JP6002077B2 - 透明導電膜およびその製造方法 - Google Patents

透明導電膜およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6002077B2
JP6002077B2 JP2013083656A JP2013083656A JP6002077B2 JP 6002077 B2 JP6002077 B2 JP 6002077B2 JP 2013083656 A JP2013083656 A JP 2013083656A JP 2013083656 A JP2013083656 A JP 2013083656A JP 6002077 B2 JP6002077 B2 JP 6002077B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cnt
transparent conductive
conductive film
substrate
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013083656A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014207116A (ja
Inventor
幸志 室
幸志 室
尊 矢嶋
尊 矢嶋
健太朗 三好
健太朗 三好
文志 古月
文志 古月
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hokkaido University NUC
Oike and Co Ltd
Taiyo Nippon Sanso Corp
Original Assignee
Hokkaido University NUC
Oike and Co Ltd
Taiyo Nippon Sanso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hokkaido University NUC, Oike and Co Ltd, Taiyo Nippon Sanso Corp filed Critical Hokkaido University NUC
Priority to JP2013083656A priority Critical patent/JP6002077B2/ja
Publication of JP2014207116A publication Critical patent/JP2014207116A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6002077B2 publication Critical patent/JP6002077B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、多層のカーボンナノチューブを用いた透明導電膜、およびその製造方法に関する。
透明導電膜は透明なプラスチック基材等の上に透過率の高い導電層を設け、透明でありながら電気導電性を備えたフィルムである。主には液晶パネルやタッチパネルなどに採用されている。導電層を形成する材料としてはITOが主流であるが、原料となるインジウムの供給に不安があることから、代替材料の検討が進められている。ITOの代替材料として、導電性高分子、金属ナノ材料などと並んでカーボンナノチューブが検討されている。
カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と略記することがある)は炭素原子で構成されるグラフェンシートが筒状に、通常は直径100[μm]以下の太さに、巻かれたチューブ状材料である。CNTは電気特性や機械特性に優れ、比重が小さいため、種々の応用が期待されている。その複合材は電子部品、自動車部品など多くの分野において様々な成形体として使用できる可能性が示されている。例えば、樹脂やセラミックスなどに帯電防止のために導電性を与えること、熱膨張を抑えるために熱伝導性を与えることが検討されている。そして、これら複合材料の1つとして、透明導電膜が検討されている。例えば、特許文献1には透明基材の少なくとも片面上にCNTを含有する層を形成した透明導電性フィルムが記載されている。
特開2008−177143号公報
CNTは、グラフェンシートの層が一層である単層CNT(single-walled carbon nanotube、SWNT)と多層である多層CNT(multi-walled carbon nanotube、MWNT)に分類できる。また、グラフェンシートの層が二層であるものは、特にDWNT(double-walled carbon nanotube)と称されることがある。CNTのうち層数の少ないものは、通常レーザーアブレーション法やアーク法を用いて製造され、結晶度が高いため、導電性などの特性に優れることが多い。一方、透明導電膜では特に優れた光透過率と導電性が求められる。そのため、CNTを用いた透明導電膜に関する従来の研究ではSWNT、またはSWNTと層数の少ないMWNTが用いられた。特許文献1に記載された透明導電性フィルムでも、内径3[nm]以上のCNTの50%以上は層数が単層から5層であるとする。
しかしながら、SWNTには製造コストが高いことと、径が細いため折れやすいという問題があった。これに対してMWNT、特に層数が多いものでは、製造コストは安いもののアスペクト比が小さく(太くて短い)、結晶性が低く欠陥が多いため、透明導電膜に求められる光透過率と導電性を両立させることが難しかった。
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、MWNTを用いて、光透過率と導電性を高いレベルで両立できる透明導電膜を提供することを目的とする。また、かかる透明導電膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の透明導電膜は、透明基材と、カーボンナノチューブとマトリクス材料を含む透明導電層とを有する。そして、前記カーボンナノチューブは、多層のカーボンナノチューブであり、長さが10〜5000[μm]であり、本数が前記導電層単位面積当たり1×10〜1×1014[本/m]である。
ここで、CNTの導電層単位面積当たりの本数、すなわち本数密度は、走査型電子顕微鏡(SEM)による複数視野の観察によって求めることができる。
CNTの長さとCNTの本数密度をこのような範囲とすることによって、MWNTを用いながら、透明導電膜の光透過率と導電性を高いレベルで両立することができる。
好ましくは、前記透明導電膜は、表面抵抗率が10000[Ω/□]以下であり、かつ全光線透過率が80%以上である。ここで、表面抵抗率はJISK7194に規定する4探針法によって測定することができる。また、全光線透過率とは、CIEの標準の光D65の平行入射光束に対する全透過光束の割合をいい、JISK7361−1:1997(ISO13468−1:1996に対応)に規定する方法で、透明基材と反対側から光束を入射して測定した値をいう。透明導電膜の特性をこのような範囲とすることによって、より多くの用途に利用できる。
