JP5540419B2 - カーボンナノチューブシート及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、垂直配向したカーボンナノチューブをシート化したカーボンナノチューブシート及びその製造方法に関する。
本願は、2010年2月15日に、日本に出願された特願2010−030691号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
カーボンナノチューブ(carbon nanotube:CNT)は、炭素原子が六角網目状に配列したグラフェンシートが単層で又は多層で円筒状に丸まった、直径0.7〜100nm程度、長さ数μm〜数mm程度の中空構造の物質であり、優れた熱的・化学的安定性や力学的強度を有するのみならず、グラフェンシートの巻き方やチューブの太さなどによって異なる性質を有することから、将来の機械的材料や機能的材料等として期待されている。
しかしながら、カーボンナノチューブはそれを構成する原子のうち、表面を構成する原子の割合が高い。例えば、単層カーボンナノチューブでは構成原子が全て表面原子である。そのため、隣接するカーボンナノチューブ間のファンデルワールス力によって凝集しやすく、通常、複数本のカーボンナノチューブがバンドル(束)を形成したり、凝集体を形成して存在する。この高い凝集性は、カーボンナノチューブ1本で単独で優れた特性を有するカーボンナノチューブの応用の可能性を制限するものである。
シリコン(Si)や酸化シリコン(SiO)等の基板上に、カーボンナノチューブを垂直に配向させてカーボンナノチューブからなるシートを作製する方法が知られている(特許文献1〜4)。こうして作製された配向カーボンナノチューブシートではカーボンナノチューブがその軸方向をシートの厚み方向に揃えて並んでいる。そのため、導電性や熱伝導性が高い異方性を示し、様々な応用が期待されている。また、この作製方法ではカーボンナノチューブの直径および長さを均一に揃えることができるため、所望の厚みのカーボンナノチューブシートを作製できるという利点もある。カーボンナノチューブシートにおいても、カーボンナノチューブは基板上でバンドルをなして配向している。
尚、基板から、そのままの状態を維持してカーボンナノチューブシートを剥がすことは困難である。そのため、接着材を塗布したシートに貼り付けて剥離したり、軟化点温度以上まで加熱した樹脂をカーボンナノチューブに圧し付け、大きな圧力をかけて固定してから剥がすのが一般的である。
特許文献1では、高分子材料を、基板上に垂直配向したカーボンナノチューブに含浸させる方法が提案されている。
特許文献2では、カーボンナノチューブが垂直に配向した基板を、加熱した導電性ポリマーに高い圧力で押し付けることにより、カーボンナノチューブを導電性ポリマーに植え付けて基板上のカーボンナノチューブを導電性ポリマーに転写する方法が提案されている。
特許文献3では、カーボンナノチューブが垂直に配向した基板を導電性接着剤に押し付けることによりカーボンナノチューブを導電性接着剤に転写する方法が提案されている。
特許文献4では、基板(集電体)上に垂直に配向したカーボンナノチューブ間にモノマーを含浸させ、重合した後、炭化することにより、カーボンナノチューブ間に炭化物を充填したシートを基板上に形成してなる電極を作製する方法が提案されている。
特開2006−069165号公報 特開2004−030926号公報 特開2004−127737号公報 特開2007−035811号公報 特開2007−039623号公報
しかしながら、基板上に垂直配向したカーボンナノチューブは概ねバンドルを形成しており、樹脂やゴムなどの高い粘度を有する高分子材料をこのカーボンナンチューブのバンドル内に入り込ませることはできない。また、実用可能なカーボンナノチューブシートでは基板上にカーボンナノチューブが十分密集している必要がある。この場合、バンドル同士の間隔が更に小さいため、樹脂やゴムなどの高い粘度を有する高分子材料ではたとえ、粘度を下げたとしてもバンドル間にも十分には入り込むことできない。
従って、特許文献1で提案された方法では、基板上に十分密集して垂直配向したカーボンナノチューブにおいてはバンドル内にもバンドル間にも高分子材料が十分に入り込むことはできないため、高分子材料をカーボンナノチューブシート内に均一に充填させてカーボンナノチューブをシート化して固定することはできない。また、カーボンナノチューブシートの状態を維持したまま、基板から剥離することはできない。そのため、結局、カーボンナノチューブシートとして利用することはできない問題があった。
また、特許文献2で提案された方法でも同様に、基板上に十分密集して垂直配向したカーボンナノチューブにおいてはカーボンナノチューブのバンドル内にもバンドル間にも樹脂やゴムなどの高い粘度を有する高分子材料が十分に入り込むことはできないため、導電性ポリマーをカーボンナノチューブシート内に充填してカーボンナノチューブを固定することはできない。結局、事実上、転写はできないという問題がある。
また、特許文献3で提案された方法でも同様に、基板上に十分密集して垂直配向したカーボンナノチューブにおいてはバンドル内にもバンドル間にも高分子が十分に入り込むことはできない。さらには、カーボンナノチューブの高さが精度良く揃っていることが必要とされる。また、転写後のカーボンナノチューブシートは、カーボンナノチューブの一端のみが接着されているのみであり、カーボンナノチューブ自体がシート構造をしている訳ではなく不安定な自立状態であるため、そのままの状態ではカーボンナノチューブシートとして実用に耐えるものにならないという問題がある。加えて、導電性や熱伝導性の異方性は期待するほど得られない。
特許文献4で提案された方法はモノマーを含浸する工程を有する。しかし、特許文献1〜3と同様に、基板上に垂直に配向したカーボンナノチューブはバンドルを形成しており、モノマーであってもバンドル内に入り込むことはできない。他方、モノマーであれば、バンドル間に入り込むことはできるが、バンドルしているカーボンナノチューブの間に入り込ませることは困難である。そのため、カーボンナノチューブが均一に配列した状態でカーボンナノチューブシートを作成することができない問題があった。したがって、カーボンナノチューブシートの面方向の導電率や熱伝導度は不均一であってその特性が安定せず、また、異方性も安定した性能が得られない問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、1本1本のカーボンナノチューブが孤立した状態で高分子材料が充填され、面内の物性について究極の均一性を有し、単独のカーボンナノチューブの物性を利用できるカーボンナノチューブシート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意検討を行なった結果、概ねバンドルをなすカーボンナノチューブ群を基板上に垂直配向させた後、溶液中の孤立分散技術(例えば、特許文献5)を適用してそのカーボンナノチューブの凝集(バンドル)を解いて1本1本のカーボンナノチューブを孤立した状態にし、その後、孤立状態のカーボンナノチューブの間にモノマーを含浸し、それを重合することによって、カーボンナノチューブの一本一本が孤立した状態のまま、樹脂により固めたカーボンナノチューブシートの作製に成功した。加えて究極の均一性を有する、樹脂により固定されたカーボンナノチューブシートを作製するという画期的なアイデアに想到し、本発明を完成させた。
