JP5544596B2 - 光学活性な環状エーテル化合物の製法及びそれに用いる触媒 - Google Patents

光学活性な環状エーテル化合物の製法及びそれに用いる触媒 Download PDF

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Description

本発明は、光学活性な環状エーテル化合物の製法及びそれに用いる触媒に関する。
2,3−ジヒドロベンゾフラン化合物は、数多くの生理活性化合物の基本骨格となっている。こうした2,3−ジヒドロベンゾフラン化合物の不斉合成について、既に多数報告されている。例えば、非特許文献1には、ip-boxaxというビナフチル誘導体をキラルリガンドとし、Pd触媒による4置換オレフィンのワッカー(Wacker)型酸化的環化反応を行い、非常に高いエナンチオ選択率で2,3−ジヒドロベンゾフラン化合物を合成した例が報告されている。また、非特許文献2には、シャープレス(Sharpless)の不斉エポキシ化反応を鍵反応として、多段階ではあるが、2,3−ジヒドロベンゾフランを高エナンチオ選択的に合成した例が報告されている。
J. Am. Chem. Soc., 1997, vol.119, p5063 Synthesis, 2009, p1886
しかしながら、これまでのところ、2,3−ジヒドロベンゾフランの酸素に隣接する2位の不斉炭素にカルボニル炭素が結合した化合物を高いエナンチオ選択率で合成する例は知られていない。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、2,3−ジヒドロベンゾフランやクロマンなどの環状エーテルの酸素に隣接する2位の不斉炭素にカルボニル炭素が結合した化合物を高エナンチオ選択的に合成することを主目的とする。
本発明者らは、既に、触媒量のテトラブチルアンモニウムヨージドを使用することによって、安価で安全な過酸化水素を用いてケトカルボン酸のオキシラクトン化に成功している(日本化学会第89春季年会、2009年、講演予稿集、3G3−13)。このオキシラクトン化法をケトフェノール(2位に−(CH22C(=O)Phを有するフェノール)に適用したところ、2,3−ジヒドロベンゾフランの酸素に隣接する2位の不斉炭素にカルボニル炭素が結合した化合物が高収率で得られた。この反応において、アキラルな触媒であるテトラブチルアンモニウムヨージドの代わりに、ヨージドのカウンターカチオンをキラルにすれば、不斉酸化反応が可能になると考えた。そして、前出のケトフェノールを基質とし、様々なC2軸不斉四級アンモニウムヨージドを触媒として酸化的環化反応を行ったが、鏡像体過剰率は40%ee程度までしか向上しなかった。そこで、今度は、様々な基質の酸化的環化反応を試みた。そうしたところ、前出のケトフェノールのカルボニル炭素に結合した基を、フェニル基から1−フェニルイミダゾ−2−イル基に変えたときに、鏡像体過剰率が向上することを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の環状エーテル化合物の製造方法は、N−スピロC2軸不斉四級アンモニウムヨージド又はP−スピロC2軸不斉四級ホスホニウムヨージドを触媒として、下記式(1)で表されるケトフェノール化合物とヒドロペルオキシドとを反応させることにより、前記ケトフェノール化合物に対応する下記式(2)で表されるジヒドロベンゾフラン骨格又はクロマン骨格を有する光学活性な環状エーテル化合物を製造するものである。
Figure 0005544596
(式(1)中、R1,R2,R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルコキシ若しくはハロゲンであるか又は隣接するいずれか2つが1〜5個の炭素を介して結合して環を形成しており、nは1又は2であり、Zは1−アリール−ピラゾ−2−イル、1−アリール−イミダゾ−2−イル、2−アリール−1,2,4−トリアゾ−3−イル、1−アリール−テトラゾ−−イル又はこれらとアリール環との縮合環である)
Figure 0005544596
(式(2)中、R1,R2,R3,R4,n及びZは式(1)と同じ)
また、本発明の触媒は、ケトフェノール化合物とヒドロペルオキシドから、前記ケトフェノール化合物に対応するジヒドロベンゾフラン骨格又はクロマン骨格を有する光学活性な環状エーテル化合物を合成する反応を促進する触媒であって、下記式(3)〜(8)のいずれかであって各式に示す不斉構造の塩又はこれと鏡像関係にある不斉構造の塩である。
Figure 0005544596
(式(3)〜(8)中、Qは窒素原子又はリン原子であり、R5は水素原子、フェニル基、アルキル基を有するフェニル基、ペルフルオロアルキル基を有するフェニル基、アルコキシ基を有するフェニル基又はアリール基を有するフェニル基である)
本発明の環状エーテル化合物の製造方法によれば、反応基質であるケトフェノール化合物を酸化的に環化して、そのケトフェノール化合物に対応するジヒドロベンゾフラン骨格又はクロマン骨格を有する光学活性な環状エーテル化合物を高い鏡像体過剰率で製造することができる。この反応は次のように進行すると考えられる。すなわち、まず、N−スピロC2軸不斉四級アンモニウムヨージド又はP−スピロC2軸不斉四級ホスホニウムヨージドとヒドロペルオキシドとが反応することにより超原子価ヨウ素(I−O-やO=I−O-等)のオニウム塩とヒドロペルオキシドの還元体とが生成する。次に、生成した超原子価ヨウ素のオニウム塩と上記式(1)のケトフェノール化合物とが反応することにより、上記式(2)のジヒドロベンゾフラン骨格又はクロマン骨格を有する光学活性な環状エーテル化合物と元のオニウムヨージドが生成する。このようにオニウムヨージドは、ヒドロペルオキシドにより酸化されて超原子価ヨウ素のオニウム塩となり、その超原子価ヨウ素のオニウム塩がケトフェノール化合物を酸化的に環化して再び元のオニウムヨージドに戻るため、触媒として機能する。
本発明の環状エーテル化合物の製造方法では、反応基質として、上記式(1)で表されるケトフェノール化合物を使用する。また、反応生成物として、上記式(2)で表される光学活性な環状エーテル化合物が得られる。
