本発明者は、GMR素子などを含む磁気センサを用いる電流センサにおいて、外乱磁界の影響を十分に抑制できない要因が、感度軸と直交する方向に感度を有する点にあることを見出した。例えば、GMR素子を用いる磁気センサでは、感度軸と直交する方向の感度は、感度軸方向における感度の数十%程度になることもある。このように、感度軸と直交する方向にも感度を有する磁気センサを用いる場合、単純に感度軸の方向(以下、主感度軸方向)を誘導磁界の方向に向けるだけでは、出力の差をとっても外乱磁界の影響を十分に除去できない。これは、主感度軸方向の制御だけでは、主感度軸方向に直交する方向(以下、副感度軸方向)に現れる外乱磁界の影響をキャンセルすることができないためである。
このような知見に基づき、本発明者らは、2つの磁気センサの副感度軸の方向を制御することで、副感度軸方向に現れる外乱磁界の影響をキャンセルするという着想を得た。すなわち、本発明の骨子は、2つの磁気センサの出力を演算(差又は和を算出)することで外乱磁界の影響を除去するタイプの電流センサにおいて、2つの磁気センサを、それぞれの副感度軸方向が同じ方向を向くように、又は、それぞれの副感度軸方向が互いに逆の方向を向くように配置することによって外乱磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制しようとするものである。以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の電流センサ1の一例について説明する。図1は、本実施の形態の電流センサ1を示す模式図である。図1Aは電流センサ1及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図1Bは電流センサ1を図1Aの紙面左下方向(前方)から見た平面図である。以下、斜視図においては、紙面左下方向を前、紙面右上方向を後、紙面左方向を左、紙面右方向を右、紙面上方向を上、紙面下方向を下、と呼ぶ。
図1において、電流線11に付与された実線の矢印は、電流線11を通流する電流の向きを示す。つまり、図1において、電流線11を通流する被測定電流Iの向きは右向である。電流線11の周りに付与された実線の矢印は、被測定電流Iによって生じる誘導磁界Aの向きを示す。また、図1において、第1の磁気センサ12aや第2の磁気センサ12bに付与された実線の矢印14a、14bは、それぞれの主感度軸方向を表し、破線の矢印15a、15bは、それぞれの副感度軸方向を表す。ここで、「主感度軸」とは、磁気センサの感度が最大となる方向を向いた軸をいい、「副感度軸」とは、主感度軸に直交する方向の内、最も高い感度を有する方向を向いた軸をいう。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの表面には、表裏の識別を容易にするため丸印を付す。黒く塗りつぶされた丸印は表面が上を向いていることを示し、白抜きの丸印は表面が下を向いていることを示す。
図1に示されるように、電流センサ1は、被測定電流が通流する電流線11の周囲に配置された第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを含む。ここで電流線11は、電流を導くことが可能な構成要素であればどのような態様であっても良い。例えば、電流線11には、板状の導電部材や、薄膜状の導電部材(導電パターン)など、形状が線状ではないものが含まれる。なお、電流線11は電流センサ1の構成要素ではないものとして扱う。
電流センサ1は、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの他、第1の磁気センサ12aが配置される第1の回路基板13a及び第2の磁気センサ12bが配置される第2の回路基板13bを含む。また、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力を演算する演算装置16(図2)を含む。
第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、磁気検出が可能であり、主感度軸と直交する方向に副感度軸を有する磁気センサであれば特に限定されない。例えば、ハードバイアスを用いて感度をなだらかにしているGMR(Giant Magneto Resistance)素子やTMR(Tunnel Magneto Resistance)素子などの磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサでは、副感度軸が存在する。また、ホール素子でも磁束集体を用いて素子面内に磁界感度軸を持たせた場合には、副感度軸が存在する。このため、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bには、GMR素子、TMR素子、磁気収束板付きのホール素子などを用いることができる。
図1に示される電流センサ1において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aにより略逆相の出力が得られるように電流線11の周囲に配置されている。例えば、図1では、電流線11が、第1の磁気センサ12aと第2の磁気センサ12bとの間に挟み込まれるように、かつ、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14a、14b)が、電流線11が延在する方向に垂直な方向を向くように配置されている。より具体的には、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向くように配置されている。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向(矢印15a、15b)が同じ方向を向くように配置されている。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、その表面が電流線11の方向を向くように配置されている。
図1に示される電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの一方の主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、他方の主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aと逆の方向を向いているため、誘導磁界Aの影響が、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの略逆相の出力信号として現れる。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向が同じ方向を向いているため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において外乱磁界の影響が等しく現れる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との差をとることで、外乱磁界の影響を十分に低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。なお、略逆相の出力信号とは、ノイズ成分などを除いて反転の関係にある出力信号のことをいう。ただし、所望の精度で電流測定を行うことができる程度の関係にあれば良いから、厳密に正負が反転した値となることは要求されない。
また、図1に示される電流センサ1において、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向及び副感度軸方向と、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向及び副感度軸方向とは、鏡像関係にある。つまり、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12aを表面側から見た場合、それぞれの主感度軸方向を基準として、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向と第2の磁気センサ12aの副感度軸方向とは逆向きの関係にある。
図2は、電流センサ1の回路構成にかかるブロック図である。図2に示されるように、電流センサ1は、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの出力端子に接続された演算装置16を有する。ここで、演算装置16は、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との差を算出する機能を有している。このため、電流線11に電流が通流して電流線11の周囲に誘導磁界が発生し、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bから電流に対応した出力信号が出力されると、出力信号を受けた演算装置16は、当該2つの出力信号の差を計算して出力することができる。このように2つの出力信号の差をとることで、外乱磁界の影響をキャンセルし、電流の測定精度を高めることができる。なお、演算装置16の機能は、ハードウェアで実現しても良いし、ソフトウェアで実現しても良い。