本発明は上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
(1)カーボンナノチューブと高分子材料とからなる(comprising)カーボンナノチューブシートであって、
前記カーボンナノチューブは孤立状態であり、
その軸方向を前記カーボンナノチューブシートの厚み方向に配向し、
前記カーボンナノチューブ間は前記高分子材料に充填され
前記カーボンナノチューブの長さが10μm以上であるカーボンナノチューブシート。
(2)前記カーボンナノチューブの端部が前記カーボンナノチューブシートのおもて面及び/又は裏面から突出している(1)に記載のカーボンナノチューブシート。
(3)前記カーボンナノチューブの端部が前記高分子材料内に埋没しており、前記カーボンナノチューブシートのおもて面及び裏面のいずれの面からもカーボンナノチューブが突出していない(1)に記載のカーボンナノチューブシート。
(4)前記カーボンナノチューブシートの面方向におけるカーボンナノチューブの占有率が0.001%以上である(1)から(3)のいずれか一つに記載のカーボンナノチューブシート。
(5)前記カーボンナノチューブシートの厚さ方向の体積抵抗率(ρ)と面方向の体積抵抗率(ρ)との比ρ/ρが50以上である(1)から(4)のいずれか一つに記載のカーボンナノチューブシート。
)前記高分子材料が充填されている厚さが前記カーボンナノチューブの長さの0.5%〜150%である(1)に記載のカーボンナノチューブシート。
)基板と、複数のカーボンナノチューブがバンドルをなして前記基板に対して垂直配向するカーボンナノチューブ群とを備えた配向カーボンナノチューブ基材を、両性分子含有溶液に浸漬(immerse)する工程と、
前記浸漬された配向カーボンナノチューブ基材を乾燥させる工程と、
前記乾燥させた配向カーボンナノチューブ基材にモノマーを含浸(impregnate)する工程と、
前記モノマーを重合してカーボンナノチューブ間をポリマーで充填されたカーボンナノチューブシートを前記基板上に形成する工程と、
前記基板から前記カーボンナノチューブシートを剥離する工程と、を備えるカーボンナノチューブシートの製造方法。
)基板と、複数のカーボンナノチューブがバンドルをなして前記基板に対して垂直配向するカーボンナノチューブ群とを備えた配向カーボンナノチューブ基材を、両性分子含有溶液に浸漬する工程と、
前記配向カーボンナノチューブ基材を洗浄溶媒で洗浄する工程と、
鉛直方向下向きの状態にされた前記配向カーボンナノチューブ基材にモノマーを含浸する工程と、
前記モノマーを重合してカーボンナノチューブシートを前記基板上に形成する工程と、
前記基板から前記カーボンナノチューブシートを剥離する工程と、を備え、
前記基板両性分子含有溶液の浸漬から前記モノマーの含浸までの間に、前記配向カーボンナノチューブ基材を乾燥させないカーボンナノチューブシートの製造方法。
)前記両性分子は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマー、ポリペプチド、3−(N,N−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホネート(CHAPSO)、n−ドデシル−N,N'−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、n−ヘキサデシル−N,N'−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、n−オクチルホスホコリン、n−ドデシルホスホコリン、n−テトラデシルホスホコリン、n−ヘキサデシルホスホコリン、ジメチルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルベタイン、およびレシチンからなる群から選択される(7)又は(8)に記載のカーボンナノチューブシートの製造方法。
10)前記配向カーボンナノチューブ基材の面方向における垂直配向したカーボンナノチューブの占有率が0.001%以上である(7)〜(9)のいずれか一つに記載のカーボンナノチューブシートの製造方法。

本発明のカーボンナノチューブシートの製造方法においては例えば、水溶性溶媒と両性界面活性剤などの両性分子を混合した溶液に、基板上に垂直配向したカーボンナノチューブをそのままの状態で浸漬することで、基板上に配向したままでカーボンナノチューブを孤立状態とする。次いで、水溶性溶媒を乾燥・気化させることで、両性分子が孤立配向したカーボンナノチューブ間を埋めた状態を形成する。この状態の配向カーボンナノチューブ群をモノマー中に浸漬し、重合・硬化(・架橋)処理を行って高分子シート化し、基板から剥離することでカーボンナノチューブシートを得る。
本発明における「カーボンナノチューブは孤立状態であり」とは、全てのカーボンナノチューブが孤立している場合だけでなく、少なくとも30%以上のカーボンナノチューブが孤立している場合を含む。
本発明における「その軸方向は前記カーボンナノチューブシートの厚み方向に配向し」とは、カーボンナノチューブシート中のカーボンナノチューブの大部分(典型的には50個数%以上)が、基板表面に対して垂直方向していることをいう。なお、垂直配向とは、基材表面に対して略直交する方向および該方向と同等視しうる程度にやや傾斜した方向を包含する。
本発明における「基板に対して垂直配向する」についても、「その軸方向は前記カーボンナノチューブシートの厚み方向に配向し」と同様である。
本発明のカーボンナノチューブシートによれば、カーボンナノチューブが孤立状態であり、その軸方向はシートの厚み方向に配向し、カーボンナノチューブ間は前記高分子材料に充填された構成であり、高分子がカーボンナノチューブの配向方向に充填されているので、配向状態が安定して自立しており、カーボンナノチューブ脱離が生じない。そのため、シートのままの状態で活用することができ、かつ、カーボンナノチューブシートをプレスしたり、伸ばしたりすることができる。
また、カーボンナノチューブシートに圧力をかけたり、引っ張り応力をかけたりすることでカーボンナノチューブ間の距離が変化するため、抵抗値の測定や微小な電流値の測定などを組み合わせることでカーボンナノチューブシートをセンサーなどに応用できる。
さらにまた、垂直配向した状態のカーボンナノチューブは孤立状態にあるため、単位面積当たりの導電性や熱伝導性等の物性、あるいはそれらの面方向対厚さ方向の異方性について安定した性能を有する。
本発明のカーボンナノチューブシートの製造方法によれば、製造されたカーボンナノチューブシートの厚さ方向の物性は単独のカーボンナノチューブの積算であるから、シート面積の大きさを選択することによって、容易にかつ高精度で所望の厚さ方向の物性を有するカーボンナノチューブシートを得ることができる。例えば、厚さ方向の電気伝導度は単独のカーボンナノチューブの電気伝導度の積算であるから、カーボンナノチューブシートのシート面積の大小でカーボンナノチューブシートの厚さ方向の電気伝導度が制御されたカーボンナノチューブシートを得ることができる。