また、好ましくは、前記カーボンナノチューブが3〜50層の多層カーボンナノチューブである。
また、好ましくは、前記カーボンナノチューブは、励起波長632.8[nm]で得られるラマンスペクトルにおいてGバンドに出現するピークの強度IとDバンドに出現するピークの強度Iの比G/Dが0.7以上である。ここで、Gバンドとは、波数1580[cm−1]付近に出現する、グラファイト構造に起因するピークである。Dバンドとは、波数1360[cm−1]付近に出現する、各種欠陥に起因するピークである。IおよびIは、それぞれのピークの高さを意味する。
また、好ましくは、前記カーボンナノチューブの平均バンドル数が20本以下である。ここで、CNTの平均バンドル数は、SEMによる複数視野の観察と動的光散乱(DLS)法によって求めることができる。具体的にはSEMでCNTの平均長さを求め、DLS法で粒度分布を求めることによってCNTの疑似直径を求めることができる。
また、好ましくは、前記カーボンナノチューブの量が前記導電層単位面積当たり1.2×10[μg/m]〜1.2[g/m]である。
上記の好ましい構成のいずれかまたは複数を採用することによって、透明導電膜の光透過率と導電性をより高いレベルで両立することができる。
また、前記カーボンナノチューブが前記基材上に直接塗工されたものである場合にあっては、好ましくは、前記基材は、前記導電層との界面の粗さRaが5[nm]以下である。ここで、Raは、JISB0601:2001の定義による。
本発明の透明導電膜製造方法は、表面抵抗が10000[Ω/□]以下で全光線透過率が80%以上である透明導電膜の製造方法であって、透明な第1の基材を準備する工程と、長さが10〜250[μm]である多層のカーボンナノチューブと分散剤である両性分子を含むカーボンナノチューブ分散液を準備する工程と、前記第1の透明基材上に前記分散液を塗布・乾燥してカーボンナノチューブの導電層単位面積当たりの本数(本数密度)が1×10〜1×1014[本/m]であるカーボンナノチューブ層を形成する工程と、前記カーボンナノチューブ層を洗浄して分散液を除去する工程と、前記カーボンナノチューブ層上からマトリクス材料の原料液を塗布・硬化する工程とを有する。
本発明の他の透明導電膜製造方法は、表面抵抗が10000[Ω/□]以下で全光線透過率が80%以上である透明導電膜の製造方法であって、第1の基材を準備する工程と、長さが10〜250[μm]である多層のカーボンナノチューブと分散剤である両性分子を含むカーボンナノチューブ分散液を準備する工程と、前記第1の基材上に前記分散液を塗布・乾燥してカーボンナノチューブの導電層単位面積当たりの本数(本数密度)が1×10〜1×1014[本/m]であるカーボンナノチューブ層を形成する工程と、前記カーボンナノチューブ層を洗浄して分散液を除去する工程と、透明な第2の基材を準備する工程と、前記第2の基材上にマトリクス材料の原料液を塗布する工程と、前記マトリクス材料が硬化する前に、前記カーボンナノチューブ層と前記マトリクス材料の層を圧着する工程と、前記マトリクス材料を硬化する工程と、前記第1の基材を剥離する工程とを有する。
前記いずれかの製造方法において、好ましくは、前記第1の基材の表面粗さRaが5[nm]以下である。このように平滑な基材上にCNT分散液を塗工することによって、透明導電膜の光透過率と導電性をより高いレベルで両立することができる。
本発明の透明導電膜またはその製造方法によれば、安価な多層のカーボンナノチューブを用いて、透明導電膜の光透過率と導電性を高いレベルで両立することができる。
本発明の実施例1の透明導電膜のSEM像である。 本発明の一実施形態にかかる透明導電膜の膜構造を模式的に示す図である。 本発明の第1の実施形態の透明導電膜の製造工程を示す図である。 本発明の第2の実施形態の透明導電膜の製造工程を示す図である。 両性分子によるカーボンナノチューブの分散の原理を説明するための図である。
本発明の第1の実施形態にかかる透明導電膜について、まずその構造を図に基づいて説明する。
図2は本実施形態の透明導電膜の断面構造を模式的に示す。本実施形態の透明導電膜10は透明な基材11と導電層12からなる。導電層12は、多層のCNT(MWNT)13によって形成された網目構造14と、網目構造14の空隙に入り込んだマトリクス材料15からなる。マトリクス材料15によってCNT13は基材に強固に固定され、網目構造14の強度が補強されている。図1は本実施形態の透明導電膜10の導電層12側から見た走査型電子顕微鏡(SEM)像である。長尺のCNT13が高度に分散されて網目構造14を形成していることが確認できる。
本実施形態の透明導電膜10は、高い導電性と透明性を両立している。両者は相反する特性であり、CNT13の密度や接点数を多くすると導電性は上がるが透明性が下がるという関係にある。透明導電膜の特性は、好ましくは、表面抵抗率が10000[Ω/□]以下で全光線透過率が80%以上であり、さらに好ましくは表面抵抗率が1000[Ω/□]以下で全光線透過率が80%以上であり、よりいっそう好ましくは表面抵抗率が300[Ω/□]以下で全光線透過率が85%以上である。このような好ましい導電性、透明性を有するごとに、より多くの用途に適用可能となる。
本実施形態の基材11は、透明であれば、その材料は特に限定されず、各種の樹脂フィルム、ガラスシート等を用いることができる。また、CNT13が基材上に直接塗工されて網目構造14が形成されたものである場合は、好ましくは、基材11は、導電層12との界面の粗さRaが5[nm]以下である。これにより、透明導電膜10の導電性をより向上させることができる。
本実施形態の導電層12は、実質的にCNT13とマトリクス材料15からなる。しかし、これに限定されるものではなく、他に何らかの機能を有する材料、例えば耐熱性向上のために少量の無機酸化物微粒子を含んでいてもよい。また、実質的にCNTとマトリクス材料からなる場合であっても、通常は、製造工程に由来する溶媒・分散剤等の残留物を含んでいる。また、CNTの網目構造14およびマトリクス材料15の層の厚さは特に限定されない。
本実施形態の導電層12に含まれるCNT13は、多層のCNTであり、層の数が3〜50層であることが好ましい。層数がこれより少ないと製造コストが高くなり、これより多いと透明性が損なわれ易くなり、透明導電膜の求められる導電性と透明性を両立することが難しくなるからである。さらに好ましくは、層の数は4〜12層である。CNTの層数は透過電子顕微鏡像(TEM像)を観察することによって求めることができる。
前記CNT13の径は、層数に大きく依存するが、一般に1〜80[nm]であり、5〜20[nm]であることが好ましい。
