対称面1を中心として対向配置されている。
各同軸状電極11は、棒状の中心電極12、管状のガイド電極14及びリング状の絶縁体16からなる。
棒状の中心電極12は、単一の軸線Z−Z上に延びる導電性の電極である。
この例において、中心電極12の対称面1に対向する端面に凹穴12aが設けられ、後述する面状放電電流2と管状放電4を安定化させるようになっている。なお、この構成は必須ではなく、中心電極12の対称面1に対向する端面は、円弧状でも平面でもよい。
管状のガイド電極14は、中心電極12を一定の間隔を隔てて囲み、その間にプラズマ媒体を保有するようになっている。なお、ガイド電極14の対称面1に対向する端面は、円弧状でも平面でもよい。
リング状の絶縁体16は、中心電極12とガイド電極14の間に位置する中空円筒形状の電気的絶縁体であり、中心電極12とガイド電極14の間を電気的に絶縁する。
なお、絶縁体16の形状はこの例に限定されず、中心電極12とガイド電極14の間を電気的に絶縁する限りで、その他の形状であってもよい。
上述した1対の同軸状電極11は、各中心電極12が同一の軸線Z−Z上に位置し、かつ互いに一定の間隔を隔てて対称に位置する。
放電環境保持装置20は、同軸状電極11内をプラズマ発生に適した温度及び圧力に同軸状電極11を保持する。
放電環境保持装置20は、例えば、真空チャンバー、温度調節器、真空装置、及びプラズマ媒体供給装置により構成することができる。なおこの構成は必須ではなく、その他の構成であってもよい。
電圧印加装置30は、各同軸状電極11に極性を反転させた放電電圧を印加する。
電圧印加装置30は、この例では、正電圧源32、負電圧源34及びトリガスイッチ36からなる。
正電圧源32は、一方(この例では左側)の同軸状電極11の中心電極12にそのガイド電極14より高い正の放電電圧を印加する。
負電圧源34は、他方(この例では右側)の同軸状電極11の中心電極12にそのガイド電極14より低い負の放電電圧を印加する。
トリガスイッチ36は、正電圧源32と負電圧源34を同時に作動させて、それぞれの同軸状電極12に同時に正負の放電電圧を印加する。
この構成により、本発明のプラズマ光源は、1対の同軸状電極11間に管状放電(後述する)を形成してプラズマを軸方向に封じ込めるようになっている。
上述した本発明のプラズマ光源10は、13.5nm近傍に発光ラインを持つプラズマ媒体6と、13.5nm近傍に発光ラインを有しかつプラズマ媒体6より輻射冷却時間が短い添加物7とを同軸状電極間に供給するようになっている。
また、本発明のプラズマ光源10は、1対の同軸状電極11間に管状放電4を形成してプラズマ3を軸方向に封じ込め、プラズマ3内において励起されたプラズマ媒体6のイオンと励起していない添加物7のイオンとの間で共鳴エネルギー移転を生じさせ、プラズマ媒体6と添加物7の両方から13.5nm近傍のEUV光を発光させるようになっている。
図2は、本発明によるプラズマ光源の第1実施形態図である。この図は、上述した1対の同軸状電極11の一方のみを示している。
この図において、絶縁体16は、13.5nm近傍に発光ラインを持つプラズマ媒体6を主成分とする常温で固体の絶縁化合物と、13.5nm近傍に発光ラインを持つ添加物7とからなる。13.5nm近傍とは、13.5nm±1%の波長領域に発光ラインを持つことを意味する。
この構成により、中心電極12とガイド電極14の間の面状放電により、絶縁体16の表面を気化してプラズマ媒体6と添加物7を同軸状電極間に供給するようになっている。
本発明において、プラズマ媒体は、好ましくはリチウムであり、絶縁化合物は、好ましくは水素化リチウム、塩化リチウム、酸化リチウム、又は窒化リチウムの粉体である。
また、添加物は、C、Na、F、AL又はMgの粉体であり、絶縁化合物に対し、重量比率で10%以下(例えば1〜10%)を均一に混入するのがよい。
この構成により、絶縁化合物と添加物の混合粉体を圧縮し加熱することで、所望形状の絶縁体16を容易に成形することができる。
リチウム(Li)は、原子番号3の元素であり、これより原子番号の小さい元素は、水素(H)とヘリウム(He)のみである。リチウムより原子番号の大きい塩素、酸素、窒素等は、13.5nm以外の光を発するエネルギー準位を有するため、所望の13.5nm以外の光を発する不純物となり、EUV変換効率を低下させる。
