JP5552823B2 - ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの製造方法 - Google Patents

ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの製造方法 Download PDF

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本発明は、分子状酸素の存在下、パラジウムを含む触媒を用いてフタル酸ジエステルを酸化カップリングさせてビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル、特に2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルのような非対称ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルを主たる生成物として製造するより経済的な製造方法に関する。
フタル酸ジエステルを、分子状酸素の存在下、パラジウムを含む触媒を用いて酸化カップリングさせて非対称の2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル(以下、a−BPTTと略記することもある)を主たる生成物として製造する製造方法については、既にいくつかの例が知られている。
例えば特許文献1には、分子状酸素の存在下、反応液中に有機パラジウム塩と有機銅塩とを存在させ、フタル酸ジエステルを酸化カップリングさせてa−BPTTを製造する製造方法が開示されている。具体的には、実施例16において、140℃、7時間の反応で、ビスアセチルアセトナートパラジウムキレート塩3.0ミリモルの使用量に対し20.4gのa−BPTTを得ている。ここでa−BPTTの生成に関し[生成物(モル数)/触媒パラジウム(モル数)]で表される触媒回転数(以下、TONと略記することもある)に着目すると、この方法におけるパラジウムのTONは約18と非常に低く、高価な貴金属であるパラジウムを多量に消費するので経済的に不利であるという問題があった。
特許文献2には、分子状酸素の存在下、高温で、パラジウム塩と銅塩とを用い、反応系にβ-ジケトン類を連続的または断続的に補給しながら、フタル酸ジエステルを酸化カップリングさせることを特徴とするa−BPTTの製造方法が開示されている。
ここでは、実施例1で、a−BPTTの生成に係るTONが約129まで改良されたことが開示されているが、高価な貴金属であるパラジウムの利用効率は充分とは云えず、さらに改良の余地があった。
特開昭55−141417号公報 特開昭61−106541号公報
本発明の目的は、分子状酸素の存在下、パラジウムを含む触媒を用いて、フタル酸ジエステルを酸化カップリングさせてビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル、特に2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルのような非対称ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルを主たる生成物として製造する改良されて経済的な製造方法を提供することである。
すなわち、本発明は以下の各項に関する。
(1) 分子状酸素の存在下少なくともパラジウム塩と銅塩とからなる触媒を用い、フタル酸ジエステルを酸化カップリングさせ、主たる生成物として非対称ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルを製造する方法であって、反応混合物を150℃以上200℃未満の温度領域に少なくとも0.5時間以上保持して反応させる工程(工程1)、次いで反応混合物を200℃以上の温度領域に1時間以上保持して反応させる工程(工程2)、を含んで構成されることを特徴とするビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの製造方法。
(2) β―ジカルボニル化合物を、断続的または連続的に反応混合液へ供給することを特徴とする前記(1)に記載のビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの製造方法。
(3) β−ジカルボニル化合物を、反応混合液が130℃以上の温度領域で、反応混合液へ断続的または連続的に供給することを特徴とする前記(2)に記載のビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの製造方法。
(4) β−ジカルボニル化合物が、アセチルアセトン又は2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオンのいずれかであることを特徴とする前記(2)又は(3)に記載のビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの製造方法。