図3は、上述した電流センサ1の製造方法の一例を示す模式図である。図3Aに示されるように、まず、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを用意する。図3Aにおいて、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向は前方を向いており、副感度軸方向は左向きである。また、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向は前方を向いており、副感度軸方向は右向きである。つまり、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向及び副感度軸方向と、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向及び副感度軸方向とは、鏡像関係にある。ここでは、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの上側(GMR素子側)の主面を、それぞれ第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの表面とする。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの下側(基板側)の主面を、それぞれ第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの裏面とする。なお、表裏の関係は逆でも良い。
次に、図3Bに示されるように、第1の磁気センサ12aを第1の回路基板13aの磁気センサ配置面(以下、配置面)に配置し、第2の磁気センサ12bを第2の回路基板13bの配置面に配置する。すなわち、第1の磁気センサ12aの裏面と第1の回路基板13aの配置面とが向かい合うように第1の磁気センサ12aを配置し、第2の磁気センサ12bの裏面と第2の回路基板13bの配置面とが向かい合うように第2の磁気センサ12bを配置する。ここで、配置面(磁気センサ配置面)とは、第1の回路基板13a又は第2の回路基板13bが備える主表面であって、第1の磁気センサ12a又は第2の磁気センサ12bの配置される主表面をいう。これにより、図3Bに示されるように第1の回路基板13aの配置面と第2の回路基板13bの配置面とが共に上を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向(矢印14a、14b)が同じ方向を向くようにすると、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向(矢印15a、15b)が互いに逆の方向を向く。
その後、図3Cに示されるように、電流線11を挟んで第1の回路基板13aの配置面と第2の回路基板13bの配置面とが向かい合うように、電流線11の周囲に第1の回路基板13a及び第2の回路基板13bを配置する。これにより、電流線11を挟んで第1の磁気センサ12aの表面と第2の磁気センサ12bの表面とが向かい合う。このような配置は、例えば、第1の磁気センサ12a及び第1の回路基板13aのセットを、第2の磁気センサ12b及び第2の回路基板13bのセットに対して回転させることで得ることができる。
図3に示される方法で得られる電流センサ1では、電流線11に対して第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが対称に配置されるため、電流線11と第1の磁気センサ12aとの距離、及び電流線11と第2の磁気センサ12bとの距離を均一にし易くなる。これにより、外乱磁界を適切にキャンセルできるため、電流測定精度を十分に高めることが可能である。また、電流線11と第1の磁気センサ12aとの間、及び電流線11と第2の磁気センサ12bとの間に回路基板が存在しないため、電流線11と第1の磁気センサ12aとの距離、及び電流線11と第2の磁気センサ12bとの距離を小さくすることができる。このため、センサ出力を大きくし、電流測定精度を十分に高めることが可能である。
以上のように、本実施の形態に係る電流センサ1は、例えば、図4に示される電流センサ2などと比較して、外乱磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。これは、本実施の形態に係る電流センサ1では、副感度軸方向が外乱磁界を適切にキャンセルできる方向を向くように第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが配置されているためである。
なお、図1では、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向が電流線11を通流する電流からの誘導磁界の方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が電流線11を通流する電流からの誘導磁界の方向と逆の方向を向いている場合を例に挙げたが、本実施の形態に係る電流センサ1の構成はこれに限られない。第1の磁気センサ12aの主感度軸方向が電流線11を通流する電流からの誘導磁界の方向と逆の方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が電流線11を通流する電流からの誘導磁界の方向を向いていても良い。
その他、本実施の形態は、他の実施の形態に示される構成と適宜組み合わせて実施可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の電流センサ1の別の一例について説明する。図5は、本実施の形態の電流センサ1を示す模式図である。図5Aは電流センサ1及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図5Bは電流センサ1を図5Aの紙面左下方向(前方)から見た平面図である。
図5に示されるように、本実施の形態に係る電流センサ1は、電流線11の周囲に配置された第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを含み、第1の磁気センサ12aが配置される第1の回路基板13a及び第2の磁気センサ12bが配置される第2の回路基板13bを含む。また、電流センサ1は、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力を演算する演算装置を含む。この点において、図5に示される電流センサ1と図1に示される電流センサ1とは共通している。図5に示される電流センサ1と図1に示される電流センサ1の相違点は、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの主感度軸方向及び副感度軸方向の向きにある。
図5に示される電流センサ1において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aにより略同相の出力が得られるように電流線11の周囲に配置されている。より具体的には、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が逆の方向を向くように配置されている。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向(矢印15a、15b)が互いに逆の方向を向くように配置されている。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、その表面が電流線11の方向を向くように配置されている。
図5に示される構成の電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が共に電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向いているため、誘導磁界Aの影響が、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの略同相の出力信号として現れる。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が互いに逆の方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向が互いに逆の方向を向いているため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において外乱磁界の影響が逆に現れる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との和をとることで、外乱磁界の影響を十分に低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。なお、略同相の出力信号とは、ノイズ成分などを除いて同等な出力信号のことをいう。ただし、所望の精度で電流測定を行うことができる程度の関係にあれば良いから、厳密に同じ値となることは要求されない。また、図5に示される電流センサ1において、演算装置は、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との和を算出する機能を有する。