これに対し、水素の場合、ほぼ完全電離しプロトン単体となってしまうため、発光物質としてはほとんど作用せず、EUV変換効率への影響は少ない。従って、水素化リチウム、塩化リチウム、酸化リチウム、又は窒化リチウムのうち、特に、絶縁化合物は、水素化リチウム(LiH)であることが好ましい。
一方、C、Na、F、AL又はMgの添加物も、13.5nm以外の光を発するエネルギー準位を有するが、共鳴エネルギー移転(共鳴励起)で励起された添加物イオンは共鳴励起で得たエネルギーに相当する13.5nm近傍のEUV光を発光して下位準位に戻るので、13.5nm以外の光を発する比率は低いことが想定される。
図3は、本発明によるプラズマ光源の第2実施形態図である。この図は、上述した1対の同軸状電極11の一方のみを示している。
この図において、絶縁体16は、上記プラズマ媒体6を主成分とする常温で固体の絶縁化合物からなる。
また、この例では、さらに、上記添加物7を同軸状電極21間に供給する添加物供給装置40を備える。添加物7は、Ne、F、又はXeであり、気化したプラズマ媒体6に対し体積比率で10%未満を気体状態で供給するのがよい。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
この構成により、中心電極12とガイド電極14間の面状放電2により、絶縁化合物の表面を気化してプラズマ媒体6を同軸状電極21間に供給し、同時に添加物7を同軸状電極21間に供給することができる。
図4は、本発明によるプラズマ光源の第3実施形態図である。この図は、上述した1対の同軸状電極11の一方のみを示している。
この図において、絶縁体16は、液を通さない緻密セラミック部16aと、緻密セラミック部16aの内部に設けられ液を通す多孔質セラミック部16bとからなり、多孔質セラミック部16bに液体状態のプラズマ媒体6を溜めるようになっている。
さらに、この図で42はプラズマ媒体供給装置であり、プラズマ媒体6と添加物7を液体状態で多孔質セラミック部16bに供給する。また17はプラズマ媒体加熱装置(すなわちヒータ)であり、多孔質セラミック部16bのプラズマ媒体6を加熱して液化維持あるいは気化し、プラズマ媒体6と添加物7を同軸状電極間に供給するようになっている。
本発明において、プラズマ媒体は、好ましくはリチウムである。
また、添加物は、C、Na、F、AL又はMgの粉体であり、絶縁化合物に対し、重量比率で10%以下(例えば1〜10%)を均一に混入するのがよい。
この構成により、絶縁化合物と添加物の混合液を加熱して気化することで、プラズマ媒体6と添加物7を気体状態で同軸状電極間に供給することができる。
図5は、本発明によるプラズマ光源の第4実施形態図である。この図は、上述した1対の同軸状電極11の一方のみを示している。
この図において、絶縁体16は、上述した緻密セラミック部16aと多孔質セラミック部16bとからなり、多孔質セラミック部16bに液体状態のプラズマ媒体6を溜めるようになっている。
さらに、この例でプラズマ媒体供給装置42は、プラズマ媒体6のみを液体状態で多孔質セラミック部16bに供給する。また40は上述した添加物供給装置であり、上記添加物7を同軸状電極21間に供給する。添加物7は、Ne、F、又はXeであり、気化したプラズマ媒体6に対し体積比率で10%未満を気体状態で供給するのがよい。
その他の構成は、第3実施形態と同様である。
この構成により、プラズマ媒体6のみを加熱して気化し、添加物7を均等に混入することで、プラズマ媒体6と添加物7を気体状態で同軸状電極間に供給することができる。
図6は、本発明による共鳴エネルギー移転(共鳴励起)の説明図である。
本発明の装置及び方法によれば、13.5nm近傍に発光ラインを持つプラズマ媒体6と、13.5nm近傍に発光ラインを有しかつプラズマ媒体6より輻射冷却時間が短い添加物7とを同軸状電極11間に供給するので、プラズマ媒体6と添加物7からなる単一のプラズマ3が形成される。
このプラズマ内において、図6に示すように、励起されたプラズマ媒体6のイオンが、励起していない添加物7のイオンと衝突すると、プラズマ媒体6のイオンと添加物7のイオンとの間で共鳴エネルギー移転(共鳴励起)が生じるので、励起していない添加物イオンが励起され、プラズマ媒体は励起されていない状態となる。
添加物7のイオンの輻射冷却時間(発光寿命)はプラズマ媒体6のイオンと比較して短い(例えば50nsec未満)ので、励起された添加物7のイオンは共鳴励起で得たエネルギーに相当する13.5nm近傍のEUV光を発光して下位準位に戻る。