本発明によって、分子状酸素の存在下、パラジウムを含む触媒を用いて、フタル酸ジエステルを酸化カップリングさせてビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル、特に2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルのような非対称ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルを主たる生成物として製造するより経済的な製造方法を提供することができる。
実施例3で使用した反応装置を概略示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いることができる原料のフタル酸ジエステルとしては、フタル酸ジメチルエステル、フタル酸ジエチルエステル、フタル酸ジプロピルエステル、フタル酸ジブチルエステル、フタル酸ジオクチルエステル、フタル酸ジフェニルエステルなどを好適に挙げることができる。これらのフタル酸ジエステルは、フタル酸、フタル酸無水物、フタル酸ハロゲン化物などと、水酸基を有する化合物、例えば低級脂肪族アルコール、芳香族アルコール、フェノール類などとを反応して容易に得ることができる。
本発明で触媒として使用するパラジウム塩としては、例えば塩化パラジウム、臭化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、水酸化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、ピバル酸パラジウム、トリフルオロメタンスルホン酸パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、及びビス(1,1,1−5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトナト)パラジウムなどを具体例として挙げることができる。特に、酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、ピバル酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、水酸化パラジウム、及び硝酸パラジウムは、高い触媒活性を示すので好適である。
パラジウム塩の使用量は、反応原料のフタル酸ジエステル1モルに対して、1×10−5〜1×10−2倍モル、好ましくは5×10−5〜5×10−4倍モル、より好ましくは8×10−5〜3×10−4倍モル、更に好ましくは1×10−4〜2×10−4倍モルである。本規定の範囲より多くパラジウムを使用すると、TON向上効果が十分でなくなることがある。一方、本規定の範囲より少ないパラジウムを使用すると、反応バッチあたりの生成物の収量が低くなり、実用的でなくなることがある。
本発明で触媒として使用する銅塩としては、例えば酢酸銅、プロピオン酸銅、ノルマルブチル酸銅、2−メチルプロピオン酸銅、ピバル酸銅、乳酸銅、酪酸銅、安息香酸銅、トリフルオロ酢酸銅、ビス(アセチルアセトナト)銅、ビス(1,1,1−5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトナト)銅、塩化銅、臭化銅、沃化銅、硝酸銅、亜硝酸銅、硫酸銅、リン酸銅、酸化銅、水酸化銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅、パラトルエンスルホン酸銅、及びシアン化銅等を具体例として挙げることができる。特に、酢酸銅、プロピオン酸銅、ノルマルブチル酸銅、ピバル酸銅、及びビス(アセチルアセトナト)銅は、酸化カップリング反応を促進する効果が高いので好適である。これらの銅塩は、無水物でも水和物でも、好適に用いることができる。
銅塩の使用量は、パラジウム塩に対して、好ましくは1〜10倍モル、より好ましくは3〜8倍モル、更に好ましくは4〜6倍モルである。
本発明で好適に用いられるβ−ジカルボニル化合物は、脂肪族及び芳香族のβ-ジカルボニル化合物のいずれでもあってもよい。具体例としては、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、2,4−ペンタンジオン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ヘキサンジオンなどの1,3−ジケトン類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、3−オキソ吉草酸メチルなどのアシル酢酸エステル類、ベンゾイル酢酸エチルなどのアルコイル酢酸エステル類、マロン酸ジエチル、メルドラム酸などのマロン酸エステル類などを好適に挙げることができる。これらの中でも、好ましくは1,3−ジケトン類である。
