JP5544809B2 - 多層塗工膜の製造方法、多層積層体及び多層塗工膜間の被膜を形成する方法 - Google Patents
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Description
このような方法は、水溶系において有効であり、ゼラチンをバインダーとするハロゲン化乳化剤を同時多層塗布し、その後冷却する方法が知られている。この方法は、ゼラチンのゾル−ゲル変換特性を利用して多層膜をゲル化させて超高粘状態にし、層間の混合を起こりにくくした上で熱風乾燥等により塗膜(塗工膜)を形成するものである。
例えば、増粘剤等の粘度調整成分を添加することにより、接する2層の界面における流動性や、混合の度合いを制御する方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法では、粘度調整用に、一定量の増粘剤が必要であり、これら添加物は、一般に低分子量有機材料であり、多層塗工、積層体形成後に層中、層間を移動し、機械的特性や、層間密着性低下が想定され、用途によっては適用できない場合があった。
多層積層を実現するために通常用いられるゲル化剤や増粘剤は、添加する塗工液組成にもよるが、その効果を得るためには多くの添加量を要することが多く、積層後に、層中、層間を移動して、界面や表面に多く析出して、機械的強度や、層間密着性を低下させるなどの懸念が生じる。また、ゲル化剤や増粘剤は、水系インキ及びアルコール系塗工液向けには、様々な種類の材料が提案されているものの、本発明の目指す有機溶剤系インキ向けとしては、効果的な材料があまり提案されていないのが実状である。
しかしながら、一定量の界面活性剤を添加するため、この方法においても、多層塗工、積層体形成後に層中、層間を移動し、機械的特性や、層間密着性低下が想定され、用途によっては適用できない場合があった。
他にも、2種以上の非水系塗布液の少なくとも1種に電子線硬化性化合物を含有させ、同時多層塗布後、電子線を照射して塗布層を硬化あるいは増粘させ、乾燥することで多層塗工膜を得る方法が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、この方法では、塗布工程の後、塗布液が拡散混合しないうちに、電子線照射工程を行う必要があり、操作が煩雑であるとともに、おおがかりな装置が必要となるという問題点がある。
さらに、各層が反応性基を有しており、接する各層を反応させて共有結合を形成することによる多層塗装膜の製造方法が提案されている(特許文献4参照)。
本発明は、このような状況下になされたものであり、粘度を調整して積層させるゲル化剤等を多量に用いることなく、複数の塗工液を一括で塗布することにより、層間密着性の良好な多層塗工膜を、簡便かつ生産性良く製造する方法、該方法により得られる多層塗工膜からなる多層積層体、及び前記多層塗工膜間の被膜を形成する方法を提供することを目的とする。
[1]複数の有機溶剤系の塗工液を予め多層化し、多層化した塗工液を基材上に転移させる工程を有する多層塗工膜の製造方法において、多層化する前の2つの塗工液に、接した際に錯体形成反応を起こして前記塗工液中の有機溶剤に不溶又は難溶の成膜性化合物を形成する2つの成分が予め分かれて含有されており、複数の有機溶剤系の塗工液を多層化する際に前記2つの塗工液が接した界面で被膜を形成させることを特徴とする、多層塗工膜の製造方法。
[2]前記成膜性化合物を形成する2つの成分が、金属イオン成分と配位子である、請求項1に記載の多層塗工膜の製造方法。
[3]前記金属イオン成分が、2価もしくは3価の金属イオン又は該金属イオンから形成される金属化合物である、請求項2に記載の多層塗工膜の製造方法。
[4]前記配位子が、含窒素配位子、酸配位子、シアノ配位子及びイソニトリル配位子からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項2又は3に記載の多層塗工膜の製造方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法により得られる多層塗工膜からなる多層積層体。
[6]光学フィルム用である、上記[5]に記載の多層積層体。
[7]複数の有機溶剤系の塗工液を予め多層化し、多層化した塗工液を基材上に転移させて多層塗工膜を形成するに際して、多層化する前の2つの塗工液に、接した際に錯体形成反応を起こして前記塗工液中の有機溶剤に不溶又は難溶の成膜性化合物を形成する2つの成分が予め分かれて含有されており、複数の有機溶剤系の塗工液を多層化する際に前記2つの塗工液を接触させることにより、接した界面で被膜を形成する方法。