式(1),(2)のR1,R2,R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル、アルコキシ若しくはハロゲン原子であるか又は隣接するいずれか2つが1〜5個の炭素原子を介して結合して環を形成している。アルキルとしては、特に限定するものではないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの分岐を有していてもよい炭素数1〜4のアルキルが挙げられる。アルコキシとしては、特に限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどの分岐を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシが挙げられる。ハロゲン原子としては、特に限定するものではないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。R1,R2,R3及びR4のうち隣接するいずれか2つが1〜5個の炭素原子を介して結合して環を形成しているとは、例えば、R3とR4が水素原子でありR1とR2が−CH=CH2−CH=CH2−を介して結合している場合には、ケトナフトール化合物となる。また、結合部位の構造を適宜選択することによりケトフェナントロール化合物やケトアントロール化合物になる。
式(1),(2)のnが1の場合、得られる環状エーテル化合物は2,3−ジヒドロベンゾフラン骨格を有するものとなり、nが2の場合、得られる環状エーテル化合物はクロマン骨格を有するものとなる。
式(1),(2)のZは、1−アリール−ピラゾ−2−イル、1−アリール−イミダゾ−2−イル、2−アリール−1,2,4−トリアゾ−3−イル、1−アリール−テトラゾ−−イル又はこれらとアリール環との縮合環である。このうち、1−アリール−イミダゾ−2−イル、2−アリール−1,2,4−トリアゾ−3−イル、1−アリール−テトラゾ−−イル又はこれらとアリール環との縮合環であるが好ましい。これらは、脱保護が容易な補助基であるため、得られた環状エーテル化合物をエステル、アミド、アルデヒド、3級アルコールなどへ変換することが可能だからである。ここで、アリールとしては、特に限定するものではないが、フェニル、アルキルを有するフェニル、ペルフルオロアルキルを有するフェニル、アルコキシを有するフェニル、ハロゲン原子を有するフェニル、ナフチル、アルキルを有するナフチル、ペルフルオロアルキルを有するナフチル、アルコキシを有するナフチル、ハロゲン原子を有するナフチルなどが挙げられる。ここで、アルキルとしては、特に限定するものではないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの分岐を有していてもよい炭素数1〜4のアルキルが挙げられる。ペルフルオロアルキルとしては、特に限定するものではないが、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどが挙げられる。アルコキシとしては、特に限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどの分岐を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシが挙げられる。ハロゲン原子としては、特に限定するものではないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。また、アリール環としては、特に限定するものではないが、ベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。
本発明の環状エーテル化合物の製造方法では、触媒として、式(3)〜(8)のN−スピロC2軸不斉四級アンモニウムヨージド又はP−スピロC2軸不斉四級ホスホニウムヨージドを使用する。なお、この環状エーテル化反応は、超原子価ヨウ素(I−O-やO=I−O-等)による酸化的環化エーテル化であることから、クロリドやブロミドなどは今回の触媒から除外される。
式(3)〜(8)のR5は、フェニル、アルキルを有するフェニル、ペルフルオロアルキルを有するフェニル、アルコキシを有するフェニル又はアリールを有するフェニルである。ここで、アルキルとしては、特に限定するものではないが、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの分岐を有していてもよい炭素数1〜4のアルキルが挙げられる。ペルフルオロアルキルとしては、特に限定するものではないが、例えば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどが挙げられる。アルコキシとしては、特に限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシなどの分岐を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシが挙げられる。アリールとしては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル、ナフチルなどのほか、ペルフルオロアルキルを有するフェニルなどが挙げられる。こうしたR5の好ましい例を以下に例示する。R5を式(9)又は(10)とした場合、環状エーテル化合物の鏡像体過剰率が高くなるため好ましい。
Figure 0005544596
こうした触媒は、反応基質に対して0.5〜50mol%使用するのが好ましく、1〜10mol%使用するのがより好ましい。0.5mol%未満だと環状エーテル化反応の進行が遅く反応時間が長時間になるため好ましくない。また、50mol%を超えても収率や鏡像体過剰率が大きく向上することはないため経済的見地から好ましくない。
本発明の環状エーテル化合物の製造方法では、酸化剤としてヒドロペルオキシドを用いる。ヒドロペルオキシドとしては、特に限定するものではないが、例えば過酸化水素水、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどが挙げられるが、このうち過酸化水素水が好ましい。過酸化水素水は、環状エーテル化反応の進行に伴って水に変換されるため、環境負荷が少ないからである。こうした酸化剤は、反応基質に対してモル比で1〜10倍用いるのが好ましく、1.5〜3倍用いるのがより好ましい。下限値未満だと、反応が終結しないことがあるため好ましくなく、上限値を超えても化学収率が大きく向上しないため経済的見地から好ましくない。