前記CNT13の長さは、10[μm]以上であることを要する。CNT13がこれより短いと、所望の導電性を得るためにCNTの本数密度を大きくする必要があり、透明性を損なうからである。一方、CNT13の長さは、5000[μm]以下であることを要する。CNT13がこれより長いと、これを高度に分散させることが難しくなり、結果として透明性と導電性の両立が困難になるからである。好ましくは、CNT13の長さは50〜600[μm]である。
前記CNT13は、結晶性(直線性)が良いことが好ましく、具体的には、励起波長632.8[nm]で得られるラマンスペクトルにおいてGバンドに出現するピークの強度IとDバンドに出現するピークの強度Iの比G/Dが0.7以上であることが好ましく、8.0以上であることがさらに好ましい。CNTではGバンドのピークの分裂が観測されることがあるが、その場合はピーク強度Iとして高い方のピーク高さを採用すればよい。このように結晶性の良いCNTを用いると、結晶性の悪いものに比べてCNTの単位長さ当たりの抵抗が小さいので、同じ量のCNTを用いたときに透明導電膜の導電性をより向上させることができる。したがって、透明導電膜の光透過率と導電性をより高いレベルで両立させることができる。G/Dの値は、公知のラマン分光分析装置を用いて求めることができる。
前記CNT13の網目構造14において、CNT13の本数が導電膜単位面積当たり1×10〜1×1014[本/m]であることを要する。本数密度がこれより小さいと、所望の導電性を得ることが難しく、本数密度がこれより大きいと、所望の透明性を得ることが難しいからである。本実施形態の導電層12において、CNT13同士が接点で電気的に結合されることにより、網目構造14の全体にわたる導電性が確保される。しかしながら、接点の電気抵抗はCNT自体の抵抗と比べて格段に大きいため、短いCNTを用いて接点を多くすることは好ましくない。本実施形態では長さが10[μm]以上であるような長尺のCNTを用いることによって、本数密度を減らしても導電膜の導電性を確保することができる。
CNT同士の接点数密度は導電層12に含まれるCNTの単位面積当たりの量と密接に関連している。さらに、CNTの長さが同じ場合には、CNTの量が多いことは接点数が多いこと、CNTの量が少ないことは接点数が少ないこととほぼ対応している。そのため、本実施形態の透明導電膜において、CNTの単位面積当たりの量は1.2×[μg/m]〜1.2[g/m]であることが好ましい。
前記CNT13の平均バンドル数は20本以下であることが好ましく、5本以下であることがさらに好ましい。本実施形態においては、後述するようにCNTが単分散であることを基本とするが、もし局所的に大きなバンドルが存在する場合には、平均バンドル数をこの範囲とすることが好ましい。CNTはその形状からファンデルワールス力による凝集力が強く、バンドル化し易い。CNTが太いバンドルを形成すると、網目構造14中でCNT単位量当たりの接点数が減り、結果として導電性が悪くなる。
本実施形態の導電層12に含まれるマトリクス材料15は、CNTの網目構造14の空隙に入り込んでいる。これにより、網目構造14自体が補強されるとともに、CNT13と基材11の接着がより強固なものとなる。
前記マトリクス材料15としては、透明な各種の有機または無機の材料を用いることができる。基材11がフレキシブルに変形可能な場合は、変形時に膜構造が破壊されないために、マトリクス材料15もフレキシブルであることが好ましい。また、製造方法の容易性の点から、原料液等の状態で網目構造14の空隙を埋めた後にその場で硬化できるものであることが好ましい。また、基材11として耐熱性に限界のある樹脂フィルムなどを用いる場合には、UV等の電磁線で硬化するものであることがさらに好ましい。具体的には、各種の樹脂、有機−無機複合材料などを好適に用いることができ、UV硬化型または熱硬化型の樹脂を特に好適に用いることができる。
次に、上記第1の実施形態の透明導電膜について、製造方法を説明する。
本実施形態の製造方法は、透明基材上にCNT層、マトリクス材料層を順次形成していく方法である。この方法は、図3に示すように、概略、透明な第1の基材を準備する工程と、CNT分散液を準備する工程と、CNT分散液を塗工してCNT層を形成する工程と、CNT層を洗浄する工程と、マトリクス材料を塗工する工程とを有する。
第1の基材としては、前述のとおり、透明である各種の樹脂フィルム、ガラスシート等を準備することができる。第1の基材のCNTを塗工する面は、平滑であることが好ましく、具体的には平均表面粗さRaが5[nm]以下であることが好ましい。このような基材を用いると、透明導電膜10の導電性をより向上させることができる。その原因は必ずしも明らかでないが、表面が平滑な基材を用いると、同じCNT分散液を塗工しても、CNT13の偏りが少なく、密度や分散状態がより均一な網目構造14が形成されるためと考えられる。この基材表面の平滑性の影響はCNTの塗工方法には依らず、バーコート法でもグラビア法でも同様の傾向が確認された。
本実施形態で用いる長尺のCNTは、基板上に複数のCNTをバンドルを成して垂直配向させる方法によって製造することができる。その方法としては、特に限定されることなく公知の手法を用いることができる。具体的には、炭素電極間にアーク放電を発生させ、放電用電極の陰極表面に成長させる方法(アーク放電法)、シリコンカーバイドにレーザービームを照射して加熱・昇華させる方法(レーザー蒸発法)、遷移金属系触媒を用いて炭化水素を還元雰囲気下の気相で炭化する方法(化学的気相成長法:CVD法)、熱分解法、プラズマ放電を利用する方法などがある。中でも、化学的気相成長法(CVD法)を好適に用いることができる。CVD法による長尺CNTの製造方法の詳細は後述する。
本実施形態で用いるCNT分散液は、前記長尺のCNTと分散剤と溶媒を含む。分散剤としては、両性分子を用いることによって、CNTバンドルを開繊して、高度な分散状態を得ることができる。両性分子は、溶液中でCNTを孤立分散状態にできるものであれば特に限定されないが、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマー、ポリペプチド等の両性高分子、および、3−(N,N−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホネート(CHAPSO)、n−ドデシル−N,N'−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、n−ヘキサデシル−N,N'−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、n−オクチルホスホコリン、n−ドデシルホスホコリン、n−テトラデシルホスホコリン、n−ヘキサデシルホスホコリン、ジメチルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルベタイン、レシチン等の両性高分子及び両性界面活性剤などから選択することができる。両性分子によって高度な分散状態が得られる原理の詳細は後述する。