本発明の反応は、分子状酸素の存在下で行われる。分子状酸素は、純酸素ガスでもよいが、爆発の危険性を考慮すると、窒素ガスや炭酸ガスなどの不活性ガスで酸素含有量が約5体積%〜50体積%程度まで希釈された酸素含有混合ガス、或いは空気を好適に用いることができる。具体的な供給方法としては、例えば、反応混合液の液面に沿って分子状酸素含有ガスを流通させて気液接触させる方法、反応混合物の上部に設けられたノズルから前記ガスを噴出させて吹き込む方法、反応混合物の底部に設けられたノズルから前記ガスを気泡状で供給しその気泡を反応混合液中に流動させて気液接触させる方法、反応混合液の底部に設けられた多孔板から前記ガスを気泡状で供給する方法、或は導管内に反応混合液を流動させその反応混合液に導管の側部から前記ガスを気泡状に噴出させる方法などを好適に挙げることができる。供給量は種類や供給方法によって異なるが、例えば空気を用いる場合には、反応液1000ミリリットル当たり約1〜20000ミリリットル/分、特に10〜10000ミリリットル/分の供給速度で、反応混合液中に均一に行き渡るように供給することが好ましい。
本発明において、反応溶媒を用いても構わないが、反応原料が反応条件下で液体のときは用いなくても構わない。工業的には実質的に反応溶媒を用いないことが好ましい。反応溶媒を用いる場合は、例えば、エチレングリコールジアセテート、アジピン酸ジメチルなどの有機エステル化合物、n−ブチルメチルケトン、メチルエチルケトン、イソプロピルエチルケトンなどのケトン化合物などを好適に挙げることができる。
本発明の製造方法の第一の特徴は、分子状酸素の存在下少なくともパラジウム塩と銅塩とからなる触媒を用い、フタル酸ジエステルを酸化カップリングさせ、主たる生成物として非対称ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルを製造する方法であって、反応混合物を加熱して酸化カップリング反応を行う際に、工程(1)すなわち反応混合物を150℃以上200℃未満の温度領域に少なくとも0.5時間以上保持して反応させる工程、次いで工程(2)すなわち反応混合物を200℃以上の温度領域に1時間以上保持して反応させる工程、を含んで構成するところにある。すなわち、本発明では、反応混合物を200℃以上の温度領域に1時間以上保持して反応させる主な反応工程である工程(2)の前に、反応混合物を150℃以上200℃未満の温度領域で0.5時間以上保持して反応させる工程(1)を行う。この工程(1)を行うことによって、反応混合液中に、触媒の活性種が十分に生成すると推定できるが、その結果、主な反応工程である工程(2)での反応効率が向上して、反応工程全体として、a−BPTTの生成に係る触媒回転数(TON)を顕著に向上させることができる。
本発明において、反応混合物を150℃以上200℃未満の温度領域に少なくとも0.5時間以上保持して反応させる工程(1)を経ずに直に200℃以上の高温で反応を行ったり、工程(1)の時間が短すぎたり或いは工程(1)の温度が低すぎたりすると、反応混合液中の触媒の活性種が十分に生成しないまま、その前駆体が200℃以上の高温に晒されて分解するなどし、もはや活性種が生成されなくなるため、その後の主な反応工程である工程(2)では、反応効率を高くすることが難しくなる。工程(1)の反応温度領域は、150℃以上200℃未満であるが、より好ましくは150℃〜190℃である。
本発明において、反応混合物を200℃以上の温度領域に1時間以上保持して反応させる工程(2)の反応温度領域は、好ましくは200〜250℃、より好ましくは200〜240℃である。反応温度が低すぎると、活性種の生成が十分であった場合でも反応速度が遅く、反応効率を高くするのが難しい。また反応温度が高すぎると、触媒の失活を招くため好ましくない。
本発明において、反応時間は、工程(1)と工程(2)の条件を満たせば限定はなく適宜決定されればよいが、通常全体の反応時間は1.5〜30時間、好ましくは5〜20時間、より好ましくは5〜10時間程度である。このうち、工程(1)の150℃以上200℃未満の温度領域に保持する時間は、0.5時間以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、反応時間全体の好ましくは7割以下、より好ましくは6割以下、さらに好ましくは4割以下である。150℃以上200℃未満の温度領域に保持する時間が、短すぎると触媒の活性種の生成が十分でなく、その後の工程(2)での反応効率を高めることが難しくなる。150℃以上200℃未満の温度領域に保持する時間は、長時間でも構わないが、反応速度が比較的低い温度領域で反応を長時間行うことは、反応時間全体としての反応効率の低下に繋がりかねない。このため、通常は20時間以下、好ましくは10時間以下、より好ましくは5時間以下である。
ここで、反応時間とは、反応混合物が150℃以上の温度領域にある、実質的に反応が起こっていると思われる時間のことである。150℃未満でも反応しない訳ではないが、反応速度が極めて低いので反応時間には含まない。
本発明において、反応開始後の反応混合液の温度制御の仕方は、工程(1)と工程(2)の条件を満たせば特に限定されない。すなわち、一定温度で一定時間保持した後昇温し、続く反応を一定温度下に保持して行ってもよく、また序々に加熱や冷却を行って、反応混合液の温度を連続的に上昇或いは下降させながら行ってもよい。