本発明の環状エーテル化合物の製造方法では、反応溶媒として、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン置換炭化水素系溶媒又はこれらと水との混合溶媒を用いることが好ましい。ここで、炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタンなどが挙げられる。エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸メチルなどが挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、THF、ジオキサンなどが挙げられる。ハロゲン置換炭化水素系溶媒としては、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどが挙げられる。また、これらの有機溶媒と水との混合溶媒を用いてもよい。こうすれば、有機溶媒のみの場合と比べてエナンチオ選択性が向上するからである。こうした反応溶媒の使用量は、特に限定するものではないが、例えば、溶媒中の反応基質の濃度が0.01〜0.1mol/Lとなるように設定するのが好ましい。
本発明の環状エーテル化合物の製造方法では、反応温度は、特に限定するものではないが、−20〜50℃が好ましく、0〜40℃がより好ましい。−20℃未満だと、環状エーテル化の反応速度が遅くなるため好ましくなく、50℃を超えると反応速度は向上するもののエナンチオ選択性が低下するおそれがあるため好ましくない。また、反応系の雰囲気は、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性雰囲気とする必要はなく、大気雰囲気でも支障なく反応が進行する。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下の実施例においては1H NMRスペクトルをJEOL ECS-400(400MHz)スペクトロメータで、13C NMRスペクトルをJEOL ECS-400(100MHz)スペクトロメータで測定した。反応生成物の光学純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を、4.6 mm×25cm Daicel CHIRALCEL OD-HまたはAD-Hを用いて、Shimadzu LC-10 装置で測定した。反応の進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)で、Merck precoated TLCプレート(シリカゲル60 GF254, 0.25mm)を用いてモニタリングした。
[実施例1]
N−スピロC2軸不斉四級アンモニウムヨージドである触媒A(表1参照)は、 先行技術文献(J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 5139. , J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 9685.)に記載された方法を参考にして合成した。触媒Aのスペクトルデータは以下の通り。
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 3.64(d, J=13.8Hz, 2H), 4.54(d, J=13.8Hz, 2H), 4.63(d, J=13.8Hz, 2H), 4.79(d, J=13.8Hz, 2H), 6.25(d, J=8.7Hz, 2H), 7.00・8.00(m, 4H), 7.09(d, J=8.7Hz, 2H), 7.17・7.26(m, 4H), 7.41(t, J=7.6Hz, 2H), 7.52(t, J=7.3Hz, 2H), 7.70(t, J=7.3Hz, 2H), 7.84(d, J=8.2Hz, 2H), 8.00・8.40(m, 2H), 8.17(d, J=8.2Hz, 2H), 8.31(s, 2H), 8.39(s, 2H); 19F NMR(CDCl3, 376MHz) δ -62.3.
反応基質として使用したケトフェノール化合物(3−(2−ヒドロキシフェニル)−1−(1−フェニル−1H−イミダゾリー2−イル)プロパン−1−オン)は、以下のようにして調製した。すなわち、3,4−ジヒドロクマリン(5.0mmol)をTHF(25mL)に溶かして、−78℃に冷やした。そして、不活性ガス雰囲気下で2−リチオ−1−フェニル−1H−イミダゾール(5.0mmol)をゆっくり滴下した。反応液を−78℃で2時間撹拌した後、室温でゆっくり昇温させながら7時間撹拌した。これにより、3,4−ジヒドロクマリンの環状エステル部位のC−O結合が開環して、前出のケトフェノール化合物が生成した。なお、2−リチオ−1−フェニル−1H−イミダゾールは、予め1−フェニル−1H−イミダゾールをブチルリチウムで処理することにより調製した。開環反応終了後、反応混合液にNH4Cl飽和水(10mL)をゆっくり入れた。水層を2回酢酸エチルで抽出し、有機層を塩水で洗って、無水Na2SO4で乾燥させたあと、溶媒はエバボレータ−で除いた。得られた混合物はシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物を分離した。得られたケトフェノール化合物のスペクトルデータは以下の通り。
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 3.05(t, J=7.6Hz, 2H), 3.29(t, J=7.6Hz, 2H), 6.81(td, J=1.4, 7.6Hz, 1H), 6.93(d, J=8.2Hz, 1H), 7.08・7.16(m, 2H), 7.20(d, J=0.9Hz, 1H), 7.28・7.31(m, 2H), 7.34(d, J=0.9Hz, 1H), 7.45・7.51(m, 3H); 13C NMR(CDCl3, 100MHz) δ 27.5, 41.7, 117.0, 120.0, 126.0(2C), 126.8, 127.2, 128.2, 129.2(3C), 129.4, 130.3, 137.9, 141.7, 155.4, 190.8.