前記CNT分散液の分散媒としては、使用する両性分子との組み合わせでCNTバンドルを孤立状態で分散させ得るものであれば特に限定されず、例えば、水、アルコール、及びこれらの組み合わせ等の水性溶媒、並びに、シリコンオイル、四塩化炭素、クロロホルム、トルエン 、アセトン、及びこれらの組み合わせ等の非水性溶媒(油性溶媒)を用いることができる。
また、CNT分散液には、安定剤として、例えばグリセロール、多価アルコール、ポリビニルアルコール、アルキルアミンなどの水素結合を形成する物質を加えてもよい。
また、CNTを分散させる際には、超音波ミル、ビーズミル、ジェットミル、湿式微粉化装置等の物理的手法を併用してもよい。
CNT分散液を第1の基材上に塗工する方法としては、グラビアコーティング、ダイコーティング、スプレーコーティング、バーコーティング、キャスティング、ディップコーティングなど公知の方法を用いることができる。その後、熱風オーブン等を用いて乾燥することにより、第1の基材上に網目構造を有するCNT層が形成されたフィルムを得ることができる。
前記得られたフィルムは、依然として分散剤、安定剤等を含んでいる。このような不純物が残留すると透明導電膜の導電性が損なわれるので、フィルムの洗浄が行われる。洗浄方法は、水洗浄と酸洗浄を組み合わせることが好ましい。具体的には、例えば、フィルムを水中に1分間程度浸漬させた後、3Mの硝酸水溶液に1分間程度浸漬させ、さらに水で酸を洗浄した後、熱風オーブン等を用いて乾燥することができる。他の洗浄剤としては、過酸化水素、過硫酸系試薬(過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等)、水酸化試薬(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等)、炭酸水素ナトリウムなどを用いることができる。また、同じまたは異なる洗浄剤を用いて複数回の洗浄を行ってもよい。
前記マトリクス材料としては、前述のとおり、透明な各種の有機または無機の材料を用いることができ、UV硬化型または熱硬化型の樹脂を特に好適に用いることができる。具体的には、これらの樹脂を固形分濃度として3重量%程度含む溶液を原料液として用いることができる。マトリクス材料を塗工する方法としては、グラビアコーティング、ダイコーティング、スプレーコーティング、バーコーティング、キャスティング、ディップコーティングなどの公知の方法を用いることができる。原料液塗工後、UV照射、加熱その他の材料の種類に応じた方法で硬化させる。
次に、本発明の第2の実施形態の透明導電膜について説明する。本実施形態の透明導電膜は、その構造および特性は第1の実施形態の透明導電膜と基本的に同じであり、製造方法が異なる。
本実施形態の製造方法は、CNT層とマトリクス材料層をそれぞれ別の基材上に形成した後、これを圧着して転写する方法である。この方法は概略、第1の基材を準備する工程と、CNT分散液を準備する工程と、第1の基材上にCNT分散液を塗工してCNT層を形成する工程と、CNT層を洗浄する工程と、透明な第2の基材を準備する工程と、第2の基材上にマトリクス材料を塗工する工程と、マトリクス材料が硬化する前にCNT層とマトリクス材料層を圧着する工程と、マトリクス材料を硬化する工程と、第1の基材を剥離する工程とを有する。
上記各工程の内、第1の基材を準備する工程〜CNT層を洗浄する工程は、第1の基材が透明でなくてもよいことを除いて、第1の実施形態と同じである。
次に、第1の基材とは別に、透明な第2の基材を準備し、その表面にマトリクス材料を塗工する。第2の基材は、透明であればよく、特に限定されず、第1の基材と同様の物を用いることができる。マトリクス材料およびその塗工方法についても、第1の実施形態と同様である。CNT層が形成された第1の基材とマトリクス材料液が塗工された第2の基材は、マトリクス材料を硬化させる前に、CNT層およびマトリクス材料液層を内側にして圧着される。具体的には、2つのフィルムを0.1〜1MPaの圧力でラミネートすることができる。ラミネート後、マトリクス材料を硬化させ、第1の基材を剥離することによって、本実施形態の透明導電膜が得られる。
このようにCNT層を転写すると、製造した透明導電膜の表面において、CNT層の露出の程度が均一になり、またCNT層表面の平坦性が良くなる。そのため、透明導電膜の導電性が向上し、安定する。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、用いられる基材の表面には、ハードコート層や反射防止層やCNTの固定化のための易接着層が設けられていてもよい。
ここで、CVD法によって長尺CNTを製造する方法について、以下に詳述する。
化学的気相成長法(CVD法)として、例えば、基板(シリコン基板)の少なくとも片面上に、ニッケル、コバルト、鉄などの金属の錯体を含む溶液をスプレーや刷毛で塗布した後、加熱して形成した皮膜上に、あるいは、クラスター銃で打ち付けて形成した皮膜上に、脂肪族炭化水素を用いて一般的な化学的気相成長法(CVD法)を施すことにより、直径0.5〜50[nm]程度の複数のCNTがバンドルを成して基板に対して垂直配向するCNT群とを備えた長尺CNT基材を作製できる。
長尺CNT基材上の長尺CNTの長さは、原料の添加量、合成圧力、CVD反応時間によって調整できる。CVD反応時間を長くとることにより、長尺CNTの長さを数ミリメートルまで伸ばすことができる。長尺CNT基材を構成する長尺CNTの1本の太さは、基板に形成する触媒膜の厚みによって制御できる。触媒膜を薄くすることにより、触媒粒子径を小さくすることができ、CVD法で形成した長尺CNTの直径は細くなる。逆に、触媒膜を厚くすることにより触媒粒子径を大きくすることができ、長尺CNTの直径は太くなる。触媒の粒子径を均一に制御し、かつ、密に配置することで、単位面積当たりのCNTの本数を多く成長させることができ、密集した長尺CNT基材ができる。
より具体的な長尺CNT基材の作製方法を以下に例示する。
まず、基板上に触媒粒子を形成し、触媒粒子を核として高温雰囲気で原料ガスからCNTを成長させる。
基板としては触媒粒子を支持するものであればよく、触媒が流動化・粒子化する際に動きを妨げない平滑度がある材料が好ましい。特に結晶性シリコン基板は平滑性や価格の面、耐熱性の面で最も利用しやすい材料である。触媒金属に対する基板材質の反応性は低いものが望ましい。シリコン基板の場合、化合物が形成されるため表面を酸化処理や窒化処理を行ったものが望ましい。また、反応性の低いアルミナ他の金属酸化物を表面に形成した後、触媒金属膜を形成して利用することが望ましい。例えば、結晶性シリコン基板の表面に酸化膜(SiO)を形成した基板、窒化膜(Si)を形成した基板があげられる。
触媒粒子としては例えば、ニッケル、コバルト、鉄などの金属粒子があげられる。これらの金属またはその錯体等の化合物の溶液をスピンコート、スプレー、バーコーター、インクジェット、スリットコータで基板に塗布し、またはクラスター銃で基板に打ち付ける。その後、乾燥させ、必要であれば加熱し、皮膜を形成する。この皮膜の厚みは0.5〜100[nm]、好ましくは0.5〜15[nm]程度であることが好ましい。15[nm]を超えると、700[℃]程度の加熱による粒子化が困難になる。