また、配向カーボンナノチューブ基材を両性分子含有溶液に浸漬する工程において浸漬時間等の条件を制御することにより、基板上のカーボンナノチューブを全て孤立状態にすることもできるし、その一部のみを孤立状態にし、バンドル状態を残すこともできる。これによって、カーボンナノチューブシートの物性を制御することができる。
また、配向カーボンナノチューブ基材にモノマーを含浸する工程の条件を制御することにより、カーボンナノチューブの端部をシートのおもて面及び/又は裏面から突出させることもできるし、高分子材料内に埋没させてシートのおもて面及び裏面のいずれの面からもカーボンナノチューブが突出していないようにすることもできる。カーボンナノチューブを高分子材料内に埋没させる場合は例えば、基板側のカーボンナノチューブの端面を剥離後に、その面に高分子材料層を形成すればよい。
また、配向カーボンナノチューブ基材の作製段階において基板の面方向におけるカーボンナノチューブの占有率を調整することにより、基板の面方向におけるカーボンナノチューブの占有率が所望の占有率例えば、0.001%以上であるカーボンナノチューブシートを製造することができる。
また、配向カーボンナノチューブ基材の作製段階においてカーボンナノチューブの長さを調整し、また、配向カーボンナノチューブ基材にモノマーを含浸する工程の条件を制御して1本1本のカーボンナノチューブの離間距離を調整することにより、カーボンナノチューブシートの体積抵抗率の異方性(すなわち、厚さ方向の体積抵抗率(ρ)と面方向の体積抵抗率(ρ)との比ρ/ρ)が所望の大きさ例えば、50以上であるカーボンナノチューブシートを製造することができる。
また、配向カーボンナノチューブ基材の作製段階においてカーボンナノチューブの長さを長尺のものとすることにより、所望の長さ例えば、10μm以上のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブシートを製造することができる。
また、配向カーボンナノチューブ基材の作製段階においてカーボンナノチューブの長さを長尺のものとし、また、配向カーボンナノチューブ基材にモノマーを含浸する工程の条件を制御して高分子材料の充填厚さを調整することにより、厚いシートであってかつ所望厚さの高分子材料が充填されたカーボンナノチューブシート、例えば、カーボンナノチューブの長さが10μm以上であって、かつ、高分子材料が充填されている厚さがカーボンナノチューブの長さの0.5%〜150%であるカーボンナノチューブシートを製造することができる。
溶液中のカーボンナノチューブの孤立分散の原理を説明するための模式図である。 溶液中のカーボンナノチューブの孤立分散の原理を説明するための模式図である。 溶液中のカーボンナノチューブの孤立分散の原理を説明するための模式図である。 本発明のカーボンナノチューブシートの写真である。 本発明のカーボンナノチューブシートの写真である。 本発明のカーボンナノチューブシートの電子顕微鏡写真(上面図)である。 本発明のカーボンナノチューブシートの電子顕微鏡写真(上面図)である。 本発明のカーボンナノチューブシートの電子顕微鏡写真(上面図)である。 本発明のカーボンナノチューブシートの電子顕微鏡写真(上面図)である。 従来のカーボンナノチューブシートの電子顕微鏡写真(上面図)である。 本発明のカーボンナノチューブシートの電子顕微鏡写真(断面図)である。 本発明のカーボンナノチューブシートの電子顕微鏡写真(断面図)である。 本発明のカーボンナノチューブシートの電子顕微鏡写真(上面図)である。
以下、本発明を適用した一実施形態であるカーボンナノチューブシート及びその製造方法について詳細に説明する。
[第1のカーボンナノチューブシートの製造方法]
<配向カーボンナノチューブ基材作製工程>
まず、複数のカーボンナノチューブがバンドルをなして垂直配向したカーボンナノチューブ群を基板上に備えた配向カーボンナノチューブ基材を作製する。
基板上に複数のカーボンナノチューブがバンドルをなして垂直配向させる方法としては、特に限定されることなく公知の手法を用いることができる。
具体的には、炭素電極間にアーク放電を発生させ、放電用電極の陰極表面に成長させる方法(アーク放電法)、シリコンカーバイドにレーザービームを照射して加熱・昇華させる方法(レーザー蒸発法)、遷移金属系触媒を用いて炭化水素を還元雰囲気下の気相で炭化する方法(化学的気相成長法:CVD法)、熱分解法、プラズマ放電を利用する方法などがある。基板上に複数のカーボンナノチューブがバンドルをなして垂直配向させる方法としては、化学的気相成長法(CVD法)を好適に用いることができる。
化学的気相成長法(CVD法)として、例えば、基板(シリコン基板)の少なくとも片面上に、ニッケル、コバルト、鉄などの金属の錯体を含む溶液をスプレーや刷毛で塗布した後、加熱して形成した皮膜上に、あるいは、クラスター銃で打ち付けて形成した皮膜上に、アセチレンガスを用いて一般的な化学的気相成長法(CVD法)を施すことにより、基板と直径10〜40nm程度の複数のカーボンナノチューブがバンドルをなして基板に対して垂直配向するカーボンナノチューブ群とを備えた配向カーボンナノチューブ基材を作製できる。
配向カーボンナノチューブ基材上の配向カーボンナノチューブの長さは、原料の添加量、合成圧力、CVD反応時間によって調整できる。CVD反応時間を長くとることにより、配向カーボンナノチューブの長さを数mmまで伸ばすことができる。
配向カーボンナノチューブ基材を構成する配向カーボンナノチューブの1本の太さは、基板に形成する触媒膜の厚みによって制御できる。触媒膜を薄くすることにより、触媒粒子径を小さくすることができ、CVD法で形成した配向カーボンナノチューブの直径は細くなる。逆に、触媒膜を厚くすることにより触媒粒子径を大きくすることができ、配向カーボンナノチューブの直径は太くなる。
触媒の粒子径を均一に制御し、かつ、密に配置することで、単位面積当たりのカーボンナノチューブの本数を多く成長させることができ、密集した配向カーボンナノチューブ基材ができる。
より具体的な配向カーボンナノチューブ基材の作製方法を以下に例示する。
まず、基板上に触媒粒子を形成し、触媒粒子を核として高温雰囲気で原料ガスからカーボンナノチューブを成長させる。
基板としては触媒粒子を支持するものであればよく、触媒が流動化・粒子化する際に動きを妨げない平滑度がある材料が好ましい。特に結晶性シリコン基板は平滑性や価格の面、耐熱性の面で最も利用しやすい材料である。触媒金属に対する基板材質の反応性は低いものが望ましい。シリコン基板の場合、化合物が形成されるため表面を酸化処理や窒化処理を行ったものが望ましい。また、反応性の低いアルミナ他の金属酸化物を表面に形成した後、触媒金属膜を形成して利用することが望ましい。例えば、結晶性シリコン基板の表面に酸化膜(SiO)を形成した基板、窒化膜(Si)を形成した基板があげられる。
触媒粒子としては例えば、ニッケル、コバルト、鉄などの金属粒子があげられる。