また、下位準位に戻った添加物7のイオンは、励起されたプラズマ媒体6のイオンと再度、衝突し、共鳴励起、EUV光の発光を繰り返す。
従って、図6に示す発光サイクルにより、プラズマ媒体自体の発光寿命が非常に長い(例えば0.5〜5μsec)場合でも、それに加えて添加物が共鳴励起で得たエネルギーに相当する13.5nm近傍のEUV光を発光するので、発光サイクルにエネルギー移転のプロセスが増えるが、総合的にはプラズマ媒体の励起からEUV発光までの時間が短縮され、高出力化が達成できる。
図7は、図1のプラズマ光源の作動説明図である。この図において、(A)は面状放電の発生時、(B)は面状放電の移動中、(C)はプラズマの形成時、(D)はプラズマ封込み磁場の形成時を示している。
以下、この図を参照して、本発明のプラズマ光発生方法を説明する。
本発明のプラズマ光発生方法では、上述した1対の同軸状電極11を対向配置し、放電環境保持装置20により同軸状電極11内をプラズマ発生に適した温度及び圧力に保持し、電圧印加装置30により各同軸状電極11に極性を反転させた放電電圧を印加する。
図7(A)に示すように、この電圧印加により、1対の同軸状電極11に絶縁体16の表面でそれぞれ面状の放電電流(以下、面状放電2と呼ぶ)が発生する。面状放電2は、2次元的に広がる面状の放電電流である。
なおこの際、左側の同軸状電極11の中心電極12は正電圧(+)、ガイド電極14は負電圧(−)に印加され、右側の同軸状電極11の中心電極12は負電圧(−)、そのガイド電極14は正電圧(+)に印加されている。
なお、両方のガイド電極14を接地させて0Vに保持し、一方の中心電極12を正電圧(+)に印加し、他方の中心電極12を負電圧(−)に印加してもよい。
また本発明において、13.5nm近傍に発光ラインを持つプラズマ媒体6と、13.5nm近傍に発光ラインを有しかつプラズマ媒体6より輻射冷却時間が短い添加物7とが同軸状電極11間に供給される。
図7(B)に示すように、面状放電2は、自己磁場によって電極から排出される方向(図で中心に向かう方向)に移動する。
図7(C)に示すように、面状放電2が1対の同軸状電極11の先端に達すると、1対の面状放電2の間に挟まれたプラズマ媒体6と添加物7が高密度、高温となり、各同軸状電極11の対向する中間位置(中心電極12の対称面1)に単一のプラズマ3が形成される。
さらに、この状態において、対向する1対の中心電極12は、正電圧(+)と負電圧(−)であり、同様に対向する1対のガイド電極14も、正電圧(+)と負電圧(−)であるので、図7(D)に示すように、面状放電2は対向する1対の中心電極12同士、及び対向する1対のガイド電極14の間で放電する管状放電4に繋ぎ換えられる。ここで、管状放電4とは、軸線Z−Zを囲む中空円筒状の放電電流を意味する。
この管状放電4が形成されると、図に符号5で示すプラズマ封込み磁場(磁気ビン)が形成され、プラズマ3を半径方向及び軸方向に封じ込むことができる。
すなわち、磁気ビン5はプラズマ3の圧力により中央部は大きくその両側が小さくなり、プラズマ3に向かう軸方向の磁気圧勾配が形成され、この磁気圧勾配によりプラズマ3は中間位置に拘束される。さらにプラズマ電流の自己磁場によって中心方向にプラズマ3は圧縮(Zピンチ)され、半径方向にも自己磁場による拘束が働く。
この状態において、プラズマ内において励起されたプラズマ媒体6のイオンと励起していない添加物7のイオンとの間で共鳴エネルギー移転を生じさせ、プラズマ媒体6と添加物7の両方から13.5nm近傍のEUV光を発光させる。
従って、プラズマ3の発光エネルギーに相当するエネルギーを電圧印加装置30から供給し続ければ、高いエネルギー変換効率で、プラズマ光8(EUV)を長時間安定して発生させることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1 対称面、2 面状放電、3 プラズマ、
4 管状放電、5 プラズマ封込み磁場、6 プラズマ媒体、
7 添加物、8 プラズマ光(EUV光)、
10 プラズマ光源、11 同軸状電極、
12 中心電極、12a 凹穴、
14 ガイド電極、16 絶縁体(絶縁化合物)、
16a 緻密セラミック部、16b 多孔質セラミック部、
17 プラズマ媒体加熱装置(ヒータ)、