本発明の多層塗工膜の製造方法は、塗工液A(上層塗工液)及び塗工液B(下層塗工液)を予め多層化し、多層化した塗工液を、基材上に転移させて多層塗工膜を製造する工程を含む。
複数の上層塗工液A及び下層塗工液Bを予め多層化する方法に特に制限は無いが、例えば(1)傾斜したスライド面上にて多層化させる方法、(2)水平な平面状にて多層化させる方法、(3)円形シリンダー上にて多層化させる方法、(4)傾斜した放物面上にて多層化させる方法等が挙げられる。これらの中でも、通常、方法(1)が好ましく利用される。
本発明は、多層化する前の2つの塗工液に、接した際に錯体形成反応を起こして前記塗工液中の有機溶剤に不溶又は難溶の成膜性化合物を形成する2つの成分が予め分かれて含有されており、複数の有機溶剤系の塗工液を多層化する際に前記2つの塗工液が接した界面で被膜を形成させることにより、上層塗工液と下層塗工液の拡散混合が生じず、多層を維持したまま、基材に転移させることができるものであり、特にゲル化剤等を用いる必要性が無い。
本発明で製造される多層塗工膜における各層を形成する主成分(塗工膜形成成分)としては、塗工液に用いられる溶剤に溶解し、かつ被膜形成性を有する樹脂であれば、特に制限は無く、例えばポリエステル系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、変性アクリル系樹脂、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは数万〜数百万であり、より好ましくは3万〜50万である。
また、本発明においては、活性エネルギー線硬化型化合物も用いることができる。
活性エネルギー線硬化型化合物は、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することにより、架橋、硬化する化合物である。この活性エネルギー線硬化型化合物としては、以下の活性エネルギー線硬化型オリゴマー及び/又は活性エネルギー線硬化型モノマーを用いることができる。
ここで、ポリエステルアクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシアクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量(例えば5000未満)のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応させてエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシアクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシアクリレートオリゴマーも用いることができる。
ウレタンアクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアナートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができ、ポリオールアクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
上記活性エネルギー線硬化型オリゴマーの重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法で測定した標準ポリスチレン換算の値で、好ましくは500〜100,000、より好ましくは1,000〜70,000、さらに好ましくは3,000〜40,000の範囲である。
このオリゴマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤を使用する場合、その使用量は、用いる活性エネルギー線硬化型化合物の種類に応じて適宜選定すればよいが、通常、活性エネルギー線硬化型化合物に対して0.001〜0.5倍質量の範囲で使用するのが好ましい。
なお、塗工液中の塗工膜形成成分の含有量は、通常、塗工液全体に対して、好ましくは15〜70質量%、より好ましくは20〜60質量%、さらに好ましくは30〜60質量%である。
塗工液に用いる有機溶剤としては、塗工膜のコーティングに通常用いられる有機溶剤を用いればよい。該有機溶剤としては、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族系有機溶剤;トルエン、キシレン、ブロモベンゼン等の芳香族系有機溶剤;塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤;エチルセロソルブ等のセロソルブ系有機溶剤等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