次いでこの皮膜を、好ましくは減圧下または非酸化雰囲気下で、500〜1000[℃]好ましくは650〜800[℃]に加熱すると、直径0.5〜50[nm]程度の触媒粒子が形成される。このように触媒粒子を形成し、粒子径を均一にすると、CNTが高密度化する。
CNTの原料ガスとしては、アセチレン、メタン、エチレン等の脂肪族炭化水素が適宜用いられるが、その中でもアセチレンガスが好ましく、アセチレン濃度が99.9999%であるような超高純度なアセチレンガスがより好ましい。原料ガス純度が高い方が品質の良いCNTができる。また、アセチレンの場合、核としての触媒粒子から多層構造で太さ0.5〜50[nm]のCNTが基板に対して垂直にかつ一定方向に配向成長してブラシ状に形成される。
また、上記の化学的気相成長法(CVD法)におけるCNTの形成温度は、500〜1000[℃]であり、好ましくは650〜800[℃]である
次に、長尺CNTの分散方法について、以下に詳細に説明する。
両性分子を分散剤として用いることによって、長尺CNTの高度な分散状態が得られる原理を、図5A〜Cに基づいて以下に詳述する。
まず、分散液中で、両性分子がカーボンナノチューブバンドル(CNTB)を開繊して、1本1本のCNTに孤立分散させる原理について説明する。
複数のCNTBを構成するCNTの少なくとも一部分に両性分子が付着する。複数のCNTBのうち、一のCNTBを構成するCNTに付着した両性分子が、隣接する他のCNTBを構成するCNTに付着した両性分子と電気的に引き合うことにより、CNTBを構成する各CNTを孤立分散させる。
両性分子は正電荷および負電荷を有し、これらの分子はCNTBの表面上で自己組織化両性単分子膜(self-assembled zwitterionic monolayer:以下「SAZM」と略記する)を形成する。CNTBを覆うSAZMは、双極子間の強い電気的相互作用によって、他のCNTBを覆うSAZMと静電的に結合する傾向がある。この静電的な力によって混合物中の各CNTBが互いに引っ張りあうことにより、CNTBを構成する各CNTの引き剥がれが起き、新たなCNTBの表面が露出する。新しく露出した表面は、新たにSAZMによって覆われる。以上の反応が、CNTBを構成するCNTが完全に孤立分散するまで繰り返されるので、最終的にはCNTが完全に孤立分散する。
CNTB21と両性分子25と安定剤とを混ぜると、両性分子25は、まず、両性分子間の電気的引力によって自己組織化し、二量体または四量体になる。この時、安定剤は、両性分子25の疎水部と水素結合を形成し、二量体または四量体を構成する両性分子間の結合を安定にする。安定剤はなくても構わないので、ここでは図示しない。
これらのSAZM構成要素(両性分子の二量体または四量体)は、CNTB21の表面に付着し、構成要素間で会合して、CNTB21の表面にSAZMを形成する(図5A)。この時、隣り合う両性分子5間で、同じ極性を有する領域が接近すると斥力が働いてしまう。そのため、両性分子5は、図5A〜図5Cのように正電荷と負電荷が交互になるようにSAZMを構成する。
CNTB21を覆うSAZMは、双極子間の強い電気的相互作用によって、他のCNTBを覆うSAZMと静電的に結合する。このような双極子間の電気的相互作用は容易に起こり、静置しておくだけで十分である。この時、この静電的な力によって各CNTBが互いに引っ張りあうことにより、CNTB21を構成する各CNT23の引き剥がしが起き、両性分子が吸着していないCNTが露出する(図5B)。
この新しく露出した表面は、新たに両性分子25によって覆われる。以上の反応が、CNTBを構成するCNTが完全に孤立分散するまで繰り返されるので、最終的にはCNT23が両性分子25によって完全に孤立分散する(図5C)。
このような原理に基づき使用できる両性分子の例は、前述のとおりである。
まず、前記第1の実施形態の具体的な実施例を以下に示す。
[工程1:長尺CNT作製]
6インチの酸化膜付きシリコン基板に、スパッタによって鉄触媒を3.0[nm]の厚さで蒸着した。石英製の反応炉内にNを導入し、不活性雰囲気下において、赤外線加熱ヒーターによりシリコン基板を720[℃]まで加熱した。シリコン基板が720[℃]に達したら、石英製の反応炉内にCを、C:N=45:55になるように導入し、CVD処理を60秒行った。結果として、6インチのシリコン基板上に総重量68[mg]、高さ150[μm]の長尺CNTを得た。
[工程2:長尺CNTの剥離]
ステンレス製のスクレーパーにて、シリコン基板上の長尺CNTを剥ぎ取り、回収した。
[工程3:アニール処理]
得られた長尺CNTの一部をカーボン製のるつぼに充填した。長尺CNTが充填されたカーボン製のるつぼを高温カーボン製電気炉(丸祥電器株式会社製)に挿入し、長尺CNTに対し2600[℃]にて2時間のアニール処理を実施した。
[工程4:結晶度評価]
長尺CNTおよびアニール処理した長尺CNTについて、ラマンスペクトルを測定し、励起波長632.8[nm]で得られるGバンドに出現するピークの強度IとDバンドに出現するピークの強度Iの比からG/Dを測定した。
[工程5:CNT分散液作製]
濃度1.0[mmol]のヨウ化ナトリウム水溶液500[mL]を作製した。両性界面活性剤として3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホネート(CHAPS)を1.0[g]用意した。ヨウ化ナトリウム水溶液に両性界面活性剤および長尺CNTを50[mg]加え、超音波ホモジナイザー(BRANSON SONIFIER 20[kHz])にて2時間の分散処理を行い、長尺CNT濃度0.01[重量%]のCNT分散液を得た。
[工程6:基材の準備]
CNT塗工用基材として、厚さ125[μm]のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意した。なお基材はプライマー処理を行っていないもの(帝人デュポンフィルム株式会社製、O4グレード)を使用した。
[工程7:透明導電膜用CNT分散液の作製]
前記CNT分散液29.1[g]に、基材との濡れを確保するため、濡れ剤(日油株式会社製、E−202S)を0.9[g]加え、超音波ホモジナイザー(Branson Ultrasonics Corporation製、BRANSON SONIFIER、20[kHz])にて2分間の分散処理を行い、濡れ剤濃度3.0[重量%]の透明導電膜用CNT分散液を得た。
[工程8:CNT層の作製]
基材に対し、ワイヤーバー(丸協技研株式会社製)を用いてバーコート法にて前記透明導電膜用CNT分散液を塗布した。透明導電膜用長尺CNT分散液を塗布した基材は、塗布後速やかに120[℃]に加熱された電気炉内に挿入し、1分間の乾燥処理を実施した。
[工程9:分散剤の除去]