また、図5に示される電流センサ1において、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向及び副感度軸方向と、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向及び副感度軸方向とは、鏡像関係にある。つまり、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12aを表面側から見た場合、それぞれの主感度軸方向を基準として、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向と第2の磁気センサ12aの副感度軸方向とは逆向きの関係にある。
図6は、本実施の形態に係る電流センサ1の製造方法の一例を示す模式図である。図6Aに示されるように、まず、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを用意する。図6Aにおいて、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向は前方を向いており、副感度軸方向は左向きである。また、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向は前方をむいており、副感度軸方向は右向きである。つまり、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向及び副感度軸方向と、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向及び副感度軸方向とは、鏡像関係にある。ここでは、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの上側(GMR素子側)の主面を、それぞれ第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの表面とする。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの下側(基板側)の主面を、それぞれ第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの裏面とする。なお、表裏の関係は逆でも良い。
次に、図6Bに示されるように、第1の磁気センサ12aを第1の回路基板13aの配置面に配置し、第2の磁気センサ12bを第2の回路基板13bの配置面に配置する。すなわち、第1の磁気センサ12aの裏面と第1の回路基板13aの配置面とが向かい合うように第1の磁気センサ12aを配置し、第2の磁気センサ12bの裏面と第2の回路基板13bの配置面とが向かい合うように第2の磁気センサ12bを配置する。これにより、図6Bに示されるように第1の回路基板13aの配置面と第2の回路基板13bの配置面とが共に上を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向(矢印14a、14b)が同じ方向を向くようにすると、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向(矢印15a、15b)が互いに逆の方向を向く。なお、図6Bでは、第2の磁気センサ12bと第2の回路基板13bとを配置面内方向に180°回転して示している。
その後、図6Cに示されるように、電流線11を挟んで第1の回路基板13aの配置面と第2の回路基板13bの配置面とが向かい合うように、電流線11の周囲に第1の回路基板13a及び第2の回路基板13bを配置する。これにより、電流線11を挟んで第1の磁気センサ12aの表面と第2の磁気センサ12bの表面とが向かい合う。このような配置は、例えば、第1の磁気センサ12a及び第1の回路基板13aのセットを、第2の磁気センサ12b及び第2の回路基板13bのセットに対して回転させることで得ることができる。
図6に示される方法で得られる電流センサ1では、電流線11に対して第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが対称に配置されるため、電流線11と第1の磁気センサ12aとの距離、及び電流線11と第2の磁気センサ12bとの距離を均一にし易くなる。これにより、外乱磁界を適切にキャンセルできるため、電流測定精度を十分に高めることが可能である。また、電流線11と第1の磁気センサ12aとの間、及び電流線11と第2の磁気センサ12bとの間に回路基板が存在しないため、電流線11と第1の磁気センサ12aとの距離、及び電流線11と第2の磁気センサ12bとの距離を小さくすることができる。このため、センサ出力を大きくし、電流測定精度を十分に高めることが可能である。
以上のように、本実施の形態に係る電流センサ1は、外乱磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。これは、本実施の形態に係る電流センサ1では、副感度軸方向が外乱磁界を適切にキャンセルできる方向を向くように第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが配置されているためである。
なお、図5及び図6では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が、共に電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向いている場合を例に挙げたが、本実施の形態に係る電流センサ1の構成はこれに限られない。第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が、共に電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と逆の方向を向いていても良い。
その他、本実施の形態は、他の実施の形態に示される構成と適宜組み合わせて実施可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の電流センサ1の別の一例について説明する。図7は、本実施の形態の電流センサ1を示す模式図である。図7Aは電流センサ1及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図7Bは電流センサ1を図7Aの紙面左下方向(前方)から見た平面図である。
図7に示されるように、本実施の形態に係る電流センサ1は、電流線11の周囲に配置された第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを含み、第1の磁気センサ12aが配置される第1の回路基板13a及び第2の磁気センサ12bが配置される第2の回路基板13bを含む。また、電流センサ1は、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力を演算する演算装置を含む。この点において、図7に示される電流センサ1と図1に示される電流センサ1とは共通している。図7に示される電流センサ1と図1に示される電流センサ1の相違点は、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bと、第1の回路基板13a及び第2の回路基板13bとの位置関係にある。すなわち、本実施の形態に係る電流センサ1は、第1の回路基板13aの配置面と反対側の面と、第2の回路基板13bの配置面と反対側の面とが、電流線11を挟んで向かい合うように配置されており、第1の回路基板13a及び第2の回路基板13bが、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bより電流線側に配置されている。
図7に示される電流センサ1において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、電流線11を通流する電流からの誘導磁界により略逆相の出力が得られるように電流線11の周囲に配置されている。より具体的には、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向くように配置されている。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向(矢印15a、15b)が同じ方向を向くように配置されている。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、その裏面が電流線11の方向を向くように配置されている。
図7に示される構成の電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの一方の主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、他方の主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aと逆の方向を向いているため、誘導磁界Aの影響が、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの略逆相の出力信号として現れる。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向が同じ方向を向いているため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において外乱磁界の影響が等しく現れる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との差をとることで、外乱磁界の影響を十分に低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。