塗工液中の有機溶剤の含有量は、塗工液が塗工可能な粘度となり、かつ均一な塗工液となる量であれば特に制限は無く、その観点から、塗工膜形成成分100質量部に対して、好ましくは50〜200質量部、より好ましくは60〜170質量部、さらに好ましくは70〜150質量部である。
上記有機溶剤に不溶又は難溶の成膜性化合物を形成する2つの成分を、それぞれ1つずつ上層塗工液と下層塗工液に含有させておくことにより、上層塗工液と下層塗工液が接触すると、両成分が瞬時に反応して錯体を形成して析出してくるため、上層塗工液と下層塗工液との間に界面が形成される。ここで、上記有機溶剤に「不溶又は難溶」の成膜性化合物とは、2つの成分が反応して形成される錯体が塗工液から「析出」するような化合物のことを言う。上層塗工液と下層塗工液が接触してから界面が形成されるまでの時間は、通常、30秒以内であり、より早い場合には10秒以内、さらに早い場合には1秒以内である。
金属イオン成分としては、特に限定されるものではないが、2価の金属イオンや3価の金属イオン又はそれらから形成される金属化合物が好ましい。2価の金属イオンとしては、例えば光学フィルム用途等において悪影響を及ぼさない、鉄(II)イオン、銅(II)イオン、亜鉛(II)イオン、コバルト(II)イオン等が好ましい。3価の金属イオンとしては、上記同様の理由で、例えばアルミニウム(III)イオン、ニッケル(III)イオン等が好ましい。また、これら金属イオンから形成される金属化合物としては、例えば上記金属イオンと、アセチルアセトナート配位子、ハロゲン配位子等の弱配位性かつ高揮発性である配位子とから形成される金属化合物が挙げられ、前記有機溶剤への溶解性の観点及び塗工膜に残存した場合の光学フィルム用途等における悪影響の低さの観点から、上記金属イオンとアセチルアセトナート配位子から形成される金属化合物が好ましい。ここで、該高揮発性の配位子とは、後述する塗工膜の加熱・乾燥時に容易に揮発して塗工膜から無くなる配位子を言う。
これらの中でも、金属イオン成分としては、銅(II)イオン、銅(II)アセチルアセトナート、アルミニウム(III)イオン、アルミニウム(III)アセチルアセトナートが好ましい。
当該塗工液には、さらに各種添加剤を含有させてもよい。該添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤等が挙げられる。
前記塗工液を塗布する基材に特に制限はなく、多層塗工膜を有する部材の用途によって適宜選択することができる。特に本発明に係る多層塗工膜を光学用部材に用いる場合、光学用フィルムの基材として、公知のプラスチックフィルムの中から適宜選択して用いることができる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等を挙げることができる。
これらの基材の厚さに特に制限はなく、状況に応じて適宜選定されるが、通常、15〜250μm、好ましくは30〜200μmの範囲である。また、この基材は、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法等により表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理法は基材の種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から、好ましく用いられる。
多層化する際に傾斜したスライド面を利用する場合、塗工液を流動させるための、傾斜したスライド面を有するものとしては、例えば図1に示すようなスライドコーターが好ましく挙げられる。
スライド面の傾斜角度は、水平方向に対して5〜40度が好ましく、10〜35度がより好ましく、15〜35度がさらに好ましい。また、スライド面上への塗工液の吐出口の中心と、隣り合う塗工液の吐出口の中心との距離は、8〜30cmが好ましく、10〜28cmがより好ましく、12〜26cmがさらに好ましい。さらに、複数のスライド面上への塗工液の吐出口の内、塗工液を基材へ転移する部位に最も近い吐出口の中心と、基材との距離は、2〜14cmが好ましく、3〜12cmがより好ましく、4〜11cmがさらに好ましい。特に、このように設計されたスライドコーターを使用した場合に、本発明の効果が顕著に現れる傾向にある。
以下に、図1のスライドコーターを参照して、塗工液を多層化する方法の一例を詳細に説明する。