前出のケトフェノール化合物(29.2mg,0.1mmol)と触媒A(9.5mg,0.01mmol)をトルエン(5.0mL)と水(1.0mL)に溶かし、30%過酸化水素水(21μL,0.2mmol)を室温で入れた。反応はTLCでモニタリングした。反応終了後、水(5.0mL)で反応液を希釈して、水層を酢酸エチルで2回抽出した。有機層をNa223水溶液と塩水で洗って、無水Na2SO4で乾燥させた。溶媒をエバポレーターで除いた後、ショートシリカゲルを通して生成物((−)−2,3−ジヒドロベンゾフラン−2−イル)(1−フェニル−1H−イミダゾリ−2−イル)メタノン)を得た(28mg,収率99%,鏡像体過剰率76%ee)。この生成物のスペクトルデータは以下の通り。
1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 3.41(dd, J=6.9, 16.0Hz, 1H), 3.76(dd, J=11.0, 16.0Hz, 1H), 6.31(dd, J=6.9, 11.0Hz, 1H), 6.80・6.88(m, 2H), 7.08・7.15(m, 2H),, 7.27(s, 1H), 7.28・7.31(m, 2H), 7.36(s, 1H), 7.43(t, J=3.4Hz, 3H); 13C NMR(CDCl3, 100MHz) δ 34.0, 82.0, 109.8, 121.0, 124.8, 125.2, 126.0(2C), 127.8, 128.4, 129.1(2C), 129.2, 130.6, 137.8, 140.8, 159.7, 186.1; HPLC(AD・H column) Hexane・EtOH=4:1 as eluent, 1 mL/min, tR=17 min, tS=31 min.
[実施例2,比較例1−2]
表1に示す反応基質(ケトフェノール化合物)を用いて酸化的環化反応を行った。その結果を表1に併せて示す。実施例1と比較例1の結果から明らかなように、酸化的環化反応で5員環エーテルである2,3−ジヒドロベンゾフラン誘導体を製造する際、Zがフェニルの場合には鏡像体過剰率が低かったが、Zがイミダゾリ−2−イル基の場合には鏡像体過剰率が76%eeまで向上した。また、実施例2と比較例2の結果から明らかなように、酸化的環化反応で6員環エーテルであるクロマン誘導体を製造する際、Zがフェニルの場合には反応がほとんど進行しなかったが、Zがイミダゾリ−2−イル基の場合には反応が進行して生成物の収率が49%、鏡像体過剰率が40%eeまで向上した。ここで、実施例1,2で用いたイミダゾリ−2−イル基は脱保護が容易な補助基であるため、得られた生成物を様々な化合物へ誘導することが可能となる(後述の実施例32参照)。
Figure 0005544596
実施例2の反応基質は以下のようにして調製した。α−テトラロン(1.2mL,9.4mmol)とCH2Cl2(47mL)の反応液に、m−クロロ過安息香酸(純度77%,4.2g,19mmol)を入れて、2日間撹拌した。反応終了後、NaHCO3飽和水(20mL)を入れ、水層をCHCl3で2回抽出して、有機層を食塩水と水で洗った。得られた有機層を無水Na2SO4で乾燥させたあとに、溶媒はエバボレーターで除いた。得られた混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、4,5−ジヒドロベンゾオキセピン−2(3H)−オンを分離した(1.2g,7.6mmol、収率81%)。実施例2の反応基質はこのラクトンから実施例1の反応基質同様に調製した。なお、実施例2で用いた反応基質(ケトフェノール)及び反応生成物(クロマン誘導体)のスペクトルデータは以下の通り。HPLCの各ピークの生成物の絶対配置は決定していないが、実施例1の生成物と同じ絶対配置であると類推した(後述する実施例25〜28も同様)。
反応基質: 1H NMR(CDCl3, 300MHz) δ 1.94・2.01(m, 2H), 2.63(t, J=7.5Hz, 2H), 3.22(t, J=6.4Hz, 2H), 6.79・6.85(m, 2H), 7.05・7.12(m, 3H), 7.19・7.22(m, 1H), 7.26・7.32(m, 3H), 7.45・7.49(m, 3H); 13C NMR(CDCl3, 100MHz) δ 24.6, 29.5, 38.2, 116.2, 120.3, 126.0(2C), 127.5, 127.6, 129.1, 129.2(3C), 129.7, 130.3, 138.3, 142.8, 154.8, 192.2./反応生成物: 1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 2.26・2.32(m, 1H), 2.50・2.58(m, 1H), 2.67・2.74(m, 1H), 2.88・2.99(m, 1H), 5.90(dd, J=3.7, 7.3Hz, 1H), 6.83(t, J=7.6Hz, 1H), 6.90(d, J=8.2Hz, 1H), 7.01(d, J=7.4Hz, 1H), 7.08(t, J=7.6Hz, 1H), 7.22・7.34(m, 4H), 7.42・7.46(m, 3H); HPLC(AD・H column), Hexane・ EtOH=4:1 as eluent, 1 mL/min, tR =14 min, tS=19 min.