これらの金属またはその錯体等の化合物の溶液をスピンコート、スプレー、バーコーター、インクジェットで基板に塗布し、またはクラスター銃で基板に打ち付ける。その後、乾燥させ、必要であれば加熱し、皮膜を形成する。この皮膜の厚みは0.4〜100nm、好ましくは0.5〜10nm程度であることが好ましい。10nmを超えると、700℃程度の加熱による粒子化が困難になる。
次いで、この皮膜を、好ましくは減圧下または非酸化雰囲気下で、500℃〜1000℃好ましくは650〜800℃に加熱すると、直径0.4〜50nm程度の触媒粒子が形成される。このように触媒粒子を形成し、粒子径を均一にすると、カーボンナノチューブが高密度化する。
カーボンナノチューブの原料ガスとしては、アセチレン、メタン、エチレン等の脂肪族炭化水素が適宜用いられるが、その中でもアセチレンガスが好ましく、アセチレン濃度が99.9999%であるような超高純度なアセチレンガスがより好ましい。原料ガス純度が高い方が品質の良いカーボンナノチューブができる。また、アセチレンの場合、多層構造で太さ0.5〜40nmのカーボンナノチューブが核としての触媒粒子から、基板に対して垂直にかつ一定方向に配向成長してブラシ状に形成される。
また、上記の化学的気相成長法(CVD法)におけるカーボンナノチューブの形成温度は、500℃〜1000℃であり、好ましくは650〜800℃である。
配向カーボンナノチューブ基材の作製工程は以上の手順で行うことができる。
<両性分子含有溶液浸漬工程>
まず、分散液中で、両性分子がカーボンナノチューブバンドルを開繊して(open)、1本1本のカーボンナノチューブに孤立分散させる原理について説明する。
複数のカーボンナノチューブバンドルを構成するカーボンナノチューブの少なくとも一部分に両性分子が付着する。複数のカーボンナノチューブバンドルのうち、一のカーボンナノチューブバンドルを構成するカーボンナノチューブに付着した両性分子が、隣接する他のカーボンナノチューブバンドルを構成するカーボンナノチューブに付着した両性分子と電気的に引き合うことにより、カーボンナノチューブバンドルを構成する各カーボンナノチューブを孤立分散させる。
図1A〜図1Cを用いて、詳細に説明する。
両性分子は正電荷および負電荷を有し、これらの分子はカーボンナノチューブバンドルの表面上で自己組織化両性単分子膜(self-assembled zwitterionic monolayer:以下「SAZM」と略記する)を形成する。
カーボンナノチューブバンドルを覆うSAZMは、双極子間の強い電気的相互作用によって、他のカーボンナノチューブバンドルを覆うSAZMと静電的に結合する傾向がある。この静電的な力によって混合物中の各カーボンナノチューブバンドルが互いに引っ張りあうことにより、カーボンナノチューブバンドルを構成する各カーボンナノチューブの引き剥がれが起き、新たなカーボンナノチューブバンドルの表面が露出する。新しく露出した表面は、新たにSAZMによって覆われる。以上の反応が、カーボンナノチューブバンドルを構成するカーボンナノチューブが完全に孤立分散するまで繰り返されるので、最終的にはカーボンナノチューブが完全に孤立分散する。
カーボンナノチューブバンドル1と両性分子5と安定剤とを混ぜると、両性分子5は、まず、両性分子間の電気的引力によって自己組織化し、二量体または四量体になる。この時、安定剤は、両性分子5の疎水部と水素結合を形成し、二量体または四量体を構成する両性分子間の結合を安定にする。安定剤はなくても構わないので、ここでは図示しない。
次に、これらのSAZM構成要素(両性分子の二量体または四量体)は、カーボンナノチューブバンドル1の表面に付着し、構成要素間で会合して、カーボンナノチューブバンドル1の表面にSAZMを形成する(図1A)。この時、隣り合う両性分子5間で、同じ極性を有する領域が接近すると斥力が働いてしまう。そのため、両性分子5は、図1A〜図1Cのように正電荷と負電荷が交互になるようにSAZMを構成する。
カーボンナノチューブバンドル1を覆うSAZMは、双極子間の強い電気的相互作用によって、他のカーボンナノチューブバンドルを覆うSAZMと静電的に結合する。このような双極子間の電気的相互作用は容易に起こり、静置しておくだけで十分である。この時、この静電的な力によって各カーボンナノチューブバンドルが互いに引っ張りあうことにより、カーボンナノチューブバンドル1を構成する各カーボンナノチューブ3の引き剥がしが起き、両性分子が吸着していないカーボンナノチューブが露出する(図1B)。
この新しく露出した表面は、新たに両性分子5によって覆われる。以上の反応が、カーボンナノチューブバンドルを構成するカーボンナノチューブが完全に孤立分散するまで繰り返されるので、最終的にはカーボンナノチューブ3が両性分子5によって完全に孤立分散する(図1C)。
本発明において、配向カーボンナノチューブ基材上に配向したカーボンナノチューブバンドルを開繊する両性分子含有溶液としては、バンドル状態で存在するカーボンナノチューブを溶液中で孤立分散状態にできる分散剤として用いられる両性分子を含む溶液であれば、好適に用いることができる。そのような両性分子としては特に限定されないが、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマー、ポリペプチド等の両性高分子、および、3−(N,N−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホネート(CHAPSO)、n−ドデシル−N,N'−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、n−ヘキサデシル−N,N'−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、n−オクチルホスホコリン、n−ドデシルホスホコリン、n−テトラデシルホスホコリン、n−ヘキサデシルホスホコリン、ジメチルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルベタイン、レシチン等の両性高分子及び両性界面活性剤などから選択することができる。
また、安定剤として、例えばグリセロール、多価アルコール、ポリビニルアルコール、アルキルアミンなどの水素結合を形成する物質を加えてもよい。
また、両性分子含有溶液を調製するための液体媒体は、使用する両性分子との組み合わせで、カーボンナノチューブバンドルを孤立状態で分散させ得るものであれば特に限定されず、例えば、水、アルコール、及びこれらの組み合わせ等の水性溶媒、並びに、シリコンオイル、四塩化炭素、クロロホルム、トルエン 、アセトン、及びこれらの組み合わせ等の非水性溶媒(油性溶媒)を挙げることができるが、非水性溶媒が好適である。
両性分子含有溶液浸漬工程は、両性分子含有溶液が満たされた容器内に、配向カーボンナノチューブ基材全体を基板ごと浸漬して、30分以上、好ましくは2時間以上、より好ましくは24時間以上状態を保持することによって行う。また、温度は特に限定されないが、20℃〜50℃が好ましく、25℃から40℃がより好ましい。
<乾燥工程>
次に、配向カーボンナノチューブ基材を両性分子含有溶液から取り出して乾燥する。
カーボンナノチューブは極めて高い疎水性を有するため、自然乾燥でも良いが、好ましくは乾燥機などを使用し、溶媒の沸点温度に10〜20℃を加えた温度で1時間以上、さらに好ましくは4時間以上の処理を行う。