塗布ヘッド1における2つのスリット状の吐出口から、それぞれ塗工液A及びBを押し出し、傾斜したスライド面2上を重力の作用により自然流下させ、塗工液A及びBを多層化する。多層化した塗工液(塗工膜)は、ロール3によって走行する基材4上に転移させる。
塗工液中の塗工膜形成成分が、前述した熱可塑性樹脂である場合、前記のようにして基材上に多層塗工膜を形成した後、適宜加熱乾燥させることにより、多層積層体を形成することができる。加熱乾燥温度は、通常40〜150℃、好ましくは50〜120℃、より好ましくは60〜90℃である。加熱乾燥の時間に特に制限は無いが、通常、1〜5分間程度が好ましい。
一方、塗工液中の塗工膜形成成分が、前述した活性エネルギー線硬化型化合物である場合には、前記のようにして基材上に多層塗工膜を形成した後、加熱乾燥させ、活性エネルギー線を照射して硬化処理を行い(但し、加熱乾燥と硬化処理の順序は逆でもよい。)、多層積層体を形成する。活性エネルギー線としては、例えば紫外線や電子線等が挙げられる。上記紫外線は、高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ等で得られる。一方、電子線は、電子線加速器等によって得られる。この活性エネルギー線の中では、特に紫外線が好適である。なお、電子線を使用する場合は、光重合開始剤を添加することなく、硬化膜を得ることができる。
活性エネルギー線が紫外線の場合、その光量は、50〜200mJ/cm2程度が好ましい。
このようにして形成された多層塗工膜の厚さは、通常、好ましくは0.1〜10μm程度、より好ましくは1〜5μmであり、各塗工液からなる層が分離している。
なお、塗工膜中の層分離構造の有無は、例えばスラブ型光導波路分光法を利用した界面紫外可視分光測定装置を用いて確認することができる。また、断面の走査型電子顕微鏡(SEM)や光学顕微鏡によっても確認することができる。
ポリメチルメタクリレート(関東化学株式会社製)45g、銅(II)アセチルアセトナート(関東化学株式会社製)3g及びメチルイソブチルケトン(関東化学株式会社製)65gを混合し、透明なアクリル樹脂系の塗工液(以下、塗工液1と称する。)を得た。
ポリカーボネート(三菱化学株式会社製)50g、ベンゾトリアゾール(関東化学株式会社製)1g及びトルエン(関東化学株式会社製)45gを混合し、透明なポリカーボネート系の塗工液(以下、塗工液2と称する。)を得た。
ポリカーボネート(三菱化学株式会社製)50g及びトルエン(関東化学株式会社製)45gを混合し、透明なポリカーボネート系の塗工液(以下、塗工液3と称する。)を得た。
ポリスチレン(関東化学株式会社製)39g、銅(II)アセチルアセトナート(関東化学株式会社製)3g及び酢酸エチル(関東化学株式会社製)28gを混合し、透明なポリスチレン系塗工液(以下、塗工液4と称する。)を得た。
製造例1において、銅(II)アセチルアセトナートをアルミニウム(III)アセチルアセトナート(Acros Organics社製)に代えたこと以外は同様にして製造を行い、透明なアクリル樹脂系の塗工液(以下、塗工液5と称する。)を得た。
製造例2において、ベンゾトリアゾールをリン酸(関東化学株式会社製)に代えたこと以外は同様にして製造を行い、透明なポリカーボネート系の塗工液(以下、塗工液6と称する。)を得た。
製造例4において、銅(II)アセチルアセトナートをアルミニウム(III)アセチルアセトナート(Acros Organics社製)に代えたこと以外は同様にして製造を行い、透明なポリスチレン系の塗工液(以下、塗工液7と称する。)を得た。
上層塗工液として製造例1で得た塗工液1を用い、下層塗工液として製造例2で得た塗工液2を用い、図1に示す装置(スライド面の傾斜角度;水平方向に対して25度、隣り合う吐出口の距離;8cm、塗工液を基材へ転位する部位に最も近い吐出口の中心と基材との距離;10cm)を用いて、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム「コスモシャインA4100」(東洋紡績株式会社製)上に塗工した。
各塗工液が接した直後の塗膜の断面を、目視で観察したところ、上層塗工液と下層塗工液が接した界面全体に被膜が形成されていた。その結果、塗工後には、上層塗工液と下層塗工液が混合することなく、良好な多層塗工膜が形成された。
実施例1において、塗工液1の代わりに製造例5で得た塗工液5を、塗工液2の代わりに製造例6で得た塗工液6を用いたこと以外は同様に実験を行った。各塗工液が接した直後の塗膜の断面を、目視で観察したところ、上層塗工液と下層塗工液が接した界面全体に被膜が形成されていた。その結果、塗工後には、上層塗工液と下層塗工液が混合することなく、良好な多層塗工膜が形成された。