[実施例3−5]
実施例3−5では、表2に示すように、触媒Aの代わりに触媒B−Dを用いた以外は、実施例1と同様にして酸化的環化反応を行った。そのときの結果を表2に併せて示す。ナフチルの3,3’位に、電子吸引性のトリフルオロメチルを有するフェニル基を導入した触媒A(実施例1)やトリフルオロメチル基を有しベンゼン環が3つ結合した嵩高い基を導入した触媒B(実施例3)では、高い鏡像体過剰率で生成物が得られた。また、電子吸引性のフッ素原子を有するフェニル基を導入した触媒C(実施例4)や触媒Aのうち一方のナフチル骨格をベンゼン骨格に置換した触媒D(実施例5)でも、比較的高い鏡像体過剰率で生成物が得られた。
Figure 0005544596
なお、触媒B〜Dのスペクトルデータは以下の通り。
触媒B:1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 3.61(d, J=12.8Hz, 2H), 4.45(d, J=14.2Hz, 2H), 4.78(d, J=13.2Hz, 2H), 4.90(d, J=13.7Hz, 2H), 6.59(d, J=8.7Hz, 2H), 7.06(d, J=8.2Hz, 2H), 7.16・7.32(m, 8H), 7.39・7.56(m, 6H), 7.68(t, J=7.3Hz, 2H), 7.82(d, J=7.8Hz, 4H), 7.89(brs, 4H), 8.10・8.18(m, 2H), 8.11(s, 2H), 8.17(d, J=8.2Hz, 2H), 8.47(s, 2H), 8.54(brs, 2H), 8.99(brs, 2H); 19F NMR(CDCl3, 376MHz) δ -63.4, -63.1.
触媒C:1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 3.71(d, J=13.3Hz, 2H), 4.46(d, J=13.8Hz, 2H), 4.58(d, J=13.8Hz, 2H), 4.80(d, J=14.2Hz, 2H), 6.51(d, J=8.7Hz, 2H), 7.12(dd, J=8.2, 17.0Hz, 4H), 7.20・7.40(m, 6H), 7.35(t, J=8.2Hz, 2H), 7.50・7.70(m, 4H), 7.65(t, J=7.3Hz, 2H), 7.94(d, J=8.2Hz, 2H), 8.12(d, J=8.2Hz, 2H), 8.28(s, 2H); 19F NMR(CDCl3, 376MHz) δ -159.5, -130.5.
触媒D:1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 4.26(d, J=13.8Hz, 4H), 5.05(d, J=13.8Hz, 2H), 5.20(d, J=13.8Hz, 2H), 6.77(dd, J=3.2, 5.5Hz, 2H), 7.12(dd, J=3.2, 5.5Hz, 2H), 7.40・7.80(m, 2H), 7.47・7.53(m, 4H), 7.74(ddd, J=2.3, 6.0, 8.3Hz, 2H), 7.95(s, 2H), 8.16(d, J=8.2Hz, 4H), 8.16(s, 2H); 19F NMR(CDCl3, 376MHz) δ -62.3.
[実施例6−15]
実施例6−13では、表3に示すように、反応溶媒を変更した以外は、実施例3と同様にして酸化的環化反応を行った。実施例14は、触媒の使用量を10mol%(反応基質に対して)から1mol%に減量した以外は実施例3と同様であり、実施例15は、ヒドロペルオキシドを過酸化水素水からTBHP(tert−ブチルヒドロペルオキシド)に変更した以外は実施例10と同様である。これらの結果を表3に併せて示す。表3から明らかなように、有機合成においてよく使われる各種の溶媒のいずれにおいても、良好な収率、鏡像体過剰率で生成物が得られた(実施例3,6−13)。また、実施例3と実施例13の結果から明らかなように、触媒量を1mol%に減らしても反応時間を長くしさえすれば良好な収率、鏡像体過剰率で生成物が得られることがわかった。更に、実施例10と実施例15の結果から明らかなように、過酸化水素以外のヒドロペルオキシドであっても良好な収率、鏡像体過剰率で生成物が得られることがわかった。
Figure 0005544596
[実施例16−24,比較例3]
実施例16−24及び比較例3では、表4に示すように、ケトフェノール化合物のZを変更した以外は、触媒Aを使用した実施例1又は触媒Bを使用した実施例3と同様にして酸化的環化反応を行った。具体的には、実施例16−21は、イミダゾリ−2−イル基の1位をフェニル以外のアリールとした例、実施例22は、イミダゾリ−2−イル基の代わりにベンズイミダゾリ−2−イル基とした例、実施例23,24は、イミダゾリ−2−イル基の代わりにトリアゾリ−2−イル基とした例、比較例3は、イミダゾリ−2−イル基の1位の置換基をメチルとした例である。これらの結果を表4に併せて示す。表4から明らかなように、実施例16−24でも概ね良好な収率、鏡像体過剰率で生成物が得られることがわかった。一方、比較例3のようにイミダゾリ−2−イル基の1位をメチルとした場合には、収率、鏡像体過剰率とも低い値であった。
Figure 0005544596
[実施例25−31]
実施例25−31では、表5に示すように、ケトフェノール化合物のベンゼン環のR1〜R4を種々変更した以外は、実施例13と同様にして酸化的環化反応を行った。なお、実施例27は、フェノール骨格がナフトール骨格になったものである。これらの結果を表5に併せて示す。表5から明らかなように、実施例25−30でも良好な収率、鏡像体過剰率で生成物が得られることがわかった。実施例30では、収率は低いものの、高い鏡像体過剰率で生成物が得られることがわかった。この実施例30では、例えば反応時間を長くしたり反応温度を高温(例えば50℃)に上げたりすることで反応速度が向上し収率が高くなることが期待される。
Figure 0005544596
なお、実施例25−28で用いた反応基質(ケトフェノール)及び反応生成物(2,3−ジヒドロベンゾフラン誘導体)のスペクトルデータは以下の通り。