<モノマー含浸工程>
次に、乾燥させた配向カーボンナノチューブ基材にモノマーを含浸する。
含浸方法としては、基板上のカーボンナノチューブの垂直配向が維持される限り、公知の手法を用いることができる。具体的には、例えば、ポッティング法、キャスティング法、スピンコート法、ディップ法、スプレー法などがあげられる。
モノマーとしては重合してポリマーとなる重合性モノマーであれば、特に限定されるものではない。
ポリマーとしては例えば、熱硬化性樹脂(前駆体を含む)、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴムなどがあげられるが、可撓性を有するポリマーが好ましい。
本発明に用いられるモノマーによって得られるポリマーの具体例としては、例えば、エポキシ樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ユリア樹脂、架橋型アクリル樹脂、アリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、アニリン樹脂などの熱硬化性樹脂(前駆体を含む);ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂、脂環式炭化水素樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂(低密度から高密度の各種ポリエチレン、アイソタクチック・ポリプロピレン、アタクチック・ポリプロピレン、シンジオタクチック・ポリプロピレンなど)、ABS樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、シリコーン樹脂などの熱可塑性樹脂;天然ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、フッ素含有ゴムなどのゴム;TPO樹脂(オレフィン系熱可塑性エラストマー)、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンの水添体、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水添体、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマー;メトキシメチル化ナイロン、ポリビニルアルコール、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリブタジエン樹脂などの光硬化性樹脂;及び上記の樹脂に光硬化型官能基を含有する光硬化性樹脂などがあげられる。可撓性を有するポリマーに好適なものが多いが、中でも、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、RTV(室温硬化型)シリコーンゴム、液状ゴム、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などが好ましく、これらを構成するモノマーが好ましく用いられる。尚、これらのモノマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
具体的には例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、メトキシメチル(メタ)アクリレート、n−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、iso−プロポキシエチル(メタ)アクリレート、n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、iso−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、tert−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−n−プロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシ−n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、α−(トリ)フルオロメチルアクリレートメチルエステル、α−(トリ)フルオロメチルアクリレートエチルエステル、α−(トリ)フルオロメチルアクリレート2−エチルヘキシルエステル、α−(トリ)フルオロメチルアクリレート−n−プロピルエステル、α−(トリ)フルオロメチルアクリレート−iso−プロピルエステル、α−(トリ)フルオロメチルアクリレート−n−ブチルエステル、α−(トリ)フルオロメチルアクリレート−iso−ブチルエステル、α−(トリ)フルオロメチルアクリレート−tert−ブチルエステル、α−(トリ)フルオロメチルアクリレートメトキシメチルエステル、α−(トリ)フルオロメチルアクリレートエトキシエチルエステル、α−(トリ)フルオロメチルアクリレート−n−プロポキシエチルエステル、α−(トリ)フルオロメチルアクリレート−iso−プロポキシエチルエステル、α−(トリ)フルオロメチルアクリレートn−ブトキシエチルエステル、α−(トリ)フルオロメチルアクリレート−iso−ブトキシエチルエステル、α−(トリ)フルオロメチルアクリレートtert−ブトキシエチルエステル等の直鎖または分岐骨格構造を持つ(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−ヒドロキシスチレン、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシスチレン、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシスチレン、p−tert−パーフルオロブチルスチレン、p−(2−ヒドロキシ−iso−プロピル)スチレン等の芳香族アルケニル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸;及び(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、塩化ビニル、酢酸ビニル、エチレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルピロリドン等のその他のモノマーが挙げられる。これらは、必要に応じて1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)の場合は、テレフタル酸とエチレングリコールとから作製することができる。
なお、本発明においては、固体状態の溶液化、粘度の調整などの目的のために、モノマーに溶媒を適宜加えてもよい。
モノマーに用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;ならびに、水、各種水溶液、液化炭酸、超臨界状炭酸、およびメチルイミダゾールに代表されるような、いわゆるイオン性液体などがあげられる。これらの溶媒は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