また、図7に示される電流センサ1において、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向及び副感度軸方向と、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向及び副感度軸方向とは、鏡像関係にある。つまり、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12aを表面側から見た場合、それぞれの主感度軸方向を基準として、第1の磁気センサ12aの副感度軸方向と第2の磁気センサ12aの副感度軸方向とは逆向きの関係にある。
図8は、本実施の形態に係る電流センサ1の製造方法の一例を示す模式図である。図8Aに示されるように、まず、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを用意する。図8Aにおいて、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向は前方を向いており、副感度軸方向は右向きである。また、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向は前方を向いており、副感度軸方向は左向きである。つまり、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向及び副感度軸方向と、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向及び副感度軸方向とは、鏡像関係にある。ここでは、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの上側(GMR素子側)の主面を、それぞれ第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの表面とする。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの下側(基板側)の主面を、それぞれ第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの裏面とする。なお、表裏の関係は逆でも良い。
次に、図8Bに示されるように、第1の磁気センサ12aを第1の回路基板13aの配置面に配置し、第2の磁気センサ12bを第2の回路基板13bの配置面に配置する。すなわち、第1の磁気センサ12aの裏面と第1の回路基板13aの配置面とが向かい合うように第1の磁気センサ12aを配置し、第2の磁気センサ12bの裏面と第2の回路基板13bの配置面とが向かい合うように第2の磁気センサ12bを配置する。これにより、図8Bに示されるように第1の回路基板13aの配置面と第2の回路基板13bの配置面とが共に上を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向(矢印14a、14b)が同じ方向を向くようにすると、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向(矢印15a、15b)が互いに逆の方向を向く。
その後、図8Cに示されるように、電流線11を挟んで第1の回路基板13aの配置面と反対側の面と、第2の回路基板13bの配置面と反対側の面とが向かい合うように、電流線11の周囲に第1の回路基板13a及び第2の回路基板13bを配置する。つまり、第1の回路基板13a及び第2の回路基板13bが、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bより電流線側に配置されるようにする。このような配置は、例えば、第2の磁気センサ12b及び第2の回路基板13bのセットを、第1の磁気センサ12a及び第1の回路基板13aのセットに対して回転させることで得ることができる。
図8に示される方法で得られる電流センサ1では、電流線11に対して第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが対称に配置されるため、電流線11と第1の磁気センサ12aとの距離、及び電流線11と第2の磁気センサ12bとの距離を均一にし易くなる。これにより、外乱磁界を適切にキャンセルできるため、電流測定精度を十分に高めることが可能である。
以上のように、本実施の形態に係る電流センサ1は、外乱磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。これは、本実施の形態に係る電流センサ1では、副感度軸方向が外乱磁界を適切にキャンセルできる方向を向くように第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが配置されているためである。
なお、図7及び図8では、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と逆の方向を向いている場合を例に挙げたが、本実施の形態に係る電流センサ1の構成はこれに限られない。第1の磁気センサ12aの主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向いていても良い。
また、図7及び図8では、出力の差をとることで外乱磁界をキャンセルする構成について説明したが、本実施の形態に係る電流センサ1の構成はこれに限られない。出力の和をとることで外乱磁界をキャンセルする構成としても良い。この場合、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が共に電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向又は誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向が互いに逆の方向を向くようにすれば良い。
その他、本実施の形態は、他の実施の形態に示される構成と適宜組み合わせて実施可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の電流センサ1の別の一例について説明する。図9は、本実施の形態の電流センサ1を示す模式図である。図9Aは電流センサ1及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図9Bは電流センサ1を図9Aの紙面左下方向(前方)から見た平面図である。
図9に示されるように、本実施の形態に係る電流センサ1は、電流線11の周囲に配置された第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを含み、第1の磁気センサ12aが配置される第1の回路基板13a及び第2の磁気センサ12bが配置される第2の回路基板13bを含む。また、電流センサ1は、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力を演算する演算装置を含む。この点において、図9に示される電流センサ1と図1に示される電流センサ1とは共通している。図9に示される電流センサ1と図1に示される電流センサ1の相違点は、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bと、第1の回路基板13a及び第2の回路基板13bとの位置関係にある。すなわち、本実施の形態に係る電流センサ1では、第1の磁気センサ12aの表面が第1の回路基板13aの配置面と向かい合うように配置されており、第2の磁気センサ12bの裏面が第2の回路基板13bの配置面と向かい合うように配置されている。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bとして同じ構成の磁気センサを用いている。このため、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを表面側から見た場合、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向に対して副感度軸方向がなす角と、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向に対して副感度軸方向がなす角とは略等しくなっている。ここで、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、同一のウェハを用いて製造された同一の構造を有する素子を含むことが望ましい。このような磁気センサでは主感度軸や副感度軸の感度を等しくできるため、外乱磁界の影響のキャンセルが容易になるためである。