・実施例25
反応基質: 1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 3.03(t, J=7.6Hz, 2H), 3.29(t, J=7.6Hz, 2H), 6.79・6.90(m, 3H), 7.21(s, 1H), 7.27・7.31(m, 2H), 7.34(s, 1H), 7.45・7.54(m, 3H), 9.04(brs, 1H); 13C NMR(CDCl3, 100MHz) δ 26.9, 41.1, 114.2(d, JCF=29Hz), 116.4(d, JCF=29Hz), 117.4(d, JCF=10Hz), 126.0(2C), 127.4, 128.2(d, JCF=10Hz), 129.2, 129.3, 129.4, 137.9, 141.7, 151.4, 155.4, 157.7, 190.6; 19F NMR(CDCl3, 376MHz) δ -125.2;/反応生成物: 1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 3.40(dd, J=6.4, 16.5Hz, 1H), 3.75(dd, J=11.0, 16.5Hz, 1H), 6.33(dd, J=6.4, 11.0Hz, 1H), 6.75・6.85(m, 3H), 7.20・7.32(m, 3H), 7.37(d, J=0.5Hz, 1H), 7.44・7.47(m, 3H); 13C NMR(CDCl3, 100MHz) δ 34.1, 82.5, 109.8(d, JCF=9Hz), 112.1(d, JCF=25Hz), 114.5(d, JCF=27Hz), 126.0(2C), 126.6(d, JCF=9Hz), 127.9, 129.2(2C), 130.7, 137.7, 140.6, 155.7, 156.7, 159.1, 185.9; 19F NMR(CDCl3, 376MHz) δ -124.1; HPLC(AD・H column) Hexane・EtOH=4:1 as eluent, 1.0 mL/min, tR=29 min, tS=47 min.
・実施例26
反応基質: 1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 2.24(s, 3H), 2.28(s, 3H), 3.04(t, J=7.4Hz, 2H), 3.22(t, J=7.4Hz, 2H), 6.55(s, 1H), 6.65(s, 1H), 7.19(d, J=1.4Hz, 1H), 7.27・7.31(m, 2H), 7.34(d, J=0.9Hz, 1H), 7.45・7.51(m, 3H), 8.98(brs, 1H); 13C NMR(CDCl3, 100MHz) δ 19.6, 21.1, 22.5, 40.5, 115.3, 122.6, 122.8, 126.0(2C), 127.2, 129.1(3C), 129.5, 136.9, 137.1, 138.0, 141.8, 155.4, 191.2./反応生成物: 1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 2.16(s, 3H), 2.24(s, 3H), 3.26(dd, J=6.4, 16.0Hz, 1H), 3.64(dd, J=11.0, 16.0Hz, 1H), 6.31(dd, J=6.4, 11.0Hz, 1H), 6.48(s, 1H), 6.53(s, 1H), 7.27・7.31(m, 3H), 7.36(s, 1H), 7.40・7.45(m, 3H); 13C NMR(CDCl3, 100MHz) δ 19.0, 21.5, 33.0, 82.1, 107.8, 121.1, 122.8, 126.0(2C), 127.7, 129.1(3C), 130.5, 134.3, 137.8, 138.5, 140.8, 159.7, 186.4; HPLC(AD・H column) Hexane・EtOH=4:1 as eluent, 1.0 mL/min, tR=11 min, tS=16 min.
・実施例27
反応基質: 1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 3.42・3.50(m, 4H), 7.20・7.36(m, 6H), 7.45・7.52(m, 4H), 7.67(dd, J=4.8, 9.0Hz, 1H), 7.77(dd, J=3.6, 8.2Hz, 1H), 7.90(dd, J=3.6, 8.2Hz, 1H) ; 13C NMR(CDCl3, 100MHz) δ 21.0, 40.9, 118.5, 119.5, 122.2, 122.8, 125.9(2C), 126.5, 127.3, 128.3, 128.7, 129.0, 129.1(3C), 129.5, 133.0, 137.9, 141.8, 152.7, 191.3./反応生成物: 1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 3.70(dd, J=6.9, 16.0Hz, 1H), 4.05(dd, J=11.5, 16.0Hz, 1H), 6.51(dd, J=6.9, 11.5Hz, 1H), 7.19(d, J=8.7Hz,1H), 7.30・7.36(m, 4H), 7.41・7.48(m, 5H), 7.56(d, J=8.2Hz, 1H), 7.67(d, J=8.7Hz, 1H), 7.78(d, J=8.2Hz, 1H); 13C NMR(CDCl3, 100MHz) δ 33.2, 82.8, 112.2, 117.1, 122.8, 123.2, 126.0(2C), 126.8, 127.8, 128.8, 129.2(3C), 129.2, 129.4, 129.6, 130.6, 137.8, 140.8, 157.4, 186.0; HPLC(AD・H column) EtOH as eluent, 0.3 mL/min, tR=33 min, tS=39 min.