20 放電環境保持装置、30 電圧印加装置、
32 正電圧源、34 負電圧源、36 トリガスイッチ、
40 添加物供給装置、42 プラズマ媒体供給装置

Claims (8)

  1. 単一の軸線上に延びる棒状の中心電極と、該中心電極を一定の間隔を隔てて囲む管状のガイド電極と、中心電極とガイド電極の間に位置しその間を絶縁するリング状の絶縁体とからなり、対向配置された1対の同軸状電極と、
    各同軸状電極内をプラズマ発生に適した温度及び圧力に保持する放電環境保持装置と、
    各同軸状電極に極性を反転させた放電電圧を印加する電圧印加装置と、を備え、
    13.5nm近傍に発光ラインを持つプラズマ媒体と、13.5nm近傍に発光ラインを有しかつ前記プラズマ媒体より輻射冷却時間が短い添加物とを同軸状電極間に供給し、
    1対の同軸状電極間に管状放電を形成してプラズマを軸方向に封じ込め、 該プラズマ内において励起されたプラズマ媒体のイオンと励起していない添加物のイオンとの間で共鳴エネルギー移転を生じさせ、プラズマ媒体と添加物の両方から13.5nm近傍のEUV光を発光させる、ことを特徴とするプラズマ光源。
  2. 前記絶縁体は、前記プラズマ媒体を主成分とする常温で固体の絶縁化合物と前記添加物とからなり、
    前記中心電極とガイド電極間の面状放電により、前記絶縁化合物の表面を気化してプラズマ媒体及び前記添加物を同軸状電極間に供給する、ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ光源。
  3. 前記絶縁体は、前記プラズマ媒体を主成分とする常温で固体の絶縁化合物からなり、
    さらに、前記添加物を前記同軸状電極間に供給する添加物供給装置を備え、
    前記中心電極とガイド電極間の面状放電により、前記絶縁化合物の表面を気化してプラズマ媒体を同軸状電極間に供給し、同時に前記添加物を前記同軸状電極間に供給する、ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ光源。
  4. 前記プラズマ媒体はリチウムであり、前記絶縁化合物は、水素化リチウム、塩化リチウム、酸化リチウム、又は窒化リチウムの粉体である、ことを特徴とする請求項2又は3に記載のプラズマ光源。
  5. 前記プラズマ媒体と前記添加物の混合液を加熱して液化維持あるいは気化して前記同軸状電極間に供給するプラズマ媒体加熱装置を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ光源。
  6. 前記プラズマ媒体を気化して前記同軸状電極間に供給するプラズマ媒体加熱装置と、
    前記添加物を前記同軸状電極間に供給する添加物供給装置とを備える、ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ光源。
  7. 前記添加物は、C、Na、F、A、Mg、Ne、F、又はXeである、ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマ光源。
  8. (A) 単一の軸線上に延びる棒状の中心電極と、該中心電極を一定の間隔を隔てて囲む管状のガイド電極と、中心電極とガイド電極の間に位置しその間を絶縁するリング状の絶縁体とからなり、対向配置された1対の同軸状電極を準備し、
    (B) 前記1対の同軸状電極内をプラズマ発生に適した温度及び圧力に保持し、
    (C) 13.5nm近傍に発光ラインを持つプラズマ媒体と、13.5nm近傍に発光ラインを有しかつ前記プラズマ媒体より輻射冷却時間が短い添加物とを前記同軸状電極間に供給しながら、各同軸状電極の中心電極とガイド電極間に極性を反転させた放電電圧を印加して、1対の同軸状電極にそれぞれ面状放電を発生させ、該面状放電により各同軸状電極の対向する中間位置に単一のプラズマを形成し、
    (D) 次いで前記面状放電を1対の同軸状電極間の管状放電に繋ぎ換えて前記プラズマを軸方向に封じ込め、
    (E) プラズマ内において励起されたプラズマ媒体のイオンと励起していない添加物のイオンとの間で共鳴エネルギー移転を生じさせ、プラズマ媒体と添加物の両方から13.5nm近傍のEUV光を発光させる、ことを特徴とするプラズマ光発生方法。
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