40[℃]に加熱されたイオン交換水を準備した。乾燥処理が施された透明導電膜を前記温水に浸し、分散剤を洗浄除去した。温水処理された透明導電膜を、速やかに120[℃]に加熱された電気炉内に挿入し、1分間の2次乾燥処理を実施した。40[℃]に加熱された3[mol/L]の硝酸水溶液を準備した。2次乾燥処理された透明導電膜を前記硝酸水溶液に浸し、分散剤を洗浄除去した。硝酸水溶液処理を終了した透明導電膜を常温のイオン交換水に浸し、透明導電膜に付着した硝酸水溶液を洗浄除去した。前記透明導電膜を速やかに120[℃]に加熱された電気炉内に挿入し、1分間の3次乾燥処理を実施した。
[工程10:マトリクス層の作製]
メチルエチルケトン(MEK)とイソプロピルアルコール(IPA)の混合溶媒にUV硬化型アクリル樹脂液を固形部換算で1[重量%]加えて塗工液を作製した。この塗工液を、バーコート法にてCNT層の上から塗工した。塗工後の基材を80[℃]で1分間、溶媒を乾燥した後、紫外線を照射して樹脂を硬化させた。マトリクス層の厚さは50[nm]であった。以上の工程によって、透明導電膜のサンプルを得た。
[工程11:全光線透過率の測定]
作製した透明導電膜サンプルについて、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH4000)を用いて、JISK7361−1:1997(ISO13468−1:1996に対応)に規定する方法で全光線透過率を測定した。
[工程12:表面抵抗率の測定]
作製した透明導電膜サンプルについて、低抵抗率計(三菱化学株式会社製、ロレスタGP−MCP−T610)を用いて、JISK7194に規定する4探針法で表面抵抗率を測定した。
(実施例1および2)
工程8においてバーコートの厚さを変えることによって、実施例1および実施例2の透明導電膜を得た。乾燥処理後のCNT層の平均固層厚さは、実施例1では1.7[nm]、実施例2では1.1[nm]であった。
(実施例3および4)
工程1〜5および7〜12は実施例1と同じ方法で行い、工程6において実施例1とは異なる基材を用いて実施例3および実施例4の透明導電膜を作製した。実施例3では、厚さ125[μm]のPETフィルム(三菱樹脂株式会社製、O321)のプライマー処理が施された面(Ra=3[nm])にCNT分散液を塗工した。実施例4では、厚さ125[μm]のPETフィルム(東レ株式会社製、U347)のプライマー処理が施された面(Ra=5.8[nm])にCNT分散液を塗工した。
(実施例5)
工程2および4〜12は実施例1と同じ方法で行い、工程1で結晶度の低い長尺CNTを作製し(工程1’)、工程3(アニール処理)を行わないことにより実施例5の透明導電膜を作製した。工程1’は次のとおり実施した。6インチの酸化膜付きシリコン基板に、スパッタによって鉄触媒を3.0[nm]の厚さで蒸着した。石英製の反応炉内にNを導入し、不活性雰囲気下において、赤外線加熱ヒーターによりシリコン基板を700[℃]まで加熱した。シリコン基板が700[℃]に達したら、石英製の反応炉内にCを、C:N=70:30になるように導入し、CVD処理を90秒行った。結果として、6インチのシリコン基板上に総重量57[mg]、高さ150[μm]の長尺CNTを得た。
(比較例1および2)
工程3、4および6〜12は実施例と同じ方法で行い、工程1、2の代わりに市販のMWNTを用い、工程5において分散液中のCNT濃度を変えることによって比較例1および比較例2の透明導電膜を作製した。市販のMWNTはNanocyl社製、Nanocyl−7000(平均直径φ9.5[nm]、平均長さ1.5[μm]:カタログ値)を用いた。SEM観察によって前記平均直径、平均長さがカタログ値と相違しないことを確認した。分散液中のCNT濃度は0.1[重量%]とした。
(実施例6および比較例3)
工程1〜4および6〜12は実施例1と同じ方法で行い、工程5において実施例1とは異なる分散剤を用いることによって実施例6の透明導電膜および比較例3の透明膜を作製した。実施例6では、分散剤として陰イオン界面活性剤のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を1.0[g]用いた。比較例では、分散剤として、被覆分散剤である多糖類の水溶性キシランを1.0[g]用いた。
表1−1及び表1−2に、実施例1〜6、比較例1〜3の作製条件と評価結果を示す。
表1−1及び表1−2に示した結果から、いくつかの好ましい条件によって、透明導電膜の光透過率と導電性を高いレベルで両立できることが分かった。実施例1、3、4の比較から、基材表面が平滑であるほど、同じ全光線透過率で低い表面抵抗が得られた。実施例1〜4と実施例5の比較から、G/Dが大きいほど、透明導電膜の光透過率と導電性を高いレベルで両立できることが分かった。実施例1〜5と比較例1、2の比較から、長尺のMWNTを用いて本数密度を小さくすることで、透明導電膜の光透過率と導電性を高いレベルで両立できることが分かった。実施例1と実施例6、比較例3の比較から、分散剤として両性分子(実施例1ではCHAPS)を用いることで、同じ全光線透過率で低い表面抵抗が得られた。なお比較例では導電性が得られなかった。
次に、前記第2の実施形態の具体的な実施例を以下に示す。工程1〜9、11、12は上記実施例1、2と同じであり、工程10に代えて以下の工程A〜Eを行う。
[工程A:第2の基材の準備]
マトリクス材料塗工用基材として、厚さ188[μm]のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意した。なお基材はプライマー処理を施したもの(帝人デュポンフィルム株式会社製、O4グレード)を使用した。
[工程B:マトリクス層の作製]
トルエンとMEKの混合溶媒にUV硬化型アクリル樹脂液を固形部換算で10[重量%]加えて塗工液を作製した。この塗工液を、バーコート法にて基材の表面に塗工した。塗工後の基材を80[℃]で1分間乾燥した。マトリクス層の厚さは500[nm]であった。
[工程C:圧着]
工程1〜9によるCNT層が形成された第1の基材と、工程A,Bによるマトリクス層が形成された第2の基材を、CNT層とマトリクス層を合わせて重ね、80[℃]に加熱しながら0.5[Pa]の圧力で1分間、圧着した。
[工程D:マトリクス材料の硬化]
第2の基材側から紫外線を照射して樹脂を硬化させた。
[工程E:第1の基材の剥離]
第1の基材を剥離した。以上、工程1〜9およびA〜Eによって、透明導電膜のサンプルを得た。このサンプルを工程11、12によって評価した。
(実施例7および8)
工程8においてバーコートの厚さを変えることによって、実施例7および実施例8の透明導電膜を得た。乾燥処理後のCNT層の平均固層厚さは、実施例7では1.7[nm]、実施例8では1.1[nm]であった。
表2に、実施例7、8の作製条件と評価結果を示す。実施例7および8においても実施例1および2と同様に、透明導電膜の光透過率と導電性を高いレベルで両立できた。
10 透明導電膜
11 基材
12 導電層
13 カーボンナノチューブ
14 カーボンナノチューブの網目構造
15 マトリクス材料
21 カーボンナノチューブバンドル
23 カーボンナノチューブ
25 両性分子