・実施例28
反応基質: 1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 3.01(t, J=7.6Hz, 2H), 3.26(t, J=7.6Hz, 2H), 6.85(d, J=8.2Hz, 1H), 7.07(s, 1H), 7.08・7.10(m, 1H), 7.21(s, 1H), 7.27・7.31(m, 2H), 7.35(s, 1H), 7.44・7.52(m, 3H), 9.48(brs, 1H); 13C NMR(CDCl3, 100MHz) δ 27.3, 41.4, 118.2, 124.3, 126.0(2C), 127.4, 128.0, 128.5, 129.2(2C), 129.3, 129.4, 129.9, 137.8, 141.7, 154.2, 190.4./反応生成物: 1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 3.39(dd, J=6.4, 16.0Hz, 1H), 3.75(dd, J=11.0, 16.0Hz, 1H), 6.34(dd, J=6.4, 11.0Hz, 1H), 6.77(d, J=8.7Hz, 1H), 7.05・7.10(m, 2H), 7.20・7.32(m, 3H), 7.37(s, 1H), 7.44・7.47(m, 3H); 13C NMR(CDCl3, 100MHz) δ 33.8, 82.5, 110.6, 125.0, 125.7, 126.0(2C), 127.2, 127.9, 128.2, 129.2(3C), 130.7, 137.7, 140.2, 158.5, 185.6; HPLC(AD・H column) Hexane・EtOH = 4:1 as eluent, 1.0 mL/min, tR = 28 min, tS = 31 min.
・実施例29
反応基質: 1H NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 3.01(t, J=7.3Hz, 2H), 3.31(t, J=7.3Hz, 2H), 3.75(s, 3H), 6.66(d, J=3.2Hz, 1H), 6.70(dd, J=2.7, 8.7Hz, 1H), 6.86(d, J=8.7Hz, 1H), 7.20(s, 1H), 7.27・7.29(m, 2H), 7.34(s, 1H), 7.47・7.49(m, 3H), 8.65(brs, 1H); 13C NMR(CDCl3, 100 MHz) δ 27.3, 41.7, 55.9, 113.3, 115.5, 117.6, 126.0(2C), 127.3, 127.8, 129.2(3C), 129.5, 138.0, 141.8, 149.1, 153.2, 190.9./反応生成物: 1H NMR(CDCl3, 400 MHz) δ3.39(dd, J=6.4Hz, 16.0Hz, 1H), 3.74(dd, J=11.0, 16.0, 1H), 6.29(dd, J=6.4, 11.0Hz, 1H), 6.64(dd, J=2.7, 8.7Hz, 1H), 6.72(s, 1H), 6.77(d, J=8.7Hz, 1H), 7.27・7.31(m, 2H), 7.36(s, 1H), 7.43(t, J=3.2Hz, 3H); HPLC(AD・H column) Hexane:EtOH=4:1 as eluent, 1 mL/min, tR=38 min, tS=50 min.
・実施例30
反応基質: 1H NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 3.01(t, J=7.3Hz, 2H), 3.30(t, J=7.3Hz, 2H), 4.99(s, 2H), 6.75・6.80(m, 2H), 6.86(d, J=8.3Hz, 1H), 7.20(s, 1H), 7.23・7.50(m, 11H), 8.68(brs, 1H)./反応生成物: 1H NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 3.39(dd, J=6.4, 16.5Hz, 1H), 3.73(dd, J=10.6, 16.5Hz, 1H), 4.97(s, 1H), 6.29(dd, J=6.4, 10.6Hz, 1H), 6.70・6.79(m, 3H), 6.27・7.46(m, 12H); HPLC(AD・H column) Hexane:EtOH=4:1 as eluent, 1 mL/min, tS=50 min, tR=58 min.
・実施例31
反応基質: 1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 2.96(t, J=6.9Hz, 2H), 3.32(t, J=6.9Hz, 2H), 3.75(s, 3H), 3.76(s, 3H), 6.03(d, J=2.3Hz, 1H), 6.15(d, J=2.3Hz, 1H), 7.17(d, J=0.92Hz, 1H), 7.25・7.28(m, 2H), 7.31(d, J=0.92Hz, 1H), 7.46・7.49(m, 3H), 8.99(s, 1H); 13C NMR(CDCl3, 100MHz) δ 18.4, 40.9, 55.4, 55.6, 91.0, 94.4, 108.4, 126.0(2C), 127.3, 129.1, 129.2(2C), 129.7, 138.1, 142.1, 156.7, 159.0, 159.9, 192.5./反応生成物: 1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 3.26(dd, J=6.0, 15.6Hz, 1H), 3.64(dd, J=11.0, 15.6Hz, 1H), 3.74(s, 3H), 3.75(s, 3H), 5.99(s, 1H), 6.15(s, 1H), 6.35(dd, J=6.0, 11.0Hz, 1H), 7.28・7.32(m, 3H), 7.35(s, 1H), 7.41・7.45(m, 3H); 13C NMR(CDCl3, 100MHz) δ 31.6, 55.5, 55.7, 83.1, 88.5, 91.8, 104.2, 126.0(2C), 127.7, 129.0, 129.1(2C), 130.5, 137.8, 140.6, 156.6, 161.8, 161.9, 186.2; HPLC(AD・H column), Hexane・EtOH=4:1 as eluent, 1 mL/min, tR =27 min, tS=43 min