モノマーの含浸は、以下のように行う。
(1)配向カーボンナノチューブ基材の片面におけるカーボンナノチューブの端部をポリマーから突出させたい場合、あるいは配向カーボンナノチューブ基材の両面におけるカーボンナノチューブの端部をポリマーから突出させたい場合は、モノマー溶液液面から重合による体積変化を考慮して所望の突出長さ分だけ配向カーボンナノチューブ基材のカーボンナノチューブの先端が出るように、配向カーボンナノチューブ基材をモノマー溶液が満たされた容器内に浸漬する。
(2)配向カーボンナノチューブ基材の両面におけるカーボンナノチューブの端部をポリマーから突出させない場合は、配向カーボンナノチューブ基材全体をモノマー溶液が満たされた容器内に、浸漬させる。浸漬の直後に重合処理に移行しても良いが、好ましくは30分以上、より好ましくは2時間以上浸漬状態を保持し、配向カーボンナノチューブ基材にモノマーを含浸させる。
尚、配向カーボンナノチューブ基材の両面におけるカーボンナノチューブの端部をポリマーから突出させない場合は、上記状態で一旦重合処理を行い、基板からシートを剥離し、再度、基板側にモノマーを上塗りし、重合(ポリマー化)する必要がある。
<重合工程>
次に、配向カーボンナノチューブ基材に含浸されたモノマーを重合することにより、カーボンナノチューブ間をポリマーで充填したカーボンナノチューブシートを基板上に形成する。
重合反応としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、イオン重合、開環重合、脱離重合、重付加反応、重縮合反応等が用いられ、特に限定されるものではない。
具体的には、エチレングリコールとテレフタル酸の2分子から直接ポリエステルを合成する直接エステル化法、上記2分子から合成されるビスヒドロキシエチルテレフタレートを真空中にて270℃以上で加熱することによってポリエステルを合成する溶融重縮合反応などが考えられる。
この重合工程に次いで、加熱乾燥、加熱硬化、および/または光照射により成形する成形工程を行ってもよい。
加熱乾燥による成形工程とは、重合したポリマーを架橋反応や硬化反応を伴わずに加熱処理することをいう。かかる処理を行うことにより、耐熱性、耐溶剤性、弾性などの物性を向上したカーボンナノチューブシートを得ることができる。
加熱硬化による成形工程とは、重合したポリマーを熱架橋反応や熱硬化反応を伴うように加熱処理することをいう。かかる処理を行うことにより、熱硬化反応や熱架橋反応を起こして分子量を増大させながら網目状の三次元構造を形成し、耐熱性、耐溶剤性、弾性などの物性を向上したシートを得ることができる。
光照射による成形工程とは、重合したポリマーを光架橋反応や光硬化反応を伴うように光照射処理することをいう。かかる処理を行うことにより、光硬化反応や光架橋反応を起こして分子量を増大させながら網目状の三次元構造を形成し、耐熱性、耐溶剤性、弾性などの物性を向上したシートを得ることができる。
これらの成形工程は、上記のものを単独で行ってもよく、また2種または3種を組み合わせて行ってもよい。
<剥離工程>
次に、カーボンナノチューブ間をポリマーで充填されたカーボンナノチューブシートを基板から剥離する。
剥離工程では、重合処理直後、そのまま剥離することもできるが、より好ましくは、イオン交換水等の溶液中で剥離を行うと、カーボンナノチューブシートが剥離中に切れるなどして破損することを防止できる。
また、剥離工程は、粘着力が弱い粘着テープを基板上のカーボンナノチューブシートに貼り付けて引き剥がすことによって行ってもよい。
また、剥離工程は、配向カーボンナノチューブ基材に振動を加えて、基板とカーボンナノチューブシートとの結合を弱めてから行ってもよい。
カーボンナノチューブシートは、単独で使用してもよく、また2種以上を張り合わせて使用してもよい。また、2種以上を張り合わせて使用する場合にはシート間に接着剤層、バインダー層などを適宜設けてもよい。
また、カーボンナノチューブシートの表面には、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、またはシリカ粉等による離型および防汚処理;酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、アンカーコート処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理;ハードコート処理などの離型処理;ならびに、塗布型、練り込み型、蒸着型などの静電防止処理を必要に応じて適宜行ってもよい。
[第2のカーボンナノチューブシートの製造方法]
本発明の第2のカーボンナノチューブシートの製造方法について、詳細に説明する。
第1のカーボンナノチューブシートの製造方法に対する第2のカーボンナノチューブシートの製造方法の相違点は、配向カーボンナノチューブ基材を乾燥させる工程を有しない点と、配向カーボンナノチューブ基材にモノマーを含浸する工程において前記配向カーボンナノチューブ基材を鉛直方向下向きの状態にする点と、前記基板両性分子含有溶液の浸漬から前記モノマーの含浸までの間に、前記配向カーボンナノチューブ基材を乾燥させない点である。
第2のカーボンナノチューブシートの製造方法においては、配向カーボンナノチューブ基材を両性分子含有溶液に浸漬し、洗浄溶媒で洗浄した後、配向カーボンナノチューブ基材が乾燥することを防ぎながら、配向カーボンナノチューブ基材を鉛直方向下向きの状態にする。次いで、この状態のまま前記配向カーボンナノチューブ基材にモノマーを含浸する。このような操作を行うことにより、基板に対して垂直配向するカーボンナノチューブが基板上に倒れることを防止することができる。
なお、洗浄溶媒としては、イオン交換水や純水等が挙げられる。また、カーボンナノチューブは極めて高い疎水性を有するため、乾燥を防ぐように、洗浄工程の後迅速にモノマー浸漬工程に移行する。
通常、配向カーボンナノチューブ基材を両性分子含有溶液に浸漬すると、カーボンナノチューブのバンドルは開繊するとともに、このカーボンナノチューブには両性分子等の分散剤及び溶媒等が付着する。したがって、この状態でカーボンナノチューブを乾燥させると、カーボンナノチューブの垂直配向が、付着物を含むカーボンナノチューブの重量及び溶媒の表面張力により維持できなくなり、カーボンナノチューブが基板上に倒れる可能性が発生する。垂直配向が崩れると、配向カーボンナノチューブ基材へのモノマーの浸透性が悪くなる。このような不具合は、基板上のカーボンナノチューブの密度が低い場合に顕著である。
第2のカーボンナノチューブシートの製造方法は、上記不具合を防止することを目的としている。
また、前記配向カーボンナノチューブ基材にモノマーを含浸する際には、モノマー溶液が満たされた容器の底面にカーボンナノチューブが押し付けられて潰れることを防止するために、数百μm〜数mmの厚さを有するスペーサーを上記容器に設けることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。但し、これらの実施例はあくまでも本発明を容易に理解するためのものであって、本発明をこれによって限定する趣旨ではない。
(実施例1)
