JP6300160B2 - 透明導電膜及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、透明導電膜及びその製造方法に関するものである。
透明導電膜は、透明な樹脂やガラス基材等の上に透過率の高い導電性材料を導電層として設けたものであり、透明でありながら電気導電性を備えた膜である。透明導電膜は、主に液晶パネルやタッチパネルなどに採用されている。
ところで、導電層を形成する材料としては、酸化インジウムスズ(tin-doped indium oxide、以下、「ITO」と略記することがある)が主流である。しかしながら、原料となるインジウムの供給に不安があることから、代替材料の検討が進められている。ITOの代替材料としては、導電性高分子、金属ナノ材料などと並んでカーボンナノチューブが検討されている。
カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と略記することがある)は、炭素原子で構成されるグラフェンシートが筒状に、通常は直径100μm未満の太さに巻かれたチューブ状材料である。ここで、CNTは、電気特性や熱特性、機械特性に優れ、比重が小さいため、種々の応用が期待されている。また、その複合材は、電子部品、自動車部品など多くの分野において様々な成形体として使用できる可能性が示されている。例えば、樹脂やセラミックスなどに帯電防止のために導電性を与えること、熱膨張を抑えるために熱伝導性を与えること等が検討されている。そして、これら複合材料の一つとして、透明導電膜が検討されている。例えば、特許文献1には、透明基材の少なくとも片面上にCNTを含有する層を形成した透明導電性フィルムが記載されている。
特開2008−177143号公報
ところで、上述したように、ITOからなる導電層を有する透明導電膜は、タッチパネルの電極として用いられている。ここで、透明導電膜をタッチパネルの電極として用いる場合には、エッチング処理等によって導電層のパターニングを行って、導電性能に異方性を持たせることが必要となる。そして、導電性能に異方性を持たせた一対の透明導電膜を、互いに90°回転させた状態にて重ねる合わせることで、接点位置を感知する電極として機能させることができる。
しかしながら、ITOからなる導電層を有する透明導電膜等の、従来の透明導電膜では、エッチングによる導電層のパターニング等の導電層に異方性を持たせる処理が必要であるという課題があった。すなわち、特別な処理を施すことなく、導電性能に異方性を有する透明導電膜が望まれているのが実情であった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、エッチング等の二次加工がなくとも、導電性能に異方性を有する透明導電膜およびその作製方法を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本願の請求項1に係る発明は、表面粗さRaが20nm以下である透明基材と、前記透明基材上に、単位面積当たり70本数%以上配向して設けられた、長さ10μm以上、層数3〜50層、かつ励起波長632.8nmで得られるラマンスペクトルにおいてGバンドに出現するピークの強度IGとDバンドに出現するピークの強度IDとの比G/Dが1以上である長尺カーボンナノチューブと、を備え、前記長尺カーボンナノチューブの配向方向の表面抵抗率が、1×10Ω/□以下であり、かつ全光線透過率が60%以上である、透明導電膜である。
また、本願の請求項2に係る発明は、前記長尺カーボンナノチューブの配向方向の表面抵抗率と、前記配向方向と垂直方向の表面抵抗率と、の比が、10倍以上である、請求項1に記載の透明導電膜である。
また、本願の請求項3に係る発明は、前記長尺カーボンナノチューブの平均バンドル数が10本以下である、請求項1又は2に記載の透明導電膜である。
また、本願の請求項4に係る発明は、長さ10μm以上、層数3〜50層、かつ励起波長632.8nmで得られるラマンスペクトルにおいてGバンドに出現するピークの強度IGとDバンドに出現するピークの強度IDとの比G/Dが1以上である長尺カーボンナノチューブ、極性溶媒および分散剤を含む長尺カーボンナノチューブ分散液を調整する工程と、表面粗さRaが20nm以下である透明基材の表面に、スリットコータまたはディップコータを用いて前記長尺カーボンナノチューブ分散液を配向塗布する工程と、前記配向塗布された状態が損なわれる前に常温の真空乾燥又は常圧の光乾燥を行う工程と、を含む、透明導電膜の製造方法である。
本発明の透明導電膜およびその製造方法によれば、長さ10μm以上、層数3〜50層、かつ励起波長632.8nmで得られるラマンスペクトルにおいてGバンドに出現するピークの強度IGとDバンドに出現するピークの強度IDとの比G/Dが1以上である長尺カーボンナノチューブが、表面粗さRaが20nm以下である透明基材の表面上で、単位面積当たり70本数%以上配向しているため、エッチング等の二次加工がなくとも、導電性能に異方性(具体的には、長尺カーボンナノチューブの配向方向の表面抵抗率が、1×10Ω/□以下)を有する透明導電膜(具体的には、全光線透過率が60%以上)およびその作製方法を提供することができる。
本発明を適用した一実施形態である透明導電膜の製造方法によって作製された透明導電膜の構成を模式的に示す平面図である。 本発明を適用した一実施形態である透明導電膜の製造方法によって作製された透明導電膜の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 本発明を適用した一実施形態である透明導電膜の製造方法によって作製された透明導電膜の構成を模式的に示す断面図である。 本発明を適用した一実施形態である透明導電膜の製造方法の工程を示す図である。 両性分子によるカーボンナノチューブの分散の原理を説明するための図である。 (A)〜(D)は、実施例1の透明導電膜の配向率の測定方法を説明するための図である。 (A)〜(D)は、比較例2の透明導電膜の配向率の測定方法を説明するための図である。
以下、本発明を適用した一実施形態である透明導電膜について、その製造方法(以下、「製造方法」と略記することがある)とともに、図面を用いて詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
