JP5539679B2 - 防振装置とその製造方法 - Google Patents

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本発明は、防振連結される一方の被連結体に取り付けられる中心部材と、防振連結される他方の被連結体に取り付けられ前記中心部材の半径方向外側に中心部材軸方向一方側に寄せて配置された外筒部材と、環状をなし、中心部材の外周面と外筒部材の内周面とを弾性連結する、断面「ハ」の字状のゴム部材とを配置して構成された防振装置とその製造方法に関し、特に、耐久性を高めることができるものに関する。
上記のような構成を有する防振装置は、例えば液封式の防振装置など、従来から広く知らており、図1は、その防振装置を、中心部材の軸線を通る断面において示す断面図であり(特許文献1参照。)、この防振装置90は、防振連結される一方の被連結体に取り付けられる中心部材91と、防振連結される他方の被連結体に取り付けられ、前記中心部材91の半径方向外側に中心部材軸方向一方側に寄せて配置された外筒部材92と、環状をなし、中心部材91の外周面と外筒部材92の内周面とを弾性連結する、断面「ハ」の字状のゴム部材93とを配置して構成されている。中心部材軸方向一方側を下側としたとき、外筒部材92は、前記他方の被連結体である筒状体99の内周側に下側から圧入されて固定されるようになっていて、筒状体99への挿入を容易にするため、その上端には上方に向かって径小となるテーパ部92aが形成されている。
一方、断面「ハ」の字状のゴム部材91の上側面93aは、中心部材91の軸線を通る断面において、外筒部材92の上端92bの半径方向内側を始端として半径方向内側に真横に向かったあと滑らかに上側に向かう曲線をなしていて、ゴム部材93の上側面は、外筒部材92と直角に接合されているので、中心部材91と外筒部材92との水平方向の相対変位に対して、ゴム部材93の上側面93aの、外筒部材92との接着面を含む始端付近には大きな応力が作用しこの部分の耐久性を向上させる必要があった。
図2は、この問題を改良した形態の防振装置を、中心部材の軸線を通る断面において示す断面図であり(特許文献2参照。)、この防振装置80は、防振連結される一方の被連結体に取り付けられる中心部材81と、防振連結される他方の被連結体に取り付けられ、前記中心部材81の半径方向外側に中心部材軸方向一方側に寄せて配置された外筒部材82と、環状をなし、中心部材81の外周面と外筒部材82の内周面とを弾性連結する、断面「ハ」の字状のゴム部材83とを配置して構成されている。
この例においても、中心部材軸方向一方側を下側としたとき、外筒部材82は、前記他方の被連結体である筒状体89の内周側に下側から圧入されて固定されるようになっていて、外筒部材82の上端には、半径方向内側に凹んだ凹部82aが形成されてゴム部材83の上側面83aは、中心部材81の軸線を通る断面において、外筒部材82の上端82bの半径方向内側を始端として半径方向内側に真横に向かったあと滑らかに上側に向かう曲線をなしているが、ゴム部材83の上側面83aは、外筒部材82の内周面に対して、凹部82aが形成されていることによって、小さな角度θで接合されて、徐々に外筒部材82から離れていく形状に構成されているので、ゴム部材83の上側面83aの、外筒部材82との接着面を含む始端付近には大きな応力が集中せず、ゴム部材83およびその外筒部材82との接着面の耐久性の問題を解消している。
しかしながら、上記のような凹部82aの形成は、ゴム部材83の加硫接着前に加工が行われているものの、形状が複雑なため単に絞って加工することができずコスト的により安価な形状の加工が求められていた。
特開平11−002282号公報 特開2001−050333号公報
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、低コストで、ゴム部材の耐久英およびゴム部材と外筒部材との接着面の耐久性を確保することのできる防振装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
<1>は、防振連結される一方の被連結体に取り付けられる中心部材と、防振連結される他方の被連結体の内周面に圧入されて取り付けられ前記中心部材の半径方向外側に中心部材軸方向一方側に寄せて配置された外筒部材と、環状をなし、中心部材の外周面と外筒部材の内周面とを弾性連結する、断面「ハ」の字状のゴム部材とを配置して構成された防振装置において、
前記中心部材一方側を下側としたとき、中心部材の軸線を通る断面において、前記ゴム部材の上側面は、外筒部材上端の半径方向内側を始端として一旦下側に向かったあと滑らかに上側に向かいながら、径方向外側に向かうことなく中心部材外周面に終端する曲線をなし、外筒部材は、他方の被連結体の内周面に圧入されて固定される本体部の上部において、本体部の上端にわたって、本体部より径小に絞られた上部径小部とを有する防振装置を製造する製造方法において、前記上部径小部を前記ゴム部材の外筒部材への加硫接着後に絞り加工を施すことによって形成し、前記本体部にも絞り加工を施すとともに、上部径小部と本体部とへの絞り加工を同時に行い、前記防振装置が、前記ゴム部材の下側面を一部の壁面とする室内に液体が充填された主液室と、主液室にオリフィスを経由して連通する副液室とを具え、中心部材と外筒部材との相対変位に伴うゴム部材の変形に応じて変化する主作用と管路抵抗とにより前記相対変位を減衰させるよう構成されたものであり、主液室に液体を充填したあと、主液室に対応する本体部の位置に本体部より径小に絞り加工を施して主液室径小部を形成するとともに、前記上部径小部、本体部、および、主液室径小部の絞り加工を同時に行うことを特徴とする防振装置の製造方法である。