図2A及び図2Bに、本発明の第1のカーボンナノチューブシートの製造方法を適用して製造したカーボンナノチューブシートの例を示す。
このカーボンナノチューブシートは、6インチ(15cm)の酸化膜付きシリコン基板上に作製したものである。ポリマーが高配向カーボンナノチューブ全面に浸透しており、シリコン基板上に成長した高配向カーボンナノチューブを100%剥離・転写することに成功していることがわかる。
実施例1のカーボンナノチューブシートは以下の手順で作製した。
<配向カーボンナノチューブ基材作製工程>
(1)6インチの酸化膜付きシリコン基板に、スパッタによって鉄触媒を4.0nmの厚さで蒸着した。
(2)石英製の反応炉内にHe(100%)を導入し、不活性雰囲気下において、赤外線加熱ヒーターによりシリコン基板を700℃まで加熱した。
(3)シリコン基板が700℃に達したら、石英製の反応炉内にCを、C:He=46:54になるように導入し、CVD処理を2分行った。
(4)(1)〜(3)の結果、シリコン基板上に総重量68mg、高さ150μmの高配向カーボンナノチューブA(配向カーボンナノチューブ基材)を得た。
<両性分子含有溶液浸漬工程および乾燥工程>
(1)濃度1.0mmolのヨウ化ナトリウム水溶液300ccに、両性界面活性剤として3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホネート(CHAPS)を3.4g(高配向カーボンナノチューブAに対して50倍)加え、超音波ホモジナイザー(BRANSON SONIFIER 450.20kHz)にて10分間の分散処理を行い、分散溶液Bを作製した。
(2)ステンレス製の角型容器(長さ30cm×幅17cm×深さ5cm)を分散溶液Bで満たし、高配向カーボンナノチューブAを基板ごと分散溶液Bに浸漬した。この角型容器を減圧乾燥機(ヤマト科学株式会社製、減圧乾燥機DP32)内に入れ、室温(常温;25℃前後)のまま−73mmHgGまで減圧処理を行い、2時間放置した。
(3)その後、減圧乾燥機の設定温度を120℃とし4時間状態を保持し、高配向カーボンナノチューブAおよび分散溶液Bを乾燥処理した。
(4)減圧乾燥機の設定温度を常温にし、圧力を大気圧に設定し、孤立分散された高配向カーボンナノチューブCを得た。
<モノマー含浸工程>
(1)エチレングリコールとテレフタル酸をモル比1.6:1.0の割合で混ぜたモノマー溶液Dを300cc作製し、ステンレス製の角型容器(長さ30cm×幅17cm×深さ5cm)をモノマー溶液Dで満たした。
(2)ステンレス製の角型容器内のモノマー溶液Dに、孤立分散された高配向カーボンナノチューブCを基板ごと高配向カーボンナノチューブの先端が僅かに出るよう浸漬した。この角型容器を減圧乾燥機内に入れ、圧力−73mmHgG、温度255℃にて2時間の反応処理を行い、ビスヒドロキシエチルテレフタレートを主成分とするオリゴマーが含浸された高配向カーボンナノチューブEを得た。
<重合工程>
(1)ビスヒドロキシエチルテレフタレートを主成分とするオリゴマーが含浸された高配向カーボンナノチューブEに、重縮合触媒として三酸化アンチモンをテレフタル酸のモル数に対し100ppm添加し、圧力−73mmHgG、温度275℃にて4時間の反応処理を行った。
(2)減圧乾燥機からステンレス製の角型容器を取り出し、余分な溶融ポリマーを除去し、カーボンナノチューブ間にポリエステルが充填された高配向カーボンナノチューブFを得た。
<剥離工程>
(1)シリコン基板が十分に冷えた後、ポリエステルが充填された高配向カーボンナノチューブFをシリコン基板から剥離し、高配向カーボンナノチューブからなるポリマー転写膜G(カーボンナノチューブシート)を得た。
図3A〜図3Dに、図2A及び図2Bで示したカーボンナノチューブシートの電子顕微鏡(FE−SEM)(日本電子株式会社製JSM−6700F(3.0kV))写真を示す。
また、図4に、比較例として、従来の方法で作製したカーボンナノチューブシートの電子顕微鏡(FE−SEM)写真を示す。
比較例のカーボンナノチューブシートは以下の手順で作製した。
(1)上記実施例の<配向カーボンナノチューブ基材作製工程>と同様の手順で作製した高配向カーボンナノチューブAを、1cm×2cmの大きさにカットした(カーボンナノチューブH)。
(2)分子量が1万程度と通常のふっ素樹脂(分子量:数十万)より小さく、流動性が高いリサイクルPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)であるTFW−3000(株式会社セイシン企業製、平均粒径5μm)を硝子製の灰皿(3cm×6cm×深さ5mm)に敷き詰め、カーボンナノチューブHをカーボンナノチューブの配向面がPTFEと触れる向き(下向き)になるように設置した。
(3)カーボンナノチューブHの基板裏から、重さ2kgの重石を載せた。
(4)このカーボンナノチューブHを灰皿ごと真空置換電気炉(東海高熱工業株式会社製、TVS−200・200・400)の中に設置し、10Paの高真空状態とし、PTFE(TFW−3000)の融点である360℃で4時間の加熱を実施した。
(5)上記実施例の<剥離工程>と同様の手順で剥離工程を行ってシリコン基板から剥離し、比較例のカーボンナノチューブシートを得た。
図4のSEM写真から、比較例のカーボンナノチューブシートではPTFEが高配向カーボンナノチューブの表面に堆積されているだけでカーボンナノチューブとPTFEとは分離しており、高配向カーボンナノチューブ間に充填されていないことがわかる。
従来のカーボンナノチューブシートでは、外観上もPTFEは十分に充填されておらず、SEMでも充填が不十分であることが確認できた。
これに対して、図3A〜図3DのSEM写真から、本発明のカーボンナノチューブシートではポリエステルが高配向カーボンナノチューブ間に充填されていることがわかる。また、図3Dの50000倍のSEM写真には単独のカーボンナノチューブが見てとれる。
本発明のカーボンナノチューブシートでは、単独のカーボンナノチューブ間にポリエステルが充填されていることが確認できた。
(実施例2)
本発明の第2のカーボンナノチューブシートの製造方法を適用して製造したカーボンナノチューブシートの例を示す。実施例2のカーボンナノチューブシートは以下の手順で作製した。
<配向カーボンナノチューブ基材作製工程>
実施例1と同様の手順で高配向カーボンナノチューブA(配向カーボンナノチューブ基材)を得た。
<両性分子含有溶液浸漬工程及び洗浄工程>
(1)濃度1mmolのヨウ化ナトリウム水溶液300ccに、両性界面活性剤として3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホネート(CHAPS)を3.4g(高配向カーボンナノチューブAに対して50倍)加え、超音波ホモジナイザー(株式会社エスエムテー製、ULTRA SONIC HOMOGENIZER UH−50、50W、20kHz)にて10分間の分散処理を行い、分散溶液Bを作製した。
(2)フッ素コーティングされた角型容器(長さ30cm×幅17cm×深さ5cm)を分散溶液Bで満たし、高配向カーボンナノチューブAを基板ごと分散溶液Bに浸漬した。この時、基板を鉛直方向上向きの状態で配置した。この角型容器を真空恒温槽内に入れ、真空下36℃で24時間放置した。この工程により、孤立分散された高配向カーボンナノチューブCを得た。