図9に示される電流センサ1において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aにより略逆相の出力が得られるように電流線11の周囲に配置されている。より具体的には、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向くように配置されている。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向(矢印15a、15b)が同じ方向を向くように配置されている。また、第1の磁気センサ12aは、その裏面が電流線11の方向を向くように配置されており、第2の磁気センサ12bは、その表面が電流線11の方向を向くように配置されている。
図9に示される構成の電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの一方の主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、他方の主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aと逆の方向を向いているため、誘導磁界Aの影響が、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの略逆相の出力信号として現れる。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向が同じ方向を向いているため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において外乱磁界の影響が等しく現れる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との差をとることで、外乱磁界の影響を十分に低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。
図10は、本実施の形態に係る電流センサ1の製造方法の一例を示す模式図である。図10Aに示されるように、まず、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを用意する。図10Aにおいて、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向は前方を向いており、副感度軸方向は右向きである。また、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向は前方を向いており、副感度軸方向は右向きである。つまり、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは同等の構成を有しており、主感度軸方向と副感度軸方向とのなす角度の関係が一致している。ここでは、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの上側(GMR素子側)の主面を、それぞれ第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの表面とする。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの下側(基板側)の主面を、それぞれ第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの裏面とする。なお、表裏の関係は逆でも良い。
次に、図10Bに示されるように、第1の磁気センサ12aを第1の回路基板13aの配置面に配置し、第2の磁気センサ12bを第2の回路基板13bの配置面に配置する。本実施の形態では、第1の磁気センサ12aの表面と第1の回路基板13aの配置面とが向かい合うように第1の磁気センサ12aを配置し、第2の磁気センサ12bの裏面と第2の回路基板13bの配置面とが向かい合うように第2の磁気センサ12bを配置する。これにより、図10Bに示されるように第1の回路基板13aの配置面と第2の回路基板13bの配置面とが共に上を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向(矢印14a、14b)が同じ方向を向くようにすると、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向(矢印15a、15b)が互いに逆の方向を向く。
その後、図10Cに示されるように、電流線11を挟んで第1の回路基板13aの配置面と、第2の回路基板13bの配置面とが向かい合うように、電流線11の周囲に第1の回路基板13a及び第2の回路基板13bを配置する。このような配置は、例えば、第1の磁気センサ12a及び第1の回路基板13aのセットを、第2の磁気センサ12b及び第2の回路基板13bのセットに対して回転させることで得ることができる。
図10に示される方法で得られる電流センサ1では、電流線11に対して第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが対称に配置されるため、電流線11と第1の磁気センサ12aとの距離、及び電流線11と第2の磁気センサ12bとの距離を均一にし易くなる。これにより、外乱磁界を適切にキャンセルできるため、電流測定精度を十分に高めることが可能である。また、電流線11と第1の磁気センサ12aとの間、及び電流線11と第2の磁気センサ12bとの間に回路基板が存在しないため、電流線11と第1の磁気センサ12aとの距離、及び電流線11と第2の磁気センサ12bとの距離を小さくすることができる。このため、センサ出力を大きくし、電流測定精度を十分に高めることが可能である。
また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bとして同じ構成の磁気センサを用いることができるため、2つの磁気センサの特性を合わせることが容易になる。このため、外乱磁界の影響を精度よくキャンセルし、電流測定精度の低下を抑制可能である。
以上のように、本実施の形態に係る電流センサ1は、外乱磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。これは、本実施の形態に係る電流センサ1では、副感度軸方向が外乱磁界を適切にキャンセルできる方向を向くように第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが配置されているためである。
なお、図9及び図10では、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と逆の方向を向いている場合を例に挙げたが、本実施の形態に係る電流センサ1の構成はこれに限られない。第1の磁気センサ12aの主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向いていても良い。
また、図9及び図10では、出力の差をとることで外乱磁界をキャンセルする構成について説明したが、本実施の形態に係る電流センサ1の構成はこれに限られない。出力の和をとることで外乱磁界をキャンセルする構成としても良い。この場合、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が共に電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向又は誘導磁界の方向と逆の方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向が互いに逆の方向を向くようにすれば良い。
また、図9及び図10では、電流線11を挟んで第1の回路基板13aの配置面と、第2の回路基板13bの配置面とが向かい合う構成の電流センサ1について説明したが、実施の形態に係る電流センサ1の構成はこれに限られない。電流線11を挟んで第1の回路基板13aの配置面と反対側の面と、第2の回路基板13bの配置面と反対側の面とが向かい合う構成としても良い。
その他、本実施の形態は、他の実施の形態に示される構成と適宜組み合わせて実施可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の電流センサ1の別の一例について説明する。図11は、本実施の形態の電流センサ1を示す模式図である。図11Aは電流センサ1及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図11Bは電流センサ1を図11Aの紙面左下方向(前方)から見た平面図である。