<2>は、<1>において、上部径小部の下端は、前記前記ゴム部材の上側面の最下端より下側に位置していることを特徴とする防振装置の製造方法である。
<1>によれば、中心部材の軸線を通る断面において、前記ゴム部材の上側面は、外筒部材上端の半径方向内側を始端として一旦下側に向かったあと滑らかに上側に向かい勾配を反転させることなく中心部材外周面に終端する曲線をなしていて、ゴム部材の上側面の始端付近は、外筒部材に対して小さな角度で交差し外筒部材と併走しつつ外筒部材から徐々に離れていく形状に構成されているので、中心部材と外筒部材との水平方向の相対変位に対して、ゴム部材の上側面の、外筒部材との接着面を含む始端付近に大きな応力が集中することはなくこの部分の耐久性を向上させることができ、また、外筒部材は、他方の被連結体の内周面に圧入されて固定される本体部の上部に、本体部より径小の上部径小部を具えるので、他方の被連結体の内周面への外筒部材の圧入が容易になり、しかも、この上部径小部は絞り加工によって形成されることにより、これを低コストで実現することができる。
<2>によれば、中心部材と外筒部材との軸線と直交する方向の相対変位を発生させる外部入力に対し、応力の集中しやすい前記ゴム部材の上側面の最下端より半径方向外側の部分に対応する外筒部材部分を径小にしているのでこの応力集中を一層効果的に抑えることができる。
<3>によれば、前記上部径小部を前記ゴム部材の外筒部材への加硫接着後に絞り加工を施すので、加硫後のゴム部材の収縮によるゴム部材および外筒部材内の残留応力を緩和して、耐久性を向上させることができる。
<4>によれば、前記本体部にも絞り加工を施すので、本体部に対応する部分の、加硫後のゴム部材の収縮によるゴム部材および中心部材内の残留応力を緩和して、耐久性を向上させることができ、しかも、上部径小部と本体部とへの絞り加工を同時に行うので工程を簡素化することができる。
<5>によれば、防振装置が、いわゆる液封式の場合、前記上部径小部、本体部、および、主液室径小部の絞り加工を同時に行うので、工程を一層簡素化することができる。
従来の防振装置を示す断面図である。 従来の他の防振装置を示す断面図である。 本発明に係る実施形態の防振装置を取り付けた状態で示す断面図である。 外筒部材およびゴム部材の上側面を示す断面図である。 外筒部材の外周面の、絞り加工前のラインと、絞り加工後のラインとを示す断面図である。
本発明に係る実施形態の防振装置を、図を参照して説明する。図3は、実施形態の防振装置を示す断面図であり、防振装置10は、中心部材1と、中心部材1の半径方向外側に中心部材下側に寄せて配置された外筒部材2と、環状をなし、中心部材1の外周面と外筒部材2の内周面とを弾性連結する、断面「ハ」の字状のゴム部材3とを配置して構成される。ここで、中心部材1は、防振連結される一方の被連結体(図示なし)に取り付けられ、外筒部材2は、防振連結される他方の被連結体11の内周面に圧入されて取り付けられ、防振連結されるそれらの被連結体の相互の、上下方向およびこれと直交する方向の振動に伴う中心部材1との外筒部材2との相対変位が抑制されるよう構成されている。
ここに例示した防振装置10は液封式のものであり、外筒部材の半径方向内側の空間において、ゴム部材3の下方に外筒部材2に固定された仕切り部材4が設けられるとともに、仕切り部材4を挟んだ中心部材1の反対側に膜部材5が配設され、ゴム部材3と、仕切り部材4との間の空間には液体が充填された主液室6が形成され、また、仕切り部材4と、膜部材5との間には、同様に液体が充填された副液室7が形成されている。
そして、主液室6と副液室7との間には、これらの間を液体が移動することができるオリフィス8が形成されており、また、副液室7は、内部の液体の圧力の変化により膜部材5が伸縮して容易に容積を変えられるよう構成されていて、中心部材1と外筒部材2との相対変位があるとゴム部材3が変形し主液室6はその容積を変化させようとする。このとき、主液室6と副液室7とはオリフィス8で連通しているので、オリフィス8内を液が移動しこの移動に伴う共振作用と管路抵抗とにより、中心部材1と外筒部材2との相対変位が抑制されるよう構成されている。
図4に、外筒部材2の上端付近を拡大した断面図で示す。本発明の防振装置10は、その第1の特徴として、中心部材1の軸線を通る断面において、ゴム部材3の上側面3aは、外筒部材上端2bの半径方向内側を始端として一旦下側に向かったあと滑らかに上側に向かい勾配を反転させることなく中心部材1の外周面に終端する曲線をなし、ゴム部材3の上側面3aの始端付近は、外筒部材2に対して小さな角度θで交差し外筒部材2と併走しつつ外筒部材2から徐々に離れていく形状に構成されているので、中心部材1と外筒部材2との水平方向の相対変位に対して、ゴム部材3の上側面3aの、外筒部材2との接着面を含む始端付近に大きな応力が集中することはなくこの部分の耐久性を向上させることができる。