先ず、本発明を適用した一実施形態である透明導電膜の構成について説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態である透明導電膜の構成を模式的に示す平面図である。図1に示すように、本実施形態の透明導電膜10は、透明基材11と、導電フィラーである長尺のCNT12とから概略構成されている。より具体的には、本実施形態の透明導電膜10は、長さ10μm以上、層数3〜50層、かつ励起波長632.8nmで得られるラマンスペクトルにおいてGバンドに出現するピークの強度IGとDバンドに出現するピークの強度IDとの比G/Dが1以上であるカーボンナノチューブ12が単位面積当たり70本数%以上配向した状態で、表面粗さRaが20nm以下である透明基材11上に設けられ、長尺カーボンナノチューブの配向方向の表面抵抗率が、1×10Ω/□以下であり、かつ全光線透過率が60%以上とされている。
ここで、CNT12の単位面積当たりの配向本数割合は、走査型電子顕微鏡(SEM)による複数視野の観察によって求めることができる。
また、本明細書における配向の定義について具体的に説明する。まず、透明導電膜10の走査電子顕微鏡(SEM)像で捉えられるCNT12の全てについて、両端点を結んだ直線を描く。次いで、CNT12の両端点を結んだ直線のうち、いずれか1本を仮基準線として、それ以外のCNT12の両端点を結んだ直線の傾きを測定し、平均角度を算出する。そして、仮基準線から上記平均角度だけ傾いた直線を基準線とする。次に、得られた基準線に対し、CNT12の両端点を結んだ直線の傾きが±15°以内である場合、そのCNT12は配向しているものとする。
図2は、本発明を適用した一実施形態である透明導電膜の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。図2に示すように、長尺のCNT12が高度に配向していることが確認できる。また、CNT12は、透明基材11上の任意の一方向に配向して配置されており、この配向方向に導電性能を確保するための接点は多いが、配向方向と垂直に交わる方向(垂直方向)では導電性能を確保するための接点が少ないため、導電性能において配向方向と垂直方向とでは異方性が生じることとなる。
ここで、透明基材11上のCNT12の本数が少ないほど、又は、透明導電膜10の全光線透過率が高いほど、CNT12の配向本数%が大きく、かつ、CNT12の配向方向の表面抵抗率と垂直方向の表面抵抗率との差が大きくなる。本実施形態の透明導電膜10では、CNT12の配向方向の表面抵抗率と、配向方向に垂直な方向の表面抵抗率との比が10倍以上であることが好ましい。透明基材10の導電性の異方性が大きいほど、タッチパネル電極等、より多くの用途に利用することができる。
また、本実施形態の透明導電膜10は、高い導電性と透明性とを両立している。両者は相反する特性であり、長尺のCNT12の密度や接点数を多くすると、導電性は上がるが透明性が下がる、という関係にある。
透明導電膜10の特性としては、表面抵抗率が1×10Ω/□以下で全光線透過率が60%であり、抵抗膜方式のタッチパネルでの使用に好適なために表面抵抗率が1×10Ω/□以下で全光線透過率が80%以上であることがより好ましく、静電容量方式のタッチパネルでの使用に好適なために表面抵抗率が300Ω/□以下で全光線透過率が85%以上であることがさらに好ましい。ここで、透明導電膜10の表面抵抗率は、JISK7194に規定する4探針法によって測定することができる。また、全光線透過率とは、CIEの標準の光D65の平行入射光束に対する全透過光束の割合をいい、JISK7361−1:1997(ISO13468−1:1996に対応)に規定する方法で、透明基材と反対側から光束を入射して測定した値をいう。このように、透明導電膜10は、好ましい導電性および透明性を有することによって、より多くの用途に適用可能となる。
本実施形態のおける透明基材11は、透明であれば、具体的には全光線透過率が90%以上の透明基材であればその材料は特に限定されず、各種の樹脂フィルム、ガラスシート等を用いることができる。
樹脂フィルムとしては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネイト、ポリフェニレンスルフィド、アラミド、ポリメタクリ酸メチル、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル等を用いることができる。
ガラスシートとしては、具体的には、例えば、一般的なソーダガラス等が使用できる。
透明基材11の表面、すなわち、長尺のCNT12を塗工する面は、平滑であることが要求される。その原因は必ずしも明らかでないが、表面が平滑な基材を用いると、同じ長尺CNT分散液を塗工しても、長尺のCNT12の偏りが少なく、密度や分散状態がより均一なCNT12からなる網目構造が形成されるためである。具体的には、平均表面粗さRaが20nm以下であることが要求される。ここで、Raは、JISB0601:2001の定義による。このような透明基材11を用いることにより、透明導電膜10の導電性をより向上させることができるとともに、長尺のCNT12の配向制御が実現しやすくなる。
本実施形態におけるCNT12は、多層のCNTであり、層の数が3〜50層である。ここで、CNT12の層数が3層より少ないと製造コストが高くなり、かつ、分散液を作製する際の撹拌によりCNT12が折れ、長さが短くなるリスクが大きくなる。一方、層数が50層より多いと透明性が損なわれ易くなり、透明導電膜の求められる導電性と透明性を両立することが難しくなる。CNT12の層数は、さらに好ましくは4〜12層である。ここで、CNT12の層数は、透過電子顕微鏡像(TEM像)を観察することによって求めることができる。
また、CNT12の径は、層数に大きく依存するが、一般に1〜80nmであり、5〜20nmであることが好ましい。
また、CNT12の長さは、10μm以上であることを要する。ここで、CNT12の長さが10μm未満であると、所望の導電性を得るためにCNT12の本数密度を大きくする必要があり、透明性を損なうからである。一方、CNT12の長さは、5000μm以下であることを要する。CNT12の長さが5000μmを超えると、CNT12を高度に分散させることが難しくなり、結果として透明性と導電性との両立が困難になるからである。より好ましくは、CNT12の長さは、50〜600μmである。
長尺CNT12は、結晶性(直線性)が良いことが好ましく、具体的には、励起波長632.8nmで得られるラマンスペクトルにおいてGバンドに出現するピークの強度Iと、Dバンドに出現するピークの強度Iとの比であるG/Dが、1以上であることが好ましく、10以上であることがさらに好ましい。ここで、Gバンドとは、波数1580cm−1付近に出現する、グラファイト構造に起因するピークである。また、Dバンドとは、波数1360cm−1付近に出現する、各種欠陥に起因するピークである。さらに、I及びIは、それぞれのピークの高さを意味している。
ところで、CNTではGバンドのピークの分裂が観測されることがあるが、その場合はピーク強度IGとして高い方のピーク高さを採用すればよい。このように結晶性の良いCNTを用いると、結晶性の悪いものに比べてCNTの単位長さ当たりの抵抗が小さいので、同じ量のCNTを用いたときに透明導電膜の導電性をより向上させることができる。したがって、透明導電膜の光透過率と導電性とをより高いレベルで両立させることができる。ここで、G/Dの値は、公知のラマン分光分析装置を用いて求めることができる。
また、CNT12の平均バンドル数は、10本以下であることが好ましく、5本以下であることがさらに好ましい。本実施形態においては、後述するようにCNTが単分散であることを基本とするが、もし局所的に大きなバンドルが存在する場合には、平均バンドル数をこの範囲とすることが好ましい。CNTはその形状からファンデルワールス力による凝集力が強く、バンドル化し易い。長尺のCNTが太いバンドルを形成すると、導電性を向上させるために必要となるCNTの単位面積当たりの本数が多くなり、結果として透明性を維持できなくなる。ここで、CNTの平均バンドル数は、SEMによる複数視野の観察と動的光散乱(DLS)法によって求めることができる。具体的には、SEMでCNTの平均長さを求め、DLS法で粒度分布を求めることによってCNTの疑似直径を求めることができる。
なお、本実施形態の透明導電膜10は、透明基材11及びCNT12の他に、他の構成を含んでいてもよい。ここで、図3は、本実施形態の透明導電膜10の構成の一例を模式的に示す断面図である。
図3に示すように、本実施形態の透明導電膜10は、透明基材11上に任意の一方向に配向した長尺のCNT12からなる配向CNT層13が設けられており、マトリクス材料14が、CNT12が構成する配向CNT層13の空隙に入り込んでいる。これにより、配向CNT層13が補強されるとともに、長尺のCNT12と透明基材11との接着がより強固なものとなる。また、CNT12からなる配向CNT層13とマトリクス材料14とによって導電層15が構成されている。
マトリクス材料14としては、特に限定されるものではなく、透明な各種の有機または無機の材料を用いることができる。例えば、透明基材11がフレキシブルに変形可能な場合には、変形時に膜構造が破壊されないために、マトリクス材料14もフレキシブルであることが好ましい。また、製造方法の容易性の点から、原料液等の状態で配向CNT層13の空隙を埋めた後にその場で硬化できるものであることが好ましい。また、透明基材11として耐熱性に限界のある樹脂フィルムなどを用いる場合には、UV等の電磁線で硬化するものであることがさらに好ましい。具体的には、各種の樹脂、有機−無機複合材料などを好適に用いることができ、UV硬化型または熱硬化型の樹脂を特に好適に用いることができる。
なお、本実施形態の透明導電膜10において、上述した導電層15の構成は一例であり、これに限定されるものではない。具体的には、例えば、導電層15は、CNT12及びマトリクス材料14の他に、何らかの機能を有する材料、例えば、耐熱性向上のために少量の無機酸化物微粒子を含んでいてもよい。また、導電層15は、実質的にCNT12とマトリクス材料14とから構成される場合であっても、通常は、製造工程に由来する溶媒・分散剤等の残留物を含んでいる。また、導電層15の厚さは、特に限定されない。
次に、本実施形態の透明導電膜10の製造方法について、説明する。
本実施形態の透明導電膜10の製造方法は、長さ10μm以上、層数3〜50層、かつ励起波長632.8nmで得られるラマンスペクトルにおいてGバンドに出現するピークの強度IGとDバンドに出現するピークの強度IDとの比G/Dが1以上である長尺カーボンナノチューブ、極性溶媒および両性イオン界面活性剤を含む長尺カーボンナノチューブ分散液を調整する工程と、表面粗さRaが20nm以下である透明基材の表面に、スリットコータまたはディップコータを用いて前記長尺カーボンナノチューブ分散液を配向塗布する工程と、前記配向塗布された状態が損なわれる前に常温の真空乾燥又は常圧の光乾燥を行う工程と、を含んで、概略構成されている。
換言すると、本実施形態の製造方法は、透明基材11の表面に長尺のCNT12が配向するように長尺CNT分散液を塗布し、このCNT12の配向状態が損なわれる前に乾燥する方法である。より具体的には、本実施形態の製造方法は、図4に示すように、長尺CNT分散液を準備する工程と、透明基材に濡れ性改善処理を施す工程と、透明基材の表面に長尺CNT分散液を配向塗布する工程と、配向塗布後の透明基材を乾燥する工程と、長尺CNTからなる配向CNT層を洗浄する工程と、配向CNT層を固定化する工程と、を有している。
(長尺CNT分散液を準備する工程)
先ず、長尺CNT分散液を調製する。
本実施形態で用いる長尺のCNT12を製造する方法としては、特に限定されることなく公知の手法を用いることができる。例えば、基板上に複数のCNTがバンドルを成して垂直配向させる方法によって製造することが好ましい。具体的には、炭素電極間にアーク放電を発生させ、放電用電極の陰極表面に成長させる方法(アーク放電法)、シリコンカーバイドにレーザービームを照射して加熱・昇華させる方法(レーザー蒸発法)、遷移金属系触媒を用いて炭化水素を還元雰囲気下の気相で炭化する方法(化学的気相成長法:CVD法)、熱分解法、プラズマ放電を利用する方法などがある。中でも、化学的気相成長法(CVD法)を好適に用いることができる。なお、CVD法による長尺CNTの製造方法の詳細については、後述する。
本実施形態で用いる長尺CNT分散液は、上述した長尺のCNT12と、分散剤と、極性溶媒と、を含む。分散剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性分子を用いることができるが、特に両性分子を用いることによって、長尺CNT12のバンドルを開繊して、高度な分散状態を得ることができる。両性分子は、溶液中で長尺CNT12を孤立分散状態にできるものであれば特に限定されないが、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマー、ポリペプチド等の両性高分子、および、3−(N,N−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホネート(CHAPSO)、n−ドデシル−N,N’−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、n−ヘキサデシル−N,N’−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、n−オクチルホスホコリン、n−ドデシルホスホコリン、n−テトラデシルホスホコリン、n−ヘキサデシルホスホコリン、ジメチルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルベタイン、レシチン等の両性高分子及び両性イオン界面活性剤などから選択することができる。なお、両性分子によって高度な分散状態が得られる原理の詳細については、後述する。
長尺CNT分散液を構成する極性溶媒としては、使用する両性分子との組み合わせで長尺CNTバンドルを孤立状態で分散させ得るものであれば、特に限定されるものではない。このような極性溶媒としては、具体的には、例えば、水、アルコール、及びこれらの組み合わせ等の水性溶媒、並びに、シリコンオイル、四塩化炭素、クロロホルム、トルエン、アセトン、及びこれらの組み合わせ等の非水性溶媒(油性溶媒)を挙げることができる。
ここで、長尺CNT分散液中のCNT濃度は、低いほど長尺のCNT12の均一分散状態が維持され易い。具体的には、CNT濃度は2wt%以下が良く、0.1wt%以下がより好ましい。また、分散剤は絶縁性の物質であるため、長尺CNT分散液の導電性能を上げるためには濃度が低ければ低いほど良い。具体的な分散剤濃度は、CNT12の20倍以下(重量比)が良く、10倍以下がより好ましい。
また、長尺CNT分散液には、安定剤として、例えば、グリセロール、多価アルコール、ポリビニルアルコール、アルキルアミンなどの水素結合を形成する物質を加えてもよい。
また、長尺のCNT12を分散させる際には、超音波ミル、ビーズミル、ジェットミル、湿式微粉化装置等の物理的手法を併用してもよい。
以上のようにして、長尺CNT分散液を調製する。
(透明基材に濡れ性改善処理を施す工程)
次に、透明基材11に濡れ性改善処理を施す。
先ず、本実施形態で用いる透明基材11の準備を行う。透明基材11としては、上述したように、透明である各種の樹脂フィルム、ガラスシート等を準備することができる。ここで、透明基材11の長尺CNTを塗工する面は、平滑であることが好ましく、具体的には平均表面粗さRaが20nm以下であるものを用いる。このような透明基材を用いると、透明導電膜10の導電性をより向上させるとともに、塗布による配向制御が実現し易くなる。
次に、透明基材11に対して、極性溶媒への濡れ性改善処理を施す。透明基材11の濡れ性を改善する処理方法としては、湿式方法と乾式方法とがあるが、特に限定されるものではなく、いずれの方法を用いてもよい。また、透明基材11の濡れ性としては、水の接触角が25°未満であるか、表面張力が65mN/m以上であるかのうち、少なくともいずれか一方を満たすことが好ましく、両方満たすことがより好ましい。
ここで、透明基材11への濡れ性改善処理のうち、湿式方法としては、酸洗浄を用いることができる。また、用いる酸としては、具体的には、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸等から、いずれか1つまたは2つ以上の組み合わせたものを用いることができる。これらの中でも、特に、硫酸および硝酸の組み合わせで作製した混酸を水で希釈して使用することが好ましい。酸あるいは混酸に透明基材11を所要の時間浸漬することにより、当該透明基材11の濡れ性改善処理をすることができる。また、酸処理を行う前に界面活性剤および水による洗浄を行うと、コンタミネーションを防ぐことができるため、より効果的に濡れ性改善処理を行うことができる。
一方、透明基材11への濡れ性改善処理のうち、乾式方法としては、具体的には、例えば、紫外線照射処理、オゾン処理、コロナ処理、プラズマ処理のうち1つあるいは2つ以上の組み合わせたものを用いることができる。これらの中でも、特に、コロナ処理およびプラズマ処理は処理能力が高く好適である。
濡れ性改善処理した後の透明基材11に対して、除電処理を施すことが好ましく、高密度除電処理を施すことがより好ましい。なお、高密度除電処理とは、透明基材11に対して、除電電極とイオン吸引電極との間に当該透明基材11を挟み込んで除電処理する方法をいう。
通常の除電処理では、透明基材11の片面からの交流除電器による処理であるため、透明基材11の表面電位は0Vにはなるが、透明基材11の中(内側、内部)にあるイオンが残留してしまい、スタティック・マーク(帯電模様)を形成し、長尺のCNT12の塗布むらを引き起こす。これに対して、高密度除電では、透明基材11を挟んで交流除電器の反対側にイオン吸引電極を設けることで、透明電極の表面電位が0Vになっても除電処理を行うことができるため、透明基材11の中(内側、内部)にあるイオンまで除去することができる。これにより、高密度除電処理を施した透明基材11では、長尺のCNT12が凝集しないため、スタティック・マークを防止することができる。
ここで、高密度除電効果の確認については、透明基材11に対して、正極性または負極性に帯電したトナーによるトナーテストを用いることによって確認することができる。具体的には、透明基材11の内部が正極性または負極性に帯電している場合は、反対極のトナーがそれぞれの帯電部分に付着するため、帯電していることを確認することができる。このように、透明基材11に対して高密度除電処理を施すことで、この透明基材内部の帯電をも除去することが可能となる。
(長尺CNT分散液を配向塗布する工程)
次に、透明基材11の表面に、調製した長尺CNT分散液を配向塗布(塗工)する。ここで、長尺CNT分散液を透明基材11上に塗工する方法としては、スリットコータまたはディップコータを用いることができる。長尺CNT分散液中のCNT12は、繊維方向がランダムに分散しているが、アスペクト比が高いためにスリットコータのノズルから噴出される際、あるいはディップコータにて長尺CNT分散液に浸漬された透明基材11を引き揚げて重力の影響を受ける際に、ノズルの噴出方向あるいは重力方向に沿って長尺のCNT12が配向した状態で塗布(すなわち、配向塗布)される。
ここで、長尺CNT分散液を透明基材11に配向塗布する際、スリットコータを用いた場合には、ノズル吐出速度が速いほど、CNT12の配向割合が高くなる。
一方、長尺CNT分散液を透明基材11に配向塗布する際、ディップコータを用いた場合には、長尺CNT分散液中に浸漬した透明基材11を引き上げる速度が遅いほど、長尺CNT分散液が重力の影響を受けるため、CNT12の配向割合が高くなる。
(配向塗布後の透明基材を乾燥する工程)
次に、配向塗布後の透明基材11を、長尺のCNT12が配向塗布された状態が損なわれる前に乾燥(一次乾燥)する。具体的には、長尺CNT分散液を透明基材11に塗布した後、長尺CNT分散液の自然対流が生じる前に、透明基材11に塗布した状態(すなわち、長尺CNT12が配向した状態)を維持しながら速やかに乾燥を開始する。そして、この乾燥は、温度分布が極力発生しない状況下で、かつ、乾燥開始から乾燥終了までに要する時間をできる限り短くして行うことを要する。
ここで、長尺CNT分散液の自然対流とは、長尺CNT分散液が透明基材11上に塗布された後、外からエネルギーを加えることなく、長尺CNT分散液中の極性溶媒の蒸発や加熱、冷却で発生する温度分布によって、長尺CNT分散液中の極性溶媒が流動することをいう。また、長尺CNT分散液の自然対流は、極性溶媒のみではなく、長尺のCNT12をも巻き込みながら流動する。
このため、長尺CNT分散液の透明基材11への塗布後、乾燥までの時間を要した場合や、乾燥開始から終了までの時間を要した場合には、透明基材11に塗布された長尺CNT分散液中の極性溶媒およびCNT12が自然対流の影響で流動してしまうため、塗布時の状態を維持することができず、CNT12の配向が損なわれてしまう。また、乾燥の際に、温度分布が不均一な状態が発生した場合には、透明基材11上で長尺CNT分散液のアイランド現象を誘発し、CNT12が極性溶媒の表面張力によって動かされるために塗布された際の配向状態を維持することができない。
したがって、長尺CNT分散液の配向塗布後の乾燥は、長尺CNT分散液の自然対流が発生する前に実施することが好ましく、できる限り短い時間で乾燥工程に移行することが好ましい。また、乾燥開始から乾燥が終了するまでの時間についても同様であり、できる限り短い時間で乾燥処理を完了することが好ましい。具体的には、例えば、液膜厚が200μm以下の条件では、180秒以内、望ましくは100秒以内で乾燥を完了することが好ましい。
なお、乾燥方法としては、自然対流加熱炉、強制対流加熱炉、ホットプレート、真空電気炉、真空乾燥炉、光乾燥などの公知の方法を用いることができるが、上述したように、乾燥に時間を要すると極性溶媒が乾燥する際に極性溶媒の表面張力によって長尺のCNT12が凝集する可能性が高くなるため、極力短時間で乾燥できる方法を選ぶことが好ましい。さらに、透明基材11に熱を加える乾燥方法では、均一に加熱することが難しく、乾燥ムラの原因となる。このため、熱を掛けない常温の真空乾燥方法が最も適しているが、常圧下で加熱される方法であっても光乾燥等のように乾燥速度が速い方法であれば用いることができる。
以上の乾燥(一次乾燥)により、透明基材11上に、分散液塗布時の配向状態が維持された長尺のCNT12からなる配向CNT層13が形成される。
(配向CNT層を洗浄する工程)
次に、配向された長尺CNTからなる配向CNT層13を洗浄する。
ここで、得られた配向CNT層13には、依然として長尺CNT分散液の成分であった分散剤、安定剤等を不純物として含まれている。このような不純物が残留すると、透明導電膜10の導電性が損なわれるため、不純物を取り除くために洗浄が行われる。洗浄方法としては、温水による洗浄(以下、「温水洗浄」という)が好ましい。具体的には、例えば、配向CNT層13が形成された透明基材11を、50〜80℃に加熱された温水の中に、CNT12の剥離が発生しにくい時間である1分以下浸漬させた後、自然対流加熱炉を用いて乾燥(二次乾燥)する。また、洗浄には、酸を用いた酸洗浄や溶剤を用いた溶剤洗浄を用いることもできる。
酸浄剤としては、硝酸、過酸化水素、過硫酸系試薬(過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等)、水酸化試薬(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等)、炭酸水素ナトリウムなどを用いることができる。また、同じまたは異なる洗浄剤を用いて複数回の洗浄を行ってもよい。
溶剤洗浄としては、アセトン、エタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、シクロヘキサノンなどを用いることができる。また、同じまたは異なる洗浄剤を用いて複数回の洗浄を行ってもよい。
(配向CNT層を固定化する工程)
次に、長尺のCNT12からなる配向CNT層13を透明基材11上に固定化する。
ここで、配向CNT層13を透明基材11に固定化する方法としては、洗浄および乾燥(二次乾燥)して得られた、配向CNT層13が形成された透明基材11に対してマトリクス材料14を基材上に塗布する方法と、マトリクス材料14を別の透明基材上に塗布し、これを圧着してCNT層を転写する方法と、が挙げられる。
マトリクス材料14としては、上述したように、透明な各種の有機または無機の材料を用いることができる。具体的には、各種の樹脂、有機−無機複合材料などを好適に用いることができ、UV硬化型または熱硬化型の樹脂を特に好適に用いることができる。ここで、例えば、透明基材11がフレキシブルに変形可能な場合は、変形時に膜構造が破壊されないために、マトリクス材料14もフレキシブルであることが好ましい。また、製造方法の容易性の点から、原料液等の状態で配向CNT層13の空隙を埋めた後にその場で硬化できるものであることが好ましい。一方、透明基材11として耐熱性に限界のある樹脂フィルムなどを用いる場合には、UV等の電磁線で硬化するものであることがさらに好ましい。具体的には、これらの樹脂を固形分濃度として3重量%程度含む溶液を原料液として用いることができる。
マトリクス材料14を塗工する方法としては、グラビアコーティング、ダイコーティング、スプレーコーティング、バーコーティング、キャスティング、ディップコーティングなどの公知の方法を用いることができる。原料液塗工後、UV照射、加熱その他の材料の種類に応じた方法で硬化させる。
以上のようにして、本実施形態の透明導電膜10を製造することができる。
ところで、既存技術によって得られる従来のCNT製透明導電膜では、長尺CNTが透明基材上にランダムに配置されており、複数の長尺CNTが接点を持つことによって全面的に導電性を確保できる構成となっている。しかしながら、従来の透明導電膜には、導電性能に異方性がないため、タッチパネル電極などとして使用するためにはエッチングなどの加工を施し、CNTで形成されている導電層の一部を剥離することによって導電性に異方性を与える必要があった。
これに対して、本実施形態の透明導電膜10によれば、長尺のCNT12が透明基材11の表面上で単位面積当たり70本数%以上配向しており、導電性能に異方性を有しているため、エッチング等の二次加工がなくとも、タッチパネル電極などとして使用することができる可能性を有している。
ここで、CVD法によって長尺のCNT12を製造する方法について、以下に詳述する。
化学的気相成長法(CVD法)として、例えば、基板(シリコン基板)の少なくとも片面上に、ニッケル、コバルト、鉄などの金属の錯体を含む溶液をスプレーや刷毛で塗布した後、加熱して形成した皮膜上に、あるいは、クラスター銃で打ち付けて形成した皮膜上に、脂肪族炭化水素を用いて一般的な化学的気相成長法(CVD法)を施すことにより、直径0.5〜50nm程度の複数のCNTがバンドルを成して基板に対して垂直配向するCNT群とを備えた長尺CNT基材を作製できる。
長尺CNT基材上の長尺CNTの長さは、原料の添加量、合成圧力、CVD反応時間によって調整できる。CVD反応時間を長くとることにより、長尺CNTの長さを数mmまで伸ばすことができる。長尺CNT基材を構成する長尺CNTの1本の太さは、基板に形成する触媒膜の厚みによって制御できる。触媒膜を薄くすることにより、触媒粒子径を小さくすることができ、CVD法で形成した長尺CNTの直径は細くなる。逆に、触媒膜を厚くすることにより触媒粒子径を大きくすることができ、長尺CNTの直径は太くなる。触媒の粒子径を均一に制御し、かつ、密に配置することで、単位面積当たりのCNTの本数を多く成長させることができ、密集した長尺CNT基材ができる。
より具体的な長尺CNT基材の作製方法を、以下に例示する。
まず、基板上に触媒粒子を形成し、触媒粒子を核として高温雰囲気で原料ガスからCNTを成長させる。
基板としては、触媒粒子を支持するものであればよく、触媒が流動化・粒子化する際に動きを妨げない平滑度がある材料が好ましい。特に、結晶性シリコン基板は、平滑性や価格の面、耐熱性の面で最も利用しやすい材料である。触媒金属に対する基板材質の反応性は、低いものが望ましい。シリコン基板の場合、化合物が形成されるため表面を酸化処理や窒化処理を行ったものが望ましい。また、反応性の低いアルミナ他の金属酸化物を表面に形成した後、触媒金属膜を形成して利用することが望ましい。例えば、結晶性シリコン基板の表面に酸化膜(SiO)を形成した基板、窒化膜(Si)を形成した基板があげられる。
触媒粒子としては、例えば、ニッケル、コバルト、鉄などの金属粒子があげられる。これらの金属またはその錯体等の化合物の溶液をスピンコート、スプレー、バーコーター、インクジェット、スリットコータで基板に塗布し、またはクラスター銃で基板に打ち付ける。その後、乾燥させ、必要であれば加熱し、皮膜を形成する。この皮膜の厚みは、0.5〜100nm、好ましくは0.5〜15nm程度であることが好ましい。15nmを超えると、700℃程度の加熱による粒子化が困難になる。
次いで、この皮膜を、好ましくは減圧下または非酸化雰囲気下で、500℃〜1000℃好ましくは650〜800℃に加熱すると、直径0.5〜50nm程度の触媒粒子が形成される。このように触媒粒子を形成し、粒子径を均一にすると、CNTが高密度化する。
CNTの原料ガスとしては、アセチレン、メタン、エチレン等の脂肪族炭化水素が適宜用いられるが、その中でもアセチレンガスが好ましく、アセチレン濃度が99.9999%であるような超高純度なアセチレンガスがより好ましい。原料ガス純度が高い方が品質の良いCNTができる。また、アセチレンの場合、核としての触媒粒子から多層構造で太さ0.5〜50nmのCNTが基板に対して垂直にかつ一定方向に配向成長してブラシ状に形成される。
また、上記の化学的気相成長法(CVD法)におけるCNTの形成温度は、500℃〜1000℃であり、好ましくは650〜800℃である。
次に、長尺のCNT12の分散方法について、以下に詳細に説明する。
両性分子を分散剤として用いることによって、長尺CNTの高度な分散状態が得られる原理を、図5A〜Cに基づいて以下に詳述する。
まず、分散液中で、両性分子がカーボンナノチューブバンドル(CNTB)を開繊して、1本1本のCNTに孤立分散させる原理について説明する。
複数のCNTBを構成するCNTの少なくとも一部分に両性分子が付着する。複数のCNTBのうち、一のCNTBを構成するCNTに付着した両性分子が、隣接する他のCNTBを構成するCNTに付着した両性分子と電気的に引き合うことにより、CNTBを構成する各CNTを孤立分散させる。
両性分子は正電荷および負電荷を有し、これらの分子はCNTBの表面上で自己組織化両性単分子膜(self−assembled zwitterionic monolayer:以下「SAZM」と略記する)を形成する。CNTBを覆うSAZMは、双極子間の強い電気的相互作用によって、他のCNTBを覆うSAZMと静電的に結合する傾向がある。この静電的な力によって混合物中の各CNTBが互いに引っ張りあうことにより、CNTBを構成する各CNTの引き剥がれが起き、新たなCNTBの表面が露出する。新しく露出した表面は、新たにSAZMによって覆われる。以上の反応が、CNTBを構成するCNTが完全に孤立分散するまで繰り返されるので、最終的にはCNTが完全に孤立分散する。
CNTB21と両性分子25と安定剤とを混ぜると、両性分子25は、まず、両性分子間の電気的引力によって自己組織化し、二量体または四量体になる。この時、安定剤は、両性分子25の疎水部と水素結合を形成し、二量体または四量体を構成する両性分子間の結合を安定にする。安定剤はなくても構わないので、ここでは図示しない。
これらのSAZM構成要素(両性分子の二量体または四量体)は、CNTB21の表面に付着し、構成要素間で会合して、CNTB21の表面にSAZMを形成する(図5A)。この時、隣り合う両性分子5間で、同じ極性を有する領域が接近すると斥力が働いてしまう。そのため、両性分子5は、図5A〜図5Cのように正電荷と負電荷が交互になるようにSAZMを構成する。
CNTB21を覆うSAZMは、双極子間の強い電気的相互作用によって、他のCNTBを覆うSAZMと静電的に結合する。このような双極子間の電気的相互作用は容易に起こり、静置しておくだけで十分である。この時、この静電的な力によって各CNTBが互いに引っ張りあうことにより、CNTB21を構成する各CNT23の引き剥がしが起き、両性分子が吸着していないCNTが露出する(図5B)。
この新しく露出した表面は、新たに両性分子25によって覆われる。以上の反応が、CNTBを構成するCNTが完全に孤立分散するまで繰り返されるので、最終的にはCNT23が両性分子25によって完全に孤立分散する(図5C)。
このような原理に基づき使用できる両性分子の例は、前述のとおりである。
以上説明したように、本実施形態の透明導電膜10によれば、表面粗さRaが20nm以下である透明基材11の表面上で、長さ10μm以上、層数3〜50層、かつ励起波長632.8nmで得られるラマンスペクトルにおいてGバンドに出現するピークの強度IGとDバンドに出現するピークの強度IDとの比G/Dが1以上である長尺のCNT12が単位面積当たり70本数%以上配向しており、長尺カーボンナノチューブの配向方向の表面抵抗率が1×10Ω/□以下という導電性能の異方性を有しているため、エッチング等の二次加工がなくとも、タッチパネル電極などとして使用することができる可能性を有する。
また、本実施形態の透明導電膜の製造方法によれば、例えば、スリットコータまたはディップコータを用いて長尺CNT分散液を透明基材11上に配向塗布した後、配向塗布された状態が損なわれる前に乾燥することにより、導電性能に異方性(具体的には、長尺カーボンナノチューブの配向方向の表面抵抗率が、1×10Ω/□以下)を有する透明導電膜10(具体的には、全光線透過率が60%以上)を簡便かつ低コストで提供することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、上述した実施形態では、透明導電膜10の製造方法において、長尺CNT分散液と透明基材11との濡れ性を改善させるために、透明基材11に対して濡れ性改善処理および除電処理を行う工程を設けたが、これに限定されるものではない。すなわち、長尺CNT分散液と透明基材11との濡れ性を改善させるために、長尺CNT分散液にレベリング剤を添加してもよい。これにより、透明基材11に対して濡れ性改善処理および除電処理を行う工程を省略することができる。
具体的には、長尺CNT分散液に対して、長尺CNT分散液と透明基材11との濡れ性を確保するためにレベリング剤を加え、超音波ホモジナイザーにて1分間程度の分散処理を行い、レベリング剤入り長尺CNT分散液を調製することが出来る。なお、レベリング剤としては、ノニオン系界面活性剤を用いるのが好ましく、フッ素系の界面活性剤を用いることがより好ましい。
以下、具体例を示す。
<実施例1>
以下に示す工程により、透明導電膜を製造した。
(工程1:長尺CNTの作製)
6インチの酸化膜付きシリコン基板に、スパッタによって鉄触媒を3.0nmの厚さで蒸着した。石英製の反応炉内にNを導入し、不活性雰囲気下において、赤外線加熱ヒーターによりシリコン基板を720℃まで加熱した。シリコン基板が720℃に達したら、石英製の反応炉内にCを、C:N=45:55になるように導入し、CVD処理を60秒行った。結果として、6インチのシリコン基板上に総重量68mg、平均高さ150μm、層数3〜50層の長尺CNTを得た。なお、得られた長尺CNTの、励起波長632.8nmで得られるラマンスペクトルにおいてGバンドに出現するピークの強度IGとDバンドに出現するピークの強度IDとの比G/Dは、1.5であった。
(工程2:長尺CNT分散液の作製)
濃度1.0mmolのヨウ化ナトリウム水溶液500mLを作製した。両性界面活性剤として3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホネート(CHAPS)を2.0g用意した。ヨウ化ナトリウム水溶液に両性界面活性剤および長尺CNTを250mg加え、超音波ホモジナイザー(BRANSON SONIFIER 20kHz)にて2時間の分散処理を行い、濃度0.05重量%の長尺CNT分散液を得た。
(工程3:透明基材の準備)
塗布用の透明基材として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)をA4サイズにカットして用意した。なお、透明基材は、東洋紡株式会社製のTA017を使用した。表面平均粗さRaは12nmである。
(工程4:レベリング剤の添加)
工程2で作製した長尺CNT分散液に対し、ノニオン界面活性剤((株)ネオス製、フタージェント250)を0.05wt%添加し、超音波ホモジナイザー(BransonUltrasonicsCorporation製、BRANSON SONIFIER、20kHz)にて1分間の分散処理を行い、レベリング剤入り長尺CNT分散液を得た。
(工程5:長尺CNT分散液の配向塗布)
透明基材(PETフィルム)に対し、スリットコータ(東レエンジニアリング株式会社製、マルチ・ラボ・コータ)を用いて、スリットコート法にてレベリング剤入り長尺CNT分散液を塗布した。このとき、スリットノズルの吐出口(口金)の幅は、370mmとした。
また、塗布層は、スリットコータのステージ上にPETフィルムを載置し、吐出口をPETフィルム近傍の位置に移動させ、吐出口からレベリング剤入り長尺CNT分散液を吐出させ、ステージを1軸方向に180mm移動させることで、370mm×180mmのエリアに塗布した。
塗布層の厚さの調整は、ステージの移動速度を5cm/secで固定した状態で、吐出口から吐出されるレベリング剤入り長尺CNT分散液の吐出速度を調整することで行った。なお、実施例1では、塗布後の液膜厚が126μmとなるよう吐出速度を調整して塗布を行った。
(工程6:乾燥)
PETフィルムにレベリング剤入り長尺CNT分散液を塗布した後、速やかに(おおむね10秒程度)で真空乾燥装置(東レエンジニアリング株式会社製、マルチ・ラボ・ドライヤー)内に搬送し、常圧から5,000Paまで10秒、5,000Paから50Paまで20秒を掛けて減圧し、50Paのまま120秒保持を行い、1次乾燥処理を実施した。
(工程7:配向CNT層の洗浄および乾燥)
60℃に加熱されたイオン交換水を準備した。1次乾燥処理が施された透明導電膜を上記温水に浸し、配向CNT層に残留する分散剤を洗浄除去した。次いで、温水処理された透明導電膜を速やかに105℃に加熱された電気炉(ヤマト科学株式会社製、精密恒温槽DH611)内に挿入し、10分間の2次乾燥処理を実施した。
(工程8:全光線透過率の測定)
作製した透明導電膜サンプルについて、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH4000)を用いて、JISK7361−1:1997(ISO13468−1:1996に対応)に規定する方法で全光線透過率を測定した。
(工程9:表面抵抗率の測定)
作製した透明導電膜サンプルについて、低抵抗率計(三菱化学株式会社製、ロレスタGP−MCP−T610)を用いて、JISK7194に規定する4探針法で表面抵抗率を5点測定した。
(工程10:電子顕微鏡写真の撮影)
作製した透明導電膜サンプルについて、電界放出型走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−6700F)を用いて、電子顕微鏡写真を撮影した(図6(A)を参照)。
(工程11:配向率の測定)
工程10で撮影した電子顕微鏡写真(30,000倍)を用いて、写真中の長尺CNTの本数Aを確認した(図6(B)を参照)。
次いで、長尺CNTの全てについて、両端点を結んだ直線を描き、これらの長尺CNTの両端点を結んだ直線のうち1本を仮基準線として(図6(C)を参照)、それ以外の長尺CNTの両端点を結んだ直線の傾きを測定し、平均角度を算出した(図6(D)を参照)。
次に、仮基準線から平均角度だけ傾いた直線を基準線として、長尺CNTの両端点を結んだ直線の傾きが±15°以内である長尺CNTの本数Bを確認した。長尺CNTの本数Bを、長尺CNTの本数Aで除することによって、透明導電膜サンプルの配向率を求めた。
下記の表1に、実施例1の作製条件と評価結果を示す。
<比較例1>
上述した実施例1の工程5において、ワイヤーバー(丸協技研株式会社製、#16)を用いて、バーコート法にて液膜厚16μmの条件で長尺CNT分散液を塗布し、工程5および工程6をそれぞれ7回繰り返した以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜サンプルを作製し、評価を行った。
下記の表1に、比較例1の作製条件と評価結果を示す。
<比較例2>
上述した実施例1の工程6において、105℃に加熱された電気炉(ヤマト科学株式会社製、精密恒温槽DH611)を用いて10分間の1次乾燥処理を実施した以外は、実施例1と同様にして、透明導電膜サンプルを作製した。
(電子顕微鏡写真の撮影)
作製した透明導電膜サンプルについて、実施例1と同様にして、電子顕微鏡写真を撮影した(図7(A)を参照)。
(配向率の測定)
撮影した電子顕微鏡写真(30,000倍)を用いて、写真中の長尺CNTの本数Aを確認した(図7(B)を参照)。
次いで、長尺CNTの全てについて、両端点を結んだ直線を描き、これらの長尺CNTの両端点を結んだ直線のうち1本を仮基準線として(図7(C)を参照)、それ以外の長尺CNTの両端点を結んだ直線の傾きを測定し、平均角度を算出した(図7(D)を参照)。
次に、仮基準線から平均角度だけ傾いた直線を基準線として、長尺CNTの両端点を結んだ直線の傾きが±15°以内である長尺CNTの本数Bを確認した。長尺CNTの本数Bを、長尺CNTの本数Aで除することによって、透明導電膜サンプルの配向率を求めた。
下記の表1に、比較例2の作製条件と評価結果を示す。
電子顕微鏡写真の観察結果から、図6(A)に示すように、実施例1の透明導電膜サンプルでは、長尺カーボンナノチューブが配向していることが確認された。これに対して、図7(A)に示すように、比較例2の透明導電膜サンプルでは、長尺カーボンナノチューブが配向していないことが確認された。
表1に示した結果から、実施例1の透明導電膜サンプルが導電性能において顕著な異方性を示しているのに対し、比較例1および比較例2の透明導電膜サンプルでは異方性が見られないことを確認した。また、実施例1では、導電性能の異方性が約80倍であった。
なお、実施例1の工程5をディップコータに置き換えて実施した場合も、実施例1と同等の結果が得られた。
10・・・透明導電膜
11・・・透明基材
12・・・カーボンナノチューブ(CNT)
13・・・配向CNT層
14・・・マトリクス材
15・・・導電層
21・・・カーボンナノチューブバンドル
23・・・カーボンナノチューブ
25・・・両性分子

Claims (4)

  1. 表面粗さRaが20nm以下である透明基材と、
    前記透明基材上に、単位面積当たり70本数%以上配向して設けられた、長さ10μm以上、層数3〜50層、かつ励起波長632.8nmで得られるラマンスペクトルにおいてGバンドに出現するピークの強度IGとDバンドに出現するピークの強度IDとの比G/Dが1以上である長尺カーボンナノチューブと、を備え、
    前記長尺カーボンナノチューブの配向方向の表面抵抗率が、1×10Ω/□以下であり、かつ全光線透過率が60%以上である、透明導電膜。
  2. 前記長尺カーボンナノチューブの配向方向の表面抵抗率と、前記配向方向と垂直方向の表面抵抗率と、の比が、10倍以上である、請求項1に記載の透明導電膜。
  3. 前記長尺カーボンナノチューブの平均バンドル数が10本以下である、請求項1又は2に記載の透明導電膜。
  4. 長さ10μm以上、層数3〜50層、かつ励起波長632.8nmで得られるラマンスペクトルにおいてGバンドに出現するピークの強度IGとDバンドに出現するピークの強度IDとの比G/Dが1以上である長尺カーボンナノチューブ、極性溶媒および分散剤を含む長尺カーボンナノチューブ分散液を調整する工程と、
    表面粗さRaが20nm以下である透明基材の表面に、スリットコータまたはディップコータを用いて前記長尺カーボンナノチューブ分散液を配向塗布する工程と、
    前記配向塗布された状態が損なわれる前に常温の真空乾燥又は常圧の光乾燥を行う工程と、を含む、透明導電膜の製造方法。
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