図11に示されるように、本実施の形態に係る電流センサ1は、電流線11の周囲に配置された第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを含み、第1の磁気センサ12aが配置される第1の回路基板13a及び第2の磁気センサ12bが配置される第2の回路基板13bを含む。また、電流センサ1は、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力を演算する演算装置を含む。この点において、図11に示される電流センサ1と図1に示される電流センサ1とは共通している。図11に示される電流センサ1と図1に示される電流センサ1の相違点は、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bと、第1の回路基板13a及び第2の回路基板13bとの位置関係にある。すなわち、本実施の形態に係る電流センサ1は、第1の回路基板13aの配置面と反対側の面と、第2の回路基板13bの配置面とが、電流線11を挟んで向かい合うように配置されている。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bとして同じ構成の磁気センサを用いている。このため、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを表面側から見た場合、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向に対して副感度軸方向がなす角と、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向に対して副感度軸方向がなす角とは略等しくなっている。ここで、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、同一のウェハを用いて製造された同一の構造を有する素子を含むことが望ましい。このような磁気センサでは主感度軸や副感度軸の感度を等しくできるため、外乱磁界の影響のキャンセルが容易になるためである。
図11に示される電流センサ1において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aにより略逆相の出力が得られるように電流線11の周囲に配置されている。より具体的には、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向くように配置されている。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向(矢印15a、15b)が同じ方向を向くように配置されている。また、第1の磁気センサ12aは、その裏面が電流線11の方向を向くように配置されており、第2の磁気センサ12bは、その表面が電流線11の方向を向くように配置されている。
図11に示される構成の電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの一方の主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、他方の主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aと逆の方向を向いているため、誘導磁界Aの影響が、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの略逆相の出力信号として現れる。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向が同じ方向を向いているため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において外乱磁界の影響が等しく現れる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との差をとることで、外乱磁界の影響を十分に低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。
図12は、本実施の形態に係る電流センサ1の製造方法の一例を示す模式図である。図12Aに示されるように、まず、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを用意する。図12Aにおいて、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向は前方を向いており、副感度軸方向は右向きである。また、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向は前方を向いており、副感度軸方向は右向きである。つまり、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは同等の構成を有しており、主感度軸方向と副感度軸方向とのなす角度の関係が一致している。ここでは、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの上側(GMR素子側)の主面を、それぞれ第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの表面とする。また、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの下側(基板側)の主面を、それぞれ第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの裏面とする。なお、表裏の関係は逆でも良い。
次に、図12Bに示されるように、第1の磁気センサ12aを第1の回路基板13aの配置面に配置し、第2の磁気センサ12bを第2の回路基板13bの配置面に配置する。本実施の形態では、第1の磁気センサ12aの裏面と第1の回路基板13aの配置面とが向かい合うように第1の磁気センサ12aを配置し、第2の磁気センサ12bの裏面と第2の回路基板13bの配置面とが向かい合うように第2の磁気センサ12bを配置する。つまり、第1の磁気センサ12a及び第1の回路基板13aのセットと、第2の磁気センサ12b及び第2の回路基板13bのセットとは同等の構成を有する。このため、図12Bに示されるように第1の回路基板13aの配置面と第2の回路基板13bの配置面とが共に上を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向(矢印14a、14b)が同じ方向を向くようにすると、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向(矢印15a、15b)も同じ方向を向く。
その後、図12Cに示されるように、電流線11を挟んで、第1の回路基板13aの配置面と反対側の面と、第2の回路基板13bの配置面とが向かい合うように、電流線11の周囲に第1の回路基板13a及び第2の回路基板13bを配置する。
図12に示される方法で得られる電流センサ1では、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bとして同じ構成の磁気センサを用いることができるため、2つの磁気センサの特性を合わせることが容易になる。このため、外乱磁界の影響を精度よくキャンセルし、電流測定精度の低下を抑制可能である。また、第1の回路基板13aに対する第1の磁気センサ12aの実装パターンと、第2の回路基板13bに対する第2の磁気センサ12bの実装パターンとが同じになるため、同一の工程で磁気センサが実装された回路基板を用いて電流センサを構成することができる。このため、磁気センサ及び回路基板の特性を低コストに揃えることが可能となる。
図13は、図11に示される構成の電流センサ1の変形例を示す模式図である。図13に示される電流センサ1の基本的な構成は、図11に示される電流センサ1と共通である。図13に示される電流センサ1と図11に示される電流センサ1の相違点は、スペーサ17の有無にある。つまり、図13に示される電流センサ1では、電流線11と第2の回路基板13bとの間にスペーサ17が配置されている。このようにスペーサ17が配置されることによって、電流線11と第1の磁気センサ12aとの距離、及び電流線11と第2の磁気センサ12bとの距離を均一にし易い。このため、電流測定精度を十分に高めることが可能である。
なお、図13では電流線11と第2の回路基板13bとの間にスペーサ17が配置された構成について示しているが、スペーサ17は電流線11と第2の磁気センサ12bとの間に配置されても良い。また、電流線11と第1の回路基板13a(又は第1の磁気センサ12a)との間に別のスペーサを配置しても良い。
以上のように、本実施の形態に係る電流センサ1は、外乱磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。これは、本実施の形態に係る電流センサ1では、副感度軸方向が外乱磁界を適切にキャンセルできる方向を向くように第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが配置されているためである。
なお、図11〜図13では、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と逆の方向を向いている場合を例に挙げたが、本実施の形態に係る電流センサ1の構成はこれに限られない。第1の磁気センサ12aの主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向を向いていても良い。
また、図11〜図13では、出力の差をとることで外乱磁界をキャンセルする構成について説明したが、本実施の形態に係る電流センサ1の構成はこれに限られない。出力の和をとることで外乱磁界をキャンセルする構成としても良い。この場合、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が共に電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向又は誘導磁界Aの方向と逆の方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向が互いに逆の方向を向くようにすれば良い。