また、防振装置10は、第2の特徴として、外筒部材2が、他方の被連結体11の内周面に圧入されて固定される本体部21の上部に、本体部21より径小に絞られた上部径小部22とを有し、他方の被連結体11の内周面への外筒部材2の圧入が容易になり、しかも、この上部径小部22は絞り加工によって形成されることにより、これを低コストで実現することができる。
なお、ゴム部材3の上側面3aが、滑らかに上側に向かい勾配を反転させることなく中心部材1の外周面に終端する曲線をなしているのは、ゴム部材3を加硫形成する際に用いる金型の上側面3aに対応する金型ブロックを上下に移動して金型を開閉することができるようにするためであり、例えば、ゴム部材3の上側面3aが、勾配を反転させて中心部材1に終端するような場合には、上側面3aに対応する金型ブロックを単に上下させるだけでは金型を開閉することができず、したがって、本発明のこの構成は、金型が複雑になるという問題を解消することができる。
ここで、上部径小部22の下端を、前記前記ゴム部材3の上側面3aの最下端より下側に位置させるのが好ましく、このことにより、ゴム部材3の始端付近への応力集中を効果的に抑えることができる。
図5は、外筒部材2の外周面の、絞り加工前のラインと、絞り加工後のラインとを示す断面図であり、上部径小部22の絞りは、ゴム部材3の外筒部材2への加硫接着後に加工するのが好ましく、加硫後のゴム部材3の収縮によって発生するゴム部材3および外筒部材2内の残留応力を緩和して、耐久性を向上させることができる。
同様にして、本体部21にも絞り加工するのが好ましい。この場合、上部径小部22と本体部との絞りを同時に行うのが、工程を簡素化する上でさらに好ましい、また、主液室に対応する位置にある外筒部材部分を構成する主液室径小部23は、本体部より径が小さいが、この部分は、主液室6に液体を充填したあと、ゴム部材3と仕切り部材4との間から液が漏れないよう、外筒部材2を絞ってこれらの部材3、4同士をシールすることが行われていて、工程の簡素化を一層すすめるため、本体部21、上部径小部22、および、主液室径小部23を同時に絞り加工するのがさらによい。また、絞り加工には、外筒部材2の軸線を通る断面において軸線方向と平行な面に仕上げる場合の他、軸線方向に対して傾斜する面に仕上げる場合を含むことができる。
以上、液封式の防振装置について説明したが、本発明の防振装置は、液室を具える必要はなく、中心部材1、外筒部材2、および、これらを連結するゴム部材3を具えていればよい。
1 内筒部材
2 外筒部材
2b 外筒部材の上端
3 ゴム部材
3a ゴム部材の上側面
4 仕切り部材
5 膜部材
6 主液室
7 副液室
8 オリフィス
10 防振装置
11 防振連結される他方の被連結体

Claims (2)

  1. 防振連結される一方の被連結体に取り付けられる中心部材と、防振連結される他方の被連結体の内周面に圧入されて取り付けられ前記中心部材の半径方向外側に中心部材軸方向一方側に寄せて配置された外筒部材と、環状をなし、中心部材の外周面と外筒部材の内周面とを弾性連結する、断面「ハ」の字状のゴム部材とを配置して構成された防振装置において、前記中心部材一方側を下側としたとき、中心部材の軸線を通る断面において、前記ゴム部材の上側面は、外筒部材上端の半径方向内側を始端として一旦下側に向かったあと滑らかに上側に向かいながら、径方向外側に向かうことなく中心部材外周面に終端する曲線をなし、外筒部材は、他方の被連結体の内周面に圧入されて固定される本体部の上部において、本体部の上端にわたって、本体部より径小に絞られた上部径小部とを有する防振装置を製造する製造方法において、
    前記上部径小部を前記ゴム部材の外筒部材への加硫接着後に絞り加工を施すことによって形成し、
    前記本体部にも絞り加工を施すとともに、上部径小部と本体部とへの絞り加工を同時に行い、
    前記防振装置が、前記ゴム部材の下側面を一部の壁面とする室内に液体が充填された主液室と、主液室にオリフィスを経由して連通する副液室とを具え、中心部材と外筒部材との相対変位に伴うゴム部材の変形に応じて変化する主作用と管路抵抗とにより前記相対変位を減衰させるよう構成されたものであり、主液室に液体を充填したあと、主液室に対応する本体部の位置に本体部より径小に絞り加工を施して主液室径小部を形成するとともに、前記上部径小部、本体部、および、主液室径小部の絞り加工を同時に行うことを特徴とする防振装置の製造方法
  2. 上部径小部の下端は、前記前記ゴム部材の上側面の最下端より下側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の防振装置の製造方法
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