[実施例32]
実施例1で得られた生成物は、カルボニル炭素の隣接基としてイミダゾリ−2−イル基を導入したものであるが、実施例32は、これをメチルエステルへ変換した例である(下記式参照)。具体的には、ヒートガンを用いて真空で乾燥させたシュレンクに活性化した4A MS(50mg)、実施例1の生成物(29mg,0.1mmol)と蒸留したCH2Cl2(2mL)を入れ、N2雰囲気下で室温で1時間撹拌した。その後、MeOTf(22.6μl,0.2mmol)を入れ、室温でさらに20時間撹拌した。TLCで原料の消費を確認し、反応溶液にMeOH(0.25mL),とDBU(19.3μl,0.13mmol)またはDABCO(14.6mg,0.13mmol)を入れてさらに室温で7時間撹拌した。反応終了後、反応液をCH2Cl2 (5ml)で希釈してセライトろ過した。ろ液に塩水を入れて水層と有機層に分離した後、水層をジクロロメタンで抽出し、有機層を塩水及び水で洗った。それぞれの有機層を合わせて無水Na2SO4で乾燥させ、溶媒をエバポレータで除いたあと、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによってエステル生成物を得た(15.3mg,0.086mmol,86%)。このエステル生成物の光学純度は、実施例1で得られた生成物と比べてほとんど下がらなかった。また、文献値(J. Bio. Chem., 1969, vol.244, p4158.)を元に生成物の絶対配置をR−体であると決定した
Figure 0005544596
なお、得られたエステル生成物のスペクトルデータは以下の通り。
TLC, Rf=0.67(hexane・EtOAc=1:1); 1H NMR(CDCl3, 400MHz) δ 3.39(dd, J=6.9, 16.0Hz, 1H), 3.57(dd, J=10.5, 16.0Hz, 1H), 3.81(s, 3H), 5.22(dd, J=6.9, 10.5Hz, 1H), 6.88・6.92(m, 2H), 7.13・7.19(m, 2H); 13C NMR(CDCl3, 100MHz) δ 34.0, 52.8, 79.0, 110.0, 121.4, 124.8(2C), 128.6, 159.1, 171.9; HPLC(AD・H column) Hexane・EtOH=4:1 as eluent, 1.0 mL/min, tS=6 min, tR=7 min.
実施例32では実施例1で得られた光学活性な環化エーテル化合物をエステルに変換したが、下記式に示すように、文献記載の方法に従ってケトン、エステル、アミド、アルデヒド、カルボン酸、2級又は3級アルコール,アルケンなどの有用な官能基を持つ化合物への変換が可能である。
Figure 0005544596
本発明によって得られる環状エーテル化合物は、2,3−ジヒドロベンゾフランやクロマンを基本骨格とする生理活性化合物の合成中間体として利用可能である。

Claims (6)

  1. N−スピロC2軸不斉四級アンモニウムヨージド又はP−スピロC2軸不斉四級ホスホニウムヨージドを触媒として、下記式(1)で表されるケトフェノール化合物とヒドロペルオキシドとを反応させることにより、前記ケトフェノール化合物に対応する下記式(2)で表されるジヒドロベンゾフラン骨格又はクロマン骨格を有する光学活性な環状エーテル化合物を製造する、
    環状エーテル化合物の製造方法。
    Figure 0005544596
    (式(1)中、R1,R2,R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル、アルコキシ若しくはハロゲンであるか又は隣接するいずれか2つが1〜5個の炭素を介して結合して環を形成しており、nは1又は2であり、Zは1−アリール−ピラゾ−2−イル、1−アリール−イミダゾ−2−イル、2−アリール−1,2,4−トリアゾ−3−イル、1−アリール−テトラゾ−−イル又はこれらとアリール環との縮合環である)
    Figure 0005544596
    (式(2)中、R1,R2,R3,R4,n及びZは式(1)と同じ)
  2. 前記触媒は、下記式(3)〜(8)のいずれかであって各式に示す不斉構造又はこれと鏡像関係にある不斉構造の塩である、
    請求項1に記載の環状エーテル化合物の製造方法。
    Figure 0005544596
    (式(3)〜(8)中、Qは窒素原子又はリン原子であり、R5は水素原子、フェニル基、アルキル基を有するフェニル基、ペルフルオロアルキル基を有するフェニル基、アルコキシ基を有するフェニル基又はアリール基を有するフェニル基である)
  3. 前記触媒は、前記式(3)であり、Qは窒素原子であり、R5は下記式(9)又は(10)である、
    請求項2に記載の環状エーテル化合物の製造方法。
    Figure 0005544596
  4. 反応溶媒として、炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン置換炭化水素系溶媒又はこれらと水との混合溶媒を用いる、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の環状エーテル化合物の製造方法。
  5. 前記触媒を1〜10mol%使用する、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の環状エーテル化合物の製造方法。
  6. ケトフェノール化合物とヒドロペルオキシドから、前記ケトフェノール化合物に対応するジヒドロベンゾフラン骨格又はクロマン骨格を有する光学活性な環状エーテル化合物を合成する反応を促進する触媒であって、
    下記式(3)〜(8)のいずれかであって各式に示す不斉構造又はこれと鏡像関係にある不斉構造の塩である、環状エーテル化反応促進触媒。
    Figure 0005544596
    (式(3)〜(8)中、Qは窒素原子又はリン原子であり、R5は水素原子、フェニル基、アルキル基を有するフェニル基、ペルフルオロアルキル基を有するフェニル基、アルコキシ基を有するフェニル基又はアリール基を有するフェニル基である)
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