その他、本実施の形態は、他の実施の形態に示される構成と適宜組み合わせて実施可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の電流センサ1の別の一例について説明する。本実施の形態の電流センサ1は、実施の形態1〜実施の形態5において説明した電流センサ1において、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bに磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサを適用したものに相当する。
本実施の形態に係る第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、磁気比例式センサ又は磁気平衡式センサである。磁気比例式センサは、例えば、磁気センサ素子である2つの磁気抵抗効果素子及び2つの固定抵抗素子からなるブリッジ回路を含むように構成される。また、磁気平衡式センサは、例えば、磁気センサ素子である2つの磁気抵抗効果素子及び2つの固定抵抗素子からなるブリッジ回路と、被測定電流によって発生する磁界を打ち消す方向の磁界を発生可能に配置されたフィードバックコイルと、を含むように構成される。磁気比例式センサを採用する場合には、磁気平衡式センサのようなフィードバックコイル及びその制御に関する構成が不要になるため、構成を簡略化し、電流センサの小型化を図れる。一方で、磁気平衡式センサを採用する場合には、応答速度が高く、温度依存の小さい電流センサを容易に実現できる。
第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bに用いられる磁気抵抗効果素子には、GMR(Giant Magneto Resistance)素子やTMR(Tunnel Magneto Resistance)素子などがあるが、ここでは、感度軸と直交する方向にも感度を有するGMR素子を用いる。GMR素子などの磁気抵抗効果素子は、被測定電流からの誘導磁界の印加により抵抗値が変化するという性質を有しており、これを第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bに用いることで、誘導磁界の大きさを検出することができる。
第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bは、同一のウェハを用いて製造された同一の構造を有する素子を含むものであることが望ましい。このような磁気センサでは主感度軸や副感度軸の感度を等しくできるため、外乱磁界の影響を十分にキャンセルし、電流測定精度の低下を抑制することができるためである。
図14は、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bに用いられるGMR素子の構造を示す模式図である。図14Aは断面構造を示しており、図14Bは平面構造を示している。GMR素子は、図14Aに示されるように、基板101に設けられた複数の膜の積層構造でなる。すなわち、GMR素子は、シード層102、第1の強磁性膜103、反平行結合膜104、第2の強磁性膜105、非磁性中間層106、軟磁性自由層(フリー磁性層)107、及び保護層108を含む。また、図14Bに示されるように、長手方向が互いに平行になるように配置された複数の帯状の長尺パターン(ストライプ)が折り返してなる形状(ミアンダ形状)を有する。
このGMR素子においては、反平行結合膜104を介して第1の強磁性膜103と第2の強磁性膜105とが反強磁性的に結合されており、いわゆるセルフピン止め型の強磁性固定層(SFP層:Synthetic Ferri Pinned層)が構成されている。このように、図14に示されるGMR素子は、強磁性固定層、非磁性中間層106及び軟磁性自由層107を用いたスピンバルブ型の素子である。なお、図14では説明の簡単のため、GMR素子以外の下地層などは省略して示しているが、基板101とシード層102との間に、例えば、Ta、Hf、Nb、Zr、Ti、Mo、Wなどのうち少なくとも一の元素を含む非磁性材料で構成される下地層が設けられていても良い。
シード層102は、NiFeCrあるいはCrなどで構成される。第1の強磁性膜103は、40原子%〜80原子%のFeを含むCoFe合金で構成されていることが好ましい。これは、この組成範囲のCoFe合金が、大きな保磁力を有し、外部磁界に対して磁化を安定に維持できるからである。なお、第1の強磁性膜103は、その成膜中にミアンダ形状の長手方向と垂直な方向(図14Aの奥側から手前側、図14Bの上側から下側に向かう方向)に磁界が印加されることにより、誘導磁気異方性が付与される。反平行結合膜104は、Ruなどにより構成される。また、第2の強磁性膜105は、0原子%〜40原子%のFeを含むCoFe合金で構成されていることが好ましい。これは、この組成範囲のCoFe合金が小さな保磁力を有し、第1の強磁性膜103が優先的に磁化する方向に対して反平行方向(180°異なる方向)に磁化し易くなるためである。なお、第2の強磁性膜105は、成膜中に、第1の強磁性膜103の成膜中と同様の磁界(ミアンダ形状の長手方向と垂直な方向の磁界)が印加されることにより、誘導磁気異方性が付与される。このような磁界を印加しながら成膜することで、第1の強磁性膜103が印加磁界の方向(以下、Pin1方向)に優先的に磁化し、第2の強磁性膜105は第1の強磁性膜103の磁化方向とは反平行方向(180°異なる方向、以下、Pin2方向)に磁化する。非磁性中間層106は、Cuなどにより構成される。
また、軟磁性自由層(フリー層)107は、CoFe合金、NiFe合金、CoFeNi合金などの磁性材料で構成される。なお、軟磁性自由層107の成膜中にはミアンダ形状の長手方向(Pin2方向に垂直な方向、X軸方向)の磁界が印加され、成膜後の軟磁性自由層107に誘導磁気異方性が付与されることが好ましい。これにより、X軸方向の外部磁界に対して線形的に抵抗変化し、ヒステリシスが小さいGMR素子を得ることができる。保護層108は、Ta、Ruなどで構成される。
GMR素子はハードバイアス層109を有し、ハードバイアス層109から軟磁性自由層(フリー層)107に一定の磁界が印加されることが好ましい。ハードバイアス層109による磁界(以下、ハードバイアス(HB))の向きは、ミアンダ形状の長手方向(Pin2方向に垂直な方向、X軸方向)である。このようなハードバイアス層109により、GMR素子の感度を高めることができる。
また、ハードバイアス層109によって、GMR素子の感度軸はハードバイアスの方向に対して垂直な方向を向き、副感度軸はハードバイアスの方向を向くよう制御される。このため、これを利用して、電流センサに用いられるGMR素子のハードバイアスの方向を揃え、副感度軸方向に現れる外乱磁界の影響を適切にキャンセル可能な構成を実現できる。具体的には、出力の差をとる電流センサでは、第1の磁気センサ12aの副感度軸と第2の磁気センサ12bの副感度軸とが同じ方向を向くようにGMR素子のハードバイアスの向きを制御する。出力の和をとる電流センサでは、第1の磁気センサ12aの副感度軸と第2の磁気センサ12bの副感度軸とが逆方向を向くようにハードバイアスの向きを制御する。これにより、外乱磁界の影響を低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。
上述したGMR素子、およびGMR素子を含む磁気センサにおいて、主感度軸方向はPin2方向である。また、副感度軸方向はPin2に垂直な方向である。膜に垂直な方向には実質的な感度を有しない。
図15は、GMR素子の副感度軸方向に磁界を印加した場合のGMR素子の抵抗値(つまり、GMR素子の感度)を示すグラフである。図15において、横軸は副感度軸方向(すなわちハードバイアス方向)の印加磁界の大きさを表している。印加磁界が負で表される場合、ハードバイアス方向の磁界が印加されたことを示し、印加磁界が正で表される場合、ハードバイアス方向と逆の方向の磁界が印加されたことを示す。縦軸は、GMR素子の抵抗値を表している。また、実線は第1のGMR素子の特性を示しており、破線は第2のGMR素子の特性を示している。
図15Aはハードバイアスがごく弱い場合の特性を示し、図15Bはハードバイアスが強い場合の特性を示し、図15Cはハードバイアスがごく強い場合の特性を示している。図15Aに示されるようにハードバイアスが弱い場合、2つのGMR素子の副感度軸方向の感度特性は大きく異なることになる。第1のGMR素子は負方向の磁界印加で抵抗値が低下しているのに対して、第2のGMR素子は正方向の磁界印加で抵抗値が低下している。これは、副感度軸の向きが揃っていないことを意味する。この場合、副感度軸方向に表れる外乱磁界の影響を精度よくキャンセルすることは困難である。一方、図15Bおよび図15Cに示されるようにハードバイアスが強い場合、2つのGMR素子の副感度軸方向の感度特性は揃う。この場合、副感度軸方向に表れる外乱磁界の影響を精度よくキャンセルすることが可能である。