(3)その後、高配向カーボンナノチューブCをイオン交換水で洗浄し、高配向カーボンナノチューブCが乾く前にモノマー含浸工程に移行した。
<モノマー含浸工程>
(1)エチレングリコールとテレフタル酸をモル比1.6:1.0の割合で混ぜたモノマー溶液Dを300cc作製し、ステンレス製の角型容器(長さ30cm×幅17cm×深さ5cm)をモノマー溶液Dで満たした。また、角型容器の底面の直径150cmの範囲内に、600μmの厚さを有するスペーサーを4箇所設けた。
(2)角型容器内のモノマー溶液Dに、高配向カーボンナノチューブCを基板ごと浸漬した。この時、基板を上記スペーサー上に鉛直方向下向きの状態で配置した。この角型容器を減圧乾燥機内に入れ、圧力−73mmHgG、温度255℃にて2時間の反応処理を行い、ビスヒドロキシエチルテレフタレートを主成分とするオリゴマーが含浸された高配向カーボンナノチューブEを得た。
<重合工程>
(1)ビスヒドロキシエチルテレフタレートを主成分とするオリゴマーが含浸された高配向カーボンナノチューブEに、重縮合触媒として三酸化アンチモンをテレフタル酸のモル数に対し100ppm添加し、圧力−73mmHgG、温度275℃にて4時間の反応処理を行った。
(2)減圧乾燥機から角型容器を取り出し、余分な溶融ポリマーを除去し、カーボンナノチューブ間にポリマーが充填された高配向カーボンナノチューブFを得た。
<剥離工程>
実施例1と同様の手順でポリマー転写膜G(カーボンナノチューブシート)を得た。
図5A〜図5Cに、実施例2で得られたカーボンナノチューブシートの電子顕微鏡(FE−SEM)(日本電子株式会社製JSM−6700F(3.0kV))写真を示す。これらのSEM写真から、本発明のカーボンナノチューブシートでは高配向カーボンナノチューブが垂直配向を良好に維持していることが判明した。特に、図5Aから、得られた高配向カーボンナノチューブの高さが約100μm以上であることが判明した。また、図5B及び図5Cから、ポリマーが高配向カーボンナノチューブ間に良好に浸透しており、垂直配向の維持に寄与していることが判明した。
本発明のカーボンナノチューブシートは、異方導電性シートとして用いることで液晶ディスプレイ(LCD)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(有機ELD)、電界放出ディスプレイ(FED)などディスプレイの基板として使用できる。また、本発明のカーボンナノチューブシートは、高密度・高アスペクト比であるカーボンナノチューブ転写膜として用いることで、燃料電池、Liイオン電池などの電極材などとして利用できる。

Claims (10)

  1. カーボンナノチューブと高分子材料とからなるカーボンナノチューブシートであって、
    前記カーボンナノチューブは孤立状態であり、
    その軸方向は前記カーボンナノチューブシートの厚み方向に配向し、
    前記カーボンナノチューブ間は前記高分子材料に充填され
    前記カーボンナノチューブの長さが10μm以上であるカーボンナノチューブシート。
  2. 前記カーボンナノチューブの端部が前記カーボンナノチューブシートのおもて面及び/又は裏面から突出している請求項1に記載のカーボンナノチューブシート。
  3. 前記カーボンナノチューブの端部が前記高分子材料内に埋没しており、前記カーボンナノチューブシートのおもて面及び裏面のいずれの面からもカーボンナノチューブが突出していない請求項1に記載のカーボンナノチューブシート。
  4. 前記カーボンナノチューブシートの面方向におけるカーボンナノチューブの占有率が0.001%以上であること請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブシート。
  5. 前記カーボンナノチューブシートの厚さ方向の体積抵抗率(ρ)と面方向の体積抵抗率(ρ)との比ρ/ρが50以上である請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブシート。
  6. 前記高分子材料が充填されている厚さが前記カーボンナノチューブの長さの0.5%〜150%である請求項1に記載のカーボンナノチューブシート。
  7. 基板と、複数のカーボンナノチューブがバンドルをなして前記基板に対して垂直配向するカーボンナノチューブ群とを備えた配向カーボンナノチューブ基材を、両性分子含有溶液に浸漬する工程と、
    前記浸漬された配向カーボンナノチューブ基材を乾燥させる工程と、
    前記乾燥させた配向カーボンナノチューブ基材にモノマーを含浸する工程と、
    前記モノマーを重合してカーボンナノチューブ間をポリマーで充填されたカーボンナノチューブシートを前記基板上に形成する工程と、
    前記基板から前記カーボンナノチューブシートを剥離する工程と、を備えるカーボンナノチューブシートの製造方法。
  8. 基板と、複数のカーボンナノチューブがバンドルをなして前記基板に対して垂直配向するカーボンナノチューブ群とを備えた配向カーボンナノチューブ基材を、両性分子含有溶液に浸漬する工程と、
    前記配向カーボンナノチューブ基材を洗浄溶媒で洗浄する工程と、
    鉛直方向下向きの状態にされた前記配向カーボンナノチューブ基材にモノマーを含浸する工程と、
    前記モノマーを重合してカーボンナノチューブシートを前記基板上に形成する工程と、
    前記基板から前記カーボンナノチューブシートを剥離する工程と、を備え、
    前記基板両性分子含有溶液の浸漬から前記モノマーの含浸までの間に、前記配向カーボンナノチューブ基材を乾燥させないカーボンナノチューブシートの製造方法。
  9. 前記両性分子は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマー、ポリペプチド、3−(N,N−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホネート(CHAPSO)、n−ドデシル−N,N'−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、n−ヘキサデシル−N,N'−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、n−オクチルホスホコリン、n−ドデシルホスホコリン、n−テトラデシルホスホコリン、n−ヘキサデシルホスホコリン、ジメチルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルベタイン、およびレシチンからなる群から選択される請求項7又は請求項8に記載のカーボンナノチューブシートの製造方法。
  10. 前記配向カーボンナノチューブ基材の面方向における垂直配向したカーボンナノチューブの占有率が0.001%以上である請求項7ないし請求項9のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブシートの製造方法。
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