Claims (3)

  1. JISK7194に則した表面抵抗率が250〜10000[Ω/□]で全光線透過率が80〜88%である透明導電膜の製造方法であって、
    透明な第1の基材を準備する工程と、
    長さが50〜230[μm]である多層のカーボンナノチューブと分散剤である両性分子を含むカーボンナノチューブ分散液を準備する工程と、
    前記第1の基材上に前記分散液を塗布・乾燥して、カーボンナノチューブの本数が単位面積当たり8.1×1010〜1.3×1011[本/m]であるカーボンナノチューブ層を形成する工程と、
    前記カーボンナノチューブ層を洗浄して分散剤を除去する工程と、
    前記カーボンナノチューブ層上からマトリクス材料の原料液を塗布・硬化する工程と、
    を有する透明導電膜の製造方法。
  2. JISK7194に則した表面抵抗率が250〜10000[Ω/□]で全光線透過率が80〜88%である透明導電膜の製造方法であって、
    第1の基材を準備する工程と、
    長さが50〜230[μm]である多層のカーボンナノチューブと分散剤である両性分子を含むカーボンナノチューブ分散液を準備する工程と、
    前記第1の基材上に前記分散液を塗布・乾燥して、カーボンナノチューブの本数が単位面積当たり8.1×1010〜1.3×1011[本/m]であるカーボンナノチューブ層を形成する工程と、
    前記カーボンナノチューブ層を洗浄して分散剤を除去する工程と、
    透明な第2の基材を準備する工程と、
    前記第2の基材上にマトリクス材料の原料液を塗布する工程と、
    前記マトリクス材料が硬化する前に、前記カーボンナノチューブ層と前記マトリクス材料の層を圧着する工程と、
    前記マトリクス材料を硬化する工程と、
    前記第1の基材を剥離する工程と、
    を有する透明導電膜の製造方法。
  3. 前記第1の基材の表面粗さRaが5[nm]以下である、
    請求項1または2に記載の透明導電膜の製造方法。
JP2013083656A 2013-04-12 2013-04-12 透明導電膜およびその製造方法 Expired - Fee Related JP6002077B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013083656A JP6002077B2 (ja) 2013-04-12 2013-04-12 透明導電膜およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013083656A JP6002077B2 (ja) 2013-04-12 2013-04-12 透明導電膜およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014207116A JP2014207116A (ja) 2014-10-30
JP6002077B2 true JP6002077B2 (ja) 2016-10-05