上層塗工液として製造例1で得た塗工液1を用い、下層塗工液として製造例4で得た塗工液4を用い、また、中間層塗工液として製造例2で得た塗工液2を用い、図1に示すような装置(但し、スリット状の吐出口が3つの装置を用いた。スライド面の傾斜角度;水平方向に対して25度、隣り合う吐出口の距離;8cm、塗工液を基材へ転位する部位に最も近い吐出口の中心と基材との距離;10cm。)を用いて、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム「コスモシャインA4100」(東洋紡績株式会社製)上に塗工した。
各塗工液が接した直後の塗膜の断面を、目視で観察したところ、上層塗工液と中間層塗工液が接した界面全体及び中間層塗工液と下層塗工液が接した界面全体に被膜が形成されていた。その結果、塗工後には、上層塗工液と中間層塗工液及び中間層塗工液と下層塗工液が混合することなく、良好な多層塗工膜が形成された。
実施例3において、塗工液1の代わりに製造例5で得た塗工液5を、塗工液4の代わりに製造例7で得た塗工液7を、塗工液2の代わりに製造例6で得た塗工液6を用いたこと以外は同様に実験を行った。各塗工液が接した直後の塗膜の断面を、目視で観察したところ、上層塗工液と中間層塗工液が接した界面全体及び中間層塗工液と下層塗工液が接した界面全体に被膜が形成されていた。その結果、塗工後には、上層塗工液と中間層塗工液及び中間層塗工液と下層塗工液が混合することなく、良好な多層塗工膜が形成された。
実施例1において、塗工液2の代わりに製造例3で得た塗工液3を用いたこと以外は同様に実験を行った。各塗工液が接した直後の塗膜の断面を、目視で観察したところ、上層塗工液と下層塗工液の界面には被膜の形成を確認することができなかった。その結果、上層塗工液と下層塗工液が混合した。
実施例1において、塗工液1の代わりに製造例5で得た塗工液5を、塗工液2の代わりに製造例3で得た塗工液3を用いたこと以外は同様に実験を行った。各塗工液が接した直後の塗膜の断面を、目視で観察したところ、上層塗工液と下層塗工液の界面には被膜の形成を確認することができなかった。その結果、上層塗工液と下層塗工液が混合した。
2:スライド面
3:ロール
4:基材
A:上層塗工液
B:下層塗工液
Claims (7)
- 複数の有機溶剤系の塗工液を予め多層化し、多層化した塗工液を基材上に転移させる工程を有する多層塗工膜の製造方法において、多層化する前の2つの塗工液に、接した際に金属錯体形成反応を起こして前記塗工液中の有機溶剤に不溶又は難溶の成膜性化合物を形成する2つの成分が予め分かれて含有されており、該2つの成分が金属イオン成分と配位子とであり、該配位子は含窒素配位子、酸配位子、シアノ配位子及びイソニトリル配位子からなる群から選択される少なくとも1種であり、複数の有機溶剤系の塗工液を多層化する際に前記2つの塗工液が接した界面で被膜を形成させることを特徴とする、多層塗工膜の製造方法。
- 前記金属イオン成分が、2価もしくは3価の金属イオン又は該金属イオンから形成される金属化合物である、請求項1に記載の多層塗工膜の製造方法。
- 金属イオン成分を含有する塗工液中の該金属イオン成分の含有量が0.8〜20質量%である、請求項1又は2に記載の多層塗工膜の製造方法。
- 配位子を含有する塗工液中の該配位子の含有量が0.3〜10質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の多層塗工膜の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られる多層塗工膜からなる多層積層体。
- 光学フィルム用である、請求項5に記載の多層積層体。
- 複数の有機溶剤系の塗工液を予め多層化し、多層化した塗工液を基材上に転移させて多層塗工膜を形成するに際して、多層化する前の2つの塗工液に、接した際に金属錯体形成反応を起こして前記塗工液中の有機溶剤に不溶又は難溶の成膜性化合物を形成する2つの成分が予め分かれて含有されており、該2つの成分が金属イオン成分と配位子とであり、該配位子は含窒素配位子、酸配位子、シアノ配位子及びイソニトリル配位子からなる群から選択される少なくとも1種であり、複数の有機溶剤系の塗工液を多層化する際に前記2つの塗工液を接触させることにより、接した界面で被膜を形成する方法。
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