このように、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bに磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサを適用する場合、ハードバイアスによって副感度軸方向の感度特性を制御することにより副感度軸方向に表れる外乱磁界の影響を精度よくキャンセルすることが可能になる。このため、電流測定精度の低下を抑制することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に示される構成と適宜組み合わせて実施可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の電流センサ1の別の例について説明する。図16は、本実施の形態の電流センサ1の一例を示す模式図である。図16Aは電流センサ1及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図16Bは電流センサ1を図16Aの上方から見た平面図であり、図16Cは、磁気センサの主感度軸方向及び副感度軸方向と誘導磁界の方向との関係を示す模式図である。また、図17は、本実施の形態の電流センサ1の別の一例を示す模式図である。図17Aは電流センサ1及びその周辺の構成を模式的に示す斜視図であり、図17Bは電流センサ1を図17Aの上方から見た平面図であり、図17Cは、磁気センサの主感度軸方向及び副感度軸方向と誘導磁界の方向との関係を示す模式図である。
図16及び図17に示すように、本実施の形態に係る電流センサ1の基本的な構成は、上記実施の形態1〜実施の形態6に係る電流センサ1の構成と共通している。一方、本実施の形態に係る電流センサ1は、主感度軸方向(矢印14a、14b)が、誘導磁界Aと平行な方向を向いていない点で上記実施の形態1〜実施の形態6に係る電流センサ1と相違している。
図16に示す電流センサ1は、図1に示す電流センサの第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを、配置面に垂直な軸を回転軸として所定角度回転させた構成を有している(図16A、図16B参照)。具体的には、図16Cに示すように、電流センサ1は、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が、誘導磁界Aに対して角度θ1をなすように構成されている。言い換えれば、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)は、電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aに対して平行ではない方向を向いており、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)は、電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と平行ではない方向を向いている。ただし、実施の形態1〜実施の形態6と同様、電流センサ1が誘導磁界Aに対して感度を有するように、主感度軸方向と誘導磁界Aの方向とは直交しない。つまり、θ1≠90°×n(nは整数)を満たしている。
主感度軸方向と誘導磁界Aとが所定の角度をなす本実施の形態の電流センサ1においては、誘導磁界Aの主感度軸方向成分が検出される。主感度軸方向と誘導磁界Aの方向とのなす角度がθ1で、誘導磁界Aの強さがHAであれば、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bがそれぞれ受ける磁界の強さHは、HAcosθ1(<HA)となる。つまり、主感度軸方向が、誘導磁界Aの方向に対して角度θ1傾くように配置されているため、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bがそれぞれ受ける磁界の強さHは、誘導磁界Aの強さHAより小さくなる。このため、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが受ける磁界の強さを角度θ1によって調節することで、電流センサ1の測定可能な範囲を調節できる。
なお、図16に示される電流センサ1においては、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が同じ方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向が同じ方向を向いているため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において外乱磁界の影響は等しく現れる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との差をとることで、外乱磁界の影響を十分に低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。
図17に示す電流センサ1は、図5に示す電流センサの第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを、第1の回路基板13a及び第2の回路基板13bの配置面において所定角度回転させた構成を有している(図17A、図17B参照)。具体的には、図17Cに示すように、電流センサ1は、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bの主感度軸方向が、誘導磁界Aに対して角度θ2をなすように構成されている。言い換えれば、第1の磁気センサ12aの主感度軸方向(矢印14a)は、電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aに対して平行ではない方向を向いており、第2の磁気センサ12bの主感度軸方向(矢印14b)は、電流線11を通流する被測定電流Iからの誘導磁界Aの方向と平行ではない方向を向いている。ただし、実施の形態1〜実施の形態6と同様、電流センサ1が誘導磁界Aに対して感度を有するように、主感度軸方向と誘導磁界Aの方向とは直交しない。つまり、θ2≠90°×n(nは整数)を満たしている。この電流センサ1においても、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bが受ける磁界の強さを角度θ2によって調節することで、電流センサ1の測定可能な範囲を調節できる。
なお、図17に示される電流センサ1においては、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの主感度軸方向が逆の方向を向き、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bのそれぞれの副感度軸方向が逆の方向を向いているため、第1の磁気センサ12aの出力及び第2の磁気センサ12bの出力において外乱磁界の影響は逆に現れる。このため、第1の磁気センサ12aの出力と第2の磁気センサ12bの出力との和をとることで、外乱磁界の影響を十分に低減し、電流測定精度の低下を抑制することができる。
このように、本実施の形態に係る電流センサ1は、主感度軸方向と誘導磁界Aとが所定の角度をなすように構成されているため、この角度を調節することで、電流センサ1の測定可能な範囲を調節できる。例えば、主感度軸方向が誘導磁界Aの方向と平行な方向を向くように配置された実施の形態1〜実施の形態6の電流センサ1より感度を低くして、測定可能な範囲を広げることができる。
なお、本実施の形態では、誘導磁界Aの方向と主感度軸方向とが所定の角度をなすように第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12bを回転させているが、第1の回路基板13a及び第2の回路基板13bを回転させるようにしても良い。また、副感度軸が誘導磁界Aの影響を受けないように、第1の回路基板13a及び第2の回路基板13b(又は、第1の磁気センサ12a及び第2の磁気センサ12b)を回転させて、誘導磁界Aに対する副感度軸方向を制御するようにしても良い。この場合、例えば、副感度軸方向を誘導磁界Aに対して直交させるようにすることで、副感度軸における誘導磁界Aの影響を抑制できる。
その他、本実施の形態は、他の実施の形態に示される構成と適宜組み合わせて実施可能である。
以上のように、本発明の電流センサ1は、主感度軸方向に加え副感度軸方向を制御することで、外乱磁界を十分にキャンセル可能にしている。これにより、電流測定精度の低下を抑制することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態における各構成要素の配置、大きさなどは適宜変更して実施することが可能である。また、電流線11を通流する被測定電流Iの向きは逆向きにすることもできる。また、上記実施の形態1〜実施の形態7に示す構成は、適宜組み合わせて実施することが可能である。その他、本発明は、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することができる。