本発明を工業的に実施するにあたり、反応方式による制限は受けず、回分式でも連続式でも実施することができる。連続式で反応を行う場合は、複数の反応槽を直列に連結した反応装置を用い、1槽目の温度を工程(1)の温度領域に設定し、2槽目以降の反応槽の温度を1槽目より高くして工程(2)の温度領域に設定するか、多段翼槽型反応装置や管型反応装置を用い、原料混合液の入口側の温度を工程(1)の温度領域に設定し、出口側の温度を入口側よりも高くして工程(2)の温度領域に設定することが、定常運転状態において反応混合液を段階的に加熱する上で好適である。
なお、本発明で用いる反応装置は、加熱機能、攪拌機能、ガスなどの供給や排出機能を備えたものであれば従来公知の反応装置を好適に用いることができるので、特に限定されるものではない。
本発明の製造方法の更なる特徴は、製造中に、好ましくは、β−ジカルボニル化合物を、断続的または連続的に反応混合液へ供給するところにある。
ここで「断続的または連続的」は、所定間隔の供給停止期間を挟んだ断続供給または連続供給を意味する。すなわち、本発明は、分子状酸素の存在下少なくともパラジウム塩と銅塩とβ−ジカルボニル化合物とからなる触媒を用いてフタル酸エステルを酸化カップリングさせるビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの製造方法において、酸化カップリング反応中にその反応混合液に、β−ジカルボニル化合物を供給停止期間が好ましくは30分間未満より好ましくは10分間未満(断続供給)から0分(連続供給)で供給することを特徴とする。
β−ジカルボニル化合物の供給の間隔(供給停止期間)が30分間以上になると、高価な貴金属であるパラジウムの消費量を抑制することが困難になり、[生成物(モル数)/触媒パラジウム(モル数)]で示されるTONが低くなって、より経済的な製造方法を得ることが難しくなることがある。
さらに、β−ジカルボニル化合物は、反応混合液の温度が130℃以上で断続的または連続的に、反応混合液へ供給することが好ましい。反応を開始するために反応混合液を昇温させるが、その際、反応混合液の温度が低い状態で供給を開始すると、β−ジカルボニル化合物が蒸発や分解しないので反応系内に過剰のβ−ジカルボニル化合物が存在しやすくなり、反応の阻害要因となるために好ましくない。特に反応開始時に130℃未満の温度で(仕込みとして)パラジウム塩とともに供給し、その後高温に加熱して反応を開始させることは、触媒の失活を招くことがある。
よって本発明においては、β−ジカルボニル化合物の供給開始温度は、反応混合液の温度が130℃以上、好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上である。
β−ジカルボニル化合物の供給量は、反応時の圧力、反応温度などの影響を勘案し適宜決定する必要があるが、通常は使用するパラジウム塩に対して、1時間あたり0.1〜50倍モル、好ましくは1〜10倍モル、より好ましくは2〜9倍モル、更に好ましくは3〜8倍モルの割合で断続的または連続的に供給することが好適である。
供給に際してのβ−ジカルボニル化合物の状態及び形態は特に限定されない。β-ジカルボニル化合物が液体であればそのまま送液ポンプなどにより断続的または連続的に供給しても良く、β-ジカルボニル化合物を例えば反応原料のフタル酸エステルに溶解した溶液として、送液ポンプなどによって断続的または連続的に反応系へ供給しても良い。
本発明の製造方法において、反応圧力は特に制限はなく、触媒や分子状酸素、β−ジカルボニル化合物が所定の濃度範囲で反応系内に滞留できれば、減圧、常圧、加圧のいずれの条件でも差し支えない。通常は、設備や操作が簡便になるため常圧が好ましい。
次に、本発明の製造方法について実施例などを用いて説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例では、反応原料としてフタル酸ジメチルエステル(以下、DMPと略すこともある)を用いて、酸化カップリング反応の生成物であるビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(以下、BPTTと略記することもある)を製造している。ここで、酸化カップリング反応生成物中の異性体である3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(以下、s−BPTTと略記することもある)と2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(以下、a−BPTTと略記することもある)の生成量の比(以下、S/Aと略記することもある)、及び主たる生成物であるa−BPTTに対する触媒回転数(以下、TONと略記することもある)は、次の計算式に従って算出した。
Figure 0005552823
〔実施例1〕
攪拌機と空気供給用導管とを備えた内容積0.5リットルのSUS製反応器を用い、以下の要領で酸化カップリング反応を行なった。