Family

ID=52120530

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013083656A Expired - Fee Related JP6002077B2 (ja) 2013-04-12 2013-04-12 透明導電膜およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6002077B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109074907B (zh) 2016-04-27 2021-01-08 斯泰拉化工公司 固定化物及其制造方法
JP7444078B2 (ja) 2019-02-01 2024-03-06 日本ゼオン株式会社 導電膜およびその製造方法、電極、並びに、太陽電池

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101487273B1 (ko) * 2007-09-28 2015-01-28 도레이 카부시키가이샤 도전성 필름 및 그 제조 방법
JP5332252B2 (ja) * 2008-03-25 2013-11-06 コニカミノルタ株式会社 透明導電性フィルム、有機エレクトロルミネッセンス素子及び透明導電性フィルムの製造方法
JP2011243529A (ja) * 2010-05-21 2011-12-01 Konica Minolta Holdings Inc 透明導電性基板
JP2013016293A (ja) * 2011-07-01 2013-01-24 Konica Minolta Holdings Inc 透明導電膜とその製造方法、並びに有機電子素子、有機発光素子及び有機発電素子

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014207116A (ja) 2014-10-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9650501B2 (en) Composite materials formed by shear mixing of carbon nanostructures and related methods
JP5487502B2 (ja) 微細炭素繊維水分散液を用いて得られた面状発熱体及びその製造方法
JP5540419B2 (ja) カーボンナノチューブシート及びその製造方法
JP5542829B2 (ja) カーボンナノチューブ、フラーレン及び/又はグラフェン含有コーティングの製造方法
Janas et al. A review of production methods of carbon nanotube and graphene thin films for electrothermal applications
US9951436B2 (en) Composite graphene structures
US10059595B1 (en) Ultra high strength nanomaterials and methods of manufacture
KR101883023B1 (ko) 향상된 용해도를 나타내는 작용기화된 탄소 나노튜브 및 상기 나노튜브를 제조하는 방법
JP5578640B2 (ja) 導電性膜、導電性基板、透明導電性フィルムおよびこれらの製造方法
JP4949909B2 (ja) 炭素繊維用分散剤、分散によって得られた炭素繊維分散液、炭素繊維分散液から誘導される導電性複合材料、導電性塗料、塗装方法並びに当該方法で塗装された物品
JP2008274060A (ja) 樹脂材料と導電性フィラーとの混合方法及び該方法により作製された複合材料及びマスターペレット
TWI339465B (en) Electromagnetic shielding layer and method for making the same
KR20110021721A (ko) 탄소선 및 탄소막으로 이루어지는 나노 구조체 및 그들의 제조 방법
US20090035555A1 (en) Electrically conductive transparent coatings comprising organized assemblies of carbon and non-carbon compounds
Xie et al. Aligned carbon nanotube coating on polyethylene surface formed by microwave radiation
JP6002077B2 (ja) 透明導電膜およびその製造方法
EP3294543B1 (en) Carbon nanotube based hybrid films for mechanical reinforcement of multilayered, transparent-conductive, laminar stacks
Fan et al. A novel method of fabricating flexible transparent conductive large area graphene film
JP4971003B2 (ja) 炭素繊維用分散剤、分散によって得られた炭素繊維分散液、炭素繊維分散液から誘導される導電性複合材料、導電性塗料、塗装方法並びに当該方法で塗装された物品
JP2016054068A (ja) 透明導電膜の製造方法
Sun et al. Carbon nanotube transparent electrode
JP6300160B2 (ja) 透明導電膜及びその製造方法
WO2013005511A1 (ja) 繊維状柱状構造体集合体
Cauchy Approaching Typical Metallic Conductivities in Polymer Nanocomposites for Lightning Strike Protection
Özçelik Preparation and incorporation of multi-functional carbon nano materials into fiber reinforced polymeric composites

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151021

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151110

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160106

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160517

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160606

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160816

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160902

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6002077

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees