JP2009199842A - 透明導電膜の製造方法及び電子装置の製造方法 - Google Patents

透明導電膜の製造方法及び電子装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高導電性と高光透過率をもつ透明導電膜及び電子装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】金属電極12a(陰極)と、金属電極10b(陽極)上に積層されたPET層12を有する陽極を、PET層が陰極に対向するように、CNT分散溶液16に浸漬し、陽極と陰極間に直流電圧を印加して、PET層の面に略平行にCNTが配向したCNT膜14を透明導電膜として形成する。PET層面に導電性高分子層が形成され、この面にCNTが形成されてもよい。直流電圧を印加したまま溶液中から陽極を取り出し乾燥後に、直流電圧の印加を停止する。CNT膜が形成されたPET層は金属電極から分離される。CNT膜は、液晶装置、エレクトロルミネッセンス装置、エレクトロクロミック装置、タッチパネル、太陽電池等の電子装置における透明電極の電極として使用される。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電膜の製造方法及び電子装置の製造方法に関し、特に、カーボンナノチューブ等の1次元ナノ粒子を用いた透明導電膜の製造方法及び1次元ナノ粒子を用いた電子装置の製造方法に関する。
カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube、以下、CNTと略記する)は、優れた電気的、機械的特性を有し、ナノテクノロジーの有力な材料として広範囲の分野での応用が期待され、基礎研究、応用研究が盛んに行われている。
従来、CNT薄膜の製造方法として、CNTをエタノール等の溶媒中で超音波を用いて分散させた液を、スプレイ器具を用いて基板上に噴霧して溶媒を蒸発させることによって薄膜を形成するスプレイ法、可溶化CNTからなる膜を水面上に展開し、水面に垂直方向に基板を浸漬させて引き上げる操作を繰り返すことにより薄膜を形成するラングミュアーブロジェット(LB)法、CNTを含む溶液を基板上に塗布する塗布法、溶液中のCNTをフィルタ上に均一に堆積させ基板上にCNTを転写して生成するフィルタ法等が知られている。
「カーボンナノチューブ含有フィルムの製造方法及びカーボンナノチューブ含有コーティング」と題する特許文献1には、以下の記載がある。
カーボンナノチューブ含有コーティングフィルムの製造方法において、前記カーボンナノチューブ含有コーティングフィルムの製造方法は、少なくともカーボンナノチューブと溶媒とを含有する第1の分散体を基材の表面に塗布し、第1の分散体の溶媒を除去して、カーボンナノチューブを三次元網目構造にし、更に、この上に少なくとも樹脂と溶媒とを含有する第2の分散体を塗布して、第2の分散体をカーボンナノチューブの三次元網目構造の中に浸透させたことを特徴とするカーボンナノチューブ含有コーティングフィルムの製造方法。
特許文献1の発明のフィルムは、少ないカーボンナノチューブ含有量で優れた導電性及び透明性が得られる。好ましい実施形態では、フィルム中にカーボンナノチューブは、約0.001から約1重量%存在する。好ましくは、前記フィルム中にカーボンナノチューブは約0.01から約0.1%存在し、このため優れた透明性が得られ低ヘイズとなる。
「カーボンナノチューブ薄膜の製膜方法」と題する特許文献2、及び、「炭素材料薄膜の後処理方法」と題する特許文献3には、以下の記載がある。
カーボンナノチューブの薄膜化方法として、電場を利用してカーボンナノチューブを製膜することにより行なう方法、具体的には、ジメチルホルムアミド溶媒中にカーボンナノチューブを分散させ、この分散溶媒中にて電極に電圧をかけ、陽極側にカーボンナノチューブを吸着させるという方法が提案されている。しかるに、かかる方法ではカーボンナノチューブの分散量が少ないため、結果的に吸着量が少ないといった解決すべき課題が残されている。
「燃料電池セパレータの製造方法」と題する特許文献4には、以下の記載がある。
(1)単層カーボンナノチューブ(SWCNT)をDMF溶媒中にて30分超音波照射(Yamato製、42kHz、100w)を行い、単層カーボンナノチューブ濃度が0.2mg/mLになるように調整して分散溶液を製作した。
(2)上記分散溶液中に、2つのITO電極を沈め、電極間に厚さ2mmのテフロン(登録商標)製スペーサを挟み、室温にて20V/cmの電場の強さになるように2Vの電圧を30分印加して、単層カーボンナノチューブの陽極のITO電極への付着(吸着)を行った。
(3)陽極のITO電極を分散溶液から取り出し、表面を洗浄した。
(4)洗浄後、乾燥させて、陽極のITO電極の表面上に単層カーボンナノチューブの薄膜を得た。
(1)〜(4)の工程を繰り返し10回行い、単層カーボンナノチューブの吸着度合い(膜厚)の変化を調べた。具体的には、(4)の後、単層カーボンナノチューブの吸着評価を紫外可視吸光スペクトルにて、400nmでの吸光度を測定し、評価を行った。
特許文献4の図3に示すように、陽極のITO電極のみ吸光度は変化し、(1)〜(4)の工程の繰り返し回数を増す毎に吸光度は上昇する。このことから、分散溶液中に陽極として単層カーボンナノチューブの被覆体(燃料電池セパレータ)を配置することで、表面上に単層カーボンナノチューブの製膜が可能であり、また工程を繰り返して製膜を行なうことで、単層カーボンナノチューブの膜厚を厚くして膜量を調整することができることが分かった。
また、非特許文献1には、SWCNTs(Single-wall carbon nanotubes)のランダムアレイは、触媒活性化された基板への直接成長、又は、SWCNTsの分散液から任意の基板への付着によって、容易に形成されるとの記載がある。
また、非特許文献2には、交流誘電泳動による金属SWNTと半導体SWNTの分離に関する記載がある。
また、非特許文献3には、ろ過法によるSWNT透明フィルムの形成についての記載がある。
また、非特許文献4には、CVD法によって成長させたSWNTのトランスファプリンティングを使用したプラスチック基板への透明フレキシブルトランジスタの製作に関する記載がある。
また、非特許文献5には、透明電極を使用して溶液プロセスに基づくSWNT透明フレキシブルトランジスタに関する記載がある。
また、非特許文献6には、無水直流電着法によるCNTの陽極表面への電着に関して、以下の記載がある。
酸処理CNTを無水有機溶媒に分散しておき、電極を浸して数ボルトの直流電圧を印加すると、直ちにCNTが陽極表面に電着する。膜厚はCNT濃度を変えることで、数十nmから数mmまで制御できる。電着膜自体も電極となるので、電着した基板を新しい分散液に浸し同じ操作と繰り返すことで、積層できる。等しい条件で繰り返すと、電着量は積層回数に略比例して増加するのが確認されている。電子顕微鏡では、全てのCNTは基板表面に平行に配向しているのが観察された。CNTは5〜40nmの幅の細いバンドル(束)になっていて、布を織ったようにお互いが絡み合っている。分散液を乾燥させて得られた膜、電着膜のそれぞれのラマンスペクトルから、分散液に含まれていた金属CNTは電着膜では確認されない。更に、金属に特有な幅広のピークも電着膜からは確認されなかった。また、電着膜の表面電気抵抗は、分散液のキャスト膜のそれに比べて4桁ほど高い値を示した。これらの結果は、半導体CNTだけが電着している可能性を強く示唆している。
特許第3665969号公報(特許請求の範囲(請求項1)、段落0013) 特開2007−182356号公報(段落0003) 特開2007−182357号公報(段落0008) 特開2005−235425号公報(段落0023〜0028) E. S.Snow et al,"Random networks of carbon nanotubes as an electronic material", Appl. Phys. Lett., Vol.82, No.13(2003)2145 - 2147(第2145頁) R. Krupke et al,"Separation of Metallic from Semiconducting Single-Walled Carbon Nanotubes", Science, Vol.301(2003)344 - 347(Abstract,第344頁) Z. Wu et al,"Transparent, conductive Carbon Nanotube Films", Science, Vol.305(2004)1273 - 1276(第1273頁) Q. Cao et al,"Highly Bendable, Transparent Thin-Film Transistors That Use Carbon-Nanotube-Based Conductors and Semiconductors with Elastometric Dielectrics", Adv. Mater., 2006, 18, 304 - 309(図1) E. Takenobu and T. Takahashi."High-performance transparent flexible transistors using carbon nanotube films", Appl. Phys. Lett., Vol.88, 033511(2006)(Abstract) 佐野 正人,「半導体カーボンナノチューブのみを選別する無水直流電着法」,応用物理学会,有機分子・バイオエレクトロニクス分科会誌,Vol.18, No.2, 109(2007)(第111頁)
上記のスプレイ法による膜は凹凸が多く、均質な膜を得ることが困難であり、また膜厚を制御することも困難であった。LB法では、極めて薄い均質なカーボンナノチューブ(CNT)薄膜を得ることは困難であった。塗布法では、CNTを溶媒中に混合して安定に分散させることが非常に困難で凝集しやすいため、均一な導電膜を作成することが困難という問題がある。フィルタ法では、成膜プロセスが非常に煩雑であり、不純物を多く含んでしまうという問題がある。CNTと基板との親和性を利用して、CNTを自発的に基板に付着させる方法があるが、この方法では導電膜の成膜がシリコン基板上に限られてしまうという問題がある。また、その他の方法として、電着法、CVDを用いた方法等があるが、何れもスケールアップが非常に困難であるという問題がある。
特許文献1、非特許文献1、非特許文献3〜非特許文献5の方法では、その応用用途として主に薄膜トランジスタが提唱されている。しかし、CNTは本質的に金属と半導体が混在した状態で存在しており、一本当りでの電気伝導性が非常に高いため、2次元薄膜としても透明な高導電材料としての応用が期待できる。これら文献に記載の成膜法による透明導電膜が実用化されない要因として、成膜段階で基板上にムラが生じること、CNTの面密度が著しく低いことが挙げられる。またCNTを薄膜にしただけでは、CNTはランダムな配列をとる。以上のことから、既存の成膜法で作成したCNT薄膜は膜としての均一性が大変低く、CNT間の抵抗からその導電性は単一のCNTに対して著しく劣るという問題がある。
非特許文献6に、電着法によって金属陽極上に半導体CNT膜を成膜することが記載されているが、成膜される半導体CNT膜の抵抗値は非常に高く、絶縁基板上への成膜は不可であるため、導電性薄膜としての応用は期待できない。
本発明は、上述したような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、高い導電性と高い光透過率を有する透明導電膜の製造方法及び電子装置の製造方法を提供することにある。
即ち、本発明は、陰極と、導電性基板に高分子層が積層された陽極を、前記高分子層が前記陰極に対向するように、1次元ナノ材料を含む溶液中に浸漬させる第1工程と、前記陽極と前記陰極の間に直流電圧を印加して、前記高分子層の面に前記1次元ナノ材料の膜を透明導電膜として形成する第2工程とを有する、透明導電膜の製造方法に係るものである。
また、本発明は、導電性基板に高分子層が積層された陽極を前記高分子層が陰極に対向するように、前記陽極及び前記陰極を1次元ナノ材料を含む溶液中に浸漬させる第1工程と、前記陽極と前記陰極の間に直流電圧を印加して、前記高分子層の面に前記1次元ナノ材料の膜を透明導電膜として形成する第2工程と、前記1次元ナノ材料の膜が形成された前記高分子層を前記導電性基板から分離する第3工程とを有する、電子装置の製造方法に係るものである。
本発明の透明導電膜の製造方法によれば、前記導電性基板に前記高分子層が積層されてなる前記陽極を前記高分子層が前記陰極に対向するように、前記陽極及び前記陰極を前記1次元ナノ材料を含む溶液中に浸漬させて、前記陽極と前記陰極の間に直流電圧を印加して、前記高分子層の面に前記1次元ナノ材料の膜を透明導電膜として形成するので、前記高分子層に高い導電性と高い光透過率を有する透明導電膜を形成することができる。また、前記陽極と前記陰極の間に直流電圧を印加し、前記1次元ナノ材料を含む溶液中に前記陽極と前記陰極を浸漬する時間を制御することによって、或いは、前記溶液中の前記1次元ナノ材料の濃度を制御することによって、透明電導膜の厚さを制御することができ、透明性及び導電性を制御することができる。
また、本発明の電子装置の製造方法によれば、前記導電性基板に前記高分子層が積層されてなる前記陽極を前記高分子層が前記陰極に対向するように、前記陽極及び前記陰極を前記1次元ナノ材料を含む溶液中に浸漬させて、前記陽極と前記陰極の間に直流電圧を印加して、前記高分子層の面に前記1次元ナノ材料の膜を透明導電膜として形成し、前記高分子層を前記導電性基板から分離するので、複雑な装置を必要とすることなく、前記高分子層に形成され高い導電性と高い光透過率をもった透明導電膜を有する電子装置の製造方法を提供することができる。また、前記陽極と前記陰極の間に直流電圧を印加し、前記1次元ナノ材料を含む溶液中に前記陽極と前記陰極を浸漬する時間を制御することによって、或いは、前記溶液中の前記1次元ナノ材料の濃度を制御することによって、透明電導膜の厚さを制御することができ、透明性及び導電性を制御することができる電子装置の製造方法を提供することができる。
本発明の透明導電膜の製造方法では、前記1次元ナノ材料の膜が形成された前記高分子層を前記導電性基板から分離する第3工程を有する構成とするのがよい。このような構成によれば、前記高分子層の面に前記1次元ナノ材料の膜を透明導電膜として形成し、前記高分子層を前記導電性基板から分離するので、前記高分子層に形成され高い導電性と高い光透過率を有する透明導電膜を提供することができる。
また、前記高分子層の面に導電性高分子層が形成されており、この導電性高分子層に前記1次元ナノ材料の膜が形成される構成とするのがよい。このような構成によれば、前導電性高分子層の面に形成された膜では、前記1次元ナノ材料が前導電性高分子層の面に密着しているので、前記1次元ナノ材料によって形成された透明導電膜の導電性をより向上させることができる。
また、前記導電性高分子層の表面抵抗が1MΩ/□以下である構成とするのがよい。このような構成によれば、前記1次元ナノ材料からなる透明導電膜は高い導電性を有するので、高い導電性が要求される透明電極、透明配線(導電線路)に使用することができる。
また、前記高分子層の面に前記1次元ナノ材料の膜が形成されており、前記溶液中の前記1次元ナノ材料の濃度を高めた後に、前記第2工程を繰り返す構成とするのがよい。このような構成によれば、前記陽極と前記陰極の間に直流電圧を印加し、前記陽極と前記陰極を前記1次元ナノ材料を含む溶液中に浸漬する時間の経過と共に、前記溶液中の前記1次元ナノ材料が前記高分子層の面に付着されて、前記溶液中の前記1次元ナノ材料の濃度が低下し、前記1次元ナノ材料の前記高分子層の面への付着効率が低下するが、前記溶液中に前記1次元ナノ材料を添加してその濃度を高めて、前記第2工程を繰り返すことによって、前記1次元ナノ材料の前記高分子層の面への付着効率を高めることができ、前記1次元ナノ材料を含む溶液中に前記陽極と前記陰極を浸漬する時間を制御することによって、或いは、前記溶液中の前記1次元ナノ材料の濃度を制御することによって、透明電導膜の厚さを制御することができ、透明性及び導電性を制御することができる。
また、前記直流電圧を印加した状態で前記溶液中から前記陽極を取り出して乾燥させた後に、前記直流電圧の印加を停止する構成とするのがよい。このような構成によれば、前記陽極、即ち、前記陽極に形成された透明電導膜の乾燥時において、透明導電膜における前記1次元ナノ材料の配列状態が乱されることがない。
また、前記高分子層の厚さが100μm以下である構成とするのがよい。このような構成によれば、厚さが100μm以下のフレキシブルな前記高分子層の面に前記1次元ナノ材料からなる透明電導膜が形成されるので、この透明電導膜によって透明電極、或いは、透明配線(導電線路)を形成することができ、フレキシビリティ(屈曲性)が要求される電極体、或いは、配線(導電線路)体を製造することができる。
また、前記高分子層が透明である構成とするのがよい。このような構成によれば、透明な前記高分子層の面に前記1次元ナノ材料からなる透明電導膜が形成されるので、この透明電導膜によって透明電極体、或いは、透明配線(導電線路)を形成することができ、更に、前記高分子層を薄くしてフレキシブルなものとすれば屈曲可能な、透明電極体、或いは、透明配線(導電線路)体を製造することができる。
また、前記高分子層が、リエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルサルフォン(PES)及びこれらの誘導体の何れかである構成とするのがよい。このような構成によれば、前記1次元ナノ材料からなる透明電導膜が形成された前記高分子層が使用される、目的用途、使用環境に応じて、光学的特性、電気的特性、機械的特性に応じて前記高分子層の材質を適宜選択することができる。
また、前記1次元ナノ材料がカーボンナノチューブである構成とするのがよい。前記1次元ナノ材料からなる高い透明性及び導電性を有する透明導電膜を製造することができる。
また、前記1次元ナノ材料の膜の透過率(波長550nmにおける透過率)が60%以上である構成とするのがよい。このような構成によれば、前記1次元ナノ材料からなる透明導電膜は良好な透明性を有するので、良好な透明性が要求される透明電極に使用することができる。
また、前記1次元ナノ材料の膜の表面抵抗が1kΩ/□以下である構成とするのがよい。このような構成によれば、前記1次元ナノ材料からなる透明導電膜は高い導電性を有するので、高い導電性が要求される透明電極、透明配線(導電線路)に使用することができる。
また、前記1次元ナノ材料、又は、束状の前記1次元ナノ材料が0.1Pa以上のヤング率を有する構成とするのがよい。このような構成によれば、前記1次元ナノ材料からなる透明導電膜は良好な機械的強度を有するので、良好な機械的強度が要求される透明電極、透明配線(導電線路)に使用することができる。
また、前記1次元ナノ材料が前記高分子層の面に略平行に配向している構成とするのがよい。このような構成によれば、前記高分子層の面に略平行な方向に高い導電性を有する、前記1次元ナノ材料からなる透明導電膜を製造することができる。
また、前記1次元ナノ材料の軸が一の方向に対して30度以内に配向している構成とするのがよい。前記1次元ナノ材料が前記高分子層の面に略平行に配向しており、前記1次元ナノ材料の軸が一の方向に対して30度以内に配向しているので、前記高分子層の面に略平行な前記一の方向において高い導電性を有する、前記1次元ナノ材料からなる透明導電膜を製造することができる。
本発明の電子装置の製造方法では、上述した透明導電膜の製造方法のそれぞれによって、前記透明導電膜が形成される構成とするのがよい。このような構成によれば、上述した透明導電膜の製造方法のそれぞれによって得られる上述した作用効果を有する電子装置を製造することができる。
また、前記透明導電膜が透明電極として使用される構成とするのがよい。前記透明導電膜は高い光透過性及び導電性を有しているので、各種の電子装置の透明電極として使用することができる。
また、液晶装置、エレクトロルミネッセンス装置、エレクトロクロミック装置、電界効果型トランジスタ、タッチパネル、太陽電池の何れかとして構成されるのがよい。このような構成によれば、前記透明導電膜は高い透明性及び導電性を有しているので、各種の高性能な電子装置を提供することができる。また、前記透明導電膜は、各種の電子装置の透明配線(導電線路)体として使用することができる。
本発明による1次元ナノ材料からなる透明導電膜の製造方法では、陰極と、導電性基板上に積層された高分子層を有する陽極を、高分子層が陰極と対向するように、1次元ナノ材料が分散された分散溶液に浸漬し、陽極と陰極間に直流電圧を印加して、高分子層の面に略平行に1次元ナノ材料が配向した膜を透明導電膜として形成する。高分子層の面に導電性高分子層が形成され、この面に1次元ナノ材料の膜が形成されてもよい。直流電圧を印加したまま溶液中から陽極を取り出し乾燥後に、直流電圧の印加を停止する。1次元ナノ材料の膜が形成された高分子層は導電性基板から分離され、必要に応じて、所望の形状に切り出されて使用される。
また、1次元ナノ材料からなる透明導電膜を形成したい高分子層の所望領域以外のその他領域をマスキングして、外部に露出する所望領域に、上記と同様にして、1次元ナノ材料からなる透明導電膜を形成した後に、マスキングを除去して、高分子層の所望領域に1次元ナノ材料からなる透明導電膜を形成することができる(マスキング法)。この場合にも、1次元ナノ材料は高分子層の面に略平行に配向している。上記のようにマスキングによって、所望の領域に1次元ナノ材料からなる透明導電膜を所望の形状で形成することができる。
1次元ナノ材料からなる透明導電膜は、透明性、導電性に優れ、液晶装置、エレクトロルミネッセンス装置、エレクトロクロミック装置、タッチパネル、太陽電池等における透明電極として使用することができる。また、1次元ナノ材料からなる透明導電膜、例えば、CNT透明導電膜をオゾンや紫外線によって所望の形状にエッチングすることによって、或いは、所望の形状を有する所望領域を除くその他領域をマスキングして、外部に露出する所望領域にCNT透明導電膜を所望の形状で形成することによって、各種の電子装置の透明電極、或いは、各種の電子装置の透明導電線路としての配線、電極端子として使用することができる。このように、1次元ナノ材料からなる透明導電膜は、電子回路を形成する透明配線(導体線路)としても使用することができる。また、本発明の方法による1次元ナノ材料からなる透明導電膜は透明帯電防止膜として使用することもできる。
なお、1次元ナノ材料は、導電性であることが望ましく、例えば、カーボンナノチューブ、Cu、Ag、Au、Ni、Co、Sn等の金属ナノワイヤ、TiO2、SnO2、ZnO等の酸化物ナノワイヤ、カーボンやセルロース等の有機物ナノファイバーである。
以下、図面を参照しながら本発明による実施の形態について詳細に説明する。
実施の形態
本発明による透明電導膜を1次元ナノ材料としてCNTを例にとって説明する。
図1は、本発明の実施の形態における、高分子フィルム上へのカーボンナノチューブ(CNT)薄膜の形成方法を説明する図である。
本発明の透明導電膜は、図1に示すように製造することができる。
工程1:導電性基板に高分子層が積層されてなる陽極の作成
鏡面加工された金属基板を金属電極10bとしこの上に高分子層として、例えば、厚さ100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム12を使用し、PET12が貼付されたPET/金属電極を作製する。金属電極10bの表面は、鏡面加工された平滑面とすることが、最終的に形成されるCNT膜14の膜厚が均一でしかも導電性がより良好なものとなるようにする上で望ましい。
金属電極10a、10bとして、真鍮、アルミニウム、銅、クロム、白金、金、パラジウム等の各種金属が使用できるが、金属電極10bには、SUS基板を使用した方が他の種類の金属基板を使用した場合よりも、導電性が良好なCNT膜14を形成することができる。金属電極10bへのPETフィルム12の貼付は、例えば、剥離が低温加熱によって容易な接着剤を使用して行なう。
工程2:高分子層の面への導電性高分子層の形成
PET/金属電極のPET12面に導電性高分子、例えば、後述するPEDPOT/PSS水性分散液、H2O、IPAを混合したスピンコート用溶液をスピンコート法によって塗布した後、加熱によって乾燥させて、PET12上に導電性高分子層が形成された導電性高分子層/PET/金属電極を作製する。なお、加熱は、PET12、及び、塗布された導電性高分子が分解したり、PET12が熱変形し金属電極10bから剥離したり、塗布された導電性高分子が熱変形しPET12から剥離したりしないような温度で行なう。例えば、温度は、50度〜60度(以下、温度は摂氏温度で示す。)以下とする。
なお、工程2を省略して、以下の工程を実行することによって、PET12面上にCNT膜14を形成することもできるが、PET12上に表面抵抗が1MΩ以下である導電性高分子層が形成されていることが、最終的に形成されるCNT膜14の膜厚が均一でしかも導電性がより良好なものとなるようにする上で望ましい。導電性高分子層は少なくとも厚さ0.1nmで形成されていればよい。
工程3:CNT膜の成膜プロセス
導電性高分子層/PET/金属電極を陽極、金属電極10aを陰極として、所定の間隔を保持し、金属電極10aの面と、金属電極10bに形成された導電性高分子層の面とを略平行に対向させて、容器に収納された、CNTが分散されたCNT分散溶液16中に浸漬する。CNT分散溶液16は、IPAとDMF混合溶液(IPA:(CH3CHOHCH3)、イソプロピルアルコール、2−プロパノール;DMF:C37NO、ジメチルホルムアミド)に単層CNT(SWNT)を分散させた分散溶液とする。
CNTを分散させる溶液は、例えば、IPAに20wt%でDMFを混合した混合溶液とする。また、金属電極10b(陽極)の表面と金属電極10a(陰極)の表面の間隔は、例えば、1mmとする。
金属電極10a、10b間に、所定の直流電圧を所定時間(成膜時間)だけ印加する。CNT分散溶液16に超音波を照射した状態で電圧を印加することが、CNT分散溶液16を撹拌して金属電極10b(陽極)の方向にCNTが供給され易い状態とし、膜厚が均一で導電性が良好なCNT膜を形成する上で望ましい。また、適切なCNT濃度を有するCNT分散溶液16が容器に収納された状態としておくことが、金属電極10b(陽極)の方向にCNTが不足することなく供給され、目的とする厚さのCNT膜を形成する上で望ましい。
CNT分散溶液16に照射する超音波の条件として、例えば、周波数は38kHz、パワーは30Wとする。また、電圧の印加条件は、例えば、直流電圧を0.1V〜20V、成膜時間を10秒〜30分間とする。
なお、直流電圧の印加後の時間経過と共に、CNT分散溶液16中のCNTが導電性高分子層の面に捕捉付着され、CNT分散溶液16中のCNT濃度が低下するので、CNT分散溶液16中のCNT濃度をモニタしながら、或いは、CNT膜の厚さをモニタしながら、CNT濃度の低下に伴ってCNT分散溶液16にCNTを添加して、CNT濃度を高めることによって、効率よくCNT膜を導電性高分子層の面に形成することができる。
CNT膜の厚さは、CNT分散溶液16中のCNT濃度、又は/及び、直流電圧が印加され、CNT分散溶液16中に金属電極10bを浸漬する時間によって、制御することができ、CNT膜の導電性、光透過率を制御することができる。
工程4:CNT膜の乾燥
直流電圧を印加した状態で金属電極10bを容器から取り出し、エアブローによって、導電性高分子層、CNT膜の面に残存するCNT分散溶液16を飛散させて金属電極10bを乾燥状態とした後に、直流電圧の印加を停止する。直流電圧を印加したまま乾燥するので、CNT膜におけるCNTの配列状態が乱されることがない。
後述するように、PET12の周辺部に電界が集中するため、PET12の表面の全領域でCNT膜が均一厚さとならないので、CNT膜、導電性高分子層が形成されたPET12を金属電極10bから分離した後、CNT膜、導電性高分子層が形成されたPET12から、周辺部分を切り取り、中心部分を含み略均一厚さを有する領域を切り出す。
以上のようにして、CNTが高分子層の面に略平行に配向し、例えば、表面抵抗が1kΩ/□以下であるCNT透明導電膜、波長550nmにおける透過率が60%以上であるCNT透明導電膜を形成することができる。
CNT透明導電膜をオゾンや紫外線によって所望の形状にエッチングすることによって、或いは、所望の形状を有する所望領域を除くその他領域をマスキングして、外部に露出する所望領域にCNT透明導電膜を所望の形状で形成することによって、各種の電子装置の透明電極、或いは、各種の電子装置の導電線路としての配線、電極端子として使用することができる。
高分子層を任意の種類の高抵抗基板(電気絶縁性基板)によって構成することもでき、高抵抗基板は、表面抵抗が1×105Ω/□以上、体積抵抗1×105Ω・cm以上、比誘電率0.1以上であればよい。高抵抗基板として、各種のポリマ基板(高分子基板)を用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PAN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステルフィルムをはじめとして、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルフォン(PS)等の透明性を有する基板を使用することができる。
高抵抗基板の面に形成する導電性高分子層は、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビ二レン等のポリマを主成分とする有機導電性材料(導電性ポリマ)を使用して形成することができる。
例えば、導電性ポリマとして、スタルクヴィテック社製(購入先:純正化学)のポリチオフェン系導電性ポリマ、Baytron(登録商標)PEDOT(3,4−エチレンジオキシチオフェンを高分子量スチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマである。)を用いることができる。Baytronは青みを帯びた高分子で、高透明性であり、数百〜108Ω/□の表面抵抗が可能とされている。
PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))は本来不溶性であるが、ポリスチレンスルホン酸(PSS)の存在下、水溶液中でコロイド分散液として得られ、このPEDPOT/PSS水性分散液は、ロール、スピン、スプレイ等のコーティング法、浸漬法(引き上げ法)等によって塗布可能である。
例えば、PEDPOT/PSS水性分散液(製品名Baytron P HCV4)を使用した以下に説明するスピンコート法では、透明な膜を形成することができる。
市販のPEDPOT/PSS水性分散液をH2Oと混合した後に、IPAを加えて希釈して均一なスピンコート用溶液を作成する。PEDOT(市販のPEDPOT/PSS水性分散液)、H2O、IPAの混合比率を、PEDOT:H2O:IPA=1:1:5〜10程度とするスピンコート用溶液をPET膜面にスピンコート法(回転数を500rpm〜5000rpm、スピンコート時間を5秒〜3分間)によって塗布し、自然乾燥、又は、100度(摂氏温度)で1分間程度ポストベークによって乾燥させて、厚さが0.1nm〜100nm、表面抵抗が10Ω/□〜1×106Ω/□、波長550nmにおける透過率が90%〜99.9%のPEDOT/PSS膜を作成することができる。なお、スピンコート後、100度(摂氏温度)で1分間程度ポストベークを行なうか、自然乾燥によって、導電性の良好なPEDOT/PSS膜を得ることができる。
なお、PET等の高分子層の面に形成する導電性高分子層に換えて、PET等の高分子層の面に、ITO、ATO、FTO、AZOを形成してもできる。また、PET等の高分子層に換えて、絶縁性ガラスを使用することもできる。
本発明の製造方法では、1次元ナノ材料からなる透明導電膜を、真空プロセスによらず、導電性高分子が成膜することができるものであれば任意の絶縁基板に、非常に簡易な装置構成によって、室温大気中で形成することができる。また、透明導電膜の厚さは、CNT分散溶液中のCNT濃度、又は/及び、直流電圧が印加され、CNT分散溶液中に金属電極を浸漬する時間(成膜時間)によって、制御することができ、透明導電膜の導電性、光透過率を制御することができる。1次元ナノ材料からなる単層薄膜とすれば、透明性に非常に優れた透明導電膜が得られ、また、1次元ナノ材料からなる膜の厚さを厚くすれば、導電性に非常に優れた透明導電膜が得られる。
図2は、本発明の実施の形態における、透明導電膜を使用したタッチパネルを説明する図であり、図2(A)は断面図、図2(B)は透明電導膜の平面図を示す図である。
通常、タッチパネルはLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)に重ねて配置されるため、可視光領域において80%以上の透過率が必要であり、抵抗膜式タッチパネルのアナログ方式では、電極を構成する膜の抵抗の均一性が要求される。
図2(A)の(A1)に示すように、透明タッチパネルは、透明導電膜1aが上部電極として形成された変形可能なPET基板(上部基板)2aと、表面に電気絶縁性のドットスペーサ3が形成された透明導電膜1bが下部電極として形成されたガラス基板(下部基板)2bから構成され、上部基板2aと下部基板2bは、僅かな隙間(空間)5を保って両電極を対向させて電気絶縁層4を介して接合されている。
上部基板2aと下部基板2bとの間隔5は、例えば、100μm〜300μmであり、この間隔5に対してドットスペーサ3の高さは、上部電極と下部電極が常時接触してON状態となることを防止し、パネルに表示される画像に影響を与えないように、例えば、5μm〜50μm程度である。両電極がタッチしていない状態では、微小なドットスペーサ3によって両電極は接触していないために電流は流れない。なお、下部電極はITO膜によって形成されてもよい。
図2(A)の(A2)に示すように、指又は専用ペンでPET基板2a側に触れ押圧するとPET基板2aのタッチされた部分が変形たわみ、透明導電膜1a、1b同士が接触して電気が流れスイッチ動作が生じ、入力が検知される。
図2(B)の(B1)〜(B4)に示すように、上部電極、下部電極をそれぞれ構成する透明電導膜1a、1bは、連続した平面状の透明電導膜、2次元マトリクス上に配置された不連続な微小電極からなる透明電導膜とすることができる。
図2(B)の(B1)、(B3)、(B4)に示す例では、押圧によりPET基板2aが変形して生じた上部電極、下部電極の接触点(上部電極と下部電極が閉回路を形成する上記の微小電極の位置)、即ち、押圧された位置(座標)を、微小電極が接続された読み取り回路で検出する。
図2(B)の(B2)に示す例は、アナログ方式の抵抗膜式タッチパネルであり、上部電極、下部電極をそれぞれ構成する透明電導膜1a、1bの抵抗による分圧比を測定することによって押圧された位置(座標)を検出する。
図2に図示しないが、図2(B)の(B4)に示す例において、横方向に1行に並ぶ微小電極1aを各行毎に連接させた細い短冊状電極とし、横方向に1列に並ぶ微小電極1bを列毎に連接させた細い短冊状電極とし、上部電極、下部電極を構成する短冊状電極を互いに直交するように配置し、上部電極、下部電極の短冊状電極を読み取り回路に接続させたマトリクス構造とすることもでき、押圧によって生じる上部、下部電極の接触点(上部電極と下部電極の短冊状電極が接触し閉回路を形成する位置)を、読み取り回路で検出する構成とすることもできる。
なお、上記の微小電極、短冊状電極は、1つの透明電導膜をエッチングすることによって形成することができる。
本発明の導電透明膜は、透明電極が形成された透明基板の間に挟まれた液晶に電圧を印加して、液晶分子の配向によって生じる光透過率の変化を利用する液晶表示装置(LCD、図示せず。)における透明電極として使用することもできる。
また、本発明の透明電導膜は、図示しないエレクトロクロミック装置における透明電極として使用することができる。エレクトロクロミック装置は、有機又は無機化合物からなるエレクトロクロミック化合物が担持された透明電極とこれに対向する電極との間に電圧を印加することによって生じる、エレクトロクロミック化合物の電気化学的な酸化還元反応に伴う吸収スペクトルの変化(エレクトロクロミック現象)を利用するものであり、表示装置等に適用される。
また、本発明の透明電導膜は、図示しないエレクトロルミネッセンス装置における透明電極として使用することができる。エレクトロルミネッセンス装置は、2つの電極の間に、硫化亜鉛等の無機物又はジアミン類等の有機物からなる発光体が配置され、2つの電極の間に電圧を印加することによって発生する発光を利用するものであり、表示装置、照明装置等に適用される。
更に、本発明の透明電導膜は、図示しない太陽電池における透明電極として使用することができ、2枚の透明電極の間に微量の色素を吸着させた二酸化チタン層と電解質を挟み込んだ単純な構造を有する色素増感太陽電池における、光が入射される側の電極(アノード電極)を形成する透明電導膜として使用することができる。
本発明による薄膜は、表面抵抗が小さく、可視光領域における光透過率が大きく、電気的特性、光学的特性に優れており、タッチパネル、エレクトロルミネッセンス装置、エレクトロクロミック装置、太陽電池等に好適に使用することができる。
図3は、本発明の実施の形態における、カーボンナノチューブ(CNT)薄膜の導電特性と電子回路への応用を説明する図であり、図3(A)はCNT配向膜の導電特性を説明する模式図、図3(B)はCNT薄膜を用いたバックゲート型効果トランジスタの概略を説明する断面図である。
図3(A)は、CNT32が連接して2次元に密着して基板31上に配列する場合、CNT32の高密度配向膜の軸方向における導電特性の見積りを説明する図であり、CNT配向膜の抵抗値は、CNT1本当りの長さ方向の抵抗値(線抵抗)、CNT相互の接触抵抗、CNT1本当りの長さ、CNTの構成の金属比率、CNT配向膜の長さ及び幅、その他の因子によって、推定することができ、また、CNT配向膜の透過率は膜厚さとCNTの吸収係数から推定することができ、例えば、CNT32の軸方向の線抵抗33を2,400Ω/μm、CNT32の壁面間の接触間抵抗34を50,000Ω、CNT32の先端部間の接触間抵抗35を50,000Ω(その他要因は省略する。)等とする時、2分子層のCNT薄膜の波長550nmにおける透過率は96%、電極30a、30bの間の抵抗値は約140Ωとなる。
図3(B)は、CNT薄膜を用いたバックゲート型効果トランジスタ(FET)の概略構成を示し、FETでは、基板46、例えば、PET面にゲート電極45が積層され、ゲート電極45に、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)又はポリイミドワニス等による絶縁物層44が積層され、絶縁物層44に、例えば、有機半導体層又は無機半導体層によるソースドレインチャンネル43が積層され、ソースドレインチャンネル43に、ソース電極41及びドレイン電極42が積層されている。このような構成において、基板46、ゲート電極45、絶縁物層44、ソースドレインチャンネル43、ソース電極41、ドレイン電極42を透明層によって形成すると、光学的に透明なFETを実現することができる。
上述したFETにおけるゲート電極45、ソース電極41、ドレイン電極42として、金属CNTを用いて本発明の方法によって、CNT透明導電膜を上述したマスキング法によって形成することができる。
以上、CNT薄膜を用いたFETとして、バックゲート型効果トランジスタを例にとって説明したが、周知のトップゲート型の構成とすることもできることは言うまでもない。
実施例
以下、実施例について説明する。先ず、CNT膜の成膜の手順について説明する。
工程1:導電性基板に高分子層が積層されてなる陽極の作成
厚さ6mm、面積50mm×20mmの鏡面加工されたSUS基板に、厚さ25μm、面積50mm×20mmのPETフィルムを接着剤(東洋理化(株)、UVカットフィルムC−970−1)を用いて貼付し積層されたPET/SUS基板を作製する。PETフィルムはより薄いものが望ましいが、25μmより薄いものは取り扱いが難しい。
工程2:高分子層の面への導電性高分子層の形成
上述したPEDOT(市販のPEDPOT/PSS水性分散液、製品名Baytron P HCV4)、H2O、IPAの混合比率を、PEDOT:H2O:IPA=1:1:50とするスピンコート用溶液を調製する。スピンコート用溶液を用いて、例えば、3,000rpm、30秒間の条件によるスピンコート法によって、PET/SUS基板のPET面に塗布した後、塗布膜を60度、10分間の加熱によって乾燥させて、PET上に厚さ3nmのPEDOT/PSS層(以下、単にPEDOT層という。)が形成された、PEDOT層/PET/SUS基板を作製する。この段階でのPEDOT層の表面抵抗は1MΩ程度である。なお、加熱乾燥は、極薄膜のPETに劣化が生じないように、80度以下の温度で行なう。
工程3:CNT膜の成膜
IPAに20wt%でDMFを混合し脱水した混合溶液にCNTを、100時間程度の間分散状態を保つことができるように、例えば、0.1mg/mLの濃度で添加して、約60分間の超音波処理を施すことによって、溶媒全体にCNTを分散させて、CNT分散溶液を調製する。なお、CNTとして、アーク放電により作製されたSWNT(単層CNT)の市販品(Carbon Solutions inc.、製品型番P3−SWNT)を精製して使用した。
内容積180mLの容器に120mLのCNT分散溶液を入れ、PEDOT層/PET/SUS基板を陽極、厚さ6mm、面積50mm×20mmの材質がSUSからなる金属平板を陰極として、1mmの間隔を保持して陽極、陰極を、PET面と陰極面を略平行に対向させるようにして、CNT分散溶液中に浸漬する。CNT分散溶液に周波数38kHz、パワー30Wの超音波を照射し、CNT分散溶液を撹拌させた状態で、陽極と陰極の間に、例えば、直流電圧2Vを3分間(成膜時間)印加する。
印加電圧を陽極と陰極の間隔距離で割ったものが発生する電場の大きさとなるが、電場が大きければ大きいほど、誘電分極の値も大きくなるため、形成されるCNT薄膜の厚さは大きくなると同時に、CNTの分散性は落ちる。均一なCNT薄膜作成のためには、1V〜10V程度の印加が望ましい。ここでは溶媒の分解を抑えるために印加電圧を、主に2Vとした。
工程4:CNT膜の乾燥、基板とPETの分離、縁部分の切除
直流電圧を印加した状態のままで陰極、陽極を容器から取り出し、エアブローによって、陰極、陽極間に残存するCNT分散溶液を飛散させて陽極を乾燥させ、CNT膜が形成されたPEDOT層/PETの層の部分とSUS基板とを分離する。CNT膜はPETの周縁部分で厚さが中央部分よりも厚くなり形成されるので、厚さが略同程度となっている中央部分を含む領域を残して、CNT膜が形成されたPEDOT層/PETの層の周縁部分を削除する。
図4は、本発明の実施例における、カーボンナノチューブ薄膜の形成例を示す光学像(倍率100)である。
図4に示す結果は、以下に示す主な成膜条件によって作製されたCNT透明導電膜に関するものである。
PET/SUS基板:厚さ6mm、面積50mm×20mmの鏡面加工されたSUS基板に、厚さ約50μm、面積50mm×20mmのPETフィルムを貼付し積層した。
PEDOT層/PET/SUS基板:PEDPOT/PSS水性分散液(Baytron P HCV4)、H2O、IPAの混合比率を、PEDOT:H2O:IPA=1:1:50とするスピンコート用溶液を調製し、3000rpm、30秒間の条件でスピンコート法によって、PET面に塗布した加熱乾燥させた。なお、PEDOT層の厚さは約3nm、表面抵抗は1MΩ/□、550nmにおける透過率(PET基板の寄与は含まない透過率。)は99.2%であった。
CNT分散溶液:IPAに20wt%でDMFを混合し脱水した混合溶液に、SWNT(Carbon Solutions inc.、製品型番P3−SWNT)を精製して2mg/mLの濃度で添加して、超音波処理によって分散させて分散溶液を調製した。
電圧の印加:陽極、陰極の間隔を1mmとして、超音波の照射下で直流電圧2Vを10分間(成膜時間)印加した。
図4に示すように、形成されたCNT透明導電膜は不均一で電極の周縁部分に集中して成膜されており、CNT透明導電膜の厚さは0〜50nm、表面抵抗は50Ω/□〜5,000,000Ω/□と場所によって大きくばらついていた。
成膜条件を検討した結果、成膜中における超音波処理、成膜中におけるCNT分散液中のCNT濃度を略一定値に維持するようにすること、陽極に平滑なSUS基板を使用すること等が、良好なCNT膜の作製に有効であり、CNT分散液のDMF濃度が1%程度の場合、CNTが付着し難くなること、PET面のシランカップリング処理、及び、直流電圧を高くして成膜時間を短くすることは、特に良好なCNT膜を与えるものではなかった。
図5は、本発明の実施例における、アノード電極における電場を説明する図であり、電場の強度分布(上図)、及び、電気力線の分布(下図)を示すグラフである。
図5に示す結果は、厚さ6mm、面積50mm×20mmの金属電極10bに、厚さ5μm、面積50mm×20mmのPETフィルム12を貼付し積層したものアノード(陽極)とし、陽極、陰極が浸漬される溶液の比誘電率を10、導電率を無限大ジーメンスとし、陽極、陰極の間隔を無限大としてこの間に印加される直流電圧を5Vとした条件下において、シミュレーション計算によって得られた、陽極を含む領域における電場の状態を示すものである。なお、図5において、D=W=50mmである。
図5の上図は電場の強度分布、下図は電気力線分布を示すが、矢印によって示す電気力線の方向から良く分かるように、負に帯電した物体は金属電極10b及びPET12全体に引き寄せられ、また、電場勾配はPET12の縁部に最も集中するため、この付近で物体の付着量が増えることが、視覚的に理解することができる。PET12の面のごく近傍では電気力線の方向は、PET12の面に略平行に近い角度に分布し、PET12の縁部に近づくにつれて、電気力線の方向はPET12の面と大きな角度をなすように分布している。このことから、PET12の縁部を除いて、CNTはPET12の面に平行に付着していると考えられ、PET12と金属電極10bが積層された積層体(PET/金属電極)から分離したPETの縁部、或いは、この積層体のPET12における縁部の近傍領域を削除すれば、略均一厚さを有するCNT透明導電膜を得ることができる。
図6は、本発明の実施例における、カーボンナノチューブ薄膜の形成例を示すAFM像であり、図6(A)、図6(B)は異なる観察領域であり、CNTは略一の方向に沿って配向していることが分かる。
図6に示す結果は、以下に示す主な成膜条件によって作製されたCNT透明導電膜に関するものである。
PET/SUS基板:厚さ6mm、面積50mm×20mmの鏡面加工されたSUS基板に、厚さ25μm、面積50mm×20mmのPETフィルムを貼付し積層した。
PEDOT層/PET/SUS基板:PEDPOT/PSS水性分散液(Baytron P HCV4)、H2O、IPAの混合比率を、PEDOT:H2O:IPA=1:1:100とするスピンコート用溶液を調製し、3000rpm、60秒間の条件でスピンコート法によって、PET面に塗布した加熱乾燥させた。なお、PEDOT層の厚さは約3nm、表面抵抗は1MΩ/□、550nmにおける透過率(PET基板の寄与は含まない透過率。)は99.3%であった。
CNT分散溶液:IPAに30wt%でDMFを混合し脱水した混合溶液に、SWNT(Carbon Solutions inc.、製品型番P3−SWNT)を精製して2mg/mLの濃度で添加して、超音波処理によって分散させて分散溶液を調製した。
電圧の印加:陽極、陰極の間隔を1mmとして、超音波の照射下で直流電圧2Vを5分間(成膜時間)印加した。
作製されたCNT透明導電膜の厚さは20nm〜30nm、表面抵抗は20kΩ/□、550nmにおける透過率(PEDOT層/PETの基板部分の寄与は含まない透過率。)は88%であった。
図6(A)、図6(B)に示す細長い中央図の上下方向の位置は、図6(A)、図6(B)に示す左側図における高さ(即ち、左側図の紙面に垂直な方向の高さであり、左側図ではより白い程高く、より黒いほど低いことを示している。)の情報をグレイスケールバーによって示しており、中央図の最上部が最も高く、最下部が最も低いことを示している。左側図におけるより白っぽい部分はより高い場所を示しこの場所は中央図のより上方の位置で示され、左側図におけるより黒っぽい部分はより低い場所を示しこの場所は中央図のより下方の位置で示され、中央図の最上部の白部が左側図の最も高い場所、最下部の黒部が左側図の最も低い場所をそれぞれ示している。図6(A)、図6(B)に示す右側図のヒストグラムは、左側図における各濃度(即ち、高さ)の占める面積を相対的に示したものである。左側図をカラー表示する場合には、中央図のグレイスケールバーをカラースケールバーに置き換え、白色を赤色、黒色を青色に置き換えると、より分かり易くなる。グレイスケールバー又はカラースケールバーの特定の色によって、左側図に示される物質が外部に露出する割合を容易に知ることができる。
図7は、本発明の実施例における、カーボンナノチューブ薄膜の形成例を示すAFM像であり、図7(A)、図7(B)は異なる観察領域であり、CNTは略一の方向に沿って配向していることが分かる。
図7に示す結果は、以下に示す主な成膜条件によって作製されたCNT透明導電膜に関するものである。
PET/SUS基板:厚さ6mm、面積50mm×20mmの鏡面加工されたSUS基板に、厚さ25μm、面積50mm×20mmのPETフィルムを貼付し積層した。
PEDOT層/PET/SUS基板:PEDPOT/PSS水性分散液(Baytron P HCV4)、H2O、IPAの混合比率を、PEDOT:H2O:IPA=1:1:100とするスピンコート用溶液を調製し、3000rpm、60秒間の条件でスピンコート法によって、PET面に塗布した加熱乾燥させた。なお、PEDOT層の厚さは約3nm、表面抵抗は1MΩ/□、550nmにおける透過率(PET基板の寄与は含まない透過率。)は99.3%であった。
CNT分散溶液:IPAに20wt%でDMFを混合し脱水した混合溶液に、SWNT(Carbon Solutions inc.、製品型番P3−SWNT)を精製して2mg/mLの濃度で添加して、超音波処理によって分散させて分散溶液を調製した。
電圧の印加:陽極、陰極の間隔を1mmとして、超音波の照射下で直流電圧5Vを10分間(成膜時間)印加した。
作製されたCNT透明導電膜の厚さは20nm〜50nm、表面抵抗は10kΩ/□、550nmにおける透過率(PEDOT層/PETの基板部分の寄与は含まない透過率。)は87%であった。
図7(A)、図7(B)に示す中央図及び右側図はそれぞれ、図6(A)、図6(B)に示す中央図及び右側図と同じ内容を示している。
なお、図7(B)に示す例では、略一の方向に沿って配向しているCNTの他に、曲線状に配列したCNTが存在している。誘電分極によって生じる陽極近傍の静電引力によって、溶質、溶媒が陽極に引き寄せられると、それを補う形で溶質、溶媒が陰極よ陽極の間で移動する現象が生じるが、非常に狭い容器中でCNT成膜を行っているので、この現象が狭い容器中である一定の局所的な対流を生じさせ、この対流の影響によって、曲線状に配列するようなCNTが生成したものと考えられる。なお、対流の影響は、電場の大きさ、分散溶液の温度、組成(CNT濃度、DMF濃度)等によって変化するものと考えられる。
図8は、本発明の実施例における、カーボンナノチューブ薄膜の形成例を示すAFM像であり、図8(A)、図8(B)は異なる観察領域であり、CNTは略一の方向に沿って配向していることが分かる。
図8に示す結果は、以下に示す主な成膜条件によって作製されたCNT透明導電膜に関するものである。
PET/SUS基板:厚さ6mm、面積50mm×20mmの鏡面加工されたSUS基板に、厚さ25μm、面積50mm×20mmのPETフィルムを貼付し積層した。
PEDOT層/PET/SUS基板:PEDPOT/PSS水性分散液(Baytron P HCV4)、H2O、IPAの混合比率を、PEDOT:H2O:IPA=1:1:100とするスピンコート用溶液を調製し、3000rpm、60秒間の条件でスピンコート法によって、PET面に塗布した加熱乾燥させた。なお、PEDOT層の厚さは約3nm、表面抵抗は1MΩ/□、550nmにおける透過率(PET基板の寄与は含まない透過率。)は99.3%であった。
CNT分散溶液:IPAに20wt%でDMFを混合し脱水した混合溶液に、SWNT(Carbon Solutions inc.、製品型番P3−SWNT)を精製して0.5mg/mLの濃度で添加して、超音波処理によって分散させて分散溶液を調製した。
電圧の印加:陽極、陰極の間隔を1mmとして、超音波の照射下で直流電圧5Vを5分間(成膜時間)印加した。
作製されたCNT透明導電膜の厚さは0〜10nm、表面抵抗は500kΩ/□、550nmにおける透過率(PEDOT層/PETの基板部分の寄与は含まない透過率。)は98%であった。
図8(A)、図8(B)に示す中央図及び右側図はそれぞれ、図6(A)、図6(B)に示す中央図及び右側図と同じ内容を示している。
図6、図7、図8に示すように、1次元材料、例えば、CNTからなる透明導電膜では、略一の方向に沿って直線性をもって配向しており、この膜は軸方向に1次元材料に由来する高い導電性を有している。
図9は、本発明の実施例における、カーボンナノチューブ薄膜の形成条件と膜特性の関係を説明する図である。
図9は、分散溶液におけるCNT濃度(g/L)、直流電圧(V)、直流電圧の印加時間(成膜時間)(分)、CNT膜厚(nm)、550nmにおける透過率(%)、シート抵抗(Ω/□)の膜特性を示しており、陽極電極10bとしてSUS基板を使用し、陽極、陰極の間隔を1mmとし、その他、PEDOT層の成膜条件、DMF濃度等は同一とした。なお、成膜時間中ではCNT濃度を変化させるようにCNTの添加はしていない。
図9に示す結果から、CNT濃度、直流電圧が同じであれば、形成されるCNT膜厚は成膜時間と共に大きくなり、CNT膜の透過率及びシート抵抗は膜厚の増加と共に減少すること、直流電圧、成膜時間が同じであれば、形成されるCNT膜厚は、CNT濃度の増加と共に増大することが分かる。従って、分散溶液におけるCNT濃度、直流電圧、成膜時間を変化させることによって、形成されるCNT膜の厚さを制御することができ、所望の光透過率、シート抵抗を有するCNT透明導電膜を得ることができる。
図10は、本発明の実施例における、カーボンナノチューブ薄膜の透過率と表面抵抗の関係を説明する図であり、横軸は550nmにおける透過率(%)、縦軸は表面抵抗(Ω/sq)を示す。
図10に示す点a、b、c、d、eは、分散溶液におけるCNT濃度、直流電圧、成膜時間等を変化させて作製されたCNT透明導電膜による結果である。
図9、図10に示すように、成膜条件によって、広い範囲の光透過率、導電性を有する種々の膜特性を有するCNT透明導電膜を作製することができる。CNT濃度を低くし、小さな直流電圧、短い成膜時間の条件下で、単層からなるCNT透明導電膜を形成することができ、また、先に形成されたCNT透明導電膜上に繰り返してCNT透明導電膜を積層させて形成することができ、全体としてCNTを高密度に含む膜とすることができ、高電流化、低抵抗化が可能となるので、各種の電子装置に要求される光透過率、導電性の組み合わせに応じた膜を作製することができる。
なお、上記した実施例では、金属:半導体比率は1:2であるとされているCNTを使用したので、作製されたCNT透明導電膜膜中には半導体CNTが含まれていると思われるが、電場によって誘起される分極の大きさは金属CNTの方が大きく、誘起される分極をドライビングフォースとする誘電泳動においては金属CNTが主に基板表面に引き寄せられるので、上記した実施例で作製されたCNT透明導電膜の導電性が高いことから、CNT透明導電膜は主に金属CNTからなることが示唆され、CNT材料を半導体CNTと金属CNTに分離し金属CNTをよりリッチに含む材料を使用すれば、より導電性に優れたCNT透明導電膜を作製することができると考えられる。
以上、本発明を実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、高分子層の材質及び厚さ、CNT分散溶液の溶媒の種類及び組成、1次ナノ材料の種類、分散溶液中の1次ナノ材料の濃度、印加する直流電圧の値、成膜時間等は、必要に応じて任意に適切に設定することができる。
以上説明したように、本発明によれば、各種電子装置の透明電極、配線に適用することができる、1次元ナノ材料からなり広い範囲の光透過率、導電性を有する種々の膜特性を有する透明導電膜の製造方法及び電子装置の製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態における、高分子フィルム上へのカーボンナノチューブ薄膜の形成方法を説明する図である。 同上、透明導電膜を使用したタッチパネルを説明する図である。 同上、カーボンナノチューブ(CNT)薄膜の導電特性と電子回路への応用を説明する図である。 本発明の実施例における、カーボンナノチューブ薄膜の形成例を示す光学像である。 同上、アノード電極における電場を説明する図である。 同上、カーボンナノチューブ薄膜の形成例を示すAFM像である。 同上、カーボンナノチューブ薄膜の形成例を示すAFM像である。 同上、カーボンナノチューブ薄膜の形成例を示すAFM像である。 同上、カーボンナノチューブ薄膜の透過率と表面抵抗の関係を説明する図である。 同上、カーボンナノチューブ薄膜の形成条件と膜特性の関係を説明する図である。
符号の説明
1a、1b…透明電導膜、2a…PET基板、2b…ガラス基板、3…ドットスペーサ、
4…絶縁層、5…空間、10a、10b…金属電極、12…PETフィルム、
14…CNT薄膜、16…CNT分散溶液、30a、30b…電極、31、46…基板、
32…CNT、33…CNTの線抵抗、34…CNT壁面間の抵抗、
35…CNTの先端部間の抵抗、41…ソース電極、42…ドレイン電極、
43…ソースドレインチャンネル、44…絶縁物層、45…ゲート電極

Claims (19)

  1. 陰極と、導電性基板に高分子層が積層された陽極を、前記高分子層が前記陰極に対向
    するように、1次元ナノ材料を含む溶液中に浸漬させる第1工程と、
    前記陽極と前記陰極の間に直流電圧を印加して、前記高分子層の面に前記1次元ナノ
    材料の膜を透明導電膜として形成する第2工程と
    を有する、透明導電膜の製造方法。
  2. 前記1次元ナノ材料の膜が形成された前記高分子層を前記導電性基板から分離する第3工程を有する、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  3. 前記高分子層の面に導電性高分子層が形成されており、この導電性高分子層に前記1次元ナノ材料の膜が形成される、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  4. 前記導電性高分子層の表面抵抗が1MΩ/□以下である、請求項2に記載の透明導電膜の製造方法。
  5. 前記高分子層の面に前記1次元ナノ材料の膜が形成されており、前記溶液中の前記1次元ナノ材料の濃度を高めた後に、前記第2工程を繰り返す、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  6. 前記直流電圧を印加した状態で前記溶液中から前記陽極を取り出して乾燥させた後に、前記直流電圧の印加を停止する、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  7. 前記高分子層の厚さが100μm以下である、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  8. 前記高分子層が透明である、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  9. 前記高分子層が、リエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルサルフォン(PES)及びこれらの誘導体の何れかである、請求項8に記載の透明導電膜の製造方法。
  10. 前記1次元ナノ材料がカーボンナノチューブである、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  11. 前記1次元ナノ材料の膜の透過率が60%以上である、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  12. 前記1次元ナノ材料の膜の表面抵抗が1kΩ/□以下である、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  13. 前記1次元ナノ材料、又は、束状の前記1次元ナノ材料が0.1Pa以上のヤング率を有する、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  14. 前記1次元ナノ材料が前記高分子層の面に略平行に配向している、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  15. 前記1次元ナノ材料の軸が一の方向に対して30度以内に配向している、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
  16. 導電性基板に高分子層が積層された陽極を前記高分子層が陰極に対向するように、前
    記陽極及び前記陰極を1次元ナノ材料を含む溶液中に浸漬させる第1工程と、
    前記陽極と前記陰極の間に直流電圧を印加して、前記高分子層の面に前記1次元ナノ
    材料の膜を透明導電膜として形成する第2工程と、
    前記1次元ナノ材料の膜が形成された前記高分子層を前記導電性基板から分離する第
    3工程と
    を有する、電子装置の製造方法。
  17. 請求項3から請求項15の何れか1項に記載の製造方法によって、前記透明導電膜が形成される、請求項16に記載の電子装置の製造方法。
  18. 前記透明導電膜が透明電極として使用される、請求項16に記載の電子装置の製造方法。
  19. 液晶装置、エレクトロルミネッセンス装置、エレクトロクロミック装置、タッチパネル、太陽電池の何れかとして構成される、請求項16に記載の電子装置の製造方法。
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