反応器にフタル酸ジメチルエステル2.40モル、酢酸パラジウム0.36ミリモル、アセチルアセトン銅2.0ミリモルを加えた後、その反応混合液に空気を260ミリリットル/分でバブリングさせ更に400rpmの回転速度で攪拌機を回転させ攪拌しながら、反応混合液を約2℃/分の昇温速度で165℃まで昇温した。165℃到達後3時間後まで165℃の温度で酸化カップリング反応を行った。その後、約1℃/分の昇温速度で反応液を200℃に加熱し、200℃到達後3時間後まで200℃の温度で反応を行った。さらにその後約2℃/分の昇温速度で反応液を235℃に加熱し、235℃到達後1時間後まで235℃の温度で反応を行った。反応時間は約8時間であった。
反応混合液をサンプリングし、10ミリモル濃度のりん酸Na緩衝溶液とアセトニトリルとで希釈し、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと略すこともある)にて各生成物を定量した。
結果を表1に示した。TONは176であった。
〔比較例1〕
攪拌機と空気供給用導管とを備えた内容積0.5リットルのSUS製反応器を用い、以下の要領で酸化カップリング反応を行なった。
反応器にフタル酸ジメチルエステル2.40モル、酢酸パラジウム0.36ミリモル、アセチルアセトン銅2.0ミリモルを加えた後、その反応混合液に空気を260ミリリットル/分でバブリングさせ更に400rpmの回転速度で攪拌機を回転させ攪拌しながら、反応混合液を約2.5℃/分の昇温速度で165℃まで昇温し、165℃の温度で酸化カップリング反応を行った。反応時間は約8時間であった。
反応混合液をサンプリングし、10ミリモル濃度のりん酸Na緩衝溶液とアセトニトリルとで希釈し、高速液体クロマトグラフィーにて各生成物を定量した。
結果を表1に示した。TONは81であった。
〔比較例2〕
酸化カップリング反応を200℃の一定温度で行ったこと、反応時間が約6時間であったこと以外は、比較例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示した。TONは73であった。
〔比較例3〕
酸化カップリング反応を235℃の一定温度で行ったこと以外は、比較例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示した。TONは40であった。
〔比較例4〕
165℃の反応温度を140℃としたこと、200℃での反応時間を3時間から4時間に延長したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。
結果を表1に示した。TONは87であった。
〔実施例2〕
攪拌機と空気供給用導管とを備えた内容積0.5リットルのSUS製反応器を用い、以下の要領で酸化カップリング反応を行なった。
反応器にフタル酸ジメチルエステル2.40モル、酢酸パラジウム0.36ミリモル、アセチルアセトン銅2.0ミリモルを加えた後、その反応混合液に空気を260ミリリットル/分でバブリングさせ更に400rpmの回転速度で攪拌機を回転させ攪拌しながら、反応混合液を約2℃/分の昇温速度で185℃まで昇温した。この時点から、アセチルアセトン(以下、acacHと略すこともある)のDMP溶液(acacH濃度3.0wt%)を約0.1ミリリットル/分で反応混合液に連続的に供給を開始した。185℃到達後2時間後まで185℃の温度で酸化カップリング反応を行い、その後、約1℃/分の昇温速度で反応液を200℃に加熱し、200℃到達後4時間後まで200℃の温度で反応を行った。この時点でアセチルアセトンのDMP溶液のフィードを停止し、その後約2℃/分の昇温速度で反応液を235℃に加熱し、235℃到達後2時間後まで235℃の温度で反応を行った。反応時間は約9時間となった。最終的なアセチルアセトンの供給量は13.2ミリモル、DMPの供給量は0.18モルとなった。
反応混合液をサンプリングし、10ミリモル濃度のりん酸Na緩衝溶液とアセトニトリルとで希釈し、高速液体クロマトグラフィーにて各生成物を定量した。
結果を表1に示した。TONは348であった。
〔比較例5〕
反応のスケールを3/4倍にしたことと、酸化カップリング反応を185℃の一定温度で行ったこと、185℃到達時点から反応終了時までアセチルアセトン30ミリモルをDMP200ミリリットルに溶解した溶液を約0.1ミリリットル/分で反応混合液に連続供給したこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。反応時間は約8.5時間となった。最終的なアセチルアセトンの供給量は7.4ミリモル、DMPの供給量は0.30モルとなった。
結果を表1に示した。TONは281であった。
〔比較例6〕
酸化カップリング反応を200℃の一定温度で行ったこと、200℃到達時点から反応終了時までアセチルアセトンのDMP溶液(acacH濃度3.0wt%)を約0.1ミリリットル/分で反応混合液に連続供給したこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。反応時間は約8.5時間となった。最終的なアセチルアセトンの供給量は17.0ミリモル、DMPの供給量は0.23モルとなった。
結果を表1に示した。TONは137であった。
〔実施例3〕
図1に示すような、原料供給ラインと気相部抜き出しラインと空気供給用ラインと追加添加溶液供給用ラインとを備え、さらに反応区域の液量が一定量に達すると、オーバーフローにより反応液が自重により抜き出されるように、反応器内部の所定の位置に液相部抜き出しラインを設置したガラス製反応器を2つ連結した反応装置を用い、以下の要領でカップリング反応を行なった。尚、第1の反応器の内容積は100ミリリットル、第2の反応器の内容積は50ミリリットルであり、第1の反応器から抜き出された反応混合液は第2の反応器に導入される。
フタル酸ジメチルエステル0.613モル、酢酸パラジウム0.09ミリモル、アセチルアセトン銅0.50ミリモルを第1の反応器に、DMP0.306ミリモル、酢酸パラジウム0.045ミリモル、アセチルアセトン銅0.25ミリモルを第2の反応器に仕込み、回転子により攪拌しながら、100ミリリットル/分の供給速度で空気の流通を開始した後、約2℃/分の速度で185℃に昇温した。185℃で30分間反応させた後、DMP0.613モルに対し、酢酸パラジウム0.09ミリモル、アセチルアセトン銅0.50ミリモル、アセチルアセトン1.6ミリモルからなる原料混合液を第1の反応器に約0.42ミリリットル/分で供給を開始した。同時に、DMP0.0613モルに対し、アセチルアセトン3.0ミリモルからなる添加物混合液を第2の反応器に約0.01ミリリットル/分で供給を開始した。さらに、第2の反応器のみを約1℃/分の速度で185℃から215℃に昇温した。反応混合液の供給とともに、液相部抜き出しラインより反応混合液がオーバーフローにより抜き出され、第1の反応区域の反応混合液量は、常に100ミリリットル、第2の反応区域の反応混合液量は常に50ミリリットルに保たれた。以降、第1の反応器内部の温度を185℃、第2の反応器内部の温度を235℃に保ちながら、原料混合液および添加物混合液の供給を継続し、反応を行った。反応混合液の第1の反応区域への平均滞留時間は約4時間、第2の反応区域への平均滞留時間は約2時間、合計で約6時間となった。
15時間経過後、反応混合液をサンプリングし、10ミリモルりん酸Na緩衝溶液とアセトニトリルで希釈し、高速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略すこともある)にて反応混合液の各成分の濃度を定量した。その結果に基づいて生成物のa−BPTTのTONを算出した。
結果を表2に示した。TONは145であった。
Figure 0005552823
Figure 0005552823
本発明によって、分子状酸素の存在下、パラジウムを含む触媒を用いて、フタル酸ジエステルを酸化カップリングさせてビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル、特に2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルのような非対称ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルを主たる生成物として製造するより経済的な製造方法を提供することができる。
1 :原料供給ライン
2(2−1、2−2): 反応区域
3: 攪拌装置
4:気相部抜き出しライン
5:液相部抜き出しライン
6:空気供給用ライン
7:追加添加溶液供給ライン

Claims (4)

  1. 分子状酸素の存在下少なくともパラジウム塩と銅塩とからなる触媒を用い、フタル酸ジエステルを酸化カップリングさせ、主たる生成物として非対称ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルを製造する方法であって、反応混合物を165℃以上185℃以下の温度領域に少なくとも0.5時間以上保持して反応させる工程(工程1)、次いで反応混合物を200℃以上235℃以下の温度領域に1時間以上保持して反応させる工程(工程2)、を含んで構成されることを特徴とするビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの製造方法。
  2. β―ジカルボニル化合物を、断続的または連続的に反応混合液へ供給することを特徴とする請求項1に記載のビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの製造方法。
  3. β−ジカルボニル化合物を、反応混合液が130℃以上の温度領域で、反応混合液へ断続的または連続的に供給することを特徴とする請求項2に記載のビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの製造方法。
  4. β−ジカルボニル化合物が、アセチルアセトン又は2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオンのいずれかであることを特徴とする請求項2又は3に記載のビフェニルテトラカルボン酸テトラエステルの製造方法。
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